JP7264417B2 - ワンウェイクラッチおよびワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置 - Google Patents
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また、一方の回転体を他方向へ回転させると、クラッチ板の一方向係合つめが他方の回転体の係合突起に接するごとに回転軸の軸方向と直交する方向に逃げて、一方向係合つめと係合突起とが係合することがないため、他方の回転体は回転せずに一方の回転体のみが他方向へ回転する。
即ち、ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置は、軸心を中心として回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記回転軸と一体的に回転可能に嵌装される環状部と、前記環状部から径方向外側に突出し弾性変形可能な複数の爪部とを有するインナギアと、前記回転軸に前記軸心を中心として相対的に回転可能に支持され前記インナギアを収容する円筒状部材と、前記円筒状部材の外周面から径方向外側に突出する複数の外歯と、前記円筒状部材の内周面から径方向内側に突出する複数の内歯とを有するアウタギアと、前記回転軸が挿入されるハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記軸心を中心として前記回転軸と一体的に回転可能なロータ翼と、前記ハウジング内に封入され前記ロータ翼に回転抵抗を付与する粘性流体と、を備え、前記回転軸の外周面、および前記アウタギアにおける前記円筒状部材の内周面の一方に溝部が形成され、前記回転軸の外周面、および前記アウタギアにおける前記円筒状部材の内周面の他方に前記溝部と嵌合可能な突起部が形成され、前記溝部と前記突起部とが嵌合することにより、前記アウタギアが前記回転軸に支持され、前記インナギアにおける前記複数の爪部の外周側端部を通り前記軸心を中心とする円の径が、前記アウタギアにおける前記複数の内歯の内周側端部を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、前記爪部は、前記アウタギアが前記回転軸に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記アウタギアが前記回転軸に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、前記アウタギアが一側へ回転する際に前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記爪部が弾性変形して前記内歯から退避し、前記内歯と前記退避面とが係合することなく前記アウタギアが前記回転軸とは独立して回転し、前記アウタギアが他側へ回転する際に前記内歯と前記係合面とが当接すると、複数の前記内歯と複数の前記係合面とが係合して前記アウタギアと前記回転軸とが一体的に回転し、前記爪部は、前記環状部の外周面から前記一側への回転方向における下流側へ延出するとともに前記一側への回転方向における下流側へいくに従って径方向外側へ向かう舌片状に形成され、前記内歯における前記他側へ回転する際に前記係合面と当接する面は、前記他側への回転方向と直交する面に形成され、前記インナギアの前記係合面は、前記一側への回転方向と直交する面に形成される。
これにより、アウタギアの突起部を回転軸の溝部に嵌合させる際に回転軸の軸片部が撓むこととなり、嵌合作業を容易にすることが可能となる。
これにより、インナギアが有するすべての爪部を同時に内歯と係合させることができ、各爪部にかかる負荷を効果的に小さくすることができる。
これにより、アウタギアが回転軸に対して他側へ回転したときに、アウタギアの内歯がインナギアの爪部と係合せずに、アウタギアが空回りする角度を小さくすることができる。従って、ワンウェイクラッチを備えた回転ダンパ装置においては、アウタギアが他側へ回転を開始したときからアウタギアに回転抵抗が付与されるまでのあそび量を減少させることができ、アウタギアが他側へ回転を開始してから速やかに回転抵抗を付与することが可能になる。
図1~図4に示すワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置1(以降、単に「回転ダンパ装置1」という)1は、本発明に係るワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置の一実施形態である。
回転ダンパ装置1は、例えば小型プリンタ等のOA機器の本体に回動可能に連結される開閉扉の開閉部に設けられ、開閉扉が開方向または閉方向の一方に回動する際に減衰力を発生するように用いられる。回転ダンパ装置1は、これに限らず、第1部材に回動可能に連結される第2部材の回動部に設けることができる。
回転ダンパ装置1においては、ロータ軸20と、インナギア30と、アウタギア50とでワンウェイクラッチ2が構成されている。つまり、回転ダンパ装置1は、ロータ軸20に回転抵抗を付与する回転ダンパ装置にワンウェイクラッチ2を接続することにより構成されている。ロータ軸20は、軸心を中心として回転可能な回転軸の一例である。
ハウジング本体10Aは有底の円筒形状に形成されており、底面11を有している。底面11の中心部には、軸心P方向に沿ってハウジング本体10A内に突出する円柱状の支持軸12が形成されている。ハウジング本体10Aの軸心P方向における底面11側とは反対側の端部には、開口部13が形成されている。
蓋体10Bはハウジング本体10Aの開口部13を閉塞している。蓋体10Bの中心部には、軸心P方向に貫通する円形状の貫通孔14が形成されている。
粘性流体60は、例えばシリコーンオイル等の粘性を有した流体にて構成されている。ロータ翼25に付与する回転抵抗の大きさは、粘性流体60の粘度やロータ翼25の形状を適宜変更することで、調整することが可能である。
ロータ軸20と蓋体10Bとの間には、O-リングなどのシール部材15が介装されており、ロータ軸20と蓋体10Bとの間から粘性流体60が漏出することを防いでいる。
ギア本体51は、ロータ軸20に軸心Pを中心として相対的に回転可能に支持される円筒状部材により形成されている。外歯ギア52は、ギア本体51の外周面から径方向外側に突出し、周方向に沿って配置される複数の外歯52aを有している。内歯53は、ギア本体51の内周面から径方向内側に突出しており、周方向に沿って複数設けられている。
突起部55はロータ軸20の溝部214と嵌合可能に構成されており、支持部51bに延出軸21を挿入して突起部55と溝部214とを嵌合させることによって、アウタギア50がロータ軸20に支持される。
本実施形態においては、ロータ軸20に溝部214を形成するとともに、ギア本体51の支持部51bに突起部55を形成しているが、ロータ軸20に径方向外側に向かって突出する突起部を形成するとともに、ギア本体51の支持部51bに径方向外側へ向かって凹陥する溝部を形成して、突起部と溝部とを嵌合させることにより、アウタギア50をロータ軸20に支持させることもできる。
インナギア30における円C2の径は、アウタギア50における円C1の径よりも大きく形成されている。つまり、爪部32が弾性変形していない状態では、爪部32の外周側端部が、内歯53の内周側端部よりも径方向外側に位置している。
この場合、複数の爪部32と複数の内歯53とが同時に係合するように構成されている。本実施形態の場合、インナギア30は3つの爪部32を有し、アウタギア50は3つの内歯53とを有しており、3つの爪部32と3つの内歯53とが同時に係合するように構成されている。爪部32と内歯53とが係合した後は、アウタギア50とロータ軸20とが一体的に他側へ回転する。
このように構成される回転ダンパ装置1におけるワンウェイクラッチ2は、次のように動作する。
図7(a)には、インナギア30の爪部32が、周方向においてアウタギア50の内歯53と内歯53との間に位置しており、弾性変形していない状態のワンウェイクラッチ2を示している。
この場合、爪部32は、外周側端部が円C1の範囲内に納まる位置まで径方向内側へ弾性変形することが可能である。従って、アウタギア50が一側へ回転した際には、内歯53と爪部32とは係合することがなく、内歯53が爪部32に対して相対的に一側へ摺動する。一側へ摺動する内歯53は爪部32を通過し、爪部32は再び内歯53と内歯53との間に位置することとなる。
そして、アウタギア50がロータ軸20とは独立して回転し、ロータ軸62は回転しないため、アウタギア50は回転抵抗が付与されることなく回転する。
図9(a)には、インナギア30の爪部32が、周方向においてアウタギア50の内歯53と内歯53との間に位置しており、弾性変形していない状態のワンウェイクラッチ2を示している。
特に、アウタギア50は、ロータ軸20の溝部214とアウタギア50の突起部55とを嵌合させることによってロータ軸20に支持されるものであるため、アウタギア50を支持するために別部材を要することがなく、部品点数を削減することができる。
これは、ロータ軸20に突起部を形成するとともに、アウタギア50に前記突起部と嵌合する溝部を形成した場合も同様である。
インナギア30およびアウタギア50は、次に示すように構成することもできる。
例えば、図11(a)に示すインナギア130は、ロータ軸20の延出軸21に嵌装される環状部131と、環状部131から径方向外側に突出する複数の爪部132とを有している。インナギア130は、例えば弾性変形可能な樹脂部材にて形成されている。本実施形態においては、インナギア130は、4つの爪部132を有している。
この場合、複数の爪部132と複数の内歯153とが同時に係合するように構成されている。本実施形態の場合、4つの爪部132と4つの内歯153とが同時に係合するように構成されている。爪部132と内歯153とが係合した後は、アウタギア150とロータ軸20とが一体的に他側へ回転する。
特に、アウタギア150は、インナギア130の爪部132と同じ数の内歯153を有しているため、インナギア130が有するすべての爪部132を同時に内歯153と係合させることができ、各爪部132にかかる負荷を効果的に小さくすることができる。
また、アウタギア150は、図12(a)に示すアウタギア250のように構成することもできる。アウタギア250は、アウタギア150が有する内歯153の数よりも多い数の内歯253を有している点で、アウタギア150と異なっている。図12(a)に示すように、アウタギア250およびインナギア130を用いてワンウェイクラッチ2を構成した場合、アウタギア250における内歯253の数が、インナギア130における爪部132の数よりも多くなっている。内歯253は、内歯153と同様に形成されている。本実施形態においては、アウタギア250は、8つの内歯253を有している。
なお、図12(a)には、アウタギア250およびインナギア130を用いて構成されたワンウェイクラッチ2を示している。
従って、アウタギア250およびインナギア130を用いて構成したワンウェイクラッチ2において、アウタギア250がロータ軸120に対して他側へ回転したときに、アウタギア250の内歯253がインナギア130の爪部132と係合せずに、アウタギア250が空回りする角度は、アウタギア150およびインナギア130を用いて構成したワンウェイクラッチ2の場合に比べて小さくなる。
インナギア130は、図12(b)に示すインナギア230のように構成することもできる。インナギア230は、2つの爪部232を有している点で、4つの爪部132を有しているインナギア130と異なっている。なお、図12(b)には、アウタギア150およびインナギア230を用いて構成されたワンウェイクラッチ2を示している。
このように、インナギア230とアウタギア150とを用いてワンウェイクラッチ2を構成した場合も、アウタギア150における内歯153の数を、インナギア230における爪部232の数よりも多くすることができる。
また、2つの爪部232を有するインナギア230は、4つの爪部132を有するインナギア130よりも爪部の数が少ないため、軽量化を図ることが可能である。
また、インナギアの爪部の数とアウタギアの内歯の数とは、アウタギアの内歯の数がインナギアの爪部の数よりも多く、複数の爪部と複数の内歯とが同時に係合する構成であれば、本実施形態で示した組み合わせ以外の組み合わせとすることも可能である。
インナギア130は、図13に示すインナギア330のように構成することもできる。インナギア330は、8つの爪部332を有している点で、4つの爪部132を有しているインナギア130と異なっている。なお、図13には、アウタギア150およびインナギア330を用いて構成されたワンウェイクラッチ2を示している。
このように、インナギア330とアウタギア150とを用いてワンウェイクラッチ2を構成した場合、インナギア330における爪部332の数が、アウタギア150における内歯153の数よりも多くなる。
従って、インナギア330とアウタギア150とを用いて構成したワンウェイクラッチ2において、アウタギア150がロータ軸120に対して他側へ回転したときに、アウタギア150の内歯153がインナギア330の爪部332と係合せずに、アウタギア150が空回りする角度は、インナギア130およびアウタギア150を用いて構成したワンウェイクラッチ2の場合に比べて小さくなる。
このように、インナギア330における爪部332の数が、アウタギア150における内歯153の数よりも多くなるように構成した場合も、アウタギア150のあそび量を低減することができる。
インナギア30は、次のように構成することもできる。
図14に示すインナギア430は、ロータ軸20の延出軸21に嵌装される環状部431と、環状部431から径方向外側に突出する複数の爪部432とを有している。
環状部431は、環状部431の内周面に互いに平行に配置される一対の面取り部431aを有している。環状部431は、延出軸21に一体的に回転可能に支持されている。
爪部432は、環状部431の外周面から一側への回転方向における下流側へ延出するとともに、一側への回転方向における下流側へいくに従って径方向外側(軸心Pから離れる方向)へ向かう舌片状に形成されている。爪部432は、径方向へ弾性変形可能に構成されている。
なお、爪部32および爪部432のように、舌片状に形成される爪部の周方向の長さは、爪部32の長さよりも長く形成したり、爪部432よりも短く形成したり、爪部32の長さと爪部432の長さとの間の長さに形成したりといったように、任意の長さに形成することができる。
2 ワンウェイクラッチ
10 ハウジング
10A ハウジング本体
20 ロータ軸
21 延出軸
21A 軸片部
25 ロータ翼
30、130、230、330、430 インナギア
31、131、231、331、431 環状部
32、132、232、332、432 爪部
32a 退避面
32b 係合面
50 アウタギア
51 ギア本体
52 外歯ギア
52a 外歯
53、153、253 内歯
55 突起部
60 粘性流体
211 面取り部
213 スリット
214 溝部
C1 (各内歯の先端を通る)円
C2 (各爪部の先端を通る)円
P 軸心
Claims (4)
- 軸心を中心として回転可能な回転軸と、
前記回転軸に前記回転軸と一体的に回転可能に嵌装される環状部と、前記環状部から径方向外側に突出し弾性変形可能な複数の爪部とを有するインナギアと、
前記回転軸に前記軸心を中心として相対的に回転可能に支持され前記インナギアを収容する円筒状部材と、前記円筒状部材の外周面から径方向外側に突出する複数の外歯と、前記円筒状部材の内周面から径方向内側に突出する複数の内歯とを有するアウタギアと、
前記回転軸が挿入されるハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記軸心を中心として前記回転軸と一体的に回転可能なロータ翼と、
前記ハウジング内に封入され前記ロータ翼に回転抵抗を付与する粘性流体と、
を備え、
前記回転軸の外周面、および前記アウタギアにおける前記円筒状部材の内周面の一方に溝部が形成され、
前記回転軸の外周面、および前記アウタギアにおける前記円筒状部材の内周面の他方に前記溝部と嵌合可能な突起部が形成され、
前記溝部と前記突起部とが嵌合することにより、前記アウタギアが前記回転軸に支持され、
前記インナギアにおける前記複数の爪部の外周側端部を通り前記軸心を中心とする円の径が、前記アウタギアにおける前記複数の内歯の内周側端部を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、
前記爪部は、前記アウタギアが前記回転軸に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記アウタギアが前記回転軸に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、
前記アウタギアが一側へ回転する際に前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記爪部が弾性変形して前記内歯から退避し、前記内歯と前記退避面とが係合することなく前記アウタギアが前記回転軸とは独立して回転し、
前記アウタギアが他側へ回転する際に前記内歯と前記係合面とが当接すると、複数の前記内歯と複数の前記係合面とが係合して前記アウタギアと前記回転軸とが一体的に回転し、
前記爪部は、前記環状部の外周面から前記一側への回転方向における下流側へ延出するとともに前記一側への回転方向における下流側へいくに従って径方向外側へ向かう舌片状に形成され、
前記内歯における前記他側へ回転する際に前記係合面と当接する面は、前記他側への回転方向と直交する面に形成され、
前記インナギアの前記係合面は、前記一側への回転方向と直交する面に形成される、
ことを特徴とするワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。 - 前記回転軸は、前記回転軸の先端部から前記軸心方向に沿って形成されるスリットにより周方向に分割された複数の軸片部を有し、
前記溝部は、前記軸片部の外周面に形成され、
前記スリットは、前記溝部と前記突起部とを嵌合させる際に前記軸片部を撓ませるためのものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。 - 前記インナギアにおける前記爪部の数と、前記アウタギアにおける前記内歯の数とが同じである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。 - 前記アウタギアにおける前記内歯の数および前記インナギアにおける前記爪部の数の一方が、他方よりも多い、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。
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