JP2023076310A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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智哉 松浦
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Abstract

【課題】差動歯車機構の各回転要素の回転速度の変化を伴う動作モードの移行を行う場合に、車両の運転者が感じる減速感を少なく抑えることが可能な車両用駆動装置を提供する。【解決手段】制御装置は、第1モードから第2モードに移行する場合に、モード移行制御を実行し、当該モード移行制御は、第2係合装置CL2を解放状態に変化させた後に、第3回転要素の回転速度である第3回転速度N3を第2回転要素の回転速度である第2回転速度N2に対して低くするように回転電機MG1のトルクを制御するトルク調整制御と、当該トルク調整制御の実行期間中に、解放状態であった第1係合装置CL1の係合圧を上昇させる係合圧上昇制御と、それらの制御により第1回転要素の回転速度である第1回転速度N1と入力部材の回転速度である入力回転速度Niとの差が規定の同期差回転範囲内となった状態で、第1係合装置CL1を直結係合状態とする直結係合制御と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、3つの回転要素を備えた差動歯車機構と、回転電機と、を備えた車両用駆動装置に関する。
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
特許文献1の車両用駆動装置は、内燃機関(3)に駆動連結される入力部材(8)と、車輪に駆動連結される出力部材(7)と、ロータを備えた回転電機(4)と、入力部材(8)に駆動連結された第1回転要素(13)、出力部材(7)と駆動連結された第2回転要素(12)、及び回転電機(4)のロータに駆動連結された第3回転要素(11)を備えた差動歯車機構(10)と、内燃機関(3)と第1回転要素(13)との間の動力伝達を断接する第1係合装置(17)と、第1回転要素(13)と第3回転要素(11)との間の動力伝達を断接する第2係合装置(16)と、を備えている。
また、特許文献1の車両用駆動装置は、動作モードとして、第1モード(EM)及び第2モード(CVTM)を備えている。第1モード(EM)では、第1係合装置(17)が解放状態、第2係合装置(16)が係合状態とされ、回転電機(4)のトルクが出力部材(7)に伝達される。第2モード(CVTM)では、第1係合装置(17)が係合状態、第2係合装置(16)が解放状態とされ、内燃機関(3)及び回転電機(4)のトルクが出力部材(7)に伝達される。
特表2020-525358号公報
特許文献1の車両用駆動装置では、動作モードを第1モード(EM)から第2モード(CVTM)に移行する場合、当該動作モードの移行において差動歯車機構(10)の各回転要素(11,12,13)の回転速度を変化させる。これに伴い、差動歯車機構(10)の各回転要素(11,12,13)の回転速度の変化による負のイナーシャトルクが出力部材(7)に伝達される場合がある。その結果、上記動作モードの移行において車両の運転者が減速感を感じることになるという課題が生じていた。
そこで、差動歯車機構の各回転要素の回転速度の変化を伴う動作モードの移行を行う場合に、車両の運転者が感じる減速感を少なく抑えることが可能な車両用駆動装置の実現が望まれる。
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
ロータを備えた回転電機と、
第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備え、前記第1回転要素が前記入力部材に駆動連結され、前記第3回転要素が前記ロータに駆動連結された差動歯車機構と、
前記入力部材と前記第1回転要素との間の動力伝達を断接する第1係合装置と、
前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、
少なくとも前記第2回転要素と前記出力部材との間の動力伝達を行う伝達機構と、
前記内燃機関、前記回転電機、前記第1係合装置、及び前記第2係合装置を制御する制御装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第1係合装置は、摩擦係合装置であり、
動作モードとして、第1モードと、第2モードと、を備え、
前記第1モードでは、前記第1係合装置が解放状態、前記第2係合装置が係合状態とされ、前記回転電機のトルクが前記出力部材に伝達され、
前記第2モードでは、前記第1係合装置が係合状態、前記第2係合装置が解放状態とされ、前記内燃機関及び前記回転電機のトルクが前記出力部材に伝達され、
前記制御装置は、前記内燃機関が前記入力部材を回転駆動している状態である駆動状態で、前記第1モードから前記第2モードに移行する場合に、モード移行制御を実行し、
前記モード移行制御は、
前記第2係合装置を係合状態から解放状態に変化させた後に、前記第3回転要素の回転速度を前記第2回転要素の回転速度に対して低くするように前記回転電機のトルクを制御するトルク調整制御と、
前記トルク調整制御の実行期間中に、解放状態であった前記第1係合装置の係合圧を上昇させる係合圧上昇制御と、
前記トルク調整制御及び前記係合圧上昇制御により前記第1回転要素の回転速度と前記入力部材の回転速度との差が規定の同期差回転範囲内となった状態で、前記第1係合装置の一対の係合要素が差回転なく係合するように、前記第1係合装置を直結係合状態とする直結係合制御と、を含む点にある。
この特徴構成によれば、第1モードから第2モードに移行する場合に、係合圧上昇制御により、第1係合装置を介して第1回転要素に正トルクを伝達することができる。そのため、トルク調整制御において差動歯車機構の各回転要素の回転速度の変化に起因して出力部材に伝達される負のイナーシャトルクを、上記の正トルクにより低減又は打ち消すことができる。したがって、差動歯車機構の各回転要素の回転速度の変化を伴う動作モードの移行を行う場合に、車両の運転者が感じる減速感を少なく抑えることができる。
実施形態に係る車両用駆動装置の第1駆動ユニットのスケルトン図 実施形態に係る車両用駆動装置の第2駆動ユニットのスケルトン図 実施形態に係る車両用駆動装置の制御ブロック図 実施形態に係る車両用駆動装置の各動作モードにおける各係合装置の状態を示す図 実施形態に係る車両用駆動装置の動作モードを第1モードから第2モードに移行する場合における制御装置の制御処理の一例を示すフローチャート 実施形態に係る車両用駆動装置の動作モードを第1モードから第2モードに移行する場合における制御装置の制御処理の一例を示すタイムチャート その他の実施形態に係る車両用駆動装置の第1駆動ユニットのスケルトン図
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、一対の第1車輪W1を駆動する第1駆動ユニットDU1と、一対の第2車輪W2を駆動する第2駆動ユニットDU2と、を備えている。本実施形態では、第1車輪W1は車両の前輪であり、第2車輪W2は車両の後輪である。
図1に示すように、第1駆動ユニットDU1は、内燃機関EGに駆動連結される入力部材Iと、第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材O1と、第1回転電機MG1と、分配用差動歯車機構SPと、第1係合装置CL1と、第2係合装置CL2と、伝達機構Tと、を備えている。本実施形態では、第1駆動ユニットDU1は、第1出力用差動歯車機構DF1を更に備えている。また、本実施形態では、伝達機構Tは、第3係合装置CL3を備えている。
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。ただし、差動歯車機構の各回転要素について「駆動連結」という場合には、差動歯車機構における複数の回転要素が、互いに他の回転要素を介することなく連結されている状態を指すものとする。
本実施形態では、入力部材I、分配用差動歯車機構SP、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2は、それらの回転軸心としての第1軸X1上に配置されている。そして、第1回転電機MG1は、その回転軸心としての第2軸X2上に配置されている。更に、伝達機構Tの第3係合装置CL3は、その回転軸心としての第3軸X3上に配置されている。また、第1出力部材O1及び第1出力用差動歯車機構DF1は、それらの回転軸心としての第4軸X4上に配置されている。
図2に示すように、本実施形態では、第2駆動ユニットDU2は、第2回転電機MG2と、第2車輪W2に駆動連結される第2出力部材O2と、カウンタギヤ機構CGと、第2出力用差動歯車機構DF2と、を備えている。
本実施形態では、第2回転電機MG2は、第1軸X1~第4軸X4とは異なる第5軸X5上に配置されている。そして、カウンタギヤ機構CGは、第1軸X1~第5軸X5とは異なる第6軸X6上に配置されている。また、第2出力部材O2及び第2出力用差動歯車機構DF2は、第1軸X1~第6軸X6とは異なる第7軸X7上に配置されている。
本例では、上記の軸X1~X7は、互いに平行に配置されている。以下の説明では、上記の軸X1~X7に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。本実施形態では、軸方向Lにおいて、内燃機関EGに対して入力部材Iが配置される側を軸方向第1側L1とし、その反対側を軸方向第2側L2としている。また、上記の軸X1~X7のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合や、どの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
図1に示すように、本実施形態では、入力部材Iは、軸方向Lに沿って延在する入力軸1である。入力軸1は、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパ装置DPを介して、内燃機関EGの出力軸ESに駆動連結されている。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。本実施形態では、内燃機関EGは、第1車輪W1の駆動力源として機能する。
第1回転電機MG1は、第1車輪W1の駆動力源として機能する。第1回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第1回転電機MG1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置BT(図3参照)との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置BTと電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1は、蓄電装置BTに蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第1回転電機MG1は、内燃機関EGの駆動力、又は第1出力部材O1の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置BTを充電する。
第1回転電機MG1は、第1ステータST1と、第1ロータRT1と、を備えている。第1ステータST1は、非回転部材(例えば、第1回転電機MG1等を収容するケース)に固定されている。第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して径方向Rの内側に配置されている。
本実施形態では、第1ロータRT1には、軸方向Lに沿って延在するように形成された第1ロータ軸RS1を介して、第1ロータギヤRG1が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1ロータギヤRG1は、第2軸X2上に配置されている。図1に示す例では、第1ロータギヤRG1は、第1ロータRT1よりも軸方向第2側L2に配置されている。
分配用差動歯車機構SPは、第1回転要素E1と、第2回転要素E2と、第3回転要素E3と、を備えている。第1回転要素E1は、入力部材Iに駆動連結されている。第3回転要素E3は、第1ロータRT1に駆動連結されている。本実施形態では、第2回転要素E2及び第3回転要素E3のそれぞれは、第1出力部材O1に駆動連結されている。
本実施形態では、分配用差動歯車機構SPの回転要素の回転速度の順は、第1回転要素E1、第2回転要素E2、第3回転要素E3の順となっている。ここで、「回転速度の順」とは、各回転要素の回転状態における回転速度の順番のことである。各回転要素の回転速度は、差動歯車機構(ここでは、遊星歯車機構)の回転状態によって変化するが、各回転要素の回転速度の高低の並び順は、差動歯車機構の構造によって定まるものであるため一定となる。
また、本実施形態では、分配用差動歯車機構SPは、ピニオンギヤP1を支持するキャリヤC1と、ピニオンギヤP1に噛み合うサンギヤS1と、当該サンギヤS1に対して径方向Rの外側に配置されてピニオンギヤP1に噛み合うリングギヤR1と、を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構である。したがって、本実施形態では、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3は、それぞれ、サンギヤS1、キャリヤC1、及びリングギヤR1である。
伝達機構Tは、少なくとも分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2と第1出力部材O1との間の動力伝達を行うように構成されている。本実施形態では、伝達機構Tは、第3係合装置CL3の状態に応じて、第2回転要素E2としてのキャリヤC1と第1出力部材O1との間の動力伝達と、第3回転要素E3としてのリングギヤR1と第1出力部材O1との間の動力伝達と、を選択的に行う。
本実施形態では、伝達機構Tは、第1ギヤG1と、第2ギヤG2と、第3ギヤG3と、第4ギヤG4と、伝達出力ギヤ3と、を備えている。本実施形態では、第1ギヤG1及び第2ギヤG2は、第1軸X1上に配置されている。そして、第3ギヤG3、第4ギヤG4、及び伝達出力ギヤ3は、第3軸X3上に配置されている。
第1ギヤG1は、分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2(ここでは、キャリヤC1)と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1ギヤG1は、分配用差動歯車機構SPに対して軸方向第1側L1に配置されている。
第2ギヤG2は、分配用差動歯車機構SPの第3回転要素E3(ここでは、リングギヤR1)と一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第1軸X1を軸心とする筒状のギヤ形成部材2が設けられている。そして、ギヤ形成部材2の外周面に第2ギヤG2が形成され、ギヤ形成部材2の内周面にリングギヤR1が形成されている。また、本実施形態では、第2ギヤG2は、リングギヤR1に対して径方向Rの外側であって、径方向Rに沿う径方向視で分配用差動歯車機構SPと重複する位置に配置されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
また、本実施形態では、第2ギヤG2は、第1軸X1~第4軸X4とは別軸上に配置されたアイドラギヤIGを介して、第1ロータギヤRG1に駆動連結されている。つまり、本実施形態では、第2ギヤG2と第1ロータギヤRG1とが、アイドラギヤIGの周方向の互いに異なる位置において、アイドラギヤIGに噛み合っている。これにより、第2ギヤG2と第1ロータギヤRG1とは、アイドラギヤIGを介して互いに連動して回転するように連結されている。
第3ギヤG3と第4ギヤG4とは、互いに相対回転可能に支持されている。第3ギヤG3は、第1ギヤG1に噛み合っている。第4ギヤG4は、第2ギヤG2に噛み合っている。本実施形態では、第4ギヤG4は、第2ギヤG2の周方向におけるアイドラギヤIGとは異なる位置で、第2ギヤG2に噛み合っている。伝達出力ギヤ3は、第3ギヤG3及び第4ギヤG4に対して相対回転可能に支持されている。
第1ギヤG1の歯数と第2ギヤG2の歯数とは、互いに異なっている。つまり、第1ギヤG1の外径と第2ギヤG2の外径とが異なっている。そして、上述したように、第1ギヤG1と第2ギヤG2とが同軸上に配置されていると共に、第1ギヤG1に噛み合う第3ギヤG3と第2ギヤG2に噛み合う第4ギヤG4とが同軸上に配置されている。そのため、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも小さい場合には、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも大きい。一方、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも大きい場合には、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも小さい。したがって、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比と、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比とが異なっている。本実施形態では、第1ギヤG1の外径が第2ギヤG2の外径よりも小さく、第1ギヤG1の歯数は第2ギヤG2の歯数よりも少ない。そのため、本実施形態では、第3ギヤG3の外径が第4ギヤG4の外径よりも大きく、第3ギヤG3の歯数は第4ギヤG4の歯数よりも多い。したがって、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。
伝達機構Tの第3係合装置CL3は、分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2と第1出力部材O1との間の動力伝達を断接する係合装置である。本実施形態では、第3係合装置CL3は、第3ギヤG3及び第4ギヤG4のいずれかを、伝達出力ギヤ3に選択的に連結するように構成されている。
上述したように、本実施形態では、第1ギヤG1に対する第3ギヤG3の歯数比は、第2ギヤG2に対する第4ギヤG4の歯数比よりも大きい。そのため、第3係合装置CL3が第3ギヤG3を伝達出力ギヤ3に連結させた場合には、比較的変速比が大きい第1変速段(低速段)が形成される。一方、第3係合装置CL3が第4ギヤG4を伝達出力ギヤ3に連結させた場合には、比較的変速比が小さい第2変速段(高速段)が形成される。
また、本実施形態では、第3係合装置CL3は、いずれの変速段も形成しないニュートラル状態に切り替え可能に構成されている。第3係合装置CL3がニュートラル状態の場合、伝達機構Tが分配用差動歯車機構SPから伝達された回転を第1出力部材O1に伝達しない状態、つまり、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のいずれの駆動力も第1車輪W1に伝達されない状態となる。
なお、第3係合装置CL3がいずれかの変速段を形成した状態が、第3係合装置CL3の係合状態に相当する。一方、第3係合装置CL3のニュートラル状態が、第3係合装置CL3の解放状態に相当する。本例では、第3係合装置CL3は、ソレノイド、電動機、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。
このように、本実施形態では、伝達機構Tは、互いに同軸上に配置された第1ギヤG1及び第2ギヤG2と、当該第1ギヤG1及び第2ギヤG2にそれぞれ噛み合い、互いに同軸上に配置された第3ギヤG3及び第4ギヤG4と、を備えた平行軸歯車式の変速機として構成されている。
第1出力用差動歯車機構DF1は、第1出力部材O1の回転を一対の第1車輪W1に分配するように構成されている。本実施形態では、第1出力部材O1は、伝達出力ギヤ3に噛み合う第1差動入力ギヤ4である。
本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第1出力用差動歯車機構DF1は、中空の第1差動ケースと、当該第1差動ケースと一体的に回転するように支持された第1ピニオンシャフトと、当該第1ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第1ピニオンギヤと、当該一対の第1ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第1サイドギヤと、を備えている。第1差動ケースには、第1ピニオンシャフト、一対の第1ピニオンギヤ、及び一対の第1サイドギヤが収容されている。
本実施形態では、第1差動ケースには、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4が、当該第1差動ケースから径方向Rの外側に突出するように連結されている。そして、一対の第1サイドギヤのそれぞれには、第1車輪W1に駆動連結された第1ドライブシャフトDS1が一体的に回転可能に連結されている。こうして、本実施形態では、第1出力用差動歯車機構DF1は、一対の第1ドライブシャフトDS1を介して、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4の回転を一対の第1車輪W1に分配する。
第1係合装置CL1は、入力部材Iと分配用差動歯車機構SPの第1回転要素E1との間の動力伝達を断接する係合装置である。本実施形態では、第1係合装置CL1は、入力部材IとサンギヤS1との間の動力伝達を断接するように構成されている。図1に示す例では、第1係合装置CL1は、分配用差動歯車機構SPに対して軸方向第2側L2に配置されている。
第1係合装置CL1は、摩擦係合装置である。そのため、第1係合装置CL1は、互いに選択的に係合する一対の係合要素を備え、当該一対の係合要素の係合圧に応じて、係合の状態(係合状態/解放状態)が制御されるように構成されている。つまり、第1係合装置CL1は、係合状態として直結係合状態とスリップ係合状態とを含む係合装置である。なお、「直結係合状態」とは、一対の係合要素の間に差回転がない係合状態である。また、「スリップ係合状態」とは、一対の係合要素の間に差回転がある係合状態である。
第2係合装置CL2は、分配用差動歯車機構SPにおける第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する係合装置である。本実施形態では、第2係合装置CL2は、第2回転要素E2としてのキャリヤC1と、第3回転要素E3としてのリングギヤR1との間の動力伝達を断接するように構成されている。図1に示す例では、第2係合装置CL2は、第1係合装置CL1と分配用差動歯車機構SPとの軸方向Lの間に配置されている。本例では、第2係合装置CL2は、ソレノイド、電動機、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。
図2に示すように、第2回転電機MG2は、第2車輪W2の駆動力源として機能する。第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第2回転電機MG2は、上記の蓄電装置BT(図3参照)との間で電力の授受を行うように、当該蓄電装置BTと電気的に接続されている。そして、第2回転電機MG2は、蓄電装置BTに蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第2回転電機MG2は、回生中には、第2出力部材O2の側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置BTを充電する。
第2回転電機MG2は、第2ステータST2と、第2ロータRT2と、を備えている。第2ステータST2は、非回転部材(例えば、第2回転電機MG2等を収容するケース)に固定されている。第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して回転自在に支持されている。本実施形態では、第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して径方向Rの内側に配置されている。
本実施形態では、第2ロータRT2には、軸方向Lに沿って延在するように形成された第2ロータ軸RS2を介して、第2ロータギヤRG2が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、第2ロータギヤRG2は、第5軸X5上に配置されている。図2に示す例では、第2ロータギヤRG2は、第2ロータRT2よりも軸方向第1側L1に配置されている。
カウンタギヤ機構CGは、カウンタ入力ギヤ61と、カウンタ出力ギヤ62と、これらのギヤ61,62が一体的に回転するように連結するカウンタ軸63と、を備えている。
カウンタ入力ギヤ61は、カウンタギヤ機構CGの入力要素である。本実施形態では、カウンタ入力ギヤ61は、第2ロータギヤRG2に噛み合っている。カウンタ出力ギヤ62は、カウンタギヤ機構CGの出力要素である。図2に示す例では、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも軸方向第2側L2に配置されている。また、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも小径に形成されている。
第2出力用差動歯車機構DF2は、第2出力部材O2の回転を一対の第2車輪W2に分配するように構成されている。本実施形態では、第2出力部材O2は、カウンタギヤ機構CGのカウンタ出力ギヤ62に噛み合う第2差動入力ギヤ7である。
本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、傘歯車型の差動歯車機構である。具体的には、第2出力用差動歯車機構DF2は、中空の第2差動ケースと、当該第2差動ケースと一体的に回転するように支持された第2ピニオンシャフトと、当該第2ピニオンシャフトに対して回転可能に支持された一対の第2ピニオンギヤと、当該一対の第2ピニオンギヤに噛み合って分配出力要素として機能する一対の第2サイドギヤと、を備えている。第2差動ケースには、第2ピニオンシャフト、一対の第2ピニオンギヤ、及び一対の第2サイドギヤが収容されている。
本実施形態では、第2差動ケースには、第2出力部材O2としての第2差動入力ギヤ7が、当該第2差動ケースから径方向Rの外側に突出するように連結されている。そして、一対の第2サイドギヤのそれぞれには、第2車輪W2に駆動連結された第2ドライブシャフトDS2が一体的に回転可能に連結されている。こうして、本実施形態では、第2出力用差動歯車機構DF2は、一対の第2ドライブシャフトDS2を介して、第2出力部材O2としての第2差動入力ギヤ7の回転を一対の第2車輪W2に分配する。
図3に示すように、車両用駆動装置100は、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2を制御する制御装置10を備えている。本実施形態では、制御装置10は、主制御部11と、内燃機関EGを制御する内燃機関制御部12と、第1回転電機MG1を制御する第1回転電機制御部13と、第2回転電機MG2を制御する第2回転電機制御部14と、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3の係合の状態を制御する係合制御部15と、を備えている。
主制御部11は、内燃機関制御部12、第1回転電機制御部13、第2回転電機制御部14、及び係合制御部15のそれぞれに対して、各制御部が担当する装置を制御する指令を出力する。内燃機関制御部12は、内燃機関EGが、主制御部11から指令された指令トルクを出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように内燃機関EGを制御する。第1回転電機制御部13は、第1回転電機MG1が、主制御部11から指令された指令トルクを出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように第1回転電機MG1を制御する。第2回転電機制御部14は、第2回転電機MG2が、主制御部11から指令された指令トルクを出力するように、或いは、主制御部11から指令された指令回転速度となるように第2回転電機MG2を制御する。係合制御部15は、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3のそれぞれが、主制御部11から指令された係合の状態となるように、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3を動作させるためのアクチュエータ(図示を省略)を制御する。
また、主制御部11は、車両用駆動装置100が搭載される車両の各部の情報を取得するために、当該車両の各部に設けられたセンサからの情報を取得可能に構成されている。本実施形態では、主制御部11は、SOCセンサSe1、車速センサSe2、アクセル操作量センサSe3、ブレーキ操作量センサSe4、及びシフト位置センサSe5からの情報を取得可能に構成されている。
SOCセンサSe1は、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2と電気的に接続された蓄電装置BTの状態を検出するためのセンサである。SOCセンサSe1は、例えば、電圧センサや電流センサ等により構成されている。主制御部11は、SOCセンサSe1から出力される電圧値や電流値等の情報に基づいて、蓄電装置BTの充電量(SOC:State of Charge)を算出する。
車速センサSe2は、車両用駆動装置100が搭載される車両の走行速度(車速)を検出するためのセンサである。本実施形態では、車速センサSe2は、第1出力部材O1の回転速度を検出するためのセンサである。主制御部11は、車速センサSe2の検出信号に基づいて、第1出力部材O1の回転速度(角速度)を算出する。第1出力部材O1の回転速度は車速に比例するため、主制御部11は、車速センサSe2の検出信号に基づいて車速を算出することができる。
アクセル操作量センサSe3は、車両用駆動装置100が搭載される車両に設けられたアクセルペダルの運転者による操作量(アクセル開度)を検出するためのセンサである。主制御部11は、アクセル操作量センサSe3の検出信号に基づいて、アクセル開度を算出する。
ブレーキ操作量センサSe4は、車両用駆動装置100が搭載される車両に設けられたブレーキペダルの運転者による操作量を検出するためのセンサである。主制御部11は、ブレーキ操作量センサSe4の検出信号に基づいて、運転者によるブレーキペダルの操作量を算出する。
シフト位置センサSe5は、車両用駆動装置100が搭載される車両の運転者により操作されるシフトレバーの選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。主制御部11は、シフト位置センサSe5の検出信号に基づいてシフト位置を算出する。シフトレバーは、パーキングレンジ(Pレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、前進走行レンジ(Dレンジ)等を選択可能に構成されている。
主制御部11は、上記のセンサSe1~Se5からの情報に基づいて、後述する動作モードの選択を行う。主制御部11は、係合制御部15を介して、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3のそれぞれを選択した動作モードに応じた係合の状態に制御することにより、車両用駆動装置100の動作モードを、当該選択した動作モードへ移行させる。更に、主制御部11は、内燃機関制御部12、第1回転電機制御部13、及び第2回転電機制御部14を介して、内燃機関EG、第1回転電機MG1、及び第2回転電機MG2の動作状態を協調制御することにより、選択した動作モードに応じた適切な車両の走行を可能とする。
図4に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、動作モードとして、eTCモードと、第1EVモードと、第2EVモードと、第1HVモードと、第2HVモードと、充電モードと、を備えている。
図4に、本実施形態の各動作モードにおける、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3の状態を示す。なお、図4の第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の欄において、「〇」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、「×」は対象の係合装置が解放状態であることを示している。また、図4の第3係合装置CL3の欄において、「Lo」は第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成している状態であることを示し、「Hi」は第3係合装置CL3が第2変速段(高速段)を形成している状態であることを示し、「N」は第3係合装置CL3がニュートラル状態であることを示している。
eTCモードは、分配用差動歯車機構SPにより、第1回転電機MG1のトルクを反力として内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力部材O1に伝達することで車両を走行させるモードである。eTCモードは、内燃機関EGのトルクを増幅して第1出力部材O1に伝達することができるため、所謂、電気式トルクコンバータモードと称される。
図4に示すように、eTCモードでは、第1係合装置CL1が係合状態、第2係合装置CL2が解放状態、第3係合装置CL3が係合状態とされる。そして、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のトルクが第1出力部材O1に伝達される。本実施形態のeTCモードでは、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成する係合状態となるように制御される。本実施形態では、eTCモードが「第2モード」に相当する。
本実施形態のeTCモードでは、分配用差動歯車機構SPは、第1回転電機MG1のトルクと内燃機関EGのトルクとを合わせて、内燃機関EGのトルクよりも大きいトルクをキャリヤC1から出力する。そして、キャリヤC1の回転は、伝達機構Tにおいて第1変速段(低速段)に応じた変速比で変速されて第1出力部材O1に伝達される。そのため、eTCモードは、比較的大きなトルクを車輪Wに伝達する必要がある場合や、内燃機関EGの回転速度が低い場合等に選択されると好適である。
第1EVモード及び第2EVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、第1回転電機MG1のみのトルクにより車両を走行させるモードである。第1EVモード及び第2EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態、第2係合装置CL2が係合状態、第3係合装置CL3が係合状態とされる。そして、第1回転電機MG1の駆動力が第1出力部材O1に伝達される。本実施形態の第1EVモードでは、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成する係合状態となるように制御される。一方、本実施形態の第2EVモードでは、第3係合装置CL3が第2変速段(高速段)を形成する係合状態となるように制御される。本実施形態では、第1EVモードが「第1モード」に相当する。
本実施形態の第1EVモード及び第2EVモードでは、第1係合装置CL1が解放状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPから分離されて、内燃機関EGと第1出力部材O1との間での動力伝達が遮断された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。その結果、第1回転電機MG1の側から分配用差動歯車機構SPに入力される回転が、そのまま伝達機構Tに伝達される。そして、伝達機構Tに伝達された回転は、第3係合装置CL3の状態に応じて、第1EVモードでは第1変速段(低速段)の変速比、第2EVモードでは第2変速段(高速段)の変速比で変速されて、第1出力部材O1に伝達される。
第1HVモード及び第2HVモードは、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうち、少なくとも内燃機関EGのトルクにより車両を走行させるモードである。第1HVモード及び第2HVモードでは、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2、及び第3係合装置CL3の全てが係合状態とされる。そして、少なくとも内燃機関EGのトルクが第1出力部材O1に伝達される。本実施形態の第1HVモードでは、第3係合装置CL3が第1変速段(低速段)を形成した状態となるように制御される。一方、本実施形態の第2HVモードでは、第3係合装置CL3が第2変速段(高速段)を形成した状態となるように制御される。
本実施形態の第1HVモード及び第2HVモードでは、第1係合装置CL1が係合状態とされることにより、内燃機関EGが分配用差動歯車機構SPに連結された状態となる。そして、第2係合装置CL2が係合状態とされることにより、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となる。その結果、内燃機関EGの側及び第1回転電機MG1の側から分配用差動歯車機構SPに入力される回転が、そのまま伝達機構Tに伝達される。そして、伝達機構Tに伝達された回転は、第3係合装置CL3の状態に応じて、第1HVモードでは第1変速段(低速段)の変速比、第2HVモードでは第2変速段(高速段)の変速比で変速されて第1出力部材O1に伝達される。
充電モードは、内燃機関EGのトルクにより第1回転電機MG1に発電を行わせて、蓄電装置BTを充電するモードである。充電モードでは、第1係合装置CL1が係合状態となり、第2係合装置CL2が係合状態となり、第3係合装置CL3が解放状態(ここでは、ニュートラル状態)となるように制御される。そして、内燃機関EGがトルクを出力し、第1回転電機MG1が内燃機関EGのトルクによって回転する第1ロータRT1の回転方向とは反対方向のトルクを出力することにより発電するように制御される。なお、充電モードでは、車両を停車させていても良いし、第1回転電機MG1が発電した電力により第2回転電機MG2を力行させ、当該第2回転電機MG2のトルクを第2車輪W2に伝達することで車両を走行させても良い。このように充電モードとしつつ第2回転電機MG2のトルクによって車両を走行させるモードは、所謂、シリーズハイブリッドモードと称される。
制御装置10は、内燃機関EGが入力部材Iを回転駆動している状態である駆動状態で、第1モード(ここでは、第1EVモード)から第2モード(ここでは、eTCモード)に移行する場合に、モード移行制御を実行可能である。モード移行制御は、トルク調整制御と、係合圧上昇制御と、直結係合制御と、を含む。
トルク調整制御では、制御装置10(ここでは、係合制御部15)は、第2係合装置CL2を係合状態から解放状態に変化させる。その結果、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が相対回転可能な状態となる。その後、制御装置10(ここでは、第1回転電機制御部13)は、第3回転要素E3の回転速度である第3回転速度N3を、第2回転要素E2の回転速度である第2回転速度N2に対して低くするように、第1回転電機MG1のトルクを制御する。
係合圧上昇制御では、制御装置10(ここでは、係合制御部15)は、上記のトルク調整制御の実行期間中に、解放状態であった第1係合装置CL1の係合圧を上昇させる。その結果、摩擦係合装置である第1係合装置CL1が、解放状態からスリップ係合状態に変化する。これにより、駆動状態である内燃機関EGのトルクが、スリップ係合状態の第1係合装置CL1を介して、分配用差動歯車機構SPの第1回転要素E1(ここでは、サンギヤS1)へ伝達される。
制御装置10(ここでは、第1回転電機制御部13)は、上記のトルク調整制御及び係合圧上昇制御により、第1回転要素E1の回転速度である第1回転速度N1と、入力部材Iの回転速度である入力回転速度Niとの差が、規定の同期差回転範囲Rn内となるように、第1回転電機MG1及び第1係合装置CL1を制御する。そして、直結係合制御では、制御装置10(ここでは、係合制御部15)は、第1回転速度N1と入力回転速度Niとの差が同期差回転範囲Rn内となった状態で、第1係合装置CL1の一対の係合要素が差回転なく係合するように、第1係合装置CL1を直結係合状態とする。なお、同期差回転範囲Rnは、例えば、第1係合装置CL1を適切に直結係合状態とすることができるように設定すると好適である。
車両用駆動装置100は、
内燃機関EGに駆動連結される入力部材Iと、
第1車輪W1に駆動連結される第1出力部材O1と、
第1ロータRT1を備えた第1回転電機MG1と、
第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3を備え、第1回転要素E1が入力部材Iに駆動連結され、第3回転要素E3が第1ロータRT1に駆動連結された分配用差動歯車機構SPと、
入力部材Iと第1回転要素E1との間の動力伝達を断接する第1係合装置CL1と、
第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第2係合装置CL2と、
少なくとも第2回転要素E2と第1出力部材O1との間の動力伝達を行う伝達機構Tと、
内燃機関EG、第1回転電機MG1、第1係合装置CL1、及び第2係合装置CL2を制御する制御装置10と、を備えた車両用駆動装置100であって、
第1係合装置CL1は、摩擦係合装置であり、
動作モードとして、第1モード(ここでは、第1EVモード)と、第2モード(ここでは、eTCモード)と、を備え、
第1モードでは、第1係合装置CL1が解放状態、第2係合装置CL2が係合状態とされ、第1回転電機MG1のトルクが第1出力部材O1に伝達され、
第2モードでは、第1係合装置CL1が係合状態、第2係合装置CL2が解放状態とされ、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のトルクが第1出力部材O1に伝達され、
制御装置10は、内燃機関EGが入力部材Iを回転駆動している状態である駆動状態で、第1モードから第2モードに移行する場合に、モード移行制御を実行し、
モード移行制御は、
第2係合装置CL2を係合状態から解放状態に変化させた後に、第3回転要素E3の回転速度である第3回転速度N3を第2回転要素E2の回転速度である第2回転速度N2に対して低くするように第1回転電機MG1のトルクを制御するトルク調整制御と、
トルク調整制御の実行期間中に、解放状態であった第1係合装置CL1の係合圧を上昇させる係合圧上昇制御と、
トルク調整制御及び係合圧上昇制御により第1回転要素E1の回転速度である第1回転速度N1と入力部材Iの回転速度である入力回転速度Niとの差が規定の同期差回転範囲Rn内となった状態で、第1係合装置CL1の一対の係合要素が差回転なく係合するように、第1係合装置CL1を直結係合状態とする直結係合制御と、を含む。
この構成によれば、第1モードから第2モードに移行する場合に、係合圧上昇制御により、第1係合装置CL1を介して第1回転要素E1に正トルクを伝達することができる。そのため、トルク調整制御において分配用差動歯車機構SPの各回転要素E1,E2,E3の回転速度の変化に起因して第1出力部材O1に伝達される負のイナーシャトルクを、上記の正トルクにより低減又は打ち消すことができる。したがって、分配用差動歯車機構SPの各回転要素E1,E2,E3の回転速度の変化を伴う動作モードの移行を行う場合に、車両の運転者が感じる減速感を少なく抑えることができる。
本実施形態では、係合圧上昇制御が実行される期間と、トルク調整制御が実行される期間とが対応している。そして、係合圧上昇制御によって第1出力部材O1に伝達されるトルクは、トルク調整制御によって第1出力部材O1に伝達されるトルク以上である。これは、例えば、第1回転電機MG1の回転速度のフィードバック制御、及び第1係合装置CL1の係合圧のフィードバック制御を、第1回転要素E1(ここでは、サンギヤS1)及び第3回転要素E3(ここでは、リングギヤR1)の回転変化の目標に沿うように行うことにより実現可能である。ここで、2つの期間が「対応する」とは、2つの期間が一致することに加えて、2つの期間の開始点及び終了点の少なくとも一方が規定の範囲内でずれていることも含んでいることを指す。
この構成によれば、第1モードから第2モードに移行する場合に、トルク調整制御によって第1出力部材O1に伝達されるトルク以上のトルクを、係合圧上昇制御によって第1出力部材O1に伝達することができる。これにより、分配用差動歯車機構SPの各回転要素E1,E2,E3の回転速度の変化を伴う動作モードの移行を行う場合に、車両の運転者に減速感を感じさせなくすることができ、又は、車両の運転者に加速感を感じさせることができる。
また、本実施形態では、制御装置10(ここでは、内燃機関制御部12)は、モード移行制御の実行中、内燃機関EGの回転速度を、第2モードに移行後における内燃機関EGの目標回転速度に維持する内燃機関回転維持制御を実行する。
この構成によれば、第2モードに移行した直後に、内燃機関EGの回転速度を目標回転速度に近い状態とすることができる。これにより、第2モードに移行した直後から必要なトルクを第1出力部材O1に伝達し易い。
また、本実施形態では、係合圧上昇制御では、制御装置10(ここでは、係合制御部15)は、車両のアクセル開度に応じた車両要求トルクが高くなるに従って、第1係合装置CL1の係合圧の目標値が高くなるように第1係合装置CL1を制御する。
この構成によれば、モード移行制御の実行中であっても、車両の運転者の要求に応じたトルクを第1車輪W1に伝達することができる。
また、本実施形態では、制御装置10は、モード移行制御を実行する場合において、内燃機関EGが停止状態である場合には、モード移行制御を実行する前に内燃機関始動制御を実行する。
内燃機関始動制御では、制御装置10(ここでは、係合制御部15)は、第2係合装置CL2を係合状態に維持しつつ、第3係合装置CL3を係合状態から解放状態に変化させる。その後、制御装置10(ここでは、第1回転電機制御部13及び係合制御部15)は、第1回転要素E1、第2回転要素E2、及び第3回転要素E3の回転速度を上昇させるように第1ロータRT1の回転速度を制御すると共に、第1係合装置CL1を解放状態から係合状態に変化させ、第1回転電機MG1から内燃機関EGに伝達されるトルクにより内燃機関EGを始動させる。
この構成によれば、第1モードで内燃機関EGを停止状態としていた場合であっても、モード移行制御を実行する前に、内燃機関始動制御により内燃機関EGを始動させることができる。これにより、モード移行制御において、第1モードから第2モードに適切に移行することができる。
以下では、車両用駆動装置100の動作モードを第1モードから第2モードに移行する場合における制御装置10の制御処理について、図5を参照して説明する。図5は、車両用駆動装置100の動作モードを第1モード(ここでは、第1EVモード)から第2モード(ここでは、eTCモード)に移行する場合における制御装置10の制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、本例では、制御装置10の制御処理を開始する時点で、第1係合装置CL1が解放状態であり、第2係合装置CL2が係合状態であり、第3係合装置CL3が係合状態であるものとする。
図5に示すように、まず、制御装置10は、内燃機関EGが停止状態か否かを判断する(ステップ#1)。制御装置10は、内燃機関EGが停止状態であると判断した場合(ステップ#1:Yes)、上記の内燃機関始動制御を実行する(ステップ#2)。一方、制御装置10は、内燃機関EGが駆動状態であると判断した場合(ステップ#1:No)、第2係合装置CL2を係合状態から解放状態に変化させる(ステップ#3)。
その後、制御装置10は、第3回転要素E3の回転速度である第3回転速度N3を、第2回転要素E2の回転速度である第2回転速度N2に対して低くするように、第1回転電機MG1のトルクを制御する(ステップ#4)。
また、上記のステップ#4の処理と並行して、制御装置10は、解放状態であった第1係合装置CL1の係合圧を上昇させる(ステップ#5)。本実施形態では、制御装置10は、第1係合装置CL1をスリップ係合状態に維持するように制御する。
そして、制御装置10は、第1回転要素E1の回転速度である第1回転速度N1と、入力部材Iの回転速度である入力回転速度Niとの差が、同期差回転範囲Rn内であるか否かを判断する(ステップ#6)。
制御装置10は、第1回転速度N1と入力回転速度Niとの差が同期差回転範囲Rn内であると判断した場合(ステップ#6:Yes)、第1係合装置CL1を直結係合状態に変化させ(ステップ#7)、制御処理を終了する。一方、制御装置10は、第1回転速度N1と入力回転速度Niとの差が同期差回転範囲Rn内ではないと判断している間(ステップ#6:No)、上記のステップ#4,#5の処理を継続して実行する。
なお、上記のステップ#3~#7が「モード移行制御」に相当する。また、上記のステップ#3,#4が「トルク調整制御」に相当し、上記のステップ#5が「係合圧上昇制御」に相当し、上記のステップ#6,#7が「直結係合制御」に相当する。
図6は、第1モードから第2モードに移行する場合における制御装置10の制御処理の一例を示すタイムチャートである。なお、図6の「回転速度」のチャートにおいて、「N1」は第1回転要素E1としてのサンギヤS1の回転速度である第1回転速度を表し、「N2」は第2回転要素E2としてのキャリヤC1の回転速度である第2回転速度を表し、「N3」は第3回転要素E3としてのリングギヤR1の回転速度である第3回転速度を表している。そして、「Ni」は、入力部材Iの回転速度である入力回転速度を表している。また、「S」は、第3係合装置CL3を係合状態とした場合に第1出力部材O1の回転速度に応じて定まるキャリヤC1の回転速度(同期線)を表している。
図6に示すように、本例では、制御装置10の制御処理を開始する時点で、車両用駆動装置100の動作モードが第1モードとしての第1EVモードとなっている。この状態で、制御装置10は、まず、第1回転電機MG1のトルクを時間t1から次第に減少させ、時間t2に規定の第1目標トルクT1とする。ここでは、第1目標トルクT1は、例えばオイルポンプ等の補器を駆動するために必要な最小限の値である。
次に、制御装置10は、時間t2から時間t3にかけて、第3係合装置CL3を係合状態(ここでは、第1変速段(低速段)が形成された状態)から解放状態(ここでは、ニュートラル状態)に変化させる。
そして、制御装置10は、入力部材Iを介して内燃機関EGに駆動連結された第1回転要素E1としてのサンギヤS1の回転速度である第1回転速度N1が、時間t3から上昇して時間t4に目標入力回転速度Nitとなるように、第1回転電機MG1の回転速度制御を実行する。このとき、第2係合装置CL2が係合状態であるため、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となっている。その結果、第1回転速度N1と第2回転速度N2と第3回転速度N3とが、一体的に上昇し、時間t4に目標入力回転速度Nitとなる。なお、目標入力回転速度Nitは、後述する時間t6における入力部材Iの目標回転速度である。本例では、目標入力回転速度Nitは、内燃機関EGのアイドル回転速度である。
続いて、制御装置10は、時間t5において、第1係合装置CL1をスリップ係合状態とする指令を行う。その結果、第1係合装置CL1の係合圧が上昇し始め、第1係合装置CL1がスリップ係合状態となる。このスリップ係合状態の第1係合装置CL1を介して第1回転電機MG1から入力部材Iに伝達されるトルクにより、入力回転速度Niが時間t5から上昇して時間t6に目標入力回転速度Nitとなる。そして、制御装置10は、内燃機関EGを始動させた後、時間t6から時間t7にかけて、第1係合装置CL1をスリップ係合状態から解放状態に変化させる。なお、本例では、入力回転速度Niは、時間t6以降、目標入力回転速度Nitに維持される。
そして、制御装置10は、第1出力部材O1に駆動連結された第2回転要素E2としてのキャリヤC1の回転速度である第2回転速度N2が、時間t7から下降して時間t8に、動力伝達経路におけるキャリヤC1の位置での第1出力部材O1の換算回転速度(図6における同期線S参照)となるように、第1回転電機MG1の回転速度制御を実行する。このとき、第2係合装置CL2が係合状態であるため、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が互いに一体的に回転する状態となっている。その結果、第1回転速度N1と第2回転速度N2と第3回転速度N3とが一体的に下降する。
続いて、制御装置10は、時間t8から時間t9にかけて、第3係合装置CL3を解放状態(ここでは、ニュートラル状態)から係合状態(ここでは、第1変速段(低速段)が形成された状態)に変化させる。
本例では、上記の時間t1から時間t9までにおける制御装置10の制御処理が、上記の「内燃機関始動制御」に相当する。この内燃機関始動制御では、第3係合装置CL3を解放状態とするため、第1回転電機MG1及び内燃機関EG等の駆動力の変動が第1出力部材O1に伝達されることはない。
その後、制御装置10は、制御装置10は、時間t9から時間t10にかけて、第2係合装置CL2を係合状態から解放状態に変化させる。第2係合装置CL2が解放状態となることに伴い、分配用差動歯車機構SPの3つの回転要素E1~E3が相対回転可能な状態となる。
そして、制御装置10は、時間t10の時点で上記の第1目標トルクT1である第1回転電機MG1のトルクを、時間t10から次第に減少させ、時間t11に規定の第2目標トルクT2とする。ここでは、第2目標トルクT2は、第3回転速度N3を第2回転速度N2に対して次第に減少させるためのイナーシャトルクに相当する負のトルク値である。
続いて、制御装置10は、時間t11から時間t12にかけて、第1回転電機MG1のトルクを第2目標トルクT2に維持するように、第1回転電機MG1を制御する。そして、第1回転電機MG1のトルクを、時間t12から次第に上昇させ、時間t13に第1目標トルクT1とする。
本例では、上記の時間t9から時間t13までの制御装置10による第2係合装置CL2及び第1回転電機MG1の制御が、上記の「トルク調整制御」に相当する。
上記のようなトルク調整制御と並行して、制御装置10は、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)を時間t10から次第に上昇させ、時間t11に規定の目標スリップ係合圧Pとする。目標スリップ係合圧Pは、第1係合装置CL1がスリップ係合状態となる値である。本例では、目標スリップ係合圧Pは、当該目標スリップ係合圧Pに応じて定まる第1係合装置CL1の伝達トルクが第3目標トルクとなるように設定される。ここで、第3目標トルクは、第1係合装置CL1を介して第1出力部材O1に伝達されるトルクが、第2目標トルクT2を出力する第1回転電機MG1から第1出力部材O1に伝達されるトルク以上となるように設定される。
続いて、制御装置10は、時間t11から時間t12にかけて、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)を目標スリップ係合圧Pに維持するように、第1係合装置CL1を制御する。そして、第1係合装置CL1の目標係合圧(係合圧指令)を、時間t12から次第に減少させ、時間t13にゼロとする。
本例では、上記の時間t10から時間t13までの制御装置10による第1係合装置CL1の制御が、上記の「係合圧上昇制御」に相当する。
上記のようなトルク調整制御及び係合圧上昇制御により、時間t11から時間t12にかけて、第1回転速度N1が次第に増加すると共に、第3回転速度N3が次第に減少する。そして、第1回転速度N1は、時間t12から増加率が低下しつつも増加を続け、時間t13よりも前に目標入力回転速度Nitに到達する。一方、第3回転速度N3は、時間t12から増加に転じる。
その後、制御装置10は、時間t13から時間t14にかけて、第1回転速度N1と入力回転速度Niとの差が規定の同期差回転範囲Rn内である状態で、第1係合装置CL1を直結係合状態とする指令を行う。こうして、車両用駆動装置100の動作モードが第2モードとしてのeTCモードに移行する。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、車両用駆動装置100が第1駆動ユニットDU1と第2駆動ユニットDU2とを備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、車両用駆動装置100が第1駆動ユニットDU1を備え、第2駆動ユニットDU2を備えていない構成としても良い。この場合、図7に示すように、第1駆動ユニットDU1が第2回転電機MG2を備えていても良い。図7に示す例では、第2回転電機MG2の第2ロータRT2と一体的に回転する第2ロータギヤRG2が、第1出力部材O1としての第1差動入力ギヤ4の周方向における伝達出力ギヤ3とは異なる位置で、第1差動入力ギヤ4に噛み合っている。また、図示は省略するが、第2ロータギヤRG2が伝達出力ギヤ3に噛み合う構成であっても良い。これらの構成では、第2回転電機MG2が、分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2と第1出力部材O1との間の動力伝達経路における第3係合装置CL3よりも第1出力部材O1の側で、第1出力部材O1に駆動連結されている。なお、車両用駆動装置100が第2回転電機MG2を備えていない構成としても良い。
(2)上記の実施形態では、第1係合装置CL1が係合状態であって第2係合装置CL2が解放状態で実現される車両用駆動装置100の動作モード(第2モード)が、上述した電気式トルクコンバータモード(eTCモード)である構成を例として説明したが、そのような構成に限定されない。例えば、分配用差動歯車機構SPが、第1係合装置CL1が係合状態であって第2係合装置CL2が解放状態で、いわゆるスプリットハイブリッドモードを実現するように構成されていても良い。ここで、スプリットハイブリッドモードとは、内燃機関EGのトルクを第1回転電機MG1の側と第1出力部材O1の側(伝達機構Tの側)とに分配し、第1回転電機MG1のトルクを反力として、内燃機関EGのトルクに対して減衰したトルクを第1出力部材O1の側に伝達するモードである。この場合、分配用差動歯車機構SPの各回転要素の回転速度の順は、第2回転要素E2、第1回転要素E1、第3回転要素E3の順とすると良い。例えば、分配用差動歯車機構SPをシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成する場合、サンギヤを第3回転要素E3として第1ロータRT1に駆動連結し、キャリヤを第1回転要素E1として入力部材Iに駆動連結し、リングギヤを第2回転要素E2として分配用差動歯車機構SPの出力要素とすることができる。このモードでは、第1回転電機MG1は正回転しつつ負トルクを出力して発電し、分配用差動歯車機構SPは、当該第1回転電機MG1のトルクを反力として、内燃機関EGのトルクを第2回転要素E2から出力する。そして、当該第2回転要素E2の回転は、伝達機構Tを介して第1出力部材O1に伝達される。
(3)上記の実施形態では、伝達機構Tが第1変速段(低速段)及び第2変速段(高速段)の2つの変速段のいずれかを形成可能な変速機である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、伝達機構Tが3つ以上の変速段のいずれかを形成可能な変速機であっても良い。或いは、伝達機構Tが分配用差動歯車機構SPの第2回転要素E2から伝達される回転を、一定の変速比で変速する固定変速比の変速機(減速機又は増速機)であっても良い。
(4)上記の実施形態では、伝達機構Tが平行軸歯車式の変速機である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、伝達機構Tが遊星歯車式の変速機として構成されていても良い。
(5)上記の実施形態では、第2係合装置CL2及び第3係合装置CL3の双方が噛み合い式係合装置である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第2係合装置CL2及び第3係合装置CL3の少なくとも一方が摩擦係合装置であっても良い。
(6)上記のタイムチャートでは、第1モードとしての第1EVモードにて、内燃機関EGが停止状態である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1モードで内燃機関が駆動状態であっても良い。この場合、モード移行制御を実行する前に、内燃機関始動制御は実行されない。
(7)上記のタイムチャートでは、第1回転電機MG1のトルクを減少させるための目標トルクとしての第2目標トルクT2が負の値である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2目標トルクT2が正の値であっても良い。第2目標トルクT2が正の値であっても、第1係合装置CL1を介して内燃機関EGから第1回転要素E1に伝達されるトルクよりも相対的に低ければ、第3回転要素E3の回転速度である第3回転速度N3を、第2回転要素E2の回転速度である第2回転速度N2に対して低くすることができる。
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
本開示に係る技術は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、3つの回転要素を備えた差動歯車機構と、回転電機と、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
100:車両用駆動装置、10:制御装置、I:入力部材、O1:第1出力部材(出力部材)、MG1:第1回転電機(回転電機)、RT1:第1ロータ(ロータ)、SP:分配用差動歯車機構(差動歯車機構)、E1:第1回転要素、E2:第2回転要素、E3:第3回転要素、CL1:第1係合装置、CL2:第2係合装置、T:伝達機構、EG:内燃機関、W1:第1車輪(車輪)

Claims (5)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と、
    車輪に駆動連結される出力部材と、
    ロータを備えた回転電機と、
    第1回転要素、第2回転要素、及び第3回転要素を備え、前記第1回転要素が前記入力部材に駆動連結され、前記第3回転要素が前記ロータに駆動連結された差動歯車機構と、
    前記入力部材と前記第1回転要素との間の動力伝達を断接する第1係合装置と、
    前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の3つの回転要素のうちから選択される2つの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、
    少なくとも前記第2回転要素と前記出力部材との間の動力伝達を行う伝達機構と、
    前記内燃機関、前記回転電機、前記第1係合装置、及び前記第2係合装置を制御する制御装置と、を備えた車両用駆動装置であって、
    前記第1係合装置は、摩擦係合装置であり、
    動作モードとして、第1モードと、第2モードと、を備え、
    前記第1モードでは、前記第1係合装置が解放状態、前記第2係合装置が係合状態とされ、前記回転電機のトルクが前記出力部材に伝達され、
    前記第2モードでは、前記第1係合装置が係合状態、前記第2係合装置が解放状態とされ、前記内燃機関及び前記回転電機のトルクが前記出力部材に伝達され、
    前記制御装置は、前記内燃機関が前記入力部材を回転駆動している状態である駆動状態で、前記第1モードから前記第2モードに移行する場合に、モード移行制御を実行し、
    前記モード移行制御は、
    前記第2係合装置を係合状態から解放状態に変化させた後に、前記第3回転要素の回転速度を前記第2回転要素の回転速度に対して低くするように前記回転電機のトルクを制御するトルク調整制御と、
    前記トルク調整制御の実行期間中に、解放状態であった前記第1係合装置の係合圧を上昇させる係合圧上昇制御と、
    前記トルク調整制御及び前記係合圧上昇制御により前記第1回転要素の回転速度と前記入力部材の回転速度との差が規定の同期差回転範囲内となった状態で、前記第1係合装置の一対の係合要素が差回転なく係合するように、前記第1係合装置を直結係合状態とする直結係合制御と、を含む、車両用駆動装置。
  2. 前記係合圧上昇制御が実行される期間と、前記トルク調整制御が実行される期間とが対応しており、
    前記係合圧上昇制御によって前記出力部材に伝達されるトルクが、前記トルク調整制御によって前記出力部材に伝達されるトルク以上である、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記制御装置は、前記モード移行制御の実行中、前記内燃機関の回転速度を、前記第2モードに移行後における前記内燃機関の目標回転速度に維持する内燃機関回転維持制御を実行する、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記係合圧上昇制御では、前記制御装置は、車両のアクセル開度に応じた車両要求トルクが高くなるに従って、前記第1係合装置の係合圧の目標値が高くなるように前記第1係合装置を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記伝達機構は、前記第2回転要素と前記出力部材との間の動力伝達を断接する第3係合装置を備え、
    前記制御装置は、前記モード移行制御を実行する場合において、前記内燃機関が停止状態である場合には、前記モード移行制御を実行する前に内燃機関始動制御を実行し、
    前記内燃機関始動制御は、前記第2係合装置を係合状態に維持しつつ、前記第3係合装置を係合状態から解放状態に変化させた後に、前記第1回転要素、前記第2回転要素、及び前記第3回転要素の回転速度を上昇させるように前記ロータの回転速度を制御すると共に前記第1係合装置を解放状態から係合状態に変化させ、前記回転電機から前記内燃機関に伝達されるトルクにより前記内燃機関を始動させる制御である、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
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