JP2022137515A - ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

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厚 笠井
Atsushi Kasai
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Abstract

【課題】脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールとを原料に用いて、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することを課題とする。【解決手段】脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位を有し、還元粘度が0.3dl/g以上であるポリエステルにより課題を解決する。また、炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルとを反応させる工程、を有する、ポリエステルの製造方法により課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、構成単位として、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールを有するポリエステルに関する。また、炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と、芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルとを、反応させる工程を有する、ポリエステルの製造方法に関する。
従来、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを反応させて得られる脂肪族ポリエステルが知られているが、耐熱性や機械物性は必ずしも満足できるものではなかった。また、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを反応させて得られるポリエステルも知られているが、基本的に結晶性ポリマーであり、ガラス転移温度は必ずしも高くなかった(例えば、特許文献1を参照)。さらに芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールよりなる芳香族ポリエステルが知られているものの、融点が高く、成形が困難であるという問題があった。
特開平08-113630号公報
本発明の目的は、上記課題を解決するものであり、構成単位として、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールを有する、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することにある。
本発明者らは、上述の課題について鋭意検討を行った。この結果、構成単位として、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールを有するポリエステルにより、上記課題を解決できることを見出した。また、特定の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルとを反応させる工程を有するポリエステルの製造方法により、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位を有し、還元粘度が0.3dl/g以上であるポリエステル。
[2]前記脂環式ジカルボン酸単位の有する炭素数が6~20である、[1]に記載のポリエステル。
[3]TG-DTA測定において、5%重量減少する温度が300℃以上である、[1]または[2]に記載のポリエステル。
[4]ガラス転移温度が100℃以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステル。
[5]前記脂環式ジカルボン酸単位が1,4-シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステル。
[6]全ジカルボン酸単位に対する脂環式ジカルボン酸単位の比率が50モル%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステル。
[7]前記芳香族ジオール単位が、下記式(1)で表されるビスフェノール由来の単位である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル。
Figure 2022137515000001
(1)
(式(1)中、R乃至Rは、各々独立して、水素、炭素数1~6の炭化水素基及びハロゲン原子から選択される。R及びRは、各々独立して、水素及び炭素数1~20の炭化水素基から選択される。なお、R及びRは環を形成していてもよい。)
[8]全ジオール単位に対する芳香族ジオール単位の比率が50モル%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステル。
[9]炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルを反応させる工程、を有する、ポリエステルの製造方法。
本発明によれば、脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位とを有し、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することが可能である。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の態様に限定されるものではない。
<本発明のポリエステル>
本発明のポリエステル(以下、単に「ポリエステル」と言う場合がある。)は、脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位を有し、還元粘度が0.3dl/g以上である。なお、本発明においては、原料に由来する単位のことを「単位」と言う。
<ジカルボン酸単位>
ポリエステルが有する脂環式ジカルボン酸単位(以下、単に「脂環式ジカルボン酸単位」と言う場合がある。)は、脂環式ジカルボン酸由来の単位であれば特に限定されない。ここで、脂環式ジカルボン酸由来の単位は、ポリエステルの原料である脂環式カルボン酸またはそのエステルに由来する単位のことを言う。ポリエステルが有する脂環式ジカルボン酸単位は、炭素数が6~20であることが好ましい。脂環式ジカルボン酸単位としては、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,5-シクロオクタンジカルボン酸、1,4-デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5-デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6-デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7-デカヒドロナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸などに由来する単位が挙げられる。脂環式ジカルボン酸単位は、耐熱性の観点から、飽和脂環式ジカルボン酸由来の単位が好ましく、工業的に入手しやすいことから、シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位がさらに好ましい。また、耐熱性が優れたポリエステルを得やすいことから、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましい。本発明のポリエステルが有する脂環式ジカルボン酸単位は、これらのうち1種類のみを有していても、2種類以上の単位を任意の比率と組み合わせで有していてもよい。
また、本発明のポリエステルは、脂環式ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位(以下、「他のジカルボン酸単位」と言う場合がある。)を含んでもよい。本発明のポリエステルが有する全ジカルボン酸単位に対する、前述の脂環式ジカルボン酸単位の比率は、製造しやすいことから高いことが好ましい。具体的には、50モル%以上であることが好ま
しく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
他のジカルボン酸単位としては、例えば、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等に由来する単位が挙げられる。ここで、他のジカルボン酸単位となる原料のジカルボン酸は、ジカルボン酸の誘導体であっても、酸無水物であってもよい。他のジカルボン酸単位となるジカルボン酸の誘導体としては、低級アルキルエステル、アリールエステル等が挙げられる。他のジカルボン酸単位を含む場合は、他のジカルボン酸単位を1種類のみ有しても、2種類以上を任意の比率と組み合わせで有してもよい。
<ジオール単位>
ポリエステルが有する芳香族ジオール単位(以下、単に「芳香族ジオール単位」と言う場合がある。)は、上述の脂環式ジカルボン酸単位の原料となるジカルボン酸と反応してポリエステルを形成できる芳香族ジオール由来の単位であれば特に限定されない。ここで、芳香族ジオール由来の単位は、ポリエステルの原料である芳香族ジオールに由来する単位のことを言う。芳香族ジオール単位は、高分子量なポリエステルとなりやすいことから、下記式(1)で表されるビスフェノール由来の単位であることが好ましい。
Figure 2022137515000002
(1)
上記式(1)中、R乃至Rは、各々独立して、水素、炭素数1~6の炭化水素基及びハロゲン原子から選択される。R及びRは、各々独立して、水素及び炭素数1~20の炭化水素基から選択される。なお、R及びRは環を形成していてもよい。R及びRのうち少なくとも一方は、炭素数2~20の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(1)で表されるビスフェノール由来の単位としては、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAP、ビスフェノールZ、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAPなど由来の単位が挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、テトラメチルビスフェノールAP由来の単位が好ましく、ビスフェノールA由来の単位がより好ましい。本発明のポリエステルは、これらの単位のうち、1種類のみを有していても、2種類以上を任意の比率と組み合わせで有していてもよい。
本発明のポリエステルは、芳香族ジオール単位以外のジオール単位(以下、「他のジオール単位」と言う場合がある。)を有していてもよい。本発明のポリエステルにおける全ジオール単位に対する芳香族ジオール単位の比率は、耐熱性が高くなりやすいこから高いことが好ましい。具体的には、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
他のジオール単位としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキ
サンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びイソソルバイド等由来の単位が挙げられる。他のジオール単位を有する場合は、1種類を単独で有しても、2種類以上を任意の比率と組み合わせで有してもよい。
<その他の単位>
本発明のポリエステルは、ジカルボン酸単位及びジオール単位以外の単位(以下、「その他の単位」と言う場合がある。)を有していてもよい。その他の単位としては、ジカルボン酸単位及びジオール単位以外の共重合単位(以下、「その他の共重合単位」または「その他の単位」と言う場合がある。)などが挙げられる。
その他の共重合単位としては、ヒドロキシカルボン酸又は3官能以上の官能基を有する化合物由来の単位などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸単位となる原料のヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸の誘導体であってもよい。原料のヒドロキシカルボン酸は、分子中に一個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物またはその誘導体であれば特に限定されない。具体例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸、サリチル酸、p-オキシ安息香酸及びこれらのエステル、酸無水物等が挙げられる。
原料のヒドロキシカルボン酸は、3官能以上のヒドロキシカルボン酸であってもよい。3官能以上のヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられる。
3官能以上の官能基を有する化合物由来の単位としては、3官能以上の多価アルコール;3官能以上の多価カルボン酸或いはその無水物、酸塩化物又はエステル及び3官能以上のヒドロキシカルボン酸或いはその無水物、酸塩化物又はエステルに由来する単位が挙げられる。
原料の3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
その他の単位は、1種類のみを有していても、2種類以上を任意の比率と組み合わせで有していてもよい。
ポリエステルが、3官能以上の官能基を有する化合物由来の単位を有する場合、その合計単位量は、ポリエステルの全構成単位に対して、0.0001モル%以上であることが好ましく、0.001モル%以上であることがより好ましく、0.005モル%以上であることが更に好ましく、0.01モル%以上であることが特に好ましい。また、一方で、4モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
<ポリエステルの物性>
本発明のポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は、ポリエステルをフィルムや射出成形品等に成形する際の成形性や得られる成形品の強度の点から、以下の範囲とすることが好ましい。すなわち、還元粘度は、0.3dl/g以上であり、0.4dl/g以上であることが好ましく、0.5dl/g以上であることがより好ましい。還元粘度の上限は、限定されないが、通常3.0dl/g、好ましくは2.5dl/g、より好ましくは2.0dl/gである。
ポリエステルの還元粘度は、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(1:1重量比)中において、ポリエステルの濃度が0.5g/dlで、30℃にて測定した溶液粘度から求めることができる。
還元粘度が高いポリエステルは、原料の芳香族ジオールを、低級カルボン酸エステルとして、原料のジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。また、ポリエステルの還元粘度は、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより調整することができる。
本発明のポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートなどの汎用エンプラよりも、耐熱性の必要な用途に適用しやすいことから、TG-DTA測定において、5%重量減少する温度が300℃以上であることが好ましく、320℃以上であることがより好ましい。TG-DTA測定は、日立ハイテクサイエンス社製の示差熱熱重量同時測定装置「STA200」を用いて、窒素雰囲気中で、30℃から550℃まで10℃/分の速度で昇温しながら測定する。
また、本発明のポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートなどの汎用エンプラより、耐熱性の必要な用途に適用しやすいことから、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度は、日立ハイテクサイエンス社製の高感度型示差走査熱量計「DSC7000X」を用いて、窒素雰囲気中で、30℃から280℃まで100℃/分で昇温させた後、30℃まで10℃/分で降温し、再度280℃まで10℃/分で昇温し、2回目の昇温時のガラス転移点を測定することで得られる。
上述の5%重量減少する温度及びガラス転移温度は、原料である脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールのモル比、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより調整することができる。
<本発明のポリエステルの製造方法>
本発明のポリエステルは、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールを反応させることによって得ることができる。ここで、原料の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールについては、脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位となる化合物を用いる。これらの化合物については、先述のとおりである。そして、還元粘度が高いポリエステルを得やすいことから、脂環式ジカルボン酸が芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルと反応することが好ましく、更に、原料である脂環式ジカルボン酸の炭素数は6~20であることがより好ましい。すなわち、本発明のポリエステルの製造方法は、炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルとを反応させる工程を有することが好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法においては、芳香族ジオールを低級カルボン酸エステルとして反応させることにより、高分子量のポリエステルを得やすくなる。その理由として、昇温中に芳香族ジオールが溶けやすくなることによるものと推定される。低級カルボン酸エステルは、炭素数1~5のカルボン酸のエステルが好ましく、安価であることから特に酢酸エステルが好ましい。そこで、芳香族ジオールは、ビスフェノールの酢酸エステルとして反応させることが特に好ましい。
芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルは、原料として芳香族ジオールの低級カルボン酸エステル用いてもよいが、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールを反応させる際に酸無水物を存在させることにより、反応系内で芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルを生成させてもよい。
本発明のポリエステルの製造方法は、溶液重合法、溶融重合法、界面重縮合法等により行うことができるが、生産性の点からは、無溶媒で、溶融重合法により行うことが好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法は、通常、原料を混合した後に、エステル交換反応を行い、その後に重縮合反応を行うことによりポリエステルを製造する。エステル交換反応は、通常、原料の融点以上の温度で、常圧又は窒素気流下で行う。重縮合反応は、通常、原料及び生成ポリマーの融点以上の温度で、減圧条件下で行う。
脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールとの反応は、製造されるポリエステルの還元粘度が0.3dl/g以上となるように行うことが好ましく、0.4dl/g以上となるように行うことがより好ましく、0.5dl/g以上となるように行うことが更に好ましい。製造されるポリエステルを所望の還元粘度とするためには、芳香族ジオールを低級カルボン酸エステルとして反応させることの他、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルのモル比、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより調整することができる。すなわち、これらの条件を調整することにより、所望の還元粘度のポリエステルを製造することができる。
本発明のポリエステルの製造方法は、好ましくは、前述の炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステル、さらには必要に応じ共重合成分、及びその他添加剤を用いて、触媒の存在下で反応を行うことにより、ポリエステルを製造する。
本発明のポリエステルの製造方法は、無溶媒で反応させることが好ましいが、上述の酸無水物は溶媒として用いてもよい。無溶媒とすることにより、溶媒由来の不純物の混入を防ぐことができる。また、本発明のポリエステルの製造方法により製造されるポリエステルは、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸の酸クロリドと芳香族ジオールとの反応により得られるポリエステルに比べ、塩素量を低減できると考えられる。
触媒としては、ポリエステルの製造に用いることのできる任意の触媒を選択することができる。具体的には、例えば、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉛、セシウム、マンガン、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、カドミウム等の金属化合物が好適に用いられる。中でも活性の点から、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、スズ化合物、亜鉛化合物、鉛化合物が好適である。これらの触媒は、1種類を単独で用いても、2種類以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
触媒を用いる場合の使用量は、反応速度が速い点では多いことが好ましく、また、一方で、製造コスト及び触媒残渣の影響が低くなり得られるポリエステルの安定性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、反応に供する単量体の量に対する触媒中の金属換算量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.003重量%以上である。また、一方で、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下である。
触媒添加のタイミングは、通常、減圧反応開始以前であれば特に限定されない。すなわち、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
ポリエステルを製造する際の重合温度、重合時間及び圧力などの条件については公知の条件で行うことができる。重合温度は、熱分解、着色、副反応などが起こり難い点では低いことが好ましい。また、一方で、短時間で反応が進行しやすい点では、高いことが好ましい。そこで、重合温度は、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、また、一方で、290℃以下が好ましく、280℃以下であることがより好ましい。重合時間は30分以上が好ましく、1~15時間の範囲で選ぶことがより好ましい。圧力は、最
終的な減圧度が、1.33×10Pa以下であることが好ましく、0.67×10Pa以下であることがより好ましく、0.13×10Pa以下であることが更に好ましい。
なお、脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールと共に酸無水物を添加して、系内で芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルを生成させる場合は、酸無水物の沸点以下の温度でアルキルエステル化を行うことが好ましい。
<ポリエステルの用途>
本発明のポリエステルは、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形され、所定の用途に供される。成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。
本発明のポリエステルは、特に、射出成形体、発泡成形体、中空成形体に適用することが好ましく、形状としては、フィルム、容器及び繊維とすることが好ましい。
また、これらの成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能等の表面機能等の付与を目的として、各種の加工を施すことも可能である。加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。
本実施形態のポリエステルの具体的な用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレイやファーストフードの容器、野外レジャー製品など)、押出成形品(フィルム、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シートなど)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセルなどのDDS、創傷被覆材、光学用途、レンズ、液晶材料、導光板などが挙げられる。さらに、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、電気製品筐体、インパネ、シート、ピラー等の自動車内装部品、バンパー、フロントグリル、ホイールカバー等の自動車外装構造材料などの自動車部品等に使用できる。より好ましくは、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレイ、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等及び農業用資材等が挙げられる。農業資材としては、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
本発明のポリエステルをフィルムとする場合、その製造方法としては、熱可塑性樹脂の通常の溶融成形法、例えば、インフレーション成形、Tダイ成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、射出成形、中空成形、回転成形等、並びに、更にそれらに熱成形、延伸成形、発泡成形等の二次成形法を適用する方法を適用することができ、特にフィルム成形においては、インフレーション成形、Tダイ成形、射出成形が好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下における各種物性等の測定方法や成形方法は、次の通りである。
<還元粘度(ηsp/c)>
実施例及び比較例で得られたポリエステルを、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(1:1重量比)中に溶解させて濃度0.5g/dlの溶液とし、30℃で測定した粘度から求めた。
<TG-DTAによる重量減少温度>
日立ハイテクサイエンス社製の示差熱熱重量同時測定装置「STA200」を用いて、窒素雰囲気中で、30℃から550℃まで10℃/分の速度で昇温しながら測定した。そして、サンプルの重量が5%減少した温度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
日立ハイテクサイエンス社製の高感度型示差走査熱量計「DSC7000X」を用いて、窒素雰囲気中で、30℃から280℃まで100℃/分で昇温させた後、30℃まで10℃/分で降温し、再度280℃まで10℃/分で昇温し、二回目の昇温時のガラス転移点を測定した。
<実施例1>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸37.8g、酢酸ビスフェノールA68.6g、酢酸亜鉛二水和物0.08gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。30分で200℃に昇温し、系内を攪拌しながらこの温度で1時間反応させた。次に、30分かけて220℃まで昇温し、そのまま30分反応させた。さらに、1時間かけて260℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、30分かけて280℃まで昇温し、そのまま30分反応させた。その後1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、280℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を4時間継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.452dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は414℃、ガラス転移温度(Tg)は151℃であった。
<実施例2>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸35.1g、ビスフェノールC52.3g、酢酸亜鉛二水和物0.08g、無水酢酸52.0gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。30分で140℃に昇温し、系内を攪拌しながら1時間反応させた。次に2時間で220℃に昇温し、この温度で30分反応させた。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。さらに30分で280℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。その後、1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、280℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を4時間継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.344dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は410℃、ガラス転移温度(Tg)は115℃であった。
<実施例3>
実施例2において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の量を32.3gとし、ビスフェノールCの代わりにビスフェノールAP54.5gを用いた以外は、実施例2と同様にして、ポリエステルの重合を行った。得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.329dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量が減少する温度は414℃、ガラス転移温度(Tg)は164℃であった。
<実施例4>
実施例2において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の量を34.1gとし、ビスフェノールCの代わりにビスフェノールZ53.1gを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.308dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は410℃、ガラス転移温度(Tg)は149℃であった。
<実施例5>
実施例2において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の量を35.1gとし、ビスフェノールCの代わりにテトラメチルビスフェノールF52.2gを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.327dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は385℃、ガラス転移温度(Tg)は143℃であった。
<実施例6>
実施例2において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の量を32.7gとし、ビスフェノールCの代わりにテトラメチルビスフェノールA54.1gを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.306dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は389℃、ガラス転移温度(Tg)は141℃であった。
<実施例7>
実施例2において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の量を28.6gとし、ビスフェノールCの代わりにテトラメチルビスフェノールAP60.3gを用いた以外は、実施例2と同様にしてポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.301dl/gであった。また、このポリエステルの重量が5%減少する温度は400℃、ガラス転移温度(Tg)は162℃であった。
<比較例1>
実施例1において、t-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸37.8gの代わりにt-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル44.0g、酢酸ビスフェノールA68.6gの代わりにビスフェノールA50.1gを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.056dl/gであった。
Figure 2022137515000003

Claims (9)

  1. 脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジオール単位を有し、還元粘度が0.3dl/g以上であるポリエステル。
  2. 前記脂環式ジカルボン酸単位の有する炭素数が6~20である、請求項1に記載のポリエステル。
  3. TG-DTA測定において、5%重量減少する温度が300℃以上である、請求項1または2に記載のポリエステル。
  4. ガラス転移温度が100℃以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリエステル。
  5. 前記脂環式ジカルボン酸単位が1,4-シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリエステル。
  6. 全ジカルボン酸単位に対する脂環式ジカルボン酸単位の比率が50モル%以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリエステル。
  7. 前記芳香族ジオール単位が、下記式(1)で表されるビスフェノール由来の単位である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリエステル。
    Figure 2022137515000004
    (1)
    (式(1)中、R乃至Rは、各々独立して、水素、炭素数1~6の炭化水素基及びハロゲン原子から選択される。R及びRは、各々独立して、水素及び炭素数1~20の炭化水素基から選択される。なお、R及びRは環を形成していてもよい。)
  8. 全ジオール単位に対する芳香族ジオール単位の比率が50モル%以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリエステル。
  9. 炭素数6~20の脂環式ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級カルボン酸エステルとを反応させる工程、を有する、ポリエステルの製造方法。
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