JP2023049670A - クリームチーズ類 - Google Patents

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篤寛 武本
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耕平 浅田
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Abstract

【課題】安定剤等や特別な設備を使用することなく、保存期間中の離水発生が抑制され、フレッシュナチュラルチーズそのもののくち口どけの良い食感を有し、調理時の混合調理適性、焼成適性を具備したクリームチーズ類を提供することを課題とする。【解決手段】MP(MicroParticulated)ホエイを0.01重量%以上含むことを特徴とするクリームチーズ類により、前記課題を解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なクリームチーズ類に関する。本発明は、クリームチーズ類の製造方法及びクリームチーズ類における離水の防止方法にも関する。また、本発明は、クリームチーズ類を含む、ケーキ類に関する。
近年、国内のナチュラルチーズ及びプロセスチーズの生産量及び消費量は、直接消費用、原料用ともに増加傾向にある。中でも、非熟成チーズであるフレッシュチーズは、新鮮な乳の香りをそのままに、ほんのりとした甘さと爽やかな酸味を持つことを特徴とし、親しみやすく、消費は拡大傾向である。フレッシュチーズは脂肪含量及び水分含量が高いことを特徴とし、軟らかなテクスチャーである。そのため、パンやクラッカーにぬってそのまま食されるほか、製菓・製パン原料、加工食品原料、プロセスチーズ原料として、二次加工にも多く利用されている。
フレッシュチーズの代表的なものには、クリームチーズ、マスカルポーネ、モッツァレラチーズ、カッテージチーズ、クワルク等がある。一般的にフレッシュチーズは、原料乳又は濃縮乳を加熱殺菌した後、乳酸やクエン酸などの有機酸や乳酸菌、凝乳酵素を添加してカードを生成させることによって製造される。
フレッシュチーズのひとつであるクリームチーズは、良好な風味・組織を供えているが、非熟成チーズであるため保存中に組織が劣化しやすく、長期間保存することができない。組織劣化は水分値が高いことに起因し、酸度変化や乳成分の形態変化によりクリームチーズの組織構造が壊れ、離水や組織変化が発生する。クリームチーズの保存中の離水抑制を行う方法として、安定剤等を添加することが挙げられる。安定剤等の添加は、クリームチーズを調理に用いた場合、特にチーズケーキの原料として使用する際に、焼成時のケーキの焼き目を均一とし、焼成前後のケーキの変形(高さの低下)を解決することも可能である。しかし安定剤は、チーズ類に特有の粘りを生じさせる傾向があり、この安定剤に特有の粘りは、チーズ類の口腔内での不快な歯への付着や、口どけの悪さ、調理に用いた場合の他素材との混合作業(工程)における混ぜる負荷の増大の原因となる。
このように、クリームチーズ類において、保存中の離水抑制と、良好な口どけ、調理時の良好な混合適性、及び焼成適性のすべてを具備させることは困難であった。
特許文献1では、殺菌済み軟質ナチュラルチーズについて、風味や品質の劣化が防止され、離水がない事が記載されている。しかし、特許文献1では、製造に膜設備が必要であるうえに、口どけの良い食感や調理混合適性についての記載はない。特許文献2では、特定の安定剤配合による離水抑制と粘りの抑制について記載がある。しかし、特許文献2に記載の方法では粘りの抑制が十分でなく、口どけの良い食感の付与と調理混合適性の向上には至らない。また、特許文献3に記載の方法ではホエイタンパク質とカルシウム量を所定の範囲にさせることで、所望の粘度が付与され、かつ離水が抑制された発酵乳及びその製造方法について記載がある。しかし、特許文献3に記載の方法は、液状発酵乳に限られており、口どけの良い食感の付与と調理混合適性の向上についての記載はない。また、特許文献4に記載の方法では部分加熱変性ホエイタンパク質を含有させることによる振動等に安定でホエイオフの少ない発酵乳及びその製造方法について記載がある。しかし、特許文献4に記載の方法は、発酵乳に限られており、口どけの良い食感の付与と調理混合適性の向上についての記載はない。
特開2004-105048号公報 特開2009-100663号公報 特開2020-184923号公報 特開平09-094059号公報
本発明は、保存中の離水発生が抑制され、口どけの良い食感を有し、調理時の混合適性、焼成適性を有する新規なクリームチーズ類を提供することを課題とする。
なお、本発明において、「調理混合適性」とは、テクスチャーアナライザを用いた圧縮試験により求めた硬度が1000gw以下(10℃)であることをいう。硬度が1000gw以下であると、クリームチーズ類を他の原料と混合する際に要する力が小さく、均一な混合が可能である。
本発明において、「焼成適性」とは、対象となるクリームチーズ類を使用してケーキ、好ましくはベイクド・チーズケーキを焼成した際に、焼き目が均一であること、及び焼成直後と冷却後において、ケーキの高さが減少しない(変形しない)性質をいう。焼成適性を有するクリームチーズ類を用いたケーキでは、変形がないために組織が破壊されず、食感が良いものとなる。
本発明者らはクリームチーズ類の製造したカードにMP(icroarticulated)ホエイを混合することで、安定剤等や特別な設備を使用することなく、保存期間中の離水発生が抑制され、ナチュラルクリームチーズそのものの口どけの良い食感を有し、調理時の混合適性、焼成適性を有する事を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)MP(MicroParticulated)ホエイを0.01重量%以上含むことを特徴とするクリームチーズ類。
(2)離水率が13%以下であることを特徴とする、(1)記載のクリームチーズ類。
(3)10℃での硬度が1000gw以下である、(1)又は(2)記載のクリームチーズ類。
(4)ケーキ類の製造に用いるための、(1)~(3)のいずれかに記載のクリームチーズ類。
(5)前記MPホエイの体積平均メジアン径が、0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする、(1)~(4)のいずれかに記載のクリームチーズ類。
(6)前記MPホエイが、ホエイ素材を原料とする(1)~(5)のいずれかに記載のクリームチーズ類。
(7)原料乳又は濃縮乳を標準化し、殺菌処理する殺菌処理工程と、
乳酸菌、レンネット、及び/又は有機酸を添加することによりタンパク質を凝固させてカードを得るカード生成工程と
前記カードにMPホエイ及びクリームを添加する添加工程と
を含むことを特徴とするクリームチーズ類の製造方法。
(8)MP(MicroParticulated)ホエイをクリームチーズ類に添加することを特徴とする、クリームチーズ類における離水の防止方法。
(9)(1)~(6)のいずれかに記載のクリームチーズ類を含む、ケーキ類。
本発明のクリームチーズ類は、安定剤等や特別な設備を使用することなく、保存期間中の離水発生が抑制され、フレッシュナチュラルチーズそのものの口どけの良い食感を有し、調理時の混合適性、焼成適性を具備したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書においては、発明の態様(aspect)に分けて説明をしているが、それぞれの態様に記載の事項、語句の定義、及び実施形態は、他の態様においても適用可能である。また、%は、特に説明のない限り重量%を示す。
(クリームチーズ類)
本発明において、「クリームチーズ類」とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、及び公正競争規約で定める、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフード、又は乳等を主要原料とする食品の規格のうちいずれかに該当するものであって、かつ一般にクリームチーズあるいはクリームチーズ様食品とされるものをすべて包含するものとする。
本発明のクリームチーズ類は、MP(MicroParticulated)ホエイを0.01重量%以上含む。本明細書において、MPホエイとは、ホエイタンパク質溶液を加熱及びせん断処理することにより、微粒子化したホエイタンパク質を意味する。また、本明細書において、マイクロパーティクルホエイとは、体積基準のメジアン径(d50)が、0.1μm~100μmのホエイタンパク質の凝集物である。
本発明で使用されるマイクロパーティクルホエイは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したときに、体積基準のメジアン径(d50)が、0.1μm~100μmが好ましく、0.1μm~50μmがより好ましく、0.1μm~10μmであることがさらに好ましく、0.4~10μmであることが最も好ましい。
MPホエイは、自ら調製してもよく、市販のものを購入して使用してもよい。
MPホエイを自ら調製する場合、ホエイ素材を使用することが好ましい。「ホエイ素材」とは、乳タンパク質のうちホエイタンパク質を豊富に含む素材(例えば、素材に含まれる乳タンパク質のうちホエイタンパク質が50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上)を意味する。ホエイ素材としては、ホエイタンパク質濃縮物(WPC:Whey Protein Concentrate)、分離ホエイタンパク質(WPI:Whey Protein Isolate)、チーズホエイなどが挙げられる。ホエイタンパク質濃縮物及び分離ホエイタンパク質などのホエイ素材粉末を用いることが好ましい。本明細書において、「ホエイ素材粉末」とは、乳原料粉末のうち、カゼインタンパク質を除去するための処理をし、乳タンパク質中のホエイタンパク質の割合を上昇させた粉末を意味する。ホエイ素材及びホエイ素材粉末は、自ら調製したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
本発明のクリームチーズ類は、MPホエイを0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%(又は0.1以上5重量%未満)、さらに好ましくは0.1~3重量%、最も好ましくは0.1~3重量%含む。特に、MPホエイの含有量を0.1~5重量%(又は0.1以上5重量%未満)とすることで、チーズの硬度を良好に保つことができる。
本発明のクリームチーズ類は、離水率が13%以下であることが好ましい。本明細書において、離水率とは、以下の測定方法により測定した離水率である。
10℃で保存した製造1週間後のクリームチーズ類を、遠沈管に30g計量し、遠心分離機を用いて、10℃、28,977gの条件で、20分間遠心し、分離した水分重量を測定する。公知の方法、例えば乾熱乾燥法あるいは自動水分測定機で測定したクリームチーズ類の水分値当たりの離水量を離水率(%)とする。
本発明のクリームチーズ類において、離水率は、好ましくは11%以下、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下である。
本発明のクリームチーズ類は、10℃での硬度が1000gw以下であることが好ましい。なお、本発明における調理混合適性の評価として測定した「硬度」とは、ピアノ線で10mm角に切り出した、10℃で保存した製造1週間後のクリームチーズ類を10℃に調整し、アダプター(75mm平板円プレート)で0.5mm/sで80%圧縮したときの圧縮荷重を意味するものとする。
本発明のクリームチーズ類において、10℃での硬度は、好ましくは900gw以下、より好ましくは800gw以下、さらに好ましくは700gw以下である。
本発明のクリームチーズ類において用いられるMPホエイにおける「変性度」とは、MPホエイ溶液を遠心分離した場合に、上清中に残存しているタンパク質濃度の全タンパク質における割合を意味する。MPホエイは不溶性であり、遠心分離により沈殿する。
本明細書における「変性度」は以下の手順で測定されたものである。
タンパク質濃度1~20%を含むMPホエイ溶液を15,000gで遠心分離し、MPホエイを沈殿させる。上清中に残存しているタンパク質濃度を分光光度計で測定し、(全タンパク質-上清タンパク質濃度)/全タンパク質×100で、変性度を算出する。
本発明のクリームチーズ類において用いられるMPホエイにおける変性度は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
本発明のクリームチーズ類には、本発明の効果が損なわれない限り、公知の食品原料又は食品添加物を添加することができる。食品原料又は食品添加物としては、例えば、糖類、食塩、香料などを添加することができる。
本発明のクリームチーズ類で用いるカルシウム素材は、本発明の効果が損なわれない限り、食品であればどのようなものでも用いることができる。塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム等を例示できるが、このうち塩化カルシウムが好ましい。
本発明において、保存中の離水抑制、口どけの良さ、調理混合適性、焼成適性以外に、なめらかさ等、求められる食感や風味がある場合、それらの付与に効果的な安定剤やフレーバー・果実等を添加することも可能である。ただし、過度に安定剤を添加すると口どけ及び調理混合適性が悪化するため、安定剤の添加量はこれらを維持できる範囲に適宜調整するものとする。
また、本発明のクリームチーズ類においては、一般的なクリームチーズ類の範囲であれば特に水分値の制限はなく、好ましくは78%以下、より好ましくは45~60%である。また、本発明においては一般的なクリームチーズ類の範囲であれば特に固形分中脂肪率の制限はなく、好ましくは25%以上、より好ましくは60~75%である。また本発明においては一般的なクリームチーズ類の範囲であれば特にpH値の制限はない。
(クリームチーズ類の製造方法)
以下に本発明のクリームチーズ類の製造方法の一実施形態を説明する。なお、本発明のクリームチーズ類の製造方法の範囲は、以下の説明に限定されるものではない。
本発明のクリームチーズ類においては、原料乳として、生乳や全乳、あるいは調製乳などが挙げられ、これらを加熱濃縮、遠心濃縮、ろ過膜濃縮、真空濃縮等によって濃縮した濃縮乳も使用可能である。また、原料乳、濃縮乳に必要に応じて生クリームや脱脂乳等を加えてもよい。これらの原料乳又は濃縮乳を加熱殺菌工程として、例えば、約60℃で30分又は約75℃で15秒加熱殺菌する。加熱殺菌工程後は、プレート式熱交換器で冷却し、均質処理工程として5MPa~25MPa、好ましくは15MPa~20MPaの均質圧で均質処理する。
均質処理工程後、凝乳酵素及び/又は有機酸及び/又は乳酸菌を添加し、反応させてカードを生成させるカード生成工程に移行する。なお、カード生成工程で使用可能な凝乳酵素や、有機酸、乳酸菌としては通常のチーズ製造に用いられているものであれば、特に制限無く使用することができる。
カード生成工程の後、必要に応じて加熱殺菌を行なった後、ホエイを排除し、カードを得る。得られたカードに対し、必要に応じ、脂肪球分散処理工程を行なっても良い。脂肪球分散処理工程では、均質機や、インラインホモミキサー、ブレンダー、ミキサー等によってカード中の脂肪球を均等に分散させる。例えば、均質機を用いる場合には、5MPa~25MPaの均質圧で均質処理を行えばよく、インラインホモミキサーや、ブレンダー、ミキサーを用いる場合も、カード中の脂肪球を均等に分散させることができるような条件を適宜設定すればよい。このようにしてカードに脂肪球分散処理を行なうことにより、フレッシュチーズに滑らかな食感とある程度の硬度を付与することができる。
なお、本発明では、カードに対し、MP(icroarticulated)ホエイ及びクリームを添加する添加工程を必要とする。添加工程は、脂肪球分散処理工程の前後どちらで行っても良い。MPホエイは液状、粉状いずれでもよく、形状に制限はない。また、MPホエイをクリームに添加してからカードに添加してもよい。この場合、MPホエイを添加したクリームを均質処理することによって、MPホエイがよく分散されることになる。カードへの添加工程は、タンク内での混合、配管内でのインラインドージング、配管中でのMPホエイ粉の粉添加など一般的な方法であればよく、添加方法に制限はない。
添加するMPホエイは、10~20重量%のWPIの還元溶液にカルシウムを終濃度で0.05重量%以上となるように塩化カルシウム等を添加し、加熱とせん断処理し得られるものが好ましい。WPI溶液中のホエイタンパク質の60重量%以上がMPホエイとなるよう加熱とせん断を行うことが好ましい。
MPホエイはチーズホエイ等から調製したものを用いてもよい。チーズホエイを使用したMPホエイの調製の一態様を次に記載するが、これに限られるものではない。
チーズホエイ溶液からクラリファイア等でカゼインの微粒子を除去した後、MF膜等にて脱脂処理後、70℃程度で殺菌し冷却する。これをUF膜で20倍濃縮し、濃縮したホエイとUF膜透過液を用いて、10重量%タンパク質含量程度の濃縮ホエイを調製する。カルシウムの濃度が0.05重量%未満であれば0.05重量%以上となるようにカルシウムを添加する。これを加熱処理とせん断処理に供し、体積基準のメジアン径が0.1~100μmとなるようなMPホエイを得る。上記のチーズホエイにかえて市販素材のWPIやWPC80等を10~20重量%となるように還元しカルシウム濃度を0.05重量%以上となるように調整した溶液を原材料として加熱とせん断処理を行い、MPホエイを調製してもよい。
MPホエイ調製における加熱及びせん断処理方法は乳製品製造で用いることができる設備、方法であれば特に制限はない。また必要に応じて、せん断処理後に均質機やキャビテーターに供し、粒子径を調整してもよい。
このようにして得られたクリームチーズ類は、保存中の離水発生が抑制され、口どけの良い食感と調理混合適性、焼成適性を有している。
(用途)
本発明のクリームチーズ類は、そのまま食することもでき、任意のデザート及び料理に使用することもできるが、チーズを含むケーキ類、パン類の製造に好適に用いることができる。本明細書において、「ケーキ類」とは、チーズを含む固形のデザートを意味し、チーズケーキ(ベイクド・チーズケーキ)、レア・チーズケーキ、チーズスフレ、チーズタルトなどが含まれる。ケーキ類は、その製造工程において焼成工程を有するものが好ましく、チーズタルト又はベイクド・チーズケーキであることがより好ましい。ケーキ類は、工場において大規模生産されるものであってもよく、店舗において、1つずつ生産されるものであってもよい。パン類としては、穀粉に水又はその他の原料を加えて捏ねた生地を成形し、焼成したものを言い、例えば、食パン(ホワイトブレッド、バラエティーブレッド、テーブルロール等)、硬焼きパン(ハードブレッド、ハードロール、ピザ等)、菓子パン(あんパン、揚げパン、蒸しパン等)を挙げることができる。
以下に本発明の実施例を示して詳細に説明すると共に、比較例を示し、本発明の効果をより明瞭にする。ただし、実施例は本発明の実施形態の1つであり、本発明は実施例に限定されるものではない。
生乳を標準化し全固形率を約18%に調整した原料乳を、殺菌し、均質処理した。その後30℃まで冷却してから、スターター約1%及びレンネットを添加し撹拌してから、30℃で17時間反応させた後、セパレーターにてホエイを排除し、カードを得た。その後、圧力10MPaで均質処理した。
一方、MPホエイの調製は、WPIを10重量%タンパク質濃度となるように水に還元させ、終濃度で0.035重量%のカルシウムとなるように1Mの塩化カルシウムを添加した。WPI溶液を90℃までの加熱とせん断処理し、MPホエイ溶液を得た。MPホエイの体積基準のメジアン径は0.43μm、変性度は65%であった。変性度は、MPホエイ溶液を15,000gで遠心分離し、不溶性であるMPホエイを沈殿させ、上清中に残存しているタンパク質濃度を分光光度計で測定し、(全タンパク質-上清タンパク質濃度)/全タンパク質×100で算出した。
40%の脂肪率のクリームに対し、MPホエイ液をクリーム:MPホエイ=100:30となるように添加し、10MPaの均質圧で均質処理をした後、殺菌プレートを用いて90℃の加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(実施例品1)を得た。
生乳を標準化し全固形率を約18%に調整した原料乳を、殺菌し、均質処理した。その後30℃まで冷却してから、スターター約1%及びレンネットを添加し撹拌してから、30℃で17時間反応させた後、セパレーターにてホエイを排除し、カードを得た。
一方、MPホエイの調製は、WPIを10重量%タンパク質濃度となるように水に還元させ、終濃度で0.211重量%のカルシウムとなるように1Mの塩化カルシウムを添加した。WPI溶液を90℃までの加熱とせん断処理し、MPホエイ溶液を得た。MPホエイの体積基準のメジアン径は8.50μm、変性度は98.9%であった。
40%の脂肪率のクリームに対し、MPホエイ液をクリーム:MPホエイ=100:30となるように添加した後、90℃の2重管内で83℃まで昇温して加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、10MPaの均質圧で均質処理をし、クリームチーズ類(実施例品2)を得た。
実施例品1と同様の方法で、カードを得た。
一方、MPホエイの調製は、ゴーダチーズ調製時に排出したホエイをクラリファイアでカゼインの微粒子を除去した後、MF膜にて脱脂処理後、70℃程度で殺菌し冷却した。これをUF膜で20倍濃縮し、濃縮したホエイとUF膜透過液を用いて、10重量%タンパク質含量の濃縮ホエイを調製した。これを85℃までの加熱処理とせん断処理に供し、体積基準のメジアン径が3.5μmとなるようなMPホエイを得た。
40%の脂肪率のクリームに対し、MPホエイ液をクリーム:MPホエイ=100:30となるように添加し、10MPaの均質圧で均質処理をした後、ジュール式加熱装置を用いて90℃の加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(実施例品3)を得た。
実施例品1と同様の方法で、カードを得た。
一方、MPホエイの調製は、ゴーダチーズ調製時に排出したホエイをクラリファイアでカゼインの微粒子を除去した後、MF膜にて脱脂処理後、70℃程度で殺菌し冷却した。これをUF膜で20倍濃縮し、濃縮したホエイとUF膜透過液を用いて、10重量%タンパク質含量の濃縮ホエイを調製した。これを90℃までの加熱処理とせん断を処理し、体積基準のメジアン径が3.5μmとなるようなMPホエイを得た。
40%の脂肪率のクリームに対し、MPホエイ液をクリーム:MPホエイ=100:30となるように添加し、10MPaの均質圧で均質処理をした後、ジュール式加熱装置を用いて90℃の加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(実施例品4)を得た。
実施例品1と同様の方法で、カードを得た。
一方、MPホエイの調製は、実施例品2と同様にして調製した。
セパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(実施例品5)を得た。
[比較例1]
実施例品1と同様にしてカードを調製した。MPホエイを添加せず、カードをクリームチーズ類(比較例品1)として得た。
[比較例2]
実施例品1と同様にしてカードを調製した。
ローカストビーンガムを2重量%濃度となるように水に分散させ、安定剤溶液を得た。
安定剤液に対し、タンク内で、85℃まで加熱殺菌し、約15℃まで冷却し、セパレーターでホエイオフしたカードに対し、3%量混合し、クリームチーズ類(比較例品2)を得た。
[比較例3]
実施例品1と同様にしてカードを調製した。
40%の脂肪率のクリームに対し、10MPaの均質圧で均質処理をした後、プレート式加熱装置を用いて90℃の加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(比較例品3)を得た。
[比較例4]
実施例品1と同様の方法で、カードを得た。
ローカストビーンガムを2重量%濃度となるように水に分散させ、安定剤溶液を得た。
40%の脂肪率のクリームに対し、安定剤溶液をクリーム:安定剤溶液=100:30となるように添加し、10MPaの均質圧で均質処理をした後、プレート式殺菌機を用いて、90℃まで昇温して加熱殺菌し、約15℃まで冷却したものを使用した。このクリームをセパレーターでホエイオフしたカードに対し、10%量混合し、クリームチーズ類(比較例品4)を得た。
[試験例1]
得られたクリームチーズ類について、以下に示す方法で、(1)離水率の評価、(2)硬度の測定、(3)チーズの口どけ(食感)の官能評価、(4)調理混合適性の官能評価、(5)焼成適性の官能評価、を実施した。
(1)離水率の測定
離水量は、各実施例で得られたクリームチーズ類を、遠沈管に30g計量し、遠心分離機を用いて、10℃、28,977gの条件で、20分間遠心し、分離した水分重量を測定し、公知の方法で測定したクリームチーズ類の水分値当たりの離水量を離水率(%)とした。離水率が13%以下を良好とした。
(2)硬度の測定試験
各実施例で得られたクリームチーズ類を、ピアノ線でカットして10mm角に調整し、10℃に温度調整したものを、テクスチャーアナライザを用いて、サンプルの上面からアダプター(75mm平板プレート)を0.5mm/sの速度で降下させ、80%(8mm)圧縮した際の圧縮荷重を測定した。試験を始めてから80%圧縮した時点での荷重を硬度とした。
口どけが良く、調理混合適性を付与するため、硬度が1000gw以下を良好とした。
(3)チーズの口どけ(食感)の官能評価
官能評価により、クリームチーズ類の「口どけの良さ」を評価した。評価は訓練をつんだ専門パネラー20人によって、絶対評価3点法(-3:悪い、0:普通、+3:良い)で行ない、平均点が-3以上-1点未満を×、-1以上+1点未満を△、+1点以上+3点以下を○とし、平均点が-1点以上でチーズの食感が良好とした。
(4)調理混合適性の官能評価
各実施例で得られたクリームチーズ類325gを20℃に温め、グラニュー糖45g、全卵55g、生クリーム100gを添加して、泡だて器で100回撹拌し、その後ふるった薄力粉25gを添加しさらに100回撹拌する作業を行い、官能評価により、調理混合適性を評価した。官能評価は、他原料とすばやく均一に分散し、また混ぜる負荷が小さいものを高い評価とした。評価は訓練をつんだ専門パネラー20人によって、絶対評価3点法(-3:悪い、0:普通、+3:良い)で行ない、平均点が-3以上-1点未満を×、-1以上+1点未満を△、+1点以上+3点以下を○とし、平均点が-1点以上で調理混合適性を有するとした。
(5)焼成適性の官能評価
(4)と同様の手法で調整したチーズケーキミックスをオーブンで上下165℃、55分間、湯煎焼きし、放冷後、10℃インキュベーターで翌日まで冷却して得たチーズケーキについて、官能評価により、ケーキの焼き目の均一さ、形状の沈み(変形)を評価した。官能評価は、ケーキの焦げ目が均一であり、変形がないものを高い評価とした。評価は訓練をつんだ専門パネラー20人によって、絶対評価3点法(-3:悪い、0:普通、+3:良い)で行ない、平均点が-3以上-1点未満を×、-1以上+1点未満を△、+1点以上+3点以下を○とし、平均点が-1点以上で焼成適性を有するとした。
以上の結果を表1及び2に示す。
Figure 2023049670000001
Figure 2023049670000002
上記表1より、MPホエイ液を配合した実施例品1~5では、MPホエイ液の由来原料やカードへの混合方法によらず、MPホエイをクリームチーズ類の最終濃度0.135%以上配合することで、保存1週間後の離水率は12.87%以下(〇)に抑制できることが示された。なお、保存3か月後の離水発生量は保存1週間後と比較して差がなかった。また、MPホエイを配合することで、実施例品1~5では、クリームチーズ類の硬度が620gw~953gw(〇)であり、官能評価の結果、チーズの口どけの良さは良好(〇)であり、調理混合適性は良好(〇)、ケーキの焼成適性は良好(〇)であることが示された。実施例品1~5については、いずれのサンプルも保存中の離水が抑制され、口どけのよい食感及び調理混合適性、焼成適性を有していた。
表2の比較例品1~4の評価結果より、MPホエイを配合しない比較例品1では、保存1週間後の離水率は13.13%(×)、硬度は659gw(〇)であった。また口どけの良さは良好(〇)であり、調理混合適性は良好(〇)であったものの、ケーキの焼成適性は、焼き目のムラや、冷却後のケーキが沈む変形が認められたことから好ましくない(×)と評価された。
カードに安定剤を配合した比較例品2は、保存1週間後の離水率は7.19%(〇)、焼成適性は良好(〇)であったものの、硬度が1205gwと高値であり(×)、口どけの良さが好ましくなく(×)、調理混合適性が好ましくない(×)と評価された。
カードにクリームのみを配合した比較例品3は、保存1週間後の離水率は13.28%(×)、硬度は639gw(〇)であった。また口どけの良さは良好(〇)であり、調理混合適性は良好(〇)であったものの、ケーキの焼成適性は、焼き目のムラや、冷却後のケーキが沈む変形が認められたことから好ましくない(×)と評価された。
カードにクリームと混合した安定剤を配合した比較例品4は、保存1週間後の離水率は7.50%(〇)、焼成適性は良好(〇)であったものの、硬度が1014gwと高値であり(×)、口どけの良さが好ましくなく(×)、調理混合適性が好ましくない(×)と評価された。
本発明によれば、安定剤等や特別な設備を使用することなく、保存期間中の離水発生が抑制され、フレッシュナチュラルチーズそのもののくち口どけの良い食感を有し、調理時の混合調理適性、焼成適性を具備したクリームチーズ類を提供することができる。

Claims (9)

  1. MP(MicroParticulated)ホエイを0.01重量%以上含むことを特徴とするクリームチーズ類。
  2. 離水率が13%以下であることを特徴とする、請求項1記載のクリームチーズ類。
  3. 10℃での硬度が1000gw以下である、請求項1又は2記載のクリームチーズ類。
  4. ケーキ類の製造に用いるための、請求項1~3のいずれかに記載のクリームチーズ類。
  5. 前記MPホエイの体積平均メジアン径が、0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のクリームチーズ類。
  6. 前記MPホエイが、ホエイ素材を原料とする請求項1~5のいずれかに記載のクリームチーズ類。
  7. 原料乳又は濃縮乳を標準化し、殺菌処理する殺菌処理工程と、
    乳酸菌、レンネット、及び/又は有機酸を添加することによりタンパク質を凝固させてカードを得るカード生成工程と
    前記カードにMPホエイ及びクリームを添加する添加工程と
    を含むことを特徴とするクリームチーズ類の製造方法。
  8. MP(MicroParticulated)ホエイをクリームチーズ類に添加することを特徴とする、クリームチーズ類における離水の防止方法。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載のクリームチーズ類を含む、ケーキ類。
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