JP2023030591A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの装飾部の黒色度を高めるとともに、連続生産しても黒色度の低下を抑えることが可能なタイヤを提供する。【解決手段】タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部10を有するタイヤである。装飾部10は、1mm2当り2~10個の微小突起11が配置されている。微小突起11は、突起頂部13に凹部15が設けられている。凹部15の内側には、内側微小突起19が配置される。【選択図】図2
Description
本開示は、タイヤに関する。
下記特許文献1には、サイドウォール部に、環状の装飾模様が形成されたタイヤが記載されている。前記装飾模様は、同一の断面形状のリッジがタイヤ周方向に連続して並ぶリッジ群を模様単位として形成されている。前記リッジは、タイヤ外側に位置する外面部と、前記外面部からタイヤ内側へとのびる一対の傾斜側面部とを有する略台形状で構成されている。このような装飾模様は、タイヤ本来の黒色を強く表すことができるとされている。
近年、タイヤの商品価値を高めるために、特定の領域での光の反射を抑制し、該領域の黒色度(黒っぽく認識できること)を高めたいという要求がある。また、このようなタイヤを、例えば複数本から数百本の間で連続して生産する場合があり、前記数百本目の前記タイヤにおいて、前記領域の黒色度の低下を抑制することが求められている。
本開示は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、装飾部の黒色度を高めるとともに、仮に連続生産しても黒色度の低下を抑えることが可能なタイヤを提供することを課題としている。
本開示は、タイヤであって、前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部に凹部が設けられており、前記凹部の内側には、内側微小突起が配置される。
本開示のタイヤは、上記の構成を採用することで、装飾部の黒色度を高めるとともに、連続生産しても黒色度の低下を抑制することが可能となる。
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本開示のタイヤ1の一実施形態を示す部分斜視図である。図1には、好ましい態様として、乗用車用の空気入りタイヤ1が示される。但し、本開示は、例えば、自動二輪車用や重荷重用の空気入りタイヤ1、又は、他のカテゴリーのタイヤ1に採用されても良い。
図1は、本開示のタイヤ1の一実施形態を示す部分斜視図である。図1には、好ましい態様として、乗用車用の空気入りタイヤ1が示される。但し、本開示は、例えば、自動二輪車用や重荷重用の空気入りタイヤ1、又は、他のカテゴリーのタイヤ1に採用されても良い。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、視認可能な外表面1aを具えている。視認可能な外表面1aとは、タイヤ1がリム(図示省略)に組み込まれたときに、外部から目視できる面である。外表面1aは、例えば、トレッド部2の外表面2a、サイドウォール部3の外表面3a及びビード部4の外表面4aを含んでいる。
タイヤ1は、本実施形態では、外表面1aの一部に装飾部10を有している。本実施形態の装飾部10は、サイドウォール部3の外表面3aに設けられている。なお、装飾部10は、例えば、トレッド部2の外表面2a又はビード部4の外表面4aに設けられても良い。
図2は、装飾部10の拡大図である。図2に示されるように、本実施形態の装飾部10には、1mm2当り2~10個の微小突起11が配置されている。微小突起11は、例えば、装飾部10へ照射される光の角度を変えて反射させつつ減衰させるので、高い黒色度を奏する。なお、微小突起11の1mm2当りの個数は、例えば、外表面1aを平面に展開したときに、その展開内において、1辺が5mmの四角形の領域内に含まれる完全な形状の微小突起11の個数を25で除して求められる。また、特に限定されるものではないが、このような微小突起11の配設ピッチPは、0.6~1.0mmとされるのが望ましい。
少なくとも一つの微小突起11は、突起頂部13に凹部15が設けられている。このような凹部15は、照射された光の反射を低減する。凹部15は、本実施形態では、微小突起11のそれぞれに設けられている。
凹部15の内側には、内側微小突起19が配置されている。内側微小突起19は、例えば、凹部15の底側(内側)を見えにくくして反射を抑え、さらに黒色度を高める。また、内側微小突起19は、凹部15内に照射された光を反射によって減衰し、さらに凹部15内からの光の反射を低減する。
図1に示されるように、本実施形態の装飾部10は、タイヤ回転軸(図示省略)を中心としてタイヤ周方向に延びる円弧状に形成されている。装飾部10は、タイヤ周方向に隔設して設けられても良いし、タイヤ周方向に連続して設けられても良い。また、装飾部10は、種々の形状が採用される。
図2に示されるように、装飾部10は、本実施形態では、微小突起11と、これと隣接する複数の隣接する微小突起11、11間を継ぐ平面状の突起形成面12とを含んでいる。なお、装飾部10は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、標章表示用の凹凸をさらに含んでも良い(図示省略)。
微小突起11は、例えば、突起頂部13と、突起頂部13から急傾斜で突起形成面12まで延びる傾斜面14とを含んでいる。微小突起11は、本実施形態では、タイヤ外方に向かってテーパー状に延びる円錐台状に形成されている。換言すると、傾斜面14の輪郭形状が、円形状に形成されている。このような微小突起11は、傾斜面14が多方向に光を反射して、減衰させる。なお、傾斜面14の輪郭形状は、例えば、楕円形状でも良い。本明細書では、「円形状」及び「楕円形状」は、円形及び楕円形を含むものは勿論、タイヤ製造時の精度誤差による変形を含むものとする。
突起頂部13は、本実施形態では、平面状に形成されている。このような突起頂部13は、凹部15との明暗のコントラストを強調し、凹部15の黒っぽさを引き立たせる。なお、突起頂部13は、例えば、タイヤ外方に凸の半球状で形成されても良い。このような突起頂部13は、多方向に光を反射して、突起頂部13の黒色度を確保する。
突起形成面12は、例えば、粗面状に形成されている。このような突起形成面12は、装飾部10の黒色度を高めるのに役立つ。突起形成面12の十点平均粗さ(Rz)は、0.01~0.05mmであるのが望ましい。十点平均粗さ(Rz)は、JISB0601(1994)に準拠して測定される。
図3は、微小突起11の斜視図である。図3に示されるように、微小突起11の突起高さH1は、例えば、0.15mm以上が望ましく、0.20mm以上がさらに望ましく、0.60mm以下が望ましく、0.50mm以下がさらに望ましい。また、微小突起11の最大径D1は、例えば、0.30mm以上が望ましく、0.40mm以上がさらに望ましく、0.70mm以下が望ましく、0.60mm以下がさらに望ましい。さらに、微小突起11の突起頂部13側の径(突起頂部13の最大径)D2は、最大径D1の65%以上が望ましく、70%以上がさらに望ましく、85%以下が望ましく、80%以下がさらに望ましい。
突起頂部13の幅W1は、0.2mm以下が望ましい。これにより、突起頂部13の反射光が小さくなり、装飾部10の黒色度をさらに高める。
凹部15は、突起頂部13から微小突起11の根元(突起根元)側に延びる壁面部16と、突起根元側で壁面部16に連なる底部17とを含んでいる。
壁面部16の開口輪郭16aは、例えば、円形状又は楕円形状である。このような壁面部16は、これに照射された光を多方向に反射して減衰する。開口輪郭16aは、本実施形態では、円形状である。また、開口輪郭16aは、例えば、凹部15の深さ方向に同じ形状(相似形を含む)であるのが望ましい。
開口輪郭16aが囲む面積は、本実施形態では、凹部15の深さ方向に同じである。換言すると、本実施形態の凹部15は、内側微小突起19がない場合に、円柱状に形成されている。このような凹部15は、壁面部16がタイヤ外方へ反射する光を小さくして、高い黒色度を奏する。なお、開口輪郭16aが囲む面積は、凹部15の底部17側に向かって小さくなっても良い(図示省略)。このような凹部15は、底部17の面積が小さくなり、これに反射される光を少なくする。
凹部15の深さH2は、例えば、微小突起11の突起高さH1の15%以上であるのが望ましい。これにより、凹部15内に照射された光が壁面部16で効果的に減衰されるので、装飾部10の黒色度を高めることができる。このような観点より、凹部15の深さH2は、微小突起11の突起高さH1の30%以上が望ましく、60%以上がさらに望ましく、80%以上が一層望ましい。特に限定されるものではないが、凹部15の深さH2は、微小突起11の突起高さH1の100%以下であるのが望ましい。
凹部15の突起頂部13での径D4は、0.20mm以上が望ましく、0.30mm以上がさらに望ましく、0.60mm以下が望ましく、0.50mm以下がさらに望ましい。また、凹部15の底部17での径D3は、凹部15の突起頂部13での径D4以下であるのが望ましい。本実施形態では、径D3は、径D4と同じである。
凹部15は、内側微小突起19と突起高さ方向で同じ位置に配された内側凹部15Aを含んでいる。内側凹部15Aは、本実施形態では、円環状に形成されている。また、凹部15は、内側凹部15Aと突起高さ方向の外側に隣接する外側凹部15B含んでいる。外側凹部15Bは、例えば、円柱状に形成されている。
内側微小突起19は、本実施形態では、突起高さ方向の外側に位置する内側頂部20と、内側頂部20から底部17に向かって延びる側面部21とを有している。内側頂部20は、本実施形態では、平面状に形成されている。なお、内側頂部20は、例えば、タイヤ外方に凸の半球状で形成されても良い。本実施形態の側面部21は、底部17から内側頂部20に向かってテーパー状に形成されている。側面部21は、内側頂部20の中心を通る縦断面において、例えば、内側頂部20から底部17に向かって直線状、本実施形態では、内側頂部20から底部17まで直線状に延びている。
内側微小突起19は、例えば、壁面部16に接触することなく底部17から突起頂部13側に延びている。このような内側微小突起19は、側面部21からの反射光を壁面部16に当てて減衰させ、装飾部10の黒色度を高めるのに役立つ。
内側微小突起19の横断面は、円形状又は楕円形状である。本実施形態の内側微小突起19の横断面は、円形状である。微小突起11の横断面が楕円形状であるときは、内側微小突起19の横断面は、楕円形状であるのが望ましい。
内側微小突起19は、その横断面の面積が突起高さ方向の外側に向かって小さくなっている。このような内側微小突起19は、内側微小突起19の内側頂部20の面積を小さくできるので、内側頂部20からの反射光を小さくすることができる。なお、内側微小突起19は、その横断面の面積が突起高さ方向に同じであっても良い。このような内側微小突起19は、側面部21の黒色度を高める。
内側微小突起19の最も突起頂部13側の最大径D6は、0.10mm以上が望ましく、0.20mm以上がさらに望ましく、0.50mm以下が望ましく、0.40mm以下がさらに望ましい。また、内側微小突起19の突起根元側の最大径D5は、内側微小突起19の最も突起頂部13側の最大径D6よりも大きいのが望ましい。
内側微小突起19の最も底部17側の外端19eと壁面部16との間の最短距離W2は、0.1mm以下が望ましい。これにより、底部17の面積が小さくなり、底部17から突起頂部13の外側へ反射する光が低減されるので、黒色度が高まる。
突起頂部13の黒色度を確保するために、内側微小突起19の突起高さH3は、深さH2の100%以下であるのが望ましく、凹部15の深さH2よりも小さいのがより望ましく、凹部15の深さH2の85%以下がさらに望ましく、70%以下が一層望ましい。
内側微小突起19の突起高さH3が過度に小さいと、凹部15の底部17側の黒色度が小さくなる。このため、内側微小突起19の突起高さH3は、凹部15の深さH2の30%以上が望ましく、40%以上がより望ましい。
このような装飾部10は、その微小突起11を均一な大きさで密に配設した場合、より暗く見えるので、コントラストが明瞭になる。他方、微小突起11の大きさや配置をランダムとすると、上記密に配設した場合に比して、クラックや欠け等の損傷箇所が目立たなくなるという利点がある。
装飾部10は、例えば、外表面3aを形成するタイヤ1のゴム部材と同じゴムで形成されている。このような装飾部10の成形方法としては、例えば、タイヤ成形用の加硫金型の内面に微小突起11の反転模様の凹凸部(図示省略)を設けて、タイヤ1の加硫成形とともに装飾部10が形成されても良い。また、このような装飾部10の成形方法としては、例えば、周知の機械加工又はレーザ加工によって、加硫成形後のタイヤ1に装飾部10が設けられても良い。前記機械加工又はレーザ加工には、例えば、周知のコンピュータプログラムを用いるのが望ましい。
前記加硫金型を用いて、図3に記載された微小突起11を有するタイヤ1を複数本、例えば、数百本連続して製造する場合、前記凹凸部内にタイヤ1のゴムが堆積することがある。図4(a)には、このようなゴムの堆積した凹凸部で形成された微小突起11の斜視図が示される。この微小突起11は、本実施形態の微小突起11よりも突起高さH1が小さく形成されている。このため、突起頂部13の幅W1が、本実施形態(図3に示される)の突起頂部13の幅W1よりもやや大きくなる。しかしながら、この実施形態でも内側微小突起19が設けられているので、凹部15内に照射された光の反射による減衰効果が発揮される。このため、この実施形態の微小突起11においても、高い黒色度が発揮される。この場合、図4(a)に示される微小突起11の突起高さH1は、図3に示される微小突起11の突起高さH1の40%以上であるのが望ましく、45%以上であるのがさらに望ましく、50%以上であるのが一層望ましい。
図4(b)は、他の実施形態の微小突起11の斜視図である。本実施形態の微小突起11と同じ構成要素には、同じ符号が付されてその説明が省略される場合がある。図4(b)に示される微小突起11は、内側頂部20の中心を通る縦断面において、側面部21が内側微小突起19の内側に向かって凹の円弧状に形成されている。このような側面部21も、黒色度を確保する効果を発揮する。
図5(a)は、さらに他の実施形態の微小突起11の斜視図である。図5(b)は、図5(a)の微小突起11の平面図である。図6(a)は、図5(a)の微小突起11の縦断面図である。本実施形態の微小突起11と同じ構成要素には、同じ符号が付されてその説明が省略される場合がある。図5(a)、(b)、図6(a)に示される微小突起11は、少なくとも一部が壁面部16と一体に成形されているか、又は、接触している内側微小突起19を含んでいる。この実施形態の内側微小突起19も、凹部15の底側を見えにくくして、反射を防ぐことができる。また、内側微小突起19は、凹部15内に照射された光を反射によって減衰し、さらに凹部15内からの光の反射を低減することができる。
この実施形態の内側微小突起19は、壁面部16と一体に成形されている一端部23と、一端部23と対向しかつ壁面部16と一体に成形されている他端部24と、一端部23と他端部24とを継ぐ主部25とを含んでいる。このような内側微小突起19は、壁面部16と一体に成形されているので、高い剛性を有している。内側微小突起19の横断面において、主部25は、例えば、その長手に沿って幅w2が同じである。
主部25の幅w2は、例えば、凹部15の突起頂部13での径D4の40%以上が望ましく、50%以上がさらに望ましく、80%以下が望ましく、70%以下がさらに望ましい。主部25の幅w2が凹部15の突起頂部13での径D4の40%以上かつ80%以下であるので、内側微小突起19の剛性が確保されつつ、光の反射の減衰効果が発揮される。
なお、この実施形態の内側微小突起19は、例えば、壁面部16と接触するように形成されても良い。前記「接触するように」とは、例えば、タイヤ1の転動による変形において、内側微小突起19と壁面部16とが接触する程度に、これらが離隔していることを意味する(図示省略)。このような内側微小突起19も、タイヤ1の変形によって、一端部23又は他端部24が壁面部16に支えられるので、高い剛性を有する。
この実施形態の内側凹部15Aは、内側微小突起19の幅方向の両側に配されている。各内側凹部15Aは、この実施形態では、その横断面が半円形状に形成されている。このような内側凹部15Aは、壁面部16と側面部21とによって、光の反射の減衰効果を高める。
内側凹部15Aは、この実施形態では、その開口面積が突起高さ方向に同じである。これにより、凹部15内に照射された光が凹部15内に閉じ込められる割合が大きくなるので、装飾部10の黒色度が高められる。なお、内側凹部15Aは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、その開口面積が突起高さ方向の内側に連続して小さくなる態様でもよい(図6(b)に示す)。
図7は、図5(a)に示された微小突起11を有するタイヤ1を製造するための加硫金型を用いて、複数本、例えば、数百本のタイヤ1を連続して製造した場合、数百本目のタイヤに成形される微小突起11の斜視図である。この微小突起11は、図5(a)に示された微小突起11よりも小さな突起高さH1で形成される。この実施形態の微小突起11では、突起頂部13に複数の凹部15が設けられた形状となる。各凹部15は、突起頂部13から突起高さ方向に延びている。このような微小突起11においても、装飾部10の黒色度が確保され得る。図7に記載された微小突起11は、2つの凹部15が設けられている。各凹部15は、この実施形態では、その横断面が、半円状で形成されている。前記半円状とは、曲線からなる円弧部18aと、円弧部18aの両端を直線で繋いだ弦部18bとで形成される。各凹部15は、例えば、弦部18bが互いに向き合った状態に配されている。各弦部18bは、この実施形態では、平行に配されている。各凹部15の横断面は、突起高さ方向に同じ形状である。なお、このような微小突起11は、製造一本目のタイヤに形成されても良い。
図8(a)は、さらに他の実施形態の微小突起11の斜視図、図8(b)は、図8(a)の平面図である。図9(a)は、図8(a)のA-A線断面図である。本実施形態の微小突起11と同じ構成には同じ符号が付されてその詳細な説明が省略される場合がある。図8及び図9(a)に示されるように、この実施形態の微小突起11は、複数の凹部15、例えば、2つの凹部15が設けられている。各凹部15は、例えば、突起頂部13から突起高さ方向に延びている。各凹部15は、この実施形態では、その横断面が、楕円状に形成されている。各凹部15は、例えば、同じ形状である。微小突起11は、この実施形態では、各凹部15の長軸F1が平行となるように形成されている。また、微小突起11は、例えば、各凹部15の短軸F2が1本の直線c上に配されている。このような微小突起11は、大きな剛性を有するとともに、高い黒色度を有する。なお、各凹部15の長軸F1や短軸F2の向きは、このような態様に限定されるものではない。
本実施形態では、各凹部15の短軸F2方向の離隔距離w2は、凹部15の短軸F2上から、凹部15の長軸F1の方向の両側に向かって漸減している。これにより、微小突起11の剛性が高く維持される。
特に限定されるものではないが、各凹部15間の最小離隔距離waは、例えば、凹部15の短径T2よりも小さいのが望ましい。これにより、凹部15による光の反射効果が高く確保される。反射効果と微小突起11の剛性確保の観点より、最小離隔距離waは、各凹部15の最大離隔距離wbの15%以上が望ましく、20%以上がさらに望ましく、30%以上が一層望ましく、50%以下が望ましく、45%以下がさらに望ましく、40%以下が一層望ましい。
図9(b)には、さらに他の実施形態の微小突起11が示される。本実施形態の微小突起11と同じ構成要素には、同じ符号が付されてその詳細な説明が省略される場合がある。図9(b)に示されるように、この実施形態の微小突起11は、突起頂部13から延びる外側凹部15Bと、外側凹部15Bに繋がって突起高さ方向の内側に延びる2つの内側凹部15Aとを含んでいる。内側凹部15Aは、この実施形態では、その横断面が楕円状に形成されている。外側凹部15Bは、例えば、横断面が円形状で形成されている。外側凹部15Bに進入した光は、内側凹部15A内で減衰されるので、黒色度を高める効果が発揮される。外側凹部15Bと内側凹部15Aとは、この実施形態では、突起高さが同じで形成されている。この実施形態の各内側凹部15Aは、例えば、図8(a)に示された各凹部15と同じ配置である。
図9(b)に示されるような微小突起11を有するタイヤ1を、前記加硫金型で連続して製造すると、図8(a)に示されるような、突起頂部13から延びる2つの凹部15を含む微小突起11が形成される。
この実施形態では、各凹部15の長径T1は、0.10mm以上が望ましく、0.15mm以上がさらに望ましく、0.40mm以下が望ましく、0.35mm以下がさらに望ましい。凹部15の長径T1が0.10mm以上かつ0.40mm以下であるので、凹部15の内側に照射された光が効果的に減衰されて、装飾部10の外観性能を確保することができる。
また、この実施形態では、凹部15それぞれの長径T1と短径T2との比(T1/T2)は、1.2以上が望ましく、1.3以上がより望ましく、1.8以下が望ましく、1.7以下がより望ましい。比(T1/T2)が1.2以上かつ1.8以下であるので、上述の作用が効果的に発揮される。
図10は、図8(a)に示された微小突起11を有する装飾部10の平面図である。図10に示されるように、この実施形態では、内側微小突起19が、これと隣接する微小突起11の内側微小突起19と向きが異なるように配されている。このような内側微小突起19の配置は、装飾部10の黒色度を高めるのに役立つ。前記「向き」とは、本明細書では、微小突起11の横断面において、一端部23と他端部24とを繋ぐ仮想直線nを設けたときの仮想直線nの向きである。仮想直線nは、突起頂部13の中心を通るように配される。
以上、本開示の特に好ましい実施形態について詳述したが、本開示は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本開示の効果を確認するため、サイドウォール部の外表面に装飾部を具える空気入りタイヤが試作された。そして、各試作タイヤの装飾部の黒色度合いによる視認性能についてテストがなされた。表1に記載された以外の仕様は、比較例及び実施例ともに実質的に同じである。
微小突起の配置個数:2.6個/mm2
H1:0.25mm
D1:0.54mm
D2:0.41mm
微小突起の配置個数:2.6個/mm2
H1:0.25mm
D1:0.54mm
D2:0.41mm
<視認性能>
各例の試作タイヤが、微小突起の反転模様を有する周知の加硫金型によって500本連続して生産された。検査員が、生産500本目の試作タイヤを側方から目視し、装飾部の黒色度を官能により評価した。結果は、比較例1を100とする評点で示されている。数値の大きいほうが、連続生産された場合でも、装飾部の黒色度の低下が抑制されており、視認性能に優れている。
評点は、105以上が合格である。
比較例2及び3の微小突起は、凹部が形成されているが、内側微小突起が設けられていない態様である。
テストの結果が表1に示される。
各例の試作タイヤが、微小突起の反転模様を有する周知の加硫金型によって500本連続して生産された。検査員が、生産500本目の試作タイヤを側方から目視し、装飾部の黒色度を官能により評価した。結果は、比較例1を100とする評点で示されている。数値の大きいほうが、連続生産された場合でも、装飾部の黒色度の低下が抑制されており、視認性能に優れている。
評点は、105以上が合格である。
比較例2及び3の微小突起は、凹部が形成されているが、内側微小突起が設けられていない態様である。
テストの結果が表1に示される。
実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して、視認性能が優れていることが理解される。とりわけ、図8(a)の微小突起は、最も高い黒色度を有していることが理解される。微小突起の光を反射する面積が増えるほど、黒色度が小さくなり視認性が悪化する。また、複数の凹部は、光を分断(減衰)して黒色度を高める。さらに、内側微小突起が図3に示されるものより、図5(a)、図8(a)及び図9(b)に示されるものの方が、タイヤ製造時に前記凹凸部内にゴムが堆積しにくいことが理解できる。
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
本開示は以下の態様を含む。
[本開示1]
タイヤであって、前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部に凹部が設けられており、前記凹部の内側には、内側微小突起が配置される。
[本開示2]
前記内側微小突起の突起高さは、前記凹部の深さの30%~100%である、本開示1に記載のタイヤ。
[本開示3]
前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、前記内側微小突起は、前記底部から前記壁面部と接触することなく前記突起頂部側に延びている、本開示1又は2に記載のタイヤ。
[本開示4]
前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、前記内側微小突起の少なくとも一部は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している、本開示1又は2に記載のタイヤ。
[本開示5]
前記内側微小突起は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している一端部と、前記一端部と対向しかつ前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している他端部と、前記一端部と前記他端部とを継ぐ主部とを含む、本開示4に記載のタイヤ。
[本開示6]
前記内側微小突起の横断面において、前記主部は、前記一端部と前記他端部との間の中間位置から前記一端部側及び前記他端部側に向かって、その幅が漸増している、本開示5に記載のタイヤ。
[本開示7]
タイヤであって、前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部から突起高さ方向に延びる複数の凹部が設けられる。
[本開示8]
前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、楕円状である、本開示7に記載のタイヤ。
[本開示9]
前記各凹部の長径は、0.10~0.40mmである、本開示8に記載のタイヤ。
[本開示10]
各凹部の長径と短径との比は、1.2~1.8である、本開示8又は9に記載のタイヤ。
[本開示11]
前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、半円状である、本開示7に記載のタイヤ。
タイヤであって、前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部に凹部が設けられており、前記凹部の内側には、内側微小突起が配置される。
[本開示2]
前記内側微小突起の突起高さは、前記凹部の深さの30%~100%である、本開示1に記載のタイヤ。
[本開示3]
前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、前記内側微小突起は、前記底部から前記壁面部と接触することなく前記突起頂部側に延びている、本開示1又は2に記載のタイヤ。
[本開示4]
前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、前記内側微小突起の少なくとも一部は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している、本開示1又は2に記載のタイヤ。
[本開示5]
前記内側微小突起は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している一端部と、前記一端部と対向しかつ前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している他端部と、前記一端部と前記他端部とを継ぐ主部とを含む、本開示4に記載のタイヤ。
[本開示6]
前記内側微小突起の横断面において、前記主部は、前記一端部と前記他端部との間の中間位置から前記一端部側及び前記他端部側に向かって、その幅が漸増している、本開示5に記載のタイヤ。
[本開示7]
タイヤであって、前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部から突起高さ方向に延びる複数の凹部が設けられる。
[本開示8]
前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、楕円状である、本開示7に記載のタイヤ。
[本開示9]
前記各凹部の長径は、0.10~0.40mmである、本開示8に記載のタイヤ。
[本開示10]
各凹部の長径と短径との比は、1.2~1.8である、本開示8又は9に記載のタイヤ。
[本開示11]
前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、半円状である、本開示7に記載のタイヤ。
1 タイヤ
1a 外表面
10 装飾部
11 微小突起
13 突起頂部
15 凹部
19 内側微小突起
1a 外表面
10 装飾部
11 微小突起
13 突起頂部
15 凹部
19 内側微小突起
Claims (11)
- タイヤであって、
前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、
前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、
少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部に凹部が設けられており、
前記凹部の内側には、内側微小突起が配置される、
タイヤ。 - 前記内側微小突起の突起高さは、前記凹部の深さの30%~100%である、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、
前記内側微小突起は、前記底部から前記壁面部と接触することなく前記突起頂部側に延びている、請求項1又は2に記載のタイヤ。 - 前記凹部は、前記突起頂部から前記微小突起の根元側に延びる壁面部と、前記微小突起の根元側で前記壁面部に連なる底部とを含み、
前記内側微小突起の少なくとも一部は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している、請求項1又は2に記載のタイヤ。 - 前記内側微小突起は、前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している一端部と、前記一端部と対向しかつ前記壁面部と一体に成形されているか又は接触している他端部と、前記一端部と前記他端部とを継ぐ主部とを含む、請求項4に記載のタイヤ。
- 前記内側微小突起の横断面において、前記主部は、前記一端部と前記他端部との間の中間位置から前記一端部側及び前記他端部側に向かって、その幅が漸増している、請求項5に記載のタイヤ。
- タイヤであって、
前記タイヤの視認可能な外表面の少なくとも一部に装飾部を有し、
前記装飾部は、1mm2当り2~10個の微小突起が配置されており、
少なくとも一つの前記微小突起は、突起頂部から突起高さ方向に延びる複数の凹部が設けられる、
タイヤ。 - 前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、楕円状である、請求項7に記載のタイヤ。
- 前記各凹部の長径は、0.10~0.40mmである、請求項8に記載のタイヤ。
- 前記各凹部の長径と短径との比は、1.2~1.8である、請求項8又は9に記載のタイヤ。
- 前記複数の凹部のそれぞれの横断面は、半円状である、請求項7に記載のタイヤ。
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2022
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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