WO2014185534A1

WO2014185534A1 - 塗膜転写具

Info

Publication number: WO2014185534A1
Application number: PCT/JP2014/063120
Authority: WO
Inventors: 渡辺　一也; 圭介藤井; 慶一郎峰岸; 博史小崎
Original assignee: フジコピアン株式会社
Priority date: 2013-05-17
Filing date: 2014-05-16
Publication date: 2014-11-20
Also published as: JP2014223766A; JP6283893B2

Abstract

基材テープに塗膜を設けた転写テープが巻かれた繰出リール及び前記繰出リールに連結された繰出ギアを有する繰出部と、前記繰出リールから繰出された前記転写テープを被転写体に押圧して前記塗膜を前記被転写体に転写する転写ヘッドと、前記塗膜の転写後の前記基材テープを巻取る巻取リール及び前記巻取リールに連結された巻取ギアを有する巻取部とを備える塗膜転写具が提供される。前記繰出ギアと前記巻取ギアとは噛合して連動回転する。前記繰出リール又は前記巻取リールの一方である第１リールは、前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方である第１ギアにスリップ可能に連結されている。前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方であって前記第１ギアでない第２ギアの外周部分が、前記第１ギアと前記第１リールとの間に挟まれている。前記第１ギア及び／又は前記第１リールには、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する制限機構が設けられている。

Description

塗膜転写具

　本発明は、基材テープに修正用塗膜、接着用粘着剤、装飾用塗膜等の塗膜を設けた転写テープを被転写体に転写するために用いる塗膜転写具に関する。

　従来、転写テープの走行時に転写テープを繰出す繰出リールと、転写後の基材テープを巻取る巻取リールを連動させる連動手段として、図５に示すような、繰出リール、巻取リールとそれぞれ同軸に配設した繰出ギア、巻取ギアを相互に噛合させる連動機構を備えた塗膜転写具Ｚ（特許文献１）が一般的に用いられている。

　従来の塗膜転写具Ｚでは、図６に示すように、転写テープの張力によって繰出リールと巻取リールが傾くことがある。繰出リールに対して巻取リールが傾くと、塗膜転写具内で転写テープが斜行する。

　ところで、近年、ユーザーによる塗膜転写具の小型化への要求に伴い、転写テープの薄膜化が進み、使用される基材もグラシン紙などの紙基材（４０μｍ）から、離型処理をした薄膜（６～１２μｍ）の樹脂フィルムへと移行が進んでいる。転写テープの薄膜化が進んだために、転写テープを巻いた繰出リールなどが小さくなり、塗膜転写具全体の小型化が進んでいる。

特開２００３－５４１９１号公報

　転写テープの斜行は、様々な不具合を生じさせる。特に転写テープが薄膜化されている場合には、従来の塗膜転写具に比べて塗膜転写具内での転写テープの斜行量が大きくなるとともに、斜行の発生頻度も大きくなる。転写テープの塗膜転写具内での斜行量が大きくなると、転写テープの端部が転写ヘッドのテープガイドや塗膜転写具の内壁と強く接触した状態で、転写テープが走行することになる。この結果、転写テープ端部が折れたものや、転写テープ端部の塗膜が傷付いたものが発生する。このような端部が折れた転写テープや端部の塗膜が傷付いた転写テープが使用されると、転写された塗膜は表面にスジが入ったものや、端部が傷付いたものとなるという問題がある。

　本発明は、このような従来例の欠点に着目したものであり、従来の塗膜転写具に比べて、塗膜転写具内での転写テープの斜行による不具合を低減することができる塗膜転写具を提供することを課題とするものである。

　Ａ１観点に係る塗膜転写具は、基材テープに塗膜を設けた転写テープが巻かれた繰出リール及び前記繰出リールに連結された繰出ギアを有する繰出部と、前記繰出リールから繰出された前記転写テープを被転写体に押圧して前記塗膜を前記被転写体に転写する転写ヘッドと、前記塗膜の転写後の前記基材テープを巻取る巻取リール及び前記巻取リールに連結された巻取ギアを有する巻取部とを備える。前記繰出ギアと前記巻取ギアとは噛合して連動回転する。前記繰出リール又は前記巻取リールの一方である第１リールは、前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方である第１ギアにスリップ可能に連結されている。前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方であって前記第１ギアでない第２ギアの外周部分が、前記第１ギアと前記第１リールとの間に挟まれている。前記第１ギア及び／又は前記第１リールには、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する制限機構が設けられている。

　Ａ２観点に係る塗膜転写具は、Ａ１観点に係る塗膜転写具であって、前記第１ギアは前記巻取ギアであり、前記第２ギアは前記繰出ギアであり、前記第１リールは巻取リールである。

　Ａ３観点に係る塗膜転写具は、Ａ１又はＡ２観点に係る塗膜転写具であって、前記第２ギアと、前記繰出リール又は前記巻取リールの一方であって前記第１リールでない第２リールとは、一体的に形成されている。

　Ａ４観点に係る塗膜転写具は、Ａ１観点からＡ３観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記第１ギアは、回転軸を有する。前記回転軸は、前記制限機構として、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する弾性片を有する。

　Ａ５観点に係る塗膜転写具は、Ａ１観点からＡ３観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記第１ギアは、回転軸を有する。前記回転軸は、前記第１リールの内周を押圧することで前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する弾性片を有する。

　Ａ６観点に係る塗膜転写具は、Ａ１観点からＡ３観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記第１ギアは、回転軸を有する。前記回転軸は、前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する回転伝達機構と、前記制限機構として、前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを防止する弾性片とを有する。

　Ａ７観点に係る塗膜転写具は、Ａ６観点に係る塗膜転写具であって、前記回転軸は、複数の前記回転伝達機構と、複数の前記制限機構とを有する。前記複数の回転伝達機構と前記複数の制限機構とは、交互に設けられている。

　Ａ８観点に係る塗膜転写具は、Ａ１観点からＡ７観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記第１ギアの外周部分と前記第１リールとは、前記基材テープの幅方向に並んで配置される。前記第１ギアは、前記第２ギアが前記第１ギアから脱落して前記第１ギアと前記第２ギアとの噛合状態が解かれることのないように、前記基材テープの幅方向に沿って前記第１リールとは反対側から前記第２ギアの外周部分を押さえる押え部を有する。

　Ｂ１観点に係る塗膜転写具は、基材テープ上に塗膜を設けた転写テープを巻いた繰出コアから転写テープを繰出し、転写ヘッドで前記塗膜を被転写体に押圧して転写し、前記繰出コアと巻取コアを一対の噛合するギアで連動回転させて、塗膜転写後の基材テープを前記巻取コアに巻取る塗膜転写具であって、前記ギアの一方は前記繰出コアと一体に設けられ、前記ギアの他方は前記巻取コアへスリップ可能に回転を伝達する軸を有する巻取ギアに設けられ、前記繰出コアと一体に設けられたギアの外周部分が前記巻取コアと前記巻取ギアの間に挟まれ、前記ギアを挟む前記巻取コアと前記巻取ギア間の距離が広がることを防止する手段が前記巻取ギア、及び／又は前記巻取コアに設けられたことを特徴とする塗膜転写具である。

　Ｂ２観点に係る塗膜転写具は、Ｂ１観点に係る塗膜転写具であって、前記巻取ギアが前記巻取コアへスリップ可能に回転を伝達する手段が、前記軸に設けられた巻取コアの内周を押圧する弾性片であることを特徴とする。

　Ｂ３観点に係る塗膜転写具は、Ｂ１又はＢ２観点に係る塗膜転写具であって、前記巻取コアと前記巻取ギア間の距離が広がることを防止する手段が、前記軸に設けられた弾性片であることを特徴とする。

　Ｂ４観点に係る塗膜転写具は、Ｂ１～Ｂ３観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記スリップ可能に回転を伝達する手段と、前記巻取コアと巻取ギア間の距離が広がることを防止する手段が別々に設けられていることを特徴とする。

　Ｂ５観点に係る塗膜転写具は、Ｂ１～Ｂ４観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記スリップ可能に回転を伝達する手段と、前記巻取コアと巻取ギア間の距離が広がることを防止する手段が交互に設けられていることを特徴とする。

　Ａ１観点からＡ８観点によれば、第２ギアの外周部分は、第１ギアと第１リールとの間の隙間に挟まれている。しかも第１ギア及び／又は第１リールに設けられた制限機構により、第２ギアの外周部分は、第１ギアと第１リールとの間の隙間で規制された範囲を越えて動くことはない。この結果、第１ギアに装着された第１リールは第２リールに対して、前記の隙間で規制された範囲を越えて傾くことはない。よって、この塗膜転写具は、従来の塗膜転写具に比べて、転写テープの斜行を抑制することができる。

　Ｂ１観点からＢ５観点によれば、繰出コアのギアの外周部分は、巻取ギアと巻取コアの間の隙間に挟まれており、しかも前記の巻取ギアと巻取コアの間の隙間が広がることを防止する手段が設けられているので、繰出コアのギアの外周部分は、巻取ギアと巻取コアの間の隙間で規制された範囲を越えて動くことはない。この結果巻取ギアに装着された巻取コアは繰出コアに対して、前記の隙間で規制された範囲を越えて傾くことはない。よって、この塗膜転写具は、従来の塗膜転写具に比べて、転写テープの斜行を抑制することができる。

本発明の第１実施形態の塗膜転写具Ａを示す図。本発明の第２実施形態の塗膜転写具Ｂを示す図。本発明の第３実施形態の塗膜転写具Ｃの巻取コア部分を示す図。本発明の第４実施形態の塗膜転写具Ｄを示す図。従来の塗膜転写具Ｚを示す図。従来の塗膜転写具で、繰出リールと巻取リールが傾いた状態を示す図。従来の塗膜転写具に非常に厚みの薄いギアを使用した状態を示す図。

　本発明の第１実施形態の塗膜転写具Ａを図１に示す。図１（ａ）は第１実施形態の塗膜転写具Ａのカバー２を開けた状態の平面図である。図１（ｂ）は図１（ａ）のＭ－Ｍ断面図である。ただし、図１（ｂ）においては、ケース１にカバー２が装着されている。

　塗膜転写具Ａは、ケース１、カバー２、繰出コア３（繰出部）、転写ヘッド６及び巻取コア２０（巻取部）から構成されるものである。繰出コア３は、基材テープ１０に塗膜を塗布した転写テープ９を巻き回した繰出リール３Ａを有する。転写ヘッド６は、塗膜を被転写体に転写する。巻取コア２０は、塗膜を転写した後の基材テープ１０を巻き取る巻取リール５を有する。転写ヘッド６を被転写面に押圧しつつ、塗膜転写具Ａを被転写面上で移動させると、繰出コア３から転写テープ９が繰出され、転写ヘッド６の押圧転写部１３で転写テープ９から塗膜が被転写面に転写され、残った基材テープ１０が巻取コア２０に巻き取られる構成となっている。

　塗膜転写具Ａでは、繰出コア３に設けられた繰出ギア３Ｂの外周部分７と、巻取コア２０に設けられた巻取ギア４の外周部分８が噛合しているので、繰出コア３が回転すると、これに連動して巻取コア２０が回転する。すなわち、繰出リール３Ａの回転は、繰出ギア３Ｂ及び巻取ギア４により、巻取リール５に伝達される。繰出リール３Ａは、繰出ギア３Ｂに同軸に連結されており、巻取リール５は、巻取ギア４に同軸に連結されている。繰出リール３Ａは、円筒状であり、繰出ギア３Ｂは、中央に円形の開口を有する円板状である。巻取リール５は、周方向の断面がＵ字形状のドーナツ状である。巻取ギア４は、円筒状の部材（以下、軸４Ａ）と、中央に円形の開口を有する円板状の部材（以下、ギア本体４Ｂ）とを同軸に組み合わせた形状の部材である。本実施形態では、繰出リール３Ａと繰出ギア３Ｂとは、一体的に構成されている。一方、巻取リール５と巻取ギア４とは、別々の部品を組み合わせたものであり、巻取リール５は、巻取ギア４に対しスリップ可能に連結されている。巻取ギア４の軸４Ａとギア本体４Ｂとは、一体的に形成されている。

　ギア本体４Ｂには、軸４Ａよりも径方向外方であって軸４Ａ周りに１２０°間隔で３本の押圧片１１（弾性片）が設けられている。巻取ギア４の軸４Ａ部分に巻取リール５を装着すると、３本の押圧片１１が弾性変形して巻取リール５の内周を径方向外方に向かって押圧する。これにより、巻取ギア４が回転すると、３本の押圧片１１を介して、この回転が巻取リール５に伝達される。この意味で、押圧片１１は、巻取リール５にスリップ可能に回転を伝達する回転伝達機構として動作する。

　繰出コア３に設けられた繰出ギア３Ｂの外周部分７は、巻取ギア４の外周部分８に設けられたフランジ部１４（押え部）と巻取リール５の間の隙間に挟まれる構成となっている。巻取ギア４のギア本体４Ｂの外周部分８の厚みは、繰出ギア３Ｂの外周部分７よりも厚いので、この隙間の幅は繰出ギア３Ｂの外周部分７の厚みより大きくなっている。巻取ギア４の外周部分８と巻取リール５とは、基材テープ１０の幅方向に並んで配置される。フランジ部１４は、繰出ギア３Ｂが巻取ギア４から脱落して巻取ギア４の外周部分８と繰出ギア３Ｂの外周部分７との噛合状態が解かれることのないように、基材テープ１０の幅方向に沿って巻取リール５とは反対側から繰出ギア３Ｂの外周部分７を押さえる。

　また、押圧片１１の先端部分には、抜け止め１２が設けられている。抜け止め１２は、繰出ギア３Ｂの外周部分７を挟む巻取ギア４のフランジ部１４と巻取リール５間の隙間が広がることを防止する役割を果たす。本実施形態の抜け止め１２は爪状である。抜け止め１２があるので、繰出ギア３Ｂの外周部分７を挟む隙間が広くならない。このように、繰出ギア３Ｂの外周部分７が二つの部品間の隙間に挟まれ、しかもこの隙間が広がらないようにするための制限機構として押圧片１１及び抜け止め１２が設けられているので、繰出ギア３Ｂの外周部分７がこの隙間で規制された範囲を越えて動くことはない。繰出ギア３Ｂの外周部分７が前記の隙間で規制された範囲を越えて動くことがないので、塗膜転写具Ａでは、巻取ギア４に装着された巻取リール５は繰出リール３Ａに対して、前記の隙間で規制された範囲を越えて傾くことはない。よって、塗膜転写具Ａでは従来の塗膜転写具に比べて、巻取リール５の繰出リール３Ａに対する傾きを小さくすることができる。この結果、塗膜転写具Ａは、従来の塗膜転写具に比べて、転写テープ９の斜行量及び転写テープ９の斜行の発生頻度をともに小さくすることができる。

　繰出ギア３Ｂの外周部分７を挟む巻取ギア４のフランジ部１４と巻取リール５間の距離、すなわち前記の隙間の幅と繰出ギア３Ｂの外周部分７の厚みとの差は、０．０５ｍｍ以上０．２ｍｍ以下が好ましく、０．１ｍｍ以上０．１５ｍｍ以下がより好ましい。この差が０．０５ｍｍ未満になると、繰出ギア３Ｂの外周部分７が、巻取ギア４及び／又は、巻取リール５と接触して、繰出コア３が巻取ギア４と巻取リール５に対してスム－ズに動けなくなるおそれがある。一方、この差が０．２ｍｍを超えると転写テープ９の斜行の抑制の効果が小さくなる。

　繰出ギア３Ｂと巻取ギア４のピッチ円直径比は、繰出リール３Ａに巻かれた転写テープ９の繰出リール外径（繰出リール３Ａに巻き回された転写テープ９により形成される外径）が大きな初期においても転写テープ９が弛まないように設定されている。具体的には、ギア３Ｂ，４のピッチ円直径比は、繰出リール外径が大きな初期においても、繰出リール３Ａから繰出される転写テープ９の長さよりも、巻取リール５に巻き取られる基材テープ１０の長さが長くなるように、設定されている。

　繰出される転写テープ９よりも、巻取られる基材テープ１０の長さが長くなるように設定されているので、転写テープ９には張力がかかるが、一定以上の張力が転写テープ９にかかると、押圧片１１と巻取リール５の内周間で滑りが発生して転写テープ９の張力を逃がすので、転写テープ９が破断することはない。

　本実施形態では、巻取ギア４から巻取リール５への回転の伝達機構として、巻取ギア４に設けた弾性片である押圧片１１を採用したが、一定以上の張力が転写テープ９にかかると滑って、転写テープ９の張力を逃がすものであれば、どのような伝達機構であってもよい。

　本発明の第２実施形態である塗膜転写具Ｂを図２に示す。図２（ａ）は、カバーを開けた状態の塗膜転写具Ｂの正面図である。図２（ｂ）は、図２（ａ）のＮ－Ｎ断面図である。ただし、図２（ｂ）においては、ケース１にカバー２が装着されている。

　塗膜転写具Ｂは、巻取ギア４に、回転伝達機構と制限機構を別々に設けたこと以外は、第１実施形態の塗膜転写具Ａと同様である。塗膜転写具Ｂでは、巻取ギア４の軸４Ａに３本の抜け止め１２を有する押圧片１２Ａ（弾性片、制限機構）が１２０°間隔で、抜け止め１２を有さない３本の押圧片１１（回転伝達機構）と交互に設けられている。

　制限機構と回転伝達機構を別々に設けることによって、これらを一体に設ける場合に比べて、制限機構と回転伝達機構が互い影響しあうことがなくなり、それぞれが果たすべき機能への悪影響をなくすることができる。例えば、第１実施形態の塗膜転写具Ａのように、制限機構と回転伝達機構を一体に設けた場合、回転伝達機構としての押圧片がコア内周と接触することによって大きく弾性変形すると、それ以上に押圧片の先端に設けた抜け止め１２の位置は変化するので、巻取コア２０の抜け止めの効果が不十分となるおそれがある。しかし、回転伝達機構と制限機構を別々に設けることによって、このような影響を防止することができる。

　本発明の第３実施形態である塗膜転写具Ｃを図３に示す。図３（ａ）は、カバーを開けた状態の塗膜転写具Ｃの巻取コア部分の正面図である。図３（ｂ）は、図３（ａ）のＯ－Ｏ断面図である。ただし、図３（ｂ）においては、ケース１にカバー２が装着されている。

　塗膜転写具Ｃは、巻取ギア４に設けた回転伝達機構としての押圧片１１の形状が異なること以外は、第２実施形態の塗膜転写具Ｂと同様である。

　図３（ｂ）に示すように、塗膜転写具Ｃの巻取ギア４の回転伝達機構としての押圧片１１は、軸４Ａを中心とする周方向の断面形状をＵ字状にしている。Ｕ字状にすることによって、塗膜転写具Ｃの押圧片１１の長さは、塗膜転写具Ｂの押圧片１１に比べて、長くなっている。塗膜転写具Ｃでは、押圧片１１を長くすることによって、押圧片１１を破損し難くしている。

　本発明の第４実施形態である塗膜転写具Ｄを図４に示す。図４（ａ）は、カバーを開けた状態の塗膜転写具Ｄの正面図である。図４（ｂ）は、図４（ａ）のＰ－Ｐ断面図である。ただし、図４（ｂ）においては、ケース１にカバー２が装着されている。また、図４（ｃ）は、図４（ｂ）において円内に示される部分の拡大図である。

　塗膜転写具Ｄは、繰出コア３の繰出ギア３Ｂ部分と、巻取ギア４の外周部分８（フランジ部１４を含む）とを、繰出コア３と巻取ギア４の他の部分と異なる材質で製作した以外は、第２実施形態の塗膜転写具Ｂと同様である。

　ステンレス製の繰出ギア３Ｂ部分を射出成形型にインサートして繰出ギア３Ｂ以外の部分を熱可塑性樹脂で成形することによって、繰出コア３が製作される。また、図４には明示されていないが、ステンレス製の巻取ギア４の外周部分８（フランジ部１４を含む）を射出成形型にインサートして巻取ギア４の外周部分８以外の部分を熱可塑性樹脂で成形することによって、巻取ギア４が製作される。繰出ギア３Ｂの外周部分７と巻取ギア４の外周部分８をステンレス等の金属で製作することにより、外周部分７，８は、非常に薄くても、回転伝達をするために必要な強度を維持することができる。よって、塗膜転写具Ｄ全体の厚みを非常に薄くすることができる。本実施形態では、繰出コア３と巻取ギア４の一部分のみを金属としたが、繰出コア３と巻取ギア４全体が金属であってもよい。また、金属はステンレスに限定されるものではなく、ギアとしての強度が確保できるものであれば、どのような金属であってもよい。

　繰出ギア３Ｂの外周部分７と巻取ギア４の外周部分８を非常に薄くすると、図５に示す従来の塗膜転写具Ｚでは、ギア同士の歯先が図７に示すように上下にずれて、噛合わなくなるおそれがあるが、本発明の塗膜転写具では、繰出ギア３Ｂの外周部分７が巻取ギア４と巻取リール５の隙間に挟まれて、巻取ギア４の外周部分８と噛み合った状態で維持されるので、ギア３Ｂ，４が噛み合わなくなるおそれはない。

　第４実施形態の塗膜転写具Ｄは、特に幅の狭い転写テープを使用し、且つ塗膜転写具全体の大きさを小型化した塗膜転写具を製作する場合に、大きな効果をもたらすものである。

　幅の狭い転写テープを使用しても、図５に示す従来の塗膜転写具Ｚの連動機構を採用すると、転写テープ以外の部分は小さくならない。すなわち、塗膜転写具全体の幅は、転写テープの幅が小さくなった分だけ、寸法が小さくなるのみである。また、幅の狭い転写テープを使用した塗膜転写具では、幅の広い転写テープを使用した塗膜転写具に比べて、転写テープの斜行量を小さくする必要がある。例えば、テープ幅が６ｍｍの転写テープを使用した塗膜転写具では、転写テープが１ｍｍ斜行しても、テープ幅の１／６の斜行でしかないので、テープ端部の塗膜にキズが付くなどの不具合が発生する可能性はあるが、転写テープが走行できなくなるほどの不具合となることはない。一方、テープ幅が２ｍｍの転写テープを使用した塗膜転写具では、転写テープが１ｍｍ斜行すれば、テープ幅の１／２も斜行するので、転写テープがねじれたり切れたりする可能性があり、転写テープが走行できなくなるほどの不具合となるおそれがある。

　このように、テープ幅の狭い転写テープを使用する塗膜転写具では、転写テープの斜行量を、テープ幅の広い転写テープを使用するものに比べて小さくする必要があるので、本発明の塗膜転写具の構成を採用する効果が大きい。また、テープ幅の狭い転写テープを使用する塗膜転写具に、第４実施形態の塗膜転写具の構成を採用すると、テープ幅が狭くなることに追加して前記連動機構部分の幅も小さくできるので、塗膜転写具全体の幅を小さくできるという効果もある。

　以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
　例えば、上記第１～第４実施形態では、リールとギアとが巻取コア２０側では別体でスリップ可能であり、繰出コア３側では一体でスリップ不能に構成されていたが、これとは逆に、繰出コア３側では別体でスリップ可能であり、巻取コア２０側ではスリップ不能としてもよい。或いは、リールとギアとが巻取コア２０側及び繰出コア３側の両方において、別体でスリップ可能に構成されてもよい。また、リールとギアとをスリップ不能にする場合において、両差を移動不能にしっかりと固定することにより、両者を別体としつつスリップ不能としてもよい。

Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｚ　塗膜転写具
１　ケース
２　カバー
３　繰出コア
３Ａ　繰出リール
３Ｂ　繰出ギア
４　巻取ギア
４Ａ　軸
４Ｂ　ギア本体
５　巻取リール
６　転写ヘッド
７　繰出ギアの外周部分
８　巻取ギアの外周部分
９　転写テープ
１０　基材テープ
１１　押圧片（弾性片、回転伝達機構）
１２Ａ　押圧片（弾性片）
１２　抜け止め
１３　押圧転写部
１４　フランジ部（押え部）
２０　巻取コア

Claims

　基材テープに塗膜を設けた転写テープが巻かれた繰出リール及び前記繰出リールに連結された繰出ギアを有する繰出部と、
　前記繰出リールから繰出された前記転写テープを被転写体に押圧して前記塗膜を前記被転写体に転写する転写ヘッドと、
　前記塗膜の転写後の前記基材テープを巻取る巻取リール及び前記巻取リールに連結された巻取ギアを有する巻取部と、
を備える塗膜転写具であって、
　前記繰出ギアと前記巻取ギアとは噛合して連動回転し、
　前記繰出リール又は前記巻取リールの一方である第１リールは、前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方である第１ギアにスリップ可能に連結されており、
　前記繰出ギア又は前記巻取ギアの一方であって前記第１ギアでない第２ギアの外周部分が、前記第１ギアと前記第１リールとの間に挟まれており、
　前記第１ギア及び／又は前記第１リールには、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する制限機構が設けられている、
塗膜転写具。
　前記第１ギアは前記巻取ギアであり、前記第２ギアは前記繰出ギアであり、前記第１リールは巻取リールである、
請求項１に記載の塗膜転写具。
　前記第２ギアと、前記繰出リール又は前記巻取リールの一方であって前記第１リールでない第２リールとは、一体的に形成されている、
請求項１に記載の塗膜転写具。
　前記第２ギアと、前記繰出リール又は前記巻取リールの一方であって前記第１リールでない第２リールとは、一体的に形成されている、
請求項２に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記制限機構として、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する弾性片を有する、
請求項１に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記制限機構として、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する弾性片を有する、
請求項２に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記制限機構として、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する弾性片を有する、
請求項３に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記制限機構として、前記第２ギアを挟む前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを制限する弾性片を有する、
請求項４に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記第１リールの内周を押圧することで前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する弾性片を有する、
請求項１に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記第１リールの内周を押圧することで前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する弾性片を有する、
請求項２に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記第１リールの内周を押圧することで前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する弾性片を有する、
請求項３に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記第１リールの内周を押圧することで前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する弾性片を有する、
請求項４に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアは、回転軸を有し、
　前記回転軸は、前記第１リールにスリップ可能に回転を伝達する回転伝達機構と、前記制限機構として、前記第１ギアと前記第１リールとの間の距離が広がることを防止する弾性片とを有する、
請求項１に記載の塗膜転写具。
　前記回転軸は、複数の前記回転伝達機構と、複数の前記制限機構とを有し、
　前記複数の回転伝達機構と前記複数の制限機構とは、交互に設けられている、
請求項１３に記載の塗膜転写具。
　前記第１ギアの外周部分と前記第１リールとは、前記基材テープの幅方向に並んで配置され、
　前記第１ギアの外周部分は、前記第２ギアが前記第１ギアから脱落して前記第１ギアと前記第２ギアとの噛合状態が解かれることのないように、前記基材テープの幅方向に沿って前記第１リールとは反対側から前記第２ギアの外周部分を押さえる押え部を有する、
請求項１に記載の塗膜転写具。