JP2023062172A - 分析方法及びキット - Google Patents

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Abstract

【課題】対象におけるがんの罹患の有無を簡便に判定することができる分析方法、キット、プライマーセット及び検出デバイスを提供する。【解決手段】(S1)対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量すること;(S2)前記(S1)で得られた定量値と、対照由来の試料中のhsa-miR-1301-3pの定量値とを比較し、子宮肉腫の罹患の可能性を判定すること;を含み、前記対照は、標的がんの何れにも罹患していない個体又は子宮肉腫以外に分類されるがんに罹患した個体である、前記対象におけるがんの罹患の有無の判定を補助する分析方法である。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、分析方法及びキットに関する。
近年、microRNA(miRNA)と疾患との関係が注目されている。miRNAは遺伝子発現を調節する機能を持ち、種々の疾患でその種類や発現量が初期の段階から変化していることが報告されている。即ち、ある疾患を持つ患者では、特定のmiRNA量が健常者と比較して増加又は減少している。そのため、被検者から採取された試料中の該miRNAの量を調べることは、患者がその疾患に罹患しているか否かを知る手段となる。
本発明が解決しようとする課題は、対象におけるがんの罹患の有無を簡便に判定することができる分析方法、キット、プライマーセット及び検出デバイスを提供することである。
実施形態によれば、対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量することを含む、対象におけるがんの罹患の有無を判定する分析方法が提供される。
図1は、第1実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、第2実施形態の分析方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、第3実施形態の定量工程の一例を示すフローチャートである。 図4は、第3実施形態の定量工程の一例を示す模式図である。 図5は、例1の実験結果を示す箱ひげ図である。 図6は、例1の実験結果を示す箱ひげ図である。 図7は、例2のプライマーセットAを用いた場合の実験結果を示す箱ひげ図である。 図8は、例2の実験結果を示す箱ひげ図である。 図9は、例2の実験結果を示す箱ひげ図である。 図10は、例2のプライマーセットJを用いた場合の実験結果を示す箱ひげ図である。 図11は、例2の実験結果を示す箱ひげ図である。 図12は、例2の実験結果を示す箱ひげ図である。
以下に、図面を参照しながら実施形態の分析方法及びキットについて説明する。
・第1実施形態
(分析方法)
第1実施形態に従う分析方法は、図1の(a)に示すように、対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量すること(定量工程(S1))を含む、対象におけるがんの罹患の有無を判定する方法である。
がんは、悪性腫瘍、悪性新生物、癌及び肉腫をいう。がんは限定されるものではないが、例えば、前立腺がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、肉腫、子宮体がん、子宮肉腫、中皮腫、咽頭がん、上顎がん、口腔がん、舌がん、口唇がん、喉頭がん、甲状腺がん、神経腫瘍、神経謬腫、神経芽細胞腫、腎細胞がん、精巣がん、子宮頸がん、皮膚がん、悪性黒色腫、骨腫瘍、白血病、悪性リンパ及び多発性骨髄腫等を含む。
がんは、何れの病期のものも含み、例えば、発生母地の臓器内にがんが留まった状態、更に周辺の組織までがんが及んだ状態、更にリンパ節へがんが転移した状態、及び更に離れた臓器へのがんの転移がある状態等を含む。
対象は、本方法において分析に供される動物、即ち、試料を提供する動物である。対象は、何らかの疾患を有する動物であってもよいし、健常な動物であってもよい。例えば、対象は、がんに罹患している可能性がある動物、或いは過去にがんに罹患したことのある動物等であってもよい。
対象はヒトであることが好ましい。或いは、対象は他の動物であってもよい。他の動物は、例えば哺乳動物であり、例えば、サル等の霊長類、マウス、ラット又はモルモット等の齧歯類、イヌ、ネコ又はウサギ等の伴侶動物、ウマ、ウシ又はブタ等の家畜動物、或いは展示動物等に属する動物を含む。
対象由来の試料とは、対象から採取された試料又はそれを適切に処理した試料等を含む。試料は、好ましくは、血清である。試料は、その他の体液、例えば、血液、血漿、白血球、間質液、尿、便、汗、唾液、口腔内粘膜、鼻腔内粘膜、鼻水、咽頭粘膜、喀痰、消化液、胃液、リンパ液、髄液、涙液、母乳、羊水、精液又は膣液等であってもよい。或いは、試料は、組織又は細胞等であってもよく、対象から採取され、培養された組織又は細胞、或いはその上清であってもよい。
以下、第1実施形態の分析方法の手順の一例について説明する。
まず、対象由来の試料を用意する。試料は、その種類に従う一般的な方法を用いて採取することができる。試料は、採取後そのまま使ってもよいし、核酸の定量のための反応を阻害しない状態又は反応により適した状態となるように処理してもよい。処理は、例えば、細切、ホモジナイズ、遠心、沈殿、抽出及び/又は分離等であり、公知の何れかの手段により行うことができる。
例えば、抽出は、市販の核酸抽出キットを用いて行ってもよい。核酸抽出キットとして、例えば、NucleoSpin(登録商標) miRNA Plasma(タカラバイオ製)、Quick-cfRNA Serum & Plasma Kit(ザイモリサーチ製)、miRNeasy Serum/Plasma キット(キアゲン製)、miRVana PARIS isolation kit(サーモフィッシャー製)、PureLinkTM Total RNA Blood Kit(サーモフィッシャー製)、Plasma/Serum RNA Purification Kit (Norgen Biotech製)、microRNA Extractor(登録商標) SP Kit(和光純薬)、High Pure miRNA Isolation Kit(シグマアルドリッチ製)等を用いることができる。或いは、市販のキットを使用せずに、例えば、試料を緩衝液で希釈し、80~100℃の加熱処理を行い、遠心分離し、その上清を採取することによって抽出を行ってもよい。
次に、試料中のhsa-miR-1301-3pの定量を行う(定量工程(S1))。hsa-miR-1301-3pは、下記の配列:
UUGCAGCUGCCUGGGAGUGACUUC(配列番号1)
を有するmiRNAである。以下、hsa-miR-1301-3pを「標的miRNA」とも称する。
定量工程(S1)は、RNA、特にmiRNA等の短鎖のRNAを定量するための一般的な方法を用いて行うことができる。その方法は限定されるものではないが、例えば、標的miRNAを逆転写し、cDNAを増幅し、増幅産物を検出及び定量することが好ましい。増幅には、例えば、PCR法、qPCR法、LAMP法等を用いることができる。検出及び定量は、増幅の後に行われてもよいし、増幅中に経時的に行われてもよい。検出及び定量には、例えば、濁度若しくは吸光度に基づく信号を用いる測定法、光学的信号を用いる測定法又は電気化学的信号を用いる測定法、或いはこれらの組み合わせ等を用いることができる。例えば、増幅産物量に応じて得られる上記信号の強度又は変化量、或いは信号が閾値に達するまでの時間(立ち上がり時間)又はPCR法を用いる場合はサイクル数(立ち上がりサイクル数)等の検出結果から標的miRNAの定量を行うことができる。
標的miRNAの定量値は、上記信号の検出結果と標的miRNAの存在量との関係を表す検量線を用いて決定され得る。検量線は、異なる既知の濃度で標的miRNAを含む複数の標準試料について信号の検出を行うことにより作成することができる。この検量線と、対象由来の試料について得られた信号の検出結果とを比較することによって、試料中の標的miRNAの存在量が算出され得る。例えば、試料中の標的miRNAの存在量は、試料の単位量当たりの標的miRNAのコピー数として得られ得る。
定量工程(S1)は、例えば、市販のキットを用いて行ってもよい。市販のキットの例は、TaqMan(登録商標)Advanced miRNA Assays(サーモフィッシャー製、ID:477827_mir)、miRCURY LNA miRNA PCR Assays(キアゲン製、カタログNo.YP02103132)、SYBR(登録商標)Green qPCR microRNA検出システム(オリジンテクノロジーズ製)等であり、標的miRNAを特異的に増幅するプライマーとともに用いられ得る。
より好ましい定量工程(S1)の例については、第3実施形態で説明する。
定量工程(S1)で得られた標的miRNAの定量値は、対象におけるがんの罹患の有無を判定するために用いることができる。
例えば、第1実施形態の分析方法は、図1の(b)に示す通り、定量工程(S1)の後に行われ得る判定工程(S2)を更に含み得る。判定工程(S2)では、標的miRNAの定量値が高い場合に対象ががんに罹患していると判定する。反対に、定量値が低い場合に対象はがんに罹患していないと判定され得る。定量値の高低は、例えば、予め得られた対照における標的miRNAの定量値又は閾値等を基準として判定される。例えば、定量値がそれらよりも高い場合には、対象ががんに罹患していると判定され得る。
対照とは、例えば、健常体である。健常体とは、少なくともがんに罹患していない個体をいう。健常体は、疾患や異常を有さない健康な個体であることが好ましい。対照として選択される個体は、本方法で分析される対象とは別の個体であってもよいが、同じ種に属する個体、即ち対象がヒトであればヒトであることが好ましい。また、対照の年齢、性別及び身長体重等の身体的条件又は人数は特に限定されるものではないが、身体的条件は、本分析方法で検査を受ける対象のものと同じ又は類似であることが好ましい。
対照における標的miRNAの定量値は、例えば、対照由来の同じ又は類似の試料を用いて、定量工程(S1)で用いられるのと同じ方法を用いて得られた標的miRNAの定量値である。
閾値は、例えば、がんに罹患している対象における定量値と、がんに罹患していない対照における定量値とを切り分けることができる標的miRNAの定量値である。閾値は、例えば、がんに罹患しているか否かが既知である標準対象由来の同じ若しくは類似の試料又はがんの株化細胞を含む試料等を用いて、定量工程(S1)で用いられるのと同様の方法によって得られた標的miRNAの定量値から決定することができる。閾値は限定されるものではなく、用いられる定量方法、試料の種類及び測定条件等に従って決定され得る。
或いは、閾値は対象ごとに決定されてもよい。例えば、健康診断等で定期的に測定される対象の健常なときの標的miRNA定量値をモニターしていれば、それを閾値として用いることにより、それより定量値が高いときにがんに罹患している可能性ありとしてアラームを出すことができる。閾値は個人ごとに異なり得る。例えば、通常標的miRNAの定量値が約10コピーで推移していた対象Aにおいて、あるとき10コピーとなった場合がんの可能性ありとすることができる。一方で、約10コピーで推移していた対象Bにおいては、あるとき10コピーとなった場合にがんの可能性ありとすることができる。
対照における定量値又は閾値は文献等の過去の知見から決定してもよい。
ここで、罹患しているとは、罹患している可能性が高いことも含む。反対に、罹患していないとは、罹患している可能性が低いことも含む。
更なる実施形態によれば、がんに罹患していると判定することは、対象におけるがんの予後又は再発を判定することも含む。例えば、分析方法は、図1の(c)に示すように、定量工程(S1)の後、定量の結果から対象におけるがんの予後又は再発の有無を判定する判定工程(S3)を含む。判定工程(S3)においては、例えば、定量値が高い場合には、対象におけるがんの予後が不良である、又はがんが再発している、或いはその可能性が高いと判定することが可能である。予後、再発の判定にも上記対照における定量値、閾値を用いることができる。特に対象ごとに決定された閾値を用いることが好ましい場合もあり得る。
また、判定工程(S2)及び/又は判定工程(S3)の後、判定結果に従って対象に適用するための治療法の種類又は薬剤の種類を選択することも可能である。例えば、分析方法は、図1の(d)に示すように、判定工程(S2)及び/又は判定工程(S3)の後、判定結果から対象に適用するための治療法の種類又は薬剤の種類を選択する選択工程(S4)を含む。ここで治療法又は薬剤は、がんの治療のためのものである。治療法の種類又は薬剤の種類は、治療法又は薬剤の使用量、タイミング若しくは期間を含む。
以上に説明した第1実施形態の分析方法によれば、1種類の標的miRNA(hsa-miR-1301-3p)を定量することにより、簡便に対象におけるがんの罹患の有無を判定することが可能である。言い換えれば、本方法によればがんに罹患した対象とがんに罹患していない対象とを簡単に識別することができる。
特に、実施形態の分析方法は、健康診断等で容易に採取できる血清を用いることが可能であるため、がんを早期に発見することができる。血清等を用いることで、細胞診等と比較して対象の肉体的及び経済的負担を大きく軽減することができるとともに、手順が容易であるため検査者にとっても負担が少ない。また、血清は、そこに含まれるmiRNA濃度が安定しているため、より正確な検査を行うことが可能である。
更なる実施形態によれば、対象由来の試料中の標的miRNAを定量すること(定量工程(S1))を含む、対象におけるがんの罹患の有無を判定を補助するための分析方法も提供される。
「判定を補助する」とは、例えば、対象ががんに罹患している可能性に関する情報を取得することを含む。「情報」とは、例えば、定量工程(S1)で得られる定量値であり得る。本方法によれば、対象におけるがんの罹患の有無判定、予後判定、再発の有無判定、又は対象に適用される治療法若しくは薬剤の選択等を行うためのより精度の高い情報を取得することができる。
更なる実施形態によれば、本分析方法は、対象由来でない試料中におけるがん細胞の検出等にも使用することができる。例えば、がん細胞を人工的に製造する場合に、製造された細胞含有溶液中にがん細胞が存在するか否かを確かめる際等にも使用することができる。
(マーカー)
第1実施形態によれば、hsa-miR-1301-3pを含む、がん検出用マーカーが提供される。
ここで、「マーカー」は、試料中のその有無又は濃度を検出することで、試料及び/又はその由来となる対象が特定の状態であるか否かを判定することのできる物質をいう。
第1実施形態のがん検出用マーカーは、例えば、対象由来の試料中のその存在量(定量値)を測定することで、上記したように対象におけるがんの罹患の有無判定、予後判定、再発の有無判定、又は対象に適用される治療法若しくは薬剤の選択等を行うことができる。
(キット)
第1実施形態によれば、がん検出用キットが提供される。
当該キットは、hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用(RT)プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用(EL)プライマー、hsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセット及びhsa-miR-1301-3pを検出するための核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を含む。
RTプライマーは、標的miRNAのcDNAを得るためのプライマーである。RTプライマーは、標的miRNAの少なくとも1部の配列に相補的な配列を含む。RTプライマーは、標的miRNAのcDNAを増幅しやすくするcDNAに付加する人工配列を更に含んでもよい。
ELプライマーは、標的miRNAのcDNAを増幅しやすくするために、cDNAに人工配列を付加するためのプライマーである。ELプライマーは、標的miRNAのcDNAの少なくとも1部の配列に相補的な配列と、cDNAの伸長用に付加する配列とを含み得る。
増幅用プライマーセットは、例えばPCR法用であり、少なくともフォワードプライマーとリバースプライマーとを含む。或いは増幅用プライマーセットはLAMP法用であり、少なくともFIPプライマー及びBIPプライマーを含む。必要に応じて、F3プライマー、B3プライマー及び/又はループプライマーを含んでもよい。
増幅用プライマーセットに含まれる各プライマーは、標的miRNAのcDNA又はその相補配列と結合するように設計されてもよいし、RTプライマー及び/又はELプライマーによって付加された人工配列と結合するように設計されてもよい。RTプライマー、ELプライマー及び増幅用プライマーセットの好ましい配列については、第3実施形態で説明する。
核酸プローブは、標的miRNA、そのcDNA、或いはその増幅産物の少なくとも1部の配列又はその相補配列を有し得る。
キットに含まれる上記核酸は、個別に又は何れかが組み合わされて適切な担体とともに容器に収容されて提供されてもよい。適切な担体は、例えば、水、生理的溶液又は緩衝液等である。容器は、例えば、チューブ又はマイクロタイタープレート等である。或いは、これら核酸はマイクロ流体チップ等の固相に固定されて提供されてもよい。
キットは、上記核酸の他に、逆転写、伸長及び/又は増幅に用いられる試薬、例えば酵素、基質及び/又は検出に用いられる光学的信号又は電気的化学信号を生じる標識物質等を含んでもよい。標識物質は、例えば、SYBR GreenやEVA Green、SYTO 82などの蛍光色素、電流検出する場合はルテニウムヘキサアミンなどの金属錯体等の指示薬である。
キットは、例えば、上記のように対象におけるがんの罹患の有無判定、予後判定、再発の有無判定、治療法の種類又は薬剤の種類の選択等に使用することができる。
更なる実施形態によれば、がん検出用キットは、がんの診断用組成物又は診断薬として提供される。また、実施形態によれば、がんの診断用組成物又はがんの診断薬の製造における上記核酸の少なくとも1種の使用も提供される。
・第2実施形態
(分析方法)
第2実施形態の分析方法は、図2の(a)に示すように、対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量すること(定量工程(S11))を含む、対象における乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんから選択される少なくとも1つの罹患の有無を判定する方法である。
乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんを、以下ではまとめて「標的がん」とも称する。
定量工程(S11)は、第1実施形態の定量工程(S1)同様に行うことができるが、増幅はLAMP法を用いて行われ得る。対象及び試料は、第1実施形態と同様とすることができるが、対象は標的がんの少なくとも1つに罹患している可能性がある動物、或いは過去に標的がんの少なくとも1つに罹患したことのある動物等であってもよい。
定量工程(S11)で得られた標的miRNAの定量結果は、対象における標的がんの少なくとも1つを検出するために用いることができる。
例えば、第2実施形態に従う分析方法は、図2の(b)に示すように定量工程(S11)の後に行われ得る判定工程(S12)を更に含み得る。判定工程(S12)では、標的miRNAの定量値が高い場合に、対象は、標的がんの少なくとも1つに罹患していると判定され得る。定量値の高低は、例えば、予め得られた対照における標的miRNAの定量値又は閾値等を基準として判定される。
第2実施形態において対照は、例えば、標的がんの何れにも罹患していない個体をいう。対照は、健常体や他の疾患を罹患する個体であってもよいが、他のがんに罹患した個体であることが好ましい。他のがんは、標的がん以外に分類されるがんである。他のがんは例えば子宮肉腫である。
閾値は、例えば、標的がんに罹患している対象における定量値と、標的がんに罹患していない対照における定量値とを切り分けることができる標的miRNAの定量値であるが、標的がんに罹患している対象における定量値と、子宮肉腫に罹患している対照における定量値とを切り分けることができる定量値であることが好ましい。閾値は、例えば、がんに罹患しているか否か又は罹患しているがんの種類が既知である標準対象由来の同じ若しくは類似の試料又は標的がんの株化細胞を含む試料等から得られた標的miRNA定量値から決定することができる。閾値は限定されるものではなく、用いられる定量方法、試料の種類及び測定条件等に従って決定され得る。
対照における定量値又は閾値は文献等の過去の知見から決定してもよい。
定量工程(S11)で得られた定量値が高い場合に、対象は、子宮肉腫ではなく、標的がんの少なくとも1つに罹患していると判定することができる。言い換えれば、本分析方法によれば、標的がんに罹患した対象と、子宮肉腫に罹患した対象又はがんに罹患していない対象とを識別することが可能である。
判定工程(S12)を子宮肉腫の対照の定量値及び/又は標的がんと子宮肉腫とを切り分けるための閾値を基準として行うことにより、標的がんの罹患の有無を、子宮肉腫がんとより正確に識別して判定することができる。
以上に説明した第2実施形態の分析方法によれば、1種類の標的miRNA(hsa-miR-1301-3p)を定量することにより、簡便に対象における標的がんの少なくとも1つの罹患の有無を判定することが可能である。
第2実施形態の分析方法は、図2の(c)に示すように、定量工程(S11)の後、定量結果から対象における標的がんの予後又は再発の有無を判定する判定工程(S13)を含んでもよい。また、判定工程(S12)及び/又は判定工程(S13)の後に、その結果に従って対象に適用するための治療法の種類又は薬剤の種類を選択する選択工程(S14)を含んでもよい。
更なる実施形態によれば、対象由来の試料中の標的miRNAを定量すること(定量工程(S11))を含む、対象における標的がんの少なくとも1つの罹患の有無の判定を補助するための分析方法も提供される。本方法によれば、対象における標的がんの罹患の有無判定、予後判定、再発の有無判定、又は対象に適用される治療法若しくは薬剤の選択等を行うためのより精度の高い情報を取得することができる。
第2実施形態によれば、hsa-miR-1301-3pを含む、標的がん検出用マーカーも提供される。
第2実施形態によれば、標的がん検出用キットも提供される。第2実施形態に係るキットは、第1実施形態に説明したものと同様の核酸を含むが、プライマーセットはLAMP法用のものであり得る。キットは、定量工程に必要な試薬を更に含んでもよい。第2実施形態に係るキットは、標的がんの少なくとも1つを検出するための診断用組成物又は診断薬として提供されてもよい。また第2実施形態によれば当該診断用組成物又は診断薬の製造における上記核酸の少なくとも1種の使用も提供される。
LAMP法によって得られたhsa-miR-1301-3pの定量値は、標的がんをユニバーサルに検出するために用いることができる。例えば、対象から得られた細胞においてhsa-miR-1301-3pの定量値が閾値以上であった場合、対象は標的がんの少なくとも1つに罹患していると判定することができる。更に各標的がんに特異的な他のマーカーを定量することにより、対象が標的がんのうち何れに罹患しているかを更に正確に判定することも可能である。
他のマーカーは、例えば、標的がんの少なくとも1つを検出するための、hsa-miR-1301-3p以外のマーカーである。
例えば、前立腺がんで発現量の多いhsa-miR-92a-3pを併用することができる。hsa-miR-92a-3pは次の配列:
UAUUGCACUUGUCCCGGCCUGU(配列番号2)
を有するmiRNAである。標的miRNAとhsa-miR-92a-3pとの両方の定量値が高いとき、対象が前立腺がんに罹患していると判定することができる。
また、膵臓がんで発現量の多いhsa-miR-122a-5pを併用することができる。hsa-miR-122a-5pは次の配列:
UGGAGUGUGACAAUGGUGUUUG(配列番号3)
を有するmiRNAである。標的miRNAとhsa-miR-122a-5pとの両方の定量値が高いとき、対象が膵臓がんに罹患していると判定することができる。
他のマーカーの定量値は、定量工程(S1)と同様の方法で取得することが好ましい。
他のマーカーは上記のものに限定されるものではなく、標的がんの何れかを検出するためのマーカーとして知られる何れのマーカーも使用することが可能である。他のマーカーはmiRNAでなくともよく、DNA、ペプチド又はタンパク質等であってもよい。
この例におけるキットは、上記他のマーカーを検出するためのRTプライマー、ELプライマー、増幅用プライマーセット及び/又は核酸プローブを更に含んでもよい。
・第3実施形態
第3実施形態では、標的miRNAを定量する工程の好ましい一例について説明する。この例においては、標的miRNAを特異的に逆転写し、人工配列を付加して伸長し、伸長産物をLAMP法により増幅し、得られた増幅産物を検出する。以下では、標的miRNAの配列(配列番号1)を「第1の配列」とも称する。
定量工程(S1)は、例えば、図3に示す次の工程を含む:
(S1-1)標的miRNAの第1の配列とハイブリダイズする第1プライマー部及び第1LAMP認識配列を含む逆転写用(RT)プライマーの、第1プライマー部を第1の配列とハイブリダイズさせ、第1の配列を逆転写し、標的miRNAのcDNA(第1aの配列)を含む逆転写産物を得る逆転写工程、
(S1-2)逆転写産物と標的miRNAとを解離させる解離工程、
(S1-3)第1aの配列とハイブリダイズする第2プライマー部、及び第2LAMP認識配列を含む伸長用(EL)プライマーの第2プライマー部を逆転写産物の第1aの配列とハイブリダイズさせ、ELプライマー及び逆転写産物を、互いを鋳型として伸長させて、第1aの配列5の相補配列(即ち、第1の配列に対応するDNA配列)を含む伸長産物を得る伸長工程、
(S1-4)伸長産物をLAMP反応により増幅し、増幅産物を得る増幅工程、及び
(S1-5)得られた増幅産物を検出する検出工程。
以下、各工程について、図4を用いて詳細に説明する。
逆転写工程(S1-1)には、例えば、RTプライマー3、逆転写酵素、塩及びデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)等の基質(必要に応じて反応試薬としての増粘剤、pH調製用緩衝材、界面活性剤、アニーリング特異性を増大するイオン及び/又は逆転写酵素の補因子となるイオン)等を含む逆転写溶液が用いられる。逆転写酵素として、例えば、M-MuLV逆転写酵素、AMV逆転写酵素、トランスクリプター逆転写酵素、SuperScript(登録商標)トランスクリプター逆転写酵素、又はMultiScribe逆転写酵素等を用いることができる。
RTプライマー3は、第1プライマー部4a及び第1LAMP認識配列4bを含む。第1プライマー部4aは、第1の配列2とハイブリダイズして、第1の配列2を逆転写してcDNA(第1aの配列5)を生成するためのプライマーとして働く核酸配列である。第1プライマー部4aは、例えば、第1の配列2の3’末端を含む連続した少なくとも5つの塩基配列の相補配列を有する。
第1LAMP認識配列4bは、増幅工程(S1-4)において増幅用プライマーが結合する配列(認識配列)を含む核酸塩基配列である。認識配列は、一般にLAMP増幅用のプライマーにおいて用いられるものであってもよい。例えば、第1LAMP認識配列4bは、第1プライマー部4a側から5’末端に向かう順番で、B1配列、B2配列、B3配列及び/又はLB配列を含んでもよい。
逆転写溶液中におけるRTプライマー3の濃度は、5~50nMであることが好ましい。この濃度範囲であることによって反応の特異性及び効率をより向上させることができる。
逆転写工程(S1-1)においては、逆転写溶液と試料と混合し、例えば約10℃~55℃に維持することが好ましい。それによって、第1プライマー部4aが第1の配列2とハイブリダイズし、第1の配列2を逆転写し、標的miRNA1のcDNA(第1aの配列5)を含む逆転写産物6が得られる。
解離工程(S1-2)は、例えば、逆転写後の反応液を80℃~100℃に加熱することによって行うことができる。この条件に維持することによって、逆転写産物6と標的miRNA1とが解離する。
伸長工程(S1-3)には、例えば、ELプライマー7、DNAポリメラーゼ、塩及びdNTP等の基質(必要に応じて増粘剤、pH調製用緩衝材、界面活性剤及びイオン)等を、逆転写産物6を含む伸長溶液が用いられる。
ELプライマー7は、第2プライマー部8a、及び第2LAMP認識配列8bを含む。第2プライマー部8aは、第1aの配列5とハイブリダイズして、その相補配列9を生成するためのプライマーとして働く核酸配列である。第2プライマー部8aは、例えば、第1aの配列5の3’末端を含む連続した少なくとも5つの塩基配列の相補配列を有する。
第2LAMP認識配列8bは、増幅工程(S1-4)において増幅用プライマーが結合する配列(認識配列)を含む核酸塩基配列である。例えば、第2LAMP認識配列8bは、第2プライマー部8a側から5’末端に向かう順番で、F1配列、F2配列、F3配列及び/又はLF配列を含んでもよい。
伸長溶液中におけるELプライマー7の濃度は、5~100nMであることが好ましい。この濃度範囲であることによって反応の特異性及び効率をより向上させることができる。
伸長工程(S1-3)においては、伸長溶液と解離工程後の逆転写産物6を含む反応液とを混合し約10℃~80℃に維持することが好ましい。それによって、ELプライマー7の第2プライマー部8aが逆転写産物6の第1aの配列5とハイブリダイズし、ELプライマー7及び逆転写産物6が互いを鋳型として伸長し、第1aの配列5の相補配列9(即ち、第1の配列に対応するDNA配列)を含む伸長産物10が得られる。
第1プライマー部4a、第2プライマー部8aは、DNAのみで構成されていてもよいし、LNA及び/又はPNAを含んでいてもよい。これらを多く含むほどハイブリダイゼーションの結合力を強くすることができる。従って、LNA及び/又はPNAの数は、ハイブリダイゼーションさせる配列との所望のTm値に従って決定されればよい。例えば、LNA及び/又はPNAを含ませると、より高い温度で逆転写工程(S1-1)及び伸長工程(S1-3)を行うことができ、非特異的な結合を抑制することが可能である。その結果より精度よく標的miRNAを逆転写及び伸長することが可能である。
第1LAMP認識配列4b及び第2LAMP認識配列8bは、下記の(1)~(7)の組み合わせで認識配列を含むことが好ましい。ここで、下記の各認識配列の順番は、第1プライマー部4a又は第2プライマー部8a側から5’末端に向かう順番である。「c」は、その直前に記載された配列の相補配列を意味する。例えば、「LBc配列」は、LB配列の相補配列を意味する。「ダミー配列」は、第1aの配列、F2配列、F1配列、LF配列、B1配列、B2配列、LB配列及びその相補配列とは異なる塩基配列を有する核酸配列である。
(1)第1LAMP認識配列4bはB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはB1c配列、F1配列及びF2配列を含む。
(この場合、第1aの配列の相補配列9の少なくとも1部をLB配列とする。)
(2)第1LAMP認識配列4bはLBc配列及びB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはB1c配列、F1配列及びF2配列を含む。
(3)第1LAMP認識配列4bはダミー配列及びB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはB1c配列、F1配列及びF2配列を含む。
(4)第1LAMP認識配列4bはB1配列及びB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはF1配列、LFc配列及びF2配列を含む。
(5)第1LAMP認識配列4bはB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはF1配列、LFc配列及びF2配列を含む。
(6)第1LAMP認識配列4bはLBc配列及びB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはF1配列及びF2配列を含む。
(7)第1LAMP認識配列4bはB1配列及びB2配列を含み、
第2LAMP認識配列8bはLFc配列及びF2配列を含む。
RTプライマー3の第1プライマー部4aと第1LAMP認識配列4bとの間、ELプライマー7の第2プライマー部8aと第2LAMP認識配列8bとの間、及び/又は各LAMP認識配列に含まれる各認識配列の間には、スペーサー配列が存在していてもよい。スペーサー配列は、第1aの配列、各認識配列及びそれらの相補配列の配列とは異なり、かつ後述する伸長産物の増幅反応に悪影響を与えない核酸配列である。スペーサー配列は、DNAのみで構成されていてもよいし、LNA及び/又はPNAを含んでいてもよい。例えば、スペーサー配列は、1塩基~16塩基であり、ポリT配列又はポリA配列等であることが好ましい。
増幅工程(S1-4)は、LAMP法を用いて行われる。この工程においては、例えば、増幅用プライマーセット、鎖置換型DNAポリメラーゼ、塩及びdNTP等の基質(必要に応じて増粘剤、pH調製用緩衝材、界面活性剤及びイオン)等を含む増幅溶液が用いられる。
増幅用プライマーセットの種類及び配列は、第1LAMP認識配列4b及び第2LAMP認識配列8bの配列に従って選択される。例えば、増幅用プライマーセットは、第1LAMP認識配列4b及び第2LAMP認識配列8bの配列に対応するFIPプライマー及びBIPプライマーを含む。必要であれば、F3プライマー、B3プライマー及び/又はLFプライマー若しくはLBプライマー等のループプライマーを更に含んでもよい。
RTプライマー3、及びELプライマー7のLAMP認識配列の組み合わせを上記(1)~(7)とする場合、増幅用プライマーセットは、以下の組み合わせとすることが好ましい。なお、下記(1)~(7)は、上記(1)~(7)にそれぞれ対応するものである。
(1)F2配列及びF1c配列を含むFIPプライマー、
B2配列及びB1c配列を含むBIPプライマー、及び
第1aの配列の相補配列9を含むLBプライマー。
(2)F2配列及びF1c配列を含むFIPプライマー
B2配列及びB1c配列を含むBIPプライマー、及び
LB配列を含むLBプライマー。
(3)F2配列及びF1c配列を含むFIPプライマー
B2配列及びB1c配列を含むBIPプライマー、及び
第1aの配列の相補配列9を含むLBプライマー。
(4)B2配列及びB1c配列を含むFIPプライマー
F2配列及びF1c配列を含むBIPプライマー、及び
LF配列を含むLFプライマー。
(5)F2配列及びF1c配列を含むFIPプライマー
B2配列及び第1aの配列の相補配列9を含むBIPプライマー、及び
LF配列を含むLFプライマー。
(6)F2配列及びF1c配列を含むFIPプライマー
B2配列及び第1aの配列の相補配列9を含むBIPプライマー、及び
LB配列を含むLBプライマー。
(7)F2配列及び第1aの配列5を含むFIPプライマー
B2配列及びB1c配列を含むBIPプライマー、及び
LF配列を含むLFプライマー。
上記(1)の組み合わせとする場合がより好ましい。また、上記(1)の組み合わせとする場合、RTプライマー3、ELプライマー7、増幅用プライマーセットとして、例えば、以下の表1に示すプライマーセットA~D又はプライマーセットJを用いることが好ましい。
Figure 2023062172000001

Figure 2023062172000002

特に、プライマーセットA又はJを用いることが好ましい。これらのプライマーセットは他のプライマーセットよりも特に安定性に優れている。プライマーセットJはより安定性に優れており、より好ましい。安定性に優れているとは、複数回検出行った場合結果にずれが生じにくく、また非特異的増幅が起こりにくく、より信頼性の高い結果が得られることをいう。
各プライマーの配列は上記表に示すものに限定されるものではなく、上記配列のうち1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも使用することができる。
FIPプライマー、BIPプライマー、LBプライマーの増幅溶液中の濃度は、FIPプライマー、BIPプライマーは0.8μM~2.4μM、LBプライマーは、0.4μM~1.2μMであることが好ましい。この濃度範囲であることによって反応の特異性及び効率をより向上させることができる。
増幅工程(S1-4)においては、伸長産物10を含む溶液と、増幅溶液との混合物を等温増幅反応条件下で維持する。例えば、等温増幅条件は、温度50~75℃の等温を30~90分間などとすればよいが、温度は、60~70℃であることが好ましい。それにより伸長産物10が増幅され、標的miRNA1のcDNA(第1aの配列5)及びその相補配列を含む増幅産物が得られる。
検出工程(S1-5)は、増幅工程(S1-4)中に経時的に増幅産物の増加に応じて変化する信号を検出し、信号の立ち上がり時間を測定し、その結果標的miRNAの定量を行うことが好ましい。経時的とは、連続的であってもよいし、所望の時間間隔で複数の時点で検出することであってもよい。
信号として、例えば反応液の濁度、又は反応液からの光学的信号若しくは電気化学的信号等を用いることが好ましい。光学的信号を用いる場合、例えば、増幅産物の増加に応じて変化する光学的信号を生ずる標識物質の存在下で増幅反応を行うことが好ましい。この場合、標識物質は、例えば蛍光試薬又はインターカレータ等の指示薬である。電気化学的信号を用いる場合、例えば、増幅産物の増加に応じて変化する電気化学的信号を生ずる標識物質の存在下で増幅反応を行うことが好ましい。この場合、標識物質は、例えばレドックスプローブ等である。
検出は、例えば、検出用デバイスを用いて行うことが好ましい。検出用デバイスは、例えばチップを含む。チップは、標的miRNAを増幅し、増幅産物を検出する増幅検出部であり、例えば、基板と、基板の1つの面上に備えられた1つ以上の検出領域とを備える。例えば、前記1つの面上で逆転写工程(S1-1)~増幅工程(S1-4)を行うことができ、増幅産物が存在すると、検出領域で信号を検出することができる。また、検出デバイスは増幅検出部で得られた検出の結果から標的miRNAの定量値を算出する算出部を更に備え得る。
検出領域は、光学的信号を用いる場合、例えば光学センサである。検出領域は、電気化学的信号を用いる場合、例えば電極である。電極は、例えば金であれば感度が良好であるため好ましい。
検出領域の付近には標的miRNAを逆転写するための逆転写用プライマー、標的miRNAを伸長するための伸長用プライマー及び/又は標的miRNAを増幅するための増幅用プライマーセットが遊離可能に固定されていてもよい。
また、検出工程(S1-5)には、核酸プローブを用いてもよい。核酸プローブは増幅産物とハイブリダイズする配列を有し、核酸プローブと増幅産物とのハイブリダイゼーションを検出することにより、増幅産物を検出することができる。例えば、上記検出用デバイスの検出領域付近に核酸プローブが固定されていてもよい。
次に、検出工程(S1-5)で得られた信号の立ち上がり時間から試料中の標的miRNAを定量する。例えば、立ち上がり時間が早いほど標的miRNAの存在量が多いと決定することができる。例えば、立ち上がり時間と標的miRNAの存在量との関係を表す検量線を用いて、試料中の標的miRNAの定量を行うことが好ましい。
以上に説明した第3実施形態の定量工程によれば、標的miRNAをより特異的かつ効率的に逆転写し、伸長し、増幅し、検出することができる。したがって、第1実施形態の定量工程(S1)及び第2実施形態の定量工程(S11)を第3実施形態の定量工程で行うことにより、より精度よくがん、特に、標的がんの少なくとも1つの罹患の有無を判定することが可能である。
更なる実施形態において、RNAの抽出効率は細胞の種類によって異なる場合がある。そのため、定量工程で得られた定量値は判定工程に用いる前にRNA抽出効率に基づいて補正することが好ましい。補正は例えば次のように行うことができる。予め試料に既知の量の標準miRNAを添加する。例えば試料からRNAを抽出するための試薬に標準miRNAを添加(spike-in)する。その後、標的miRNAとともに標準miRNAを抽出し、標的miRNAの定量とともに標準miRNAの定量も行う。その後、標準miRNAの定量値から抽出効率を評価し、標的miRNAの定量値を補正することができる。
標準miRNAの定量は専用のプライマーセットを用いて例えば図4に示す方法で標的miRNAの定量と同じように行うことが好ましい。
標準miRNAは、対象に存在しないmiRNAを用いることが好ましい。標準miRNAとして例えば線虫に存在するcel-miR-39-3pを用いることができる。cel-miR-39-3pは次の配列:
UCACCGGGUGUAAAUCAGCUUG(配列番号49)
を有するmiRNAである。
cel-miR-39-3pは下記表2に記載のプライマーセットKを用いて定量することができる。
Figure 2023062172000003

各プライマーの配列は上記表に示すものに限定されるものではなく、上記配列のうち1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも使用することができる。
例えば標的miRNAの定量値を標準miRNAの定量値で除することによって補正値が得られる。補正値を次の判定工程に使用することによって、より正確な判定を行うことが可能である。
第3実施形態の方法においてもがん、又は標的がんの罹患の有無を判定するためのキットが提供される。このキットは、例えば、上記の何れかのRTプライマー3、ELプライマー7、増幅用プライマーセット、及び/又は核酸プローブを含むことが好ましい。例えば、キットは、上記表1に示すプライマーセットA~D及びJから選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、第3実施形態の方法においても、第2実施形態において説明した他のマーカーを併用することができる。その場合、他のマーカーも第3実施形態の方法で定量することが好ましい。また、その場合、キットは、他のマーカーのためのRTプライマー、ELプライマー、増幅用プライマーセットを更に含んでもよい。
例えば、hsa-miR-92a-3pを併用する場合、キットは、以下の表3に記載のプライマーセットE~Gの何れかを更に含むことが好ましい。LBプライマーについては、何れのプライマーセットにおいても配列番号25又は26のどちらかを用いることができる。
Figure 2023062172000004

各プライマーの配列は上記表に示すものに限定されるものではなく、上記配列のうち1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも使用することができる。
hsa-miR-122-5pを併用する場合、以下の表4に記載のプライマーセットH又はIを用いることが好ましい。LBプライマーについては、何れのプライマーセットにおいても配列番号39又は40のどちらかを用いることができる。
Figure 2023062172000005

各プライマーの配列は上記表に示すものに限定されるものではなく、上記配列のうち1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも使用することができる。
表3及び4に示すプライマーセットを用いれば、より特異的にhsa-miR-92a-3p及びhsa-miR-122-5pを定量することができる。それにより、前立腺がん及び膵臓がんの検出精度がより向上する。キットに含ませる他のマーカーのためのプライマーセットは上記のものに限定されるものではなく、他の何れのプライマーセットもキットに含ませることが可能である。
或いは、第3実施形態の定量工程及びキットは、標的miRNAをより特異的に検出及び定量することが可能であるため、標的miRNAをマーカーとして用いる他の疾患の検出に用いた場合もその検出をより精度よく行うことができる。例えば、他の疾患とは、神経障害、認知症、肝炎、心疾患、リウマチなどの自己免疫疾患等である。
また、第3実施形態に係るキットは、補正用のmiRNAを定量するためのプライマーセット又は核酸プローブを含んでもよい。例えばキットは表2に示すプライマーセットKを更に含んでもよい。
[例]
以下に、実施形態の分析方法又はキットを用いて行った実験について記載する。
例1.qRT-PCR法を用いた健常者及びがん患者におけるhsa-miR-1301-3pの定量
健常者29検体、乳がん患者15検体、大腸がん患者6検体、胃がん患者5検体、肺がん患者3検体、卵巣がん患者5検体、膵臓がん患者8検体、胆管がん患者5検体、食道がん患者5検体、肝臓がん患者5検体、脳腫瘍患者5検体、膀胱がん患者4検体、前立腺がん患者5検体、肉腫患者5検体、子宮体がん患者4検体、子宮肉腫患者5検体から得られた合計114検体の血清を用意した。
(hsa-miR-1301-3pの定量)
全ての血清からRNAを抽出した。抽出は、NucleoSpin(登録商標)miRNA Plasma(商品名、タカラバイオ製)を用いて行った。cel-miR-39-3pの合成RNAをspike-inし抽出を行った。
次に、抽出サンプル中に存在する短鎖RNAを逆転写しcDNAを合成及び増幅した。合成は、TaqMan(登録商標)Advanced miRNA Assay(商品名、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)の取扱説明書にしたがって、TaqMan(登録商標)Advanced miRNA cDNA Synthesis Kit(商品名、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)を用いて行った。
続いて、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(商品名、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)及びTaqMan(登録商標)Advanced miRNA Assay ID:477897_mirを用いてTaqMan PCRを行い、Ct値を測定した。サンプルとともに、異なる濃度の配列番号1の合成RNA(10、10、10、10コピー/μL)を用いて同様に反応させて検量線とした。
(cel-miR-39-3pの定量)
上記血清サンプルの、cel-miR-39-3p(配列番号49)を、定量した。cel-miR-39-3pの長鎖化及び増幅はhsa-miR-1301-3pと同様の方法で行った。また、cel-miR-39-3pを10,10,10,10コピー/μLで反応させて検量線を作成した。検量線と比較することによりcel-miR-39-3pの定量値を得た。
(補正値の算出)
次にhsa-miR-1301-3pの定量値をcel-miR-39-3pの定量値で除して補正値を得た。
図5は健常者及び各がん患者におけるhsa-miR-1301-3pの定量値の補正値の箱ひげ図を示す。補正値は、健常者では0~約0.4の範囲に分布し、がん患者では約0.55~約1を超える範囲に分布していた。この結果から、がん患者では血清中のhsa-miR-1301-3pの存在量が多いことが示された。
図6は、補正値を健常者群とがん患者群とで区分した結果を示す箱ひげ図である。がん患者群は健常者以外の全てのがん患者の結果を併せたものであり、健常者より高い値に分布した。健常者群及びがん患者群を切り分けるAUC(Area Under Curve)は、0.98であった。
したがって、hsa-miR-1301-3pは、健常者とがん患者とを識別して検出するためのマーカーとして高性能であることが示された。
例2.LAMP法を用いた健常者及びがん患者におけるhsa-miR-1301-3pの定量
(hsa-miR-1301-3pの定量)
例1と同様の検体から得られた血清を用意した。例1と同じ方法で検体からRNAの抽出を行った。抽出サンプル2μLを、反応体積20μL、16℃10分、42℃5分、85℃5分の条件で逆転写した。逆転写反応液の組成は、67unit MultiScribe(登録商標)Reverse Transcriptase(*)、1×RT Buffer(*)、0.1mMのdNTPs(*)、4UのRNaseOUT(商品名、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)、10nMのRTプライマーとした。「*」を付したものは全てHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(商品名、サーモフィッシャー・サイエンティフィック製)に含まれているものを用いた。
逆転写後の反応液に、伸長溶液5μLを添加して、95℃2分後、95℃20秒-59℃30秒-72℃10秒のサイクルを20回かけて伸長を行った。伸長溶液は、25μL中に、DeepVent(exo-)DNApolymerase(0.5U、ニューイングランドバイオ)を含み、終濃度が、0.2×ThermoPol Buffer(DeepVent(exo-)DNApolymerase付属)、0.2mMのMgSO、0.12mMのdNTPs、10nMのELプライマーとなるよう調整した。
次に、伸長した産物1μLを、反応体積25μL、65℃60分の条件でLAMP増幅を行い、同時に蛍光強度の立ち上り時間を測定した。LAMP増幅溶液は、8UのTin(exo-)LF DNApolymerase(Optigene)、0.5μLのEvaGreen(登録商標)(Biotium)を含み、終濃度がそれぞれ、20mMのTris-HCl(pH8.0)、50mMのKCl、8mMのMgSO、10mMの(NH4)SO4、0.1%のTween-20、0.8Mのベタイン、各1.4mMのdNTPs、1.6μMのFIPプライマー、1.6μMのBIPプライマー、及び0.8μMのLBプライマーとなるよう調整した。リアルタイムPCR装置にて、経時的に蛍光強度を測定し、閾値を超える時間を測定した。
上記RTプライマー、ELプライマー、FIPプライマー、BIPプライマー及びLBプライマーは、表1のプライマーセットA又はプライマーセットJを用いた。
サンプルとともに、既知の濃度の配列番号1の合成RNAを上記のプライマーを用いて逆転写、伸長及びLAMP増幅し、同様に蛍光強度の立ち上り時間を測定した。合成RNAの濃度は、プライマーセットAについては0、10、10、10及び10コピー/μL、プライマーセットJについては0、5×10、5×10、5×10、5×10コピー/μLとした。この結果を用いて配列番号1のRNAのコピー数と立ち上がり時間の検量線を作成し、この検量線を用いて、各検体における立ち上がり時間からRNAのコピー数を算出した。
(cel-miR-39-3pの定量)
上記血清サンプルの、cel-miR-39-3p(配列番号49)を定量した。cel-miR-39-3p抽出、長鎖化及び増幅はhsa-miR-1301-3pと同様の方法で行った。cel-miR-39-3pの逆転写は、20nM RT プライマー、長鎖化は40nM EL プライマーを用いた。増幅は、1.6μMのFIPプライマー、1.6μMのBIPプライマー、及び0.8μMのLBプライマーを用いた。
上記RTプライマー、ELプライマー、FIPプライマー、BIPプライマー及びLBプライマーは、表2のプライマーセットKを用いた。
また、cel-miR-39-3pを10,10,10,10コピー/μLで反応させて検量線を作成した。検量線と比較することによりcel-miR-39-3pの定量値を得た。
(補正値の算出)
次にhsa-miR-1301-3pの定量値をcel-miR-39-3pの定量値で除して補正値を得た。
図7は、プライマーセットAを用いた場合の健常者及び各がん患者におけるhsa-miR-1301-3pの補正値の箱ひげ図を示す。hsa-miR-1301-3pは、健常者では約0.15~約0.55の範囲に分布しているのに対し、がん患者では約0.35~約0.95の高い値の範囲に分布した。また、子宮肉腫を除く標的がんの患者では約0.5~約0.95のより高い値の範囲に分布した。この結果から、がん患者、特に標的がんの患者では血清中のhsa-miR-1301-3pの存在量が多いことが示された。
図8は、図7の補正値を健常者群とがん患者群とで区分した結果を示す箱ひげ図である。がん患者群は上記健常者以外の全てのがん患者の結果を併せたものであり、健常者より高い値に分布した。健常者群及びがん患者群を切り分けるAUCは、0.93であった。
図9は、図10の補正値を標的がんの患者群と、子宮肉腫の患者群とで区分した結果を示す箱ひげ図である。他がん患者群は健常者群より高い値に分布し、標的がん患者群は、子宮肉腫の患者群よりも更に高い値に分布した。他がん患者群と4種のがん患者群とを切り分けるAUCは0.95であった。
図10は、プライマーセットJを用いた場合の健常者及び各がん患者におけるhsa-miR-1301-3pの補正値を示す。hsa-miR-1301-3pは、健常者では約0.25~約0.50の範囲に分布しているのに対し、がん患者では約0.42~約0.80の高い値の範囲に分布した。また、標的がんの患者では子宮肉腫よりも高い値の範囲に分布した。この結果から、がん患者、特に標的がんの患者では血清中のhsa-miR-1301-3pの存在量が多いことが示された。
図11は、図10の補正値を健常者群とがん患者群とで区分した結果を示す箱ひげ図である。がん患者群は上記健常者以外の全てのがん患者の結果を併せたものであり、健常者より高い値に分布した。健常者群及びがん患者群を切り分けるAUCは、0.90であった。
図12は、図10の補正値を標的がんの患者群と、子宮肉腫の患者群とで区分した結果を示す箱ひげ図である。他がん患者群は健常者群より高い値に分布し、標的がん患者群は、子宮肉腫の患者群よりも更に高い値に分布した。子宮肉腫群と4種のがん患者群とを切り分けるAUCは0.92であった。
したがって、hsa-miR-1301-3pは、健常者とがん患者とを識別して検出するためのマーカー、又は標的がんを健常者又は子宮肉腫患者とを識別して検出するためのマーカーとして高性能であることが示された。
また、プライマーセットの安定性を評価した。複数種類のプライマーセットを用いて既知のコピー数のhsa-miR-1301-3pを定量して検量線を作成した。増幅はリアルタイムPCR装置にて、経時的に蛍光強度を測定し、閾値を超える時間を測定した。測定は2連で行い、閾値を超えた時間の平均値とCVを算出した。定量を複数回繰り返し、検量線の式の再現性を評価した。結果の優れていたプライマーセットAにおける結果を表5に、より結果の優れていたプライマーセットJにおける結果を表6に示す。プライマーセットAについて6回(run1~6)、プライマーセットJについては5回(run1~5)検量線を作成した。
Figure 2023062172000006
Figure 2023062172000007

表5に示す通り、プライマーセットAにおける検量線の傾きは2.15~2.72の範囲でありばらつきが少なかった。したがって、プライマーセットAはより安定してmiRNAを定量できる優れたプライマーセットであることが明らかとなった。
表6に示す通り、プライマーセットJにおける検量線の傾きは2.75~2.90であり、プライマーセットAと比べて更にばらつきが少なかった。またrun1~5の何れにおいてもmiRNAの濃度が0コピーであるとき蛍光の立ち上がりが観察されず、非特異的増幅が起きにくいことが明らかとなった。また、プライマーセットJではプライマーセットAと同じ濃度で比較したときもばらつきが少ない。例えば、プライマーセットAでは10コピーの時の立ち上がり時間はrunごとにばらつきがあるが、プライマーセットJについては5×10の立ち上がり時間はrunごとにばらつきが少ない。
以上のことから、プライマーセットJはより安定してmiRNAを定量できるより優れたプライマーセットであることが明らかとなった。
例3.電気化学的検出
例2で使用したFIPプライマー及びBIPプライマー(各48μM)、LBプライマー(24μM)を含むプライマー溶液を調製した。シリコーン製流路パッキン(流路幅×高さ:1mm×1mm)にプライマー溶液100nLを、微量分注機を用いてスポットした。電極をパターニングしたDNAチップ基板(ガラス(0.8mm)/チタン(500nm)/金(2000nm))と該流路パッキンとをカセットに組み込み、チップを作製した。
次に、表7に示す組成のLAMP増幅反応液を調整した。
Figure 2023062172000008

上記LAMP増幅反応液に、例2で用いた伸長後の鋳型を1μL添加し、表8に示す条件で電気化学測定を行った。
Figure 2023062172000009

LAMP増幅反応が開始されると、ルテニウムヘキサアミン(RuHex)の還元電流値が増加し始めた。電流が増加する時間は、伸長産物の存在量が多いほど早く、本チップを用いて定量検出が可能であることが明らかとなった。
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願発明の実施態様を付記する。
[1]対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量することを含む、前記対象におけるがんの罹患の有無を判定する分析方法。
[2]対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量することを含む、前記対象におけるがんの罹患の有無の判定を補助する分析方法。
[3]前記対象におけるhsa-miR-1301-3pの存在量が、対照におけるhsa-miR-1301-3pの存在量よりも多い場合、前記対象ががんに罹患していると判定する判定工程を更に含む[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記がんの罹患の有無の判定は、前記対象におけるがんの予後判定、又は前記対象におけるがんの再発の有無の判定を含む、[1]~[3]の何れか1項に記載の方法。
[5]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫、子宮体がん及び子宮肉腫から選択される少なくとも1つを含む、[1]~[4]の何れか1項に記載の方法。
[6]前記定量はLAMP法を用いて行われ、
前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんから選択される少なくとも1つである、[1]~[4]の何れか1項に記載の方法。
[7]前記判定において、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫又は子宮体がんから選択される少なくとも1つの罹患の有無は、他のがんと識別されて判定される、[6]に記載の方法。
[8]前記他のがんは、子宮肉腫を含む、[7]に記載の方法。
[9]前記がんは前立腺がんであり、
前記試料中のhsa-miR-92a-3pを定量する工程を更に含み、
前記判定は、hsa-miR-1301-3pの定量結果とhsa-miR-92a-3pの定量結果とを用いて行われる、[6]~[8]の何れか1項に記載の方法。
[10]前記がんは膵臓がんであり、
前記試料中のhsa-miR-122-5pを定量する工程を更に含み、
前記判定は、hsa-miR-1301-3pの定量結果とhsa-miR-122-5pの定量結果とを用いて行われる、[6]~[8]の何れか1項に記載の方法。
[11]前記対象内に存在しないmiRNAを前記試料に添加して定量することを更に含み、前記hsa-miR-1301-3pの定量結果は、前記対象内に存在しないmiRNAの定量結果と比較することにより補正される、[1]~[10]の何れか1項に記載の方法。
[12]前記試料は、血清である、[1]~[11]の何れか1項に記載の方法。
[13]前記定量は、hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用プライマー、hsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセット、及びhsa-miR-1301-3pを検出するための核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を用いて行われる、[1]~[12]の何れか1項に記載の方法。
[14]前記逆転写用プライマーが配列番号4を含み、前記伸長用プライマーが配列番号5を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号6のFIPプライマー、配列番号7のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号9を含み、前記伸長用プライマーが配列番号10を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号11のFIPプライマー、配列番号12のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号13を含み、前記伸長用プライマーが配列番号14を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号15のFIPプライマー、配列番号16のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号17を含み、前記伸長用プライマーが配列番号18を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号19のFIPプライマー、配列番号20のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、又は
前記逆転写用プライマーが配列番号45を含み、前記伸長用プライマーが配列番号46を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号47のFIPプライマー、配列番号48のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含み、
前記各プライマーの塩基配列は、対応する配列番号で表される塩基配列の1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも含む、
[13]に記載の方法。
[15]hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用プライマー、hsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセット、及びhsa-miR-1301-3pを検出するための核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を含む、がんを検出するためのキット。
[16]前記逆転写用プライマーが配列番号4を含み、前記伸長用プライマーが配列番号5を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号6のFIPプライマー、配列番号7のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号9を含み、前記伸長用プライマーが配列番号10を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号11のFIPプライマー、配列番号12のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号13を含み、前記伸長用プライマーが配列番号14を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号15のFIPプライマー、配列番号16のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号17を含み、前記伸長用プライマーが配列番号18を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号19のFIPプライマー、配列番号20のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、又は
前記逆転写用プライマーが配列番号45を含み、前記伸長用プライマーが配列番号46を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号47のFIPプライマー、配列番号48のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含み、
前記各プライマーの塩基配列は、対応する配列番号で表される塩基配列の1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも含む、
[15]に記載のキット。
[17]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫、子宮体がん及び子宮肉腫から選択される少なくとも1つを含む、[15]又は[16]に記載のキット。
[18]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんから選択される少なくとも1つである、[17]に記載のキット。
[19]hsa-miR-92a-3p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を更に含む、[18]に記載のキット。
[20]hsa-miR-122-5p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を更に含む、[18]に記載のキット。
[21]cel-miR-39-3p、及び
cel-miR-39-3p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を更に含む、[15]~[20]の何れか1項に記載のキット。
[22]がんを検出するためのプライマーセットであって、前記プライマーセットは、
前記逆転写用プライマーが配列番号4を含み、前記伸長用プライマーが配列番号5を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号6のFIPプライマー、配列番号7のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号9を含み、前記伸長用プライマーが配列番号10を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号11のFIPプライマー、配列番号12のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号13を含み、前記伸長用プライマーが配列番号14を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号15のFIPプライマー、配列番号16のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号17を含み、前記伸長用プライマーが配列番号18を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号19のFIPプライマー、配列番号20のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、又は
前記逆転写用プライマーが配列番号45を含み、前記伸長用プライマーが配列番号46を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号47のFIPプライマー、配列番号48のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含み、
前記各プライマーの塩基配列は、対応する配列番号で表される塩基配列の1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも含む、
プライマーセット。
[23]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんから選択される少なくとも1つを含む、[22]に記載のプライマーセット。
[24]がんを検出するための検出用デバイスであって、hsa-miR-1301-3pを増幅し、増幅産物を検出する増幅検出部を備え、
前記増幅検出部は、基板と、前記基板の1つの面上に備えられた1つ以上の検出領域とを備える、
検出用デバイス。
[25]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫、子宮体がん及び子宮肉腫から選択される少なくとも1つを含む、[24]に記載の検出用デバイス。
[26]前記検出領域の付近に固定された、前記増幅産物とハイブリダイズする核酸プローブを備える、[24]又は[25]に記載の検出用デバイス。
[27]前記検出領域の付近に遊離可能に固定された、hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用プライマー及び/又はhsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセットを更に備える、
[24~[26の何れか1項に記載の検出用デバイス。
[28]前記逆転写用プライマーが配列番号4を含み、前記伸長用プライマーが配列番号5を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号6のFIPプライマー、配列番号7のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号9を含み、前記伸長用プライマーが配列番号10を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号11のFIPプライマー、配列番号12のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号13を含み、前記伸長用プライマーが配列番号14を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号15のFIPプライマー、配列番号16のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、
前記逆転写用プライマーが配列番号17を含み、前記伸長用プライマーが配列番号18を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号19のFIPプライマー、配列番号20のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含むか、又は
前記逆転写用プライマーが配列番号45を含み、前記伸長用プライマーが配列番号46を含み、前記増幅用プライマーセットが配列番号47のFIPプライマー、配列番号48のBIPプライマー及び配列番号8のLBプライマーを含み、
前記各プライマーの塩基配列は、対応する配列番号で表される塩基配列の1又は2の塩基の欠失、置換、付加又は挿入があるものも含む、
[27]に記載の検出用デバイス。
[29]前記がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、脳腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、肉腫及び子宮体がんから選択される少なくとも1つである、[28]に記載の検出用デバイス。
[30]前記検出の結果からhsa-miR-1301-3pの定量値を算出する算出部をさらに備える[24]~[29]のいずれか1項に記載のデバイス。

Claims (10)

  1. (S1)対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3pを定量すること;
    (S2)前記(S1)で得られた定量値と、対照由来の試料中のhsa-miR-1301-3pの定量値とを比較し、子宮肉腫の罹患の可能性を判定すること;
    を含み、
    前記対照は、標的がんの何れにも罹患していない個体又は子宮肉腫以外に分類されるがんに罹患した個体である、前記対象におけるがんの罹患の有無の判定を補助する分析方法。
  2. (S1)対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3p及びhsa-miR-92a-3pを定量すること;
    (S2)前記(S1)で得られた定量値と、対照由来の試料中のhsa-miR-1301-3p及びhsa-miR-92a-3pの定量値とを比較し、前立腺癌の罹患の可能性を判定すること;を含み
    前記対照は、標的がんの何れにも罹患していない個体又は前立腺癌以外に分類されるがんに罹患した個体であるがんの罹患の有無の判定を補助する分析方法。
  3. (S1)対象由来の試料中のhsa-miR-1301-3p及びhsa-miR-122-5pを定量すること;
    (S2)前記(S1)で得られた定量値と、対照由来の試料中のhsa-miR-1301-3p及びhsa-miR-92a-3pの定量値とを比較し、すい臓癌の罹患の可能性を判定すること;を含み
    前記対照は、標的がんの何れにも罹患していない個体又はすい臓がん以外に分類されるがんに罹患した個体であるがんの罹患の有無の判定を補助する分析方法。
  4. 前記対象内に存在しないmiRNAを前記試料に添加して定量することを更に含み、前記hsa-miR-1301-3pの定量結果は、前記対象内に存在しないmiRNAの定量結果と比較することにより補正される、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記試料は、血清である、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記対照からの当該定量値が、健常な状態の前記対象に由来する試料中の定量値である請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記分析方法が、健康診断のために定期的に行われる請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
  8. hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用プライマー、hsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセット、及びhsa-miR-1301-3pを検出するための核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸と、
    hsa-miR-92a-3p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を含む前立腺癌の罹患の可能性を判定するためのキット。
  9. hsa-miR-1301-3pを逆転写するための逆転写用プライマー、hsa-miR-1301-3pを伸長するための伸長用プライマー、hsa-miR-1301-3pを増幅するための増幅用プライマーセット、及びhsa-miR-1301-3pを検出するための核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸と、
    hsa-miR-122-5p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を含むすい臓癌の罹患の可能性を判定するためのキット。
  10. cel-miR-39-3p、及び
    cel-miR-39-3p用の逆転写用プライマー、伸長用プライマー、増幅用プライマーセット及び核酸プローブからなる群から選択される少なくとも1種の核酸を更に含む、請求項8又は9に記載のキット。
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