JP2022158858A - 減速機、及び、建設機械 - Google Patents

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Takuya Shinozaki
悦朗 小森
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Abstract

【課題】減速部の発熱を抑えることで、高速回転を可能として小型化でき、建設機械等に対して優れた搭載性が得られる。【解決手段】電動モータ2の回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部4と、電動モータ2の回転軸線方向で電動モータ2寄りの減速部4で減速された歯車に噛み合うリングギア5Aと、を備え、リングギア5Aには冷却水Wが流れる水冷流路6が設けられ、リングギア5Aに対して回転自在に支持された他のリングギア5Bを備え、水冷流路6は、リングギア5Aを回転軸線方向から見てC型形状に延在し、深さが浅い第1溝63と、第1溝63の一部に少なくとも1つの第1溝63より深い第2溝64と、を備え、リングギア5Aには、電動モータ2に取り付けられるモータフランジ23が設けられ、モータフランジ23には、水冷流路6に接続される吸入ポート61及び吐出ポート62が設けらた減速機を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、減速機、及び、建設機械に関する。
ショベル等の建設機械では、エンジンを駆動源としてポンプを介して各アクチュエータを油圧で制御している。近年では、エンジンによる駆動源に代えて、バッテリーを駆動源としてポンプを駆動する方式や、例えば特許文献1に示されるような各アクチュエータをバッテリーから電気駆動する方式の電動モータを用いることが提案されている。
特開2016-191450号公報
上記のように電動モータを使用する場合、電動モータが油圧モータよりも大型化することから、モータを高速回転にすることで小型化を図っている。ところが、高速回転させることによりとくにモータシャフトに直結する1段目の減速部で発熱するため、その高熱部分に対する冷却が必要となっていた。例えば、上記の特許文献1には、入力軸側にファンとフードを設け、強制的に空冷して高熱部分を冷却する構成が開示されている。
しかしながら、ファンによる冷却方式の場合には、吸排気がむき出しの状態であることから、建設機械等の使用環境下では土砂等が混入する。そのため、ファンによる冷却の場合には、小型化された電動モータを建設機械等へ搭載することが難しく、その点で改善の余地があった。
本発明は、流体により減速部の発熱を抑えることで、高速回転を可能として小型化でき、建設機械等に対する搭載性に優れた減速機、及び、建設機械を提供する。
本発明の一態様に係る減速機は、電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、を備える。
このように構成することで、流路によって冷却されるギアが冷却されるため、モータシャフトに直結する減速部の発熱を抑えることができる。そのため、減速部を電動モータの高速回転に対応して適用可能となり、電動モータの小型化を図ることができる。
また、流路を設けることによる冷却方式となり、従来のファンによる空冷式の場合のように吸排気がむき出しの状態で土砂等が混入することを防止できるので、土砂等が混入しやすい建設機械等に対する搭載性を向上させることができる。
複数段の前記減速部を備え、前記複数段の減速部のうち、前記電動モータの回転駆動力が伝達される最も入力側の減速部の前記ギアに、前記流路が設けられていることが望ましい。
前記減速部は、前記電動モータの回転駆動力が入力されるサンギアと、前記サンギアの周囲を取り囲むように形成され、内歯を有するリングギアと、前記サンギアと前記リングギアとの間に設けられ、前記サンギア及び前記リングギアに噛み合う遊星ギアと、を備え、前記ギアは、前記リングギアであることが望ましい。
前記流路は、前記ギアを前記電動モータの回転軸線方向から見てC型形状に設けられ、前記流路は、深さが浅い第1溝と、前記第1溝の一部に少なくとも1つの前記第1溝より深い第2溝と、を備えることが望ましい。
前記第2溝は、前記第1溝の周方向に所定間隔をあけて複数設けられていても良い。
前記ギアに噛み合う遊星ギアが設けられ、前記第2溝と前記遊星ギアとの数量が異なっていても良い。
前記ギアにはフランジが設けられ、前記フランジには、前記流路に接続される吸入ポート及び吐出ポートが設けられていても良い。
前記フランジは、前記電動モータに取り付けられていることが望ましい。
本発明の他の態様に係る減速機は、電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、を備え、前記複数段の減速部のうち、前記電動モータの回転駆動力が伝達される最も入力側の減速部の前記ギアに、前記流路が設けられ、前記減速部は、前記電動モータの回転駆動力が入力されるサンギアと、前記サンギアの周囲を取り囲むように形成され、内歯を有するリングギアと、前記サンギアと前記リングギアとの間に設けられ、前記サンギア及び前記リングギアに噛み合う遊星ギアと、を備え、前記ギアは、リングギアであり、前記流路は、前記ギアを前記電動モータの回転軸線方向から見てC型形状に設けられ、深さが浅い第1溝と、前記第1溝の一部に少なくとも1つの前記第1溝より深い第2溝と、を備え、前記第2溝は、所定間隔をあけて複数設けられ、前記第2溝と前記遊星ギアとの数量が異なり、前記ギアには、前記電動モータに取り付けられるフランジが設けられ、前記フランジには、前記流路に接続される吸入ポート及び吐出ポートが設けられている。
このように構成することで、流路によって冷却されるギアが冷却されるため、モータシャフトに直結する減速部の発熱を抑えることができる。そのため、減速部を電動モータの高速回転に対応して適用可能となり、電動モータの小型化を図ることができる。また、流路を設けることによる冷却方式となり、従来のファンによる空冷式の場合のように吸排気がむき出しの状態で土砂等が混入することを防止できるので、土砂等が混入しやすい建設機械等に対する搭載性を向上させることができる。
また、複数段の減速部のうち最も入力側の減速部のギアに流路が設けられているので、最も回転が速く高熱になりやすい入力側の減速部を効率よく冷却することができる。
また、ギアを回転不能に固定することができ、建設機械等に搭載された流体供給部から流路に接続される配管構造を簡単にすることができる。
さらに、減速部の歯車の噛み合いの強度を確保する必要がある領域には、周方向の全体に溝を設けずに部分的に深さの深い第2溝を設けることができる。すなわち、上述した噛み合い強度の影響が小さい領域に浅い第1溝を設けて流体を循環させつつ、冷却が必要なギアの箇所にも第2溝に浸入した流体で冷却することができる。
さらにまた、流路内を流通する流体の流れを一方向にすることができ、吸入ポート及び吐出ポートと外部の流体供給部とを配管で接続することで、効率よく流体を循環させることができる。
また、フランジが電動モータに取り付けられているので、モータフランジに接続する電動モータも冷却することができる。そのため、電動モータ自体の発熱も抑えることができる。
本発明の一態様に係る建設機械は、車体と、前記車体を走行させる駆動輪と、前記駆動輪を駆動する電動モータ及び減速機と、を備え、前記減速機は、電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、を備え、前記ギアが前記車体又は前記駆動輪に固定され、前記電動モータの回転駆動力が前記減速機を介して前記駆動輪に伝達され、前記流路は、前記車体及び前記駆動輪の少なくとも一方に設けられる流体供給部に接続されている。
このように構成することで、建設機械に搭載された流体供給部に流路を接続した状態で減速機を設けることができる。
上述の減速機、及び、建設機械は、減速部の発熱を抑えることで、高速回転を可能として小型化でき、建設機械等に対して優れた搭載性が得られる。
実施形態の減速機を備えたショベルの側面図。 実施形態の電動モータを備えた減速機の断面図。 第1リングギアとモータフランジを分割した斜視図。 図2に示すA-A線矢視図であって、第1リングギアを軸線方向から見た平面図。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態と変形例では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
図1は、駆動部に電動モータ2に設けられる減速機1を採用したショベル10(建設機械)の側面図である。
本実施形態のショベル10は、走行体12の一形態であるクローラによって走行するショベルである。ショベル10は、走行体12と、走行体12の上に旋回可能に設置された旋回体11と、を備えている。
旋回体11は、操作者が搭乗可能な運転席13と、運転席13の前部に基端側が回転可能に支持されたブーム14と、ブーム14の先端部に基端側が回転可能に連結されたアーム15と、アーム15の先端側に回転可能に連結されたバケット16と、を備えている。運転席13、ブーム14、アーム15及びバケット16の各関節には、図示しない駆動装置が内蔵されている。各関節の駆動装置は、運転席13における操作者による操作によって駆動される。
走行体12は、クローラ本体121(車体)と、クローラ本体121に回転自在に支持された駆動輪122と、を有している。走行体12には、駆動輪122を駆動する減速機1を備えた電動モータ2が設けられている。
図2は、電動モータ2を備えた減速機1の断面図(回転軸線Oを含む平面に沿って切断した図)である。なお、図2に示す減速機1の形状、寸法は一例であって、実際の寸法とは一致しない。
減速機1は、正逆回転自在の電動モータ2に連結される。電動モータ2の回転駆動力は、減速機1で減速されて回転運動として出力され、駆動輪122に設けられる車軸に伝達される。
減速機1は、電動モータ2のモータシャフト20と車軸との間に、遊星ギア機構からなる3段の減速部4を設けている。
ここで、以下の説明では、モータシャフト20の中心軸を回転軸線Oといい、回転軸線方向でモータシャフト20側を入力側とし、その反対側を出力側とする。
電動モータ2は、モータシャフト20と、モータ本体21と、モータ本体21を保持するモータケース22と、モータケース22の一端に固定されたモータフランジ23と、を有している。モータシャフト20は、モータ本体21の中心部をモータ軸方向に延び、モータシャフト20の一端(紙面左側)の先端部20aが減速機1内に突出している。電動モータ2は、モータフランジ23を介して減速機1に取り付けられている。
モータフランジ23は、板状に形成され、モータケース22に取り付けられた状態で、モータケース22に対して径方向外側に張り出している。
なお、電動モータ2としては、いわゆるブラシ付きモータやブラシレスモータ等、電力が供給されることにより駆動するさまざまなモータを採用することができる。
減速機1は、モータシャフト20からの回転駆動力が伝達される順番に1段目となる第1減速部4A、2段目となる第2減速部4B、3段目となる第3減速部4Cを有している。そして、これら減速部4の配置としては、回転軸線方向で入力側から出力側に向かって第1減速部4A、第3減速部4C、第2減速部4Bの順で配置される。すなわち、第1減速部4Aと第2減速部4Bとの間に第3減速部4Cが配置されている。
第1減速部4Aは、第1リングギア5A(ギア)によって回転自在に支持されている、第2減速部4B及び第3減速部4Cは、第2リングギア5Bを共有し、第2リングギア5Bによって回転自在に支持されている。
本実施形態では、図1に示すように、第1リングギア5Aがクローラ本体121に接続され、第2リングギア5Bが走行体12の駆動輪122に接続されている。
第1リングギア5A及び第2リングギア5Bとショベル10との接続形態は、前述した形態に限定されることはない。例えば、第2リングギア5Bを駆動輪122に対して接続し、第1リングギア5Aをクローラ本体121に接続する構成としてもよい。
これにより、電動モータ2の回転駆動力は、減速機1を介して走行体12に伝達される。
減速機1は、電動モータ2のモータフランジ23の出力側端面23bに対して固定ボルト24により固定されている。具体的には、第1リングギア5Aの入力側の端部(入力側端面501a)がモータフランジ23に取り付けられている。減速機1の内側の第1減速機室1Aは、外気に対して密閉された状態となり、室内には潤滑油が充填されている。
第1リングギア5Aは、有底筒状に形成されている。第1リングギア5Aは、回転軸線方向と同軸に配置される内筒壁501と、モータフランジ23に対向して配置され内筒壁501の出力側端部を塞ぐ底壁502と、を有している。内筒壁501の入力側端面501aは、モータフランジ23に対して固定ボルト24により固定されている。すなわち、第1リングギア5Aは、電動モータ2に対して回転不能な状態で一体に設けられている。
内筒壁501の電動モータ2側の開口部にはモータシャフト20を挿通させて回転自在に支持する第1軸受51が設けられている。内筒壁501の入力側の内周面には、第1内歯歯車52が設けられている。第1内歯歯車52には、複数の第1遊星ギア42が噛み合うように配置されている。
このように第1リングギア5Aは、回転するモータシャフト20に取り付けられるものではなく、モータケース22に固定されるモータフランジ23に固定される固定歯車である。
内筒壁501には、本実施形態ではショベル10のクローラ本体121に固定するための第1固定部55が設けられている。
第1リングギア5Aの底壁502には、軸部材からなる減速入力軸3を回転自在に支持する第2軸受53と、第3減速部4Cの第3歯車48を回転自在に支持する回転支持柱54と、を備えている。回転支持柱54は、底壁502の出力側端面502aに対して回転軸線方向に一体的に突出した状態で設けられている。
第2リングギア5Bは、第1リングギア5Aの内筒壁501の外周面501bに対して第3軸受56を介して周方向に回転自在に嵌め合う外筒壁503を有している。外筒壁503の出力側(紙面左側)の開口部には、蓋体504が取り付けられ、潤滑油が充填される第2減速機室1Bを密閉状態にしている。
外筒壁503の内周面には、第2内歯歯車57が設けられている。第2内歯歯車57には、後述する複数の第2遊星ギア45と第3歯車48の両方が噛み合うように配置されている。すなわち、第2リングギア5Bは、第2遊星ギア45と第3歯車48とが共有する。第2リングギア5Bは、段付きギアであって、第2内歯歯車57のうち第2遊星ギア45が噛み合う部分の大径ギア57Aは、第3歯車48が噛み合う部分の小径ギア57Bよりも内径寸法が大きく設定されている。
外筒壁503には、本実施形態ではショベル10の駆動輪122に固定するための第2固定部58が設けられている。
第2減速部4Bが噛み合う大径ギア57Aと第3減速部4Cが噛み合う小径ギア57Bとは相対回転不能に設けられている。
第2減速機室1Bの室内には、第1リングギア5Aの底壁502を挿通する減速入力軸3と、底壁502に固定される回転支持柱54と、が挿入されている。
上述したように減速機1の内側は、第1リングギア5Aの内側の空間を形成した第1減速機室1Aと、第2リングギア5Bの内側の空間を形成した第2減速機室1Bと、を有している。第1減速機室1Aと第2減速機室1Bとは、第1リングギア5Aの底壁502によって隔離されている。第1減速機室1Aには、モータシャフト20の出力側が挿入されて配置されている。そして、モータシャフト20の先端部20aには、モータシャフト20と同軸線上に減速入力軸3が連結されている。
第1減速部4Aは、第1サンギア41と、第1遊星ギア42と、第1キャリア43と、を備えている。第1サンギア41は、モータシャフト20に同軸に連結されている。第1遊星ギア42は、第1サンギア41を中心として円周方向に複数が均等に配置されている。第1遊星ギア42は、第1リングギア5Aの第1内歯歯車52に噛み合うように設けられ、第1キャリア43に設けられる軸部421に対して回転自在に支持されている。すなわち、第1遊星ギア42は、第1サンギア41と第1リングギア5Aの双方に噛み合うように配置されている。
第1遊星ギア42の軸部421は、圧入されることにより第1キャリア43に結合されている。第1キャリア43は、平板のリング状に形成されている。第1キャリア43は、回転軸線方向で第1遊星ギア42より出力側の位置で、減速入力軸3に対して回転が規制された状態でモータシャフト20と同軸に固定されている。モータシャフト20と減速入力軸3との連結部は、第1サンギア41と第1キャリア43との間に位置している。
第1減速部4Aでは、電動モータ2の回転駆動力は、モータシャフト20、第1サンギア41、第1遊星ギア42、第1キャリア43を介して減速されて減速入力軸3に伝達される。
第2減速部4Bは、第2サンギア44と、第2遊星ギア45と、第2キャリア46と、を備えている。第2サンギア44は、減速入力軸3の出力側(紙面左側)の先端部3aに同軸に連結されている。第2遊星ギア45は、第2サンギア44を中心として円周方向に複数が均等に配置されている。第2遊星ギア45は、第2リングギア5Bの第2内歯歯車57(大径ギア57A)に噛み合うように設けられ、第2キャリア46に設けられる軸部461に対して回転自在に支持されている。すなわち、第2遊星ギア45は、第2サンギア44と第2リングギア5Bの双方に噛み合うように配置されている。
第2遊星ギア45の軸部461は、圧入されることにより第2キャリア46に結合されている。第2キャリア46は、平板のリング状に形成されている。第2キャリア46は、回転軸線方向で第2遊星ギア45より入力側の位置で、減速入力軸3に対して回転自在な状態でモータシャフト20と同軸に固定されている。第2キャリア46は、モータ軸方向で第2サンギア44と第3サンギア47との間に位置している。
第2減速部4Bでは、第1減速部4Aで減速した回転駆動力は、減速入力軸3、第2サンギア44、第2遊星ギア45、第2キャリア46を介して減速されて第3減速部4Cの第3サンギア47に伝達される。
第3減速部4Cは、第3サンギア47と、第3歯車48と、を備えている。
第3サンギア47は、減速入力軸3を挿通させる中空部47aを有している。減速入力軸3は、第1キャリア43と第3サンギア47の両方を貫通し、第3サンギア47を貫通した先端部3aに第2サンギア44が同軸に固定されている。第3サンギア47は、出力側で第2キャリア46の内周46aに回転不能に係合して一体的に設けられている。第3サンギア47は、第2キャリア46とともに回転する。
第3歯車48は、第3サンギア47を中心として円周方向に複数が均等に配置されている。第3歯車48は、第2リングギア5Bの第2内歯歯車57(小径ギア57B)に噛み合うように設けられ、第1リングギア5Aの底壁502から出力側に突出する回転支持柱54に対して回転自在に支持されている。すなわち、第3歯車48は、第3サンギア47と第2リングギア5Bの双方に噛み合うように配置されている。
第3減速部4Cでは、第2減速部4Bで減速した回転駆動力が、第3サンギア47、第3歯車48を介して減速されて第2リングギア5Bに伝達される。
図2及び図3に示すように、第1リングギア5Aには、第1減速部4Aを冷却するための水冷式の水冷流路6(流路)が設けられている。モータフランジ23には、水冷流路6に接続される吸入ポート61及び吐出ポート62が設けられている。
水冷流路6は、第1リングギア5Aに配置されるとともに、吸入ポート61及び吐出ポート62に接続されている。
吸入ポート61及び吐出ポート62は、それぞれモータフランジ23の外周面23aからL型に屈曲して出力側端面23bに向けて配置されている。吸入ポート61は、外部から冷却水W(流体)を水冷流路6に吸入する。吐出ポート62は、水冷流路6を流通した冷却水Wを外部に吐出する。吸入ポート61及び吐出ポート62は、上述したショベル10の一部に装備された水供給部(図示省略)に配管により接続されている。
図4に示すように、水冷流路6は、第1リングギア5Aの内筒壁501におけるモータフランジ23側を向く入力側端面501aに配置されている。回転軸線方向から見て水冷流路6より外周側の外周縁501cには、モータフランジ23と液密に接触する不図示のOリング等の止水部材が設けられている。水冷流路6は、回転軸線方向から見てC型形状に延在している。水冷流路6は、深さが浅い第1溝63と、第1溝63の一部に複数(ここでは4つ)の第1溝63より深い第2溝64と、を有する。
ここで、上述した水冷流路6のC型形状とは、略円形の周方向の一部が切り欠かれた形状である。なお、切り欠かれる切欠長の長さはとくに限定されるものではない。なお、水冷流路6の形状を示す上記の略円形として、例えば楕円形状、多角形状であってもよい。
なお、水冷流路6のC型形状の溝の無い部分(後述する吸入口63a及び吐出口63bが位置する部分)の向きは、本実施形態では上向きとなっているが、とくに制限されることはなく、例えば下向き、あるいは横向きであってもかまわない。
第2溝64は、第1溝63の底部63cよりさらに深くなる溝であって、図2に示すように回転軸線方向で、第1減速部4Aの第1遊星ギア42が噛み合う第1内歯歯車52の近傍に達するように位置している。水冷流路6のうち延在方向の一端の吸入口63aには吸入ポート61が接続され、他端の吐出口63bには吐出ポート62が接続されている。水冷流路6の吸入口63aから吸入された冷却水Wは吐出口63b側(図3及び図4に示す矢印の方向)に流通し、吐出口63bから吐出される。このととき、第1溝63に流れ込んだ冷却水Wは、4つの第2溝64に浸入していく。
図2に示すように、このように構成される減速機1では、電動モータ2によって回転するモータシャフト20から回転駆動力が入力されると、第1減速部4Aにおける第1サンギア41と第1遊星ギア42との歯数差、および第1遊星ギア42と第1リングギア5Aの第1内歯歯車52との歯数差に応じて第1遊星ギア42が自転するとともに、回転軸線O周りに公転する。そして、第1遊星ギア42を支持する第1キャリア43を介して第1減速部4Aから減速された回転駆動力が減速入力軸3に伝達される。
次に、モータシャフト20に結合された減速入力軸3に第1減速部4Aから回転駆動力が入力されると、減速入力軸3の先端部3aに固定された第2減速部4Bにおける第2サンギア44と第2遊星ギア45との歯数差、および第2遊星ギア45と第2リングギア5B(大径ギア57A)との歯数差に応じて第2遊星ギア45が自転するとともに、回転軸線O周りに公転する。そして、第2遊星ギア45を支持する第2キャリア46を介して第2減速部4Bから減速された回転駆動力が第3減速部4Cの第3サンギア47に伝達される。
次に、第2減速部4Bの第2キャリア46から第3減速部4Cの第3サンギア47に回転駆動力が入力されると、第3減速部4Cにおける第3サンギア47と第3歯車48との歯数差、および第3歯車と第2リングギア5B(小径ギア57B)との歯数差に応じて第3歯車48が自転し、第3歯車48に噛み合う第2リングギア5Bが回転軸線O周りに回転する。すなわち、第3歯車48を介して第3減速部4Cから減速された回転駆動力が第2リングギア5Bに伝達される。そして、第2リングギア5Bの第2固定部58に固定されるショベル10の駆動輪122に減速された回転駆動力を出力として取り出すことができる。
以上のように、本実施形態の減速機1では、電動モータ2の回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部4と、第1リングギア5Aに設けられ、流体(冷却水W)が流れる水冷流路6と、を備える。
このため、水冷流路6によって冷却される第1リングギア5Aに噛み合う第1減速部4Aも冷却されるため、モータシャフト20に直結する第1減速部4Aの発熱を抑えることができる。そのため、第1減速部4Aを電動モータ2の高速回転に対応して適用可能となり、電動モータ2の小型化を図ることができる。また、水冷流路6を設けることによる水冷式の冷却方式となり、従来のファンによる空冷式の場合のように吸排気がむき出しの状態で土砂等が混入することを防止できるので、土砂等が混入しやすい建設機械等に対する搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の減速機1では、複数段の減速部4を備え、これら複数段の減速部4のうち最も入力側の第1減速部4Aのギア(第1リングギア5A)に、水冷流路6が設けられている。
このため、最も回転が速く高熱になりやすい入力側の第1減速部4Aを効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の減速機1では、減速部4は、電動モータ2の回転駆動力が入力されるサンギアと、サンギアの周囲を取り囲むように形成され、内歯を有するリングギア5と、サンギアとリングギア5との間に設けられ、サンギア及びリングギア5に噛み合う遊星ギアと、を備え、ギアは、第1リングギア5Aである。
このため、第1リングギア5Aを回転不能に固定することができ、例えば本実施形態のショベル10のような建設機械等に搭載された水供給部から水冷流路6に接続される配管構造を簡単にすることができる。
さらに、本実施形態の減速機1では、水冷流路6は、第1リングギア5Aを電動モータ2の回転軸線方向から見てC型形状に設けられ、水冷流路6は、深さが浅い第1溝63と、第1溝63の一部に少なくとも1つの第1溝63より深い第2溝64と、を備える。
このため、第1減速部4Aの歯車(第1遊星ギア42)の噛み合いの強度を確保する必要がある領域(第1内歯歯車52の部分)には、周方向の全体に溝を設けずに部分的に深さの深い第2溝64を設けることができる。すなわち、上述した噛み合い強度の影響が小さい領域に浅い第1溝63を設けて冷却水Wを流通させつつ、冷却が必要な第1内歯歯車52の箇所にも第2溝64に浸入した冷却水Wで冷却することができる。
また、本実施形態の減速機1では、第2溝64は、所定間隔をあけて複数設けられている。
このため、第1溝よりも深さが深い第2溝を設ける場合には、第1リングギア5A(固定歯車)の剛性が低下するため第1リングギア5Aの外径が大きくなることが想定されるが、周方向に部分的に第2溝を設けることで第1リングギア5Aの剛性の低下や大径化を抑えることができる。
また、本実施形態の減速機1では、第1リングギア5Aに噛み合う第1遊星ギア42が設けられ、第2溝64と第1遊星ギア42との数量が異なる。
すなわち、本実施形態では、第2溝64が第1溝63の周方向に4つ設けられ、1つの遊星ギア42が第1リングギア5Aに噛み合っている。このように第2溝64と第1遊星ギア42との数量が異なるように設定することで、第2溝と遊星ギアとの数量が同数の場合のように位相が同じになって加振することを防止できる。
また、本実施形態の減速機1では、第1リングギア5Aにはモータフランジ23が設けられ、モータフランジ23には水冷流路6に接続される吸入ポート61及び吐出ポート62が設けられている。
このため、吸入ポート61から吸入された冷却水Wが水冷流路6を一方向に流通して吐出ポート62から吐出される。このように、水冷流路6内を流通する冷却水Wの流れを一方向にすることができ、吸入ポート61及び吐出ポート62と外部の水供給部(図示省略)とを配管で接続することで、効率よく冷却水Wを循環させることができる。
また、本実施形態の減速機1では、モータフランジ23が電動モータ2に取り付けられているので、モータフランジ23に接続する電動モータ2も冷却することができる。そのため、電動モータ2自体の発熱も抑えることができる。
また、本実施形態では、クローラ本体121(車体)と、クローラ本体121を走行させる駆動輪122と、駆動輪122を駆動する電動モータ2及び減速機1と、を備えている。減速機1は、電動モータ2の回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部4と、第1リングギア5Aに設けられ、冷却水Wが流れる水冷流路6と、を備えている。第1リングギア5Aは、クローラ本体121又は駆動輪122に固定されている。電動モータ2の回転駆動力は、減速機1を介して駆動輪122に伝達される。水冷流路6は、クローラ本体121及び駆動輪122の少なくとも一方に設けられる水供給部に接続されている。
このため、ショベル10等の建設機械に搭載された水供給部に水冷流路6を接続した状態で減速機1を設けることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、3つの減速部4A、4B、4Cを備えた減速機1を採用しているが、3つの減速部であることに限定されることはない。例えば、2つ、或いは1つの減速部を備えた減速機に対して上述した水冷流路6を設けることも可能である。
また、本実施形態では、流体の一例として冷却水Wを採用しているが、水であることに限定されることはなく、例えば、油やその他の冷媒などの流体を適用してもよい。
また、上記の実施形態では、水冷流路6(流路)を設ける対象を第1リングギア5Aとしているが、固定歯車である第1リングギア5Aであることに限定されることはない。流路をもうける対象としてギアであればよく、例えば上記の実施形態のような遊星歯車機構であれば、リングギアの他に、サンギアや遊星ギアであっても、動的に流路を繋ぎ変える構造を設けることによって、本発明の目的を達成し得る適用対象となる。
また、上記の実施形態では、回転軸線方向で第1リングギア5Aの出力側に第2リングギア5Bが設けられ、第2リングギア5Bが第1リングギア5Aに対して回転自在に支持された構成としているが、第2リングギア5Bを設ける構成に限定されるものではない。
また、上記の実施形態では、水冷流路6の流路形状として、C型形状に延在し、深さが浅い第1溝63と、第1溝63の一部に少なくとも1つの第1溝63より深い第2溝64と、を有する構成としているが、このよう2段の溝形状であることに限定されることはなく、他の流路形状とすることも可能である。また、溝が2段構造ではなく、3段以上の複数段に設けられていてもよい。
さらに、上記の実施形態では、第1リングギア5Aに取り付けられるモータフランジ23に吸入ポート61および吐出ポート62が設けられているが、これら吸入ポート61および吐出ポート62がモータフランジ23ではなく例えば第1リングギア5Aに設けられていてもよい。
また、減速機1として、本実施形態では遊星歯車機構を一例として示しているが、遊星歯車機構であることに限定されることはない。例えば、遊星歯車機構に含まれる偏心揺動型の減速機、センタークランク機構の減速機に上述した冷却用の流路を適用することができる。偏心揺動型の減速機は、減速機の中心軸に対して、クランク軸が円周方向に複数本配置され、外歯歯車の揺動運動とキャリアの自転取出し機構を備えた機構のものである。また、センタークランク機構の減速機は、減速機の中心軸に対して、クランク軸が同軸上に配置され、クランク軸が外歯歯車の揺動運動を付加させ、外歯歯車の自転運動をキャリアのピンから取り出すようにした機構のものである。なお、本発明の減速機としては、偏心揺動型の減速機とセンタークランク機構との両方を備えた減速機にも適用可能である。
さらに、伝達機構について、本実施形態では減速関係(減速機)を示しているが、等速、増速関係になっていてもよい。
また、上述した実施形態では、減速機1の適用対象としてショベル10について説明したが、本発明の減速機は、これに限定されず、ショベル以外の建設機械にも適用することができる。
なお、本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
1…減速機、2…電動モータ、3…減速入力軸、4…減速部、4A…第1減速部、4B…第2減速部、4C…第3減速部、5…リングギア(ギア)、5A…第1リングギア、5B…第2リングギア、6…水冷流路(流路)、10…ショベル(建設機械)、12…走行体、41…第1サンギア、42…第1遊星ギア、43…第1キャリア、44…第2サンギア、45…第2遊星ギア、46…第2キャリア、47…第3サンギア、48…第3歯車、52…第1内歯歯車、54…回転支持柱、55…第1固定部、57…第2内歯歯車、58…第2固定部、61…吸入ポート、62…吐出ポート、63…第1溝、64…第2溝、121…クローラ本体(車体)、122…駆動輪、O…回転軸線

Claims (10)

  1. 電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、
    前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、を備える、減速機。
  2. 複数段の前記減速部を備え、
    前記複数段の減速部のうち、前記電動モータの回転駆動力が伝達される最も入力側の減速部の前記ギアに、前記流路が設けられている請求項1に記載の減速機。
  3. 前記減速部は、
    前記電動モータの回転駆動力が入力されるサンギアと、
    前記サンギアの周囲を取り囲むように形成され、内歯を有するリングギアと、
    前記サンギアと前記リングギアとの間に設けられ、前記サンギア及び前記リングギアに噛み合う遊星ギアと、
    を備え、
    前記ギアは、前記リングギアである請求項1又は2に記載の減速機。
  4. 前記流路は、前記ギアを前記電動モータの回転軸線方向から見てC型形状に設けられ、
    前記流路は、
    深さが浅い第1溝と、
    前記第1溝の一部に少なくとも1つの前記第1溝より深い第2溝と、
    を備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の減速機。
  5. 前記第2溝は、所定間隔をあけて複数設けられている請求項4に記載の減速機。
  6. 前記ギアに噛み合う遊星ギアが設けられ、
    前記第2溝と前記遊星ギアとの数量が異なる請求項4又は5に記載の減速機。
  7. 前記ギアにはフランジが設けられ、
    前記フランジには、前記流路に接続される吸入ポート及び吐出ポートが設けられている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の減速機。
  8. 前記フランジは、前記電動モータに取り付けられている請求項7に記載の減速機。
  9. 電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、
    前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、
    を備え、
    複数段の前記減速部を備え、
    前記複数段の減速部のうち、前記電動モータの回転駆動力が伝達される最も入力側の減速部の前記ギアに、前記流路が設けられ、
    前記減速部は、
    前記電動モータの回転駆動力が入力されるサンギアと、
    前記サンギアの周囲を取り囲むように形成され、内歯を有するリングギアと、
    前記サンギアと前記リングギアとの間に設けられ、前記サンギア及び前記リングギアに噛み合う遊星ギアと、を備え、
    前記ギアは、リングギアであり、
    前記流路は、前記ギアを前記電動モータの回転軸線方向から見てC型形状に設けられ、深さが浅い第1溝と、前記第1溝の一部に少なくとも1つの前記第1溝より深い第2溝と、を備え、
    前記第2溝は、所定間隔をあけて複数設けられ、
    前記第2溝と前記遊星ギアとの数量が異なり、
    前記ギアには、前記電動モータに取り付けられるフランジが設けられ、
    前記フランジには、前記流路に接続される吸入ポート及び吐出ポートが設けられている、減速機。
  10. 車体と、
    前記車体を走行させる駆動輪と、
    前記駆動輪を駆動する電動モータ及び減速機と、
    を備え、
    前記減速機は、
    電動モータの回転駆動力を減速させて回転駆動部に伝達する減速部と、
    前記減速部のギアに設けられ、流体が流れる流路と、
    を備え、
    前記ギアが前記車体又は前記駆動輪に固定され、前記電動モータの回転駆動力が前記減速機を介して前記駆動輪に伝達され、
    前記流路は、前記車体及び前記駆動輪の少なくとも一方に設けられる流体供給部に接続されている建設機械。
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