JP2013194796A - ワンウェイクラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】より少ない部品構成でバックラッシュが少ないワンウェイクラッチを提供する。
【解決手段】アウターレースと、インナーレースとが相互に同軸で回転するワンウェイクラッチは、前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうちいずれか一方に複数の内歯が周方向に略均等に設けられ、前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうち前記内歯が設けられていない他方に、前記内歯に係合可能な複数の可撓性のラチェット爪が周方向に略均等に設けられており、前記内歯及び前記ラチェット爪は、前記内歯と前記ラチェット爪の周方向の数が互いに同数又はいずれか一方が他方の整数倍にならないように設けられている構成とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、ワンウェイクラッチに関し、より詳しくは、ラチェット爪方式のワンウェイクラッチに関するものである。
従来、ニードルとニードルの付勢手段によるワンウェイ回転機構(ニードル式ワンウェイクラッチ)がある(特許文献1)。このワンウェイ回転機構は、一般的にローラ式とも呼ばれる、カム式のワンウェイクラッチである。外輪(アウターレース)と内輪(インナーレース)、ローラ、スプリング(圧縮バネ、板バネ、樹脂バネなど)で構成され、外輪の内側又は内輪の外側にカム面を持ったポケットが設けられる。ポケットの内部にはローラが配置され、スプリングによって外輪のカム面と内輪の外側、或いは内輪のカム面と外輪の内側に接触するように保たれ、バックラッシュが殆ど無い。内輪に対して外輪がある一方向に回転しようとするとカム面とローラとの接触面圧が高くなり、抵抗となって内輪への動力を伝達する。逆方向に回転すると、カム面とローラとの接触面圧が低くなり、滑って動力伝達を切断する。
又、従来、樹脂により可撓性を有するラチェット爪を持つワンウェイ回転機構がある(特許文献2)。このワンウェイ回転機構は、本体ケースと、巻取ドラムとの間に、開環端部に係合突子を有する開環リング部材が巻取ドラムと同心的に介在されている。巻取ドラムにはその回動時に上記開環リング部材の係合突子に相互に係合する係合突起が形成されている。本体ケースには、巻取ドラムが所定の方向に回転する際に、上記係合突子が周面に弾性摺接し且つ乗り越えるよう形成された複数の爪部を備えたラチェット部材が固設されている。
又、従来、アウターレースとインナーレースの間にギアを介在させたワンウェイ回転機構がある(特許文献3)。このワンウェイ回転機構は、アウターレース部材に設けられた内歯リングギアに噛合して転動する遊星ギアを、インナーレース部材に設けられた凹所内に回転自在に受容させる。凹所に形成されたエッジに遊星ギアの歯の一部が係合するとアウターレース部材とインナーレース部材とが一体回転する。係合エッジに対する遊星ギアの係合が解除されることによって、アウターレース部材とインナーレース部材とが相対回転する。
このように、従来、ワンウェイクラッチ、ワンウェイベアリングといったワンウェイ回転機構(以下「ワンウェイクラッチ」という。)は、それぞれの用途に応じて様々な形態で用いられている。
特開平8−206389号公報 特開2007−64777号公報 特開2004−19757号公報
しかしながら、上記従来のワンウェイクラッチには、改善すべき課題があった。
上記ニードル式ワンウェイクラッチでは、円周状に均等に配列された複数のニードルと斜面を有しているため、比較的高耐荷重であること、金属加工により製造されているものでは高耐久性に優れるという利点がある。その半面、部品加工、部品精度が極めてシビアであり、表面性を保つために表面硬化処理などの熱処理を施す場合もある。又、それぞれのニードルは、バックラッシュを最小限度にするために、軽圧で付勢するための圧縮バネ又は板バネなどの付勢手段を備えているため、部品点数が多く、製造工程が長く複雑である。
又、上記樹脂製のラチェット爪を用いたワンウェイクラッチでは、保持されるラチェットの数が少なく、停止する角度も広いため、高分解能にするには限界がある。細かいピッチ角度にしようとすると、外輪内側の歯のピッチも細かくする必要がある。しかし、そのように細かくすると、歯高さの確保が不足し、外れやすくなる。
又、上記遊星ギア方式のワンウェイクラッチの場合、小さなモジュールのプラスチック製の遊星ギアの歯面に、回転時の荷重がかかる。そのため、ギアの強度を高めるのが困難であった。又、内部に遊離する遊星ギアであるので、シリコーングリースなどを封入する必要があり、回転による温度上昇でのグリースの軟化による油漏れのおそれがある。更に、全体の大きさを小さくするためには、遊星ギアは、より小モジュール、少ない歯数を選択することとなる。しかし、ロック時に円周を歯数で割る角度の遊びが生じる。又、クラッチの大きさを小さくすることは同時に耐荷重(ロックトルク)が小さくなることを意味する。
又、上記従来の構成では、ワンウェイクラッチの正転、逆転の動きを音によって確認することはできない。
以上のように、バックラッシュが少なく、耐荷重(ロックトルク)も比較的大きい、高性能且つ高耐久なワンウェイクラッチは、基本的に金属ニードル方式で金属製のアウターレースとインナーレースとを用いて構成したものである。
一方、低回転、低精度、低コストを求める場合、上述のような遊星ギア方式があるが、インナーレースとアウターレースとの間で遊離歯車を使用するので、上述のように例えばシリコーンオイルなどの潤滑油の封入が必要である。そして、このオイルが滲み出てくる場合があるので、油分を嫌う機構個所には不適当である。又、そのオイル量もワンウェイクラッチの使用に伴って徐々に少なくなり効果が薄れるので、動作が不安定となる。その他、ワンウェイクラッチの量産においては、使われ方によってグリースの種類や量を調整する必要もあり、その管理に注意を要する。
このように、例えば、低回転、低耐久、低精度の汎用品のジャンルでは、低コスト化の要求があり、そのためには、より少ない部品構成で、オイルレスで管理が容易で品質が安定する、バックラッシュの少ないワンウェイクラッチが求められている。
従って、本発明の目的は、より少ない部品構成でバックラッシュが少ないワンウェイクラッチを提供することである。
上記目的は本発明に係るワンウェイクラッチにて達成される。要約すれば、本発明は、アウターレースと、インナーレースとが相互に同軸で回転するワンウェイクラッチであって、前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうちいずれか一方に複数の内歯が周方向に略均等に設けられ、前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうち前記内歯が設けられていない他方に、前記内歯に係合可能な複数の可撓性のラチェット爪が周方向に略均等に設けられており、前記内歯及び前記ラチェット爪は、前記内歯と前記ラチェット爪の周方向の数が互いに同数又はいずれか一方が他方の整数倍にならないように設けられていることを特徴とするワンウェイクラッチである。
本発明によれば、より少ない部品構成でバックラッシュが少ないワンウェイクラッチを提供することができる。
本発明の一実施例に係るワンウェイクラッチの断面図である。 本発明の一実施例に係るワンウェイクラッチの外観図である。 本発明の一実施例に係るワンウェイクラッチの分解斜視図(アウターレース側から見た図)である。 本発明の一実施例に係るワンウェイクラッチの分解斜視図(インナーレース側から見た図)である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの断面図である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの分解斜視図(インナーレース側から見た図)である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの分解斜視図(アウターレース側から見た図)である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの斜視図(インナーレース側から見た図)である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの動作を説明するための断面図である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの動作を説明するための断面図である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの動作を説明するための断面図である。 本発明の他の実施例に係るワンウェイクラッチの動作を説明するための断面図である。 本発明の更に他の実施例におけるギアを装着したワンウェイクラッチの(a)断面図、(b)外観図である。 本発明の更に他の実施例におけるアウターレースとギアとが一体化されたワンウェイクラッチの(a)断面図、(b)外観図である。 本発明の更に他の実施例におけるアウターレースとギアとが一体化されたワンウェイクラッチの(a)断面図、(b)外観図である。 本発明の更に他の実施例に係るノブ形状のワンウェイクラッチを適用した用紙搬送路の斜視図である。 本発明の更に他の実施例に係るノブ形状のワンウェイクラッチを適用した用紙搬送路の側面図である。 本発明の更に他の実施例に係るノブ形状のワンウェイクラッチを適用した用紙搬送路の断面図である。 本発明の更に他の実施例に係るアウターレースがノブ形状とされたワンウェイクラッチの(a)、(b)外観図、(c)断面図である。 ワンウェイクラッチのラチェット爪、内歯に係る角度を説明するための模式図である。
以下、本発明に係るワンウェイクラッチを図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1〜図4は、本発明の一実施例に係るワンウェイクラッチ1を示す。ワンウェイクラッチ1は、アウターレース(外輪部材)2と、インナーレース(内輪部材)3と、を有する。アウターレース2と、インナーレース3とは、それぞれ略中空円柱状の部材であり、アウターレース2の軸線方向に延在する略円柱状穴2a内に、インナーレース3が挿入される。アウターレース2と、インナーレース3とは、相互に同軸で回転する。
尚、以下の説明において、ワンウェイクラッチ1(或いは、アウターレース2、インナーレース3のそれぞれ)の軸線方向における、図1(b)中の右側に相当する端部(アウターレース2へのインナーレース3の挿入方向の後側)を基端とする。一方、同図中左側に相当する端部(アウターレース2へのインナーレース3の挿入方向の前側)を先端とする。
アウターレース2の軸線方向の略中央部における略円柱状穴2aの内側部には、軸線方向に延在する筋状の傾斜した凹凸部で構成された、複数の内歯5が設けられている。複数の内歯5は、円周方向に略均等に配列されている。又、アウターレース3の軸線方向における基端及び先端側の内側部に、それぞれアウターレース摺動面11a、11bが設けられている。
インナーレース3の軸線方向の略中央部の外側部には、複数の羽根状の可撓性のラチェット爪4が設けられている。複数のラチェット爪4は、円周方向に略均等に配列されている。各ラチェット爪4は、インナーレース3の外側部から半径方向外側に突出すると共に周方向に傾斜して延在する係合部4aを有する。複数のラチェット爪4は、全て同一形状を有している。本実施例では、各ラチェット爪4は、周方向において隣接するラチェット爪4と所定範囲がオーバーラップしている。これにより、可撓性を持たせたラチェット爪4の角度を後述するような適当な範囲に維持しつつ、ラチェット爪4の歯数をより多くすることができる。又、インナーレースの軸線方向における基端及び先端側の外側部に、アウターレース2のアウターレース摺動面11a、11bと接触するインナーレース摺動面12a、12bがそれぞれ設けられている。
アウターレース2とインナーレース3とは、アウターレース2の内歯5と、インナーレース3のラチェット爪4とが係合するように嵌合される。
上述のように、アウターレース2とインナーレース3とには、それぞれ軸線方向において2か所の摺動面(滑合面)を設けられている。これらの摺動面は、ワンウェイクラッチ1の軸線方向において、ラチェット爪4及び内歯5を介して両端部側で、アウターレース2とインナーレース3との相互間の摺動面を形成している。これらの軸線方向における2か所の摺動面のいずれかに、アウターレース2とインナーレース3との軸線方向(スラスト方向)のズレを阻止する、凹凸対で構成された係止手段を設けることができる。係止手段の凹凸は相互に嵌め込まれ、係止されることで保持される。これにより、アウターレース2とインナーレース3とは、回転方向では互いに摺動(滑動)可能とされると共に、軸線方向では所定量以上の移動(ズレ)が防止される。本実施例では、基端側のアウターレース摺動面11aに凹部である抜け止め10が形成され、基端側のインナーレース摺動面12aに凸部であるリブ9が形成される。このように、インナーレース3とアウターレース2との摺動面のいずれか一方に凹部、他方に凸部が設けられている。この凹部と凸部とは、インナーレース3とアウターレース2との回転方向の摺動を許すと共に、互いに係合することでインナーレース3とアウターレース2との軸方向の移動を規制する。
又、本実施例では、インナーレース3の略円柱状穴3aの基端側開口部の一部に、インナーレース3が装着される被着部材とインナーレース3との回転方向の移動を阻止する回転阻止手段(回転阻止形状)としてのDカット7が形成されている。上記被着部材は、例えば後述するローラの回転軸などである。
ワンウェイクラッチ1は、少なくともラチェット爪4が設けられる側が合成樹脂(プラスチック)材料で形成される。典型的には、アウターレース2、インナーレース3の両方とも合成樹脂材料で形成される。合成樹脂材料としては、PA(ポリアミド樹脂)、POM(ポリアセタール樹脂)などの、高密度成形にも適しており精密部品で多く利用されている材料を好適に用いることができる。本実施例では、インナーレース3は、PAにより一体成型で作製し、アウターレースはPOMにより一体成型で作製した。
ラチェット爪4と内歯5は、アウターレース摺動面11a、11bと、インナーレース摺動面12a、12bとの接触により、同心で摺擦するように構成されている。
又、アウターレース2の軸線方向における基端側のアウターレース摺動面11aの略中央に上記抜け止め溝10が設けられ、インナーレース3の基端側のインナーレース摺動面12aの対応する位置に上記リブ9が設けられている。抜け止め溝10、リブ9は、それぞれアウターレース摺動面11a、インナーレース摺動面12a上において、周方向に連続して形成されている。リブ9は、抜け止め溝10に対して弾発的に係合する。
ワンウェイクラッチ1を組み立てる際には、アウターレース2とインナーレース3とを、相互にラチェット爪4が倒れるように捩じりつつ、樹脂の弾性力を利用して図3及び図4中の矢印で示すように軸線方向に嵌め込む。すると、抜け止め溝10にリブ9が入り、回転方向ではスムーズに摺動(滑合)し、軸線方向ではリブ9が抜け止め溝10に接触することで抜け止めとなる。
又、ワンウェイクラッチ1の軸線方向においてインナーレース3の基端部側の外側張り出し形状部に形成された段部27と、アウターレース2の内歯5との間には、軸線方向に隙間が空くようにギャップ25aが設けられている。又、アウターレース2の先端側の内側張り出し形状部に形成された段部28とインナーレース3のラチェット爪4との間には、軸線方向に隙間が空くようにギャップ25bが設けられている。つまり、ラチェット爪4が逃げるような形状にギャップ25a、25bが設けられている。これにより、軸線方向で、上記段部27、28の側面と内歯5、ラチェット爪4とが摺擦するなどの影響で、トルク変動に悪影響が出ないようにすることができる。この場合、抜け止め溝10の軸線方向の端部壁部とリブ9とが先に接触して、軸線方向でアウターレース2とインナーレース3とを互いに保持するように、抜け止め溝10、リブ9及びギャップ25a、25bの寸法を設定する。これにより、アウターレース2とインナーレース3との軸線方向のガタの影響が出ないようにすることができる。
本実施例では、アウターレース2の内歯5の数は20歯であり、周方向における1歯分の角度範囲は18度である。一方、本実施例では、インナーレース3のラチェット爪4の数は19歯である。そして、本実施例では、内歯5とラチェット爪4とが同時にロックする数(同時掛かり数)は1である。ワンウェイクラッチ1のアウターレース2とインナーレース3とが相互に回転すると、ある1歯のラチェット爪4が内歯5の1歯分を進行する間に、内歯5にロック(係合)するラチェット爪4の位置が周方向に順次に移動していく。即ち、同時掛かり数を考慮すると、ロック状態間のインナーレース3の回転角度であるステップ角度θは、次式、
θ=360度/(内歯の数×(ラチェット爪の数/内歯とラチェット爪の同時掛り数))
で表される。従って、本実施例では、ステップ角度θは、360/(20×(19/1))=0.947(度)となる。
仮に、内歯5とラチェット爪4とが同数の20歯の場合は、同時掛かり数は20であるので、ステップ角度θは、360/(20×(20/20))=18(度)となる。この場合、バックラッシュは18度であり、動作上も、操作上もガタが多いと感じる違和感のある角度となる。尚、内歯5とラチェット爪4の周方向の数が互いに同数の場合は、同時掛かり数はその数になり、内歯5とラチェット爪4の周方向の数が互いにいずれか一方が他方の整数倍の場合は、同時掛かり数はその内の少ない方の数になる。
このように、本発明に従って、内歯5とラチェット爪4の周方向の数は、互いに同数又はいずれか一方が他方の整数(正の整数)倍にならないようにする。これにより、ワンウェイクラッチの分解能が向上し、高分解能のラチェット構成が得られる。
ここで、実施例4及び実施例5において詳しくは後述する図16〜図19に示すような使用者が手で操作するワンウェイクラッチの場合において、複数の使用者の操作による官能計測評価を行った。その結果、操作感の観点から許容可能なバックラッシュ量(ステップ角度)は、概ね3度以下であることが分かった。この程度の遊びであるバックラッシュ量であれば、操作感を損なわない許容範囲とされた。例えば、このバックラッシュ量(ステップ角度)を3度とした場合、分解能である1周のステップ数は120ステップとなる。尚、ワンウェイクラッチの用途などによっては、バックラッシュ量(ステップ角度)は、5度程度まで許容される場合がある。又、製造上の理由などから、通常、バックラッシュ量(ステップ角度)は0.5度以上とされる。
他方、樹脂成型における成形技術の限界がある。そのような限界の要因としては、金型強度の限界と、成形性であるところのプラスチック材料の流動性の限界と、がある。又、プラスチック材料には、常温で液状を示す熱硬化型樹脂や、ハイフローと呼ばれる流動性を向上させたグレードの材料がある。上述のように、アウターレース2、インナーレース3は、PA、POMなどの、高密度成形にも適しており精密部品で多く利用されている材料を使用して作製することができる。更に、ハイフローグレードを用いた場合でも、金型の狭い隙間に材料を十分行き渡らせ、ショートモールドを発生させないために、成形圧を可能な限り上昇させることや、金型の温度を高めに設定することも可能である。
これらの要因には、それぞれ限界点があり、量産時に品質の安定化を図ることの可能な範囲で調整することとなる。このような材料と成形性の両側面から考慮して、一般的に、成型品の肉厚は、通常0.8mm以上であり、限界点としては概ね0.3mm以上である。つまり、金型内面を磨いて流動抵抗を低減させることや、加圧や成形圧に対してのメンテナンスのために入れ子対応などを行い、高度、高精度に金型を製作することでこれらを達成することになる。
さて、例えば、本実施例に従うワンウェイクラッチ1に装着される被着部材(相手側部材)が、OA機器におけるシャフトなどである場合、その直径は、多くの場合8mm〜12mm程度である。例えば、直径8mmとした場合、上記の金型成型の限界点を加味すると、インナーレース3のラチェット爪4の数は20個程度が限界となる。つまり、ラチェット爪4の根元におけるインナーケース3の直径は、上記被着部材の直径である8mmに例えば肉厚0.5mmを加味すると直径9mm(=8mm+0.5mm×2)となり、その直径位置での周長は約28.3mmとなる。よって、例えば肉厚0.3mmを確保して、隙間である金型部の板厚を加味すると、ラチェット爪4のピッチは1.4mm(≒28.3mm/20)程度が限界ということになる。又、上記同様の製造上の理由などから、内歯5の数についても20個程度が限界となる。
以上のように、内歯5とラチェット爪4の周方向の数は、互いに同数又はいずれか一方が他方の整数倍にならないようにする。そして、上述のような操作感の観点や製造上の理由から、上記式により表されるステップ角度θは、好ましくは0.5度〜5.0度、より好ましくは0.5度〜3.0度とする。又、ラチェット爪4、内歯5の数は、それぞれ好ましくは20個以下とされる。ラチェット爪4と内歯5の数はいずれが多くてもよく、又後述するようにラチェット爪4と内歯5は、それぞれインナーレース3とアウターレース2のいずれに設けられてもよい。
このように、本実施例では、アウターレース2と、インナーレース3とが相互に同軸で回転するワンウェイクラッチ1は、次の構成を有する。即ち、アウターレース2の内側部及びインナーレース3の外側部のうちいずれか一方に複数の内歯5が周方向に略均等に設けられている。又、アウターレース2の内側部及びインナーレース3の外側部のうち内歯5が設けられていない他方に、内歯5に係合可能な複数の可撓性のラチェット爪4が周方向に略均等に設けられている。内歯5及びラチェット爪4は、内歯5とラチェット爪4の周方向の数が互いに同数又はいずれか一方が他方の整数倍にならないように設けられている。
例えば、バックラッシュ量(ステップ角度)を3度としてステップ数を120ステップとするには、次のような構成も可能である。即ち、インナーレース3のラチェット爪4の歯数を20歯とし、アウターレース2の内歯5の歯数を6歯として、同時掛かり数を3とした噛み合わせにより成り立たせることも可能である。
尚、アウターレース2の内歯5の段差部5bの高さ(段差寸法)は、ラチェット爪4が十分に掛かりきれる高さが必要である。従って、例えばラチェット爪4の厚みが0.3mmの場合では、寸法公差0.1mmを含めると0.4mm程度以上が必要となる。
回転トルクに与える変動も、本実施例のように高分解能である方が均一に近くなる。即ち、内歯5とラチェット爪4とが同数の場合の負荷トルクTaに比べると、内歯5とラチェット爪4の数を同数にしない場合の負荷トルクTbは、Tb=Ta(1/内歯数×ラチェット爪数)と軽くなる。
図20(a)を参照して、ラチェット爪4の自然状態(変形されていない状態)での角度θ1を、次のように定義する。即ち、ワンウェイクラッチ1の回転軸線と略直交する平面に沿って略直線状に延在する、ラチェット爪4の係合部4aの先端4b側の外側面4cに沿う直線をL1とする。又、係合部4aの先端4b側の外側面4cの端部(エッジ部)4dにおける、ワンウェイクラッチ1の回転中心を中心とした円周の接線をL2とする。そして、直線L1と接線L2とで形成される角度を角度θ1とする。このとき、角度θ1は、5度〜45度とすることが好ましい。
一方、図20(b)を参照して、内歯5の角度(先端角度)θ2を、次のように定義する。即ち、ワンウェイクラッチ1の回転軸線と略直交する平面に沿って略直線状に延在する、内歯底部5aに沿う直線をL3とする。又、内歯底部5aの段差部5bの下部に連続する側の端部5cにおける、ワンウェイクラッチ1の回転中心を中心とした円周の接線をL4とする。そして、直線L3と接線L4とで形成される角度を角度θ2とする。このとき、角度θ2は、3度〜40度とすることが好ましい。
そして、アウターレース2とインナーレース3とを互いに装着させて噛み合わせると、ラチェット爪4はインナーレース3の半径方向内側に向けて撓む。これにより、上記直線L1と、ラチェット爪4の係合部4aの先端4bにおけるインナーレース3の半径方向に対する角度は、上記自然状態の角度以上となる。即ち、このとき上記直線L1と上記接線L2とでなす角度θ3は、θ1よりも小さくなる。ラチェット爪4の係合部4aが内歯5にロックした状態で、角度θ3は角度θ2と実質的に等しくなる。
又、インナーレース3の回転軸線と略直交する平面に沿う方向における、ラチェット爪4の係合部4aの先端4bの厚さ(板厚)は、内歯5の段差部5cの高さ以上とすることが好ましい。更に、図20(c)に示すように、ラチェット爪4の先端(端面)4bと外側面4cとでなす角度(先端角度)θ4は90度以下として、鋭利な角度に設定することが好ましい。但し、金型の表面粗さ、部品寸法の公差、或いは爪の抜けやすさである逃げ勝手の理由から、通常、この角度は87度以上とされる。
仮に、内歯5とラチェット爪4とが同数の場合に、細かいピッチにしようとすると、外輪内側の爪のピッチも細かくする必要がある。このように細かくすると、爪の角度が起きてくるので爪が外れやすくなり、限界逆止トルクが低下するという課題が生じる。
これに対して、本発明に従えば、内歯5とラチェット爪4の数に差分を設けることで、分解能を高めて、この課題を解決することができる。
尚、本実施例では、各ロック状態では、1つのラチェット爪4が内歯5に係止してロックしているだけである。これに対して、例えば耐荷重を増やしたい場合などには、次のようにすることができる。即ち、この場合には、内歯5の数に対して、ラチェット爪4の数を下記のステップ角度の式に応じて設定すれば、同時に内歯5に掛かるラチェット爪4の数を調整することができる。
即ち、同時掛り数が1の場合、
内歯の数=(360度/ステップ角度)/ラチェット数
である。又、複数の同時掛り数を加味すると、上述のように、
ステップ角=360度/(内歯の数×(ラチェット数/同時掛り数))
となる。内歯5に対してラチェット爪4が同時に複数個所ロックするようにすれば、その分ロック時の最大荷重を増やすことが可能になる。
又、他の構成として、ラチェット爪4を1つにして、内歯5を細かく分割して同様の分解能を得ることで同様の機能を得られるように考えられる。しかし、内歯5の歯数を、ピッチ角度が1度程度になるように増やすような、細かいピッチで作ると、内歯5の噛み合いロック部26の段差部5b(図1)が小さくなる。そのために、ロック方向に大きなトルクが加わると、ラチェット爪4の厚みよりも段差部5bが低くなる現象で、ラチェット爪4が内歯5から外れやすくなる。これを防止するために、ラチェット爪4の角度を、ラチェット爪4の先端におけるインナーレース3の回転中心を中心とした円周の接線に対して起き上がるように設定すると、ラチェット爪4の角度が立ってしまう。これによって順回転の際にラチェット爪4の撓み量は大きくなり、反力も強まるので、回転トルクが重くなり、ラチェット爪4の圧縮弾性力が下回り、ヘタリが生じるおそれがある。そのため、本実施例と一見等価であるように思える機能ではあるが、実使用上不具合があり、本実施例と同一の効果を得ることはできない。
以上、本実施例によれば、内歯5とラチェット爪4との周方向の数が同数又は整数倍にならないようにする。これによって、ワンウェイクラッチ1は、アウターレース2とインナーレース3のみの2部品によるシンプルな構成で、ラチェット爪4や内歯5のそれぞれの数よりも逆転時の係止段数の分解能が多くなり、バックラッシュを少なくすることができる。本実施例では、2部品によるシンプルな構成で、ラッチ爪とラッチ山とで位相を設け、アウターレースの内歯に対してインナーレースのラッチ爪数分の分解能を持たせたため、ワンウェイクラッチ1は、バックラッシュを少なくすることができる。又、本実施例によれば、ワンウェイクラッチ1は、より少ない部品数で、樹脂成型により形成することができるので、製造が容易で、例えば軽負荷の個所に用いるのに適している。このように、本実施例によれば、より少ない部品構成でバックラッシュが少ないワンウェイクラッチを提供することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例のワンウェイクラッチにおいて、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図5〜図8は、本実施例に係るワンウェイクラッチ1を示す。又、図9〜図12は、本実施例に係るワンウェイクラッチ1の動作過程を示す。又、図13は、本実施例に係るワンウェイクラッチ1をギア14に装着した例を示す。
本実施例では、アウターレース2の外側部には、アウターレース2が装着される被着部材(後述するギアなど)とアウターレース2との回転方向の移動を阻止する回転阻止手段(回転阻止形状)として回転阻止溝6が3か所設けられている。尚、回転阻止手段は、1か所以上の適宜数だけ設けることができる。回転阻止溝6は、アウターレース2の軸線方向に延在する。これにより、例えば図13に示すようにアウターレース5がギア14に装着された際に、ギア14にかかる回転力によってギアとアウターレース2とが滑らないように、回転力を支えるようになっている。例えば、アウターレース2は、ギア14とは軽圧入又は嵌め合い公差設定により装着される。
又、図6に示すように、アウターレース2の軸線方向において基端側の回転阻止溝6の端部は、アウターレース2の基端側端部まで達しておらず、アウターレース2の外周面が残されている。これにより、回転阻止溝6のアウターレース2の基端側の端部には溝側面6aが設けられている。これにより、回転ロック方向に対して、誤組立を防止できるように配慮されている。即ち、ギア14側に設けられた突起に対して反対方向からアウターレース2を装着しようとしても、その際の装着方向先端側のアウターレース2の端部が円形状なので装着できない。このように組立作業において、より確実に正しく組立てることができるようになっている。
又、本実施例では、アウターレース2、インナーレース3は、それぞれ樹脂モールド成形に対応し、金型の構造を簡略化するために、基本的に上下抜きで成形可能としている。そのために、アウターレース2の抜け止め溝10は、無理抜き可能な形状にしてある。又、インナーレース3の基端側の端面3bには、該端面3bより先端側に設けられたラチェット爪4に対向する長穴24が設けられ、金型で上下抜きができるようになっている。長穴24は、インナーレース3の軸線方向に見て、ラチェット爪4に適合する形状を有する。これによって、シンプルなモールド金型での多数個採りが容易になる。そのため、イニシャルコストを低減できる他、生産性を高めることも容易となる。
このように、アウターレース2とインナーレース3は、両方とも樹脂成型で作製する場合、アウターレース2側にラチェット爪4を設け、インナーレース3側に内歯5を設けることも容易である。このように、ラチェット爪4と内歯5とを本実施例とは逆に配置しても、機能的には同様のワンウェイクラッチ1を構成することが可能である。
一般的に、インナーレース3及びアウターレース2は、ラチェット爪4、インナーレース摺動面12、アウターレース摺動面11などを有しているので、耐摩耗性に配慮することが必要である。そのため、成形品での実験によれば、材質の相性として、例えばインナーレース3は成形性能に優れ弾性回復力を有するPA(ポリアミド樹脂)により一体成型で作製し、アウターレース2はPOM(摺動特性ポリアセタール樹脂)により一体成型で作製するのが良い。これにより、無給油で、5万回転の耐久試験を行っても、摩耗による不具合は生じなかった。
尚、図13の例では、ギア14の回転軸部(略円柱状穴)14aに同軸でワンウェイクラッチ1が装着されている。例えば、樹脂モールド成形によって成形されたギア14に対して、上述のようにワンウェイクラッチ1のアウターレース2が軽圧入又は嵌め合い公差寸法設定で装着できるようになっている。しかし、位置精度や強度などを更に高めるために二色成形やインサート成型にして金型内で精度よく成形することも可能である。
ここで、本実施例では、実施例1と比較するとラチェット爪4の数が少なくしてある。これは、量産性を踏まえて、金型の耐久性、成形性に対して配慮したためである。本実施例では、内歯5の数は20歯であり、ラチェット爪4の数は9歯である。又、同時掛かり数は1である。そして、周方向における内歯5の1歯分の角度範囲は18度である。これに対してラチェット爪4の数が9歯であるので、ステップ角度θは2度になっている。このラチェットの枚数でも、ワンウェイクラッチ1の用途によってはバックラシュは十分に小さく、例えば操作感で許容されるような箇所に採用できる。
より具体的には、本実施例の成形品では、1歯のみのラチェット爪4がロックするようになっている。そして、ラチェット爪4の寸法は、板厚0.3mm、長さ2.5mm、幅3.5mm、上記ラチェット爪の角度θ1は5度と設定した。この場合、正転トルク0.3N・m、ロックトルク5N・mの性能を示した。ラチェット爪4の圧縮座屈力により耐荷重は決定されるため、本実施例のワンウェイクラッチ1は、所謂、軽負荷のロックトルクの個所での利用に適している。
図9〜図12は、便宜上固定されたアウターレース2に対して、インナーレース3が図中矢印Rで示すように右回転した際の、ラチェット爪4が内歯5に順次ロックしていく様子を示している。
図9のSTEP1では、内歯5とラチェット爪4との噛み合い位置は、同図中の噛み合いロック部26aの位置である。インナーレース3が矢印R方向に回転すると、図10のSTEP2の噛み合いロック部26bに変化することで、1ステップ角度回転し、逆回転方向はロックされる。同様に、図11のSTEP3では、同図中の噛み合いロック部26cに移動し、図12のSTEP4では、同図中の噛み合いロック部26dに移動する。これによって、1ステップあたり2度の角度でロックが確実に掛るように変化していくようになっている。
尚、本実施例では、アウターレースの内歯の数は20歯、インナーレースのラチェットの数は9歯であるので、9ステップ進行する事で、内歯1歯分の18度の回転角度になる(図示せず)。
以上、本実施例の構成によっても実施例1で説明したものと同様の効果を得ることができる。又、本実施例によれば、製造コストの低減やギアに装着する際の作業性を向上することができる。
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例のワンウェイクラッチにおいて、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図14及び図15は、本実施例に係るアウターレースとギアとが一体化されたワンウェイクラッチ1を示す。
本実施例では、図13に示したアウターレース2をギア14と一体化して、本発明に従うワンウェイクラッチの構成を適用したギアの部品点数を低減し、精度の向上、強度アップを図った。ギア14の回転中心部(略円柱状穴)14aには、図13に示したアウターレース2の内歯5と同一形状の内歯5が一体的に成形されている。即ち、本実施例では、ギア14は、実施例1、2におけるアウターレース2の外側部に歯面14bが形成されたギア付きのアウターレース2と見なせる。
ギア14(即ち、ギア付きのアウターレース2)は、樹脂ギアに多く用いられるPOM(ポリアセタール樹脂)を材料として一体成型で作製し、インナーレース3は、PA(ポリアミド樹脂)を材料として一体成型で作製することが好ましい。
又、インナーレース3の略円柱状穴3aで構成されるシャフト装着部に設けられたDカット7は、機能的にはシャフトとインナーレース3とが一体的に回転することが目的である。従って、Dカット形状に限らず、並行ピンや波形ピンをシャフトに装着してワンウェイクラッチ1に係合させるような適宜任意の方法を用いても良い。又、軽圧入や、接着による保持方法を用いてもよい。
以上、本実施例によれば、本発明に従うワンウェイクラッチの構成を適用したギアの構成をより簡易とすることができる。
実施例4
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例のワンウェイクラッチにおいて、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図16〜図18は、本実施例に係るアウターレースがノブ形状とされたワンウェイクラッチ1を示す。
図16〜図18には、本実施例に係るワンウェイクラッチ1が適用される、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置における用紙搬送路の部分を模式化して示している。同図において、用紙搬送路を形成する上ガイド20と、下ガイド21は、薄板板金(電気亜鉛メッキ鋼板)又は樹脂板(モールド成形)によって構成され、平行に配置されている。その上ガイド20と下ガイド21との間には、2mm〜4mmの隙間(ギャップ)が形成されている。そして、その隙間内を搬送される用紙22の送り方向に対して、搬送力を付与するためにローラ対を設けて挟持させるのが一般的である。
同図において、第1のシャフト16には、ゴム材質又は従動プラスチックローラなどを第1のシャフト16に圧入した、上ローラ17が2個設けられている。又、第1のシャフト16と対向する位置には、第2のシャフト18が平行に配置されており、第2のシャフト18には、ゴム材質の下ローラ19が2個圧入されて接着されることにより設けられている。これら上ローラ17と下ローラ19とのローラ対は、バネなどの付勢手段(図示せず)により互いに圧接されており、更にその長手方向(回転軸線方向)の両端部を軸受(図示せず)により保持されている。
この用紙搬送路で、用紙ジャム(紙詰まり)が生じる場合があり、その場合にはジャムを起こした用紙22の除去をする必要がある。この場合に、使用者は、第2のシャフト18の長手方向の端部に設けられたプラスチック製のノブ15を手でつまみ、これを回転させることで、上記ローラ対を回転させて用紙22を排出させることになる。本実施例では、このノブ15の回転中心部(略円柱状穴)15aに実施例2と同様のワンウェイクラッチ1が装着されている。
更に説明すると、図18に示すように、本実施例では、第2のシャフト18の長手方向の端部には、実施例2と同様のワンウェイクラッチ1のインナーレース3の内径側に設けられたDカット7と合致するように、Dカット18aが設けられている。これにより、インナーレース3の回転時に、第2のシャフト18も連動するようになっている。一方、実施例2と同様のワンウェイクラッチ2のアウターレース2が、ノブ15に軽圧入などの方法により、一体的に取り付けられている。
ここで、使用者は、このノブ15を手で回してジャムを起こした用紙22を除去することになる。しかし、用紙搬送路内の用紙22を除去するノブ15をどちらに回すべきか判りにくく、うっかり逆方向に回すと、ジャムを起こした用紙22の除去が困難になる。その場合、例えば、用紙搬送路を開いて用紙22の除去作業を行う必要が生じるなど、作業時間や手間が掛ることがある。
本実施例では、ノブ15に実施例2と同様のワンウェイクラッチ1を用いることにより、ノブ15は左右どちらにでも回すことができる。しかし、逆方向に回すと、ラチェット爪4が空回りする際に反発弾性で内歯と打突音が生じる。典型的には、実施例2の構成では、回転中には「ジーッ」という連続音が発生して、使用者に逆回転であることを知らせることが可能になる。一方、正回転させると、ラチェット爪4が内歯5と係止するので音は発生しない。そして、用紙22の排出方向である正しい方向のみに上記ローラ対を回転させて、用紙22の除去が可能となる。
このようにアウターレース2の凹凸歯数に対してインナーレース3のラチェット爪4の数を除したステップ角度の分解能を有する。そして、アウターレース2とインナーレース3とを相対的に正転方向に回転させると、円周状の何れかのラチェット爪4が係止されてロックするようになっている。又、アウターレース2とインナーレース3とを相対的に逆転方向に回転させると、上記ステップ角度分の分解能でラチェット爪4から離間音と打突音が発生する。
以上、本実施例によれば、ワンウェイクラッチ1は、簡易な構成で、正転、逆転の動きを音によって容易に確認することができる。従って、例えば画像形成装置の用紙搬送路中のローラのノブに適用することで、ローラを正規の方向にのみ回転させると共に、逆回転させた際にはそのことを使用者に容易に認識させることができる。
実施例5
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例のワンウェイクラッチにおいて、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
図19は、本実施例に係るアウターレースがノブ形状とされ、アウターレースがノブと一体化されたワンウェイクラッチ1を示す。
実施例4では、ノブ15とワンウェイクラッチ1のアウターレース2とは、分割して形成され、軽圧入などの方法により一体化された。これに対して、図14に示したギア14の場合と同様に、図19に示すノブ15では、ノブ15の内径部に内歯5を設ける。即ち、本実施例では、ノブ15は、実施例1、2におけるアウターレース2の外側部に摘み形状が形成されたノブ付きのアウターレース2と見なせる。
本実施例では、ノブ15(即ち、ノブちきのアウターレース)は、樹脂で一体成型することで、部品点数を削減することができるので、組立性の容易化を図ることができる。ノブ15の内側にはインナーレース2が一体的に形成された構成であるので、ラチェット爪4が内歯5と係合してワンウェイクラッチと同様の機能となる。
更に、ノブを金属製、例えばダイキャストなどの製造方法を用いて形成アウターレースを一体的に形成することも可能である。これによっても上記樹脂で一体成型する場合と同等のアウターレース2の内歯4の機能を発揮することができる。
尚、本実施例では、ノブ15の例を示したが、これに限定されるものではなく、同様に正回動側は片側にロックさせ、反回動側はラチェット爪の音を立てながら空転する構成のレバー、ハンドルなどに用いることも可能である。その場合は、てこの原理で、アームの先端部に対して根元の回転中心はトルクが大きく掛るので、回動トルクに留意が必要である。その対策としては、ラチェット爪4が複数個所同時に係合するように設定配慮することで、ロックトルクを高めることができる。即ち、アウターレース2は、ワンウェイクラッチ1が組み込まれる旋回部材と同期して回転するように一体的に結合されるか又は一体的に形成されることができる。旋回部材としては、前述のギア、ノブ、レバー、ハンドルなどが含まれる。
以上、本発明によれば、内歯とラチェット爪との空転距離(角度)が短く、バックラッシュを低減することができる。又、ラチェット爪とインナーレースとが樹脂成型で一体化されて部品点数を少なくしたものを、対向するアウターレース側の内歯とセットにすることで、シンプルな構成でありながら、細分解能を達成したワンウェイクラッチを提供することができる。
1 ワンウェイクラッチ
2 アウターレース
3 インナーレース
3a 略円柱状穴(シャフト装着部)
4 ラチェット爪
5 内歯
6 回転阻止溝
6a 溝側面
7 Dカット
9 リブ
10 抜け止め溝
11 アウターレース摺動面
12 インナーレース摺動面
14 ギア
15 ノブ

Claims (9)

  1. アウターレースと、インナーレースとが相互に同軸で回転するワンウェイクラッチであって、
    前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうちいずれか一方に複数の内歯が周方向に略均等に設けられ、
    前記アウターレースの内側部及び前記インナーレースの外側部のうち前記内歯が設けられていない他方に、前記内歯に係合可能な複数の可撓性のラチェット爪が周方向に略均等に設けられており、
    前記内歯及び前記ラチェット爪は、前記内歯と前記ラチェット爪の周方向の数が互いに同数又はいずれか一方が他方の整数倍にならないように設けられていることを特徴とするワンウェイクラッチ。
  2. 次式、
    θ=360度/(内歯の数×(ラチェット爪の数/内歯とラチェット爪の同時掛かり数))
    で表される前記内歯と前記ラチェット爪の係合のステップ角度θは、0.5度〜5.0度であることを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。
  3. 前記アウターレース及び前記インナーレースのうち少なくとも前記ラチェット爪が形成される側は、合成樹脂材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のワンウェイクラッチ。
  4. 変形させられていない状態の前記ラチェット爪の先端における側面と、前記先端における前記ワンウェイクラッチの回転中心を中心とした円周の接線とのなす角度は5度〜45度であり、前記内歯の段差部における底部と、前記段差部における前記ワンウェイクラッチの回転中心を中心とした円周の接線とのなす角度は3度〜40度であり、前記アウターレースと前記インナーレースとを互いに装着させた状態で、前記ラチェット爪は撓んで、前記ラチェット爪の先端における側面と、前記先端における前記ワンウェイクラッチの回転中心を中心とした円周の接線とのなす角度は、前記変形させられていない状態の角度より小さくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
  5. 前記ラチェット爪の先端の厚さは、前記内歯の段差部の高さ以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
  6. 前記ラチェット爪の先端の端面と側面とでなす角度は90度以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
  7. 前記インナーレースと前記アウターレースとの摺動面のいずれか一方に凹部、他方に凸部が設けられており、前記凹部と前記凸部とは、前記インナーレースと前記アウターレースとの回転方向の摺動を許すと共に、互いに係合することで前記インナーレースと前記アウターレースとの軸方向の移動を規制することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
  8. 前記アウターレースと前記インナーレースとを相対的に正転方向に回転させると周方向の何れかの前記ラチェット爪が前記内歯に係止され、前記アウターレースと前記インナーレースとを相対的に逆転方向に回転をさせると前記ラチェット爪から離間音と打突音が発生することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
  9. 前記アウターレースは、前記ワンウェイクラッチが組み込まれる旋回部材と同期して回転するように一体的に結合されるか又は一体的に形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のワンウェイクラッチ。
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