JP2012131254A - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Akira Kamikoro
明 神頃
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Abstract

【課題】加硫工程においてベアが生じにくく、かつ耐久性に優れたランフラットタイヤ2の提供。
【解決手段】タイヤ2は、トレッド4、ウイング6、サイドウォール8、クリンチ部10、ビード12、カーカス14、支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。サイドウォール8には、ディンプル62が形成されている。サイドウォール8には、粗面加工が施されている。ビード12の半径方向外側端52のベースラインBLからの高さHaの、最大幅位置P100のベースラインからの高さHbに対する比率は、80%以上110%以下である。ディンプル62が形成されたゾーンの半径方向の幅Wの、高さHaに対する比率は、60%以上120%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ランフラットタイヤに関する。詳細には、本発明は、ランフラットタイヤのサイド面の改良に関する。
近年、サイドウォールの内側に荷重支持層を備えたランフラットタイヤが開発され、普及しつつある。この支持層には、高硬度な架橋ゴムが用いられている。このランフラットタイヤは、サイド補強タイプと称されている。このタイプのランフラットタイヤでは、パンクによって内圧が低下すると、支持層によって荷重が支えられる。この支持層は、パンク状態でのタイヤの撓みを抑制する。パンク状態で走行が継続されても、高硬度な架橋ゴムが、支持層での発熱を抑制する。このランフラットタイヤでは、パンク状態でも、ある程度の距離の走行が可能である。このランフラットタイヤが装着された自動車には、スペアタイヤの常備は不要である。このランフラットタイヤの採用により、不便な場所でのタイヤ交換が避けられうる。
パンク状態にあるランフラットタイヤの走行が継続されると、支持層の変形と復元とが繰り返される。この繰り返しにより支持層で熱が生じ、タイヤが高温に達する。この熱は、タイヤを構成するゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離を招来する。破損及び剥離が生じたタイヤでは、走行は不可能である。パンク状態での長時間の走行が可能なランフラットタイヤが望まれている。換言すれば、熱に起因する破損及び剥離が生じにくいランフラットタイヤが望まれている。
特開2006−137247公報には、ビードフィラーとサイド補強ゴム層とを備えたランフラットタイヤが開示されている。このタイヤでは、サイド補強ゴム層の半径方向内側端の高さは、ビードフィラーの半径方向外端までの高さの40〜55%である。
国際公開WO2009/139182公報には、サイド面が多数のディンプルを備えたランフラットタイヤが開示されている。このタイヤでは、ディンプルによって乱流が発生する。乱流は、タイヤから大気への放熱を促進する。このタイヤは、昇温しにくい。
特開2006−137247公報 国際公開WO2009/139182公報
特開2006−137247公報に開示されたタイヤでは、パンク状態での耐久性に改善の余地がある。
国際公開WO2009/139182公報開示されたタイヤでは、ディンプルに起因して、加硫時にベアが生じやすい。
本発明の目的は、パンク状態での耐久性に優れ、しかも製造時にベアが生じにくいランフラットタイヤの提供にある。
本発明に係るランフラットタイヤは、
(1)その外面がトレッド面をなすトレッド、
(2)それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォール、
(3)それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビード、
(4)上記トレッド及びサイドウォールに沿っており、両ビードの間に架け渡されたカーカス、
(5)半径方向において、トレッドの内側でかつカーカスの外側に位置する補強層、
及び
(6)それぞれがサイドウォールの軸方向内側に位置する一対の荷重支持層
を備える。このタイヤのサイド面は、多数の凹みを有する。このサイド面には、粗面加工が施されている。
好ましくは、凹みは、その平面形状が円であるディンプルである。
好ましくは、ビードの半径方向外側端のベースラインからの高さHaの、最大幅位置のベースラインからの高さHbに対する比率は、80%以上110%以下である。
好ましくは、凹みが形成されたゾーンの半径方向の幅Wの、ビードの半径方向外側端のベースラインからの高さHaに対する比率は、60%以上120%以下である。
本発明に係るランフラットタイヤでは、凹みにより、サイド面の大きな表面積が達成される。大きな表面積は、タイヤから大気への放熱を促進する。この凹みはさらに、タイヤの周囲に乱流を発生させる。この乱流により、タイヤから大気への放熱が促進される。このタイヤは、昇温しにくい。このタイヤでは、熱に起因するゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離が生じにくい。このタイヤは、耐久性に優れる。
このタイヤでは、サイド面に粗面加工が施されているので、製造時にベアが生じにくい。粗面加工はさらに、乱流発生を促進しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係るランフラットタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのサイド面の一部が示された正面図である。 図3は、図2のサイド面のサイドウォールの一部が示された拡大斜視図である。 図4は、図1のタイヤのディンプルが示された拡大平面図である。 図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図1のタイヤの一部が示された断面図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの一部が示された平面図である。 図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、ランフラットタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線Eqはタイヤ2の赤道面を表わす。図1において、矢印HはベースラインBL(後に詳説)からのタイヤ2の高さを表す。
このタイヤ2は、トレッド4、ウイング6、サイドウォール8、クリンチ部10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。ベルト18及びバンド20は、補強層を構成している。ベルト18のみから、補強層が構成されてもよい。バンド20のみから、補強層が構成されてもよい。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面26を形成する。トレッド面26には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、キャップ層30とベース層32とを有している。キャップ層30は、架橋ゴムからなる。ベース層32は、他の架橋ゴムからなる。キャップ層30は、ベース層32の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層32に積層されている。
サイドウォール8は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール8は、架橋ゴムからなる。サイドウォール8は、カーカス14の外傷を防止する。サイドウォール8は、リブ34を備えている。リブ34は、軸方向外側に向かって突出している。パンク状態での走行のとき、このリブ34がリムのフランジ36と当接する。この当接により、ビード12の変形が抑制されうる。変形が抑制されたタイヤ2は、パンク状態での耐久性に優れる。
クリンチ部10は、サイドウォール8の半径方向略内側に位置している。クリンチ部10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ部10は、リムのフランジ36と当接している。
ビード12は、サイドウォール8の半径方向内側に位置している。ビード12は、コア38と、このコア38から半径方向外向きに延びるエイペックス40とを備えている。コア38はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス40は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス40は、高硬度な架橋ゴムからなる。
図1において矢印Haで示されているのは、ベースラインBLからのエイペックス40の高さである。換言すれば、高さHaは、ビードの半径方向外側端の、ベースラインからの高さである。このベースラインBLは、コア38の、半径方向における最も内側地点を通過する。このベースラインBLは、軸方向に延びる。タイヤ2の高さHに対するエイペックス40の高さHaの比(Ha/H)は、0.1以上0.7以下が好ましい。比(Ha/H)が0.1以上であるエイペックス40は、パンク状態において車重を支持しうる。このエイペックス40は、パンク状態でのタイヤ2の耐久性に寄与する。この観点から、比(Ha/H)は0.2以上がより好ましい。比(Ha/H)が0.7以下であるタイヤ2は、乗り心地性に優れる。この観点から、比(Ha/H)は0.6以下がより好ましい。
図1において矢印Hbで示されているのは、ベースラインBLからの最大幅Wの位置P100(後に詳説)の高さである。高さHbに対する、高さHaの比率は、80%以上が好ましい。この比率が80%以上であるタイヤ2のサイド部の剛性は、大きい。このタイヤ2では、パンク時のサイド部の、リムフランジを支点とした変形(逆の円弧形状への変形)が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での耐久性に優れる。この観点から、この比率は85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。通常状態(正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態)での乗り心地の観点から、この比率は110%以下が好ましい。
カーカス14は、カーカスプライ42からなる。カーカスプライ42は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール8に沿っている。カーカスプライ42は、コア38の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ42には、主部44と折り返し部46とが形成されている。折り返し部46の端48は、ベルト18の直下にまで至っている。換言すれば、折り返し部46はベルト18とオーバーラップしている。このカーカス14は、いわゆる「超ハイターンアップ構造」を有する。超ハイターンアップ構造を有するカーカス14は、パンク状態におけるタイヤ2の耐久性に寄与する。このカーカス14は、パンク状態での耐久性に寄与する。
図示されていないが、カーカスプライ42は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。この支持層16は、カーカス14とインナーライナー22とに挟まれてる。支持層16は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層16は、三日月に類似の形状を有する。支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。タイヤ2がパンクしたとき、この支持層16が荷重を支える。この支持層16により、パンク状態であっても、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。このランフラットタイヤ2は、サイド補強タイプである。タイヤ2が、図1及び2に示された支持層16の形状とは異なる形状を有する支持層を備えてもよい。
カーカス14のうち、支持層16とオーバーラップしている部分は、インナーライナー22と離れている。換言すれば、支持層16の存在により、カーカス14は湾曲されられている。パンク状態のとき、支持層16には圧縮荷重がかかり、カーカス14のうち支持層16と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層16はゴム塊なので、圧縮荷重に十分に耐えうる。カーカス14のコードは、引張り荷重に十分に耐えうる。支持層16とカーカスコードとにより、パンク状態でのタイヤ2の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ2は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の硬度は60以上が好ましく、65以上がより好ましい。通常状態の乗り心地性の観点から、硬度は90以下が好ましく、80以下がより好ましい。硬度は、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられて、硬度が測定される。測定は、23℃の温度下でなされる。
支持層16の下端50は、エイペックス40の上端52(すなわちビードの半径方向外側端)よりも、半径方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はエイペックス40とオーバーラップしている。図1において矢印L1で示されているのは、支持層16の下端50とエイペックス40の上端52との半径方向距離である。距離L1は、5mm以上50mm以下が好ましい。距離L1がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。距離L1は10mm以上がより好ましい。距離L1は40mm以下がより好ましい。
支持層16の上端54は、ベルト18の端56よりも軸方向において内側に位置している。換言すれば、支持層16はベルト18とオーバーラップしている。図1において矢印L2で示されているのは、支持層16の上端54とベルト18の端56との軸方向距離である。距離L2は、2mm以上50mm以下が好ましい。距離L2がこの範囲であるタイヤ2では、均一な剛性分布が得られる。距離L2は5mm以上がより好ましい。距離L1は40mm以下がより好ましい。
パンク状態での縦歪みの抑制の観点から、支持層16の最大厚みは3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、7mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、最大厚みは、25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。
ベルト18は、カーカス14の半径方向外側に位置している。ベルト18は、カーカス14と積層されている。ベルト18は、カーカス14を補強する。ベルト18は、内側層58及び外側層60からなる。図1から明らかなように、内側層58の幅は、外側層60の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層58及び外側層60のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層58のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層60のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト18の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅W(後に詳説)の0.85倍以上1.0倍以下が好ましい。ベルト18が、3以上の層を備えてもよい。
バンド20は、ベルト18を覆っている。図示されていないが、このバンド20は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド20は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト18が拘束されるので、ベルト18のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
タイヤ2が、バンド20に代えて、ベルト18の端56の近傍のみを覆う、いわゆるエッジバンドを備えてもよい。タイヤ2が、バンド20と共に、エッジバンドを備えてもよい。
インナーライナー22は、カーカス14の内周面に接合されている。インナーライナー22は、架橋ゴムからなる。インナーライナー22には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー22は、タイヤ2の内圧を保持する。
図1及び2に示されるように、このタイヤ2は、そのサイド面に多数の凹み(ディンプル62)を備えている。本発明においてサイド面とは、タイヤ2の外面のうち軸方向から目視されうる領域を意味する。典型的には、ディンプル62は、サイドウォール8の表面に形成される。これらのディンプル62は、仮想線F1と仮想線F2とに囲まれたゾーンに存在している。図2において矢印Wで示されているのは、仮想線F1と仮想線F2との半径方向距離である。換言すれば、矢印Wで示されているのは、ディンプル62が存在するゾーンの半径方向幅である。
図3は、図2のサイドウォール8の一部が示された拡大斜視図である。図3には、多数のディンプル62が示されている。それぞれのディンプル62の表面形状は、円である。本発明において表面形状とは、ディンプル62が無限遠から見られたときのディンプル62の輪郭の形状を意味する。同様のディンプル62がクリンチ部10にも形成されてもよい。
図4は、図1のタイヤ2のディンプル62が示された拡大平面図である。図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。図5では、ディンプル62の中心を通過し、タイヤ2の半径方向に対して垂直な平面に沿った断面が示されている。図5に示されるように、ディンプル62は凹陥している。サイド面のうちディンプル62以外の領域は、ランド64である。
ディンプル62を有するサイド面の表面積は、ディンプル62がないと仮定されたときのサイド面の表面積よりも大きい。このタイヤ2の大気との接触面積は、大きい。大きな接触面積により、タイヤ2から大気への放熱が促進される。
ディンプル62は、スロープ面66と底面68とを備えている。スロープ面66は、リング状である。底面68は、スロープ面66と連続している。底面68は、円形である。
図4において二点鎖線で示されているのは、タイヤ2の周りの空気の流れである。タイヤ2は、走行時に回転する。タイヤ2が装着された車輌は、進行する。タイヤ2の回転と車輌の進行とにより、ディンプル62を横切って空気が流れる。空気は、ランド64に沿って流れ、スロープ面66に沿ってディンプル62に流入する。この空気はディンプル62の中を流れ、下流のスロープ面66に沿って流れ、ディンプル62から流出する。空気はさらに、下流のランド64に沿って流れる。
図4に示されるように、ディンプル62に流入するとき、空気の流れに渦が生じる。換言すれば、ディンプル62の入口において乱流が生じる。パンク状態においてタイヤ2の走行が継続されると、支持層16の変形と復元とが繰り返される。この繰り返しにより、支持層16で熱が生じる。乱流は、この熱の大気への放出を促進する。このタイヤ2では、熱によるゴム部材の破損及びゴム部材間の剥離が抑制される。このタイヤ2は、パンク状態での長時間の走行が可能である。乱流は、パンク状態のみならず、通常状態での放熱にも寄与する。ディンプル62は、通常状態でのタイヤ2の耐久性にも寄与する。運転者の不注意により、内圧が正規値よりも小さい状態で走行がなされることがある。この場合の耐久性にも、ディンプル62は寄与しうる。
渦を形成した空気は、ディンプル62の内部において、スロープ面66及び底面68に沿って流れる。この空気は、円滑にディンプル62から流出する。このタイヤ2では、フィンを有する従来のタイヤ及び溝を有する従来のタイヤに見られる滞留が生じにくい。従って、滞留によって放熱が阻害されることがない。このタイヤ2は、耐久性に極めて優れる。
放熱効率の観点から、幅W(図2参照)の高さHa(図1参照)に対する比率は、60%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。製造容易の観点から、この比率は120%以下が好ましい。
放熱効率の観点から、ビード12の半径方向外側端52が、半径方向において、仮想線F1及びF2(図2参照)の間に位置することが好ましい。理想的には、この外側端52は、半径方向において、仮想線F1及びF2の中間地点に位置する。
このタイヤ2では、ディンプル62によって昇温が抑制されるので、支持層16が薄くても、パンク状態での長時間の走行が可能である。薄い支持層16により、タイヤ2の軽量が達成される。薄い支持層16により、転がり抵抗が抑制される。軽量でかつ転がり抵抗が小さなタイヤ2は、車輌の低燃費に寄与する。さらに、薄い支持層16により、優れた乗り心地も達成される。
図4及び5に示されるように、底面68は複数のリッジ72を備えている。本実施形態では、リッジ72は等間隔で並んでいる。リッジ72の形成は、粗面加工の一種である。粗面加工とは、タイヤの表面に微小な凹凸を生じさせる加工を意味する。
ディンプル62はランド64よりも凹陥しているので、加硫工程においてディンプル62の近傍のエアーが排出されにくい。エアーが残存すると、タイヤ2にベアが発生する。粗面加工が施されたサイド面では、エアーが移動し易い。粗面加工は、ベアを抑制する。粗面加工が施されたサイド面では、性能に差し障りのない小さなベアーが生じた場合でも、このベアーが目立たない。粗面加工により、タイヤ2の優れた外観が達成される。さらに、粗面加工されたサイド面では、乱流が生じやすい。粗面加工されたサイド面では、タイヤ2から大気への熱の放出が促進されうる。
図5において矢印Hcで示されているのは、リッジ72の高さである。ベアー抑制の観点から、高さHcは0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。高さHcは、2.5mm以下が好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。
図5において矢印Pで示されているのは、リッジ72のピッチである。この実施形態では、一定のピッチPにて、リッジ72が配置されている。一定ではないピッチPにて、リッジ72が配置されてもよい。ベアー抑制の観点から、平均ピッチは2.2mm以下が好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。平均ピッチは、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上が特に好ましい。
スロープ面66に、リッジ72が形成されてもよい。ランド64に、リッジ72が形成されてもよい。底面68及びスロープ面66に、リッジ72が形成されてもよい。底面68及びランド64に、リッジ72が形成されてもよい。スロープ面66及びランド64に、リッジ72が形成されてもよい。サイドウォール8の全面(すなわち底面68、スロープ面66及びランド64)に、リッジ72が形成されてもよい。
リッジ72に代えて、又はリッジ72と共に、他の粗面加工がサイド面に施されてもよい。他の粗面加工としては、シボ加工、ローレット加工及びナシ地加工が例示される。ディンプル62の表面又はランド64に、多数の微小ディンプル又は多数の微小ピンプルが形成されてもよい。
図5における二点鎖線Sgは、ディンプル62の一方のエッジEdから他方のエッジEdまで引かれた線分である。図5において矢印Diで示されているのは、線分Sgの長さであり、ディンプル62の直径である。直径Diは、2mm以上70mm以下が好ましい。直径Diが2mm以上であるディンプル62には十分に空気が流入するので、十分に乱流が発生する。このディンプル62により、タイヤ2の昇温が抑制される。この観点から、直径Diは4mm以上がより好ましく、6mm以上が特に好ましい。直径Diが70mm以下であるディンプル62を有するタイヤ2では、多数の箇所で乱流が発生しうる。さらに、直径Diが70mm以下であるディンプル62を有するタイヤ2では、サイド面の表面積が大きい。大きな表面積により、タイヤ2からの放熱が促進される。このディンプル62により、タイヤ2の昇温が抑制される。この観点から、直径Diは50mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。非円形ディンプルの直径Diが決定される場合、この非円形ディンプルの面積と同一の面積を有する円形ディンプルが想定される。この円形ディンプルの直径が、非円形ディンプルの直径Diと定義される。
タイヤ2が、互いに直径Diの異なる2種以上のディンプル62を有してもよい。2種以上のディンプル62を有するタイヤ2では、ディンプルの平均直径は2mmが好ましく、4mm以上がより好ましく、6mm以上が特に好ましい。平均直径は、70mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。その直径Diが上記範囲内であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率は50%以上が好ましく、70%以上が好ましい。理想的には、この比率は100%である。
図5において矢印Deで示されているのは、ディンプル62の深さである。深さDeは、ディンプル62の最深部と線分Sgとの距離である。深さDeは、0.1mm以上7mm以下が好ましい。深さDeが0.1mm以上であるディンプル62では、十分な乱流が生じる。この観点から、深さDeは0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。深さDeが7mm以下であるディンプル62では、底において空気が滞留しにくい。さらに、ディンプル62の深さDeが7mm以下であるタイヤ2では、ディンプルの直下においてサイドウォール8が十分な厚みを有する。この観点から、深さDeは4mm以下がより好ましく、3mm以下が特に好ましい。
タイヤ2が、互いに深さDeの異なる2種以上のディンプル62を有してもよい。2種以上のディンプル62を有するタイヤ2では、ディンプルの平均深さは0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。平均深さは7mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下が特に好ましい。その深さDeが上記範囲内であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率は50%以上が好ましく、70%以上が好ましい。理想的には、この比率は100%である。
深さDeと直径Diとの比(De/Di)は、0.01以上0.5以下が好ましい。比(De/Di)が0.01以上であるディンプル62では、十分な乱流が生じる。この観点から、比(De/Di)は0.03以上がより好ましく、0.05以上が特に好ましい。比(De/Di)が0.5以下であるディンプル62では、底において空気が滞留しにくい。この観点から、比(De/Di)は0.4以下がより好ましく、0.3以下が特に好ましい。
ディンプル62の容積は、1.0mm以上400mm以下が好ましい。容積が1.0mm以上であるディンプル62では、十分な乱流が生じる。この観点から、容積は1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上が特に好ましい。容積が400mm以下であるディンプル62では、底において空気が滞留しにくい。さらに、ディンプル62の容積が400mm以下であるタイヤ2では、サイドウォール8が十分な剛性を有する。この観点から、容積は300mm以下がより好ましく、250mm以下が特に好ましい。
全てのディンプル62の容積の合計値は、300mm以上5000000mm以下が好ましい。合計値が300mm以上であるタイヤ2では、十分な放熱がなされる。この観点から、合計値は600mm以上がより好ましく、800mm以上が特に好ましい。合計値が5000000mm以下であるタイヤ2では、サイドウォール8が十分な剛性を有する。この観点から、容積は1000000mm以下がより好ましく、500000mm以下が特に好ましい。
ディンプル62の面積は、3mm以上4000mm以下が好ましい。面積が3mm以上であるディンプル62では、十分な乱流が生じる。この観点から、面積は12mm以上がより好ましく、20mm以上が特に好ましい。ディンプル62の面積が4000mm以下であるタイヤ2では、サイドウォール8が十分な強度を有する。この観点から、面積は2000mm以下がより好ましく、1300mm以下が特に好ましい。本発明においてディンプル62の面積は、ディンプル62の輪郭に囲まれた領域の面積を意味する。円形ディンプル62の場合は、下記数式によって面積Sが算出される。
S = (Di / 2) * π
本発明においてディンプル62の占有率Yは、下記数式によって算出される。
Y = (S1 / S2) * 100
この数式において、S1は基準領域に含まれるディンプル62の面積であり、S2はディンプル62がないと仮定されたときの基準領域の表面積である。基準領域は、サイド面のうち、ベースラインBLからの高さがタイヤ2高さHの20%以上80%以下である領域である。占有率Yは、10%以上85%以下が好ましい。占有率Yが10%以上であるタイヤ2では、十分な放熱がなされる。この観点から、占有率Yは30%以上がより好ましく、40%以上が特に好ましい。占有率Yが85%以下であるタイヤ2では、ランド64が十分な耐摩耗性を有する。この観点から、占有率Yは80%以下がより好ましく、75%以下が特に好ましい。
隣接するディンプル62同士の間隔は、0.05mm以上20mm以下が好ましい。間隔が0.05mm以上であるタイヤ2では、ランド64が十分な耐摩耗性を有する。この観点から、間隔は0.10mm以上がより好ましく、0.2mm以上が特に好ましい。間隔が20mm以下であるタイヤ2では、多数の箇所で乱流が発生しうる。この観点から、間隔は15mm以下がより好ましく、10mm以下が特に好ましい。
ディンプル62の総数は、50個以上5000個以下が好ましい。総数が50個以上であるタイヤ2では、多数の箇所で乱流が発生しうる。この観点から、総数は100個以上がより好ましく、150個以上が特に好ましい。総数が5000個以下であるタイヤ2では、個々のディンプル62が十分なサイズを有しうる。この観点から、総数は2000個以下がより好ましく、1000個以下が特に好ましい。総数及びディンプルのパターンは、タイヤのサイズ及びサイド部の面積に応じて適宜決定されうる。
タイヤ2が、円形ディンプル62に代えて、又は円形ディンプル62と共に、非円形ディンプルを有してもよい。典型的な非円形ディンプルの平面形状は、多角形である。タイヤ2が、その平面形状が楕円又は長円であるディンプルを有してもよい。タイヤ2が、その平面形状が涙形(ティアドロップタイプ)であるディンプルを有してもよい。タイヤ2が、ディンプルと共に凸部を有してもよい。
タイヤ2は回転するので、ディンプル62に対する空気の流れ方向は、一定ではない。従って、このタイヤ2には、方向性を有さないディンプル62、すなわちその平面形状が円であるディンプル62が最も好ましい。タイヤ2の回転方向が考慮され、方向性を有するディンプルが配置されてもよい。
本発明において、「ディンプル」は、従来のタイヤにみられる溝とは明確に区別されうる。溝は、幅に対する長さが大きい。溝を有するタイヤでは、空気の滞留が生じやすい。一方ディンプルは、短径に対する長径の比が小さい。従って、ディンプルを有するタイヤでは、空気の滞留が生じにくい。短径に対する長径の比は3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。円形ディンプルでは、この比は1.0である。長径とは、ディンプルが無限遠から見られたときの輪郭内に画かれうる最長線分の長さである。短径は、この最長線分と直交する方向におけるディンプルのサイズである。
図3に示されるように、このタイヤ2では、多数のディンプル62が千鳥状に配置されている。従って、1個のディンプル62に6個のディンプル62が隣接している。この配置がなされたタイヤ2では、乱流の発生箇所が均一に分布する。このタイヤ2では、サイド面から均一に熱が放出される。この配置は、冷却効果に優れる。多数のディンプル62がランダムに配置されてもよい。
図5に示されるように、ディンプル62の断面形状は台形である。換言すれば、ディンプル62の形状は円錐台形である。このディンプル62では、深さDeの割には容積が大きい。従って、十分な容積と小さな深さDeとが両立されうる。小さな深さDeが設定されることにより、サイドウォール8が、ディンプル62の直下において十分な厚みを有しうる。このディンプル62は、サイド面の剛性に寄与しうる。
図5において符号αで示されているのは、スロープ面66の角度である。角度αは、10°以上70°以下が好ましい。角度αが10°以上であるディンプル62では、十分な容積と小さな深さDeとが両立されうる。この観点から、角度αは20°以上がより好ましく、25°以上が特に好ましい。角度αが70°以下であるディンプル62では、空気が円滑に流れる。この観点から、角度は60°以下がより好ましく、55°以下が特に好ましい。
図5において矢印Dbで示されているのは、底面68の直径である。直径Dbと直径Diとの比(Db/Di)は0.40以上0.95以下が好ましい。比(Db/Di)が0.40以上であるディンプル62では、十分な容積と小さな深さDeとが両立されうる。この観点から、比(Db/Di)は0.55以上がより好ましく、0.65以上が特に好ましい。比(Db/Di)が0.95以下であるディンプル62では、空気が円滑に流れる。この観点から、比(Db/Di)は0.85以下がより好ましく、0.80以下が特に好ましい。
図6は、図1のタイヤ2の一部が示された断面図である。図6には、トレッド4、ウイング6及びサイドウォール8が示されている。トレッド4からウイング6を経てサイドウォール8に至る表面の形状は、プロファイルと称される。プロファイルは、溝28、ディンプル62等の凹凸がないと仮定されて決定される。図6において矢印W/2で示されているのは、タイヤ2の最大幅Wの半分である。最大幅Wは、リブ34(図1参照)を除いて、軸方向で最も外側にある点P100が基準とされて決定される。プロファイルは、中心点TCから点P100に至っている。図6において、点P60、点P75及び点P90は、それぞれ、点TCからの軸方向距離がタイヤ2の半分の幅(W/2)の60%、75%及び90%であるプロファイル上の点を表す。
このタイヤ2は、CTTプロファイルを有している。このCTTプロファイルでは、中心点TCから点P90の間において、その曲率半径が徐々に減少している。CTTプロファイルは、典型的には、インボリュート曲線に基づいて決定される。CTTプロファイルが、インボリュート曲線に近似された多数の円弧から構成される部位を備えてもよい。図6に示されたタイヤ2では、中心点TCから点P90の間において、プロファイルが、インボリュート曲線に近似された多数の円弧から構成されている。円弧の数は3以上が好ましく、5以上がより好ましい。他の関数曲線に依拠して、CTTプロファイルが決定されてもよい。
CTTプロファイルが、関数曲線に近似された多数の円弧を備える場合、それぞれの円弧は、これに隣接する円弧と接する。それぞれの円弧の曲率半径は、これよりも軸方向内側にある円弧の曲率半径よりも小さい。
図6において、Y60は点TCと点P60との半径方向距離を表し、Y75は点TCと点P75との半径方向距離を表し、Y90は点TCと点P90との半径方向距離を表し、Y100は点TCと点P100との半径方向距離を表す。このCTTプロファイルは、下記数式(1)から(4)を満たす。
0.05 < Y60/H ≦ 0.10 (1)
0.10 < Y75/H ≦ 0.2 (2)
0.2 < Y90/H ≦ 0.4 (3)
0.4 < Y100/H ≦ 0.7 (4)
このCTTプロファイルは、タイヤ2の諸性能に寄与する。このプロファイルでは、タイヤ2に正規荷重の80%が付加されたときの接地幅は、タイヤ2の最大幅Wの0.50倍以上0.65倍以下である。
CTTプロファイルを備えたタイヤ2では、接地面の適正な形状が得られる。この接地面により、優れた乗り心地性が得られる。CTTプロファイルを備えたタイヤ2では、通常状態での走行時に繰り返される支持層16の変形が、大きい。このタイヤ2では、熱が生じやすい。このタイヤ2において、ディンプル62による放熱が特に顕著な効果を発揮する。
CTTプロファイルを備えたタイヤ2では、トレッド4のショルダー近傍と、車軸との距離が小さい。このタイヤ2のボリュームは、小さい。CTTプロファイルにより、タイヤ2の軽量が達成されうる。
上記ディンプル62は、種々のサイズのタイヤにおいてその効果を発揮する。乗用車タイヤの場合、幅が100mm以上350mm以下であり、偏平率が30%以上100%以下であり、リム径が10インチ以上25インチ以下である場合において、上記ディンプル62は効果を発揮する。
このタイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面にピンプルを有するモールドが用いられることにより、タイヤ2にディンプル62が形成される。ディンプル62は、ピンプルの形状が反転した形状を有する。キャビティ面に粗面加工が施されることにより、粗面を有するタイヤ2が得られる。キャビティ面の粗面加工の方法としては、工具による切削、エッチング及びブラストが挙げられる。
タイヤの各部位の寸法及び角度は、特に言及のない限り、タイヤが正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤに空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤには荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。但し、乗用車タイヤの場合、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
図7は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの一部が示された平面図である。図8は、図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。図7には、ディンプル62が示されている。ディンプル62は、スロープ面66及び底面68を備えている。底面68には、シボ加工が施されている。リッジ72(図5参照)に代えてシボを有している点を除き、このタイヤの構造は、図1に示されたタイヤ2の構造と同等である。
図7及び8に示されるように、シボ加工により、海82と島84とが形成されている。シボ加工は、粗面加工の一種である。
ディンプル62はランド64よりも凹陥しているので、加硫工程においてディンプル62の近傍のエアーが排出されにくい。エアーが残存すると、タイヤ2にベアが発生する。シボ加工が施されたサイド面では、エアーが移動し易い。シボ加工は、ベアを抑制する。シボ加工が施されたサイド面では、性能に差し障りのない小さなベアーが生じても、このベアーが目立たない。シボ加工により、タイヤ2の優れた外観が達成される。さらに、シボ加工されたサイド面では、乱流が生じやすい。シボ加工されたサイド面では、タイヤ2から大気への熱の放出が促進されうる。
図5において矢印Hcで示されているのは、島84の高さである。ベアー抑制の観点から、高さHcは0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上が特に好ましい。高さHcは、2.5mm以下が好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。
図8において矢印Pで示されているのは、島84のピッチである。シボ加工では、海82と島84とがランダムに配置される。従って、ピッチPは一定ではない。ベアー抑制の観点から、平均ピッチは2.2mm以下が好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。平均ピッチは、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上が特に好ましい。
スロープ面66に、シボ加工が施されてもよい。ランド64に、シボ加工が施されてもよい。底面68及びスロープ面66に、シボ加工が施されてもよい。底面68及びランド64に、シボ加工が施されてもよい。スロープ面66及びランド64に、シボ加工が施されてもよい。サイドウォール8の全面(すなわち底面68、スロープ面66及びランド64)に、シボ加工が施されてもよい。
シボ加工に代えて、又はシボ加工と共に、他の粗面加工がサイド面に施されてもよい。他の粗面加工としては、ローレット加工及びナシ地加工が例示される。ディンプル62の表面又はランド64に、多数の微小ディンプル又は多数の微小ピンプルが形成されてもよい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1から6に示されたランフラットタイヤを製作した。このタイヤの仕様は、以下の通りである。
サイズ:235/55R18 99H
ビードの半径方向外側端の高さHa:62mm
最大幅Wの位置P100の高さHb:62mm
ディンプルが形成されたゾーンの幅W:62mm
このタイヤは、サイド面にディンプルを備えている。ディンプルの仕様は、下記の通りである。
直径Di:8mm
深さDe:1.0mm
角度α:45°
ディンプルの総数:100
このタイヤの、ディンプルの底面及びスロープ面並びにランドには、シボ加工が施されている。このシボ加工の、平均ピッチは1.0mmであり、高さHcは1.0mmである。
[実施例2から8]
平均ピッチ及び高さHcを下記表1及び2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から8のタイヤを得た。
[実施例9から11]
底面にのみシボ加工を施した他は実施例1と同様にして、実施例9のタイヤを得た。スロープ面にのみシボ加工を施した他は実施例1と同様にして、実施例10のタイヤを得た。ランドにのみシボ加工を施した他は実施例1と同様にして、実施例11のタイヤを得た。
[実施例12から15]
幅Wを下記表4に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例12から15のタイヤを得た。
[実施例16から19]
高さHaを下記表5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例16から19のタイヤを得た。
[実施例20]
シボに代えてリッジを形成した他は実施例1と同様にして、実施例20のタイヤを得た。リッジの、平均ピッチは1.0mmであり、高さHcは1.0mmである。
[実施例21から27]
平均ピッチ及び高さHcを下記表6及び7に示される通りとした他は実施例20と同様にして、実施例21から27のタイヤを得た。
[実施例28から30]
底面にのみリッジを形成した他は実施例20と同様にして、実施例28のタイヤを得た。スロープ面にのみリッジを形成した他は実施例20と同様にして、実施例29のタイヤを得た。ランドにのみリッジを形成した他は実施例20と同様にして、実施例30のタイヤを得た。
[比較例1]
粗面加工を施さなかった他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。
[比較例2]
ディンプルを形成せず、粗面加工を施さなかった他は実施例1と同様にして、比較例2のタイヤを得た。
[質量]
タイヤの質量を測定した。この結果が、指数にて、下記表1から8に示されている。数値が小さいほど好ましい。
[縦バネ定数]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤに、JATMA規格に規定された最大負荷荷重の80%の荷重を負荷し、縦バネ定数を測定した。この結果が、指数にて、下記表1から8に示されている。数値が小さいほど好ましい。
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに内圧が220kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が4300ccであり、フロントエンジン−リアドライブの乗用車の左後のホイールに装着した。このタイヤのバルブコアを抜き取り、タイヤの内部を大気と連通させた。この乗用車の、左前、右前及び右後のホイールには、内圧が220kPaであるタイヤを装着した。ドライバーに、この乗用車を、テストコースで80km/hの速度で運転させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を測定した。この結果が、指数にて、下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[外観]
多数のタイヤのサイド面を目視で観察し、外観を評価した。ベアが発生していないタイヤ及びベアが発生しているがこのベアが目立たないタイヤの合計本数が、タイヤの全数に占める比率を、算出した。この結果が、指数にて、下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど好ましい。
Figure 2012131254
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表1から8に示されるように、各実施例のタイヤは、諸性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るランフラットタイヤは、種々の車輌に装着されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
8・・・サイドウォール
10・・・クリンチ部
12・・・ビード
14・・・カーカス
16・・・支持層
18・・・ベルト
20・・・バンド
62・・・ディンプル
64・・・ランド
66・・・スロープ面
68・・・底面
72・・・リッジ
82・・・海
84・・・島

Claims (4)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッド、
    それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォール、
    それぞれがこのサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビード、
    上記トレッド及びサイドウォールに沿っており、両ビードの間に架け渡されたカーカス、
    半径方向において、トレッドの内側でかつカーカスの外側に位置する補強層、
    及び
    それぞれがサイドウォールの軸方向内側に位置する一対の荷重支持層
    を備えており、
    そのサイド面が多数の凹みを有しており、
    このサイド面に粗面加工が施されているランフラットタイヤ。
  2. 上記凹みが、その平面形状が円であるディンプルである請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記ビードの半径方向外側端のベースラインからの高さHaの、最大幅位置のベースラインからの高さHbに対する比率が、80%以上110%以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記凹みが形成されたゾーンの半径方向の幅Wの、ビードの半径方向外側端のベースラインからの高さHaに対する比率が60%以上120%以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
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