JP2023064183A - 電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタ - Google Patents

電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタ Download PDF

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【課題】銀層が摩耗しても、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタを提供する。【解決手段】電気接続部品用導電材料は、銅または銅合金からなり、圧延材である基材と、前記基材の少なくとも片面の一部に、ニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル層と、銀または銀合金からなる銀層と、を前記基材側からこの順に備える電気接続部品用導電材料であって、前記基材の圧延方向に平行な断面において、前記基材における、前記ニッケル層を有する側の表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、負の値である。【選択図】図1

Description

本開示は、電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタに関する。
近年、省燃費化を達成するために、車両駆動方式の電動化が進行している。それに伴い、電池‐インバータ‐モータ間の電線の通電量が飛躍的に増加している。その一方、電気接続部品である接点やコネクタなどでは、通電時の発熱が問題となっている。そのため、導電率の高い純銅や希薄銅合金、コルソン合金の表面にニッケルの下地めっきを施し、さらに下地めっき上に銀めっきまたは銀合金めっきを施した材料が使用されている。
例えば、特許文献1には、銅また銅合金からなる基材上にニッケルからなる下地層が形成され、この下地層の表面に銀からなる表層が形成された銀めっき材が記載されている。特許文献1の銀めっき材では、基材の表面が粗面化され、下地層の表面の粗さ曲線のスキューネスRskが0.1以上、算術平均粗さRaが0.05μm以上、最大高さRzが0.5μm以上である。
しかしながら、特許文献1などの従来技術において、銀は、凝着摩耗しやすい金属種であるため、摺動時に削れやすい。そのため、銀層の摩耗によって、銀めっき材の接触抵抗が上昇するという欠点があった。
特許第6532322号公報
本開示の目的は、銀層が摩耗しても、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタを提供することである。
[1] 銅または銅合金からなり、圧延材である基材と、前記基材の少なくとも片面の一部に、ニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル層と、銀または銀合金からなる銀層と、を前記基材側からこの順に備える電気接続部品用導電材料であって、前記基材の圧延方向に平行な断面において、前記基材における、前記ニッケル層を有する側の表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、負の値であることを特徴とする電気接続部品用導電材料。
[2] 前記表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、-1.00以上-0.10以下である、上記[1]に記載の電気接続部品用導電材料。
[3] 前記表面の粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が5個以上30個以下存在する、上記[1]または[2]に記載の電気接続部品用導電材料。
[4] 前記ニッケル層の平均厚さは0.05μm以上3.00μm以下である、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料。
[5] 前記銀層の平均厚さは0.10μm以上10.00μm以下である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料。
[6] 前記ニッケル層と前記銀層との間に、銅または銅合金からなる銅層をさらに備える、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料。
[7] 前記銅層の平均厚さは0.01μm以上0.30μm以下である、上記[6]に記載の電気接続部品用導電材料。
[8] 前記電気接続部品用導電材料に対して、荷重1N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/minで500回の繰り返し摺動をした後、摺動後の電気接続部品用導電材料に前記銀層の少なくとも一部が残存する、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料。
[9] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料を用いた接点。
[10] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料を用いた端子。
[11] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の電気接続部品用導電材料を用いたコネクタ。
本開示によれば、銀層が摩耗しても、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる電気接続部品用導電材料、ならびにこれを用いた接点、端子およびコネクタを提供することができる。
図1は、実施形態の電気接続部品用導電材料の一例を示す断面図である。 図2は、実施形態の電気接続部品用導電材料の他の例を示す断面図である。 図3は、表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskが負の値である基材の表面状態の一例を示す拡大断面図である。 図4は、表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskが正の値である基材の表面状態の一例を示す拡大断面図である。
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、圧延加工で得られた基材に対する表面エッチングを制御することによって、基材表面に微細な凹部を形成することを見出すと共に、微細な凹部を有する基材の表面状態を制御することによって、銀層が摩耗しても、電気接続部品用導電材料の接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できることを見出し、かかる知見に基づき本開示を完成させるに至った。
実施形態の電気接続部品用導電材料は、銅または銅合金からなり、圧延材である基材と、前記基材の少なくとも片面の一部に、ニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル層と、銀または銀合金からなる銀層と、を前記基材側からこの順に備える電気接続部品用導電材料であって、前記基材の圧延方向に平行な断面において、前記基材における、前記ニッケル層を有する側の表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、負の値である。
図1は、実施形態の電気接続部品用導電材料の一例を示す断面図である。図1に示すように、電気接続部品用導電材料1は、基材10と、ニッケル層20と、銀層30とを備える。なお、便宜上、図1では、基材10の表面10aの粗さ状態を簡略化している。
電気接続部品用導電材料1を構成する基材10は、銅(Cu)または銅合金からなる。基材10は、圧延加工で得られる圧延材である。
銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1の接触抵抗上昇を抑制する観点から、基材10は、純銅またはCu-Zn系、Cu-Ni-Si系、Cu-Sn-Ni系、Cu-Cr-Mg系、Cu-Ni-Si-Sn-Zn-Mg系の銅合金であることが好ましい。
銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1の接触抵抗上昇を抑制する観点から、基材10の形状は、板状または条状であることが好ましい。
電気接続部品用導電材料1を構成するニッケル層20は、基材10の少なくとも片面の一部に設けられる。ニッケル層20は、ニッケル(Ni)またはニッケル合金からなる。
銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1の接触抵抗上昇を抑制する観点から、ニッケル層20は、純ニッケルまたはNi-P系、Ni-Fe系のニッケル合金であることが好ましい。また、ニッケル層20の密着性を向上する観点から、ニッケル層20はめっきで形成される、すなわちニッケル層20はめっき層であることが好ましい。
ニッケル層20の平均厚さの下限値は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.10μm以上、さらに好ましくは0.30μm以上である。ニッケル層20の平均厚さの上限値は、好ましくは3.00μm以下、より好ましくは2.00μm以下、さらに好ましくは1.00μm以下である。ニッケル層20の平均厚さの下限値が0.05μm以上であると、電気接続部品用導電材料1の耐摩耗性を向上できる。ニッケル層20の平均厚さの上限値が3.00μm以下であると、電気接続部品用導電材料1の曲げ加工性が良好に保つことができる。また、銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1の接触抵抗上昇をさらに抑制できる。
電気接続部品用導電材料1を構成する銀層30は、ニッケル層20上に設けられる。電気接続部品用導電材料1は、基材10の少なくとも片面の一部に、基材10側からニッケル層20および銀層30をこの順に備える。図1に示す電気接続部品用導電材料1では、基材10の片側表面にニッケル層20が設けられ、ニッケル層20の表面に銀層30が設けられる。銀層30は、銀(Ag)または銀合金からなる。
銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1の接触抵抗上昇を抑制する観点から、銀層30は、純銀またはAg-Se系、Ag-Sb系の銀合金であることが好ましい。また、銀層30の密着性を向上する観点から、銀層30はめっきで形成される、すなわち銀層30はめっき層であることが好ましい。
銀層30の平均厚さの下限値は、好ましくは0.10μm以上、より好ましくは0.30μm以上、さらに好ましくは1.00μm以上である。銀層30の平均厚さの上限値は、好ましくは10.00μm以下、より好ましくは5.00μm以下、さらに好ましくは3.00μm以下である。銀層30の平均厚さの下限値が0.10μm以上であると、後述のように銀層30の少なくとも一部が複数の微細な凹部12に十分に残存するため、銀層30が摩耗しても、電気接続部品用導電材料1の接触抵抗の上昇を長期間に亘って十分に抑制できる。銀層30の平均厚さの上限値が10.00μm以下であると、電気接続部品用導電材料1の耐摩耗性を向上できる。
図2は、実施形態の電気接続部品用導電材料の他の例を示す断面図である。図2では、図1と同様に、基材10の表面10aの粗さ状態を簡略化している。電気接続部品用導電材料2において、銅層40の構成が追加されること以外は、電気接続部品用導電材料1の構成と基本的に同じである。
図2に示すように、電気接続部品用導電材料2は、ニッケル層20と銀層30との間に、銅または銅合金からなる銅層40をさらに備える。電気接続部品用導電材料2が銅層40を備えると、ニッケル層20および銀層30の密着強度が向上する。
ニッケル層20および銀層30の密着強度を向上する観点から、銅層40は、純銅またはCu-Ni系、Cu-Sn系の銅合金であることが好ましい。
銅層40の平均厚さの下限値は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上である。銅層40の平均厚さの上限値は、好ましくは0.30μm以下、より好ましくは0.20μm以下である。銅層40の平均厚さの下限値が0.01μm以上であると、ニッケル層20および銀層30の密着強度がさらに向上する。銅層40の平均厚さの上限値が0.30μm以下であると、銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料2の接触抵抗上昇をさらに抑制できる。
図3は、表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskが負の値である基材10の表面状態の一例を示す拡大断面図である。図1~3に示すように、圧延材である基材10の圧延方向に平行な電気接続部品用導電材料1、2の断面において、基材10における、ニッケル層20を有する側の表面10a(以下、単に表面10aともいう)の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、負の値である。
図4は、表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskが正の値である基材の表面状態の一例を示す拡大断面図であり、実施形態の範囲外である。図4に示すように、基材の表面100aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskが正であると、表面100aには複数の凹部110が優先的に存在する。
一方、図3に示すように、基材10の表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskが負であると、表面10aには複数の凸部11が優先的に存在する。そして、複数の凸部11の間には、複数の微細な凹部12が形成される。
図1~3に示すように、電気接続部品用導電材料1、2では、基材10の表面10aに設けられる多くの微細な凹部12に、ニッケル層20および銀層30が入り込んで形成されている。電気接続部品用導電材料1、2の摺動などによって、電気接続部品用導電材料1、2の表面に設けられる銀層30が表面から摩耗した場合であっても、基材10に存在する複数の微細な凹部12には、銀層30の少なくとも一部が残存する。基材10の微細な凹部12に残存する銀層30の少なくとも一部によって、電気的な導通を維持できる。そのため、銀層30が摩耗しても、電気接続部品用導電材料1、2の接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる。
また、基材10の表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskの上限値は、好ましくは-0.10以下、より好ましくは-0.20以下、さらに好ましくは-0.30以下である。また、基材10の表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskの下限値は、好ましくは-1.00以上、より好ましくは-0.80以上、さらに好ましくは-0.60以上である。表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskが-0.10以下であると、銀層30が摩耗しても、電気接続部品用導電材料1、2の接触抵抗の上昇をさらに抑制できる。また、表面10aの粗さ曲線から得られるスキューネスRskが-1.00以上であると、所望の粗さ曲線を有する表面10aを容易に形成できる。
また、表面10aの粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上存在する。また、表面10aの粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が、好ましくは30個以下、より好ましくは25個以下存在する。
深さ0.1μm以上の凹部が表面10aの粗さ曲線に存在すると、銀層30が摩耗した場合であっても、図3に示す表面10aの微細な凹部12に銀層30の少なくとも一部が十分に残存する。表面10aの粗さ曲線の基準線において、任意部分の長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が5個以上存在すると、銀層30の少なくとも一部を有する複数の微細な凹部12が十分に存在するため、電気接続部品用導電材料1、2の接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる。また、表面10aの粗さ曲線の基準線において、任意部分の長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が30個以下存在すると、電気接続部品用導電材料1、2の耐摩耗性を向上できる。
また、表面10aの粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に、深さ0.2μm以上の凹部が30個以下存在することが好ましい。表面10aの粗さ曲線の基準線において、任意部分の長さ1.0mmの線分中に、深さ0.2μm以上の凹部が30個以下存在すると、銀層の摩耗による電気接続部品用導電材料1、2の接触抵抗の上昇を十分に抑制できると共に、電気接続部品用導電材料1、2の耐摩耗性を十分に向上できる。
また、電気接続部品用導電材料1、2に対して、荷重1N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/minで500回の繰り返し摺動をした後、摺動後の電気接続部品用導電材料1、2に銀層30の少なくとも一部が残存する。このように、電気接続部品用導電材料1、2の表面に設けられる銀層30を所定の条件で摺動しても、銀層30の少なくとも一部が摺動後の電気接続部品用導電材料1、2に残存しているため、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる。
基材10の圧延方向に平行な電気接続部品用導電材料1、2の断面における基材10の表面10aの粗さ曲線は、次のようにして測定する。電気接続部品用導電材料1、2に設けられるニッケル層20と銀層30、場合によっては銅層40とを基材10から除去する処理を行い、基材10の表面10aを露出させる。表面10aを露出した基材10について、レーザー顕微鏡を用いて観察し、基材10の圧延方向に平行な断面における表面10aの粗さ曲線を測定する。得られた表面10aの粗さ曲線から、スキューネスRskの算出および基準線における長さ1.0mmの線分中に存在する深さ0.1μm以上の凹部のカウントを行う。
電気接続部品用導電材料1、2は、上記のように銀層30を摺動することによって摩耗しても、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる。そのため、電気接続部品用導電材料1、2は、接点、端子、コネクタに好適に用いることができる。
次に、電気接続部品用導電材料1、2の製造方法について説明する。
圧延処理によって所望の厚さに加工された圧延材である基材10の表面には、オイルピットや圧延筋などの凹凸が形成されている。オイルピットや圧延筋を有する基材10に対して、ニッケル層20、銀層30および銅層40を形成するためのめっきの前処理として、界面活性剤やアルカリ溶液を用いて基材表面の洗浄を行うが、その際に基材表面のオイルピットや圧延筋に残存する潤滑油を十分除去した後、酸溶液を用いて基材表面のエッチングを行うと、オイルピットや圧延筋が優先的に溶解し、エッチング条件を調整することで、圧延方向に平行な断面において、粗さ曲線から得られるスキューネスRskが負の値である表面10aを形成できる。
具体的には、まず、基材10について、表面のオイルピットや圧延筋に残存する潤滑油を十分除去する。続いて、10%硫酸に、過酸化水素を1質量%以上10質量%以下、および非イオン性界面活性剤(直鎖型:炭素数12以上18以下)を0.1質量%以上1.0質量%以下添加して得られるエッチング液を使用し、浴温30℃、5秒以上100秒以内で、基材10をエッチング液に浸漬して、基材10の表面エッチングを行う。こうして、圧延方向に平行な断面において、粗さ曲線から得られるスキューネスRskが負の値である表面10aを有する基材10を得ることができる。
続いて、ニッケルめっきを行って、基材10の表面10a上にニッケル層20を形成する。ニッケルめっきでは、めっき液と電流密度の条件を制御することで、表面10aの形状に追従した形状を有するニッケル層20を形成できる。
電気接続部品用導電材料1を製造する場合には、ニッケルめっき後、銀めっきを行って、ニッケル層20上に銀層30を形成する。こうして、電気接続部品用導電材料1を製造できる。
電気接続部品用導電材料2を製造する場合には、ニッケルめっき後、銅めっきを行って、ニッケル層20上に銅層40を形成する。銅めっきでは、ニッケルめっき同様に、めっき液と電流密度の条件を制御することで、表面10aの形状に追従した形状を有する銅層40を形成できる。その後、銀めっきを行って、銅層40上に銀層30を形成する。こうして、電気接続部品用導電材料2を製造できる。
以上説明した実施形態によれば、圧延加工で得られた基材の表面エッチング量を制御し、微細な凹部を有する基材表面の状態を制御することによって、銀層が摩耗しても、電気接続部品用導電材料の接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
次に、実施例および比較例について説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1~6)
まず、圧延処理によって得られた純銅の圧延基材について、基材表面のオイルピットおよび圧延筋に残存する潤滑油を十分除去した。続いて、圧延方向に平行な断面における基材表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRsk、および当該粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に存在する深さ0.1μm以上の凹部が表1に示される値になるように、10%硫酸に、過酸化水素を1質量%以上10質量%以下、および非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンドデシルエーテル)を0.1質量%以上1.0質量%以下添加して得られたエッチング液を用いて、浴温30℃、5秒以上100秒以内で、基材をエッチング液に浸漬して、基材の表面エッチングを行った。
続いて、表1に示す平均厚さになるように、ニッケルめっきを行って、基材のエッチングを施した表面上にニッケル層を形成した。続いて、表1に示す平均厚さになるように、銀めっきを行って、ニッケル層上に銀層を形成した。こうして、電気接続部品用導電材料を製造した。
(実施例7~14)
実施例1と同様の方法で、基材の表面エッチングを行った。続いて、表1に示す平均厚さになるように、ニッケルめっきを行って、基材のエッチングを施した表面上にニッケル層を形成した。続いて、表1に示す平均厚さになるように、銅めっきを行って、ニッケル層上に銅層を形成した。続いて、表1に示す平均厚さになるように、銀めっきを行って、銅層上に銀層を形成した。こうして、電気接続部品用導電材料を製造した。
(比較例1~2、6)
実施例1において、基材表面のオイルピットおよび圧延筋に残存する潤滑油を除去せずに基材の表面エッチングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、電気接続部品用導電材料を製造した。
(比較例5)
実施例1において、基材表面のオイルピットおよび圧延筋に残存する潤滑油を除去せずに基材の表面エッチングを行ったこと、および銀めっきを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、電気接続部品用導電材料を製造した。
(比較例3~4、7~9)
実施例7において、基材表面のオイルピットおよび圧延筋に残存する潤滑油を除去せずに基材の表面エッチングを行ったこと以外は、実施例7と同様にして、電気接続部品用導電材料を製造した。
[測定および評価]
上記実施例および比較例で得られた電気接続部品用導電材料について、下記の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
[1] 基材表面のスキューネスRskおよび深さ0.1μm以上の凹部
フッ化カリウム100gを純水に溶解して1000mlとした銀溶解液中に、電気接続部品用導電材料および白金線を浸漬した。続いて、電気接続部品用導電材料を陽極、白金線を陰極として、電流密度20mA/cmで定電流電解を行い、銀層を除去した。
続いて、実施例7~14および比較例3~4、7~9では、塩化第二鉄10gと比重1.19の塩酸2mlを95mlの純水に溶解した銅溶解液中に、電気接続部品用導電材料および白金線を浸漬した。続いて、電気接続部品用導電材料を陽極、白金線を陰極として、電流密度20mA/cmで定電流電解を行い、銅層を除去した。
続いて、塩酸(比重1.18)100mlを純水で1000mlに希釈したニッケル溶解液中に、電気接続部品用導電材料および白金線を浸漬した。続いて、電気接続部品用導電材料を陽極、白金線を陰極として、電流密度20mA/cmで定電流電解を行い、ニッケル層を除去した。こうして、基材の表面を露出した。
レーザー顕微鏡(形状解析レーザー顕微鏡Vk-X1000、株式会社キーエンス製)を用いて、倍率50倍で、露出した基材表面を観察し、基材の圧延方向に平行な断面における表面の粗さ曲線を測定した。得られた基材表面の粗さ曲線から、スキューネスRskの算出および基準線における長さ1.0mmの線分中に存在する深さ0.1μm以上の凹部のカウントを行った。
[2] 接触抵抗値
電気接点シミュレータ(株式会社山崎精機研究所製)を用いて、通電電流値20mA、荷重1Nで、電気接続部品用導電材料の接触抵抗値を10回測定し、得られた測定値を平均した値を接触抵抗値とした。接触抵抗値について、以下のランク付けをした。
◎:接触抵抗値が2mΩ未満
○:接触抵抗値が2mΩ以上10mΩ未満
×:接触抵抗値が10mΩ以上
[3] 摺動後の接触抵抗値
摩擦摩耗試験機トライボギア(表面性測定機TYPE:14FW、新東科学株式会社製)を用いて、荷重1N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/minで電気接続部品用導電材料の繰り返し摺動を500回行い、摺動後の接触部を4端子法にて、通電電流20mA、荷重1Nで、接触抵抗値を10回測定し、得られた測定値を平均した値を摺動後の接触抵抗値とした。摺動後の接触抵抗値について、以下のランク付けをした。
◎:摺動後の接触抵抗値が2mΩ未満
○:摺動後の接触抵抗値が2mΩ以上10mΩ未満
×:摺動後の接触抵抗値が10mΩ以上
[4] 摩擦係数
摩擦摩耗試験機トライボギア(表面性測定機TYPE:14FW、新東科学株式会社製)を用いて、荷重1N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/minで電気接続部品用導電材料の繰り返し摺動を行った。30回までの繰り返し摺動で得られた摩擦係数を平均した値を動摩擦係数とした。また、500回の繰り返し摺動後、走査電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製)を用いて、電気接続部品用導電材料の表面の反射電子像を500倍で撮影した。摩擦係数について、以下のランク付けをした。
○:摩擦係数が0.8未満
×:摩擦係数が0.8以上
[5] 曲げ加工性
日本伸銅協会技術標準JCBA T307(2007)銅および銅合金薄板条の曲げ加工性評価方法に準拠し、幅10mm、長さ30mmの電気接続部品用導電材料を用いて曲げ半径と板厚が同じになるr/t=1.0におけるLD方向の曲げを行い、50倍の拡大観察を行い、加工性を評価した。
〇:割れが確認できない
×:割れが確認できる
Figure 2023064183000002
表1に示すように、実施例1~14では、基材の圧延方向に平行な断面における基材表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskの値が負であったため、接触抵抗値、摺動後の接触抵抗値、摩擦係数および曲げ加工性が良好であり、特に摺動後の接触抵抗値および摩擦係数が優れていた。さらに、実施例1~14では、500回の繰り返し摺動後、SEMを用いて電気接続部品用導電材料の表面を観察した結果、銀層の少なくとも一部が残存していることを確認した。そのため、実施例1~14の電気接続部品用導電材料では、銀層が摩耗しても、接触抵抗の上昇を長期間に亘って抑制できることがわかった。
一方、比較例1~9では、基材の圧延方向に平行な断面における基材表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskの値が負ではなかったため、接触抵抗値、摺動後の接触抵抗値、摩擦係数および曲げ加工性の少なくとも1つ以上が不良であり、特に摺動後の接触抵抗値および摩擦係数が不良であった。さらに、比較例1~9では、500回の繰り返し摺動後、SEMを用いて電気接続部品用導電材料の表面を観察した結果、銀層の一部が残存していないことを確認した。そのため、比較例1~9の電気接続部品用導電材料では、銀層が摩耗すると、接触抵抗が上昇することがわかった。
1、2 電気接続部品用導電材料
10 基材
10a 基材の表面
11 凸部
12 微細な凹部
20 ニッケル層
30 銀層
40 銅層
100a 基材の表面
110 凹部

Claims (11)

  1. 銅または銅合金からなり、圧延材である基材と、
    前記基材の少なくとも片面の一部に、ニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル層と、銀または銀合金からなる銀層と、を前記基材側からこの順に備える電気接続部品用導電材料であって、
    前記基材の圧延方向に平行な断面において、前記基材における、前記ニッケル層を有する側の表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、負の値であることを特徴とする電気接続部品用導電材料。
  2. 前記表面の粗さ曲線から得られるスキューネスRskは、-1.00以上-0.10以下である、請求項1に記載の電気接続部品用導電材料。
  3. 前記表面の粗さ曲線の基準線における長さ1.0mmの線分中に、深さ0.1μm以上の凹部が5個以上30個以下存在する、請求項1または2に記載の電気接続部品用導電材料。
  4. 前記ニッケル層の平均厚さは0.05μm以上3.00μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料。
  5. 前記銀層の平均厚さは0.10μm以上10.00μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料。
  6. 前記ニッケル層と前記銀層との間に、銅または銅合金からなる銅層をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料。
  7. 前記銅層の平均厚さは0.01μm以上0.30μm以下である、請求項6に記載の電気接続部品用導電材料。
  8. 前記電気接続部品用導電材料に対して、荷重1N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/minで500回の繰り返し摺動をした後、摺動後の電気接続部品用導電材料に前記銀層の少なくとも一部が残存する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料を用いた接点。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料を用いた端子。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電気接続部品用導電材料を用いたコネクタ。
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