JP2023049663A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023049663000001
【課題】先行ページと後続ページの目標温度に応じて、目標温度を切り替えるタイミングを制御する。
【解決手段】定着ニップ部で記録材を加熱してトナー像を定着させる定着部と、記録材ごとに決定された目標温度を切り替える制御部を備え、制御部は、第1の記録材の目標温度が第1の温度、第1の記録材に続く第2の記録材の目標温度が第1の温度よりも高い第2の温度、第2の温度と第1の温度の差分が第1の値である場合、第2の記録材の定着ニップ部への到達より第1の期間前から切り替えを行い、第3の記録材の目標温度が第1の温度より高い第3の温度、第3の記録材に続く第4の記録材の目標温度が第3の温度より高い第4の温度、第4の温度と第3の温度の差分が第1の値である場合、第4の記録材の定着ニップ部への到達より第2の期間前から切り替え行い、第2の期間は第1の期間よりも短い画像形成装置を用いる。
【選択図】図10

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
レーザプリンタやデジタル複写機などの、電子写真方式を用いた画像形成装置が用いられている。かかる画像形成装置において、トナー像を記録材に加熱定着させるときに、画像データから求めた画像上のトナー量に応じて、ページ毎に適切な目標温度を設定することで消費電力を低減することができる。
特許文献1には、連続プリントにおいて目標温度が先行ページよりも後続ページのほうが大きい場合に、省エネルギーとプリント生産性の維持を両立する技術が開示されている。特許文献1では、先行ページ内で目標温度を上昇させた際に光沢ムラが生じ得るか否かの情報を用いて、光沢ムラが生じない場合には先行ページ内で目標温度を上昇させるとともに紙間で目標温度を上昇させ、後続ページ開始時に所望の目標温度に到達させている。
特許第5900474号公報
特許文献1に記載の画像形成装置では、光沢ムラが生じない場合には先行ページ内で目標温度を上昇させているが、目標温度を上昇させるタイミングによっては、電力を投入してしまう可能性があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、先行ページと後続ページの目標温度に応じて、目標温度を切り替えるタイミングを制御することを目的とする。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
画像データに基づくトナー像が形成されて搬送される記録材を定着ニップ部において加熱し、前記トナー像を記録材に定着させる定着部と、
前記定着部が前記トナー像を加熱するときの目標温度を前記画像データに基づいて記録材ごとに決定し、前記目標温度の切り替えタイミングを制御する制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、第1の記録材の目標温度が第1の温度であり、前記第1の記録材に続いて定着される第2の記録材の目標温度が前記第1の温度よりも高い第2の温度であり、前記第2の温度と前記第1の温度の差分が第1の値である場合、前記第2の記録材が前記定着ニップ部に到達するより第1の期間前のタイミングから前記第2の温度への切り替えを開始し、
第3の記録材の目標温度が前記第1の温度より高い第3の温度であり、前記第3の記録材に続いて定着される第4の記録材の目標温度が前記第3の温度より高い第4の温度であり、前記第4の温度と前記第3の温度の差分が前記第1の値である場合、前記第4の記録材が前記定着ニップ部に到達するより第2の期間前のタイミングから前記第4の温度への切り替えを開始し、
前記第2の期間は前記第1の期間よりも短いことを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、先行ページと後続ページの目標温度に応じて、目標温度を切り替えるタイミングを制御することができる。
実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図 実施例に係る画像形成装置の制御に関する機能ブロック図 実施例に係る加熱定着装置の構成を示す断面図 従来の目標温度の制御シーケンスを説明する図 実施例の画像データの分割について説明する図 実施例の縦帯状印字の幅と目標温度の補正量の関係を示す図 実施例の縦帯状印字の長さと目標温度の補正量の関係を示す図 実施例に係る評価用の画像を示す図 従来の低印字から高印字画像をプリントする制御の説明図 実施例に係る低印字から高印字画像をプリントする制御の説明図 従来の中印字から高印字画像をプリントする制御の説明図 実施例に係る中印字から高印字画像をプリントする制御の説明図 実施例に係る処理を説明するためのフロー図
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
[実施例1]
<画像形成装置>
図1に本実施例の画像形成装置100の概略断面図を示す。ここでは画像形成装置100の一例としてレーザプリンタを挙げる。本発明は、LEDプリンタ等のレーザプリンタ以外のプリンタや、デジタル複写機等、電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置に適用できる。
画像形成装置100は、概略、画像形成部50とプリンタ制御装置304を備える。画像形成部50は、感光ドラム1、帯電ローラ2、レーザスキャナ3、現像装置4、転写ローラ5、定着部としての加熱定着装置6および、クリーニング装置7を備える。画像形成部50は、制御部としてのプリンタ制御装置304の制御に従い、画像データに応じたトナー像を記録材Pに形成する。画像形成装置は他に、給紙トレイ101、給紙ローラ102、搬送ローラ103、トップセンサ104、排紙センサ105、排紙ローラ106、排紙トレイ107等を備える。
感光ドラム1は、ドラム型の電子写真感光体であり、OPC(有機光半導体)、アモルファスシリコン等の感光材料を、アルミニウム合金やニッケルなどで形成されたシリンダ状のドラム基体上に設けて構成される。感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を、所定の極性・電位に均一に帯電する。そしてレーザスキャナ3が、帯電後の感光ドラム1にレーザビームEを照射することで、感光ドラム表面に静電潜像が形成される。このときレーザスキャナ3は、画像データに応じてON/OFF制御された走査露光を感光ドラム1の長手方向に行い、露光部分の電荷を除去している。
現像装置4は、形成された静電潜像を現像して可視化する。現像方法としては、本実施例のジャンピング現像法のほか、2成分現像法、接触現像法などが用いられる。あるいは、イメージ露光と反転現像の組み合わせでもよい。現像装置4の現像ローラ41が感光ドラム1上の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成する。
感光ドラム1上のトナー像は、記録材Pの表面に転写される。記録材Pは、給紙トレイ101に収納された状態から、給紙ローラ102によって1枚ずつ給紙され、搬送ローラ103等を介して、感光ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部Ntに供給される。
記録材Pの先端は、トップセンサ104によって検知される。プリンタ制御装置304は、トップセンサ104の位置と転写ニップ部Ntとの位置、及び記録材Pの搬送速度から、記録材Pの先端が転写ニップ部Ntに到達するタイミングを取得する。そして、転写ローラ5が、所定タイミングで給紙、搬送されてきた記録材P上に転写バイアスを印加することで、感光ドラム1上のトナー像が転写される。
トナー像が転写された記録材Pは、加熱定着装置6へ搬送される。加熱定着装置6は、フィルムユニット10と加圧ローラ20との間の定着ニップ部Nfにて記録材Pを挟持搬送しつつ、加熱・加圧を行う。これにより、記録材Pの表面にトナー像が定着する。その後、記録材Pは、排紙ローラ106により画像形成装置100上面に形成されている排紙トレイ107上に排出される。なお、排紙センサ105が、記録材Pの先端及び後端が通過するタイミングを検知することにより、ジャム等の発生の有無がモニターされる。
一方、クリーニング装置7は、トナー像が転写された後の感光ドラム1の表面の転写残トナー(記録材Pに転写されずに残ったトナー)を、クリーニングブレード71によって除去する。除去された転写残トナーは次回の画像形成に用いられる。
画像形成装置100は、以上の動作を繰り返すことで、連続的に画像形成を行う。本実施例の画像形成装置100は、解像度600dpiの画像を、35枚/分(LTR縦送り:プロセススピード約200mm/s、紙間66mm)で形成可能であり、寿命10万枚の装置である。
<プリンタ制御装置>
図2(a)を用いて画像形成装置100が備えるプリンタ制御装置304について説明する。図2(a)に示すように、プリンタ制御装置304とホストコンピュータ300がプリンタシステム(画像形成システム)を構成する。
ホストコンピュータ300は、ユーザからの指示内容や形成されるべき画像の元となる画像データを有する情報処理装置である。プリンタ制御装置304は、ホストコンピュータ300と通信を行って受信した情報を用いて画像形成装置100を制御する。ホストコンピュータ300は、例えば、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワーク上のサーバーやパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンやタブレット端末等の携帯情報端末であってもよい。プリンタ制御装置304は、大別してコントローラ301とエンジン制御部302に分かれている。
コントローラ301は、画像処理部303及びコントローラインターフェイス305を有する。コントローラインターフェイス305は、プリンタ制御装置304内外の通信を行う。画像処理部303は、コントローラインターフェイス305を介してホストコンピュータ300から受信した画像データを処理する。画像データ処理としては、文字コード
のビットマップ化や、グレイスケール画像のハーフトーニング処理等がある。
またコントローラ301は、コントローラインターフェイス305を介してエンジン制御部302のビデオインターフェイス310へ画像データを送信する。本実施例の画像データには、画像処理部303が算出した、加熱ヒータ11の温度を維持するための目標温度についての情報も含まれる。目標温度の算出方法については後で詳述する。
エンジン制御部302は、ビデオインターフェイス310、CPU(Central Processing Unit)311、ROM(Read Only Memory)312、RAM(Random Access Memory
)313、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回
路)314を含む。コントローラ301は、レーザスキャナ3の点灯タイミングの情報をASIC314に送信し、プリントモード及び画像サイズ情報をCPU311に送信する。コントローラ301は、レーザスキャナ3の点灯タイミングの情報をCPU311に送信する。
CPU311は、プログラムやユーザ指示等に従い、ROM312やRAM313を用いて、エンジン制御部302の各種制御を行う。CPU311は単一のプロセッサでもよく、マルチプロセッサ構成であってもよい。コントローラ301は、ユーザによるホストコンピュータ300を用いた指示に応じて、プリント命令、キャンセル指示などをエンジン制御部302に送信し、印字動作の開始や中止などの動作を制御する。
図2(b)は、本実施例のエンジン制御部302を、機能ブロックの観点から図示したものである。エンジン制御部302は、機能ブロックとして定着制御部320、給紙搬送制御部330及び画像形成制御部340を有する。CPU311は、必要に応じて、RAM313に情報を保存する、ROM312もしくはRAM313に保存されたプログラムを使用する、ROM312もしくはRAM313に保存された情報を参照するなどの処理を行う。CPU311によるこのような処理により、エンジン制御部302が図2(b)に示す各部として機能する。機能ブロックは、エンジン制御部302が実行するプログラムモジュールだと考えてもよい。
定着制御部320は、加熱定着装置6の温度を制御する。給紙搬送制御部330は、給紙ローラ102の動作間隔を制御する。画像形成制御部340は、プロセススピード制御、現像制御、帯電制御及び転写制御等を行う。画像形成装置100が行う処理(例えば、エンジン制御部302や画像処理部303が行う処理)の一部または全部を、ホストコンピュータ300や、ネットワーク上のサーバー(不図示)のような処理装置が行ってもよい。また、エンジン制御部302が行う処理の一部又は全部を画像処理部303が行ってもよいし、画像処理部303が行う処理の一部又は全部をエンジン制御部302が行ってもよい。
<加熱定着装置>
図3を用いて加熱定着装置6について説明する。本実施例の加熱定着装置6はフィルム加熱方式であり、加熱装置としてのフィルムユニット10と、加圧ローラ20で構成される。フィルムユニット10は、伝熱部材としての加熱用回転体である耐熱性の定着フィルム13と、加熱部材である加熱ヒータ11と、ヒータ保持部材であるホルダー12で構成される。定着フィルム13の内部に加熱ヒータ11が設けられている。加圧ローラ20は、フィルムユニット10に対向して設けられる。
加熱定着装置6が、定着フィルム13と加圧ローラ20との間に形成された定着ニップ部Nfにおいて、トナー像tが形成された記録材Pを挟持搬送することにより、定着フィルム13と一緒に搬送されるトナー像tが、記録材Pに定着される。なお、トナー画像を
記録材に定着させられるのであれば、加熱定着装置6は本実施例の構成に限定されない。
加熱ヒータ11における定着フィルム13との摺動面の反対側の面には、温度検知部材としてのサーミスタ14が当接配置されている。エンジン制御部302は、サーミスタ14の検知温度に基づいて、加熱ヒータ11の温度が所望の温度となるように、定着制御部320が加熱ヒータ11に流す電流を制御する。
(定着フィルム)
定着フィルム13は、SUS等の薄い金属製素管の表面に、直接又はプライマ層を介してPFA、PTFE、FEP等の離型性層をコーティング又はチューブ被覆した、複合層フィルムである。金属製素管に代えて、ポリイミド等の耐熱樹脂とグラファイトなどの熱伝導フィラーを混練したものを筒状に成型した基層を用いてもよい。本実施例では、基層ポリイミドにPFAをコーティングした定着フィルム13を用いた。本実施例の定着フィルム13は、総膜厚は80μmで、外周長は56mmである。定着フィルム13は内部の加熱ヒータ11及びホルダー12に摺擦しながら回転するため、加熱ヒータ11及びホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。本実施例では、加熱ヒータ11及びホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させることにより、定着フィルム13をスムーズに回転可能とした。
(加圧ローラ)
加圧ローラ20は、芯金21、弾性層22及び離型層23を有する。鉄等からなる芯金21の上に絶縁性のシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムを発泡することにより、弾性層22が形成される。弾性層22の上に、接着層としてプライマ処理されて接着性をもつRTVシリコーンゴムが塗布されている(不図示)。そして、離型層23を、接着層を介して弾性層22に形成している。離型層23としては例えば、PFA、PTFE、FEP等に、カーボン等の導電剤を分散させたチューブを被覆又はコーティング塗工したものを用いる。
本実施例では、加圧ローラ20の外径は20mmであり、硬度は48°(Asker-C 600g荷重)である。加圧ローラ20は、不図示の加圧手段により、長手方向両端部から147N(15kgf)で加圧されている。これにより、加熱定着に必要な定着ニップ部Nfが形成される。また、加圧ローラ20は、長手方向端部から芯金21を介して不図示の回転駆動手段により、図3の矢印R2の方向(紙面で反時計回り)に回転駆動される。これにより、定着フィルム13はホルダー12の外側を図3の矢印R3の方向(紙面で時計回り)に従動回転する。
(加熱ヒータ)
加熱ヒータ11は、定着フィルム13の内部に設けられている。加熱ヒータ11は、セラミックであるアルミナ又は窒化アルミから成る基板(絶縁基板)113と、基板113上に形成された抵抗発熱層(発熱体)112を有する。抵抗発熱層112は、絶縁と耐摩耗性向上のために、薄肉のオーバーコートガラス111で覆われており、オーバーコートガラス111が定着フィルム13の内周面に接触している。オーバーコートガラス111は耐電圧と耐摩耗性に優れており、定着フィルム13に摺動するように構成および配置されている。
実施例では、オーバーコートガラス111の熱伝導率が1.0W/m・Kであり、耐圧特性が2.5kV以上であり、膜厚が70μmである。実施例ではまた、基板113の材質はアルミナであり、その寸法は、幅6.0mm、長さ260.0mm、厚み1.00mmである。また、基板113の熱膨張率は7.6×10-6/℃である。実施例の抵抗発熱層112は、銀パラジウム合金で形成されている。抵抗発熱層112の総抵抗値は20
Ω、抵抗率の温度依存性は700ppm/℃である。
(ホルダー)
ホルダー12は、加熱ヒータ11を保持する部材であるとともに、定着ニップ部Nfの裏側への放熱を防ぐ断熱ステイホルダーである。ホルダー12は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等により形成されている。定着フィルム13は、ある程度の余裕をもってホルダー12に外嵌されて、回転自在に配置されている。本実施例のホルダー12は、材質が液晶ポリマーであり、260℃の耐熱性を有し、熱膨張率が6.4×10-5/℃である。
<エンジン制御部>
エンジン制御部302は制御プログラムに従い、サーミスタ14の検知温度を基に加熱ヒータ11を所定の目標温度に制御する。そのためにエンジン制御部302は、加熱ヒータ11が目標温度を維持するように、加熱ヒータ11に供給する電力を制御する。エンジン制御部302は、制御部の一例である。制御方法としては、比例項、積分項、微分項からなるPID制御が好ましい。下式(1)はこの制御式を示す。
f(t)=α1×e(t)+α2×Σe(t)+α3×(e(t)-e(t-1))
…(1)
ここで、各項目は以下の通りである。
t:制御タイミング
f(t):制御タイミング(t)での制御周期内のヒータ通電時間割合(1以上がフル点灯)
e(t):現在の制御タイミング(t)の目標温度と実温度との温度差
e(t-1):前回の制御タイミング(t-1)での目標温度と実温度の温度差
α1~α3:ゲイン定数
α1:P(比例)項ゲイン
α2:I(積分)項ゲイン
α3:D(微分)項ゲイン
式(1)の右辺の第1項~第3項の順に、比例制御、積分制御、微分制御に対応している。α1~α3は、制御周期内の加熱ヒータ11の通電時間割合の増減量に重み付けを行うための比例係数である。加熱定着装置6の特性に応じてα1~α3を設定することで、適切な温度制御を可能にする。エンジン制御部302は、f(t)の値に応じて制御周期内での加熱ヒータ11の通電時間を決定し、不図示のヒータ通電時間制御回路を駆動させて、加熱ヒータ11の出力電力を決定する。なお、D項が必要でなければ、D項ゲインを0に設定することでP項とI項のみが機能するPI制御で制御しても良い。実施例では、制御タイミングは制御周期100msec間隔で更新され、P項ゲイン(α1)を0.05℃-1、I項ゲインを0.01℃-1(α2)、D項ゲインを0.001℃-1(α3)とする。本実施例では、f(t)値が1のとき制御周期内の通電時間が最大となり、計算結果が1より大きい場合は制御周期内の最大通電時間を通電する設定とする。
ここで、図4は、従来のエンジン制御部302による加熱ヒータ11の目標温度の制御シーケンスを示す。前回転中(印字動作の開始から記録材1枚目の先端が定着ニップ部Nfに突入するまでの間)は、エンジン制御部302は、目標温度T0を維持するように加熱ヒータ11への電力供給を制御する。ここでの目標温度T0は170℃とする。そして、記録材1枚目(第1の記録材であり、「先行紙」とも書く)が通紙される前に記録材1枚目の目標温度T1(第1の温度)に切り替える。
先行紙通紙中(記録材1枚目の先端が定着ニップ部Nfに突入してから記録材1枚目の後端が定着ニップ部Nfを抜けるまでの間)は、エンジン制御部302は目標温度T1を
維持するように加熱ヒータ11への電力供給を制御する。通紙中の目標温度T1は170℃以上204℃以下の範囲であり、後述する算出方法によって決定される。
紙間(先行紙の後端が定着ニップ部Nfを抜けてから後続紙が定着ニップ部Nfに突入までの間)については、エンジン制御部302は目標温度T1を維持するように、加熱ヒータ11への電力供給を制御した後に、記録材2枚目(第2の記録材であり、「後続紙」とも書く)が通紙される前に、紙間の途中で記録材2枚目の目標温度T2(第2の温度)に切り替える。
続いて、後続紙通紙中(記録材2枚目の先端が定着ニップ部Nfに突入してから記録材2枚目の後端が定着ニップ部Nfを抜けるまでの間)は、エンジン制御部302は目標温度T2を維持するように加熱ヒータ11への電力供給を制御する。通紙中の目標温度T2は、T1同様に170℃以上204℃以下の範囲であり、後述する算出方法によって決定される。
<画像処理部>
(画像データから目標温度を算出)
画像処理部303は、CPU等のプロセッサ及びROM、RAM等のメモリを有する。なお、エンジン制御部302として機能する情報処理装置を画像処理部303として機能させてもよい。画像処理部303は、グレイスケール画像のハーフトーニング処理の他に画像データから目標温度を算出する処理も行う。以下の例では、1枚の記録材Pの表面に画像データに応じたトナー像が形成される場合の、画像処理部303の処理を述べる。
分割領域の画像濃度情報に基づく目標温度決定においては、画像処理部303は、画像データをエリア、リージョンに分割したうえで、各リージョンを7つの代表値に分類する。次に、分類した代表値を各リージョンでの温度の加算量に変換してから、副走査方向に加算する。そして、複数の主走査エリアでの加算値の中から最大値を選択し、その値をベースの温調に加算して、目標温度Tを算出する。以下、工程ごとに順次説明する。なお、目標温度算出方法はこれに限定されず、印字量に応じた温度が決定できればよい。
<画像データの分割>
図5を参照しつつ、画像処理部303による画像データの分割について述べる。以下の説明において「副走査方向」は記録材Pの搬送方向であり、「主走査方向」は副走査方向に直交する方向である。また図示するように、「副走査エリア」は画像データを副走査方向に連続するように分割した各エリアであり、「主走査エリア」とは画像データを主走査方向に連続するように分割した各エリアである。
(主走査エリア分割工程)
画像処理部303は、画像データ全域を主走査方向に分割して主走査エリアを設ける。本実施例では分割数は4とした。ここで、LTRサイズ(短辺216mm)の紙が加熱定着装置に供給されるときの紙の中心を、加熱定着装置上の原点と設定し、座標を0mmと置く。そして、搬送方向に対して左側を負、右側を正と定義する。本実施例では、表1と図5に示すように、各主走査エリアを設定した。すなわち、主走査エリアMS1は-108mm~-54mm、主走査エリアMS2は-54mm~0mm、主走査エリアMS3は0mm~+54mm、主走査エリアMS4は+54mm~+108mmの範囲である。
Figure 2023049663000002
(副走査エリア分割工程)
画像処理部303は、画像データ全域を副走査方向に分割して副主走査エリアを設ける。本実施例では分割数は5とした。画像開始位置を加熱定着装置上の原点と設定し、座標を0mmと置く。本実施例では、表2と図5に示すように、各副走査エリアを設定した。すなわち、副走査エリアSS1は0mm~56mm、副走査エリアSS2は56mm~112mm、副走査エリアSS3は112mm~168mm、副走査エリアSS4は168mm~224mm、副走査エリアSS5は224mm~280mmの範囲である。なお、副走査エリア範囲を56mmとしたのは、副走査方向における副走査エリアの長さを、本実施例での定着フィルム13の周長に略一致させるためである。この長さとする理由は、目標温度Tの決定処理の部分で後述する。ここで略一致するとは、完全に同じ長さでなくとも良いが、温度低下抑制に効果がある程度に一致させることが好ましい。
Figure 2023049663000003
(リージョン設定工程)
画像処理部303は、主走査エリアおよび副走査エリアで区画される一つの領域をリージョンとして設定する。以下、主走査エリアMSn、かつ副走査エリアSSkより区画される範囲を、「リージョンR(k,n)」と呼ぶ。
<リージョンのランク分け>
画像処理部303は、リージョンR(k,n)内での印字量を算出する。
(高濃度ピクセルのカウント)
まず画像処理部303は、各リージョンにおいて、4%以上のグレイ濃度を有する高濃度ピクセルを抽出する。そして、リージョンR(k,n)における高濃度ピクセルの総数をカウントし、N(k,n)(個)とする。
そして画像処理部303は、リージョンR(k,n)内における高濃度ピクセルの総数N(k,n)を、表3に基づいて、ランク0~ランク6まで7段階のランクに分類する。
Figure 2023049663000004
このようにして算出されたリージョンR(k,n)内の印字量のランクを、Rank(k,n)とする。以上の処理手順により、画像データ全域の印字量情報を、20個のリージョン毎の7段階のランク情報に集約できる。
<目標温度Tの決定>
続いて画像処理部303は、各リージョンの印字量のランクに基づいて目標温度Tを決定する。以下、想定する印字形状および関連する現象と共に説明する。
(想定画像と温度低下の影響)
まず、具体的な処理内容について述べる前に、温度低下の影響が大きい想定画像として、各ランクについて、縦帯状に印字がなされるような画像データについて検討する。すなわち画像処理部303は、各リージョンの印字量のランクが決定されると、そのランクに基づいたピクセル数の幅で、当該リージョン内で副走査方向一杯に広がる長方形の印字(以下、縦帯状の印字と呼ぶ)を行うことを想定する。そして、縦帯状印字が十分に定着可能な目標温度を想定する。
例えば、副走査方向の長さが56.5mmであれば、主走査方向における縦帯状印字の幅は次のように想定される。ランク0のとき0.042mm、ランク1のとき1mm、ランク2のとき2mm、ランク3のとき4mm、ランク4のとき8mm、ランク5のとき16mm、ランク6のときリージョンの主走査方向全幅である。このように想定する理由は、かかる縦帯状印字が、ある印字量のランクにおいて最も高い目標温度Tを必要とするからである。すなわち、縦帯状にトナーが配置されていると、加熱定着装置6の加熱を担う部材(定着フィルム13や加熱ヒータ11など)の主走査方向の特定の位置から熱が奪われ続ける。すると、その部分の温度が低下して定着性能が低下してしまう。よって、低下する熱を補うために、目標温度Tを高くする必要がある。
このような温度低下現象は、縦帯の主走査方向の太さが細ければ、周囲の部材から流入する熱により補償されるのでほぼ無視できる。しかし、縦帯が太くなればなるほど、縦帯の中央部までは熱が流入しづらくなるため、温度低下の程度が大きくなって無視できなくなり、より高い目標温度Tが必要になる。
図6は、縦帯の主走査方向の幅と、目標温度Tの補正量の関係を示す。ここで、幅0.042mm、搬送方向の長さ56.5mmの縦線を定着させるのに必要な目標温度Tを基準とおく。このとき、幅1mmの縦線の定着に必要な目標温度Tは2℃高い。また、幅16mmの縦帯の定着に必要な目標温度Tは4℃高い。なお、主走査方向の幅が広くなればなるほど目標温度Tの上昇率は緩やかになり、幅が58mmを超えると、縦帯の外部から
の熱の流入の影響がほとんど無くなるため、さらなる温度補正は不要となる。
なお、本実施例の記載では、目標温度の基本の値を設定し、画像データに基づいてその基本の値への補正量(加算量)を算出するという構成としている。しかし、最終的に画像データに基づいて目標温度が算出できるのであれば、この方法には限定されない。例えば、基本の値や補正量を設定せず、画像データに基づいて直接目標温度を算出する方式でもよい。
なお、この温度低下現象は、縦帯の副走査方向の長さが長いほど大きくなり、特に、副走査方向の長さが定着フィルム13の周長の定数倍を超えるときに顕著になる。図7は、搬送方向(副走査方向)における縦帯の長さと、温度低下の補償に必要となる目標温度Tの補正量の関係を示すグラフである。
主走査方向の幅0.042mmの縦帯の場合、副走査方向の長さが56.5mmであっても、A4内の画像長さに当たる287mmであっても、必要な目標温度Tの補正量は変わらない。これは、幅0.042mm程度であれば、周囲からの熱の流入が十分であるため、局所的な部材の温度低下を無視できるためである。
一方、主走査方向の幅1mmの縦帯の場合、部材の温度低下の程度が大きくなるため、必要な目標温度Tの補正量が、搬送方向の長さに比例して高くなっていく。このとき、図7に示すように、定着フィルム13の周長の定数倍の長さを超えた時に、必要な目標温度Tの補正量が顕著に上昇する。これは、回転する定着フィルム13が、1周前の縦帯で熱を奪われた状態でトナーと接触し定着を行うためである。
そこで上述したように、副走査エリア分けにおける副走査方向の長さを、定着フィルム13の周長と略一致させると、この現象を反映した演算ができるため、より高い消費電力低減効果が得られる。ここで副走査方向の長さと定着フィルム13の周長が略一致するとは、両者が厳密に同じ長さで無くとも、温度低下の影響が無視できる程度に一致していれば良いことを示す。
(目標温度Tの算出)
以上の前提を踏まえ、具体的な目標温度Tの算出方法について述べる。目標温度Tは、リージョンの印字量ランクが0であった場合の温度をベースとして、リージョンの印字量が0以外であった場合に必要な補正量を、加算量ΔTとして求めることにより算出する。
まず、本実施例において、ランク0に相当する幅0.042mmの縦帯を定着させるのに必要な温度は170℃である。そして、各リージョンがランク0以外であった場合に必要な加算量は図6をもとに定義され、表4のようになる。これに基づいて、リージョンR(k,n)の印字量ランクを加算量ΔT(k,n)に変換する。
Figure 2023049663000005
次に、加算量ΔT(k,n)を、副走査方向に連続する5つのリージョン(リージョン列)について加算し、目標温度の補正量の候補値としてΔTMSnを算出する。すなわち、n=1~4の5つの主走査エリアについて、それぞれΔT(1,n)、ΔT(2,n)、ΔT(3,n)、ΔT(4,n)、ΔT(5,n)を加算したものを、ΔTMSnとして算出する。これは、副走査方向に連なる5つのリージョンそれぞれに印字量ランクに相当する縦帯が配置されたときに、必要な目標温度Tが比例して上昇していくことに対応している。つまり加算量ΔT(k,n)は、リージョンR(k,n)が含まれる主走査エリアMSnにおける候補値ΔTMSnを算出するための、リージョン内の画像濃度からの変換値である。
したがって、算出した4つの候補値ΔTMS1、ΔTMS2、ΔTMS3、ΔTMS4の中で最大のものに基本の温度(ここでは170℃)を加算したものを目標温度Tとする。
(評価例)
本実施例の判定方法が、所望の消費電力低減効果を得られることを確認するための評価例について説明する。図8(a)~(d)に、4種類の画像を示す。図8(a)は印字量が少ないテキスト画像、図8(b)は先端の印字量が多い画像、図8(c)は10%ハーフトーン画像、図8(d)は全面ベタ黒画像の例を示している。本実施例の判定方法に基づいて、これらの画像の定着目標温度を決定して、定着不良の有無および消費電力を評価する。
まず、図8(a)の画像について、目標温度の決定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表5のようになる。
Figure 2023049663000006
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表6のようになる。結果、この評価画像の目標温度は170℃に補正値2.5℃を加算して小数点以下を切り上げると、173℃になる。
Figure 2023049663000007
同様に、図8(b)の画像について、目標温度の決定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表7のようになる。
Figure 2023049663000008
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表8のようになる。結果、この評価画像の目標温度は170℃に補正値7.5℃を加算して小数点以下を切り上げると、178℃になる。
Figure 2023049663000009
同様に、図8(c)の画像について、目標温度の決定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表9のようになる。
Figure 2023049663000010
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表10のようになる。結果、この評価画像の目標温度は170℃に補正値17.7℃を加算して小数点以下を切り上げると、188℃になる。
Figure 2023049663000011
同様に、図8(d)の画像について、目標温度の決定を行う。画像から算出される印字量ランクの情報は、表11のようになる。
Figure 2023049663000012
次に、この印字量ランクを各リージョンおよび各リージョン列の温度の加算量ΔTに変換すると、表12のようになる。結果、この評価画像の目標温度は170℃に補正値22
.5℃を加算して小数点以下を切り上げると、193℃になる。
Figure 2023049663000013
以上、図8(a)~(d)の目標温度を表13にまとめる。
Figure 2023049663000014
(比較例1-1)
比較例1-1として、画像(a)と画像(b)を連続して印字する場合の従来例を示す。先行紙の画像(a)の目標温度(第1の温度)は173℃、後続紙の画像(b)の目標温度(第2の温度)は178℃であり、先行紙と後続紙の目標温度差はΔ5℃である。
図9に目標温度とフィルム温度の推移を示している。フィルム温度は、定着ニップ部Nfの下流部でフィルム表面温度を放射温度計で測定したものである。フィルム温度が168℃を上回っていれば、定着性は確保できる。また、比較例1-1においては、図9に矢印で示したように、紙間途中の後続紙先端から33mm前のタイミング(時間にして165msec前)で先行紙の目標温度から後続紙の目標温度に切り替えている。
比較例1-1では、先行紙の画像(a)の印字率は低く、決定された目標温度も低い。したがって、定着ヒータに投入される電力が小さく定着部材の吸熱量も小さいため、先行紙通紙直後は、フィルムユニット10や加圧ローラ20の蓄熱量が少ない状態である。このような状態で、後続紙に、画像(b)のように先端に高印字の画像が印字される場合、トナーおよび紙による吸熱で急速にフィルム温度が低下する。
図9に示すように、後続紙先端から33mm前に先行紙の目標温度から後続紙の目標温度に切り替えて、目標温度が高く設定されたにもかかわらず、後続紙の先端部分においてはフィルム温度が追従できずに急激な温度低下が起こっている。この結果、一時的にフィルム温度が168℃を下回り、後続紙の高印字部で定着不良が発生してしまう。
(実施例1-1)
実施例1-1として、画像(a)と画像(b)を連続して印字する場合の本実施例を示す。比較例1-1と同じく、先行紙の画像(a)の目標温度(第1の温度)は173℃、後続紙の画像(b)の目標温度(第2の温度)は178℃であり、先行紙と後続紙の目標温度差はΔ5℃である。
実施例1-1では、先行紙の画像(a)の印字率は低く、決定された目標温度も低い。したがって、定着ヒータに投入される電力が小さく定着部材の吸熱量も小さいため、先行紙通紙直後は、フィルムユニット10や加圧ローラ20の蓄熱量が少ない状態である。このような状態で、後続紙に、画像(b)のように先端に高印字の画像が印字される場合、トナーおよび紙による吸熱で急速にフィルム温度が低下して定着不良が発生することが予想される。
そこで、本実施例では、図10に矢印で示した先行紙の後端から5mm前の位置が定着ニップ部Nfに差し掛かったタイミングで、先行紙の目標温度から後続紙の目標温度に切り替えている。比較例1-1よりも後続紙の目標温度に切り替えるタイミングを早くすることで、後続紙の先端が定着ニップ部Nfに突入するまでに、蓄熱量を確保できるようにしておく。なお、先行紙の後端の余白部で目標温度を切り替える。すなわち、目標温度の切り替えは、早い場合でも、先行紙のうちトナー像が形成された部分が定着ニップ部Nfを通過した後のタイミングである。そのため、先行紙の画像には影響しない。
図10の制御において、先行紙(第1の記録材)の目標温度を第1の温度とし、後続紙(第2の記録材)の目標温度を第2の温度とする。実施例において第2の温度は第1の温度よりも高い温度である。また、第2の温度と第1の温度の差分であるΔ5℃を第1の値とおく。更に、第1の期間をF1とおくと、後続紙(第2の記録材)が定着ニップ部Nfに到達するタイミング(r12)より第1の期間前のタイミング(r11)から、目標温度の切り替えが行われている。
図10に示したフィルム温度の推移をみればわかるように、先行紙と後続紙の紙間において、フィルム温度が上昇しており、この期間で蓄熱が行われている。そして、後続紙の先端が定着ニップ部Nfに突入しても、フィルム温度低下は抑制されており、168℃以上の温度を維持できている。このため、後続紙の高印字部で定着不良が発生することはない。
(比較例1-2)
比較例1-2として、画像(c)と画像(d)を連続して印字する場合の従来例を示す。先行紙(第3の記録材)の画像(c)の目標温度(第3の温度)は188℃、後続紙(第4の記録材)の画像(d)の目標温度(第4の温度)は193℃であり、先行紙と後続紙の目標温度差は、比較例1-1および実施例1-1と同じくΔ5℃である。比較例1-2では、先行紙の画像(c)の印字率は高く、決定された目標温度も高い。したがって、定着ヒータに投入される電力が大きく定着部材の吸熱量も大きいため、先行紙通紙直後は、フィルムユニット10や加圧ローラ20の蓄熱量が多い状態である。このような状態で、後続紙に、画像(d)のように高印字の画像が印字される場合、さらに高い目標温度が設定されているため、後続紙先端部でのフィルム温度上昇が大きい。
図11に示すように、後続紙先端から33mm前のタイミング(時間にして165msec前)で先行紙の目標温度から後続紙の目標温度に切り替えた場合、紙先端ではフィルム温度が168℃を大きく上回っており、蓄熱量が多いため、その後も紙後端にかけてフィルム温度の低下は緩やかである。このため、後続紙の先端部分から中盤にかけては余分
な電力が投入されており、消費電力が大きい状態となっている。
(実施例1-2)
実施例1-2として、画像(c)と画像(d)を連続して印字する場合の本実施例を示す。先行紙(第3の記録材)の画像(c)の目標温度(第3の温度)は188℃、後続紙(第4の記録材)の画像(d)の目標温度(第4の温度)は193℃であり、先行紙と後続紙の目標温度差は、比較例1-1および実施例1-1と同じくΔ5℃である。実施例1-2では、先行紙の画像(c)の印字率は高く、決定された目標温度も高い。したがって、定着ヒータに投入される電力が大きく定着部材の吸熱量も大きいため、先行紙通紙直後は、フィルムユニット10や加圧ローラ20の蓄熱量が多い状態である。このような状態であれば、後続紙に、画像(d)のように高印字の画像が印字されたとしても、トナーおよび紙による吸熱で急速にフィルム温度が低下することはなく、定着不良は発生しない。
そこで、本実施例では、図12に矢印で示した後続紙の先端が定着ニップ部Nfに突入するタイミングで、先行紙の目標温度から後続紙の目標温度に切り替えている。先行紙通紙後の蓄熱量が十分であるため、後続紙の目標温度に切り替えるタイミングをできるだけ遅くすることで、消費電力の低減を図っている。このように目標温度の切り替えタイミングは、遅い場合で後続紙の先端が定着ニップ部に突入するのと同時である。
画像(c)と画像(d)の2枚を繰り返して50枚連続通紙したときの加熱ヒータ11への投入電力を電力計で測定した結果、表14に示したように、比較例1-2では15.5Whであったのに対して、実施例1-2では15.2Whであった。すなわち、本実施例により、50枚連続通紙時の消費電力を0.3Wh低減することができた。
Figure 2023049663000015
図12の制御において、先行紙(第3の記録材)の目標温度を第3の温度とする。このとき第3の温度は188℃であり、実施例1-1における先行紙(第1の記録材)の目標温度(第1の温度)である173℃よりも高い。さらに図12において、後続紙(第4の記録材)の目標温度を第4の温度とする。このとき第4の温度は193℃であるので、第4の温度は第3の温度よりも高く、第3の温度と第4の温度の差分であるΔ5℃は、実施例1-1と場合と同じく第1の値となっている。
このような条件である本実施例1-2において、後続紙(第4の記録材)が定着ニップ部Nfに到達するタイミング(r22)と同じタイミングにおいて、目標温度の切り替えが行われている。ここで第2の期間の長さを0sとおくと、目標温度の切り替えはr22から第2の期間前のタイミングに行われている。以上より実施例1-2の制御は、第3の温度が第1の温度より高く、第4の温度が第3の温度より高く、第4の温度と第3の温度の差分が実施例1-1と同じ第1の値である場合、第2の期間は第1の期間よりも短い制御であると言える。
(処理フロー)
以下、図13のフロー図を参照しつつ、実施例1-1と1-2の切り替えを含む処理制御の一例を説明する。エンジン制御部202は、ステップS101にて先行紙の目標温度T1を算出し、ステップS102にて後続紙の目標温度T2を算出する。そしてステップ
S103にて、T2>T1であるかどうかを判定する。判定結果がNOであれば、目標温度の切り替えは通常通りのタイミングで行う。例えば、切り替えタイミングの初期値が先行紙の通過タイミングと後続紙の突入タイミングの中間であれば、その時点となる。
一方、S103の判定結果がYESであればステップS104に進み、先行紙の印字率が所定の閾値Th以下であるかどうかを判定する。印字率が閾値Th以下であればS105に進み、切り替えタイミングを通常より早くする。これにより、図10に示したような温度低下の抑制を重視する処理が行われる。一方、S104にて印字率が閾値Thより大きければS106に進み、切り替えタイミングを通常より遅くする。これにより、図12に示したような電力消費を低減する処理が行われる。なお、S104の判定を、先行紙の目標温度T1が所定の閾値以下であるかどうかの判定に置き換えてもよい。
そして、ステップS107において先行紙の定着が行われ、ステップS108において紙間処理が行われ、ステップS109において後続紙の定着が行われる。なお、目標温度の切り替えは、ステップS107~S109のうち、ステップS105またはS106で決定されたタイミングで実行される。
(効果)
実施例1-1、1-2で説明したように、後続紙の目標温度が先行紙の目標温度よりも高い場合に、先行紙の目標温度に基づいて目標温度の切り替えタイミングを設定することにより、後続紙のフィルム温度を適切に制御できる。その結果、実施例1-1のような場合でも温度低下による定着不良を防止し、実施例1-2のような場合でも消費電力を抑制できるようになる。なお、先行紙および後続紙の目標温度Tの値は、上記の例に限られず、装置構成や性能に応じて適宜設定できる。また、先行紙と後続紙の目標温度の差Dが所定の温度差以上(例えば、5℃以上)の場合に、本発明の目標温度切り替え制御を行うようにしてもよい。その場合の閾値についても、装置構成や性能に応じて適宜設定できる。
(変形例)
上記実施例中、先行紙の目標温度が低い実施例1-1では図10に示すように、目標温度切り替えタイミングを先行紙通過中まで早くしている。また、先行紙の目標温度が高い実施例1-2では図12に示すように、目標温度切り替えタイミングを後続紙の突入時まで遅らせている。しかし目標温度切り替えタイミングはこれらの例には限定されず、先行紙の目標温度に応じて変更することができる。
例えば、図10および図12で示したタイミングに加えて、先行紙の目標温度に応じて紙間の様々なタイミングで切り替えを行ってもよい。例えば表15に示すように、目標温度が「やや低い」「通常」「やや高い」それぞれの場合に、紙間の「早いタイミング」「先行紙と後続紙の中間のタイミング」「やや遅いタイミング」で切り替えを行うことで、定着温度を詳細に制御可能である。なお、本変形例での「高い」「低い」「早い」「遅い」などの表現は相対的なものであり、目標温度や切り替えタイミングを限定するものではない。目標温度と切り替えタイミングの関係は、目標温度に閾値を設定して段階的にタイミングを切り替える方法でもよいし、目標温度と切り替えタイミングの関数を示す数式に基づく方法でもよい。
Figure 2023049663000016
以上説明したように、本発明によれば、先行紙と後続紙の目標温度の差が一定以上であった場合に、先行紙の目標温度に応じて先行紙から後続紙への目標温度切り替えタイミングを変更する。その結果、先行ページと後続ページの目標温度に応じて、目標温度を切り替えるタイミングを好適に制御することができる。例えば本発明によって、紙間期間を大きくすることなく、定着不良を防止しつつ消費電力が小さい画像形成装置を提供することが可能である。
6:加熱定着装置、Nf:定着ニップ部、50:画像形成部、100:画像形成装置、302:エンジン制御部、303:画像処理部

Claims (7)

  1. 画像データに基づくトナー像が形成されて搬送される記録材を定着ニップ部において加熱し、前記トナー像を記録材に定着させる定着部と、
    前記定着部が前記トナー像を加熱するときの目標温度を前記画像データに基づいて記録材ごとに決定し、前記目標温度の切り替えタイミングを制御する制御部と、
    を備える画像形成装置であって、
    前記制御部は、第1の記録材の目標温度が第1の温度であり、前記第1の記録材に続いて定着される第2の記録材の目標温度が前記第1の温度よりも高い第2の温度であり、前記第2の温度と前記第1の温度の差分が第1の値である場合、前記第2の記録材が前記定着ニップ部に到達するより第1の期間前のタイミングから前記第2の温度への切り替えを開始し、
    第3の記録材の目標温度が前記第1の温度より高い第3の温度であり、前記第3の記録材に続いて定着される第4の記録材の目標温度が前記第3の温度より高い第4の温度であり、前記第4の温度と前記第3の温度の差分が前記第1の値である場合、前記第4の記録材が前記定着ニップ部に到達するより第2の期間前のタイミングから前記第4の温度への切り替えを開始し、
    前記第2の期間は前記第1の期間よりも短いことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御部は、前記目標温度の前記切り替えタイミングが、前記第1の記録材のうち前記トナー像が形成された部分が前記定着ニップ部を通過した後のタイミングとなるように制御を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御部は、前記目標温度の前記切り替えタイミングが、前記第2の記録材の先端が前記定着ニップ部に突入するタイミングより前または同時となるように制御を行う。
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、前記第2の温度と前記第1の温度の差が所定の温度差以上である場合に、前記目標温度の前記切り替えタイミングを制御する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、前記第1の温度に応じて段階的に前記目標温度の前記切り替えタイミングを制御する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記第2の温度が前記第1の温度よりも低い場合、前記目標温度の前記切り替えタイミングを初期値から変更しない
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部による前記目標温度の前記切り替えタイミングの前記初期値は、前記第1の記録材の後端が前記定着ニップ部を抜けてから前記第2の記録材が前記定着ニップ部に突入までの間の期間である紙間処理の間に設定されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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