JP2023059341A - 塗膜転写具 - Google Patents

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久幸 赤窄
Hisayuki Akasako
一也 渡辺
Kazuya Watanabe
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Abstract

Figure 2023059341000001
【課題】簡単な構造で、音の発生を防止し、かつ転写テープの巻き戻り量も非常に小さい逆転防止機構を有する塗膜転写具の提供。
【解決手段】
塗膜転写具は、逆転防止ツメを有する軸部材を有する。軸部材の逆転防止ツメは、コア(繰出コア及び/又は巻取コア)のラチェット歯車と係合する。軸部材はコアと連動する回転軸部と接触した状態で、回転軸部の回転によって移動する。コアが逆転すると軸部材が移動して、ラチェット歯車と逆転防止ツメが係合し、コアの逆転が防止される。コアが正転すると軸部材が移動して、ラチェット歯車と逆転防止ツメの係合が解除される。
【選択図】図1

Description

本発明は、文字修正用塗膜、接着用の粘着剤塗膜、装飾用塗膜等を被転写体の被転写面に押圧転写するための塗膜転写具の技術分野に属する。
塗膜転写具では、繰出コアから繰り出された転写テープ上の塗膜を、転写ヘッド先端で被転写体へ転写し、塗膜が無くなった転写テープ(基材テープ)を巻取コアに巻き取ることにより、塗膜転写を行っている。
塗膜転写を終え、前記転写ヘッドを被転写体から持ち上げることにより、被転写体へ転写された塗膜と転写テープ上の塗膜が、前記転写ヘッドの先端で切断される。転写ヘッド先端で切断された転写テープ上の塗膜が、転写ヘッドの先端に留まっていれば、次に転写ヘッド先端を被転写体へ押し当てた位置から、確実に塗膜が被転写体へ転写される。このため、転写ヘッド先端で切断された転写テープ上の塗膜が、転写ヘッドの先端に留まっていれば、使用者が塗膜転写を開始したいと欲した位置から、塗膜転写を確実に開始することができる。しかしながら、塗膜転写具では、前記繰出コアと前記巻取コアを連動回転させる連動回転機構により、転写テープが繰出コア側へ巻き戻されることがある。
このような連動回転機構としては、繰出コアと巻取コアのそれぞれと同心円で回転するギア同士を噛合せたものや、繰出コアと巻取コアのそれぞれと同心円で回転するプーリー間にOリングなどのベルトを掛けまわしたものがある。
ギア同士を噛合わせた連動回転機構では、ギアのバックラッシュにより、転写テープが繰出コア側へ巻き戻される。ベルトを掛けまわす連動回転機構では、繰出コアと同心円で回転するプーリー(繰出コアのプーリー)の引っ張る側のベルト張力よりも、繰出コアのプーリーの送り出す側のベルト張力が小さくなるため、送り出す側のベルトにたるみが生じる。塗膜転写を終え、前記転写ヘッドを被転写体から持ち上げると、ベルトを引っ張る側とベルトを押し出す側のベルト張力差を解消しようとして、繰出コアのプーリーが逆回転する。このように、繰出コアのプーリーが逆回転するので、転写テープが繰出コア側へ巻き戻される。
転写テープが繰出コアに巻き戻されると、転写ヘッド先端の転写テープ上に塗膜がないため、使用者が塗膜転写を開始したいと欲した位置から、塗膜転写を開始することがでない。このため、例えば塗膜が修正テープの場合には、修正し始めようとした箇所に、修正テープの塗膜が転写されないことがある。また、塗膜を積層している転写テープの基材テープ表面は、塗膜を容易に剥離できるようにするため、平滑で摩擦係数が小さな面となっている。このため、塗膜が転写ヘッド先端にあるときにくらべて、転写テープが繰出コアに巻き戻されて転写ヘッド先端に塗膜がないときには、使用者が強い力で転写ヘッド先端を被転写体へ押し付けなければ転写テープを引き出すことができなくなる。このため、転写テープが繰出コアに巻き戻されて転写ヘッド先端の転写テープ上に塗膜がないときには、塗膜転写具は使い勝手が悪くなるという問題もある。
このような問題を解決するために、塗膜転写具には従来から、繰出コアや、繰出コアと連動する巻取コアに逆転防止機構を設けて、転写テープが繰出コアへ巻き戻されることを防止してきた。塗膜転写具の逆転防止機構としては、転写テープの巻き戻し量をできるだけ小さくするために、図3に示すラチェット機構が一般的に用いられてきた。図3に、従来の逆転防止機構を有する塗膜転写具を示す。図3(a)は上ケースを取り外した状態の従来の逆転防止機構を有する塗膜転写具の正面図である。図3(b)は、図3(a)のY-Y断面図である。図3(c)は従来の塗膜転写具の下ケース及び下ケースに設けられたラチェット歯車を示す図であり、図3(d)は、従来の塗膜転写具の巻取コア及び巻取コアに設けられた逆転防止ツメを示す図である。ただし、図3(b)は上ケースを取り付けた状態を示している。
ラチェット機構は、円周上に連続して設けられた方向性を有するラチェット歯車5Cと、ラチェット歯車5Cの個々の歯と噛み合う逆転防止ツメ3Cで構成されるものである。逆転防止ツメ3Cは弾性片の先端に設けられ、弾性片の弾性力によってラチェット歯車5Cに押し当てられる。図3に示すように、逆転防止ツメ3Cの設けられた巻取コア3が、通常の塗膜転写時に回転する方向である、正転方向へ回転する場合には、ラチェット歯車5Cと逆転防止ツメ3Cは、逆転防止ツメ3Cが先端に設けられた弾性片が弾性変形することにより、逆転防止ツメ3Cがラチェット歯車5Cの斜面を滑って、ラチェット歯車5Cを乗り越えることができる形状となっている。一方、巻取コア3が逆転する場合には、ラチェット歯車5Cと逆転防止ツメ3Cは、それぞれの接触面を、相手方の接触面に対して対面方向へ押し合う形状となっており、逆転防止ツメ3Cはラチェット歯車5Cを乗り越えることができない。
ラチェット機構では、このようにラチェット機構を設けた回転体が逆転しようとすると、すぐにラチェット歯車と逆転防止ツメが係合して逆転が防止される。また、ラチェット歯車の歯車間隔を調整することにより、ラチェット歯車の逆転量を容易に小さくすることができる。このため、ラチェット機構を塗膜転写具の逆転防止機構として採用することにより、転写テープの巻き戻し量を小さくすることができる。
しかしながら、ラチェット機構を塗膜転写具の逆転防止機構として採用すると、正転時にラチェット音が発生するという問題がある。上記のように、巻取コア3の正転時には、逆転防止ツメがラチェット歯車の個々の歯を乗り越えることによって、巻取コア3が回転する。このとき、逆転防止ツメは弾性片の弾性力により、ラチェット歯車に押し当てられているので、逆転防止ツメがラチェット歯車を乗り越えるたびに、逆転防止ツメはラチェット歯車に打ちつけられる。このため、ラチェット機構を逆転防止機構として使用した塗膜転写具では、塗膜転写時に常に逆転防止機構から音、所謂ラチェット音が発生する。
そこで、このようなラチェット音を対策した塗膜転写具が特許文献1などで提案されている。特許文献1では、ラチェット音の低減を課題として、供給リールの一方に配置された第1枠体部材の内面に、リールの回転軸を中心として環状にラチェット歯が形成された環状突起を設け、第1枠体部材よりもリール側に、リールとともに回転し、リールの回転軸を中心とした周方向に延びるアームの先端に、リールが逆転した場合にラチェット歯と噛み合ってリールの逆転を防止するラチェット爪を有するラチェット爪保持体と、ラチェット爪保持体よりもリール側に、リールとともに回転するラチェットアーム押さえ部を備え、ラチェットアーム押さえ部と第1枠体部材により、該アームにおけるラチェット爪保持体の厚さ方向の移動が制限されている塗膜転写具が提案されている。
特許文献2では、ギア歯形状を複雑化する必要がなく、ギアの製造が容易な逆転防止機構を備える塗膜転写具の提供を目的として、供給ボビン駆動軸、巻取ボビン駆動軸及び回転連結機構による回転系と連結するロールギアと、ロールギア周りの所定範囲を移動可能に配置されてロールギアと歯合する移動ギアと、ロールギアの逆転方向側に対応して配置されて移動ギアと係止可能な係止突起を有する塗膜転写具が提案されている。
また、特許文献3では、ケースおよび供給ギアの形状を単純化するとともに、使用時における音の発生を防止することを課題として、支軸に環装させた圧縮コイルスプリングの上端を押えボタンに係止し、下端をスプリング受けに係止させ、圧縮コイルスプリングの付勢力によりスプリング受けの下面を供給ギアの筒状ボスの上面に圧接させて、供給ギアを逆回転させようとする力が生じた場合に、圧縮コイルスプリングが支軸に巻き締められて、供給ギアの逆回転を防止する塗膜転写具が提案されている。
特許文献4では、塗膜転写具の使用時の逆転防止機構音の発生を防ぐことを課題として、ケース内側面に形成したラチェットの円周方向で隣り合うラチェット歯の間に貫通した開口を形成し、供給リールに一体に形成した係止爪はラチェット歯を乗り越えて復帰するときに、アームの弾性により静止位置を越えた位置まで移動するが、係止爪の先端部が開口に入る塗膜転写具が提案されている。
しかしながら、特許文献1の塗膜転写具では、第1枠体部材、リールとともに回転しアームの先端にリールの逆転を防止するラチェット爪を有するラチェット爪保持体、リールとともに回転するラチェットアーム押さえ部などの多くの追加部品を要するとともに、構造が複雑なものとなっていた。特許文献2の塗膜転写具では、移動ギアが所定範囲を移動することによって、逆転防止機構が作用する構造となっており、転写テープの巻き戻り量を非常に小さくすることが困難であった。引用文献3の塗膜転写具でも、供給ギアの逆回転が開始してから、圧縮コイルスプリングが支軸に巻き締められるまでの間、供給ギアが逆回転するため、転写テープの巻き戻り量を非常に小さくすることが困難であった。また、特許文献4の塗膜転写具では、係止爪の先端部が開口に入って、係止爪とラチェット歯が接触しないようになっているので、係止爪はラチェット歯間に、所謂“がた”のある状態で入る。このため、係止爪の先端部が開口に入った状態から、さらに係止爪は移動可能であり、転写テープの巻き戻り量を非常に小さくすることが困難であった。
特開2020-090043号公報 特開2019-025827号公報 特開2005-047201号公報 特開2005-219277号公報
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、音の発生を防止し、かつ転写テープの巻き戻り量を非常に小さくすることができる逆転防止機構を有する塗膜転写具の提供である。
第1発明は、筐体内に繰出コアと巻取コアが回転可能に収納され、前記筐体から転写押圧部を備えた転写ヘッドが突出し、前記繰出コアから転写テープが繰出され、前記転写押圧部で、前記転写テープが被転写面に転写される塗膜と残りの基材テープとに分かれ、前記基材テープが前記巻取コアに巻取られるようになっている塗膜転写具において、
前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取りコアの前記基材テープを巻き取る方向の反対方向への回転を防止する逆転防止機構が設けられ、前記逆転防止機構は、前記繰出コア若しくは前記巻取コア、又は前記繰出コア若しくは前記繰出コアとともに回転する回動部材の外周部に連続して設けられたラチェット歯車、前記ラチェット歯車と係合して前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取コアが前記基材テープを巻取る方向の反対方向への回転を防止する逆転防止ツメを有する軸部材からなり、前記巻取コア若しくは前記繰出コア、又は前記巻取コア若しくは前記繰出コアとともに回転する前記回動部材には、前記巻取コア若しくは前記繰出コアとともに回転する回転軸部が設けられ、前記軸部材は前記回転軸部の外周と接し、かつ前記回転軸部の外周の接線方向に移動可能に前記筐体内に保持され、前記繰出コアが前記転写テープを繰出す方向への回転、又は前記巻取りコアが前記基材テープを巻き取る方向への回転に伴って前記回転軸部が回転することにより、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかり、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車の係合が解除され、前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取コアの前記基材テープを巻き取る方向の反対方向への回転に伴って前記回転軸部が回転することにより、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車に近づき、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車が係合することを特徴とする塗膜転写具である。
第2発明は、前記軸部材の前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかる方向への移動を停止する停止部をさらに有し、前記繰出コアが前記転写テープを繰り出す方向又は前記巻取コアが前記基材テープを巻き取る方向へ回転し、前記回転軸部が前記繰出コア又は前記巻取コアとともに回転して、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかり、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車の係合が解除された後に、前記軸部材が前記停止部と接触して前記軸部の移動が停止された状態において、前記ラチェット歯車の最大外径部を繋いだ円周と、前記逆転防止ツメの前記ラチェット歯車と係合する形状のうち前記ラチェット歯車に最も近い位置との最短距離が0.5mm以上1mm以下であることを特徴とする第1発明に記載の塗膜転写具である。
本発明の逆転防止機構は、巻取コア若しくは繰出コアの外周部、又は巻取コア若しくは繰出コアとともに回転する回動部材の外周部に連続して設けられたラチェット歯車、ラチェット歯車と係合して繰出コアの転写テープを繰出す方向の反対方向への回転(以下、逆転と言う。)、又は巻取コアが基材テープを巻取る方向の反対方向への回転(同じく以下、逆転と言う。)を防止する逆転防止ツメを有する軸部材で構成した。また、巻取コア若しくは繰出コア、又は巻取コア若しくは繰出コアとともに回転する回動部材には回転軸部が設けられ、軸部材は回転軸部の外周と接し、かつ回転軸部の外周の接線方向に移動可能に筐体内に保持され、繰出コアが転写テープを繰出す方向への回転(以下、正転と言う。)、又は巻取コアが基材テープを巻き取る方向への回転(同じく以下、正転と言う。)に伴って回転軸部が回転することにより、回転軸部外周との摩擦力によって軸部材が回転軸部外周の接線方向に移動し、軸部材に設けられた逆転防止ツメがラチェット歯車から遠ざかり、逆転防止ツメとラチェット歯車の係合が解除されるようにした。一方、繰出コアの逆転、又は巻取コアの逆転に伴って回転軸部が回転することにより、回転軸部外周との摩擦力によって軸部材が回転軸部外周の接線方向に移動し、軸部材に設けられた逆転防止ツメがラチェット歯車に近づき、逆転防止ツメとラチェット歯車が係合するようにした。
このように、本発明の逆転防止機構では、繰出コア又は巻取コアの正転時に、回転軸部外周との摩擦力によって軸部材が回転軸部外周の接線方向に移動し、軸部材に設けられた逆転防止ツメがラチェット歯車から遠ざかり、逆転防止ツメとラチェット歯車の係合が解除されるようにしたので、正転時には、ラチェットツメとラチェット歯車が係合しない状態とすることができ、塗膜転写具の塗膜転写時には、逆転防止機構による音の発生を確実に防止することができる。一方、本発明の逆転防止機構では、繰出コア又は巻取コアの逆転時に、回転軸部外周との摩擦力によって軸部材が回転軸部外周の接線方向に移動し、軸部材に設けられた逆転防止ツメとラチェット歯車が確実に係合するようにしたので、繰出コア又は巻取コアの逆転を確実に防止できる。さらには、繰出コア又は巻取コアの正転時に軸部材の移動を止める停止部材等を設けることによって、繰出コア又は巻取コアの正転時の逆転防止ツメとラチェット歯車の距離が調節可能であり、この距離を小さくすれば、逆転時のテープ戻りを非常に小さくすることもできる。(転写テープの巻き戻り量を非常に小さくすることができる。)また、ラチェット歯車、回転軸部は繰出コア、又は巻取コアと一体に設けることも可能であり、本発明の逆転防止機構では、軸部材のみを追加するだけで構成することができ、非常簡単な構造で、逆転防止機能を達成することもできる。
本発明の第1実施形態の塗膜転写具Aを示す。 本発明の第1実施形態の塗膜転写具Aの逆転防止機構を示す。 従来の塗膜転写具の逆転防止機構を示す図である。 摩擦係数の測定方法を示す図である。 軸部材1の組み込み用ピンの位置を示す図である。 軸部材1を示す図である。
図1に、本発明の第1実施形態の塗膜転写具Aを示す。図1(a)は上ケースを取外した状態の正面図である。但し、位置関係を示すために、上ケース6に設けられたストッパ6Aと保持部6B、及び、上ケース6に保持され、上ケース6を繰出コア2が装着された下ケース5に装着することにより、塗膜転写具A内に組み込まれる軸部材1を想像線で示している。図1(b)は、図1(a)のX矢視図である。図1(c)は図1(a)のY-Y断面図である。図1(d)は塗膜転写具Aの底面図である。また、図1(e)は軸部材1と回転軸部2Bの接触部分の詳細を示す拡大図である。但し、図1(a)の繰出コア2の回転中心を基準として左に45°回転した状態を示している。なお、図1(b)、(c)、(d)は上ケースを取り付けた状態を示している。
塗膜転写具Aは、下ケース5、上ケース6、塗膜を基材テープS上に塗工した転写テ-プT、転写テープTを繰出コア2に巻き回した供給リール、転写テープTに塗工された塗膜を紙等の被転写体の被転写面に転写するために下ケース5と上ケース6で構成される開口部より突出した転写ヘッド4、塗膜を転写した後の基材テ-プSを巻取コア3に巻き取った巻取リール、繰出コア2と巻取コア3に設けられたプーリーに掛け回され、繰出コア2の回転を巻取コア3に伝えるベルト7、軸部材1で構成されるものである。
塗膜転写具Aでは、繰出コア2の回転を巻取コア3に伝える伝達方法としてベルト7を使用しているが、ギア等による伝達も可能であり、特に制限はない。また、塗膜転写具Aでは、繰り出し側と巻き取り側の周速差を吸収するスリップ機構もベルト7と、繰出コア2に設けられたプーリーと巻取コア3に設けられたプーリー間のスベリを利用しているが、スリップリング、コイルスプリング、樹脂バネ等によるスベリ機構も利用可能であり、特にその方法を制限するものではない。
塗膜転写具Aでは、転写ヘッド4の先端部の転写押圧部4Aで転写テープTを、紙などの被転写面に押圧しつつ、塗膜転写具Aを移動させると、転写テープTから塗膜が被転写面に転写され、転写テープTが繰出コア2から繰り出される。繰出コア2から転写テープTが繰り出されることによって、繰出コア2が回転すると繰出コア2のプーリーに掛けまわされたベルト7もプーリーの回転に伴って移動する。ベルト7が移動することによって、繰出コア2の回転が巻取コア3に伝えられ、巻取コア3が回転する。プーリーによって伝えられた回転によって、転写ヘッド4で塗膜が転写された残りの基材テープSを巻取コア3が巻き取って、転写テープTが弛むことなく走行する。塗膜転写具Aでは、巻取コア3が巻き取る基材テープSの長さが、繰出コア2から繰り出される転写テープTよりも長くなるように、繰出コアと巻取コアの回転比率が設定されているので、転写テープTが弛むことがない。また、基材テープSの巻き取り長さと転写テープTの繰り出し長さの差は、巻取コア3のプーリーとベルト7が滑ることによって吸収されるので、転写テープTが引っ張られて切れることもない。
図2に塗膜転写具Aの逆転防止機構を示す。塗膜転写具Aでは逆転防止機構を繰出コア2に設ける。図2(a)と図2(b)は、図1(e)と同様に、軸部材1と回転軸部2Bの接触部分の詳細を示す拡大図であり、図1(a)の繰出コア2の回転中心を基準として左に45°回転した状態を示している。図2(a)は塗膜転写具Aの繰出コア2が正転している状態、即ち、塗膜転写具Aで転写テープを繰出コア2が繰り出している状態を示す図であり、図2(b)は塗膜転写具Aの繰出コア2が逆転している状態、例えば、塗膜転写具Aの転写ヘッド4で転写テープTを被転写体に押圧した状態で、転写ヘッド4を塗膜転写方向と逆方向に移動させて、巻取コア3から基材テープが引き出されることによって、巻取コア3と繰出コア2が連動回転して、繰出コア2が転写テープを繰り出す方向とは反対方向に回転した状態を示す図である。また、図2(c)は図2(a)の部分拡大図であり、図2(d)は図2(b)の部分拡大図であり、それぞれの状態における軸部材1の逆転防止ツメ1Aと繰出コア2のラチェット歯車2Aとの位置関係を示した図である。図2(e)は図2(a)のZ-Z断面の拡大図であり、上ケース6を装着した状態を示す図である。塗膜転写具Aでは回転軸部2Bとラチェット歯車2Aを繰出コア2に一体に設けたが、回転軸部2B、及び/又はラチェット歯車2Aを、繰出コア2とともに回転する別部材に設けても良い。
図2(a)(b)に示すように、塗膜転写具Aの逆転防止機構は繰出コア2に一体に設けられたラチェット歯車2Aと回転軸部2B、軸部材1、及び上ケース6に設けられたストッパ(停止部)6Aと、同様に上ケース6に設けられ軸部材1を回動軸部2Bと接触した状態で移動可能に保持する保持部6B、規制部6Cで構成されている。軸部材1はラチェット歯車2Aと係合する逆転防止ツメ1A、及び回転軸部2Bと保持部6B間に移動可能に保持される軸部1Bを有している。治具などにより上ケース6の所定の位置に軸部材1を装着した後、軸部材1以外の内部部品を組み込んだ下ケース5に、軸部材1を装着した上ケース6を嵌め合わせることにより、軸部材1を塗膜転写具A内の所定の位置に組み込むことができる。例えば、図5に8番と記した3箇所の位置にピンが設けられ、かつ上ケース6外面と治具が接触するように上ケース6を装着できる治具を準備し、上ケース6には治具に設けた3箇所のピンが挿入される3箇所の穴を設ければ、治具に上ケースを装着することによって、治具の3箇所のピンが上ケース6の内部に突出した状態にすることができる。2箇所の保持部6Bと保持部6B付近の2箇所のピン間に軸部材1の軸部1Bが挟み込まれるとともに、ストッパ(停止部)6Aとストッパ(停止部)6A付近のピン間に、軸部材1のストッパ装着部1Cが入るように軸部材1を装着すれば、軸部材1を上ケース6内の所定の位置に装着することができる。また、ピンと保持部6Bで軸部材1が保持できるようにしておけば、治具に装着された状態で内部に軸部材1を装着した上ケース6を、軸部材1以外の内部部品を組み込んだ下ケース5に嵌め合わせることで、軸部材1を塗膜転写具Aの所定の位置に装着することができる。上ケース6と下ケース5を嵌め合わせた後に治具を取り外せば、3箇所のピンは上ケース6内から引き抜くことができる。
塗膜転写具Aでは、図2(a)に示す繰出コア2が転写テープTを繰り出している状態では、繰出コア2に一体に設けられている回転軸部2Bも繰出コア2と同じ方向に同じ回転速度で回転している。そして、回転軸部2Bと接触している軸部材1は、回転軸部2Bとの摩擦力により、図2(a)において、右方向へ移動して、逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aの係合が解除され、繰出コア2が回転可能な状態となっている。繰出コア2が転写テープTを繰り出すためにさらに回転すると、軸部材1は回転軸部2Bとの摩擦力により、図2(a)において、さらに右方向移動するように押圧されるが、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触して、それ以上右方向へは移動できないようになっている。
塗膜転写具Aでは、軸部材1と回転軸部2Bとの摩擦力は、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触していない状態では、軸部材1が回転軸部2Bと滑ることなく移動できるが、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触して停止した状態では、回転軸部2Bが軸部材1に対して滑ることによって回転し、繰出コア2が転写テープTを繰り出せるように設定される。軸部材1と回転軸部2Bの摩擦力をこのように設定することで、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触して移動することができない状態でも、回転軸部2Bが軸部材1に対して滑って回転することができるので、繰出コア2は転写テープTを安定して、繰り出すことができる。
塗膜転写具Aでは、図2(a)の状態で、繰出コア2が転写テープTを繰り出す方向と反対方向に回転(逆転)すると、回転軸部2Bも繰出コア2と同じ方向に同じ回転速度で回転(逆転)する。そして、回転軸部2Bと接触している軸部材1は、回転軸部2Bとの摩擦力により、図2(a)において、左方向へ移動して、軸部材1に設けられた逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aが係合した図2(b)、図2(d)の状態になる。逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aが係合すると、図2(b)、図2(d)に示すように、ラチェット歯車2Aと逆転防止ツメ1Aの接触する面同士が、相手方の接触面に対して垂直方向に押し合う形状となっており、ラチェット歯車2Aは逆転防止ツメ1Aを乗り越えることができず、繰出コア2の逆転が防止される。
軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触している図2(a)の状態で、繰出コア2に設けられたラチェット歯車2Aの最大外径部を繋いだ円周と、軸部材1に設けられた逆転防止ツメ1Aのラチェット歯車2Aと係合する形状のうちラチェット歯車2Aに最も近い位置との最短距離dは0.5mm以上1mm以下であることが好ましい。この最短距離dが0.5mm未満では、塗膜転写具Aを使用中に、逆転防止ツメ1Aの先端がラチェット歯車2Aと接触して、繰出コア2の回転を妨げ、繰出コア2から転写テープTを繰り出せなくなるおそれがあるので、好ましくない。繰出コア2が下ケース5及び上ケース6に回転可能に軸支されている軸支部分のクリアランス、所謂「がた」や、ラチェット歯車の外径の偏芯を考慮すると、最短距離dは0.5mm以上が好ましい。また、最短距離dが1mmを超えると、繰出コア2が逆転を開始したときに、繰出コア2の逆転量を最少にすることができないおそれがあるので、好ましくない。ラチェット歯車2A外周1周に設けられているラチェット歯の個数や、ラチェット歯1つの大きさ(幅や高さ)にもよるが、最短距離dが1mm以下であれば、繰出コア2が転写テープTを繰り出す方向と反対方向への回転である逆転を開始すると、すぐに逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aが係合を開始して図2(b)の状態になるので、繰出コア2の逆転量を確実に小さくして、転写テープTの巻き戻り量を確実に短くすることができる。
塗膜転写具Aでは、塗膜転写中は、逆転防止機構は図2(a)の状態となっており、前記最短距離dが0.5mm以上1mm以下となっているために、ラチェット歯車2Aと逆転防止ツメ1Aが接触することはない。このため、塗膜転写具Aでは、軸部材1を追加するだけの簡単な構成で、逆転防止機構によって発生する音を、確実に防止した塗膜転写具を提供することができる。
塗膜転写具Aでは、軸部材1の軸部1Bを移動可能に保持する保持部6Bを、上ケース6に2箇所設けている。2箇所の保持部6Bと繰出コア2の回転軸部2B間に、軸部材1の軸部1Bが移動可能に挟持される。保持部6Bは3箇所以上に設けることも可能であるが、軸部材1ができるだけ抵抗なくスムースに移動することができるように、保持部6Bは少ない方が好ましく、保持部6Bは2箇所に設けることが好ましい。また保持部6Bの形状は、軸部材1ができるだけ抵抗なくスムースに移動できるよう、軸部材1に対して点接触または線接触となる形状が好ましく、図2に示すような円柱状などが好ましい。
また、図2に示す保持部6Bと回転軸部2Bの間隔t1は、保持部6Bと回転軸部2Bの間に移動可能に挟持される軸部材1の軸部1Bの幅t2よりもわずかに狭いことが好ましい。一方、軸部材1が装着される部分の繰出コア2と上ケース6の間隔t3は軸部材1の軸部1Bの厚さt4よりもわずかに広いことが好ましい。t2とt1の差は、後述する回転軸部2Bと軸部材1間の摩擦力が好ましい範囲内になるように設定する。具体的には、t2とt1の差によって軸部材1が弾性変形することによって、軸部材1が回転軸部2Bを押圧し、この押圧力によって発生する回転軸部2Bと軸部材1間の摩擦力が好ましい範囲内になるように設定する。
回転軸部2Bと軸部材1間の摩擦力が好ましい範囲内になるように設定することにより、繰出コア2が逆転し始めると、軸部材1がすぐに回転軸部2Bの外周の接線方向に移動して、逆転防止ツメ1Aがラチェット歯車2Aに係合するので、繰出コア2の逆転量を小さくすることができる。また、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ6Aと接触することによって移動できない状態では、軸部材1と回転軸部2B間の摩擦力によって繰出コア2の回転トルクが増加するが、回転軸部2Bと軸部材1間の摩擦力が好ましい範囲内になるように設定すれば、繰出コア2の回転トルクを適正な範囲内とすることができるので、使用者が塗膜転写具Aを使いづらくなることはない。
一方、t4とt3の差は、0.1mm以上0.4mm以下が好ましく、0.1mm以上0.3mm以下がより好ましい。上記のように、塗膜転写具Aでは、保持部6Bと回転軸部2Bの間隔t1と、保持部6Bと回転軸部2Bの間に移動可能に挟持される軸部材1の軸部1Bの幅t2の寸法差によって軸部材1を撓ませて、軸部材1と回転軸部2B間に摩擦力を発生させている。他部品からの摩擦力が複数の箇所で軸部材1へ作用すると、軸部品1に作用する摩擦力が安定しないので、軸部材1が回転軸部2B外周の接線方向に移動するときには、軸部材1は保持部6Bと回転軸部2Bとの接触部分以外の箇所では、軸部材1に摩擦力が作用しないことが好ましい。このため、軸部材1が装着される部分の繰出コア2と上ケース6の間隔t3は軸部材1の軸部1Bの厚さt4よりもわずかに広いことが好ましい。t4とt3の差が0.1mm未満になると、軸部材1にわずかな反りなどが発生しただけで、軸部材1と上ケース6及び繰出コア2間に生じる摩擦力が大きくなるおそれがあるので、好ましくない。また、t4とt3の差が0.4mmを超えると、軸部材1が上ケース6と繰出コア2間で傾いて、軸部材1がスムースに移動できなくなるおそれがあるので、好ましくない。塗膜転写具Aでは上ケース6の保持部6Bに繋がった2箇所の規制部6Cを設けることによって、t3を好ましい寸法にしている。
また、軸部材1は、塗膜転写具A内に装着された状態では、軸部材1の移動方向を中心軸とした軸周りには、回転しないようにすることが好ましい。軸部材1が回転すると、軸部材1の移動によって図2(b)の状態となっても、逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aが係合しなくなるおそれがある。このため、軸部材1の断面形状は、図2(e)に示すように四角形などであることが好ましい。
また、軸部材1を塗膜転写具Aに装着した状態において、軸部材1が接触する回転軸部2Bに対する軸部材1の摩擦係数k1は、0.32以上、1.59以下であることが好ましく、0.48以上1.27以下であることがより好ましい。摩擦係数k1が0.32未満になると、軸部材1が回転軸部2Bを押圧する力では十分な摩擦力を発生させることができないので、回転軸部2Bと軸部材1が滑りやすくなり、繰出コア2が転写テープTを繰り出す方向の反対方向への回転した場合には、逆転防止ツメ1Aがラチェット歯車2Aに係合するのが遅れ、繰出コア2の逆転量が大きくなり、転写テープTが巻き戻される長さが長くなるおそれがある。一方、繰出コア2が転写テープTを繰り出す方向へ回転した場合には、逆転防止ツメ1Aがラチェット歯車2Aに係合していると、逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aの係合がすぐ解除されず、塗膜が被転写面に転写されなくなるおそれもある。
摩擦係数k1が1.59を超えると、軸部材1が回転軸部2Bを押圧する力が少し大きくなっただけで、摩擦力が大幅に増加して、回転軸部2Bと軸部材1が滑り難くなり、塗膜転写具Aを使用して塗膜転写をした際に、転写テープTを繰り出すために必要な力が大きくなって、塗膜の転写不良が発生するおそれがあるので、好ましくない。繰出コア2が転写テープTを繰り出す方向へ回転し、軸部材1のストッパ装着部1Cがストッパ(停止部)6Aと接触すると、軸部材1はそれ以上移動することができず、その位置で停止した状態となる。軸部材1が停止した状態となるので、回転軸部2Bを含む繰出コア2が回転して、転写テープTを繰り出すためには、回転軸部2Bを含む繰出コア2が、回転軸部2Bと軸部材1間に生じる摩擦力に打ち勝って回転しなければならない。塗膜転写具Aにおいて、繰出コア2から転写テープTを繰り出すために、繰出コア2を回転させる力は、転写テープTを繰り出す力である。転写テープTを繰り出す力は、転写ヘッド4が転写テープTを被転写体へ押圧しつつ転写ヘッド4を移動させることによって生ずる力である。摩擦係数k1が1.59を超えると、転写ヘッド4で発生する転写テープTを繰り出す力よりも、繰出コア2を回転させる力の方が大きくなって、転写テープTを繰り出す力では繰出コア2を回転させることができなくなり、塗膜転写できなくなるおそれがあるので、好ましくない。
回転軸部2Bに対する軸部材1の摩擦係数k1は、次の手順で測定することができる。まず、図4に示すように、トルク測定機の回転軸に繰出コア2を取り付ける。次に、繰出コア2の回転軸部2Bと軸部材1が塗膜転写具A内に装着されたときの位置関係で、軸部材1と回転軸部2Bが接触するように、軸部材1を固定する。この状態で、軸部材1が回転軸部2Bを0.98Nで押圧するように荷重を掛けながら、トルク測定機の回転軸を30秒間回転させて、その間に測定されたトルク値の最大値をトルクTR(N・m)として測定する。トルク測定機の回転軸の回転数は、回転軸部2Bの軸部材1と接触する部分の周速度が0.05m/秒となる回転数とする。回転軸を中心としたときの回転軸部2Bの軸部材1と接触する部分半径をR(m)とし、測定トルクを次式に当てはめて、摩擦係数k1を算出する。
k1=TR/(0.98・R)
回転軸部2Bと軸部材1間の好ましい摩擦力は、塗膜転写具の転写テープ長、転写テープ幅などにもよるが、一般的な塗膜転写具であれば、繰出コアの回転トルクに換算して、1.96×10-4N・m以上4.90×10-4N・m以下が好ましい。トルクが1.96×10-4N・mを下回ると、巻取コアが逆転し始めても、回転軸部2Bと軸部材1間で滑って、軸部材1の移動が遅れることによって、逆転防止ツメ1Aとラチェット歯車2Aの係合が遅れて、繰出コア2の逆転量が大きくなるおそれがある。一方、トルク値が4.90×10-4N・mを超えると、繰出コア2の正転時に巻取コアを回転させるために必要なトルクが大きくなり、使用者が塗膜転写具を使いづらくなり、さらには塗膜の転写不良が発生するおそれがある。
塗膜転写具Aの軸部材1の材料としては、軽量で、表面の摩擦係数を調整するために表面加工が容易な材料が好ましい。このような材料としては、種々の成形樹脂が例示される。例えば、PE(ポリエチレンン)、PP(ポリプロピレン)、AS(アクリロニトリルスチレン樹脂)ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、POM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)等が挙げられる。また、これらの樹脂の中でも、軸部材1が回転軸部2Bを押圧する力を経時的に安定させることができるので、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネート)が特に好ましい。表面の摩擦係数は、表面にシボなどの微細な凹凸を設けることによって、調整することが可能である。
塗膜転写具Aでは逆転防止機構を繰出コア2側に設けたが、逆転防止機構を巻取コア3側に設けてもよく、巻取コア3と繰出コア2の両方に設けてもよい。巻取コア3と繰出
コア2の両方に逆転防止機構を設けると、転写ヘッド4で引き出す転写テープTの張力が大きくなって、使用者が塗膜転写具を使いづらくなる他、塗膜の転写不良が発生し易くなるため、逆転防止機構は、繰出コア2側か巻取コア3側のどちらか一方に設けることが好ましい。繰出コア2側に逆転防止機構を設けた場合には、繰出コアが逆転しないために転写テープTが巻き戻されることを防止できる。巻取コア3側に逆転防止機構を設けた場合には、巻取コアが逆転しないために、転写テープが巻き戻されることが防止でき、また、使用者が間違って、転写ヘッドを被転写面に押圧した状態で、通常の転写方向と反対の方向に塗膜転写具を走行させたとしても、巻取コアから転写後の基材テープSが引き出されることも防止できる。
1:軸部材
1A(3C):逆転防止ツメ
1B:軸部
1C:ストッパ装着部
2:繰出コア
2A(5C):ラチェット歯車
2B:回転軸部
3:巻取コア
4:転写ヘッド
4A:転写押圧部
5:下ケース
6:上ケース
6A:ストッパ(停止部)
6B:保持部
6C:規制部
7:ベルト
A:塗膜転写具
T:転写テープ
S:基材テープ

Claims (2)

  1. 筐体内に繰出コアと巻取コアが回転可能に収納され、前記筐体から転写押圧部を備えた転写ヘッドが突出し、前記繰出コアから転写テープが繰出され、前記転写押圧部で、前記転写テープが被転写面に転写される塗膜と残りの基材テープとに分かれ、前記基材テープが前記巻取コアに巻取られるようになっている塗膜転写具において、
    前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取りコアの前記基材テープを巻き取る方向の反対方向への回転を防止する逆転防止機構が設けられ、前記逆転防止機構は、前記繰出コア若しくは前記巻取コア、又は前記繰出コア若しくは前記繰出コアとともに回転する回動部材の外周部に連続して設けられたラチェット歯車、前記ラチェット歯車と係合して前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取コアが前記基材テープを巻取る方向の反対方向への回転を防止する逆転防止ツメを有する軸部材からなり、前記巻取コア若しくは前記繰出コア、又は前記巻取コア若しくは前記繰出コアとともに回転する前記回動部材には、前記巻取コア若しくは前記繰出コアとともに回転する回転軸部が設けられ、前記軸部材は前記回転軸部の外周と接し、かつ前記回転軸部の外周の接線方向に移動可能に前記筐体内に保持され、前記繰出コアが前記転写テープを繰出す方向への回転、又は前記巻取りコアが前記基材テープを巻き取る方向への回転に伴って前記回転軸部が回転することにより、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかり、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車の係合が解除され、前記繰出コアの前記転写テープを繰出す方向の反対方向への回転、又は前記巻取コアの前記基材テープを巻き取る方向の反対方向への回転に伴って前記回転軸部が回転することにより、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車に近づき、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車が係合することを特徴とする塗膜転写具。
  2. 前記軸部材の前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかる方向への移動を停止する停止部をさらに有し、前記繰出コアが前記転写テープを繰り出す方向又は前記巻取コアが前記基材テープを巻き取る方向へ回転し、前記回転軸部が前記繰出コア又は前記巻取コアとともに回転して、前記回転軸部外周との摩擦力によって前記軸部材が前記回転軸部外周の接線方向に移動し、前記軸部材に設けられた前記逆転防止ツメが前記ラチェット歯車から遠ざかり、前記逆転防止ツメと前記ラチェット歯車の係合が解除された後に、前記軸部材が前記停止部と接触して前記軸部の移動が停止された状態において、前記ラチェット歯車の最大外径部を繋いだ円周と、前記逆転防止ツメの前記ラチェット歯車と係合する形状のうち前記ラチェット歯車に最も近い位置との最短距離が0.5mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗膜転写具。
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