JP2014051146A - ハイブリッド車両用駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機関を始動時するときの反力による駆動力の変動を抑制するとともに、回転機の出力トルクの増大を抑制することができるハイブリッド車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】機関と、第一回転機と、機関および第一回転機が接続された差動部と、差動部と駆動輪とを接続する変速部と、変速部の出力要素に接続された第二回転機と、を備えたハイブリッド車両において、機関を始動するときに(S20)変速部をハイギヤ、あるいはオーバードライブとする(S50)。また、機関始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、機関を始動するときにハイギアとする。
【選択図】図1
【解決手段】機関と、第一回転機と、機関および第一回転機が接続された差動部と、差動部と駆動輪とを接続する変速部と、変速部の出力要素に接続された第二回転機と、を備えたハイブリッド車両において、機関を始動するときに(S20)変速部をハイギヤ、あるいはオーバードライブとする(S50)。また、機関始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、機関を始動するときにハイギアとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置に関する。
従来、機関と変速部とを備えたハイブリッド車両が公知である。例えば、特許文献1には、エンジンに駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、入力部材の駆動力を第一回転電機と出力部材に駆動連結される出力回転要素とに分配する動力分配装置と、を備えたハイブリッド駆動装置であって、出力回転要素の回転を、変更可能に備える複数の変速比のうちの一つで変速して出力部材に伝達する第一変速装置と、第二回転電機の回転を、変更可能に備える複数の変速比のうちの一つで変速して出力部材に伝達する第二変速装置と、を独立して動作可能に備えるハイブリッド駆動装置の技術が開示されている。
ハイブリッド車両において、機関を始動するときの反力による駆動力の変動を抑制するように、回転機にトルクを出力させることが考えられる。しかしながら、機関始動時における回転機の出力トルクの増分が大きくなることは好ましくない。
本発明の目的は、機関始動時における回転機の出力トルクの増大を抑制することができるハイブリッド車両用駆動装置を提供することである。
本発明のハイブリッド車両用駆動装置は、機関と、第一回転機と、前記機関および前記第一回転機が接続された差動部と、前記差動部と駆動輪とを接続する変速部と、前記変速部の出力要素に接続された第二回転機と、を備え、前記機関を始動するときに前記変速部をハイギヤとすることを特徴とする。
上記ハイブリッド車両用駆動装置において、前記機関を始動するときに前記変速部をオーバドライブとすることが好ましい。
上記ハイブリッド車両用駆動装置において、前記機関の始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、前記機関を始動するときに前記変速部をハイギヤとすることが好ましい。
本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置は、機関と、第一回転機と、機関および第一回転機が接続された差動部と、差動部と駆動輪とを接続する変速部と、変速部の出力要素に接続された第二回転機と、を備え、機関を始動するときに変速部をハイギヤとする。本発明に係るハイブリッド車両用駆動装置によれば、機関始動時における回転機の出力トルクの増大を抑制することができるという効果を奏する。
以下に、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、ハイブリッド車両用駆動装置に関する。図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置の動作を示すフローチャート、図2は、実施形態に係る車両のスケルトン図、図3は、実施形態に係る車両の入出力関係図、図4は、実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置の作動係合表を示す図、図5は、EVモードに係る共線図、図6は、HVローモードに係る共線図、図7は、HVハイモードに係る共線図、図8は、実施形態のモード選択に係るマップを示す図、図9は、実施形態の動作に係るタイムチャートである。
図1から図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、ハイブリッド車両用駆動装置に関する。図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置の動作を示すフローチャート、図2は、実施形態に係る車両のスケルトン図、図3は、実施形態に係る車両の入出力関係図、図4は、実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置の作動係合表を示す図、図5は、EVモードに係る共線図、図6は、HVローモードに係る共線図、図7は、HVハイモードに係る共線図、図8は、実施形態のモード選択に係るマップを示す図、図9は、実施形態の動作に係るタイムチャートである。
本実施形態に係る車両100は、図2に示すように、動力源としてエンジン1、第一回転機MG1および第二回転機MG2を有するハイブリッド(HV)車両である。車両100は、外部電源により充電可能なプラグインハイブリッド(PHV)車両であってもよい。図2および図3に示すように、車両100は、エンジン1、第一遊星歯車機構10、第二遊星歯車機構20、第一回転機MG1、第二回転機MG2、クラッチCL1、ブレーキBK1、HV_ECU50、MG_ECU60およびエンジン_ECU70を含んで構成されている。
また、本実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置1−1は、エンジン1、第一遊星歯車機構10、第二遊星歯車機構20、第一回転機MG1、第二回転機MG2、クラッチCL1およびブレーキBK1を含んで構成されている。ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、更に、各ECU50,60,70等の制御装置を含んで構成されてもよい。ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、FF(前置きエンジン前輪駆動)車両あるいはRR(後置きエンジン後輪駆動)車両等に適用可能である。ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、例えば、軸方向が車幅方向となるように車両100に搭載される。
本実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置1−1では、第一遊星歯車機構10を含んで差動部が構成されている。また、第二遊星歯車機構20、クラッチCL1およびブレーキBK1を含んで変速部40が構成されている。クラッチCL1およびブレーキBK1は、第二遊星歯車機構20を変速させる切替装置である。
機関であるエンジン1は、燃料の燃焼エネルギーを出力軸の回転運動に変換して出力する。エンジン1の出力軸は、入力軸2と接続されている。入力軸2は、動力伝達装置の入力軸である。動力伝達装置は、第一回転機MG1、第二回転機MG2、クラッチCL1、ブレーキBK1、差動装置30等を含んで構成されている。入力軸2は、エンジン1の出力軸と同軸上かつ出力軸の延長線上に配置されている。入力軸2は、第一遊星歯車機構10の第一キャリア14と接続されている。
本実施形態の第一遊星歯車機構10は、エンジン1および第一回転機MG1が接続された差動部である。第一遊星歯車機構10は、第二遊星歯車機構20よりもエンジン1側に配置された入力側差動機構である。第一遊星歯車機構10は、エンジン1の動力を第一回転機MG1側と出力側とに分配する動力分配機構としての機能を有している。第一遊星歯車機構10は、シングルピニオン式であり、第一サンギヤ11、第一ピニオンギヤ12、第一リングギヤ13および第一キャリア14を有する。
第一リングギヤ13は、第一サンギヤ11と同軸上であってかつ第一サンギヤ11の径方向外側に配置されている。第一ピニオンギヤ12は、第一サンギヤ11と第一リングギヤ13との間に配置されており、第一サンギヤ11および第一リングギヤ13とそれぞれ噛み合っている。第一ピニオンギヤ12は、第一キャリア14によって回転自在に支持されている。第一キャリア14は、入力軸2と連結されており、入力軸2と一体回転する。従って、第一ピニオンギヤ12は、入力軸2と共に入力軸2の中心軸線周りに回転(公転)可能であり、かつ第一キャリア14によって支持されて第一ピニオンギヤ12の中心軸線周りに回転(自転)可能である。
第一サンギヤ11には第一回転機MG1の回転軸33が接続されている。第一回転機MG1の回転軸33は、入力軸2と同軸上に配置されており、第一サンギヤ11と一体回転する。第一リングギヤ13は、第一遊星歯車機構10の出力要素であり、エンジン1から第一遊星歯車機構10に入力された回転を第二キャリア24に出力することができる。
本実施形態の第二遊星歯車機構20は、第一遊星歯車機構10と駆動輪32とを接続する変速部40の構成要素である。第二遊星歯車機構20は、第一遊星歯車機構10よりも駆動輪32側に配置された出力側差動機構である。第二遊星歯車機構20は、シングルピニオン式であり、第二サンギヤ21、第二ピニオンギヤ22、第二リングギヤ23および第二キャリア24を有する。第二遊星歯車機構20は、第一遊星歯車機構10と同軸上に配置され、第一遊星歯車機構10を挟んでエンジン1と互いに対向している。
第二リングギヤ23は、第二サンギヤ21と同軸上であってかつ第二サンギヤ21の径方向外側に配置されている。第二ピニオンギヤ22は、第二サンギヤ21と第二リングギヤ23との間に配置されており、第二サンギヤ21および第二リングギヤ23とそれぞれ噛み合っている。第二ピニオンギヤ22は、第二キャリア24によって回転自在に支持されている。第二キャリア24は、第一リングギヤ13と接続されており、第一リングギヤ13と一体回転する。第二ピニオンギヤ22は、第二キャリア24と共に入力軸2の中心軸線周りに回転(公転)可能であり、かつ第二キャリア24によって支持されて第二ピニオンギヤ22の中心軸線周りに回転(自転)可能である。
第二リングギヤ23には、カウンタドライブギヤ25が接続されている。カウンタドライブギヤ25は、第二リングギヤ23と一体回転する出力ギヤである。第二リングギヤ23は、第一遊星歯車機構10から入力された回転を駆動輪32に出力する出力要素である。
クラッチCL1は、第二サンギヤ21と第二キャリア24とを連結可能なクラッチ装置である。クラッチCL1は、例えば、摩擦係合式のクラッチとすることができるが、これに限らず、噛合い式のクラッチ等のクラッチ装置がクラッチCL1として用いられてもよい。クラッチCL1は、例えば、油圧によって制御されて係合あるいは開放する。完全係合状態のクラッチCL1は、第二サンギヤ21と第二キャリア24とを連結し、第二サンギヤ21と第二キャリア24とを一体回転させることができる。完全係合状態のクラッチCL1は、第二遊星歯車機構20の差動を規制する。一方、開放状態のクラッチCL1は、第二サンギヤ21と第二キャリア24とを切り離し、第二サンギヤ21と第二キャリア24との相対回転を許容する。つまり、開放状態のクラッチCL1は、第二遊星歯車機構20の差動を許容する。なお、クラッチCL1は、半係合状態に制御可能である。半係合状態のクラッチCL1は、第二遊星歯車機構20の差動を許容する。
ブレーキBK1は、第二サンギヤ21の回転を規制することができるブレーキ装置である。ブレーキBK1は、第二サンギヤ21に接続された係合要素と、車体側、例えば動力伝達装置のケースと接続された係合要素とを有する。ブレーキBK1は、クラッチCL1と同様の摩擦係合式のクラッチ装置とすることができるが、これに限らず、噛合い式のクラッチ等のクラッチ装置がブレーキBK1として用いられてもよい。ブレーキBK1は、例えば、油圧によって制御されて係合あるいは開放する。完全係合状態のブレーキBK1は、第二サンギヤ21と車体側とを連結し、第二サンギヤ21の回転を規制することができる。一方、開放状態のブレーキBK1は、第二サンギヤ21と車体側とを切り離し、第二サンギヤ21の回転を許容する。なお、ブレーキBK1は、半係合状態に制御可能である。半係合状態のブレーキBK1は、第二サンギヤ21の回転を許容する。
カウンタドライブギヤ25は、カウンタドリブンギヤ26と噛み合っている。カウンタドリブンギヤ26は、カウンタシャフト27を介してドライブピニオンギヤ28と接続されている。カウンタドリブンギヤ26とドライブピニオンギヤ28とは一体回転する。また、カウンタドリブンギヤ26には、リダクションギヤ35が噛み合っている。リダクションギヤ35は、第二回転機MG2の回転軸34に接続されている。つまり、第二回転機MG2の回転は、リダクションギヤ35を介してカウンタドリブンギヤ26に伝達される。リダクションギヤ35は、カウンタドリブンギヤ26よりも小径であり、第二回転機MG2の回転を減速してカウンタドリブンギヤ26に伝達する。
ドライブピニオンギヤ28は、差動装置30のデフリングギヤ29と噛み合っている。差動装置30は、左右の駆動軸31を介して駆動輪32と接続されている。第二リングギヤ23は、カウンタドライブギヤ25、カウンタドリブンギヤ26、ドライブピニオンギヤ28、差動装置30および駆動軸31を介して駆動輪32と接続されている。また、第二回転機MG2は、第二リングギヤ23と駆動輪32との動力伝達経路に対して接続されており、第二リングギヤ23および駆動輪32に対してそれぞれ動力を伝達可能である。
第一回転機MG1および第二回転機MG2は、それぞれモータ(電動機)としての機能と、発電機としての機能とを備えている。第一回転機MG1および第二回転機MG2は、インバータを介してバッテリと接続されている。第一回転機MG1および第二回転機MG2は、バッテリから供給される電力を機械的な動力に変換して出力することができると共に、入力される動力によって駆動されて機械的な動力を電力に変換することができる。回転機MG1,MG2によって発電された電力は、バッテリに蓄電可能である。第一回転機MG1および第二回転機MG2としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。
本実施形態の車両100では、エンジン1と同軸上に、エンジン1から近い側から順に、第一遊星歯車機構10、カウンタドライブギヤ25、第二遊星歯車機構20、クラッチCL1、ブレーキBK1および第一回転機MG1が配置されている。また、本実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1−1は、入力軸2と、第二回転機MG2の回転軸34とが異なる軸上に配置された複軸式とされている。
図3に示すように、車両100は、HV_ECU50、MG_ECU60およびエンジン_ECU70を有する。各ECU50,60,70は、コンピュータを有する電子制御ユニットである。HV_ECU50は、車両100全体を統合制御する機能を有している。MG_ECU60およびエンジン_ECU70は、HV_ECU50と電気的に接続されている。
MG_ECU60は、第一回転機MG1および第二回転機MG2を制御することができる。MG_ECU60は、例えば、第一回転機MG1に対して供給する電流値を調節し、第一回転機MG1の出力トルクを制御すること、および第二回転機MG2に対して供給する電流値を調節し、第二回転機MG2の出力トルクを制御することができる。
エンジン_ECU70は、エンジン1を制御することができる。エンジン_ECU70は、例えば、エンジン1の電子スロットル弁の開度を制御すること、点火信号を出力してエンジン1の点火制御を行うこと、エンジン1に対する燃料の噴射制御等を行うことができる。エンジン_ECU70は、電子スロットル弁の開度制御、噴射制御、点火制御等によりエンジン1の出力トルクを制御することができる。
HV_ECU50には、車速センサ、アクセル開度センサ、MG1回転数センサ、MG2回転数センサ、出力軸回転数センサ、バッテリセンサ等が接続されている。これらのセンサにより、HV_ECU50は、車速、アクセル開度、第一回転機MG1の回転数(以下、「MG1回転数」とも記載する。)、第二回転機MG2の回転数(以下、「MG2回転数」とも記載する。)、動力伝達装置の出力軸の回転数、バッテリ状態SOC等を取得することができる。
HV_ECU50は、取得する情報に基づいて、車両100に対する要求駆動力や要求パワー、要求トルク等を算出することができる。HV_ECU50は、算出した要求値に基づいて、第一回転機MG1の出力トルク(以下、「MG1トルク」とも記載する。)、第二回転機MG2の出力トルク(以下、「MG2トルク」とも記載する。)およびエンジン1の出力トルク(以下、「エンジントルク」とも記載する。)を決定する。HV_ECU50は、MG1トルクの指令値およびMG2トルクの指令値をMG_ECU60に対して出力する。また、HV_ECU50は、エンジントルクの指令値をエンジン_ECU70に対して出力する。
HV_ECU50は、後述する走行モード等に基づいて、クラッチCL1およびブレーキBK1をそれぞれ制御する。HV_ECU50は、クラッチCL1に対する供給油圧(PbCL1)の指令値およびブレーキBK1に対する供給油圧(PbBK1)の指令値をそれぞれ出力する。図示しない油圧制御装置は、各供給油圧PbCL1,PbBK1の指令値に応じてクラッチCL1およびブレーキBK1に対する供給油圧を制御する。
車両100では、ハイブリッド(HV)走行あるいはEV走行を選択的に実行可能である。HV走行とは、エンジン1を動力源として車両100を走行させる走行モードである。HV走行では、エンジン1に加えて、更に第二回転機MG2を動力源としてもよい。EV走行は、第二回転機MG2を動力源として走行する走行モードである。EV走行では、エンジン1を停止して走行することが可能である。
図4の係合表において、クラッチCL1の欄およびブレーキBK1の欄の丸印は、係合を示し、空欄は開放を示す。また、三角印は、クラッチCL1あるいはブレーキBK1のいずれかを係合し、他方を開放することを示す。単独モータEVモードは、例えば、クラッチCL1およびブレーキBK1を共に開放して実行される。図5に示す共線図において、符号S1,C1,R1は、それぞれ第一サンギヤ11、第一キャリア14、第一リングギヤ13を示し、符号S2,C2,R2は、それぞれ第二サンギヤ21、第二キャリア24、第二リングギヤ23を示す。
EVモードでは、クラッチCL1およびブレーキBK1が開放している。ブレーキBK1が開放していることで、第二サンギヤ21の回転が許容され、クラッチCL1が開放していることで、第二遊星歯車機構20は差動可能である。HV_ECU50は、MG_ECU60を介して第二回転機MG2に正トルクを出力させて車両100に前進方向の駆動力を発生させる。第二リングギヤ23は、駆動輪32の回転と連動して正回転する。ここで、正回転とは、車両100の前進時の第二リングギヤ23の回転方向とする。
第一リングギヤ13は、第二キャリア24に連れ回り正回転する。エンジン1が停止していることにより、第一キャリア14は回転を停止した状態となる。従って、第一サンギヤ11および第一回転機MG1の回転軸33は、負回転する。第二サンギヤ21の回転数は低回転となる。EVモードでは、第二遊星歯車機構20がニュートラル(中立)の状態であり、第二キャリア24と第二リングギヤ23との間の動力の伝達が遮断される。第二遊星歯車機構20は、クラッチCL1あるいはブレーキBK1の一方が係合していると、第一遊星歯車機構10と駆動輪32とを接続する接続状態となる。
EVモードでの走行時に、バッテリの充電状態がフルとなり、回生エネルギーが取れない場合が発生し得る。この場合、エンジンブレーキを併用することが考えられる。クラッチCL1あるいはブレーキBK1を係合することで、エンジン1を駆動輪32と接続し、エンジンブレーキを駆動輪32に作用させることができる。図4に三角印で示すように、EVモードでクラッチCL1あるいはブレーキBK1を係合すると、エンジン1を連れ回し状態とし、第一回転機MG1でエンジン回転数を上げてエンジンブレーキ状態とすることができる。
HV走行では、差動部としての第一遊星歯車機構10は差動状態を基本とし、変速部40の第二遊星歯車機構20は、ロー/ハイの切り替えがなされる。HV走行では、第一回転機MG1は、反力トルクを発生させることでエンジントルクに対する反力受けとして機能し、第一リングギヤ13からエンジントルクを出力させることができる。図6は、ロー状態のHV走行モード(以下、「HVローモード」とも記載する。)に係る共線図、図7は、ハイ状態のHV走行モード(以下、「HVハイモード」とも記載する。)に係る共線図である。
HVローモードでは、HV_ECU50は、クラッチCL1を係合し、ブレーキBK1を開放する。クラッチCL1が係合することにより、第二遊星歯車機構20は差動が規制され、各回転要素21,23,24が一体回転する。従って、第一遊星歯車機構10の第一リングギヤ13から出力される回転は増速も減速もされず、等速で第二キャリア24から第二リングギヤ23に伝達される。
一方、HVハイモードでは、HV_ECU50は、クラッチCL1を開放し、ブレーキBK1を係合する。ブレーキBK1が係合することにより、第二サンギヤ21の回転が規制される。よって、第二遊星歯車機構20は、第二キャリア24に入力された回転が増速されて第二リングギヤ23から出力されるオーバドライブ(OD)状態となる。このように、第二遊星歯車機構20は、エンジン1側から入力される回転を増速して出力することができる。オーバドライブ時の第二遊星歯車機構20の変速比は、例えば、0.7とすることができる。
このように、クラッチCL1およびブレーキBK1からなる切替装置は、第二遊星歯車機構20の差動を規制する状態と、第二遊星歯車機構20の差動を許容する状態とを切り替えて第二遊星歯車機構20を変速させる。ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、第二遊星歯車機構20、クラッチCL1およびブレーキBK1を含む変速部40によってHVハイモードとHVローモードとの切り替えが可能であり、車両100の伝達効率を向上させることができる。また、差動部としての第一遊星歯車機構10の後段に、変速部40が直列に接続されている。
HV_ECU50は、例えば、高車速ではHVハイモードを選択し、中低車速ではHVローモードを選択する。図8は、本実施形態のモード選択に係るマップを示す図である。図8において、横軸は車速、縦軸は要求駆動力を示す。図8に示すように、中低車速かつ要求駆動力が小さい低負荷の領域は、モータ走行域である。モータ走行域では、EV走行が選択される。
モータ走行域よりも高車速や高負荷の領域は、エンジン走行域である。エンジン走行域は、更に、直結(ロー)領域とOD(ハイ)領域に分割されている。直結領域は、HVローモードが選択されるエンジン走行域である。OD領域は、HVハイモードが選択されるエンジン走行域である。OD領域は、高車速の領域であり、直結領域は、中低車速の領域である。直結領域は、OD領域よりも高負荷側に設定されている。高車速かつ低負荷時に変速部40をオーバドライブとすることで、燃費の向上を図ることができる。
本実施形態では、HVハイモードとHVローモードとの切り替えによりエンジン1の回転を変速して出力することで、メカニカルポイントが2つとなり、燃費を向上させることができる。なお、メカニカルポイントは、遊星歯車機構10,20に入力される動力が電気パスを介さずに機械的な伝達によって全てカウンタドライブギヤ25に伝達される高効率な動作点である。
本実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置1−1は、第二遊星歯車機構20がエンジン1側からの回転を増速して第二リングギヤ23から出力することができる。従って、ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、第二遊星歯車機構20を備えずに第一リングギヤ13に対してカウンタドライブギヤ25が接続されている場合のメカニカルポイントに対して、更にハイギヤ側にもう一つのメカニカルポイントを有する。つまり、ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、ハイギヤ側に2つのメカニカルポイントを有する。よって、ハイブリッド車両用駆動装置1−1は、高速走行時の伝達効率向上による燃費の向上を図ることができるハイブリッドシステムを実現できる。
(後進走行)
後進走行をする場合、エンジン走行中は、第一回転機MG1がジェネレータとして発電を行い、第二回転機MG2がモータとして力行し、負回転して負トルクを出力して走行する。バッテリの充電状態が十分であるときは、単独駆動EVモードで第二回転機MG2が単独で逆回転してモータ走行するようにしてもよい。
後進走行をする場合、エンジン走行中は、第一回転機MG1がジェネレータとして発電を行い、第二回転機MG2がモータとして力行し、負回転して負トルクを出力して走行する。バッテリの充電状態が十分であるときは、単独駆動EVモードで第二回転機MG2が単独で逆回転してモータ走行するようにしてもよい。
(協調変速制御)
HV_ECU50は、HVハイモードとHVローモードとの切り替えを行う場合、第一遊星歯車機構10と第二遊星歯車機構20とを同時に変速させる協調変速制御を実行することができる。HV_ECU50は、協調変速制御において、第一遊星歯車機構10および第二遊星歯車機構20の一方の変速比を増加させ、他方の変速比を減少させる。
HV_ECU50は、HVハイモードとHVローモードとの切り替えを行う場合、第一遊星歯車機構10と第二遊星歯車機構20とを同時に変速させる協調変速制御を実行することができる。HV_ECU50は、協調変速制御において、第一遊星歯車機構10および第二遊星歯車機構20の一方の変速比を増加させ、他方の変速比を減少させる。
HV_ECU50は、HVハイモードからHVローモードに切り替える場合、モードの切り替えと同期して第一遊星歯車機構10の変速比をハイギヤ側に変化させる。これにより、車両100のエンジン1から駆動輪32までの全体での変速比の不連続な変化を抑制または低減し、変速比の変化の度合いを低減することができる。エンジン1から駆動輪32までの変速比の変化が抑制されることで、変速に伴うエンジン回転数の調節量を低減させ、あるいはエンジン回転数の調節を不要とすることができる。HV_ECU50は、例えば、車両100全体での変速比をロー側に連続的に変化させるように、第一遊星歯車機構10および第二遊星歯車機構20を協調して変速させる。
一方、HV_ECU50は、HVローモードからHVハイモードに切り替える場合、モードの切り替えと同期して第一遊星歯車機構10の変速比をローギヤ側に変化させる。これにより、車両100全体での変速比の不連続な変化を抑制または低減し、変速比の変化の度合いを低減することができる。HV_ECU50は、例えば、車両100全体での変速比をハイ側に連続的に変化させるように、第一遊星歯車機構10および第二遊星歯車機構20を協調して変速させる。
第一遊星歯車機構10の変速比の調節は、例えば、第一回転機MG1の回転数の制御によって行われる。HV_ECU50は、例えば、入力軸2とカウンタドライブギヤ25との間の変速比を無段階に変化させるように第一回転機MG1を制御する。これにより、遊星歯車機構10,20、第一回転機MG1、クラッチCL1およびブレーキBK1を含む全体、すなわち差動部と変速部40を含む変速装置が電気的無段変速機として作動する。差動部と変速部40を含む変速装置の変速比幅がワイドであるため、差動部から駆動輪32までの変速比を比較的大きく取れる。また、HV走行モードの高車速走行時の動力循環が低減される。
(エンジン始動制御)
単独モータEVモードからエンジン1を始動する場合、クラッチCL1あるいはブレーキBK1を係合し、第一回転機MG1によってエンジン回転数を上昇させて点火を行う。例えば、ブレーキBK1を係合した場合、図5に示すように、第一リングギヤ13が正回転し、第一サンギヤ11が負回転する状態となる。HV_ECU50は、ブレーキBK1を係合する前に、第一回転機MG1の回転数制御によって、第二サンギヤ21の回転数を0回転とする同期制御を実行してもよい。
単独モータEVモードからエンジン1を始動する場合、クラッチCL1あるいはブレーキBK1を係合し、第一回転機MG1によってエンジン回転数を上昇させて点火を行う。例えば、ブレーキBK1を係合した場合、図5に示すように、第一リングギヤ13が正回転し、第一サンギヤ11が負回転する状態となる。HV_ECU50は、ブレーキBK1を係合する前に、第一回転機MG1の回転数制御によって、第二サンギヤ21の回転数を0回転とする同期制御を実行してもよい。
エンジン始動時に、ブレーキBK1に代えてクラッチCL1を係合する場合には、第一回転機MG1の回転数制御によって、第二サンギヤ21の回転数と第二キャリア24の回転数とを同期させる同期制御を予め実行してもよい。
MG1トルクによってエンジン回転数を上昇させるときに、走行駆動力を低下させる方向の反力トルク(エンジン始動反力トルク)が発生する。反力トルクは、第一リングギヤ13から第二キャリア24を介して第二リングギヤ23に伝達される。HV_ECU50は、この反力トルクをキャンセルする反力キャンセルトルクを第二回転機MG2に追加で出力させ、駆動力の変動を抑制することができる。
本実施形態のハイブリッド車両用駆動装置1−1は、エンジン1を始動するときに変速部40をハイギヤとする。これにより、第二回転機MG2が出力すべき反力キャンセルトルクを低減することができる。なお、変速部40をハイギヤとすることには、変速部40を最も高速側の変速段とすることや、要求駆動力および車速から決まる変速段よりも高速側の変速段とすることが含まれる。例えば、図8に示すような車速と要求駆動力とに基づいてエンジン走行域における変速段を選択するマップを有する場合に、エンジン始動時はマップから決定される変速段よりもハイギヤ側の変速段とするようにしてもよい。
変速部40をハイギヤとしてエンジン1を始動した後は、HVモードにおいて選択される変速段に変速することができる。例えば、車速と要求駆動力とに基づいて予めマップに定められた変速段に変速するようにしてもよい。このように、エンジン始動時は変速部40をハイギヤとし、エンジン始動後に変速パターンに従った変速比に切換えることにより、第二回転機MG2の反力キャンセルトルクの低減と、ドライバの要求に沿った運転状態の実現とを両立することができる。
図1および図9を参照して、本実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置1−1の動作について説明する。図1に示す制御フローは、例えば、車両100の走行中に所定の間隔で繰り返し実行される。図9のタイムチャートにおいて、(a)はエンジン回転数、(b)はMG1トルク、(c)はMG1回転数、(d)はMG2トルク、(e)はMG2回転数、(f)はクラッチCL1に対する供給油圧(以下、「CL1油圧」とも記載する。)、(g)はブレーキBK1に対する供給油圧(以下、「BK1油圧」とも記載する。)、(h)は車速を示す。
図1のステップS10では、HV_ECU50により、モータ走行中であるか否かが判定される。HV_ECU50は、EVモードによる走行中であるか否かを判定する。その判定の結果、モータ走行中であると判定された場合(ステップS10−Y)にはステップS20に進み、そうでない場合(ステップS10−N)にはステップS100に進む。
ステップS20では、HV_ECU50により、エンジン始動要求がなされているか否かが判定される。車速や要求駆動力、バッテリの充電状態SOC等の何らかの理由によりエンジン始動要求がなされている場合、HV_ECU50はステップS20で肯定判定を行う。ステップS20の判定の結果、エンジン始動要求がなされていると判定された場合(ステップS20−Y)にはステップS30に進み、そうでない場合(ステップS20−N)には本制御フローは終了し、モータ走行が継続される。図9では、時刻t1にエンジン始動判断がなされてステップS20で肯定判定がなされる。
ステップS30では、HV_ECU50により、要求駆動力が大であるか否かが判定される。HV_ECU50は、例えば、要求駆動力が予め定められた閾値よりも大であるか否かを判定する。ステップS30の判定の結果、要求駆動力が大であると判定された場合(ステップS30−Y)にはステップS40に進み、そうでない場合(ステップS30−N)にはステップS50に進む。図9では、要求駆動力が大ではないと判定されて、ステップS50に進み、ブレーキBK1が係合される。
ステップS40では、HV_ECU50により、クラッチCL1が係合される。HV_ECU50は、クラッチCL1を係合させて変速部40をローギヤとする。ステップS40が実行されると、ステップS60に進む。なお、EV走行中は変速部40がニュートラルとされることから、時刻t1より前はCL1油圧、BK1油圧ともに0とされている。
ステップS50では、HV_ECU50により、ブレーキBK1が係合される。HV_ECU50は、ブレーキBK1を係合させて変速部40をハイギヤとする。図9では、時刻t1にエンジン始動判断がなされたことにより、変速部40のギヤ比が出力され、ブレーキBK1の係合指令がなされ、BK1油圧が上昇する。ステップS50が実行されると、ステップS60に進む。
ステップS60では、HV_ECU50により、第一回転機MG1による回転数上昇制御が実施される。HV_ECU50は、MG1回転数を正方向に変化させ、第一回転機MG1によってエンジン回転数を上昇させる。図9では、時刻t2にMG1回転数が上昇をし始めることにより、エンジン回転数が上昇している。ステップS60が実行されると、ステップS70に進む。
ステップS70では、HV_ECU50により、MG2反力制御が実施される。HV_ECU50は、第一回転機MG1によってエンジン回転数を上昇させるときに発生する反力トルクに対して、第二回転機MG2によってその反力トルクを打ち消す反力キャンセルトルクを出力させる。図9では、時刻t2から時刻t3の間にMG1トルクによってエンジン回転数を上昇させることにより反力トルクが発生している。これに対して、HV_ECU50は、MG2トルクを増加させて駆動力の変動を抑制する。ステップS70が実行されると、ステップS80に進む。
ステップS80では、HV_ECU50により、エンジン回転数Neが所定値N1よりも大であるか否かが判定される。所定値N1は、始動時にエンジン1の点火を開始する回転数として予め定められた回転数である。ステップS80の判定の結果、エンジン回転数Neが所定値N1よりも大であると判定された場合(ステップS80−Y)にはステップS90に進み、そうでない場合(ステップS80−N)にはステップS60に移行する。
ステップS90では、HV_ECU50により、点火が実施される。HV_ECU50は、エンジン1に対する点火指令を出力し、エンジン1を始動させる。図9では、時刻t3に点火が実施される。HV_ECU50は、エンジン1が第一回転機MG1によって回転させられる被駆動状態から、燃焼を開始して駆動状態となると、第一回転機MG1を反力受けとして機能させる。HV_ECU50は、第一回転機MG1に発電を行わせて負トルクを発生させる。これにより、エンジントルクは、第一リングギヤ13から第二キャリア24に出力される。ステップS90が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS100では、HV_ECU50により、エンジン走行(HVモード)が継続される。ステップS100が実行されると、本制御フローは終了する。
以上説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両用駆動装置1−1によれば、エンジン1を始動するとき(S20−Y)に変速部40がハイギヤとされる(S50)。これにより、エンジン始動による反力トルクを補償するためのMG2トルクの増分が低減される。
第二回転機MG2に対するトルク要求が低減することで、例えば、モータ走行域を拡大することが可能となる。また、余裕分のMG2トルクをエンジン始動時の制振制御量増大に使うことができる。
また、本実施形態では、エンジン1を始動するときに変速部40がオーバドライブとされる。これにより、エンジン始動時におけるMG2トルクの増分を効果的に低減することができる。
また、エンジン1の始動時に要求駆動力が大きい場合(S30−Y)には、変速部40がローギヤとされる(S40)。これにより、エンジン始動後の駆動力不足を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第二遊星歯車機構20を変速させる係合装置が、クラッチCL1およびブレーキBK1であったが、係合装置の個数および種類は、これには限定されない。また、クラッチCL1は第二サンギヤ21と第二キャリア24とを連結するものには限定されず、第二遊星歯車機構20の他の回転要素同士を連結するものであってもよい。ブレーキBK1は、第二サンギヤ21の回転を規制するものには限定されず、第二遊星歯車機構20の他の回転要素の回転を規制するものであってもよい。
本実施形態では、機関がエンジン1である場合を例に説明したが、車両100には、エンジン1に代えて他の機関が搭載されてもよい。
本実施形態の変速部40は、ローギヤ(クラッチCL1係合、ブレーキBK1開放)とハイギヤ(ブレーキBK1係合、クラッチCL1開放)との2段変速を行うものであったが、これに代えて、変速部40が3段変速以上の変速を行うものであってもよい。
また、本実施形態の変速部40は、第一遊星歯車機構10から入力される回転数を増速して出力要素から出力できるものであったが、これに代えて、変速部40が入力される回転数を減速して出力可能なものであってもよい。一例として、第二リングギヤ23と第一リングギヤ13とを接続し、カウンタドライブギヤ25と第二キャリア24とを接続することにより、変速部40をアンダードライブ式のものとすることができる。アンダードライブタイプの変速部40は、第一遊星歯車機構10から入力される回転数をそのままカウンタドライブギヤ25に出力するハイギヤと、第一遊星歯車機構10から入力される回転数を減速してカウンタドライブギヤ25に出力するローギヤとに切り替え可能である。
アンダードライブタイプの変速部40を備える場合、エンジン1を始動するとき(S20−Y)に、クラッチCL1を係合して変速部40をハイギヤとすればよい。また、エンジン1の始動時に要求駆動力が大きい場合(S30−Y)、ブレーキBK1を係合して変速部40をローギヤとすればよい。
本実施形態の変速部40は、有段の変速部であったが、これに代えて、変速部40が無段階に変速可能なものであってもよい。この場合、変速部40をハイギヤとすることには、変速部40を最も高速側の変速比とすることや、要求駆動力および車速から決まる変速比よりも高速側の変速比とすることが含まれる。
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図10は、実施形態の第1変形例におけるエンジン始動時の変速段選択に係るマップを示す図である。本変形例では、車速と要求駆動力とに基づいてエンジン始動時の変速段が選択される。この要求駆動力は、例えば、エンジン1を始動するときの要求駆動力や、エンジン1を始動する直前の要求駆動力である。
実施形態の第1変形例について説明する。図10は、実施形態の第1変形例におけるエンジン始動時の変速段選択に係るマップを示す図である。本変形例では、車速と要求駆動力とに基づいてエンジン始動時の変速段が選択される。この要求駆動力は、例えば、エンジン1を始動するときの要求駆動力や、エンジン1を始動する直前の要求駆動力である。
図10に示す直結(ロー)領域では、ローギヤが選択され、エンジン始動時にクラッチCL1が係合される。一方、OD(ハイ)領域では、ハイギヤが選択され、エンジン始動時にブレーキBK1が係合される。OD領域の動作点では、ハイギヤでも要求駆動力を達成可能である。すなわち、エンジン始動後にハイギヤのままでエンジントルクとMG2トルクとによって要求駆動力を達成することができる。また、OD領域の動作点では、第一回転機MG1によってエンジン1のクランキングを行う間に、エンジン始動反力トルクに対する反力キャンセルトルクを第二回転機MG2が出力したとしても、なおMG2トルクによって要求駆動力を出力できることが望ましい。
OD領域の上限の駆動力は、エンジン始動後にハイギヤで出力可能な要求駆動力の上限値である。このようにOD領域を定めることにより、極力オーバドライブの状態でエンジン1を始動することができ、第二回転機MG2の必要トルク(反力キャンセルトルク)を低減することができる。
このように、本変形例では、エンジン始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、エンジン1を始動するときに変速部40がハイギヤとされる。よって、エンジン始動後の駆動力不足を抑制することができる。すなわち、エンジン始動時におけるMG2トルクの増大を抑制することと、駆動力不足の抑制とを両立することが可能となる。
本変形例では、所定の車速以下の領域に直結領域が定められているが、所定の車速よりも高車速の領域には、直結領域は定められていない。すなわち、所定の車速よりも高車速の領域では、要求駆動力にかかわらずエンジン始動時に変速部40がハイギヤとされてもよい。これにより、低車速側の領域では駆動力不足の抑制を優先し、高車速側の領域ではエンジン始動時の反力キャンセルトルクの低減を優先することができる。
なお、変速部40が3段変速以上の変速を行うものである場合、エンジン始動後に要求駆動力を出力可能な変速比(変速段)の範囲で、エンジン始動時に変速部40をハイギヤとするようにしてもよい。例えば、エンジン始動後に要求駆動力を出力可能な変速段のうちで最も高速側の変速段においてエンジン始動を行うようにしてもよい。
また、変速部40が無段階に変速可能なものである場合、エンジン始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、エンジン始動時に変速部40をハイギヤにするようにしてもよい。例えば、エンジン始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で最も高速側の変速比においてエンジン始動を行うようにしてもよい。
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図11は、実施形態の第2変形例におけるMG1回転数の制御例を示す図である。本変形例では、ブレーキBK1の仕事量を低減するように、MG1回転数が制御される。
実施形態の第2変形例について説明する。図11は、実施形態の第2変形例におけるMG1回転数の制御例を示す図である。本変形例では、ブレーキBK1の仕事量を低減するように、MG1回転数が制御される。
本変形例では、HV_ECU50は、ブレーキBK1を係合する前に、ブレーキBK1の差回転数を低減する制御を行う。差回転数を低減させておくことにより、エンジン始動時にブレーキBK1を係合するときのブレーキBK1の仕事量の増加を抑制することができる。よって、ブレーキBK1の耐久性を向上させることが可能となる。HV_ECU50は、第一回転機MG1によって第二サンギヤ21の回転数を低減させることにより、ブレーキBK1の差回転数を低減させる。例えば、図11に示すように、車速に応じてMG1回転数の目標値を定めるようにしてもよい。
図11に示す例では、所定の車速V1以上の車速域において、車速の増加に従いブレーキBK1の差回転数を低減するようにMG1回転数の目標値が定められている。予め定められた上限車速以上では、ブレーキBK1の差回転数を0とするようにMG1回転数の目標値が定められている。なお、所定の車速V1以上において、車速に応じてMG1回転数の目標値を変化させることに代えて、所定の車速V1以上ではブレーキBK1の差回転数を0とするようにMG1回転数が定められてもよい。所定の車速V1未満の車速域では、MG1回転数の目標値が一定とされてもよく、ブレーキBK1の差回転数を一定値とするようにMG1回転数の目標値が定められてもよい。
なお、ブレーキBK1を係合する場合と同様にして、エンジン始動時にクラッチCL1を係合する場合、クラッチCL1を係合する前に、クラッチCL1の差回転数を低減する制御を行うようにしてもよい。
以上説明したように、上記実施形態および変形例には、「内燃機関と、差動部、第一変速部と第一回転機と第二回転機とからなり、内燃機関始動時に、第一変速部をハイギヤに制御する動力伝達装置」が開示されている。この動力伝達装置によれば、内燃機関始動時の第二回転機の反力トルクを低く保つことができる。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1−1 ハイブリッド車両用駆動装置
1 エンジン
10 第一遊星歯車機構
20 第二遊星歯車機構
23 第二リングギヤ
32 駆動輪
40 変速部
100 車両
MG1 第一回転機
MG2 第二回転機
1 エンジン
10 第一遊星歯車機構
20 第二遊星歯車機構
23 第二リングギヤ
32 駆動輪
40 変速部
100 車両
MG1 第一回転機
MG2 第二回転機
Claims (3)
- 機関と、
第一回転機と、
前記機関および前記第一回転機が接続された差動部と、
前記差動部と駆動輪とを接続する変速部と、
前記変速部の出力要素に接続された第二回転機と、
を備え、
前記機関を始動するときに前記変速部をハイギヤとする
ことを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。 - 前記機関を始動するときに前記変速部をオーバドライブとする
請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動装置。 - 前記機関の始動後に要求駆動力を出力可能な変速比の範囲で、前記機関を始動するときに前記変速部をハイギヤとする
請求項1または2に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012195433A JP2014051146A (ja) | 2012-09-05 | 2012-09-05 | ハイブリッド車両用駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014051146A true JP2014051146A (ja) | 2014-03-20 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3106338A1 (en) | 2015-06-18 | 2016-12-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive unit for hybrid vehicle |
EP3184338A1 (en) | 2015-12-25 | 2017-06-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive system for hybrid vehicle |
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-
2012
- 2012-09-05 JP JP2012195433A patent/JP2014051146A/ja active Pending
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