JP7188732B2 - ワンウェイクラッチおよびワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置 - Google Patents
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Description
また、アウタ部材36のロータ軸29に対する支持構造を簡単にするために、アウタ部材36をロータ軸29により直接支持しようとした場合、アウタ部材36はロータ軸29に嵌合させた貫通孔66の部分のみでロータ軸29に支持されることとなる。これにより、アウタ部材36のロータ軸29の軸心に対する振れが大きくなって、ワンウェイクラッチ3の円滑な動作が妨げられるおそれがある。
即ち、ワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置が備えるワンウェイクラッチは、軸心を中心として回転可能な回転軸と、前記回転軸に前記軸心方向と直交する径方向へスライド可能に支持されるとともに、前記軸心を中心として前記回転軸と一体的に回転可能であり、スライド方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部を有するスライド部材と、前記回転軸に前記軸心を中心として相対的に回転可能に支持され前記スライド部材を収容する円筒状部材と、前記円筒状部材の外周面から径方向外側に突出する複数の外歯と、前記円筒状部材の内周面から径方向内側に突出する複数の内歯とを有するギア部材と、を備え、前記回転軸の外周面、および前記ギア部材における前記円筒状部材の内周面の一方に溝部が形成され、前記回転軸の外周面、および前記ギア部材における前記円筒状部材の内周面の他方に前記溝部と嵌合可能な突起部が形成され、前記回転軸は、前記回転軸に形成された前記溝部または前記突起部から前記軸心方向へ離れた位置において、前記円筒状部材の内周面に嵌合する嵌合部を有し、前記溝部と前記突起部とが嵌合するとともに、前記嵌合部が前記円筒状部材の内周面に嵌合することにより、前記ギア部材が前記回転軸に支持され、前記溝部又は前記突起部と前記嵌合部とは、前記軸心方向において前記スライド部材を挟むように配置され、一方の前記爪部の先端と他方の前記爪部の先端との間の寸法が、前記複数の内歯の先端を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、前記爪部は、前記ギア部材が前記回転軸に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記ギア部材が前記回転軸に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、前記ギア部材が一側へ回転する際に前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記スライド部材がスライド方向にスライドして前記爪部が前記内歯から退避して前記ギア部材が前記回転軸とは独立して回転し、前記ギア部材が他側へ回転する際に前記内歯と前記係合面とが当接すると、前記内歯と前記係合面とが係合して前記ギア部材と前記回転軸とが一体的に回転する。
これにより、ギア部材を簡単な構造で回転軸により支持しつつ、回転軸の軸心に対するギア部材の振れを抑制することができる。
これにより、簡単な構成でスライド部材を支持することが可能となる。
これにより、ギア部材の突起部を回転軸の溝部に嵌合させる際に軸片部が撓むこととなり、嵌合作業を容易にすることが可能となる。
これにより、ギア部材の一側への回転に伴って、爪部が内歯から円滑に退避することが可能となる。また、ギア部材が回転軸に対して他側へ回転した際に、内歯と爪部との係合状態を保持し易くなる。
これにより、ギア部材が一側へ回転する際に、爪部の内歯からの退避をさらに円滑にすることが可能となる。また、ギア部材が回転軸に対して他側へ回転した際に、内歯と爪部とが確実に係合可能となる。
これにより、ギア部材の外歯の数を少なく構成することができる。従って、回転軸に回転力を伝達するギアを外歯に噛合させた際に、回転軸の回転数を高めてワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置において発生する回転軸に対する回転抵抗を大きくすることができ、ワンウェイクラッチに接続されたワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置の使い勝手を向上させることが可能となる。
図1~図4に示すワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置1(以降、単に「回転ダンパ装置1」という)は、本発明に係るワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置の一実施形態である。
回転ダンパ装置1は、例えば小型プリンタ等のOA機器の本体に回動可能に連結される開閉扉の開閉部に設けられ、開閉扉が開方向または閉方向の一方に回動する際に減衰力を発生するように用いられる。回転ダンパ装置1は、これに限らず、第1部材に回動可能に連結される第2部材の回動部に設けることができる。
回転ダンパ装置1においては、ロータ軸20と、スライド部材30と、ギア部材50とでワンウェイクラッチ2が構成されている。つまり、回転ダンパ装置1は、ロータ軸20に回転抵抗を付与する回転ダンパにワンウェイクラッチ2を接続することにより構成されている。ロータ軸20は、軸心を中心として回転可能な回転軸の一例である。
ハウジング本体10Aは有底の円筒形状に形成されており、底面11を有している。底面11の中心部には、軸心P方向に沿ってハウジング本体10A内に突出する円柱状の支持軸12が形成されている。ハウジング本体10Aの軸心P方向における底面11側とは反対側の端部には、開口部13が形成されている。
蓋体10Bはハウジング本体10Aの開口部13を閉塞している。蓋体10Bの中心部には、軸心P方向に貫通する円形状の貫通孔14が形成されている。
粘性流体60は、例えばシリコーンオイル等の粘性を有した流体にて構成されている。ロータ翼25に付与する回転抵抗の大きさは、粘性流体60の粘度やロータ翼25の形状を適宜変更することで、調整することが可能である。
ロータ軸20と蓋体10Bとの間には、O-リングなどのシール部材15が介装されており、ロータ軸20と蓋体10Bとの間から粘性流体60が漏出することを防いでいる。
ギア本体51は、ロータ軸20に軸心Pを中心として相対的に回転可能に支持される円筒状部材により形成されている。外歯ギア52は、ギア本体51の外周面から径方向外側に突出し、周方向に沿って配置される複数の外歯52aを有している。内歯53は、ギア本体51の内周面から径方向内側に突出しており、周方向に沿って複数設けられている。
突起部55はロータ軸20の溝部214と嵌合可能に構成されており、支持部51bに延出軸21を挿入して突起部55と溝部214とを嵌合させることによって、ギア部材50がロータ軸20に支持される。
ワンウェイクラッチ2では、ギア部材50の支持部51bにおける突起部55とロータ軸20の溝部214とが嵌合した状態において、ギア部材50の収容部51aにおけるハウジング10側端部とロータ軸20の嵌合部22とが嵌合している。
これにより、ギア部材50を簡単な構造でロータ軸20により支持しつつ、ロータ軸20に支持されたギア部材50の軸心Pに対する振れを抑制することが可能となっている。
スライド部材30は、スライド方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部31を有している。
爪部31は、スライド部材30のスライド方向と直交し、かつ側面30aと直交する方向において、側面30aよりも係合面31b側へ突出している。つまり、爪部31は、側面30aよりもギア部材50の一側への回転方向における下流側へ突出している。
また、ギア部材50における内歯53の第1面53aは、ギア部材50がロータ軸20に対して一側へ回転することによりスライド部材30の爪部31と当接し、ギア部材50がロータ軸20に対して他側へ回転することによりスライド部材30の爪部31と当接する。
このように構成される回転ダンパ装置1におけるワンウェイクラッチ2は、次のように動作する。
なお、以下のワンウェイクラッチ2の動作についての説明においては、スライド部材30の両端部に形成される爪部31のうち、一方の爪部31を爪部311と表し、他方の爪部31を爪部312と表す。また、ギア部材50の各内歯53を、ギア部材50を図7(a)に示す状態から一側へ回転させた際に爪部31と当接する順に内歯531、内歯532、内歯533、内歯534、と適宜表す。
図7(a)には、爪部311が円Cよりも径方向外側に位置しており、爪部312は円Cから径方向外側にはみ出していない状態を示している。図7(a)に示す状態では、内歯531は爪部311よりもギア部材50の一側への回転方向の上流側に位置している。
また、内歯531の第1面531aは、径方向外側へいくに従ってギア部材50の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成されているため、ギア部材50が一側へ回転する際に、爪部311の内歯531からの退避をさらに円滑にすることが可能となっている。
爪部311が円Cから外側にはみ出していない状態となるまでスライド部材30がスライドした後は、内歯531は爪部311と噛み合うことなく、爪部311よりもギア部材50の一側への回転方向の下流側に移動する。
スライド部材30が、爪部311が円Cから外側にはみ出していない状態となるスライド位置にあるときには、爪部312が円Cから外側にはみ出した状態となっている。
スライド部材30は、爪部312が円Cから外側にはみ出していない状態となるまでスライドし、その後内歯532は爪部312と噛み合うことなく、爪部312よりもギア部材50の一側への回転方向の下流側に移動する。
そして、ギア部材50がロータ軸20とは独立して回転し、ロータ軸62は回転しないため、ギア部材50は回転抵抗が付与されることなく回転する。
図9(a)には、爪部311が円Cよりも径方向外側に位置しており、爪部312は円Cから径方向外側にはみ出していない状態を示している。図9(a)に示す状態では、内歯531は爪部311よりもギア部材50の他側への回転方向の上流側に位置している。
図10に示すように、内歯531と爪部311とが係合した後にギア部材50が他側へ回転すると、スライド部材30はスライド方向にスライドすることなく、内歯531と爪部311との係合状態が維持され、ロータ軸20がギア部材50と一体的に回転する。ロータ軸20がギア部材50と一体的に回転すると、ロータ軸62が回転した際にロータ軸62に付与される粘性流体60による回転抵抗がギア部材50にも伝達される。
さらに、内歯531の第2面531bは、径方向外側へいくに従ってギア部材50の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成されているため、ギア部材50がロータ軸20に対して他側へ回転した際に、内歯531と爪部311とが確実に係合可能となっている。
特に、ギア部材50は、ロータ軸20の溝部214とギア部材50の突起部55とを嵌合させるとともに、ロータ軸20の嵌合部22とギア部材50の被嵌合部511とを嵌合させることによってロータ軸20に支持されているため、ギア部材50を支持するために別部材を要することがなく、部品点数を削減することができる。また、ギア部材50をロータ軸20の軸心P方向に離れた複数個所にて支持することで、ギア部材50をロータ軸20によって簡単な構造で支持しながら、ロータ軸20に支持されたギア部材50の振れを抑制することが可能である。
これは、ロータ軸20に突起部を形成するとともに、ギア部材50に前記突起部と嵌合する溝部を形成した場合も同様である。
スライド部材30は、スライド部材30のスライド方向と直交し、かつ側面30aと直交する方向において、爪部31が側面30aよりも係合面31b側へ突出するように構成されているが、スライド部材は、爪部がスライド部材の側面から突出しないように構成することもできる。
スライド部材130は、スライド方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部131を有している。
このように、スライド部材130においては、爪部131が一対の側面130aの範囲内に収まっているため、スライド部材130を延出軸21の挿通孔212に挿入する際に、爪部131が挿通孔212と干渉することがなく、スライド部材130の挿通孔212への挿入作業を容易にすることが可能となっている。
スライド部材30は、図13、図14に示すように、略円柱形状のスライド部材230に構成することもできる。この場合、スライド部材230が挿通される延出軸21の挿通孔212は、スライド部材230の形状に合わせた円筒形状に形成することができる。
退避面231aは、ギア部材50がロータ軸20に対して一側へ回転する際に、ギア部材50における内歯53の第1面53aに当接し、係合面231bは、ギア部材50がロータ軸20に対して他側へ回転する際に、ギア部材50における内歯53の第2面53bに当接する。
また、係合面231bを、ギア部材50の他側への回転方向と直交する面に形成することで、ギア部材50が他側へ回転した際に、内歯13と係合面231bとの係合状態を保持し易くなる。
2 ワンウェイクラッチ
10 ハウジング
10A ハウジング本体
20 ロータ軸
21 延出軸
21A 軸片部
22 嵌合部
25 ロータ翼
30、130、230 スライド部材
30a 側面
31、131、231 爪部
31a、131a、231a 退避面
31b、131b、231b 係合面
50 ギア部材
51 ギア本体
52 外歯ギア
52a 外歯
53 内歯
53a 第1面
53b 第2面
55 突起部
60 粘性流体
211 面取り部
212 挿通孔
213 スリット
214 溝部
511 被嵌合部
C (各内歯の先端を通る)円
L (一方の爪部の先端と他方の爪部の先端との間の)寸法
P 軸心
R (円の)径
Claims (6)
- 軸心を中心として回転可能な回転軸と、
前記回転軸に前記軸心方向と直交する径方向へスライド可能に支持されるとともに、前記軸心を中心として前記回転軸と一体的に回転可能であり、スライド方向の両端部に径方向外側へ突出する爪部を有するスライド部材と、
前記回転軸に前記軸心を中心として相対的に回転可能に支持され前記スライド部材を収容する円筒状部材と、前記円筒状部材の外周面から径方向外側に突出する複数の外歯と、前記円筒状部材の内周面から径方向内側に突出する複数の内歯とを有するギア部材と、
を備え、
前記回転軸の外周面、および前記ギア部材における前記円筒状部材の内周面の一方に溝部が形成され、
前記回転軸の外周面、および前記ギア部材における前記円筒状部材の内周面の他方に前記溝部と嵌合可能な突起部が形成され、
前記回転軸は、前記回転軸に形成された前記溝部または前記突起部から前記軸心方向へ離れた位置において、前記円筒状部材の内周面に嵌合する嵌合部を有し、
前記溝部と前記突起部とが嵌合するとともに、前記嵌合部が前記円筒状部材の内周面に嵌合することにより、前記ギア部材が前記回転軸に支持され、
前記溝部又は前記突起部と前記嵌合部とは、前記軸心方向において前記スライド部材を挟むように配置され、
一方の前記爪部の先端と他方の前記爪部の先端との間の寸法が、前記複数の内歯の先端を通り前記軸心を中心とする円の径よりも大きく形成され、
前記爪部は、前記ギア部材が前記回転軸に対して一側へ回転することにより前記内歯に当接する退避面と、前記ギア部材が前記回転軸に対して他側へ回転することにより前記内歯に当接する係合面とを有し、
前記ギア部材が一側へ回転する際に前記内歯と前記退避面とが当接すると、前記スライド部材がスライド方向にスライドして前記爪部が前記内歯から退避して前記ギア部材が前記回転軸とは独立して回転し、前記ギア部材が他側へ回転する際に前記内歯と前記係合面とが当接すると、前記内歯と前記係合面とが係合して前記ギア部材と前記回転軸とが一体的に回転する、
ことを特徴とするワンウェイクラッチ。 - 前記回転軸は、径方向に貫通し、前記スライド部材がスライド可能に挿通される挿通孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。 - 前記回転軸は、前記回転軸の先端部から前記軸心方向に沿って形成されるスリットにより周方向に分割された複数の軸片部を有し、
前記溝部は、前記軸片部の外周面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワンウェイクラッチ。 - 前記退避面は、径方向外側へいくに従って前記ギア部材の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成され、
前記係合面は、前記ギア部材の他側への回転方向と直交する面、または径方向外側へいくに従って前記ギア部材の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成される、
ことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載のワンウェイクラッチ。 - 前記内歯は、前記ギア部材が前記回転軸に対して一側へ回転することにより前記爪部と当接する第1面と、前記ギア部材が前記回転軸に対して他側へ回転することにより前記爪部と当接する第2面とを有し、
前記第1面は、径方向外側へいくに従って前記ギア部材の一側への回転方向における下流側に傾斜する傾斜面に形成され、
前記第2面は、径方向外側へいくに従って前記ギア部材の他側への回転方向における上流側に傾斜する傾斜面に形成される、
ことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載のワンウェイクラッチ。 - 請求項1~請求項5の何れか一項に記載された前記ワンウェイクラッチと、
前記ワンウェイクラッチの前記回転軸が挿入されるハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記軸心を中心として前記回転軸と一体的に回転可能なロータ翼と、
前記ハウジング内に封入され前記ロータ翼に回転抵抗を付与する粘性流体と、
を備える、
ことを特徴とするワンウェイクラッチ付き回転ダンパ装置。
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