JP2023076989A - 埋込金物の型枠先付け工法及び埋込金物 - Google Patents

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Hirokatsu Yahagi
宗親 正木
Soshin Masaki
俊輔 川名
Shunsuke Kawana
裕司 園部
Yuji Sonobe
直 大久保
Sunao Okubo
真也 飯田
Shinya Iida
智年 水垣
Tomotoshi Mizugaki
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Abstract

【課題】型枠の表側からの埋込金物の配置を容易に行う事ができ、型枠に形成する開口周辺への加工を不要とする埋込金物の型枠先付け工法を提供する。【解決手段】型枠を構成する板面の所定の位置に開口52を設け、コンクリートを打設しない側面から、開口52を介してコンクリートを打設する側面へ、埋込金物10のアンカー部12と、受け部材14を挿入し、受け部材14と、押さえ部材18とにより型枠50の板面を挟持すると共に、受け部材14と押さえ部材18との間に開口52を閉塞するスペーサー16を配置して埋込金物10を型枠50に固定し、コンクリート70を打設することを特徴とする。【選択図】図9

Description

本発明は、コンクリート打設における埋込型枠の先付け工法に係り、特にコンクリート打設面側の施工スペースが狭い場合に好適な埋込金物の型枠先付け工法、及び埋込金物に関する。
埋込金物の先付けを行う場合において、トンネル覆工など、型枠と基礎面との距離が近く鉄筋が施されたスペースが狭い場合の工法については、特許文献1に一例が開示されている。特許文献1に開示されている工法では、型枠に形成された打設窓から埋込金物としての吊アンカーをコンクリート打設面側に挿入し、埋込金物の仮固定を行うというものである。また、特許文献1に開示されている吊アンカー(埋込金物)は、コンクリートが打設されたトンネル表面に開口部が配置されることとなるインサート部に対して、格子状に形成された補強筋の間隔よりも大きな辺を持つ定着部を備える構成としており、当該工法においては、打設窓から挿入した吊アンカーの定着部を補強筋の裏側に配置して吊アンカーの仮固定を成すことが開示されている。さらに、吊アンカーを補強筋に固定した後、基礎面と型枠との間にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に型枠を撤去することで、埋込金物の先付けが完了する。
このような工法により埋め込まれた金物(埋込金物)であれば、定着部が補強筋の裏側に配置され、かつ定着部が補強筋により構成される格子サイズよりも大きい為、埋込金物が落下する恐れが無い。しかし、型枠の表側(コンクリート打設面側と反対側の面)から埋込金物の設置を行う場合、型枠に形成する打設窓は、少なくとも定着部よりも大きなものとする必要があり、コンクリート打設時には型枠の穴埋めなどの加工を行う必要が生じると共に、補強筋の配筋形態によっては、所望する位置に埋込金物を配置することができない場合がある。
また、型枠に設けた開口(孔:打設窓)を利用して埋込金物(ソケット)を所定の位置に固定する技術としては、特許文献2に開示されているように、ワッシャーとソケットに螺合するボルトを利用して、型枠を挟み込むという方法も知られている。この方法では、型枠に形成する孔を小さなものとする事ができる一方、埋込金物の配置を型枠の裏側から行う必要があり、特許文献1に開示されているトンネル施工のように、型枠と基礎面との隙間が狭い場合には適用することが難しい。
特開2015-169017号公報 特開2016-17317号公報
そこで本発明では、型枠の表側からの埋込金物の配置を容易に行う事ができると共に、配置の自由度が高く、かつ型枠に形成する開口周辺への加工を不要とすることのできる埋込金物の型枠先付け工法、及びこの工法に使用する埋込金物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る埋込金物の型枠先付け工法は、一方の側面をコンクリート打設側側面、他方の側面をコンクリート非打設側側面とする型枠を構成する板面の所定の位置に開口を設け、前記他方の側面側から、前記開口を介して前記一方の側面側へ、埋込金物のアンカー部と、埋込状態において前記アンカー部と当接する受け部材を挿入し、前記一方の側面側に配置した前記受け部材と、前記他方の側面側に配置した押さえ部材とにより前記板面を挟持すると共に、前記受け部材と前記押さえ部材との間に前記開口を閉塞するスペーサーを配置して前記埋込金物を前記型枠に固定し、前記埋込金物を前記型枠に固定した後、コンクリートを打設することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する埋込金物の型枠先付け工法において前記開口は丸穴であり、前記受け部材は、少なくとも長辺の長さを前記丸穴の直径よりも長くし、短辺の長さを前記丸穴の直径よりも短くすると良い。このような特徴を有する事によれば、受け部材を傾ける事により開口を挿通させることができ、受け部材を型枠の板面と平行にした場合には、型枠に対する引っ掛かりを持たせることができるようになる。
また、上記のような特徴を有する埋込金物の型枠先付け工法において前記アンカー部には雌ネジ穴が形成されていると共に、前記雌ネジ穴の開口側に前記受け部材が固定されており、前記雌ネジ穴にはボルトが螺合され、前記ボルトに螺合されたナットの締め付けにより、前記受け部材と前記押さえ板とによる前記板面を挟持する力を生じさせるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、開口に対するアンカー部と受け部材の挿入操作、及び受け部材と押さえ部材とによる型枠の挟持を容易に行う事ができる。
また、上記のような特徴を有する埋込金物の型枠先付け工法において前記ボルトの長さは前記雌ネジ穴の深さよりも長く、前記アンカー部及び前記受け部材を挿入する工程と、前記埋込金物を固定する工程とは、前記ボルトを前記雌ネジ穴の奥まで締め込んだ状態で行うようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、ボルトに対するアンカー部の回転が規制されることとなる。これにより、ボルトの回転角度とアンカー部の回転角度が等しくなり、埋込金物を型枠に固定する際の受け部材の向きを容易に定められるようになる。
さらに、上記のような特徴を有する埋込金物の型枠先付け工法において前記開口は、前記型枠を移動させて再利用する際、埋込金物を固定する開口として再利用すると良い。このような特徴を有することによれば、型枠を使用する度に、逐次開口を形成し、穴埋めするといった作業を行う必要がなくなり、作業効率の向上を図ることができる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る埋込金物は、一端に雌ネジ穴が形成されたアンカー部と、前記雌ネジ穴の開口部に固定されると共に、型枠の板面に設けられた開口を挿通可能とし、かつ前記開口を挿通した後に前記板面に係止される受け部材と、前記アンカー部を支持する支持部材と、前記支持部材に配置され、前記アンカー部の延設方向に沿って移動可能に配置される押さえ部材と、前記受け部材と前記押さえ部材との間に配置されるスペーサーと、前記支持部材に配置されると共に、前記押さえ部材に対して前記受け部材に近接させる方向の力を付与する付勢力発生手段と、を有することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する埋込金物において前記支持部材はボルトであり、前記付勢力発生手段は、前記ボルトに螺合したナットであるようにすることができる。このような特徴を有する事によれば、支持部材、及び付勢力発生手段を汎用品により構成することができる。よって、製造コストの低減を図ることができる。
また、上記のような特徴を有する埋込金物において前記開口が矩形である場合、前記受け部材は、前記開口の長辺、あるいは対角線よりも短く、前記開口の短辺よりも長い長辺と、前記開口の短辺よりも短い短辺とを有するようにすれば良い。このような特徴を有する事によれば、受け部材は、型枠の開口を挿通させることが可能となり、かつ開口の縁に引っ掛かりを持たせることもできる。
さらに、上記のような特徴を有する埋込金物において前記開口が円形である場合、前記受け部材は、前記円形の直径よりも長い長辺と、前記円形の直径よりも短い短辺とを有するようにすると良い。このような特徴を有する事によっても、受け部材は、型枠の開口を挿通させることが可能となり、かつ開口の縁に引っ掛かりを持たせることもできる。
上記のような特徴を有する埋込金物の先付け工法によれば、型枠の表側からの埋込金物の配置を容易に行う事ができる。また、埋込金物の配置の自由度が高く、かつ型枠に形成する開口周辺への加工を不要とすることができる。
また、上記のような特徴を有する埋込金物であれば、上記工法に適用することができる。
実施形態に係る埋込金物の一例を示す分解側面図である。 埋込金物を構成する受け部材の平面視形態を長方形とした場合の例を示す図である。 埋込金物を構成する受け部材の平面視形態を円盤の一部を弦に沿って切り取った形状とした場合の例を示す図である。 埋込金物を構成する受け部材の平面視形態を長方形の角部を面取りした形状とする場合の例を示す図である。 コンクリート打設領域との境界に型枠を配置し、その板面に開口を形成した状態を示す図である。 型枠に形成した開口からコンクリート打設領域側へ埋込金物を挿入する様子を示す図である。 型枠に形成した開口からコンクリート打設領域側へ埋込金物を挿入する際、開口の縁に埋込金物を寄せている状態を示す図である。 型枠に形成した開口からコンクリート打設領域側へ埋込金物におけるアンカー部と受け部材を挿入した状態を示す図である。 埋込金物を構成する受け部材と押さえ部材により型枠の板面を挟持し、埋込金物を仮固定した状態を示す図である。 コンクリートを打設し、ボルト、ナット、スペーサー、及び型枠を取り外した状態を示す図である。 コンクリート壁面に連続して埋込金物を埋設した状態を示す図である。
以下、本発明の埋込金物の型枠先付け工法、及び埋込金物に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部であり、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部、あるいは方法の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
[埋込金物]
最初に、発明に係る埋込金物の型枠先付け工法に用いる埋込金物について、図1を参照して説明する。本実施形態では埋込金物10の一例として、雌ネジ穴12cを有するアンカーを例に挙げて説明する。本実施形態に係る埋込金物10は、アンカー部12と、受け部材14、押さえ部材18、及びスペーサー16を基本として構成されている。本実施形態に係るアンカー部12は、円柱の本体12aの埋込側先端部に、本体12aよりも大径な定着部12bを備えている。また、本体12aには、定着部12bを配置している側と反対側の端部に開口を備える雌ネジ穴12cが、長手方向に沿って形成されている。
アンカー部12の長さは限定するものでは無いが、型枠50と鉄筋60(図5-図8参照)との間に設けられる隙間と同等以下の長さとすることが望ましい。埋込金物10の配置の自由度、及び埋込金物10を型枠50の開口52から挿入する際に、アンカー部12が鉄筋60に接触してしまう事を避けるためである。また、アンカー部12の直径(平面視における投影面)は、詳細を後述する型枠50に設ける開口52を挿通可能な大きさであれば良い。なお、アンカー部12は、鋼材など、所定以上の強度を有する部材(例えば金属部材)により構成されていれば良い。
受け部材14は、アンカー部12における本体12aの雌ネジ穴12cを形成している側の端部に配置される部材である。受け部材14は、アンカー部12に固定されていることが望ましく、別体形成に限らず、一体形成とされていても良い。受け部材14の平面視形状は、少なくとも長辺と短辺を有する形状であれば良く、例えば図2に示すような長方形の板材や、図3に示すような、円盤状を成す板材における円弧の一部を弦に沿って切り欠いた形状の他、長方形の板材における角部を面取りしたような形状(図4参照)、棒状部材などであっても良い。なお、受け部材14には、詳細を後述するボルト22を挿通させるための貫通孔14aが設けられている。
受け部材14の長辺と短辺の比は、一義的に定まるものでは無く、詳細を後述する型枠50の板面に設ける開口52との兼ね合いにより定めるようにすることが望ましい。具体的には、開口52に対して並行にした状態では少なくとも、受け部材14における長辺の一部が引っ掛かりを持ち、回転させた場合、あるいは斜めにした状態では受け部材14が開口52を通り抜けるように構成されていれば良い。
このため、受け部材14の長辺は少なくとも開口52の直径(開口52が円形の場合)、あるいは開口52の短辺よりも長く、受け部材14の短辺は、開口52の直径、あるいは短辺よりも短くなるように形成されていれば良い。ここで、受け部材14は、アンカー部12と同様に鋼材等の金属部材で構成することが望ましいが、詳細を後述するコンクリート70を打設した際の荷重や衝撃により変形しなければ、その素材を限定するものでは無い。
押さえ部材18は、開口52の直径、あるいは短辺よりも長い辺を持ち、少なくとも型枠50の板面と平行に配置した際に、開口52に対する引っ掛かりを持つ構成とすれば良い。このような構成の押さえ部材18であれば、受け部材14と押さえ部材18により、開口52を介して型枠50の板面を挟み込む事が可能となるからである。押さえ部材18も、受け部材14、アンカー部12と同様に、鋼材等の金属部材で構成することが望ましいが、受け部材14と同様に、コンクリート70の打設時に変形しなければ、その素材を限定するものではない。なお、押さえ部材18も受け部材14と同様に、ボルト22を挿通させるための貫通孔18aが設けられている。
スペーサー16は、受け部材14と押さえ部材18の間に配置され、型枠50に形成された開口52を閉塞する役割を担う要素である。このため、開口52に対してマイナス公差(例えばマイナス1mm程度)で相似する形状とすることが望ましい。なお、押さえ部材18による開口52の被覆範囲が大きい場合には、スペーサー16を軟質部材(例えばゴム)により構成しても良く、この場合には、スペーサー16を収縮させることにより開口52に嵌め込む事ができる範囲において、スペーサー16を開口52よりも大きく形成しても良い。
スペーサー16にも、受け部材14、押さえ部材18と同様に、ボルト22を挿通させるための貫通孔が設けられている。また、スペーサー16の厚みは、型枠50の板面と同等以下の厚みであり、かつ打設するコンクリート70の漏れ止めを図ることが出来る強度を有するようにすることが望ましい。
実施形態に係る埋込金物10は、上述したように、アンカー部12と受け部材14、押さえ部材18、及びスペーサー16を基本として構成されるものであるが、使用時、すなわち先付け時には、付勢力発生手段としてのナット20を螺合させたボルト22(支持部材)をアンカー部12の雌ネジ穴12cに螺合させ、ボルト22に螺合させたナット20により、押さえ部材18とスペーサー16を受け部材14側に移動させることで、型枠50の板面の挟持することとなる。このため、ボルト22とナット20についても、実施形態に係る埋込金物10の一部と定義することができる。なお、アンカー部12を支持することができ、かつ押さえ部材18とスペーサー16を受け部材14側に移動させることができる構成を備えていれば、支持部材はボルト22でなくても良く、付勢力発生手段はナット20でなくても良い。
また、上記説明ではアンカー部12の構造について一例として、本体12aを円柱とすることを挙げているが、四角柱や三角柱などの多角形の柱状であっても良く、その断面形状を限定するものでは無い。また、定着部12bについては、本体12aを円柱とする例を挙げたため、“本体12aよりも大径”と説明しているが、定着部12bにおける本体12aの長手方向端部側からの矢視の投影面の面積が本体12aの投影面の面積よりも大きいものであれば、その平面視形状を限定するものでは無い。また、定着部12bは、本体12aの埋込側先端部に設ける旨記載したが、これに限定するものでは無く、2つ以上設けるようにしても良い。さらに、図1に示す例において定着部12bは、本体12aに対して凸状のフランジのように示しているが、コンクリート70に対して抜け止め効果を発揮することができれば良く、例えば凹状の括れなどとしても良い。
[型枠先付け工法]
次に、上記のような埋込金物を利用した型枠先付け工法について、図5から図10を参照して説明する。
まず、主筋や補強筋などの鉄筋60を配した領域(コンクリート打設領域)と、コンクリート70を打設しない領域とを隔てる型枠50を配置し、この型枠50の所定の位置に埋込金物10を先付けするための開口52を設ける(図5参照)。開口52は、一方の側面をコンクリート打設側側面、他方の側面をコンクリート非打設側側面とする型枠50の板面に設けるようにすれば良い。開口52の平面視形状は、例えば円形とすれば良く、その大きさは、上述した受け部材14の長辺よりも小さく、短辺よりも大きい直径を有するようにすれば良い。
次に図6に示すように、型枠50の他方の面側から、埋込金物10のアンカー部12と受け部材14を、開口52に挿入する。ここで、アンカー部12には雌ネジ穴12cに、ナット20を螺合させたボルト22を螺合させた状態とした上で、開口52に対する挿入を行うようにする。アンカー部12から突出するボルト22を把持することが可能となるため、アンカー部12、及び受け部材14の挿入操作が容易となる。なお、雌ネジ穴12cにボルト22を螺合させる場合には、ナット20と受け部材14との間に、スペーサー16と押さえ部材18を配置しておく。
ここで、開口52に対する受け部材14の挿入は、図6に示すように、開口52に対してアンカー部12、及び受け部材14を傾けるようして行うと良い。また、図7に示すように、開口52の縁に、受け部材14の長辺端部のうち、挿入する側の端部と反対側の端部が位置するボルト22やアンカー部12の側面を寄せるようにすることで、受け部材14の挿入を容易化することができる。
開口52からアンカー部12、及び受け部材14を挿入した後、受け部材14が型枠50の板面と平行、アンカー部12が型枠50の板面と直交するように埋込金物10の姿勢を整える(図8参照)。このように配置することで、受け部材14が開口52に引っ掛かりを持つこととなる。
次に、図9に示すように、受け部材14と押さえ部材18により型枠50の板面を挟み込む。型枠50の挟み込みは、ボルト22の雄ネジ部に螺合しているナット20を受け部材14側に回動させて、押さえ部材18を型枠50の板面に押し付けるようにすることで成せば良い。
ここで、受け部材14と押さえ部材18の間には、予めスペーサー16が配置されている。このため、ナット20により押さえ部材18が型枠50の板面に押し付けられると、スペーサー16は開口52に嵌り込み、型枠50の開口52が閉塞される。
このようにして型枠50に埋込金物10を配置、及び固定した後、コンクリート打設領域に対するコンクリート70の打設を行う。埋込金物10は、受け部材14により型枠50からの抜け止めが図られると共に、スペーサー16により開口52のシールが成されている。このため、コンクリート70の打設時の負荷により、埋込金物10が開口52から脱落する事も、開口52から大量のコンクリート70(セメントミルク等を含む)が漏れ出す事も無い。
打設したコンクリート70が硬化した後、ボルト22の螺合を解くことで押さえ部材18、及びスペーサー16の固定を解除し、型枠50を取り外す事で、図10に示すように、コンクリート壁面に対する埋込金物10の設置が完了する。
[効果]
上記のような埋込金物の型枠先付け工法によれば、受け部材14と押さえ部材18により型枠50の板面を挟み込むだけで埋込金物10の仮固定が完了するため、作業性が良い。また、受け部材14の作用によりコンクリート打設時に埋込金物10が落下してしまう事態を避けることができる。
また、埋込金物10の取り付け(仮固定)を型枠50の他方の面側(コンクリート70を打設しない領域側)のみから行うことができる。このため、コンクリート打設領域が狭隘な領域であったとしても、埋込金物10の型枠先付けを簡単に実施することができる。
さらに、従来に比べて型枠50に形成する開口52を小さなものとすることができると共に、埋込金物10を固定するための補助部材等を開口50の周囲に設置する必要が無く、作業効率が高い。
[応用例]
上記実施形態では、埋込金具10を配置する開口52は、型枠50を配置した後に形成するように記載している。しかしながら、型枠50に対する開口52の形成は、型枠50を配置する前に行うようにしても良い。予め型枠50に開口52を設けるようにすることで、現場での作業工程を減らすことが可能となるからである。
また、トンネル工事におけるセントル工法のように、共通、あるいは数種類の型枠50を連続して利用することでコンクリート被覆層を形成する場合には、型枠50に対して最初に設けられた開口52を利用して、型枠移動後の埋込金物10の先付けを行うようにすると良い。型枠50に対して逐次開口52を形成し、不使用分を閉塞するという作業を行う手間を省くことができるからである。
また、アンカー部12にボルト22を螺合させる際、ボルト22は、雌ネジ穴12cの奥まで螺合させた状態で型枠50に対する仮固定を実施すると良い。ボルト22に対してアンカー部12の回転が規制されることとなり、ボルト22を回転させることで、同じ回転角度だけアンカー部12が回転することとなる。これにより、アンカー部12に付帯されている受け部材14の配置方向を定めることが容易となり、埋込金物10を複数、連続して配置する場合に、図11に示すように、受け部材14における長辺の方向を統一化することが容易となる。
10………埋込金物、12………アンカー部、12a………本体、12b………定着部、12c………雌ネジ穴、14………受け部材、16………スペーサー、18………押さえ部材、20………ナット、22………ボルト、50………型枠、52………開口、60………鉄筋、70………コンクリート。

Claims (9)

  1. 一方の側面をコンクリート打設側側面、他方の側面をコンクリート非打設側側面とする型枠を構成する板面の所定の位置に開口を設け、
    前記他方の側面側から、前記開口を介して前記一方の側面側へ、埋込金物のアンカー部と、埋込状態において前記アンカー部と当接する受け部材を挿入し、
    前記一方の側面側に配置した前記受け部材と、前記他方の側面側に配置した押さえ部材とにより前記板面を挟持すると共に、前記受け部材と前記押さえ部材との間に前記開口を閉塞するスペーサーを配置して前記埋込金物を前記型枠に固定し、
    前記埋込金物を前記型枠に固定した後、コンクリートを打設することを特徴とする埋込金物の型枠先付け工法。
  2. 前記開口は丸穴であり、前記受け部材は、少なくとも長辺の長さを前記丸穴の直径よりも長くし、短辺の長さを前記丸穴の直径よりも短くしたことを特徴とする請求項1に記載の埋込金物の型枠先付け工法。
  3. 前記アンカー部には雌ネジ穴が形成されていると共に、前記雌ネジ穴の開口側に前記受け部材が固定されており、
    前記雌ネジ穴にはボルトが螺合され、前記ボルトに螺合されたナットの締め付けにより、前記受け部材と前記押さえ板とによる前記板面を挟持する力を生じさせることを特徴とする請求項1または2に記載の埋込金物の型枠先付け工法。
  4. 前記ボルトの長さは前記雌ネジ穴の深さよりも長く、
    前記アンカー部及び前記受け部材を挿入する工程と、前記埋込金物を固定する工程とは、前記ボルトを前記雌ネジ穴の奥まで締め込んだ状態で行うことを特徴とする請求項3に記載の埋込金物の型枠先付け工法。
  5. 前記開口は、前記型枠を移動させて再利用する際、埋込金物を固定する開口として再利用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の埋込金物の型枠先付け工法。
  6. 一端に雌ネジ穴が形成されたアンカー部と、
    前記雌ネジ穴の開口部に固定されると共に、型枠の板面に設けられた開口を挿通可能とし、かつ前記開口を挿通した後に前記板面に係止される受け部材と、
    前記アンカー部を支持する支持部材と、
    前記支持部材に配置され、前記アンカー部の延設方向に沿って移動可能に配置される押さえ部材と、
    前記受け部材と前記押さえ部材との間に配置されるスペーサーと、
    前記支持部材に配置されると共に、前記押さえ部材に対して前記受け部材に近接させる方向の力を付与する付勢力発生手段と、を有することを特徴とする埋込金物。
  7. 前記支持部材はボルトであり、
    前記付勢力発生手段は、前記ボルトに螺合したナットであることを特徴とする請求項7に記載の埋込金物。
  8. 前記開口が矩形である場合、
    前記受け部材は、前記開口の長辺、あるいは対角線よりも短く、前記開口の短辺よりも長い長辺と、前記開口の短辺よりも短い短辺とを有することを特徴とする請求項6または7に記載の埋込金物。
  9. 前記開口が円形である場合、
    前記受け部材は、前記円形の直径よりも長い長辺と、前記円形の直径よりも短い短辺とを有することを特徴とする請求項6または7に記載の埋込金物。
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