JP2023016319A - 空調装置の吹出構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態の吹出構造体は、ケース内の通風路を閉鎖する状態となった風向可変手段がケースとの気密性を高めるように当接する当接面をケース内に設けるとともに、この当接面から上流側へと逆流する気流を下流側へと反転させる反し面をケース内に設けたことを主な特徴とする。
なお、以下の説明において前後左右上下の方向は、この吹出構造体を搭載する車両の前後左右上下の方向に一致させた各図における矢示方向を基準とする。
本実施形態の吹出構造体10は、運転席及び助手席のそれぞれに対応するように、車幅方向に複数並んで配置されているが、以下では、助手席に対応するように設けられるものの一つを例にとって吹出構造体10について具体的に説明する。
図2に示すように、吹出構造体10は、角筒体からなるケース1と、吹出口13となるケース1の一端側(図2の後側)でケース1内に収容される第1風向可変手段2とを備えている。また、吹出構造体10は、図3に示すように、ケース1の他端側(図3の前側)でケース1内に収容される第2風向可変手段3をさらに備えている。なお、第1風向可変手段2は、特許請求の範囲にいう「風向可変手段」に相当し、第2風向可変手段3は、特許請求の範囲にいう「他の風向可変手段」に相当する。
ケース1は、図3に示すように、上板部材1aと、下板部材1bと、側板部材1cと、ベゼル部材1dと、を有している。
ケース1は、これらの部材1a,1b,1c,1dが一体となることで前記の角筒体を形成している。そして、このケース1の内側には、矩形流路断面を有する後記の通風路5(図4参照)が形成されることとなる。
上板部材1aと下板部材1bとは、図4に示す側面視で、ケース1の前後方向に延びる中心線Cを挟んで相互に対称形状となっている。
そして、ダクト接続部7の後部には、ドラムフィン30の回動角度を規制するストッパ面7aが、板部材1aと下板部材1bのそれぞれに形成されている。ドラムフィン30の回り止めとして機能するこれらストッパ面7aについては、ドラムフィン30とともに後に詳しく説明する。
ドラムフィン配置部8の前部には、ドラムフィン30の後部の回動軌跡に沿って湾曲する湾曲部8aが形成されている。
なお、ドラムフィン配置部8における湾曲部8aの下流側は、上板部材1aと下板部材1bとの間隔が略一定で次に説明する縦フィン配置部9まで延びる一般部8bとなっている。
そして、ケース1は、ドラムフィン配置部8の一般部8bと縦フィン配置部9との段差を繋ぐように上板部材1a及び下板部材1bのそれぞれに縦壁面16が形成されている。
このような縦壁面16は、通風路5側で下流側に向けて突出する反し部11を有している。
なお、本実施形態での縦壁面16(反し面S2)は、上流側(前側)に向けて凹むように湾曲する湾曲面となっている。つまり、縦壁面16(反し面S2)は、縦壁面15に対して凹面にて向き合うようになっている。ただし、縦壁面16は、反し部11を有していれば、湾曲面に代えて上下方向に延びる平坦面とすることもできる。
ちなみに、縦フィン21の回動軸21aよりも前方に位置するこの前側部分の上下幅は、ドラムフィン配置部8の一般部8bにおける上板部材1aと下板部材1bとの上下間隔よりも広くなっている。
このような縦フィン配置部9における上板部材1aの後部と、下板部材1bの後部には、回動軸21aの軸受け9aが形成されている。そして、縦フィン配置部9を形成する上板部材1a、下板部材1b及び側板部材1cの後部には、次に説明するベゼル部材1dの前部が接続される。
また、ベゼル部材1dは、図4に示すように、ケース1の車室側となる最も下流側に配置され、空調装置(図示を省略)からの送風の吹出口13を形成している。
つまり、ケース1の内部には、前記の流入口17から吹出口13に向う風の通風路5が形成されることとなる。
気流案内部14は、後に詳しく説明するように、ドラムフィン30の回動角度に応じて通風路5内で変化した気流を、所定方向に案内するように構成されている。
気流案内部14は、図4に示すように、上下間隔が前後方向に沿って略一定の一般部14aと、この一般部14aの後側に接続されて後方に向かうほど上下間隔が徐々に狭まるように傾斜する傾斜部14bとで構成されている。
なお、一般部14aにおけるベゼル部材1dの内側の上下間隔は、ドラムフィン配置部8の一般部8bにおける上板部材1aと下板部材1bとの上下間隔と略等しくなるように設定されている。
そして、一般部14aにおけるベゼル部材1dの内側と縦フィン配置部9との段差としてベゼル部材1dの前端に形成される上下の縦壁面15は、後に詳しく説明するフィンシャット状態の縦フィン21の当接面S1となる。
これらの縦壁面15(当接面S1)は、前記の縦壁面16(反し面S2)との間でケース1内に空間部12を形成することとなる。つまり、この空間部12は、通風路5の外側で段差空間を形成している。
第1風向可変手段2は、図3に示すように、複数の縦フィン21と、連結部材22と、操作部23と、を主に備えて構成されている。
縦フィン21は、板体で構成され、板面が互いに平行となるように車幅方向(左右方向)に並んでいる。
回動軸21aは、縦フィン21の上縁及び下縁のそれぞれから上下方向に突出している。連結ピン21bは、回動軸21aの上流側で縦フィン21の上縁から上下方向に突出している。
また、複数の縦フィン21のうち、左右方向の中程に位置する一の縦フィン21dは、後記の操作部23が係合する係合ピン21cを有している。この係合ピン21cは、回動軸21aの下流側で上下方向に延びている。
このような連結部材22は、図4に示すように、縦壁面15(当接面S1)と縦壁面16(反し面S2)との間に形成される空間部12に配置されている。
なお、連結部材22は、縦フィン21を回動させる回動機構を構成している。
操作部23は、図3に示すように、ユーザの把持部23aと、この把持部23aから前方に向けて突出する二股部23bと、把持部23aを左右方向にスライド自在に支持する案内バー23cと、を有している。
図5に示すように、把持部23aを支持する案内バー23cの両端部は、ベゼル部材1dに支持されている。操作部23の二股部23bの間には、前記した縦フィン21の係合ピン21cが、前後方向に移動可能に嵌め込まれている。
このような第1風向可変手段2においては、ユーザが操作部23の把持部23aを左右方向にスライドさせると、縦フィン21dの係合ピン21cは、二股部23bの間を前後方向に移動しながら、縦フィン21dを回動軸21a回り回動させる。
このフィンシャット状態は、特許請求の範囲にいう「通風路を閉鎖する状態」に相当する。
また、フィンシャット状態となった縦フィン21は、図4中、点線で示すように、ベゼル部材1dの上下の縦壁面15(当接面S1)に当接することとなる。
次に、第2風向可変手段3(図3参照)について説明する。
図3に示すように、第2風向可変手段3は、第1風向可変手段2の上流側(前側)に配置されている。
第2風向可変手段3は、ドラムフィン30と、このドラムフィン30を回動させるリンク機構31とを主に備えて構成されている。
図6に示すように、ドラムフィン30は、車幅方向(左右方向)に長い部材であって、前後に開口を有する角筒状のドラムフィン本体32と、ドラムフィン本体32の内側を上下に仕切る平板状の横フィンからなる中間フィン33とを備えている。
ドラムフィン本体32は、平板状の横フィンからなる上フィン36及び下フィン37と、端板38とを備えている。
図4に戻って、上フィン36と下フィン37との間隔は、上流側から下流側に向けて徐々に狭くなっている。つまり、ドラムフィン本体32の後側(下流側)の開口断面積は、前側(上流側)の開口断面積よりも僅かに小さくなっている。
そして、中間フィン33は、上フィン36と下フィン37との間に配置されるとともに、左右一対の端板38によって、これら上フィン36及び下フィン37と一体に接続されている。
軸部39は、中間フィン33の前後方向の中央部に対応する位置で、端板38から左右方向に突出するように形成されている。
なお、図6中、一対の端板38のそれぞれに設けられる軸部39うち、右側の端板38の軸部39については作図の便宜上、その記載を省略している。
そして、図6に示すドラムフィン30は、ドラムフィン配置部8(図4参照)に配置された際に、軸部39を介してケース1(図3参照)の側板部材1c(図3参照)に回動可能に支持されることとなる。
図3に示すように、リンク機構31は、一方向に長い板状のレバー部材34と、アーム部材35とを備えている。
レバー部材34の後部には、ベゼル部材1dに対する軸支部34aと、把持部34bとが形成されている。なお、把持部34bは、図2に示すように、ベゼル部材1dに形成された小孔を介して車室側に突出している。
また、レバー部材34の前部には、長孔34cが形成されている。
このリンク機構31によれば、ユーザが把持部34bを上下移動させることで、レバー部材34及びアーム部材35を介してドラムフィン30が軸部39を中心に回動する。
次に、本実施形態に係る吹出構造体10の動作について説明する。
図7は、右向き送風時における吹出構造体10の動作説明図である。
図7に示すように、吹出構造体10の吹出口13から風Wを右向きに送風させる場合には、縦フィン21の下流側に位置する回動端が左側の側板部材1cの内壁面から離れるように縦フィン21を傾斜させる。具体的には、図2に示す操作部23の把持部23aを右側に向けてスライドさせる。
これにより縦フィン21は、下流側に位置する回動端が左側の側板部材1cの内壁面から離れるように傾斜する。
吹出構造体10は、図7に示すように、風Wを斜め右側に向けて吹出口13から車室R側に送風する。
図8Aに示すように、吹出構造体10の吹出口13から風Wを上向きに送風させる場合には、ドラムフィン30の中間フィン33の下流側がケース1の中心線Cから下方に向けて離れるように中間フィン33を傾斜させる。具体的には、図2に示すレバー部材34の把持部34bを中立位置から上方にスライドさせる。
この際、図3に示すリンク機構31は、レバー部材34の長孔34c側が下方に向けて移動する。このレバー部材34に連結されたアーム部材35は、中間フィン33が下向きとなるようにドラムフィン30を軸部39回りに回動させる。ちなみに、図8Aに示す中間フィン33においては、前記した回り止めとしての一対のストッパ面7aのうち、上側のストッパ面7aに当接している。
吹出構造体10は、図8Aに示すように、風Wを斜め上方に向けて吹出口13から車室R(図1参照)側に送風する。
この際、図3に示すリンク機構31は、レバー部材34の長孔34c側が上方に向けて移動する。このレバー部材34に連結されたアーム部材35は、中間フィン33が上向きとなるようにドラムフィン30を軸部39回りに回動させる。ちなみに、図8Bに示す中間フィン33においては、その前端が、前記した回り止めとしての一対のストッパ面7aのうち、下側のストッパ面7aに当接している。
吹出構造体10は、図8Bに示すように、風Wを斜め下方に向けて吹出口13から車室R(図1参照)側に送風する。
これにより吹出構造体10は、風Wを後方に直進させるように吹出口13から車室R(図1参照)側に送風する。
次に、本実施形態の吹出構造体10の奏する作用効果について説明する。
図9Aは、吹出構造体10の空間部12(段差空間)の周辺における気流A1,A2の模式図である。図9Bは、比較例に係る吹出構造体10aの空間部12(段差空間)の周辺における気流A1及び循環気流A2の模式図である。
図9Bに示すように、吹出構造体10aは、空間部12(段差空間)を挟んで前後方向に向き合う縦壁面15と縦壁面16とが互いに平行な平坦面で構成されている。
この合流によって、空間部12を有するケース内壁6側で、通風路5を上流側から下流側へと流れる気流A1は、図9B中、点線で示す流れから空間部12に対して離れる方向に持ち上げられて、実線で示す変位した流れとなる。
これにより実線にて示す気流A1は、ベゼル部材1dで気流案内部14での風向制御が不十分となって、風W(図8A及び図8B参照)の指向性が低下する。
このような吹出構造体10によれば、循環気流A2から通風路5における気流A1への合流がさらに効果的に抑制される。吹出構造体10は、風Wの指向性がさらに高くなる。
このような吹出構造体10によれば、循環気流A2から通風路5における気流A1への合流が、より一層効果的に抑制される。吹出構造体10は、風Wの指向性がより一層高くなる。
このような吹出構造体10によれば、ケース1内で所定の仕切り壁を介して通風路5と隔てたチャンバ内に連結部材22などの回動機構を配置するものと異なって、空間部12を有効利用することで、吹出構造体10のコンパクト化を図ることができる。
このような吹出構造体10によれば、第2風向可変手段3によって、吹出口13を介して吹き出される風Wの方向を、第1風向可変手段2とは異なる方向に変更可能となるとともに、通風路5内では空間部12(当接部S1)を有するケース内壁6側に沿うように送風方向を制御することができる。吹出構造体10は、風Wの指向性を高く設定しつつ、風Wの吹出方向についてその選択の幅を広げることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
2 第1風向可変手段(風向可変手段)
3 第2風向可変手段(他の風向可変手段)
5 通風路
6 空間部が形成されるケース内壁
10 吹出構造体
11 反し部
12 空間部
13 吹出口
17 流入口
21 縦フィン
21a 回動軸
30 ドラムフィン
39 軸部
A1 気流
A2 循環気流
D ダクト
R 車室
S1 当接面
S2 反し面
V 車両
Claims (5)
- 内側に通風路を有するケースと、
前記ケース内に配置されて吹き出す風の向きを回動角度に応じて変更可能となっているとともに風の吹き出しを禁止するように前記通風路を閉鎖する風向可変手段と、を備え、
前記ケース内には、
前記通風路を閉鎖する状態となった前記風向可変手段が当接するように、前記通風路の延在方向に対して交差する方向であって前記通風路から離れる方向に延びて形成される当接面と、
前記当接面の上流側で、前記当接面と対向するように設けられ、前記当接面から上流側へと逆流する気流を下流側へと反転させる反し面と、
が形成されていることを特徴とする空調装置の吹出構造体。 - 前記反し面は、前記通風路側で下流側に向けて突出する反し部を有していることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の吹出構造体。
- 前記反し面は、上流側に向けて凹む湾曲面を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の吹出構造体。
- 前記当接面と前記反し面との間に形成される空間部には、前記風向可変手段の回動機構が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の吹出構造体。
- 前記風向可変手段の上流側で前記ケース内に配置される他の風向可変手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置の吹出構造体。
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