JP2022545578A - 低分子ナマコ由来グリコサミノグリカン及びその応用 - Google Patents
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Abstract
Description
市販の干しナマコ10Kgを取り、水20Lに一晩浸し、破砕する。ナマコ由来スラリを100Lの反応釜に移し、水50μL、炭酸ナトリウム0.8Kg、塩化ナトリウム1.6Kgを追加し、50℃まで加熱して保温する。0.2Kgのアルカリプロテアーゼ2709を加え、酵素分解を6時間行った。酵素分解が終わった後、ガーゼで砂利をろ過除去し、そのろ液を5Kgの湿重量を有する「朗盛」社制「S5428樹脂釜」に移し、3時間攪拌吸着を続けた。その後、樹脂を濾取し、水で樹脂を3回洗い流し、15Lの4%塩化ナトリウム溶液で樹脂をすすぎ、リンス液を捨て、またすすぎを2回繰り返す。樹脂に対して、さらに15%塩化ナトリウム溶液で溶出し、それぞれ15Lで3回溶出し、室温で15-30分間に一回撹拌し、溶出液を併用する。撹拌して、45Lの95%エタノールを加えて沈殿させ、遠心分離でHGを集めた。得られたHGを2Lの3%塩化ナトリウム溶液で溶解した後、3Lの95%エタノールを加えて沈殿させ、95%エタノールを脱水し、乾燥させ、最終的にHGを合計125.2gを得た。
上記1の純品HGを100g量り、水を0.9L加え、全溶するまで攪拌する。氷酢酸を10mLと30%の過酸化水素を100mL加え、反応液を加熱して50℃程度に保つ。反応中にサンプリングしてHPLCで目的物の分子量分布を検出し、24時間程度で、サンプリングして測定した目的物の分子量は7400Daで、反応を中止する。反応液にNaOH溶液をpH中性まで補充し、塩化ナトリウム100gを加え、全溶まで攪拌する。さらに2Lの95%エタノールを加えて沈殿させ、遠心分離で目的のLHG粗品を得る。沈殿は、1Lの3%塩化ナトリウム溶液で再溶解し、さらに1.5Lの95%エタノールで沈殿する。再溶解と沈殿を1回繰り返し、最終沈殿を95%エタノールで脱水し、真空乾燥して、合計で73.5gのLHGを調製し、そのバッチ番号をLHG-L180501とする。
本実施例では、他のルートで入手したナマコで行う複数バッチのLHGの調製も挙げられる。
具体的には、上記の1と2の2つのステップを用いて、HPLC分子量検出に基づいてプロセス対照を行い、得られたLHGの分子量がすべて10000Da以下になるように、原材料の量(又は濃度)と温度、時間、pHなどの一般的な操作パラメータ、および塩水でアルコールを溶解させる沈殿などの一般的な精製工程の使用の有無、及び回数の差についてのみ、ナマコを用いてLHGの調製を行った。いくつかの典型的なバッチのバッチ番号、投入量と生産率は、以下の表1に示す通りである。
本実施例は実施例1で調製した各バッチのLHGの理化学的性質と生物学的特性の分析実験である。
被験化合物:上記実施例1の各バッチのLHG
(1)重量平均分子量検査:GPC-HPLC法を採用する。具体的な実験条件は、カラムは1本のTSKgelG2000SW(7.8mm×30cm、5m)と1本のTSKgelG3000SW(7.8mm×30cm、5m)を直列に接続し、検出器は示差屈折検出器(RID)を使用し、重量平均分子量計算標準品はUSP商用低分子ヘパリンの重量平均分子量校正品RSを使用し、分析用ソフトとしてはHPLCワークステーション及びAgilent社のGPCソフトを使用する。SEC-HPLC分析で検出し、GPCソフトと組み合わせて計算する。
(2)抗-Xa因子活性検査:USP40のヘパリンナトリウム因子力価測定方法を参照。
(3)抗凝血活性検査:USP32ヘパリンナトリウムによる力価検査法(ヒツジ血漿法)を参照。
(4)ナトリウム含有量の測定:中国薬局方0406原子吸光光度法を参照。
(5)GlcA:GalNAc:Fucのモル比分析:カルバゾール法によるグルクロン酸GlcA含有量の検出、Elson-Morgon法によるアセチルエステルアミノガラクトースGalNAc含有量の検出、及び1H NMRメチル基積分面積に基づくGalNAc/Fucモル比の算出。
(6)硫酸根/カルボン酸根の割合分析:電導滴定法により測定する。
(7)比旋光度測定:中国薬局方(2010版)二部付録VIE方法に基づいて測定する。
(8)絶対重量平均分子量検査:SEC-MALLS法により検査する。
1)重量平均分子量:各LHGサンプルの重量平均分子量は、いずれも10000Da以下であるに対して、天然由来HGの分子量は通常60000-80000Da以上であるため、LHGが解重合した低分子製品であることを示している。
また、SEC-MALLS法で測定した絶対重量平均分子量から、LHGの最大分子成分は28000Da-30000Daの間にあることであるため、繰り返し構成糖単位(GlcA(Fuc)-GalNAc)とそれに対応する硫酸度(4.0、スルホン酸根/カルボン酸根比率の結果)の修飾から推定すると、本発明における前記LHGの一般式構造中のnは、最大32であることが証明される。
2)抗凝固活性:各LHGサンプルに抗-Xa因子活性がほとんど見られていないため、その抗凝固作用は抗-Xa因子に依存せず、別の方式で発揮される。また、ヒツジ血漿法で測定した全抗凝固活性も10U/mg以下であるため、LHGの抗凝固活性が低いことが示唆された。
3)ナトリウム含有量:上記結果から分かるように、各LHGサンプルのナトリウム含有率は11.2%~12.1%の間に集中され、これは分子構造単位のカルボキシル基及び後述の硫酸根の数と一致しており、ナトリウムはこれらの基にイオン結合で結合している。
4)GlcA:GalNAc:Fucのモル比:結果より、各LHGサンプルの単糖組成モルは、比較的に近似され、いずれも1:0.8-1.2:0.6-1.2の間にあることがわかった。
5)スルホン酸根/カルボン酸根比率:結果から、各LHGサンプルのスルホン酸根/カルボン酸根比率は3.9-4.1と非常に近似され、LHGの一つの構成単位(GlcA(Fuc)-GalNAc)に、約4.0個の硫酸根修飾が存在し、硫酸根含有量が高いことが示唆された。
6)比旋光度:結果により、各LHGサンプルは-47°~-55°で異なる。
本実施例は、実施例1で調製されるLHGの主鎖二糖単位構造の特徴解析実験である。
従来の文献によると、天然由来HGはグルクロン酸(GlcA)とN-アセチルエステルアミノガラクトース(GalNAc)が二糖の繰り返し単位のコンドロイチン硫酸(CS)主鎖と、硫酸化Fucを分岐鎖とするグリコサミノグリカン(GAG)である。LHGは天然由来であるため、基本的な特徴は類似しているが、主鎖の二糖繰り返し単位(dp2)では、硫酸基やアセチルエステル置換の程度や部位の違いなどの原因により、様々な形を呈する。フコース基の分枝の存在のため、コンドロイチン硫酸酵素はLHGのコンドロイチン硫酸主鎖を分解することができず、主鎖の二糖分析を完了することができない。本実施例では、まず弱酸加水分解によってフコース基の分岐鎖を段階的に除去した後、コンドロイチン硫酸分解酵素ABCを用いて残りの主鎖を完全に酵素分解し、二糖単位を放出した後、二糖分析を展開した。
試験化合物:LHGサンプル(バッチ番号:LHG-L180501)実施例1由来。
試薬:8個のCS二糖(dp2)標準品(貨物番号:C3202)は、北京エドハウック科学技術有限公司に購入された。コンドロイチン硫酸分解酵素ABC(バッチ番号:120M4095V)は、Sigmaに購入された。その他の試薬はすべて分析純である。
2.1 サンプル処理:
2.1.1 フコース基の分枝を酸で異なる程度で取り除く:
サンプル192.0mgを正確に量り取り、1000μLのピペットガンで4.8mLの0.1MのH2SO4を加え、40mg/mLのサンプル溶液に配置する。十分に溶解した後、サンプルを均等に6組に分け、それぞれをSample1、Sample2、Sample3、Sample4、Sample5、Sample6と表記し、6組のサンプルを同時に100℃のオイルバスに入れて分解する。Sample1-6のオイルバスからの取り出し時間は、それぞれ0min、30min、60min、90min、120min、240minとする。各サンプルを取り出す後、室温まで放置した後、飽和Ba(OH)2溶液でpH7.0に調整する。上記中性に調整したサンプルを遠心分離して沈殿を除去する。1/3の上澄み液を採取し、500Daの透過性バッグに移し、24時間透析する。透析後、サンプルはそれぞれ重量を測った遠心チューブに移し、凍結乾燥し、保存する。
2.1.2 酵素分解で得られた主鎖二糖:
上記凍結乾燥後の6組の酸分解後のサンプルを取り、50mMのTris-HCl(pH=8.0)緩衝溶液を用いて、いずれも20mg/mLのサンプル溶液に配置する。溶解が完了する後、50μLずつ上記サンプル溶液を取り出してそれぞれ1mLの遠心チューブに入れ、それぞれ0.2IU(0.1IU/10μL)のコンドロイチン硫酸分解酵素ABCを加える。混ぜて密封し、37℃の恒温水槽に入れて36時間酵素分解する。Agilent 1260 Infinity液体クロマトグラフ試料分析を行った。酵素分解後のサンプルを、それぞれSample1-M、Sample2-M、Sample3-M、Sample4-M、Sample5-M、Sample6-Mと記す。
2.2 SAX-UV分析:
機械:Agilent 1260 Infinity液体クロマトグラフ。
カラム:Welch Ultimate XB-SAX(4.6×250mm、3.0μm)。
移動相A:2.33mMのリン酸二水素ナトリウム二水和物、pH3.0(0.364gのリン酸二水素ナトリウム二水和物を精製水950mLに定容し、溶液をリン酸でpH3.0に調整した後、0.22 μmフィルターを通し、脱気して保存する)。
移動相B:1.143Mの過塩素酸ナトリウム一水和物、pH3.0(160.6044gの過塩素酸ナトリウム一水和物を950mLの移動相Aに溶解し、完全に溶解した後、移動相Aで1Lまで定容し、溶液をリン酸でpH3.0に調整した後、0.22μmフィルターを通過した後、脱気して保存する)。
流速:0.6mL/min。
カラム温度:45℃。
サンプル量:5μL。
検出波長:232nm。
溶出勾配:下記の表3に示す。
図1は、本発明の実施例3に係る主鎖二糖単位構造の特徴解析のHPLC結果図であり、図1(A)は二糖標準品の結果であり、図1(B)は、Sample1-M、Sample2-M、Sample3-M、Sample4-M、Sample5-M及びSample6-Mの結果図である。
酵素分解後の二糖単位の4、5位に不飽和二重結合があり、232nm波長に特徴的な吸収があるため、検出には、強陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて紫外検出器を直列に接続する方法(SAX-UV、上記2.2の方法)を採用する。
まず、本実施例2.2に記載のSAX-UV法を用いて8つのCS二糖標準品を分離し、この方法の実行可能性を確保した結果、図1(A)に示すように、8つの標準品を効果的に分離することができ、PeakA-Hは、それぞれΔUA→GalNAc;ΔUA→GalNAc、6S;ΔUA→GalNAc、4S;ΔUA、2S→GalNAc;ΔUA、2S→GalNAc、6S;ΔUA→GalNAc、4S、6S;ΔUA、2S→GalNAc、4S;及びΔUA、2S→GalNAc、4S、6S二糖と、の順に表す。
研究の結果、実施例1のLHGサンプル(LHG-L180501)では、主鎖二糖単位のタイプには、ΔUA→GalNAc;ΔUA→GalNAc、6S;ΔUA→GalNAc、4S;ΔUA、2S→GalNAc;ΔUA、2S→GalNAc、6S;ΔUA→GalNAc、4S、6S;ΔUA、2S→GalNAc、4S;及びΔUA、2S→GalNAc、4S、6Sと、つまり、8種類の一般的な二糖タイプが含まれている。二糖単位の組成比率は、ΔUA→GalNAc;ΔUA→GalNAc、6S;ΔUA→GalNAc、4S;及びΔUA→GalNAc、4S、6Sを主とし、いずれもコンドロイチン硫酸Eと類似する配置を呈する。
本実施例は、実施例1で調製するLHGサンプルの1H-NMRの分析実験であり、その構造的特徴を確認するために用いる。
サンプルの調製:サンプルを35mgを取り、重水素水0.6mLに溶解(内標準校正ゼロ点としてTSPを0.002%添加)し、溶液を5mmの核磁気チューブに移し、超音波処理を2分間行う。
機械:NMR Bruker AC500HD。
ソフトウェア:Bruker Top Spin3.2(Bruker BIOspin GmbH)。
図3は、本発明の実施例4にかかるLHGの1H-NMRスペクトル図であり、図3(A)は全スペクトル図、図3(B)はFucの硫酸化修飾部分の拡大図である。
現代の核磁気共鳴技術、特に2次元核磁気共鳴(HQC-NMR)は、多糖類成分の構造情報を解析するために広く用いられてきた。ヘテロヘッドピークのシグナルだけでなく、糖鎖の環構造のシグナルも解析できます。本実施形態により提供されるのは、実施形態1で調製したLHGの糖鎖の構造特性である。
サンプルの調製:5mgのLHGを0.6mLのD2Oに十分に溶解し(0.002%TSPをD2Oに添加し、内部較正ゼロとして)、LHGのD2O溶液を得た。LHGのD2O溶液を5mmNMRチューブに移し、次いで超音波処理を2分間行った。別のサンプルも同様の方法で作製し、LHGの重量のみが100mgであった。
機械:NMR Bruker AC500HD。
ソフトウェア:Bruker Top Spin3.2(Bruker BIOspin GmbH)。
図4は、本発明の実施例5に係るLHGサンプルの頭出しCOSYとTCOSYの重畳画像であり、図5は、本発明の実施例5に係るLHGサンプルのHSQC-COSYとHSQC-TOCSYの重畳画像である。
被験化合物:
1)バッチ番号:LHG-L180501、実施例1由来。
2)バッチ番号:LHG-181101、実施例1由来。
3)バッチ番号:LHG-181102、実施例1由来。
4)バッチ番号:LHG-181103、実施例1由来。
後の3バッチは、4600Kg連続投入バッチの試作品である。
機械:NMR Bruker AC500HD(実施例5と同じ)。
ソフトウェア:Bruker Top Spin3.2(Bruker BIOspin GmbH)(実施例5と同じ)。
結果:
図7はこれらのバッチのLHGサンプルの1H-NMR画像の比較イメージである。
図7に示すように、これらのバッチのLHGサンプルの1H-NMRスペクトルはほぼ完全に一致した(1.2ppmと3.6ppmは残留溶媒エタノール信号である)。図7では、Fuc2、4S;Fuc3、4S;Fuc4S;Fuc’3、4S;及びFuc2Ac、4Sの5種類の主要なfuc残基の修飾タイプが識別できる。実施例4の表3に示す1Hの化学シフトから、各Fuc残基修飾成分の含有率を積分的に算出することができる。また、HSQC-NMRシグナル積分により、GlcA、特に2-O位硫酸化修飾したGlcA2Sのパーセンテージが得られた。結果を表6に示す。
本実施例では、本発明者は、まずゲルパーミエーションクロマトグラフィーでLHGサンプルを分離し、分子量の大小の異なる成分を収集して分離し、NMR法で各成分の異同を調べた結果を以下に示す。
被験化合物:
1)バッチ番号:LHG-190301、分子量9200Da、分析番号はG13692。
2)成分1、重量平均分子量21400Da、分析番号G13692_F1。
3)成分2、重量平均分子量6600Da、分析番号G13692_F3。
4)成分3、重量平均分子量4300Da、分析番号G13692_F5。
機械:NMR Bruker AC500HD、実施例5と同じ。
ソフトウェア:Bruker Top Spin3.2(Bruker BIOspin GmbH)(同実施例5)。
結果:
図8は、このLHGサンプルとその異なる分子量成分の1H-NMR画像の比較イメージである。その結果、分離された異なる分子量成分は、分離後の重量平均分子量の差は大きいが、その1H-NMRスペクトルはほぼ完全に一致していることが分かった。もちろん、F3とF5成分はより良い分解能を示しているが、F1と出発材料の分解能がやや悪いのは、分子量の大きさと成分の分散度の違いが関係しているからである。同様に、申請者はこれらの成分のHSQC-NMR画像を同様に考察し、結果も一致した。
図8では、Fuc2、4S;Fuc3、4S;Fuc4S;Fuc’3、4S;及びFuc2Ac、4Sの5種類の主要なFuc残基の修飾タイプが識別できる。実施例5中の表4に示す1Hの化学シフトから、各Fuc残基修飾成分の含有率を積分的に算出することができる。また、HSQC-NMRシグナル積分により、GlcA、特に2-O位硫酸化修飾したGlcA2Sのパーセンテージが得られた。結果を表7に示す。
被験化合物:LHG(LHG-l180501)上記実施例1。HG(純品HG、バッチ番号:HG-L180501、実施例1におけるLHG-L180501の調製過程で工程1で得るHGの残留サンプル)。
2.実験方法:
ウサギを頸動脈を通して放血し、珪酸化遠沈管で血液を採取した。3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固のために血液中に添加し、体積比は9:1である。次いで、混合物を室温で10分間遠心分離し(800r/min)、得られた上部流体は血小板リッチ血漿(PRP)であった。残りの血液を室温(3000 r/min)で10分間遠心分離し、血小板不良血漿(PPP)を基準として得るか、PRPの血小板数を調節した。実験では、PRPにおける血小板数は50万~70万であった。
LHGとHGの最終濃度はそれぞれ2.4μg/mL、12μg/mL、60μg/mL、300μg/mLであり、AA(最終濃度は60μmol/L)を誘導剤として血小板凝集実験を5回ずつ繰り返す。
血小板凝集の程度は比濁法で測定し、3回の測定の平均値をとる。
3.結果:
表8は本発明の実施例6のLHGがAA誘導ウサギ血小板凝集に及ぼす影響の結果である。
表8に示すように、対照群と比較して、LHGサンプル群は、300μg/mL群で顕著にAA誘導を促進するウサギ血小板凝集作用がある以外は、他の濃度群では顕著ではなかった。一方、未解重合のHGサンプル群では、濃度が最も低い2.4μg/mL群にはAA誘導を促進するウサギ血小板凝集作用がないことを除いて、他の濃度にはいずれも顕著な作用があり、濃度が大きいほど凝集が強くなる。
現在の文献によると、天然の大分子HGは抗凝固作用を持っているが、この抗凝固機能は血小板の凝集を抑制するのではなく、逆に血小板の凝集を誘導し、凝集時に血小板は活性化と代謝を起こさず、ただ凝集状態にある血小板は本来の生理活性と機能を発揮できない。本実施例の研究結果(表8参照)によると、大分子のHGは血小板凝集を誘導する活性が強く、12μg/mL以上の濃度では対照0μg/mLと有意差があるのに対し、小分子のLHGは対照0μg/mLと統計学的に有意な差がないため、LHGを使用することでHITと類似した潜在的な病態の発生を大幅に解消でき、安全性がより高まる。
試験化合物:LHG(バッチ番号:LHG-L180501)上記実施例1由来。
動物:マウス、18-23g、雌雄各半。
2.実験方法:
薬物調製:LHGを脱イオン水で100mg/mLに調製する。陽性対照:デキサメタゾン、脱イオン水を50mg/mLに調製する。ブランク・対照:水。
投与方式:皮下注射。
実験過程:健康マウス18匹を採取し、ランダムに3グループに分けて各6匹の雌雄は半分ずつで、それぞれLHG薬物グループ、陽性対照グループと空白対照グループとした。上記で調製した薬物溶液を、マウス体重0.01 mL/1gの量で注射投与し、5日間連続投与した。最終投与後30 min後、キシレン30Lを取ってマウスの右耳の両面に均一に塗布して炎症を起こし、左耳を対照とし、炎症を起こした後1時間で頸椎を外してマウスを処分し、パンチャーで左右耳の同じ部位の耳片を外し、天秤重量を分析し、耳介腫脹率及び耳介腫脹抑制率を算出した。
表9は、本発明の実施例9のLHGによるキシレンによるマウスの耳介腫脹の抑制の結果である。
表9に示すように、キシレンによるマウスの耳介腫脹1時間後、LHG薬物群のマウスの耳介腫脹度は低下し、陽性対照群(デキサメタゾン)と類似し、いずれも空白対照群との差異が顕著である(P<0.05)ことから、LHGはキシレンによるマウスの耳介腫脹炎症反応を効果的に抑制できることが示唆された。潜在的に、LHGは炎症関連疾患の治療に応用できる。
血管病変系疾患、特に糖尿病患者の血管病変は発病率が高く、患者の健康と生活の質に深刻な危害を及ぼすことが糖尿病患者の障害と死亡の第一の原因である。粘多糖類は、血管病変の予防と治療に一定の作用があることが知られている。
被験化合物:LHG(LHG-l180501)上記実施例1と同様。
比較化合物:dHG10092、解重合ナマコ由来グリコサミノグリカン、本出願人の発明特許CN201510438139.9に係る実施例2に記載されているもの。
被験動物:SDマウス、250g±50g、オス。
2.実験方法:
薬物の調製:LHG又はdHG10092を脱イオン水で100mg/mLの溶液を調製し、固形分として30mg/Kgで投与する。
投与方式:灌胃法。
飼料成分:(1)普通飼料:脂肪5%、炭水化物55%、タンパク質23%、セルロース及び灰分を含むその他の成分は17%。(2)高脂肪飼料成分:脂肪50%、炭水化物17%、タンパク質25%、セルロースおよび灰分を含むその他の成分は8%を占めている。
モデリングとグループ分け:6匹の空白対照グループのマウスに普通飼料を与え、残りの24匹のマウスに高脂肪飼料を与え、4週間後にストレプトゾトシン(Streptozotocin、STZ 35mg/Kg)を一度に注射し、1週間後に12時間断食したマウスの尾静脈血を採取し、血糖値を血糖計で測定し、空腹時血糖≧16.7mmol/Lを糖尿病グループのマウスのモデリング成功の指標とする。モデリングに成功したマウスをランダムにモデル対照群、LHG薬物群及びdHG10092薬物群に分け、各群ごとに6匹とし、その後、LHG薬物群及びdHG10092薬物群は毎日胃内投与を行い、12週間連続で投与した。
サンプル調製及び採取:LHG及びdHG10092薬物干渉12週間後、マウス麻酔固定、採血、遠心分離で上清を取り、血管細胞間接着分子-1(VCAM-1)、細胞間接着分子-1(ICAM-1)、一酸化窒素(NO)の検出に用いる。また、大動脈壁を取り、冷凍保存する。
マウス大動脈終末糖化産物(AGEs)、終末糖化産物受容体(RAGE)の含有量の測定:約50mgを取り一定の重量までに乾燥させた大動脈組織と呼び、ELISA法によりAGEsとRAGEの含有量を測定する。
糖尿病およびモデルでは、AGEsの生成は、蛋白質が架橋高分子を形成し、血管内皮細胞を損傷し、内皮細胞のアポトーシスを引き起こし、大動脈コンプライアンスが低下する。AGEsは受容体と結合し、ICAM-1、VCAM-1などの発現を増加させ、多種のサイトカインを活性化し、血管病変の発生に関与する。血液中のNO含有量の増加は血管の透過性増大と密接な関繋があり、NO含有量を下げることは、血管内皮細胞を効果的に保護し、血管の病変を減少させることができる。
糖尿病モデルマウスの血管病変に対するLHGの改善作用、各終末指標の測定結果を表10に示す。
試験化合物:実施例1に記載の方法で調製するLHG(サンプルバッチ番号:LHG-L180501、分子量7200Da)。
比較化合物1:dHG10092、解重合ナマコ由来グリコサミノグリカン、本出願人の発明特許第CN201510438139.9号に実施例2記載。
比較化合物2:ヘパリンナトリウム、市販の低分子ヘパリン製剤で、中国での商品名は「法安明」である。
細胞:蛍光標識したSUIT2細胞(SUIT2-LUC)ヒト膵臓癌細胞)。
動物:Athymic無毛マウス、メス。
機械:小動物生体画像形成システム(IVIS imaging system,Caliper Life Sciences,Hopkinton,MA,USA)。
2.実験方法
2.1グループと投与量:LHG投与グループ(LHG-l180501、30mg/kg)。対照dHGグループ(DHG10092、30mg/kg)。ヘパリンナトリウム組(市販の注射剤、10mg/Kg)。陰性対照:PBS緩衝液。
2.2投与方式:皮下注射、単回投与。
2.3細胞注射と動物管理:投与と同時に、SUIT2-LUCヒト膵臓癌細胞100μL、1×106細胞)を注射し、マウスに2週間給餌する。
2.4IVIS画像:細胞注射後と2週間給餌後に別々に画像を撮影して観察する。
2.5試験の終点で組織病理学検査を行う。
図9は本発明の実施例11のLHG対マウス体内SUIT2-LUC(ヒト膵臓癌細胞)肺転移抑制実験結果であり、図9(A)は体重変化折れ線グラフであり、図9(B)は腫瘍の体積変化折れ線グラフであり、図9(C)は腫瘍の重ヒストグラムであり、図9(D)は蛍光信号強度のヒストグラムであり、図9(E)は各グループのマウスと腫瘍のIVIS画像であり、図9(F)は各グループの肺と腫瘍のIVIS画像である。また、図9において、各実験群は、対照=PBS緩衝液、dHG10092=対照dHG群30mg/Kg、LHG-L180501=LHG投与群30mg/Kg、ヘパリンナトリウム=対照ヘパリンナトリウム群10mg/Kgである。
スコポラミンは中枢神経系阻害剤であり、スコポラミンを注射したマウスの学習・記憶能力が低下し、空間認知能力が低下するが、興奮性は異常に増強され、行為は老年性痴呆患者の早期臨床症状に符合するため、老年性痴呆の動物モデルとしてよく研究されている。
試験化合物:LHG(バッチ番号:LHG-L180501)上記実施例1由来。
被験動物:SDマウス、250g±50g、オス。
2.実験方法:
グループ化と投与量:正常対照グループ。スコポラミン・モデル群(SCOPモデル群。陽性対照群(ドネペジル、1mg/Kg)。LHG薬物グループ(30mg/Kg)。
投与方式:灌胃法。
実験前に2週間連続投与し、正常対照群とモデル群にそれぞれ同等体積の蒸留水を投与し、9日目にMorris訓練を行い、2回/日とした。14日目にMorris水迷路とジャンプ台のテストを行った。
モデリング方法と学習記憶テスト:実験当日、マウスに胃内投与30min後、臭化水素酸スコポラミンを腹腔内投与(2mg/Kg連続2日後、3日目に2mg/Kgに変更)20 min後にMorris水迷路テストを行い、正常対照グループは同量の生理食塩水を腹腔内投与した。カメラでマウスの遊泳成績を追跡し、コンピュータは自動的にマウスの90s以内の行程、時間と運動速度を記録し、プラットフォームに辿り着くまでの遊泳時間と遊泳距離を算出した。
ジャンプ台試験:1日目に訓練を学び、2日目にテストを繰り返し、テスト前の20minマウスに臭化水素酸スコポラミン(5mg/Kg)を一度に腹腔内投与し、マウスが初めてプラットフォームから飛び降りた遊泳時間(SDL)、電撃から逃れる遊泳時間(EL)を記録する。
(1)スコポラミンによる記憶障害モデルマウスMorris水迷路実験へのLHGの影響
表11はスコポラミンによる記憶障害モデルマウスMorrisの水迷路実験に対するLHGの影響結果である。
表12はスコポラミンによる記憶障害モデルマウスのジャンプ実験に対するLHGの影響結果である。
Claims (6)
- 以下のような構造式を有し、
前記グルクロン酸及び前記N-アセチルエステルアミノガラクトース基は、β(1-3)及びβ(1-4)グルコシド結合によって交互に連結して二糖繰り返し構造単位の主鎖を形成し、
前記フコース基は、側鎖として前記主鎖に連結し、
モル比で、グルクロン酸基:N-アセチルエステルアミノガラクトース基:フコース基=1:(0.8~1.2):(0.6~1.2)であり、
前記構造式では、
n=1~32であり、
-R1、-R2、-R4、-R6は、いずれも水酸基又は硫酸エステルナトリウムであり、
-R3のうち、10%~30%は、硫酸エステルナトリウムであり、残りは水酸基であり、
-R5のうち、10%~30%は、アセチルエステルであり、残りは水酸基又は硫酸エステルナトリウムであることを特徴とする低分子ナマコ由来グリコサミノグリカン。 - 請求項1に記載の構造をし、ナトリウムが、対応するカリウム、又はカルシウム、又はリチウム、又は亜鉛に置き換えることを特徴とする低分子ナマコ由来グリコサミノグリカンのカリウム塩、又はカルシウム塩、又はリチウム塩、又は亜鉛塩の形式。
- 請求項1又は2に記載の低分子ナマコ由来グリコサミノグリカンを用いて炎症を予防又は治療するための薬物又は健康食品を調製することを特徴とする応用。
- 請求項1又は2に記載の低分子ナマコ由来グリコサミノグリカンを用いて血管病変に関連する疾患を予防又は治療するための薬物又は健康食品を調製することを特徴とする応用。
- 請求項1又は2に記載の低分子ナマコ由来グリコサミノグリカンを用いて腫瘍関連疾患を予防又は治療するための薬物又は健康食品を調製することを特徴とする応用。
- 請求項1又は2に記載の低分子ナマコ由来グリコサミノグリカンを用いてアルツハイマー病を予防又は治療するための薬物又は健康食品を調製することを特徴とする応用。
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