JP4315812B2 - 癌腫の分子診断および予後 - Google Patents

癌腫の分子診断および予後 Download PDF

Info

Publication number
JP4315812B2
JP4315812B2 JP2003571704A JP2003571704A JP4315812B2 JP 4315812 B2 JP4315812 B2 JP 4315812B2 JP 2003571704 A JP2003571704 A JP 2003571704A JP 2003571704 A JP2003571704 A JP 2003571704A JP 4315812 B2 JP4315812 B2 JP 4315812B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rna
test sample
cancer
invasive
carcinoma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003571704A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006510870A (ja
Inventor
タイッジ,ヘンリー
Original Assignee
ザ リサーチ ファンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ リサーチ ファンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク filed Critical ザ リサーチ ファンデーション オブ ステイト ユニバーシティ オブ ニューヨーク
Publication of JP2006510870A publication Critical patent/JP2006510870A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4315812B2 publication Critical patent/JP4315812B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/112Disease subtyping, staging or classification
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/118Prognosis of disease development
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/136Screening for pharmacological compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Description

本発明は、腫瘍性疾患のスクリーニングにおける分子マーカー、BC200 RNAの使用に関する。BC200 RNAの発現をモニターし、癌腫の診断と予後の両方に利用する方法を使用することができる。
適切で、信頼でき、感受性の高い分子マーカーがないことが、がんの診断および予後に関する進歩を妨げてきた。病変を特定し、それらを特性付けするため、良性腫瘍と悪性腫瘍を区別するため、および所定の非侵襲性の癌腫が将来侵襲性になるかどうかの判定を可能にするためには、そうしたインジケータが必要である。
例えば、乳がんの検出において乳房撮影法を補足するために使用することができる、現在利用可能な信頼できる分子マーカーはない。これは、例えば、血液サンプルを簡単に分析することにより前立腺特異的抗原(PSA)状態を確定することができる前立腺がんとは対照的である。PSAは、前立腺がんのための分子マーカーであり(非特許文献1)、また、PSA状態は、さほど信頼できる腫瘍のインジケータではない(比較的高い有病および無病誤診率を有する)が、前立腺の悪性度の臨床診断には日常的に使用されている。
Garnick et al.,「前立腺がんとの戦い(Combating Prostate Cancer)」,Sci.Am.279:75−83(1998)
腫瘍のためのマーカーは他にも知られている。例えば、癌胎児抗原(CEA)は、結腸直腸癌には予後的価値があり、乳癌では、CEAおよびCA15−3が、術前診断ではなく、術後マーカーとして使用されている(非特許文献2)。BRCA1/2状態は、危険因子インジケータとして使用することができ、HER−2/neu(c−erbB−2)状態は、再発および生残と相関しており(非特許文献3)、Ki−67は、腫瘍の増殖分画の判定に有用な増殖マーカーである(非特許文献4)。
(Mughal et al.,「転移性乳がんの治療中の癌胎児抗原連続プラズマ測定(Serial Plasma Carcinoembryonic Antigen Measurements During Treatment of Metastatic Breast Cancer)」,JAMA 249:1881−1886(1983) Slamon et al.,「HER−2/neu癌遺伝子の増幅と再発および生残との相関関係(Human Breast Cancer:Correlation of Relapse and Survival With Amplification of the HER−2/neu Oncogene)」,Scinece 235:177−182(1987) Gerdes,「ヒト悪性疾患における免疫組織学的診断および予後評価に有用なKi−67および他の増殖マーカー(Ki−67 and Other Proliferation Markers Useful for Immunohistological Diagnostic and Prognostic Evaluations in Human malignancies)」,Semin,Cancer Biol.1:119−206(1990)
しかし、これらのマーカーは、腫瘍の検出、診断および予後における有用性が限られているマーカーである。
BC200 RNAは、ヒトを含む霊長類の神経系において優勢に発現される200ヌクレオチド長の翻訳不能RNAである。サルの脳からのBC200 RNAの部分ヌクレオチド配列は、(非特許文献5)によって最初に報告された。この138ヌクレオチド配列は、Alu左配列(ヒトおよび他の霊長類のゲノム全体にわたって何回も繰り返される配列)に実質的な相補性を示した。その後、完全長BC200 RNAの配列が、(非特許文献6)によって報告された。
Watson and Sutcliffe,Molecular & Cellular Biology,7,3324−3327(1978) Tiedge1 et al.,「ヒトBC200 RNAの一次構造、神経特異的発現および樹状定位(Primary Structure,Neural−Specific Expression,and Dendritic Location of Human BC200 RNA)」,J.Neurosci.13,2382−2390(1993)
ヒトBC200 RNAの一次配列は、次のとおりである:
Figure 0004315812
それ自体が転写のモジュレータである小さな神経非コーディング転写体BC200 RNAの発現(非特許文献7)は、厳しく調整される。そのRNAは、神経以外の体細胞ではバックグラウンドレベルより高いレベルで通常検出されない(Tiedgeら、上記)。しかし、BC200 RNA発現のこの厳しい神経特異的制御は、乳房の腫瘍を含む様々な腫瘍において解除される。BC200 RNAは、悪性疾患に随伴するものであり、神経以外の正常な体組織および良性腫瘍(乳房の線維腺腫など)では検出されない。(非特許文献8)
Wang et al.,「樹状BC1 RNA:転写開始の調整における機能的役割(Dendritic BC1 RNA:Functional Role in Regulation of Translation Initiation)」,J.Neurosci,vol.22,10232−10241頁(2002) Lin et al., 「乳がんにおける神経BC200 RNAの発現(Expression of Neural BC200 RNA in Breast Cancer)」,Era of Hope Proceedings,Vol.1,p.122(2000年、国防総省(米)
(特許文献1)および(特許文献2)は、ヒトBC200 RNAの完全配列、および組織サンプルにおいてヒトBC200 RNAの存在を特異的に検出するために使用することができるポリヌクレオチドプローブの使用を開示している。これらの各特許の内容は、本明細書に参照として取り入れられている。
米国特許第5,670,318号明細書 米国特許第5,736,329号明細書
BC200 RNAの一次配列は、三つの構造ドメインに細分することができる。ドメインIは、ヌクレオチド1〜122であり、また、霊長類のゲノムにおいて多数の複製が見出されるAlu反復要素に実質的に相同である。しかし、この領域には、AluまたはSRP−RNAで見出すことができな二つの塩基、すなわち、48および49位のヌクレオチドを含み、これらを利用して、BC200 RNA配列に対して特異的な増幅プライマーを開発することができる。ドメインIIは、ヌクレオチド123−158から成るA−リッチ領域である。ドメインIIIは、組織中のBC200 RNAを同定するために使用することができる、他の既知ヒト配列に相同でないユニーク配列を含む。
腫瘍病理学者は、腫瘍の悪性度の差はそれらの形態学的構造に反映されると、長い間考えてきた。腫瘍には三つの一般的な悪性度(低、中、高)があり、高悪性度は、最も進行性の腫瘍と関連する(非特許文献9)
Elston et al., The Breast,Ch.17,365−383頁(1998)
腺管上皮内癌(DCIS)は、一般的であるが、腫瘍性疾患の異質なグループである。未治療のまま放置すると、約25%のDCISが、15年以内に侵襲性の癌腫に発展する(非特許文献10)。しかし、今までのところ、所定のDCISが侵襲性である可能性を予測するための信頼できるインジケータ、分子などがない。従って、ほとんどの女性が、外科的にDCISを除去してしまうことを選択すが、これは、多くの場合に不必要で、実質上、過剰治療に等しい(非特許文献11)。
Elston et al.,The Breast,Ch.14,249−281頁(1998) Ernster,「乳房撮影法に関連した腺管上皮内癌の増加:ジレンマ(Increases in Ductal Carcinoma In Situ in Relation to Mammography:A Dilemma)」,NIH Consensus Dvelopment Conference on Breast Cancer Screening for Women Ages 40−49,147−151頁(NIH,1997)
明らかに、DCISを含むがんの信頼できる診断用インジケータは、治療決定を告知する際に医師および患者を助けになるという点で最も価値があるだろう。
本発明は、侵襲性の癌腫の診断するための方法および、まだ侵襲性でない癌腫が侵襲性の癌腫になる可能性が高い尤度を判定するための方法に関する。本発明は、サンプルの腫瘍悪性度を判定するための方法にも関する。
本方法は、ヒトから生理学的試験サンプルを入手すること;その試験サンプル中のRNAが、標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように、その試験サンプルを準備すること;ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する条件下で、その試験サンプルとその検出試薬を併せること;検出可能な反応生成物の量を、その標識シグナルにより測定すること;その標識シグナルレベルを、悪性度が高くない癌腫対照またはBC200 RNAを発現しない正常な組織などの他のあらゆる適する対照からの標識シグナルと比較すること;および試験サンプルにおける高い標識シグナルを、その癌腫が侵襲性になる可能性が高いという判定と相関させることを含む。
本方法を侵襲性の癌腫の診断に利用する場合には、試験サンプルからの標識シグナルを非侵襲性の癌腫対照からの標識シグナルと比較する。非侵襲性の癌腫対照と比較して高い試験サンプルにおけるシグナルは、そのサンプルに侵襲性の癌腫が存在することを示している。
本方法を腫瘍悪性度の判定に向ける場合には、その試験サンプルにおける標識シグナルを、試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された悪性度が高くない癌腫対照および/または中等度の悪性度の癌腫対照における標識しシグナルと相関させて比較する。試験サンプルにおける標識シグナルと低悪性度の腫瘍対照における標識シグナルの相対的レベルが同じことは、その試験サンプルにおける低悪性度の癌腫を示す。低悪性度の癌腫からの標識シグナル量と比較して高い標識シグナル量がそのサンプルに存在するならば、その試験サンプルにおける少なくとも中等度の悪性度の癌腫を示す。こうした場合、その試験サンプルを、その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された中等度の悪性度の癌腫対照と比較することができる。中等度の悪性度の癌腫と比較して高い標識シグナル量がそのサンプルに存在するならば、その試験サンプルにおける高悪性度の癌腫を示す。
一つの実施形態において、本発明の方法で利用される検出試薬は、ヒトBC200 RNAとハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブであり、RT−PCRを利用して、ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する。
好ましくは、標識シグナルの量は、エマルジョン・オートラジオグラフィー、リン光イメージング、光学顕微鏡検査法、共焦点顕微鏡検査法、多陽子顕微鏡検査法および蛍光顕微鏡検査法から成る群より選択された技術によって測定する。定量分析を行って、標識シグナル強度を判定し、その後、それを癌腫の診断および予後に利用することができる。
好ましくは、本発明の方法に従って診断される癌腫および/または腫瘍は、腺管上皮内癌および上皮内小葉癌も含む上皮内癌;浸潤性腺管癌および浸潤性小葉癌(管状小葉癌など)も含む浸潤癌;粘液性癌腫;および髄様癌が挙げられるが、これらに限定されない乳癌でありうる。本発明の方法に従ってモニターされる他の癌腫には、皮膚癌、腎臓癌、耳下腺癌、肺癌、膀胱癌および前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
驚くべきことに、本発明に従って、BC200 RNAは、様々な癌腫を検出するために使用することができるばかりでなく、加えて、BC200 RNAのレベルをモニターすることにより、腫瘍悪性度、ならびに癌腫が侵襲性になる可能性が高い悪性度のものである尤度を判定することができるということが、判明した。
本発明に従ってモニターおよび診断することができる癌腫は、様々であり、それらには、浸潤性乳癌、例えば、浸潤性腺管癌(IDC)および浸潤性小葉癌(ILC)(管状小葉癌も含む);上皮内癌、例えば、腺管上皮内癌(DCIS)および上皮内小葉癌(LCIS);粘液性癌腫;髄様癌;およびその他などの乳癌が挙げられるが、これらに限定されない。モニターおよび診断することができる他の癌腫には、皮膚癌、腎臓癌、耳下腺癌、肺癌、膀胱癌および前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
BC200 RNAは、二つの理由のため、増殖マーカーとして分類することができない。第一に、すべての正常な体細胞のうち、ニューロンだけが、BC200 RNAを発現する。大部分のニューロンは、分裂後であり、増殖しない。第二に、乳癌細胞などのがん細胞を除く増殖性体細胞は、BC200 RNAを発現しない。従って、BC200の発現は、それ自体は増殖とは関係なく、むしろ特定の悪性疾患(特に、侵襲性の可能性を有するもの)に関係する。
一つの実施形態において、本発明は、癌腫が、侵襲性の癌腫になる可能性が高い悪性度のものである尤度を判定するための診断法を提供する。この方法は、侵襲性の腫瘍の診断にも使用することができる。この方法は、ヒトから生理学的試験サンプルを入手すること;その試験サンプル中のRNAが、標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように、その試験サンプルを準備すること;ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する条件下で、その試験サンプルとその検出試薬を併せる段階;検出可能な反応生成物の量を、その標識シグナルにより測定すること;その試験サンプルについての標識シグナル量を、その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された悪性度が高くない癌腫対照からの標識シグナルと比較すること;および試験サンプルにおける高い標識シグナル量を、その癌腫が侵襲性になる可能性が高いという判定と相関させることを含む。
もう一つの実施形態において、本発明は、腫瘍悪性度を判定するための方法を提供する。この方法は、ヒトから生理学的試験サンプルを入手すること;その試験サンプル中のRNAが、標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように、その試験サンプルを準備すること;ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する条件下で、その試験サンプルとその検出試薬を併せる段階;検出可能な反応生成物の量を、その標識シグナルにより測定すること;およびその試験サンプルにおいて測定された標識シグナル量を、その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された悪性度が高くない癌腫対照からの標識シグナルと比較することを含む。その試験サンプルにおける標識シグナルのレベルと、その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された低悪性度の癌腫対照における標識シグナルのレベルが相対的に同じであることは、その試験サンプルにおける低悪性度の癌腫を示し;その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された低悪性度の癌腫対照からの標識シグナルの量と比較して高いその試験サンプルにおける標識シグナルの量は、その試験サンプルにおける少なくとも中等度の悪性度の癌腫を示し;およびその試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された中等度の悪性度の癌腫対照と比較して高いその試験サンプルにおける標識シグナルの量は、その試験サンプルにおける高悪性度の癌腫を示す。
好ましくは、本発明の方法において利用される検出試薬は、ヒトBC200 RNAとハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブであり、RT−PCRを利用して、ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する。最も好ましくは、その検出可能な反応生成物は、蛍光シグナルなどの標識シグナルを有する。
サンプル中のBC200 RNAのレベルをモニターするために使用することができるオリゴヌクレオチドプローブの例は、(特許文献3)および(特許文献4)に記載されている。こうしたプローブは、ヒトBC200 RNAのドメインIIIのユニーク配列に相補的であるか、その対応する染色体DNAに相補的、すわち、その配列の少なくとも一部:
Figure 0004315812
に相補的である。
米国特許第5,670,318号明細書 米国特許第5,736,329号明細書
それらのプローブは、塩基を約10から60含有する直鎖オリゴヌクレオチドでありうる。長さは、BC200 RNAとの結合が、他のポリヌクレオチドへの結合より好ましくなるような、妥当な特異性度をもたらすために充分でなければならない。
本明細書中で用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチドプローブ」は、DNAまたはRNAプローブを指す。
本発明の範囲内の一つのプローブは、BC200 RNAのヌクレオチド156〜185に相補的である。この30ヌクレオチドのプローブは、下記配列を有する:
Figure 0004315812
もう一つの有用なプローブは、ヌクレオチド158〜178に相補的な21ヌクレオチドのプローブ、すなわち、
Figure 0004315812
である。目にも明らかなように、適するプローブは、それらが、特異性をもたらすために十分なユニークドメインIIIの部分(すなわち、塩基少なくとも約10)にも相補的であることを条件として、ドメインIII以外のBC200 RNAの部分と相補的であってもよい。プローブは、ドメインIIIの部分のみに相補的であってもよい。ヌクレオチド146〜148にわたる部分のドメインIIに相補的である第二の種類のプローブを使用してもよい。上記プローブは、BC200 RNAの検出に、または増幅プライマーとして使用することができる。
本発明のもう一つの側面では、BC200 RNAまたはその対応するDNAの48位と49位の二つのユニークヌクレオチドにわたるAlu繰り返し配列の部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズするプローブを利用することができる。そうしたプローブの例は、BC200 RNAと結合することとなるアンチセンスプローブ:
Figure 0004315812
および対応するDNA配列と結合することとなるセンスプローブ:
Figure 0004315812
である。これらのプローブは、検出に、または増幅プライマーとして使用することができる。
本発明に従って利用されるプローブは、当該技術分野において公知の様々な技術のいずれかによって製造することができる。例えば、RNAプローブは、生体外転写により生成することができる。このアプローチでは、所望の配列を、先ず、適する転写ベクター(例えば、pBluescript)にクローニングする。このベクターは、転写が特定の位置で停止するように線形化されており、SP6、T3またはT7 RNAポリメラーゼを使用して、RNAをそうした線形化テンプレートから転写する。プローブは、適切な放射性標識前駆体を反応混合物に添加することにより、35S標識またはH標識することができる。その後、テンプレートDNAをDNアーゼIで消化する。RNAプローブは、ゲル濾過またはゲル電気泳動により、さらに精製することができる。
プローブをオリゴ標識によって製造することもできるが、この技術は、もっと長い核酸ポリマーのほうが適する。この方法では、二本鎖DNAを、先ず、変性する。その後、ランダム配列オリゴヌクレオチドを、テンプレートによるDNA合成のためのプライマーとして使用する。E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウ断片が、多くの場合、この用途に使用される。テンプレートがRNAの場合には、逆転写酵素を使用することができる。プローブの標識は、放射性標識ヌクレオチド、例えば、[α−32P]dNTpsの導入によって達成される。
プローブを生成するためのもう一つのアプローチは、ニックトランスレーションである。この方法では、二本鎖DNAを使用する。ニック(一本の鎖の中の切れ目)は、DNアーゼIによって導入する。そのニック点におけるDNAの3’末端にヌクレオチド残基を追加するために、同時にE.coli DNAポリメラーゼIを使用する。放射性標識前駆体ヌクレオチドを導入すると、プローブが均一に標識される。プローブは、両方の鎖を含有する。
一本鎖DNAプローブは、バクテリオファージM13または類似のベクターから誘導されるテンプレートから作ることができる。その後、そのテンプレートの特定のセグメントに相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、E.coli DNAポリメラーゼIとともに使用して、そのテンプレートに相補的な放射標識鎖を生じる。そのプローブは、例えば、変性条件下でのゲル電気泳動により、精製する。
あらゆる所望の配列のオリゴヌクレオチドを化学的に合成することもできる。オリゴヌクレオチドの自動合成には、固相法が日常的に使用されている。
本開示に従って有用なプローブは、標識することができる。様々な酵素を使用して、DNA末端に放射性標識を取り付けることができる(dNTP前駆体を使用する)。二本鎖DNAの3’末端は、例えば、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウ断片を使用することにより、標識することができる。平滑末端DNAまたはへこんだ3’末端が、適する基質である。T4 DNAポリメラーゼを使用して、突出3’末端を標識することもできる。T4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して、32P−ホスフェート基をDNAの5’末端に転移させることができる。この反応は、1本鎖オリゴヌクレオチドの標識に特に有用である。プローブは、標識された核酸および/または標識されたプライマーを適切なクローンからのプローブのPCR生成に使用するPCR標識法により、標識することもできる。(非特許文献12)Kellyら,Genomics 13:381−388(1992)参照。
Kelly et al.,Genomics 13:381−388(1992)
本発明の方法は、上記のもののようなオリゴヌクレオチドプローブを利用して、BC200 RNA(それ自体、癌腫を診断するために、および所定の癌腫が侵襲性の癌腫に進行する可能性が高いか否かを判定するために利用される)の存在について、組織をスクリーニングする。
このスクリーニング手順の基本的な方法論は、次の段階を含む:
(1)生理学的サンプルを入手する段階;
(2)そのサンプルを処理して、RNAおよび/またはDNAをハイブリダイザーションに利用できるようにする段階;
(3)その試験サンプルを、ヒトBC200 RNAのドメインIIIに特異的なプローブとハイブリダイズさせる段階;および
(4)ハイブリダイザーションの発生を分析する段階。
適する生理学的サンプルには、手術検体、血液および他の体液(乳頭分泌物、痰、性液および擦過標本を含むが、これらに限定されない)などの生検材料が挙げられる。
サンプル中の核酸がハイブリダイゼーションに利用できるようにしてあるならば、組織サンプルの処理に利用する方法は重要ではないが、幾つかの特定の選択肢には、価値がない。チオシアン酸グアニジン法、その後のCsCl密度勾配遠心分離法によるRNAの直接単離は、多くの場合、特に、生検材料からのRNAの単離に、有効である。しかし、サンプルのサイズが小さい場合、RNAの増幅が望ましいこともある。
RNAの増幅は、先ず、サンプル中の細胞を溶解して、RNAをハイブリダイゼーションに利用できるようにすることにより、達成することができる。これは、(1)チオシアン酸グアニジニウムでのRNAの抽出、その後の塩化セシウム中での遠心分離;(2)グアニジンHClおよび有機溶媒でのRNAの抽出;または(3)弱洗浄剤(NP−40)でのRNAの抽出とプロテイナーゼ消化の併用により、達成される。これらおよび他のRNA抽出法は、(非特許文献13)に記載されている。単離したRNAは、cDNAに変換し、これを、その後、BC200 RNA配列の3’末端に対して選択的なプローブを使用して増幅する。(特許文献5)参照。この特許の内容は、本明細書に参照として取り入れられている。cDNAは、リガーゼに基づく方法(非特許文献14)、または等温転写に基づく方法(非特許文献15)を使用して増幅することもできる。増幅されたDNAは、その後、適切なプローブによって直接検出することができる。
Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001) Barany et al.,「クローン化熱安定性リガーゼを使用する遺伝子病検出およびDNA増幅(Genetic Disease Detection and DNA Amplication Using Cloned Thermostable Ligase)」,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 88,189−193(1991) Kwoh et al.,「転写に基づく増幅システムおよびビードに基づくサンドイッチハイブリダイゼーション形式での増幅ヒト免疫不全ウイルス1型の検出(Transcription−based Amplification System and Detection of Amplified Human Immunodeficiency Virus Type 1 With a Bead−based Sandwich Hybridization Format)」,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86,1173−1177(1989) (米国特許第4,683,202号明細書
このハイブリダイゼーションは、核酸をアッセイするために知られている非常に多数の手順のうちのいずれかを使用して行うことができる。これらには、様々なブロット法(すなわち、ドット、ノーザン、サザンなど)、ならびに(特許文献6)、(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献9)および(特許文献10)に記載されているものなどのサンドイッチ系の技法が挙げられる(これらの特許各々の内容は、本明細書に参照として取り入れられている)。検出を助長するために、プローブは、放射性標識、化学発光標識、蛍光標識もしくは発色標識などの標識、または固定化部分を有することができる。検出可能な標識または固定化部分のいずれかとして役立つ、ビオチンまたはジゴキシゲニンで変性したプローブは、特に有用である。
米国特許第4,486,539号明細書 米国特許第4,751,177号明細書 米国特許同第4,868,105号明細書 米国特許同第4,894,325号明細書 欧州特許公開第0 238 332号明細書
加えて、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などの他の技法を利用して、細針生検(fine needle biopsy:針をさして組織を取る検査)もしくは針生検(core needle biopsy:腫瘍の中心の組織を少しくり貫いて行う組織検査)によって得られたもの、または血液もしくは乳頭分泌物などの体液から得られたものなどの少量サンプルにおいてBC200 RNAを検出することができる。
通常のPCRアッセイでは、対象となるDNAまたはRNA配列の5’および3’末端に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが設計される。熱サイクルの間に、DNAまたはRNAは、熱変性される。その後、サンプルを、プライマーが、それらの特異的補体に結合し、Taqポリメラーゼなどのポリメラーゼによるヌクレオチド三リン酸の付加により伸張するアニールおよび伸張温度に持っていく。熱サイクルが繰り返されるにつれて、テンプレートDNAまたはRNAの量が増幅される。
TaqMan(登録商標)を使用するものなどのRT−PCRでは、PCRアンプリコン内のプライマー間の配列領域に相補的なオリゴヌクレオチドプローブが設計される。そのプローブは、その5’末端に蛍光レポーター色素を、およびその3’末端にクエンチャー色素を有する。そのプローブが無傷である時には、その蛍光放射は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)現象によりクエンチングされる。熱サイクリングの間に、そのプローブは、それらのプライマーのうちの一つの下流のターゲットDNAまたはRNAにハイブリダイズする。TaqMan(登録商標)の化学作用は、そのプローブからの蛍光色素を切断するTaqポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性に依存する。PCR産物が蓄積するにつれて、蛍光シグナルが増加する。従って、このシグナルを測定することにより、増幅産物を定量することができ、それによって、サンプル中に存在するRNAの定量が可能となる。PCRプライマーとの併用で、そのプローブは、BC200 RNAを分化させ、定量するアッセイにおいて、別の特異性レベルを生じる。
異なるプライマー対を利用して、RT−PCRによりBC200 RNAを増幅することができる。BC200 RNAの5’位は、ヒトAlu−J反復要素に配列が似ている。しかし、BC200 RNAは、35〜50位の間の4つのヌクレオチドの違いおよび2つのタンデム塩基挿入により、これらの要素とは異なる。従って、一つの実施形態において、5’プライマーは、この領域をターゲットにするように設計される。BC200 RNAの60個の3’の大部分のヌクレオチド(ヌクレオチド141〜200)は、ユニークであり、ノーザンおよびサザン分析における特異的プローブとして首尾よく使用されている(非特許文献16)。
Tiedge et al.,「ヒトBC200 RNAの一次構造、神経特異的発現および樹状定位(Primary Structure,Neural−Specific Expression,and Dendritic Location of Human BC200 RNA)」,J.Neurosci.13,2382−2390(1993)
好ましくは、RT−PCRは、BC200 RNAが検出されるように行い、その蛍光シグナルを利用して、癌腫の侵襲性の可能性を判定する。
シグナル強度は、エマルジョン・オートラジオグラフィー、リン光イメージング、光学顕微鏡検査法、共焦点顕微鏡検査法(例えば、共焦点レーザー走査顕微鏡法)および多陽子顕微鏡検査法を含む(しかし、これらに限定されない)、当業者には公知の方法により判定される。非放射性標識法(例えば、ビオチンまたはジゴキシゲニンを使用するもの)の場合、光学顕微鏡法または蛍光顕微鏡法を使用することができる。
その後、所定のサンプルについての標識強度を、悪性度が高くない癌腫対照からの標識シグナルと比較することができる。悪性度が高くない癌腫対照からのシグナルと比較して高い試験化合物についての標識シグナルは、所定のサンプルが、侵襲性になる可能性が高い癌腫を含有すると判定されることとなる。逆に言えば、悪性度が高くない癌腫対照からのシグナルと比較して低いまたは同等の標識シグナルは、所定のサンプルが、癌腫を有さないと、またはそのサンプルの供給源が腫瘍である場合には侵襲性になる可能性が低い癌腫を有すると、判定されることとなる。
同様に、試験サンプルの標識シグナルを、その試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された非侵襲性癌腫対照からの標識シグナルと比較することができる。非侵襲性癌腫対照からの標識シグナルと比較して高い試験サンプルのシグナルを利用して、侵襲性癌腫を診断することができる。逆に言えば、非侵襲性癌腫対照と比較して低いまたは同等のシグナルは、そのサンプルが、侵襲性癌腫を含有しないと判定されることになろう。
オートラジオグラフィーを使用して、試験サンプルにおけるシグナル強度を判定する一つの実施形態では、それらのオートラジオグラフは、好ましくは、MetaMorph Software(Universal Imaging Corp.,Downingtown,PA)またはNIH Image Software(NIH,Bethesda,MD)などの市販のまたは公的に利用可能な画像解析ソフトウエアを使用して、定量分析に付すことができる。共焦点および多プロトン顕微鏡検査法も定量分析のために使用することができる。手作業で数える方法も定量分析に使用することができ、これは、画像解析ソフトウエアの導入前の伝統的な方法である。
サンプルの得られた標識シグナルまたはシグナル強度は、オートラジオグラフにおける単位面積あたりの銀粒子の数と等価であり、標識シグナルの量と等価でもある相対単位である「オートラジオグラフの標識単位」または「ALU」として表現することができる。サンプルのシグナル強度の定量分析においてオートラジオグラフィーと画像解析ソフトウエア(好ましくは、MetaMorph Software)を併用する一つの実施形態では、約1000ALUより大きい標識シグナルを有する試験サンプルを使用して、高悪性度のまたは侵襲性の癌腫を診断することができる。癌腫がまだ侵襲性でない場合、約1000ALUより大きい標識シグナルを有する試験サンプルは、侵襲性の癌腫に進行するだろう癌腫を含有する確立が高い。逆に言えば、約1000ALU未満の標識シグナルを利用して、非侵襲性の癌腫、または癌腫が侵襲性の癌腫に進行する確立が低い悪性度が高くない癌腫を診断することができる。ALUは、相対単位であるので、サンプリング面積の違い、または使用する画像解析ソフトウエアの違いにより、数に違いが生じうる。しかし、当業者には容易にわかるように、相対単位を利用して、試験サンプルと対照を比較し、サンプルが、実際、侵襲性の癌腫もしくは侵襲性の癌腫に進行する可能性が高い癌腫を有するか否かを判定できる。
同様に、もう一つの実施形態において、本発明は、腫瘍を悪性度格付するための方法に関する。所定の腫瘍サンプルについての標識強度は、低悪性度の癌腫対照における標識シグナルと比較することができる。試験サンプルにおける標識シグナルレベルが、低悪性度の腫瘍対照の標識シグナルと相対的に同じであるならば、低悪性度の腫瘍を示す。しかし、低悪性度の腫瘍対照からの標識シグナル量と比較して高い標識シグナル量が試験サンプルに存在するならば、試験サンプルにおける少なくとも中等度の悪性度の腫瘍を示す。こうした場合、その後、試験サンプルを、試験サンプルと同じ段階で使用するように準備された中等度の悪性度の腫瘍対照と比較することができる。中等度の悪性度の腫瘍対照と比較して高い標識シグナル量がその試験サンプルに存在するならば、試験サンプルにおける高悪性度の腫瘍を示す。腫瘍中に存在するBC200 RNA量を判定することにより、腫瘍を悪性度格付することができ、その腫瘍が侵襲性になる可能性が高いか否かについて判定することができる。
一つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、DCISの診断および予後に使用される。DCISにおいて、BC200 RNAの発現は、腫瘍悪性度に依存する。比較ゲノムハイブリダイゼーションによって、DCISから侵襲性の癌腫への移行が、分化状態および悪性度に関係があるように見える特定の遺伝経路に従うことが証明された。(非特許文献17)(非特許文献18)
Buerger et al.,「乳腺管上皮内癌の比較ゲノムハイブリダイゼーション − 多数の遺伝経路の証拠(Comparative Genomic Hygridization of Ductal Carcinoma In Situ of the Breast − Evidence of Multiple Genetic Pathways),187,J.Pathol.396−402(1999)

Buerger et al.,「侵襲性の乳がんの進化における遺伝経路の違いは、形態学的サブタイプの相違に関係する(Different Genetic Pathway in the Evolution of Invasive Breast Cancer are Associated With Distinct Morphological Subtypes)」,189 J.Pthol.521−526(1999)
本発明のプローブは、BC200RNAについて組織(乳房組織など)をスクリーニングするためのキットのパーツとして供給することができる。BC200 RNAが存在するかどうかの診断用反応生成物を生成するプローブまたは他の検出試薬に加えて、そうしたキットは、次のもののうちの一つ以上を含むことができる:
(1)スクリーニング手順の間に診断用反応生成物の核酸を付着させる固体支持体;
(2)サンプル中の核酸を増幅させるための増幅プライマーおよび酵素;
(3)その診断用反応生成物と反応させて、それを検出可能にする標識試薬;ならびに
(4)その生理学的サンプルを溶解して、RNAをハイブリダイゼーションに利用できるようにするために有効な溶液。
適する増幅プライマーには、実施例で特定されているもの、ならびに存在する場合にはBC200 RNAのドメインIIIとともに、ことによるとドメインIIおよびIの一部を結果的に増幅することとなる他のものが挙げられる。特に好ましい5’増幅プライマーは、48位および49位でのユニークヌクレオチドを含むBC200 RNAのドメインIの一部または対応するcDNAに相補的であるものである。適する酵素には、逆転写酵素、Taqポリメラーゼ、rTth DNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼが挙げられる。
驚くべきこと、本発明に従って、乳癌腫瘍細胞によって発現されるBC200 RNAの量が、腫瘍のタイプ、悪性度および段階と相関することを発見した。例えば、BC200 RNAは、侵襲性の腫瘍において高レベルで発現される。従って、BC200 RNAは、本発明に従って、乳癌を含む侵襲性の癌腫の診断および予後の分子インジケータとして使用することができる。BC200 RNAの発現レベルと腫瘍悪性度との相関関係は、侵襲性の可能性についての分子インジケータとして使用することができる。癌腫におけるBC200 RNAレベルが高いことは、その患者が、将来、侵襲性の癌腫に罹患する尤度が高いことを示す。従って、BC200 RNAの発現は、腫瘍の進行の予測に価値のある手段(ツール)である。
本明細書に記載されている実施形態に様々な変更を施すことができることは理解されよう。従って、上の記載は、限定と解釈するのではなく、単に、好ましい実施形態の例示として解釈されうる。例えば、本発明は、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブまたはRT−PCRを使用して、乳癌などの癌腫に罹患しているもののBC200 RNAレベルを検出するという観点で主として記載しているが、いずれの検出技術を使用しても、腫瘍性疾患についての有益なスクリーニング結果を獲得することができることは、ご理解いただけよう。例えば、BC200 RNAに対するRNA特異的抗体を、例えばELISAアッセイに使用して、組織サンプルにおけるBC RNAを検出することができる。(非特許文献19)参照。BC200 RNAとハイブリダイズするペプチド核酸は、診断試薬としても使用することができる。(非特許文献20)参照。同様に、BC200 RNAを生体内で蛋白と複合させて、リボ核蛋白(「RNP」)を形成することができる。その後、BC200 RNAに特異的な抗体を、イムノアッセイ検出計画の中で使用することができる。当業者は、本明細書に記載されている特徴の範囲および精神の中で、他の変形を思い描くことができよう。
Uchiumi et al.,「28SリボソームRNAのユニーク保存領域に特異的なヒト自己抗体は、延長因子1αおよび2とリボソームとの相互作用を阻害する(A Human Autoantibody Specific for a Unique Conserved Region of 28 S Ribosomal RNA Inhibits the Interaction of Elongation Factors 1 alpha and 2 With Ribosomes)」,J.Biol.Chem.266:2054−62(1991) Hanvey et al., 「ペプチド核酸のアンチセンスおよびアンチジーン特性(Antisense and Antigene Properties of Peptide Nucleic Acids)」,Science 258:1481−1485(1992)
BC200 RNAの増幅
BC200 RNAの5’および3’領域を別々に増幅した。5’BC200 RNA配列の増幅のために、チオシアン酸グアニジニウム法、続いてフェノール抽出およびCsCl遠心分離を使用して1μgの全RNAを単離し、熱安定性rTth DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer Cetus)を製造業者のインストラクションに従って使用してcDNAの第一鎖に変換させた。この段階で使用したプライマーは、
Figure 0004315812
であった。
次に、dTTPおよびターミナルトランスフェラーゼ(Boehringer Mannheim)を使用して生成物の3’末端をT末端にした。その末端処理したcDNAを、下記プライマー:
Figure 0004315812
を使用し、30サイクル(30秒間94℃で変性、1分間55℃でアニーリング、2分間72℃で伸張;最初の変性は、4分間94℃でであり、最後の伸張は、10分間72℃でであった)でPCR増幅した(非特許文献21)。その生成物を、下記アダプタープライマー:
Figure 0004315812
を使用し、第二の30サイクルセット(条件は、上記参照)でさらに増幅した。EcoRIで消化後、そのPCR生成物を、製造業者のマニュアルに従ってλ ZAPII(Stratagene)のEcoRI部位にクローニングした。最初のオリゴヌクレオチドプローブ:
Figure 0004315812
で10個のプラークをスクリーニングし、6個の陽性クローンを配列した。
Frohman et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 85:8998−9002(1988)
3’BC200 RNA配列を増幅するために、ヒト新皮質からの10μgの全RNAを、ポリAポリメラーゼを使用して、A末端にした(非特許文献22)。その後、末端処理したRNAを、下記プライマー:
Figure 0004315812
を使用して、MeHgOH(Invitrogen)の存在下、逆転写酵素でcDNAの第一鎖に変換させた。PCR増幅(上記参照)のために、このプライマーと下記プライマー:
Figure 0004315812
を併用する。生成物をλ ZAPIIにクローニングし(上記)、配列番号13で同定された14個のクローンを、酵素的連鎖停止反応を用いて配列した。
DeChiara et al.,「神経BC1 RNA:cDNAクローンは、非反復配列内容を示す(Neural BC1 RNA:cDNA Clones Reval Nonrepetitive Sequence Content)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,2624−2628(1987)
BC200 RNA特異的プローブの生成
二つのタイプのプローブを通常どおり使用した。所望の配列のオリゴデオキシヌクレオチドを化学合成し、クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動により精製した。その後、ヌクレオチドを5’末端のリン酸化により放射標識した。これは、γ32Pで標識されたATPを有する酵素ポリヌクレオチドキナーゼを使用することによって達成した。この放射性標識されたプローブ(比活性:>10cpm/μg)と組み込まれていない標識とをゲル濾過によって分離し、そのプローブを10cpm/mLの濃度で使用した。
加えて、RNAプローブを生体外転写により生成した。このアプローチでは、所望の配位列を、先ず、適する転写ベクター(例えば、pBluescript)にクローニングした。その後、このベクターを(転写が、所望の位置で終わるように)線形化し、SP6、T3またはT7 RNAポリメラーゼを使用して、RNAをそうした線形化テンプレートから転写した。35S−またはH−UTPが転写反応中に存在し、それ故、生じたプローブは、35S−またはHで標識されていた。その後、テンプレートDNAをDNアーゼIで消化して、蛋白質をフェノールで抽出し、それらのプローブをエタノールで沈殿させた。RNAプローブは、原位置ハイブリダイゼーションに使用した。
血液からBC200 RNAを捕捉する(非特許文献23)ために、BC1 RNAおよびBC200 RNAの濃縮および精製に以前使用されたビオチニル化2’O−アルキルオリゴリボヌクレオチド(非特許文献24)(非特許文献25)を使用する。乳がん患者からの血液中のBC200 RNAを分析するために、RNAを、ビオチン−ストレプタビジン結合によってマトリックスにカップリングしているアンチセンスオリゴリボヌクレオチドに捕捉させる。繰り返し洗浄した後、捕捉されたBC200 RNAを溶離し、RT−PCRによって増幅させる。
DeChiara et al.,「神経BC1 RNA:cDNAクローンは、非反復配列内容を示す(Neural BC1 RNA:cDNA Clones Reval Nonrepetitive Sequence Content)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,2624−2628(1987) Iribarren et al., 「アンチセンスプローブとしての2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’−O−Alkyl Oligoribonucleotides as Antisense Probes)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,7747−7751(1990) Lamond et al.,「2’−O−アルキルRNAから作ったアンチセンスオリゴヌクレオチド:それらの特性およびRNA生化学における応用(Antisense Oligoribonucleotides Made of 2’−O−Alkyl RNA:Their Properties and Applications in RNA Biochemistry)」,FEBS Lett.325,123−127(1993)
アニーリング温度の範囲およびサイクル数などのPCRサイクリングパラメータを決定する(12〜40サイクル、対数期および静止期)。これに、PCRサンプルの電気泳動、フィルター移送、およびBC200RNAおよびシクロフィリンmRNAのためのプローブとのハイブリダイゼーションが続く。
最も有効なPCRプライマーを選択し、最適なPCR条件を確立して、細針吸引生検および針生検(core biopsy)から得られるRNAを処理するために理想的な条件を決定する。ゲノムDNAのサンプルを最も有効に取り出せる、日常的な短いまたは一段階のプロトコルを使用する。最適化したRT−PCR手順の価値を確かめるために、ヒト針生検材料のサンプルを試験する(直径1〜1.5mm、長さ1.7〜1.9cm)。通常の病理組織学的方法と並行して、PCRと原位置ハイブリダイゼーションの両方により、RNA含量を分析するには、この組織量で充分である。
BC200 RNAは、短く、イントロンがないので、逆転写酵素(RT)を含有しない陰性対照をすべての実験サンプルに加える。分解したRNAの場合または最適以下のRT反応の場合には、偽陰性を検出するために、第二の陽性対照が必要である。第一鎖合成効率のための内部ゲージとして使用されるレポーターRNAとなるシクロフィリンmRNAを選択する。以前の結果は、シクロフィリンmRNAが、正常組織および腫瘍組織で一様に同じ不変レベルで発現されることを示している(非特許文献26)。この対照実験の目的は、個々のサンプルに対して行うがごとく全手順の総合的な効率をモニターすることである。
Chen et al.,「ヒト腫瘍における神経BC200 RNAの発現(Expression of Neural BC200 RNA in Human Tumors)」,J.Pathol.183,345−351(1997)
シクロフィリンmRNAプライマーは、増幅効率についてのみならず、進行中のBC200 RNA増幅を干渉しないことについても試験する。BC200 RNAとシクロフィリンmRNAのプライマー対を選択して、同じまたは別の試験管で同様の効率で増幅する。プライマー対の効率を試験するために、Chenらの上記論文が提案しているように、ノーザンまたは原位置ハイブリダイゼーションによって以前に試験されおり、且つ、サンプルごとのBC200RNAの相対シグナル(またはシクロフィリンmRNA)が判っている正常組織および腫瘍組織からのRNAサンプルを使用する。
ヒト乳房組織を評価のために準備した。組織を入手し、RNAおよび/またはDNAを液体窒素中で凍結させることによりハイブリダイゼーションに利用できるようにした。サンプルを、Tissue−Tek OCT包埋剤(Miles,Elkhart,IN)に低温包埋して、液体窒素中で凍結させ、−80℃で保管し、その後、(非特許文献27)に記載されている手順に従って、Bright Microtome Cryostat内で、10μm厚で、切断する。切片を、ゼラチン/ポリ−L−リシン被覆スライドガラス上にて解凍−固定し、さらに加工するまで−80℃で保管した。その後、サンプルを、上記実施例2に従って生成したヒトBC200 RNA ヒトRNAのドメインIIIに特異的な35S標識RNAプローブとの原位置ハイブリダイゼーションに付した。原位置ハイブリダイゼーションは、(非特許文献28)に記載されているとおり行った。(非特許文献29)に記載されているとおり、37℃、0.1xSSC、0.05%ピロリン酸ナトリウム、14mM 2−メルカプトエタノール中で、最終的な非常に厳重な洗浄を行った。
Tiedge,H.,「原位置ハイブリダイゼーションにおける細胞および組織切断のための架橋剤としてのUV線の使用(The Use of UV Light as a Cross−linking Agent for Cell and Tissue Sections In in situ Hygridization)」,DNA Cell Biol.10,143−147(1991) Tiedge et al.,「ヒトBC200 RNAの一時構造、神経特異的発現および樹状定位(Primary Structure,Neural−Specific Expression,and Dendric Location of Human BC200 RNA)」,J.Neurosci.13,2382−2390(1993) Tiedge,H.,「原位置ハイブリダイゼーションにおける細胞および組織切断のための架橋剤としてのUV線の使用(The Use of UV Light as a Cross−linking Agent for Cells and Tissue Sections In in situ Hygridization)」,DNA Cell Biol.10,143−147(1991)
下の表1および2は、これらの乳房組織サンプルから得られたBC200 RNAシグナルの半定量的評価を提供するものである。記号+/−、+、++、+++、++++は、検出されたRNAのレベル増加を反映している。組織の診断、悪性度格付および分類は、がん病理学者によって独自に確認されたものである。
Figure 0004315812
Figure 0004315812
TNM分類は、がんの広がりの程度を分類するために最も広く使用されている。TNM分類は、腫瘍の大きさ、関係するリンパ節の数および遠隔転移の数に基づくものであり、腫瘍−リンパ節−転移(TNM)システムとしても知られている。(Xは、樹立していないことを意味する)。このシステムは、(非特許文献30)に当初発表されたとおり、国際対癌連合(International Union against Cancer)および対癌米国合同委員会(the American Joint Committee on Cancer)により採用されている。
the 1992 Manual for Staging of Cancer、第4版(Beahrs,O.H.ら)、149〜154頁(Philadelphia,Lippincott 1992)
上記サンプルについてのシグナル強度は、エマルジョン・オートラジオグラフィーによって判定した。詳細には、シグナル強度は、3つの悪性度が高くないDCISサンプル、4つの高悪性度のDCISサンプル、5つの正常(すなわち、腫瘍でない)組織サンプル、および5つの線維腺腫サンプルから得た。オートラジオグラフィー銀粒子密度の定量分析は、MetaMorphソフトウエア(Universal Imaging Corp.,Downingtown,PA)を使用して行った。定量的撮像の結果は、相対単位(ALU)でのフォーマット平均±標準誤差(s.e.m)で得られた。悪性度が高くないDCISについて判定された平均標識強度は、408±150ALUであり、これに対して、高悪性度のDCISについての平均標識強度は、3262±923ALUであった。正常(すなわち、腫瘍でない)組織は、206±57ALUの評点を得た。線維腺腫は、502±120ALUの平均標識強度を有した。統計的解析は、高悪性度のDCISシグナルが、悪性度が高くないDCISシグナルならびに正常組織シグナルとは有意に異なる(p<0.05)ことを示した。悪性度が高くないDCISシグナルは、正常組織シグナルとさほど異ならなかった(P=0.31)。従って、ハイブリダイズされたBC200 RNAの標識強度は、DCISが、侵襲性になる可能性が高い悪性度のものであるか否かを判定する際の、(増分マーカーではなく)絶対的マーカーとなる。
侵襲性の腺管癌(IDC)(腺管癌NST)、および管状小葉癌を含む浸潤性小葉癌(ILC)では、高レベルのBC200 RNA発現も見出された。侵襲性の癌腫は、腫瘍のタイプ、悪性度および期に依存して、1800〜4000ALUという高い相対シグナル強度を有した。これらの値は、正常な組織シグナルおよび線維腺腫シグナルとは有意に異なるものだった(p<0.05)。例えば、悪性度が高くない侵襲性の腺管癌は、1823±478ALUの評点を得(8件)、高悪性度の侵襲性の腺管癌は、2957±810ALUの得点を得た(8件)。両方の値は、正常組織シグナルおよび線維腺腫シグナルとは有意に異なった(p<0.05)。
上記に基づき、本発明に従って、上に記載したとおりオートラジオグラフィーにより判定された約1000ALU以上の標識シグナルを利用して、侵襲性の癌腫に進行する確立が高い、高悪性度のDCIを予測することができる。約1000ALU未満のシグナルを利用して、侵襲性の癌腫に進行する確立が低い、悪性度が高くないDCISを予測することができる。約1000ALUより大きいシグナル強度を利用して、IDCおよびILCなどの侵襲性の癌腫を診断することもできる。
上述の結果は、侵襲性の癌腫の診断ばかりでなく、癌腫が、侵襲性の癌腫に進行する可能性が高いか否かを判定するためにも、BC200 RNAレベルを利用することができることを示している。さらに、高悪性度のDCISの標識シグナルは、悪性度が高くないDCISより有意に高く、侵襲性の癌腫に典型的な標識強度に似通っており、実際、侵襲性の癌腫と区別できないことがわかった。
従って、BC200 RNAは、腫瘍悪性度(低悪性度対中等度の悪性度対高悪性度)のインジケータとして使用することもでき、且つ、侵襲性の癌腫の診断とまだ侵襲性でない癌腫の予後に利用することできる。

Claims (15)

  1. 乳癌の腺管上皮内癌、上皮内小葉癌、浸潤癌、粘液性癌、又は髄様癌が侵襲性の癌になる可能性の程度を決定する方法であって、
    a) 乳癌細胞のあるヒトから得た生理学的試験サンプルを、該試験サンプル中のRNAが標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように準備する工程;
    b)ヒトBC200 RNAが存在するかどうかを検出可能な反応生成物を生成する条件下で、該試験サンプルを該検出試薬と合わせる工程;
    c)検出可能な反応生成物の量を該標識シグナルにより測定する工程;
    d)工程c)で測定した標識シグナル量を、該試験サンプルと同じ工程を使用することによって準備された悪性の程度が低い癌対照標準からの標識シグナルと比較する工程;および
    e)該試験サンプル中の上昇した標識シグナルの量を、該癌が侵襲性になる可能性の程度の決定と相関させる工程;からなることを特徴とする上記方法。
  2. 該浸潤癌が浸潤性腺管癌である請求項1記載の方法。
  3. 該浸潤癌が浸潤性小葉癌である請求項1記載の方法。
  4. 該浸潤性小葉癌が管状小葉癌である請求項3記載の方法。
  5. 該検出試薬がヒトBC200 RNAとハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブである請求項1記載の方法。
  6. RT−PCRを利用して、ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する請求項1記載の方法。
  7. エマルジョン・オートラジオグラフィー、リン光イメージング、光学顕微鏡検査法、共焦点顕微鏡検査法、多陽子顕微鏡検査法および蛍光顕微鏡検査法から成る群より選択される技術によって、該標識シグナル量を測定する請求項1記載の方法。
  8. 該標識シグナル量をオートラジオグラフィーによって測定し、該試験サンプルと同じ工程を使用して準備された悪性の低い癌対照標準と比較して高められたシグナル強度を利用して、侵襲性の癌に進行する高い確率をもつ高い悪性度の癌を検定する請求項7記載の方法。
  9. 乳癌の腺管上皮内癌、上皮内小葉癌、浸潤癌、粘液性癌、又は髄様癌の腫瘍の程度を決定する方法であって、
    a)乳癌細胞のあるヒトから得た生理学的試験サンプルを、該試験サンプル中のRNAが標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように準備する工程;
    b)ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する条件下で、該試験サンプルを該検出試薬と合わせる工程;
    c)検出可能な反応生成物の量を該標識シグナルにより測定する工程;および
    d)工程c)で測定した標識シグナル量を、該試験サンプルと同じ工程を用いることによって準備された悪性度の低い程度の癌対照標準からの標識シグナルと比較する工程からなり;
    該試験サンプル中の標識シグナルと、該試験サンプルと同じ工程を使用することによって準備された低い程度の癌対照標準との相対的同一のレベルは、侵襲性の癌に進行する低い可能性をもつ、該試験サンプル中の低い程度の癌を示し、
    該試験サンプルと同じ工程を使用することによって準備された低い程度の癌対照標準からの標識シグナルの量と比べて、該試験サンプル中の標識シグナルの上昇した量は、侵襲性の癌に進行する中程度の可能性をもつ、該試験サンプル中の中程度の癌を示し;そして
    該試験サンプルと同じ工程を使用することによって準備された中程度の癌対照標準と比べて、該試験サンプル中の標識シグナルの上昇した量は、侵襲性の癌腫に進行する、該試験サンプル中の高程度の癌を示すことを特徴とする上記方法。
  10. 前記検出試薬がヒトBC200 RNAとハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブである請求項9記載の方法。
  11. RT−PCRを利用して、ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する請求項9記載の方法。
  12. 乳癌の腺管上皮内癌、上皮内小葉癌、浸潤癌、粘液性癌、又は髄様癌の存在を決定する方法であって、
    a)乳癌細胞があるヒトから得た生理学的試験サンプルを、該試験サンプル中のRNAが標識シグナルを有する検出試薬と反応できるように準備する工程;
    b)ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する条件下で、該試験サンプルと該検出試薬とを組合せる工程;
    c)検出可能な反応生成物の量をその標識シグナルにより測定する工程;および
    d)工程c)で測定した標識シグナル量を、該試験サンプルと同じ工程を使用して調整された悪性の程度が低い癌対照標準からの標識シグナルと比較する工程からなり;
    該試験サンプルと同じ工程を使用することによって準備された非侵襲性対照標準の標識シグナルの量と比べて、該試験サンプル中の標識シグナルの上昇した量が侵襲性の癌を示すことを特徴とする上記方法。
  13. 前記検出試薬がヒトBC200 RNAとハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブである請求項12記載の方法。
  14. RT−PCRを利用して、ヒトBC200 RNAが存在するかどうか検出可能な反応生成物を生成する請求項12記載の方法。
  15. エマルジョン・オートラジオグラフィー、リン光イメージング、光学顕微鏡検査法、共焦点顕微鏡検査法、多陽子顕微鏡検査法および蛍光顕微鏡検査法から成る群より選択された技術によって、前記標識シグナル量を測定する請求項12記載の方法。
JP2003571704A 2002-02-22 2003-02-21 癌腫の分子診断および予後 Expired - Fee Related JP4315812B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US35915602P 2002-02-22 2002-02-22
PCT/US2003/005502 WO2003073065A2 (en) 2002-02-22 2003-02-21 Molecular diagnosis and prognosis of carcinomas

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006510870A JP2006510870A (ja) 2006-03-30
JP4315812B2 true JP4315812B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=27766045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003571704A Expired - Fee Related JP4315812B2 (ja) 2002-02-22 2003-02-21 癌腫の分子診断および予後

Country Status (8)

Country Link
US (1) US7510832B2 (ja)
EP (1) EP1576349B1 (ja)
JP (1) JP4315812B2 (ja)
AT (1) ATE430210T1 (ja)
AU (1) AU2003213247B2 (ja)
CA (1) CA2474700A1 (ja)
DE (1) DE60327468D1 (ja)
WO (1) WO2003073065A2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1578939A4 (en) * 2002-11-12 2007-10-24 Univ New York State Res Found REGULATION OF TRANSLATION WITH SMALL NON-TRANSLATABLE RNA
CA2872245C (en) * 2012-04-30 2021-08-31 The Research Foundation For Suny Cancer blood test using bc200 rna isolated from peripheral blood for diagnosis and treatment of invasive breast cancer
US9784739B2 (en) * 2014-11-10 2017-10-10 The Research Foundation for State University of New York Regulatory brain specific cytoplasmic RNAS (BC RNAs) and methods of use thereof in diagnosis and treatment of neuropsychiatric lupus
CN113604566B (zh) * 2021-07-13 2023-05-16 中山大学孙逸仙纪念医院 lncRNA BCYRN1在膀胱癌预后、治疗中的应用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0701629B1 (en) * 1993-05-28 2006-08-02 Mount Sinai School of Medicine of New York University Bc200 rna, probes therefor and use thereof

Also Published As

Publication number Publication date
AU2003213247B2 (en) 2008-06-19
EP1576349A2 (en) 2005-09-21
WO2003073065A2 (en) 2003-09-04
US7510832B2 (en) 2009-03-31
JP2006510870A (ja) 2006-03-30
CA2474700A1 (en) 2003-09-04
DE60327468D1 (de) 2009-06-10
ATE430210T1 (de) 2009-05-15
AU2003213247A1 (en) 2003-09-09
US20050164189A1 (en) 2005-07-28
WO2003073065A3 (en) 2006-01-05
EP1576349A4 (en) 2006-08-16
EP1576349B1 (en) 2009-04-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9359646B2 (en) Diagnosis kit and chip for bladder cancer using bladder cancer specific methylation marker gene
KR101106727B1 (ko) 폐암특이적 메틸화 마커 유전자를 이용한 폐암 검출방법
EP1592809B1 (en) Method to detect prostate cancer in a sample
CN109952381B (zh) 用于多重检测甲基化dna的方法
JP2004505611A (ja) 乳癌の検出およびモニタリングのための方法、組成物、およびキット
CN111560435A (zh) 一种用于结直肠癌检测的dna甲基化试剂盒及使用方法、应用
CN112646888A (zh) 乳腺肿瘤特异性甲基化检测的试剂盒
CN111826446A (zh) 用于膀胱癌早期筛查与辅助诊断的引物、探针和试剂盒
KR20110118230A (ko) 자궁경부암 진단용 메틸화 마커
JP4315812B2 (ja) 癌腫の分子診断および予後
KR101255768B1 (ko) 자궁경부암 특이적 메틸화 유전자의 CpG 섬을 함유하는 자궁경부암 또는 자궁경부암 진행단계 진단용 바이오마커
JP5865241B2 (ja) 肉腫の予後分子署名およびその使用
US5670318A (en) Human BC200 RNA probes and a method of screening for breast cancer using the probes therefor
EP3625370A1 (en) Composite epigenetic biomarkers for accurate screening, diagnosis and prognosis of colorectal cancer
WO1994028176A9 (en) Bc200 rna, probes therefor and use thereof
US11542559B2 (en) Methylation-based biomarkers in breast cancer screening, diagnosis, or prognosis
US20030104454A1 (en) Method for detection of DNA methyltransferase RNA in plasma and serum
KR100868883B1 (ko) 신경모세포종 세포의 검출
US20100159464A1 (en) Method for Detection of DNA Methyltransferase RNA in Plasma and Serum
JP7297902B2 (ja) 分析方法及びキット
CN115927629A (zh) 一种尿液脱落细胞膀胱癌多靶点甲基化基因检测试剂及方法
CN117327796A (zh) 用于检测尿路上皮癌的组合物及其用途
JP2008517626A (ja) 乳房細胞を検出するための核酸プライマー及びプローブ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081202

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090302

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090309

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090421

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4315812

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees