JP2022136023A - 脂肪族芳香族ポリエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族芳香族ポリエステル組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有し、高結晶化度の脂肪族芳香族ポリエステルを提供する。【解決手段】脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物であって、該脂肪族芳香族ポリエステルが脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有し、該核剤が下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物。0℃<Tm1-Tm2≦100℃ ・・・(1)(上記式(1)中、Tm1:核剤の融点(℃)、Tm2:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))【選択図】図1

Description

本発明は、脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有する脂肪族芳香族ポリエステルを含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物及びその製造方法に関する。
各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材などの用途に、紙、プラスチック、アルミ箔等の様々な材料が用いられている。中でも、プラスチックは、強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れていることから、袋や容器などとして多様な用途で使用されている。現在、これらの用途には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が用いられている。しかしながら、これらのプラスチック製品は、自然環境下においては、分解され難いために、使用後、埋設処理された場合に土中に残存したり、投棄された場合に景観を損ねたりすることがある。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりするなどの問題がある。
これらの問題を解決する環境にやさしいプラスチックとして、生分解性樹脂が注目されてきている。生分解性樹脂製のフィルムは、使用後に分解されるため、地球温暖化防止、環境汚染防止を図ることができる。そのため、近年は、ゴミ袋、買い物袋等に生分解性樹脂製のフィルムが利用されつつある。
生分解性樹脂としては、例えば、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリブチレンサクシネートフラノエート(PBSF)等の脂肪族芳香族ポリエステルが提案されている。脂肪族芳香族ポリエステルは、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させることにより製造することができる(特許文献1参照)。
しかしながら、一般的に、コポリエステルを含む共重合ポリマーは、主鎖中に共重合成分を含むため、対応するホモポリマーに比べて、結晶性に劣る傾向にある。特にポリブチレンサクシネート(PBS)に芳香族ジカルボン酸成分としてフランジカルボン酸成分を共重合する場合、フランジカルボン酸はテレフタル酸よりも樹脂の熱物性への影響が大きい傾向があり、5重量%共重合するだけでも結晶化度が大きく低下することが知られている(非特許文献1)。
特開2008-31457号公報
本発明者らが特許文献1に記載の方法でPBSTを製造したところ、得られたポリエステルの結晶化が不十分なために、ポリエステルペレット同士がブロッキングしてしまうことが判明した。このため、PBSTをフィルムやインフレーション成形してなる袋などの成形品にしても、フィルム同士の融着によりカッティングし難い、袋の口開きが不十分になる等の問題が起こることが懸念された。また、結晶化時間を長くすると、高温ポリマーの冷却プロセスが長大となり、高コストで非効率なプロセスとなる恐れのあることが判明した。そして、更に、特にPBSにフランジカルボン酸が共重合されたPBSFについては、これらの問題がより深刻になる可能性が高いと予想された。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。この結果、PBSF等の脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有する脂肪族芳香族ポリエステルを、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応により製造するにあたり、反応系内に特定の核剤を存在させることにより、結晶化を促進でき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]~[16]に存する。
[1] 脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物であって、該脂肪族芳香族ポリエステルが脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有し、該核剤が下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
0℃<Tm-Tm≦100℃ ・・・(1)
(上記式(1)中、Tm:核剤の融点(℃)、Tm:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))
[2] 前記脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸単位を有する、[1]に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[3] コハク酸単位:フランジカルボン酸単位のモル比が20:80~80:20である、[1]または[2]に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[4] 前記核剤を、前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.01~100重量部含有する、[1]~[3]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[5] 更に塩基性化合物を含有する、[1]~[4]の何れかの脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[6] 前記塩基性化合物を、前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.0001~0.3重量部含有する、[1]~[5]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[7] 前記塩基性化合物が金属原子を含有し、該塩基性化合物を前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して金属原子量として0.0001~0.01重量部含有する、[5]または[6]に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[8] 前記塩基性化合物が有機化合物を含有し、該有機化合物を前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.0001~0.3重量部含有する、[5]~[7]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[9] 前記脂肪族芳香族ポリエステルがバイオマス由来のジカルボン酸単位を有する、[1]~[8]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
[10] 脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、ブタンジオールと、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる反応工程を有し、該重縮合反応系内において、下記式(1)の条件を満たす前記核剤を存在させることを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
0℃<Tm-Tm≦100℃ ・・・(1)
(上記式(1)中、Tm:核剤の融点(℃)、Tm:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))
[11] [10]に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記エステル化反応及び/または前記エステル交換反応を前記核剤の存在下で行うことを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
[12] [10]または[11]に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記重縮合反応を行う重縮合反応槽に前記核剤を供給することを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
[13] [10]~[12]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記重縮合反応を行う重縮合反応槽から、溶融状態の生成物を押し出す押出工程を有し、該押出工程で該溶融状態の生成物に前記核剤を供給することを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
[14] [10]~[13]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記反応工程において、塩基性化合物を存在させることを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
[15] [1]~[9]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有してなる粒状組成物。
[16] [1]~[9]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなる成形品。
[17] [1]~[9]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなるフィルム。
[18] [1]~[9]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなるコーティング材。
[19] [1]~[9]の何れかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を水中に押し出す工程と水中でカットする工程を有する粒状組成物の製造方法。
本発明によれば、脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有し、高結晶化度な脂肪族芳香族ポリエステル組成物を低コストで工業的に効率よく得ることができる。そして、この組成物を用いることにより、ブロッキングが起こり難い樹脂ペレットや融着し難いフィルムを得ることができる。
本発明に係るポリエステルペレットの形状を説明する断面の模式図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
[脂肪族芳香族ポリエステル組成物]
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物(以下、「本発明のポリエステル組成物」と称す場合がある。)は、脂肪族芳香族ポリエステル(以下、「本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステル」または単に「脂肪族芳香族ポリエステル」、「ポリエステル」と称す場合がある。)及び核剤を含有する。ここで、脂肪族芳香族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有する。また、核剤が下記式(1)の条件を満たす。
0℃<Tm-Tm≦100℃ ・・・(1)
(上記式(1)中、Tm:核剤の融点(℃)、Tm:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))
また、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法(以下、単に「本発明のポリエステル組成物の製造方法」と称す場合がある。)は、脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、ブタンジオールと、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる工程を有し、該重縮合反応系内において、上記式(1)の条件を満たす核剤を存在させる。
この本発明のポリエステル組成物の製造方法により、本発明のポリエステル組成物を得ることができる。
ここで、「脂肪族ジカルボン酸成分」とは、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体などのポリエステル原料となる化合物のことを言う。また、「フランジカルボン酸成分」とは、フランジカルボン酸及びフランジカルボン酸アルキルエステル等のフランジカルボン酸誘導体などのポリエステル原料となる化合物のことを言う。なお、本発明において、「芳香族」は、「複素芳香族」を包含する。
また、「脂肪族ジカルボン酸単位」とは、脂肪族芳香族ポリエステルが有する原料の「脂肪族ジカルボン酸成分」由来のユニットを言う。同様に、「フランジカルボン酸単位」及び「ブタンジオール単位」は、各々、脂肪族芳香族ポリエステルが有する原料の「フランジカルボン酸成分」及び「ブタンジオール」由来のユニットを言う。
本発明のポリエステル組成物の製造方法では、少なくともブタンジオールと脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分とを主原料として反応させる。「ブタンジオールと脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分とを主原料とする」とは、原料として使用するジオールがブタンジオールを主成分とするものであること、及び原料として使用するジカルボン酸成分が脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を主成分とするものであることを意味する。
ここで、「ブタンジオールを主成分とする」とは、ブタンジオールのモル比率が、原料ジオール中で最も多いことを意味する。中でも、得られるポリエステルの物性や生分解性の観点から、ブタンジオールが、原料ジオールの合計量に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90~100モル%である。
また、「脂肪族ジカルボン酸及びフランジカルボン酸を主成分とする」とは、「脂肪族ジカルボン酸成分とフランジカルボン酸成分の合計量のモル比率が、原料のジカルボン酸成分中で最も多いこと」を意味する。中でも、得られるポリエステルの物性や生分解性の観点から、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分の合計量が、原料ジカルボン酸成分の合計量に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90~100モル%である。
本発明で用いるジカルボン酸成分は、環境負荷軽減の観点から、バイオマス(植物原料)由来の化合物を用いることが好ましく、バイオマス(植物原料)由来のフランジカルボン酸成分を用いることが特に好ましい。しかしながら、一方で、フランジカルボン酸成分を用いて製造されたPBSFは、結晶化速度が遅く、成形性や生産性の面で課題があり、その結晶化を促進する技術が特に強く求められている。そこで、核剤の併用による結晶化促進効果が得られやすく、その意義が大きい点からも、ポリエステルはPBSFが好ましい。
ポリエステルの製造方法としては、ジカルボン酸を原料に用いる直接重合法と、ジカルボン酸のエステル誘導体を原料に用いるエステル交換法が一般的に知られている。エステル交換法は、アルコールを副生することから、安全性及び経済性の面では直接重合法が好ましい。しかしながら、本発明者らが脂肪族ジオールとして1,4-ブタンジオールを用いて直接重合法で脂肪族芳香族ポリエステルを製造したところ、テトラヒドロフランが副生しやすいことが判明した。そして、更に、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる工程において、塩基性化合物を用いることにより、テトラヒドロフランの副生を低減できることを見出した。そこで、この塩基性化合物の併用効果が得られやすい点でも、ポリエステルはPBSFが好ましい。
<核剤>
本発明のポリエステル組成物は、上記式(1)の条件を満たす核剤(以下、単に「本発明に係る核剤」または単に「核剤」と称す場合がある。)を含有する。また、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法では、重縮合反応系内において、上記式(1)の条件を満たす核剤を存在させる。
ここで「重縮合反応系内」とは重縮合反応が進行している系内であって、重縮合反応が行われる重縮合反応槽内に限らず、重縮合反応槽から溶融状態で押し出された生成物(押出物)内でも、溶融状態である限り、重縮合反応は進行しているため、この押出工程における溶融状態の生成物内も、本発明における「重縮合反応系内」に含まれる。
本発明に係る核剤は、製造する脂肪族芳香族ポリエステルの融点(Tm(℃))と核剤の融点(Tm(℃))との差(Tm-Tm)が0~100℃の範囲にあることを特徴とする。この条件を満たす核剤を用いることにより、得られる脂肪族芳香族ポリエステル組成物の結晶化が効果的に促進される。
結晶化促進効果の評価法は、特に制限はなく、公知の方法により評価することができる。例えば、溶融状態の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の冷却時の結晶化発熱ピーク時間(後述の降温結晶ピーク時間)から結晶化促進の効果を評価してもよい。また、脂肪族芳香族ポリエステル組成物が特に結晶化し難く、結晶化発熱ピーク時間により結晶化促進の効果を評価できない場合には、核剤を用いずに製造した組成物と比較した融解エンタルピー比(後述)によって評価してもよい。なお、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物が、これに含有される脂肪族芳香族ポリエステルの融点(Tm)以上の温度であり、成形等に好適な流動性を有している状態であれば、組成物中に含まれる核剤の溶融状態にかかわらず、その脂肪族芳香族ポリエステル組成物は溶融状態にあると見做すこととする。
核剤の融点(Tm)は、通常、DSC(示差走査熱量測定法)により測定する。また、DTA(示差熱分析法)等の熱分析法等でも測定することができる他、簡易的には、目視法(JIS K6220)で測定することもできる。市販品であれば、カタログ値を採用することもできる。
脂肪族芳香族ポリエステルの融点(Tm)についても、その測定方法に特に制限はなく、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。ここで、脂肪族芳香族ポリエステルの融点は、核剤を用いずに製造したポリエステルの融点を測定することにより測定することができる。本発明の脂肪族芳香族ポリエステルの好適な融点については後述する。
本発明において、脂肪族芳香族ポリエステルの融点(Tm(℃))と核剤の融点(Tm(℃))との差(Tm-Tm)は100℃以下であるが、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは40℃以下であり、更に好ましくは30℃以下であり、特に好ましくは20℃以下であり、最も好ましくは15℃以下である。Tm-Tmが小さいと、高い結晶化促進効果が得られ、結晶化発熱ピーク時間を短く、あるいは融解エンタルピーを大きくすることができる。そして、結晶化のための高温ポリマーの冷却時間を短くできることから、脂肪族芳香族ポリエステルのペレットを効率よく経済的に製造することができる。また、融着し難い楕円体形状のペレットを得ることができる。但し、核剤が結晶核として作用するためには、脂肪族芳香族ポリエステルより早く固化する必要があることから、Tm-Tmの下限は、0℃であり、好ましくは1℃以上、より好ましくは3℃以上である。
核剤の種類としては、上記条件を満たす核剤であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系核剤;脂肪族アミド系核剤;脂肪酸アミド系核剤及びフェニルスルホン酸金属塩系核剤などを用いることができる。これらのうち、得られる脂肪族芳香族ポリエステル組成物の色調や重合性への影響の観点からは、炭化水素系核剤が好ましく、ポリエチレンワックスが特に好ましい。ポリエチレンワックスは、分子量、分岐の有無、共重合成分組成等により様々な融点のものが市販されており、それらの市販品の中から、上記融点の条件を満たすものを選択して使用することができる。核剤は、上記融点の条件を満たすものであれば、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法において、重縮合反応系内に核剤を存在させる方法としては、特に限定されず、溶融状態の生成物が結晶化する際に核剤が存在していればよい。核剤は、エステル化反応及び/またはエステル交換反応系内に存在させてもよい。すなわち、重縮合反応に先立つエステル化反応及び/またはエステル交換反応の反応槽に核剤を供給する等により、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を核剤の存在下で行ってもよい。また、核剤を重縮合反応系内に供給してもよい。例えば、原料と共に核剤をエステル化反応及び/またはエステル交換反応の反応槽に供給する方法、原料とは別にエステル化反応及び/またはエステル交換反応の反応槽に核剤を直接供給する方法、重縮合反応を行う反応槽(以下、「重縮合反応槽」と称す場合がある。)に核剤を供給する方法、重縮合反応槽に付帯的に取り付けられた押出機内等の溶融状態の生成物に核剤を供給する方法などが挙げられる。すなわち、重縮合反応槽から、溶融状態の生成物を押し出す押出工程を有し、この押出工程で溶融状態の生成物に核剤を供給する方法も、重縮合反応系内に核剤を存在させる方法に含まれる。
これらの内、核剤量を制御しやすい点では、エステル化反応及び/またはエステル交換反応の反応槽に核剤を供給する方法が好ましい。また、核剤を重縮合反応系内で均一に分散させやすい点では、核剤を重縮合反応槽に供給する方法が好ましい。そして、結晶化状況を制御しやすい点では、押出工程等の溶融状態の生成物が結晶化する際に核剤を供給することが好ましい。なお、これらの方法は、1種類のみでも、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物中に含有される核剤の量は、結晶化度が高い脂肪族芳香族ポリエステルとなりやすい、すなわち、製造時にポリエステルの結晶化を十分に進行させやすい点では多いことが好ましい。また、一方で、高分散状態にしやすく、得られる組成物が成形性や機械物性などに優れる点、及び、製造時に反応系から留出する核剤量を抑え、後段の蒸留や留出系で回収しやすくプロセス全体の負荷を低減できる点では少ないことが好ましい。
核剤量は、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、0.02重量部以上であることがより好ましく、0.05重量部以上であることが更に好ましい。また、一方で、核剤量は、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることが更に好ましく、10重量部以下であることが特に好ましく、1重量部以下であることが殊更好ましく、0.5重量部以下であることが特に殊更好ましく、0.3重量部以下であることが最も好ましい。
核剤量は、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、0.01~100重量部であることが好ましく、0.01~50重量部であることがより好ましく、更に好ましくは0.01~20重量部であり、特に好ましくは0.01~10重量部であり、殊更好ましくは0.01~1重量部であり、特に殊更好ましくは0.02~0.5重量部であり、最も好ましくは0.05~0.3重量部である。
<ジオール単位>
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、ブタンジオール単位を有する。ポリエステルが有するブタンジオール単位の割合(モル比)は、ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性等の観点から多いことが好ましい。そこで、ブタンジオール単位の割合は、全ジオール単位中で最も多いことが好ましい。また、ブタンジオール単位の割合は、全脂肪族ジオール単位に対して、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、特に好ましくは90~100モル%である。ブタンジオール単位は、安価で反応性に優れることから1,4-ブタンジオール単位が好ましい。
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、ブタンジオール単位以外のジオール単位を有していてもよい。ブタンジオール単位以外のジオール単位は、反応性が高く、機械物性に優れる組成物を得やすいことから脂肪族ジオール単位が好ましい。脂肪族ジオール単位としては、例えば、原料として、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレンジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのオキシアルキレンジオール;及び1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレンジオール;等を用いた場合にポリエステルが有する単位等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエステルの物性の面から、アルキレンジオール単位及びシクロアルキレンジオール単位が好ましい。また、その炭素数は、10以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。すなわち、炭素数10以下のアルキレンジオール単位またはシクロアルキレンジオール単位が好ましく、炭素数6以下のアルキレンジオール単位またはシクロアルキレンジオール単位がより好ましい。
なお、ポリエステルは2種以上のブタンジオール単位以外のジオール単位を有していてもよい。
ジオール単位は、環境負荷軽減の観点から、バイオマス(植物原料)由来の単位であることが好ましく、ブタンジオール単位がバイオマス(植物原料)由来の単位であることがより好ましい。
ジオール単位は、原料としてジオールを用いることにより、ポリエステルに導入される。そこで、本発明のポリエステル組成物の製造方法で原料として用いるジオールは、上述の好ましいジオール単位となるジオールを用いることが好ましい。
<ジカルボン酸単位>
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸単位及びフランジカルボン酸単位を有する。ポリエステルが有する脂肪族ジカルボン酸単位とフランジカルボン酸単位の合計量の割合(モル比)は、ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性等の観点から多いことが好ましい。そこで、これらの単位の合計量の割合は、全ジカルボン酸単位中で最も多いことが好ましい。また、これらの単位の合計量の割合は、全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、特に好ましくは80~100モル%である。
ジカルボン酸単位は、環境負荷軽減の観点から、バイオマス(植物原料)由来の単位であることが好ましく、バイオマス(植物原料)由来の単位が多いことがより好ましい。 また、バイオマス(植物原料)由来のコハク酸単位、アジピン酸単位、セバシン酸単位などを有することが好ましい。
ポリエステルの耐熱性、生分解性、機械的特性、成形性の観点から、ポリエステルが有する脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の割合(モル比率)は、脂肪族:芳香族が20:80~80:20であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましく、40:60~60:40であることが更に好ましく、50:50~60:40であることが特に好ましい。
ポリエステルが有する脂肪族ジカルボン酸単位の割合(モル比)は、ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性等の観点から多いことが好ましい。そこで、脂肪族ジカルボン酸単位の割合は、全ジカルボン酸単位中で最も多いことが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸単位の割合は、全ジカルボン酸単位に対して、20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、特に好ましくは35~80モル%である。
ポリエステルが有する脂肪族ジカルボン酸単位は、脂環式の単位でも鎖状の単位でも構わないが、鎖状の単位が好ましく、結晶性が高くなりやすいことから直鎖状の単位がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸単位を構成する主鎖の炭素数は、得られる組成物が柔軟性に優れる点では多いことが好ましく、また、一方で、得られる組成物の耐熱性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、脂肪族ジカルボン酸単位を構成する主鎖の炭素数は、18以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましく、9以下であることが特に好ましく、8以下であることが最も好ましい。また、一方で、脂肪族ジカルボン酸単位を構成する主鎖の炭素数は、2以上であることが好ましく、3以上であることが更に好ましい。
脂肪族ジカルボン酸単位としては、具体的には、シュウ酸単位、マロン酸単位、コハク酸単位、無水コハク酸単位、グルタル酸単位、アジピン酸単位、ピメリン酸単位、スベリン酸単位、アゼライン酸単位、セバシン酸単位、ウンデカジカルボン酸単位、ドデカジカルボン酸単位、ダイマー酸単位などの脂肪族ジカルボン酸単位が挙げられる。これらのうち、コハク酸単位、アジピン酸単位、セバシン酸単位が好ましく、高結晶化度になりやすいことから、コハク酸単位が最も好ましい。なお、ここで、ポリエステルは、これらの単位を2種以上有していてもよい。
前述の通り、ポリエステルが有する脂肪族ジカルボン酸単位の割合(モル比)、特にコハク酸の割合(モル比)は、ポリエステルの融点(耐熱性)、生分解性、力学特性等の観点から多いことが好ましい。そこで、脂肪族ジカルボン酸単位の割合は、全ジカルボン酸単位中で最も多いことが好ましい。また、コハク酸単位の割合は、全脂肪族ジカルボン酸単位に対して、20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、特に好ましくは40~100モル%である。
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、フランジカルボン酸単位を有する。ポリエステルが有するフランジカルボン酸単位の割合は、ポリエステルの融点(耐熱性)、力学特性の観点から、全芳香族ジカルボン酸単位中で最も多いことが好ましい。そこで、フランジカルボン酸単位の割合(モル比)は、全芳香族ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、特に好ましくは90~100モル%である。
上述のとおり、脂肪族ジカルボン酸単位としては、コハク酸単位が好ましい。そこで、ポリエステルが有するコハク酸単位とフランジカルボン酸単位の割合(モル比)は、20:80~80:20であることが好ましい。
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、フランジカルボン酸単位以外の芳香族ジカルボン酸単位を有していてもよい。フランジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位としては、例えば、原料として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、或いはそのアルキルエステル等の誘導体等を用いた場合にポリエステルが有する単位等が挙げられる。これらのうち、ポリエステルの物性の面から、テレフタル酸単位及びイソフタル酸単位が好ましく、テレフタル酸単位がより好ましい。これらの単位は、単独でも2種以上の単位が含有されてもよい。なお、これらの芳香族ジカルボン酸単位のうち、テレフタル酸単位などはバイオマス(植物原料)由来の単位が好ましい。
ジカルボン酸単位は、原料として、ジカルボン酸等を用いることにより、ポリエステルに導入される。ポリエステル製造時に用いる脂肪族ジカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸及びそのアルキルエステル等の誘導体が好ましい。ポリエステル製造時に用いるフランジカルボン酸成分は、フランジカルボン酸及びそのアルキルエステル等の誘導体が好ましい。ポリエステル製造時に用いる芳香族ジカルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸及びそのアルキルエステル等の誘導体が好ましく、具体的には、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の水素化物などが挙げられる。また、本発明のポリエステル組成物の製造方法で原料として用いるジカルボン酸成分は、上述の好ましいジカルボン酸単位となるジカルボン酸を上述の好ましい組み合わせと量比で用いることが好ましい。
<その他の共重合単位>
本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルは、上述した以外の通常ポリエステルが有する単位を有していてもよい。すなわち、本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステルには、脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族ジカルボン酸単位以外の単位が共重合されていても構わない。この場合の共重合単位としては、原料として、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸等のオキシカルボン酸、及びこれらオキシカルボン酸のエステルやラクトン、オキシカルボン酸重合体等、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール、あるいは、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの無水物などの3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物等を用いた場合にポリエステルが有する単位などが挙げられる。
これらのうち、3官能以上のオキシカルボン酸、3官能以上のアルコール、3官能以上のカルボン酸などに由来する単位を少量有することにより、ポリエステルが高粘度になりやすい。中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸などのオキシカルボン酸もしくはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールなどに由来する単位が好ましく、特にはトリメチロールプロパン由来の単位を有していることが好ましい。
ポリエステルが3官能以上の多官能化合物由来の単位を有する場合、その割合は、ポリエステルが高粘度になりやすいなどの多官能化合物由来の単位を有する利点が得られやすい点では多いことが好ましい。また、一方で、ポリエステル中におけるゲル(未溶融物)が生じ難い点では少ないことが好ましい。そこで、3官能以上の多官能化合物由来の単位は、ポリエステルが有する全ジカルボン酸単位に対して、0.001~5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.05~0.5モル%である。
<塩基性化合物>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、塩基性化合物を含有することが好ましい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法においては、ブタンジオールを原料として用いるため、前述の通り、エステル化及び/またはエステル交換反応工程でテトラヒドロフランを副生する場合がある。しかしながら、ここで、塩基性化合物を存在させることにより、後述する通り、このテトラヒドロフランの副生を抑制して、得られる組成物中のテトラヒドロフランの量を低減することができ、また、末端酸価を低減することができる。
本発明のポリエステル組成物に含有される塩基性化合物の量は、テトラヒドロフランが副生し難く、酸価が低くなりやすい点では多いことが好ましい。また、一方で、重合活性が低下し難く、ジカルボン酸成分との反応により生じる副生物量が少ない点では少ないことが好ましい。
具体的には、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、0.0001~0.3重量部であることが好ましく、0.0001~0.01重量部であることがより好ましく、0.0001~0.005重量部であることが更に好ましい。
塩基性化合物は、有機化合物でも無機化合物でもよい。また、2種類以上の塩基性化合物を併用してもよい。2種類以上の塩基性化合物を併用する場合は、その合計量が上述の範囲であることが好ましい。
無機の塩基性化合物としては、金属原子を含有する塩基性化合物等が挙げられる。例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩やクエン酸塩などの金属塩類等が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物などが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物などがより好ましく、最も好ましくは水酸化ナトリウムである。
本発明のポリエステル組成物に含有される金属原子を含有する塩基性化合物の量は、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、金属原子量として0.0001~0.01重量部であることが好ましく、0.0001~0.005重量部であることがより好ましい。
塩基性有機化合物としては、有機アルカリが好ましい。具体的には、アンモニア、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム化合物;テトラアルキルホスホニウムヒドロキシド等のホスホニウム化合物;ジエチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン化合物及びアニリン、ピリジン等の芳香族アミン化合物が好ましく、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドがより好ましく、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
本発明のポリエステル組成物に含有される塩基性有機化合物の量は、脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して、0.001~0.3重量部であることが好ましく、0.002~0.25重量部であることがより好ましい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法において、塩基性化合物は、エステル化反応及び/またはエステル交換反応において存在すればよい。エステル化反応及び/またはエステル交換反応で供給しても、エステル化反応及び/またはエステル交換反応の前に原料等に供給しておいてもよい。例えば、塩基性化合物は、原料のブタンジオール、脂肪族ジカルボン酸成分、フランジカルボン酸成分などと共に、エステル化反応及び/またはエステル交換反応槽に供給してもよく、これらの原料とは別に直接反応槽に供給してもよい。
[脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法]
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法は、ブタンジオールと、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる反応工程を有する。そして、この重縮合反応系内において、上記式(1)の条件を満たす核剤を存在させることを特徴とする。
ここで、上述のとおり、核剤は、核剤量を制御しやすい点では、エステル化反応及び/またはエステル交換反応の反応槽に供給すること、すなわち、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を核剤の存在下で行うことが好ましい。
また、核剤を反応系で均一分散させやすい点では、核剤を重縮合反応槽に供給することが好ましい。
また、結晶化状況を制御しやすい点では、重縮合反応槽から溶融状態の生成物を押し出す押出工程等の溶融状態の生成物が結晶化する際に核剤を供給することが好ましい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法における各工程は、回分法でも連続法でもよい。但し、得られるポリエステル組成物の安定化や製造時のエネルギー効率の観点からは、原料を連続的に供給し、連続的にポリエステル組成物を得るいわゆる連続法が好ましい。すなわち、本発明の脂肪族芳香族ポリエステルの製造方法は、ブタンジオールと、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を連続的に反応系に供給し、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる反応工程を有することが好ましく、重縮合反応槽から連続的に得られる溶融状態のポリマーを冷却しながら造粒(ペレット化)する工程を有することが更に好ましい。
以下に連続法を例にして、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法について述べる。但し、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法は、連続法に限定されるものではなく、従来公知の脂肪族芳香族ポリエステルの製造方法を採用することができる。例えば、アルコールが副生し難く、より安全性が高い点からは、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法として、直接重合法が好ましい。
また、以下の説明では、ブタンジオールと脂肪族ジカルボン酸及びフランジカルボン酸を用いるエステル化反応工程及びその後の重縮合反応工程により、脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造する方法について詳述するが、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法においては、エステル化反応の代わりにエステル交換反応を行ってもよいし、エステル化反応とエステル交換反応との併用でもよい。
また、以下の説明では、ポリエステル組成物をペレット(以下、「粒状組成物」と称す場合がある。)にする場合について説明するが、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を必ずしもペレットにする必要はない。
連続製造法では、一般的に、ブタンジオール(以下、「ジオール」とも称す場合がある。)と、脂肪族ジカルボン酸及びフランジカルボン酸とを、複数の連続する反応槽を用いて、エステル化反応を経て重縮合反応させ、ポリエステルのペレットを得ることができる。ここで、エステル化反応工程とそれに続く重縮合反応工程は、連続する複数の反応槽で行うことも単一の反応槽で行うこともできるが、得られるポリエステルの物性の変動を小さくするためには、連続する複数の反応槽で行うことが好ましい。
なお、以下の説明では、核剤及び塩基性化合物の供給については省略しているが、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法では、前述の通り、重縮合反応系内において、下記式(1)の条件を満たす前記核剤を存在させる。また、好ましくは、反応工程において、塩基性化合物を存在させる。なお、前述の通り、本発明における「重縮合反応系内」とは、エステル化反応及び/またはエステル交換反応後、溶融状態を維持し、重縮合反応が進行している系内をさす。このため重縮合反応系内は重縮合反応槽から押し出された溶融状態の生成物も包含する。
<エステル化反応工程>
エステル化反応工程での反応温度は、エステル化反応を行うことのできる温度であれば特に制限は無いが、反応速度を速めることができるという点で、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは210℃以上である。また、一方で、ポリエステルが着色し難いことから、反応温度は270℃以下であることが好ましく、より好ましくは260℃以下、更に好ましくは250℃以下である。反応温度が高いと、エステル化反応速度が速く、反応時間が短くなり、ジオールの脱水分解などが起こり難い。また、反応温度が低いと、原料成分の分解が起こり難く、また反応槽内に飛散物が出ることによる異物発生が起こり難く、生成物に濁り(ヘーズ)が生じ難い。エステル化反応温度は、一定温度であることが好ましい。一定温度であることにより、エステル化率が安定する。一定温度とは、好ましくは、設定温度±5℃、より好ましくは±2℃である。
反応雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。
反応圧力は、50kPa以上であることが好ましく、60kPa以上であることがより好ましく、70kPa以上であることが更に好ましい。また、一方で、反応圧力は130kPa以下であることが好ましく、110kPa以下であることがより好ましい。すなわち、反応圧力は50~200kPaであることが好ましい。反応圧力が高いと反応槽内における飛散物が少なく、ヘーズが低く、異物の少ない生成物が得られやすく、またジオールの反応系外への留出が少なく、重縮合反応速度が低下し難い。一方で、反応圧力が低いと、ジオールの脱水分解が起こり難く、重縮合反応速度が低下し難い。
反応時間は、好ましくは1時間以上であり、上限は好ましくは10時間、より好ましくは4時間である。
エステル化反応するジカルボン酸に対するジオールのモル比は、エステル化を行う反応槽(以下、「エステル化反応槽」と称す場合がある。)の気相及び反応液相に存在する、ジカルボン酸及びエステル化されたジカルボン酸に対する、ジオール及びエステル化されたジオールのモル比であり、反応系で分解される等によりエステル化反応に寄与しないジカルボン酸やジオール及びそれらの分解物等は含まれない。分解されてエステル化反応に寄与しないものとしては、例えば、1,4-ブタンジオールが分解して生じたテトラヒドロフラン等が挙げられ、テトラヒドロフランは、このモル比には含まれない。この点を考慮して、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法における、エステル化反応に供するジカルボン酸に対するジオールのモル比は、通常1.10以上であり、好ましくは1.12以上、より好ましくは1.15以上、更に好ましくは1.20以上である。また、一方で、同モル比は、通常3.00以下、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.30以下、更に好ましくは2.00以下である。反応モル比が高いとエステル化反応及びその後の重縮合反応が進みやすく、高重合度のポリエステルを得やすい。また、一方で、反応モル比が低いと、原料ジオール、ジカルボン酸の分解が起こり難い。この反応モル比を好ましい範囲に保つように、エステル化反応でジオールを適宜補給するのは好ましい方法である。
また、本発明者らが検討したところ、特に脂肪族芳香族ポリエステルがPBSFである場合、エステル交換反応に比べ、エステル化反応ではテトラヒドロフランの副生量が多くなることが判明した。そこで、前述の通り、塩基性化合物を存在させることが好ましい。なぜならば、エステル化反応及び重縮合反応の反応槽から留出するガスには、ジオールや水の他にテトラヒドロフランも含まれる。これらのガスは、通常、精留塔や湿式コンデンサ等により分離・捕集され、原料ジオールが主成分である高沸分については、一部原料として再利用することがあるが、テトラヒドロフランはエステル化反応に寄与しないため、テトラヒドロフランの副生量が多いと、ブタンジオールの原単位悪化に繋がる。塩基性化合物を存在させることにより、このような問題の原因となるテトラヒドロフランの副生を抑制することができる。
<重縮合反応工程>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法では、通常、エステル化反応工程に続き重縮合反応を行う。重縮合反応は、連続する複数の反応槽を用いて、減圧下で行うことができる。
重縮合反応の温度、時間及び圧力をコントロールすることにより、所望の粘度のポリエステルを得ることができる。
重縮合反応における最終重縮合反応槽の反応圧力は、通常0.01kPa以上、好ましくは0.03kPa以上であり、また、一方で、通常1.4kPa以下、好ましくは0.4kPa以下である。最終重縮合反応槽の圧力が高いと、重縮合時間が短く、それに伴いポリエステルの熱分解による分子量低下や着色が起こり難く、実用上充分な特性を示すポリエステルを得やすい。一方で、経済的には、高額な設備が不要な点では、反応圧力は低いことが好ましい。
重縮合反応における反応温度は、通常215℃以上、好ましくは220℃以上であり、また、一方で、通常270℃以下、好ましくは260℃以下とする。反応温度が高いと、重縮合反応速度が速く、短時間で高重合度のポリエステルの製造でき、低揚力の攪拌機でも攪拌しやすくなるため、経済的にも有利である。一方で、反応温度が低いと、ポリエステルの熱分解が起こり難い。
反応時間は、通常1時間以上であり、また、一方で、通常15時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下とする。反応時間が長いと、高重合度のポリエステルを得やすく、機械物性に優れる成形品を得やすい。一方で、反応時間が短いと、ポリエステルの熱分解による分子量低下が起こり難く、機械物性に優れる成形品を得やすく、カルボキシル基末端量が少なく、耐久性に優れるポリエステルを得やすい。
<反応槽>
エステル化反応槽としては、公知のものが使用でき、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽等の型式のいずれであってもよい。また、単槽でも、同種または異種の槽を直列させた複数槽としてもよい。中でも、攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部、受、軸及び攪拌翼からなる通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機等の高速回転するタイプも用いることができる。攪拌の形態にも制限はなく、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部等から直接攪拌する通常の攪拌方法の他、反応液の一部を反応槽の外部に配管等で持ち出してラインミキサ-等で攪拌し、反応液を循環させる方法もとることができる。攪拌翼の種類も公知のものが選択でき、具体的にはプロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等が挙げられる。
重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを挙げることができる。重縮合反応槽は、1基でも、同種または異種の複数基の槽を直列させた複数槽でもよいが、反応液の粘度が上昇する重縮合の後期は界面更新性とプラグフロー性、セルフクリーニング性に優れた薄膜蒸発機能を有した横型攪拌重合機を選定することが好ましい。
<触媒>
エステル化反応及び重縮合反応では、通常、反応触媒を使用することにより、反応を促進させる。触媒を使用する場合、触媒を反応槽の気相部に供給すると、得られるポリエステルのヘーズが高くなることがあり、また触媒が異物化することがあるので反応液中に供給することが好ましい。
特に、重縮合反応においては、触媒を用いることが好ましい。重縮合反応触媒は、エステル化反応工程から重縮合反応工程の間のいずれの段階で供給してもよい。また、重縮合反応触媒は、エステル化反応工程から重縮合反応工程の間に複数回に分けて供給してもよい。
重縮合反応触媒としては、一般的には、周期表の第1~14族の金属元素のうち少なくとも1種を含む化合物が用いられる。ここで、周期表とは、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)をさす。金属元素としては、具体的には、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウム等が挙げられる。その中で、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、ゲルマニウムが好ましく、特に、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ゲルマニウムが好ましい。
また、ポリエステルの熱安定性に影響を与えるポリエステル末端濃度を低減させる為には、上記金属の中では、ルイス酸性を示す周期表第3~6族の金属元素が好ましい。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステンであり、特に、入手のし易さからチタン、ジルコニウムが好ましく、更に反応活性の点からチタンが特に好ましい。
また、エステル化反応触媒としても、チタン化合物が好ましく用いられる。
チタン化合物としては、テトラアルキルチタネート及びその加水分解物が好ましく、具体的には、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート及びこれらの混合チタネート、ならびにこれらの加水分解物が挙げられる。
また、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、及びブチルチタネートダイマー等も好ましく用いられる。
これらの中では、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマーが好ましく、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマーがより好ましく、特に、テトラ-n-ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートが好ましい。
これらの触媒化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの触媒化合物は、通常、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどのジオール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;ヘプタン、トルエン等の炭化水素化合物、水ならびにそれらの混合物等の溶媒を用いて、触媒化合物濃度が通常0.05~10重量%、好ましくは0.05~5重量%となるように調製された触媒溶液としてエステル化反応工程に供給される。
<リン化合物>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造においては、先述のとおり、1,4-ブタンジオールがテトラヒドロフランに分解され、1,4-ブタンジオールの原単位が低下することがある。また、脂肪族ジカルボン酸としてアジピン酸を用いる場合、得られるポリエステルが赤色~ピンク色に着色し、これを成形してなる成形品も赤みを帯びることがある。
そこで、テトラヒドロフランの副生を抑制し、色調が良好な高品質のポリエステルを製造するための工夫として、エステル化反応後のエステルオリゴマーの末端酸価を30~1000eq./tonに制御し、この末端酸価が制御されたエステルオリゴマーに対してリン化合物を接触させた後に重縮合反応を行う方法が有効である。
この場合、エステルオリゴマーに接触させるリン化合物としては、例えば、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等の5価のリン化合物;亜リン酸、次亜リン酸、ジエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3価のリン化合物等が挙げられる。その中で、酸性リン酸エステル化合物が好ましく、酸性リン酸エステル化合物としては、下記一般式(I)及び/または(II)で表される少なくとも1個の水酸基を有するリン酸のエステル構造を有するものがより好ましい。
Figure 2022136023000002
(式中、R、R’、R”は各々炭素数1以上6以下のアルキル基、シクロヘキシル基、アリール基または2-ヒドロキシエチル基を表し、RとR’は同一であっても異なっていてもよい。)
酸性リン酸エステル化合物の具体例としては、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート及びオクチルアシッドホスフェートなどが挙げられ、これらのうち、エチルアシッドホスフェート及びブチルアシッドホスフェートが好ましい。リン化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
酸性リン酸エステル化合物には、上記一般式(I)で表されるジエステル体と上記一般式(II)で表されるモノエステル体があるが、リン化合物の使用効果が高いことから、モノエステル体、または、モノエステル体とジエステル体の混合物を用いるのが好ましい。モノエステル体とジエステル体の混合重量比(モノエステル体:ジエステル体)は、80以下:20以上が好ましく、更に好ましくは70以下:30以上、特に好ましくは、60以下:40以上であり、また、一方で、20以上:80以下が好ましく、更に好ましくは、30以上:70以下、特に好ましくは、40以上:60以下である。
リン化合物を用いる場合、リン化合物と共にアルカリ土類金属化合物をエステルオリゴマーに接触させることが好ましい。この場合、アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの各種化合物が挙げられ、取り扱いや入手の容易さ、効果の点から、マグネシウムまたはカルシウムの化合物が好ましく、中でも、触媒効果に優れるマグネシウム化合物が好ましい。マグネシウム化合物の具体例としては、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、リン酸水素マグネシウム等が挙げられ、これらの中では酢酸マグネシウムが好ましい。
リン化合物及びアルカリ土類金属化合物は、前述のチタン化合物の触媒溶液の調製に用いる触媒溶解用の溶媒として例示した溶媒を用いて、リン化合物が0.01~7.6重量%、アルカリ土類金属化合物が0.02~9.7重量%の濃度となるように調製された溶液として、重縮合反応工程に供給されるエステルオリゴマーに対して供給することが好ましい。
なお、エステル化反応工程で用いる触媒化合物と、重縮合反応工程で用いるリン化合物及びアルカリ土類金属化合物の使用量、使用割合については特に制限はないが、例えば、触媒化合物は、生成するポリエステルに対する金属換算で5~100重量ppmとなるように用いることが好ましい。また、リン化合物は、触媒化合物の金属量に対するリン原子換算(P/Mモル比)で0.5~2.5となるように用い、アルカリ土類金属化合物は、触媒化合物の金属量に対するアルカリ土類金属原子換算(アルカリ土類金属/Mモル比)で0.5~3.0となるように用いることが好ましい。いずれの化合物も、反応活性が高くなり、ポリエステルの熱分解が起こり難い量を用いることが好ましい。一方で、経済的に有利であることに加え、末端酸価の低いポリエステルが得られやすく、また、ポリエステル組成物中への残留が起こり難く、熱安定性や耐加水分解性に優れたポリエステルが得られやすいことから、効果が得られる範囲で少量用いることが好ましい。
<原料供給法>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法においては、通常、原料混合槽で予め原料等を混合し、混合した原料をスラリーまたは液体の形態で原料供給ラインを通してエステル化反応槽に供給する。また、エステル化反応時に触媒を用いる場合は、触媒調製槽で触媒のジオール溶液とした後、触媒供給ラインを通じてエステル化反応槽に供給する。
<留出ガス処理>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法は、エステル化反応槽から留出するガスを以下のように処理する工程を有することが好ましい。まず、留出ガスは、留出ラインを経て精留塔で高沸成分と低沸成分とに分離される。ここで、高沸成分はブタンジオール等のジオールを主成分とし、低沸成分は、水及びブタンジオール等のジオールの分解物を主成分とする。精留塔で分離された高沸成分は、抜出ラインから抜き出され、ポンプを経て、一部は再循環ラインからエステル化反応槽に循環され、一部は循環ラインから精留塔に戻される。また、余剰分は抜出ラインから外部に抜き出される。一方、精留塔で分離された軽沸成分はガス抜出ラインから抜き出され、コンデンサで凝縮され、凝縮液ラインを経てタンクに一時溜められる。タンクに集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン、ポンプ及び循環ラインを経て精留塔に戻され、残部は、抜出ラインを経て系外へ抜き出される。コンデンサは、ベントラインを経て排気装置に接続されている。エステル化反応槽内で生成したエステル化生成物は、抜出ポンプ及びエステル化生成物の抜出ラインを経て重縮合反応槽(複数の重縮合反応槽を用いる場合は1つ目の重縮合反応槽)に供される。
<ペレット化>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法は、反応系から得られる溶融状態のポリマーを冷却しながら造粒(ペレット化)する工程を有することが好ましい。溶融状態のポリマーは、水、空気、その他で冷却しながらもしくは冷却後に、固定式や回転式のカッターやペレタイザーを用いてペレット化することができる。ペレット化は、反応系から得られる脂肪族芳香族ポリエステル組成物を水中に押し出す工程と水中でカットする工程を有することが好ましい。
[脂肪族芳香族ポリエステル組成物の物性]
先述のとおり、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法により、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を得ることができる。そこで、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有するポリエステルと前記式(1)の条件を満たす核剤を含有する。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の組成についても先述のとおりであるが、本発明の脂肪族芳香族脂肪族芳香族ポリエステル組成物に含有されるポリエステルの量は、50~99.999重量%であることが好ましい。また、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造時に前述の塩基性化合物、リン化合物やアルカリ土類金属を用いた場合、これが組成物中に含まれる。
<固有粘度(IV)>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の固有粘度(IV)は、1.0dL/g以上であることが好ましく、より好ましくは1.2dL/g以上である。また、一方で、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の固有粘度は、2.5dL/g以下であることが好ましく、より好ましくは2.2dL/g以下であり、更に好ましくは2.0dL/g以下である。上述の好ましい固有粘度とすることにより、溶融粘度が低く成形しやすく、且つ成形品の機械強度を高くすることができる。本発明において、固有粘度は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
<末端酸価>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に含有されるポリエステルの末端酸価は、加水分解による粘度低下が起こり難いことから低いことが好ましい。具体的には、末端酸価は、70eq./ton以下であることが好ましく、より好ましくは50eq./ton以下、更に好ましくは40eq./ton以下、特に好ましくは30eq./ton以下、殊更好ましくは20eq./ton以下、最も好ましくは15eq./ton以下である。本発明において、ポリエステルの末端酸価は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
<融点(Tm)>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に含有される脂肪族芳香族ポリエステル組成物の融点(Tm)には特に制限はないが、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物が上述の好適な固有粘度及び末端酸価となりやすいことから、100~150℃であることが好ましい。従って、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に含有される核剤は、融点(Tm)が100~165℃であることが好ましい。本発明において、ポリエステルの融点は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
<降温結晶ピーク時間>
先述のとおり、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に本発明に係る核剤が含有されることによる結晶化促進の効果は、溶融状態の脂肪族芳香族脂肪族芳香族ポリエステル組成物の冷却時の結晶化発熱ピーク時間、即ち降温結晶ピーク時間により評価することができる。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の降温結晶ピーク時間は、以下のようにして測定することができる。
DSC測定用のアルミ製オープンパンに脂肪族芳香族ポリエステル組成物を10±1mgをのせ、窒素雰囲気下で200℃にて10分間加熱溶融する。溶融状態のまま、DSC6220(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)に当該サンプルパンをセットし、10℃での等温測定を行う。結晶化による発熱が極大値となる時間を記録し、同様の測定を20℃、30℃、40℃で実施し、発熱極大値までの時間が最も短い時間を、降温結晶化ピーク時間とする。
このDSC測定で、降温結晶ピーク時間が短いことにより、結晶化が十分に促進されていることがわかる。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の降温結晶ピーク時間は、60秒以下であることが好ましく、より好ましくは50秒以下である。なお、降温結晶ピーク時間の下限には特に制限はないが、通常30秒程度である。
<融解エンタルピー比>
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に本発明に係る核剤が含有されることによる結晶化促進の効果は、核剤を用いずに製造した組成物と比較した融解エンタルピー比によっても評価することができる。融解エンタルピー比が高いことにより、結晶化が十分に促進されていることがわかる。そこで、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の融解エンタルピー比は、1.2以上が好ましく、より好ましくは2以上、更に好ましくは2.5以上、特に好ましくは3以上、殊更好ましくは5以上、最も好ましくは7以上である。なお、融解エンタルピー比の上限には特に制限はない。本発明において、融解エンタルピーは、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
[本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有する組成物]
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、用途や要求性能等に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で更に、本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステル以外の他の樹脂や本発明に係る核剤以外の核剤、塩基性化合物以外の添加剤等と混合してもよい。この場合、混合後の組成物に含有される脂肪族芳香族ポリエステル組成物の量は、50重量%より更に低濃度になる場合もある。
具体的には、他の樹脂として例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル等を配合してもよい。また、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等の生分解性樹脂;澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動植物粉末;カルボジイミド化合物;充填材;可塑剤及びこれらの混合物を配合することができる。更に、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、前記式(1)を満たさない核剤、無機フィラー、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤、改質剤、架橋剤等を含有させてもよい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物に、更に添加剤等が混合された組成物を製造する方法は、特に限定されないが、ブレンドしたポリエステルの原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブレンダー等の通常の混練機を用いて混練することによって混合する等が挙げられる。また、各々の原料チップを直接成形機に供給して組成物を調製すると同時に、その成形品を得ることも可能である。
[ペレット(粒状組成物)]
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物、またはこれに更に添加剤等を併合した組成物は、冷却状態でカッターやペレタイザーなどを用いてペレット(以下、「ポリエステルペレット」と称す場合がある。)とすることができる。すなわち、本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有してなる粒状組成物を得ることができる。
ポリエステルペレットは、通常、断面が円形または楕円形である円筒状、半球状、もしくは球状ないし楕円体状にされる。ポリエステルペレットの径は、重縮合反応槽からの抜出口径、吐出速度、引き取り速度ならびにペレット化の速度等により調整することができる。具体的には、例えば、ポリマー抜き出し時の重縮合反応槽の圧力や、カッターのブレードの回転速度などにより調整することができる。
特に結晶化速度の遅い樹脂のペレット化においては、アンダーウォーターカッターなどの液体媒体による冷却機構を備えたカッターが好適に用いられ、より好ましくはアンダーウォーターカッターが用いられる。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物、またはこれに更に添加剤等を併合した組成物は、融着し難い円弧状輪郭形状としやすい。また、融着し難い形状のペレットを製造するには、液体媒体による冷却機構を備えたカッターを用いてカットすることが好ましく、アンダーウォーターカッターを用いてカットすることが更に好ましい。
ペレタイズ性は、冷却時間や冷却温度、溶融樹脂温度などにより調整することができる。具体的には、例えば、冷却時間が長く、冷却温度が低いほど、ペレット化直後のペレットを効率的に冷却でき、ペレットのブロッキングなどのトラブルを軽減することができる。一方、過剰に冷却しすぎた場合には、かえって樹脂の結晶化速度が低下し、生産性やハンドリング性を損なう傾向がある。
ポリエステルペレットの径は、ペレット貯蔵時の加水分解による劣化が起こり難い点では大きいことが好ましく、また、一方で、押出機内での食い込みがよく、製品にムラが生じ難いことから小さいことが好ましい。そこで、下限(最小径)が通常0.1mm、好ましくは0.2mmであり、より好ましくは0.5mm、更に好ましくは1mmであり、また、一方で、上限(最大径)が通常20mm、好ましくは10mm、より好ましくは7mm、更に好ましくは5mmである。なお、ポリエステルペレットの径とは、ポリエステルペレットの断面の径、もしくは長さを示す。また、ポリエステルペレットの断面とは、ポリエステルペレットの断面積が最大となる断面を示す。
ポリエステルペレットの形状は、押出機内での食い込みがよく、製品ムラが生じ難い傾向があることから等方的であることが好ましい。ポリエステルペレットの任意の断面における長径もしくは最長辺の長さ(D1)と、短径もしくは最短辺の長さ(D2)の比(D1/D2)は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1.8以下、殊更に好ましくは1.7以下、最も好ましくは1.6以下であり、また、一方でその下限は1である。
ポリエステルペレットの形状は、球状や回転楕円体状などの円弧状輪郭を有する形状であることが好ましい。円弧状輪郭を有する形状である場合、円柱状などに比べ、ペレット同士が接触した際の接触面積が小さくなるため、ペレット同士の融着が起こり難く、ブロッキングし難い。具体的には、例えば図1に示すように、ポリエステルペレットの任意の断面における長径もしくは最長辺を4等分する各点における、長径と垂直方向の線分の長さをD2(中点)ならびにD2’(中点以外の点)としたとき、この線分の長さの比(D2’/D2)が1より小さいことが好ましく、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.93以下、更に好ましくは0.90以下、最も好ましくは0.88以下である。
[本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有する成形体]
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、熱可塑性樹脂に適用される各種成形法により成形することができる。このとき更に、用途や要求性能等に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、先述したような本発明に係る脂肪族芳香族ポリエステル以外の他の樹脂や本発明に係る核剤以外の核剤、塩基性化合物以外の添加剤等を含有していてもよい。
その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押出成形や共押出成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等のほか、溶液を塗布或いは吹き付けた後、乾固させて成形体を得る方法等が挙げられる。溶液プロセスを採用する場合に用いる溶媒に特に限定はないが、溶媒の沸点と、溶媒に対する組成物の溶解性ないし分散性の観点から適切なものを選択することができ、中でも非プロトン性極性溶媒が好ましく用いられ、特にクロロホルムなどのハロゲン化アルキル系溶媒が好適に用いられる。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有する成形品は、各種食品、薬品、雑貨等の液状物や粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレー、ファーストフードの容器、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられる。更に、その他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセル等のDDS、創傷被覆材等が挙げられる。
更に、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、包装用資材、例えば、包装用フィルム、フルーツ&べジタブルバッグ、ショッピングバッグ、コンポストバッグ、袋、トレー、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等、及び、農業用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
本発明の成形品は、耐衝撃性、引裂強度や引張破断点伸びなどの機械特性、生分解性等に優れたものであり、上記の用途のうち、特にフィルム用途、コーティング用途等として用いられることが特に好ましい。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物、またはこれに更に添加剤等を併合した組成物を成形してなる本発明のフィルムの厚さは、その用途に応じて適宜設計され、特に制限はないが、通常5μm~1mm程度である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
各物性及び評価項目の測定方法は、次の通りである。
<固有粘度(IV)(dL/g)>
ウベローデ型粘度計を使用し、次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dLのポリエステル組成物溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(2)より求めた。
IV=((1+4KηSP0.5-1)/(2KC) …(2)
ただし、ηSP=η/η-1であり、ηは試料溶液の落下秒数、ηは溶媒の落下秒数、Cは試料溶液の濃度(g/dL)、Kはハギンズの定数である。Kは0.33を採用した。
<末端酸価(eq./ton)>
エステルオリゴマーの末端酸価は、以下の要領で求めた。
ペースト状のエステルオリゴマー0.3gを100mLビーカーに採取し、ベンジルアルコール40mLを加えて乾燥窒素ガスを吹き込みながら180℃のホットプレート上で加熱した。溶解していることを確認しながら20分経過後、水冷することにより60℃まで降温させた。ベンジルアルコール10mLを用いてビーカー壁についた滴を流し戻し、この溶液(洗い流した液も含めたビーカー中の溶液全量)にフェノールレッド指示薬を1~2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1mol/Lの水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ベンジルアルコールのみで同様の操作を実施し、以下の式(3)によって末端酸価(末端カルボキシ基量)を算出した。
ポリエステルの末端酸価(eq./ton)は、以下の要領で求めた。
ペレット状のポリエステル又はポリエステル組成物を、真空乾燥機にて60℃で8時間分間乾燥させ、デシケーター内で室温(25℃)まで冷却した。この試料を0.5g精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール25mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃にて3分間で溶解させた。次いで、氷浴を用いて40秒間冷却しながら攪拌した後、エタノール2mLを徐々に加えた。この溶液にフェノールレッド指示薬を1~2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル試料を加えずに同様の操作を実施し、以下の式(3)によって末端酸価(末端カルボキシ基量)を算出した。
末端酸価の算出は、以下の式より求めた。
末端酸価(eq./ton)=(a-b)×0.1×f/w …(3)
ここで、aは、滴定に要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、bは、ブランクでの滴定に要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、wはエステルオリゴマーまたはポリエステルの試料の量(g)、fは、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。
ここで、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は以下の方法で求めた。試験管にメタノール5cmを採取し、フェノールレッドをエタノール溶液の指示薬として1~2滴加え、0.lmol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4cmで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1mol/Lの塩酸水溶液を標準液として0.2cm採取して加え、再度、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)。そして、以下の式(4)によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1mol/Lの塩酸水溶液の力価×0.1mol/Lの塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL) …(4)
<ポリエステルの融点(℃)>
核剤を用いずに製造したポリエステルについて、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、室温(25℃)から250℃へ20℃/minの速度で昇温した時の、吸熱ピーク温度を測定し、ポリエステルの融点とした。
<融解エンタルピー比>
測定は、DSC7020(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、室温から200℃へ10℃/minの速度で昇温した後、200℃から-50℃まで10℃/minの速度で冷却し、更に-50℃から200℃まで10℃/minで昇温して行った。
本発明の脂肪族芳香族ポリエステル組成物ならびにこの組成物から核剤を除いたポリエステルについて、上記の方法によりDSC測定を行った。ここで、2回目の昇温過程における試料樹脂の融解に対応する吸熱ピークの面積を融解エンタルピー(それぞれΔHm,ΔHm)と定義する。この時、ΔHmをΔHmで除した値(ΔHm/ΔHm)を融解エンタルピー比と定義し、評価に用いた。
<ペレタイズ性>
カットして得られたペレットを室温(25℃)まで放冷後に、ペレット同士が全くブロッキングしていないまたはブロッキングしていても手で極めて容易に解すことができる状態を○、ブロッキングが認められるが手で解すことができたものを△、複数のペレット同士が融着して手では容易に剥がせない状態を×とした。
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、コハク酸24.2重量部、2,5-フランジカルボン酸48.0重量部、1,4-ブタンジオール92.4重量部、トリメチロールプロパン0.138重量部及びポリエチレンワックス(Honeywell社製「ACumist B6」、融点:124℃)1.00重量部を仕込み、更にテトラ-n-ブチルチタネートを得られるポリエステルあたりチタン原子として30重量ppmとなるように添加した。ここで、コハク酸/フランジカルボン酸のモル比は、40/60である。また、得られるポリエステル100重量部あたり、1.0重量部のポリエチレンワックスを用いている。
反応容器の内容物を攪拌しながら容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。次に、系内を攪拌しながら170℃から190℃へ1時間かけて昇温し、この温度で1時間反応させた。その後、テトラ-n-ブチルチタネートを得られるポリエステルあたりチタン原子として70重量ppmとなる量を更に添加し、1.5時間かけて240℃まで昇温すると同時に、1.5時間かけて0.07×10Pa以下になるように減圧し、加熱減圧状態を保持したまま重縮合を継続し、1時間経ったところで重合を終了し、脂肪族芳香族ポリエステル組成物を得た。
[比較例1]
ポリエチレンワックスを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして脂肪族芳香族ポリエステルを製造した。ここで、減圧を開始してから反応が終了するまでの時間(重合時間)は、138分間で、重合速度は0.0097dL/g/分で、固有粘度は1.138dL/gであった。得られたポリエステルの融点は、109℃であった。
エステル化反応及び重縮合反応における留出液を回収し、ガスクロマトグラフィーによりそのテトラヒドロフラン濃度を測定し、テトラヒドロフランの副生量(THF副生量)を算出した結果、ポリエステル100重量部あたり19.2重量部であった。
[実施例2]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、コハク酸24.2重量部、2,5-フランジカルボン酸48.0重量部、1,4-ブタンジオール92.4重量部、トリメチロールプロパン0.138重量部を仕込み、更にテトラ-n-ブチルチタネートを得られるポリエステルあたりチタン原子として30重量ppmとなるように添加した。反応容器の内容物を攪拌しながら、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。次に、系内を攪拌しながら170℃から190℃へ1時間かけて昇温し、この温度で1時間反応させた。その後、テトラ-n-ブチルチタネートを得られるポリエステルあたりチタン原子として70重量ppmとなる量を更に添加し、1.5時間かけて240℃まで昇温すると同時に、1.5時間かけて0.07×10Pa以下になるように減圧し、加熱減圧状態を保持したままさらに31分間重縮合反応を行った。次いで、溶融状態の樹脂100重量部あたりで、1.00重量部のポリエチレンワックス(BASF社製「Luwax AH3」、融点:113℃)を加えて混練することにより脂肪族芳香族ポリエステル組成物を得た。
[実施例3~5及び比較例2~3]
実施例2において、ポリエチレンワックス(BASF社製「Luwax AH3」)を、各々ポリエチレンワックス(Honeywell社製「ACumist A6」、融点:132℃)、脂肪酸アミド(三菱ケミカル社製「スリパックスH」、化合物名:エチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、融点:145℃)、フェニルホスホン酸金属塩(日産化学工業製「エコプロモート」、化合物名:フェニルホスホン酸亜鉛、融点:163~166℃)、タルク(日本タルク社製「ナノエースD-600」、融点:900℃以上(分解))、タルク(日本タルク社製「MS-KY」、融点900℃以上(分解))に変更したこと以外は、得られるポリエステルに対する核剤量(重量比)も含めて同様にしてそれぞれ脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造した。
[実施例6]
実施例1で得られた溶融状態の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を、アンダーウォーターカッター(ECON社製、EUP10、冷却水温度:20℃)を備えた二軸押出機(パーカーコーポレーション製、HK-25D(41D)、シリンダー温度:220℃)に供給し、溶融混練した後にカットすることにより、脂肪族芳香族ポリエステル組成物からなる回転楕円体状のペレット(長径約5mm、短径約3mm)を製造した。このペレットにおける前述のD2’/D2比は0.87であった。また、得られたペレットを20℃の冷却水で数秒程度冷却し、遠心脱水した。
[実施例7]
実施例1において、ポリエチレンワックスの仕込量を10分の1の量に減らしたこと以外は同様にして脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造し、この脂肪族芳香族ポリエステル組成物を用いて実施例6と同様にして回転楕円体状(長径5mm、短径3mm)の脂肪族芳香族ポリエステル組成物のペレットを製造した。このペレットにおける前述のD2’/D2比は0.87であった。ここで、得られるポリエステル100重量部あたり、0.1重量部のポリエチレンワックスを用いた。
実施例6及び7のいずれの場合も、カット後の冷却脱水前のペレットに顕著な融着は認められなかった。特に、アンダーウォーターカッターの冷却水温を低くした場合には、融着が軽減される傾向が認められた。
[参考例1]
実施例1と同様にして溶融状態の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造し、得られた組成物をストランド状に抜き出し、水浴で除熱した後に回転刃式ペレタイザーでカットすることにより、脂肪族芳香族ポリエステル組成物からなる円柱状のペレット(断面径2mm、長さ5mm)を製造した。このペレットにおける前述のD2’/D2比は0.87~1であった。
[実施例8]
実施例1において、原料仕込み時にテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業株式会社製、EtNOH)を得られるポリエステルあたり300重量ppmとなるように添加した以外は同様にして、脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造した。ここで、減圧を開始してから反応が終了するまでの時間(重合時間)は、142分間で、重合速度は0.0096dL/g/分で、固有粘度は1.378dL/gであった。
エステル化反応及び重縮合反応における留出液を回収し、ガスクロマトグラフィーによりそのテトラヒドロフラン濃度を測定し、テトラヒドロフランの副生量(THF副生量)を算出した結果、ポリエステル100重量部あたり16.3重量部であった。
[実施例9]
実施例1において、原料仕込み時に同時に水酸化ナトリウム(東京化成工業株式会社製、NaOH)を得られるポリエステルあたりナトリウム原子として30重量ppmとなるように添加した以外は同様にして、脂肪族芳香族ポリエステル組成物を製造した。ここで、減圧を開始してから反応が終了するまでの時間(重合時間)は、160分間で、重合速度は0.0079dL/g/分で、固有粘度は1.263dL/gであった。
エステル化反応及び重縮合反応における留出液を回収し、ガスクロマトグラフィーによりそのテトラヒドロフラン濃度を測定し、テトラヒドロフランの副生量(THF副生量)を算出した結果、ポリエステル100重量部あたり17.0重量部であった。
[比較例4]
比較例1において、原料等の仕込み比を、コハク酸22.3重量部、2,5-フランジカルボン酸ジメチル52.2重量部、1,4-ブタンジオール68.1重量部、トリメチロールプロパン0.138重量部とした以外は同様にして、核剤を含まない脂肪族芳香族ポリエステルを製造した。ここで、コハク酸/フランジカルボン酸ジメチルのモル比は、40/60である。減圧を開始してから反応が終了するまでの時間(重合時間)は、126分間で、重合速度は0.0103dL/g/分で、固有粘度は1.299dL/gであった。
エステル化反応及び重縮合反応における留出液を回収し、ガスクロマトグラフィーによりそのテトラヒドロフラン濃度を測定し、テトラヒドロフランの副生量(THF副生量)を算出した結果、ポリエステル100重量部あたり7.4重量部であった。
実施例1~8、比較例2~3並びに参考例1で得られた脂肪族芳香族ポリエステル組成物、及び比較例1,4で得られた脂肪族芳香族ポリエステルの物性等を測定し、その結果を製造条件と共に表1に示す。なお、表1中で、核剤の融点(Tm)とポリエステルの融点(Tm)の差(Tm-Tm)を「ΔTm」と記載する。
Figure 2022136023000003
表1より、本発明に係る式(1)を満たす核剤を含有する実施例1~5の脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、核剤を含まない比較例1の脂肪族芳香族ポリエステル及び式(1)を満たさない核剤を用いた比較例2、3に対し、ΔHm/ΔHmの値が大きく、本発明に係る式(1)を満たす核剤により結晶化が促進されていることが裏付けられた。
また、実施例6及び7より、本発明に係る式(1)を満たす核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物は、融着し難い回転楕円体形状のペレットにできること、及び回転楕円体形状のペレットを製造するにはアンダーウォーターカッターが有効であることが裏付けられた。
原料としてフランジカルボン酸ジメチルを用いた比較例4より、フランジカルボン酸を用いた比較例1は、THFが多量に副生していた。しかしながら、塩基性化合物を用いた実施例8と9、塩基性化合物を用いない比較例1におけるTHFの副生量の比較から、原料としてフランジカルボン酸を用いた場合であっても、塩基性化合物を用いることによりTHFの副生を低減できることが裏付けられた。

Claims (19)

  1. 脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物であって、該脂肪族芳香族ポリエステルが脂肪族ジカルボン酸単位、フランジカルボン酸単位及びブタンジオール単位を有し、該核剤が下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
    0℃<Tm-Tm≦100℃ ・・・(1)
    (上記式(1)中、Tm:核剤の融点(℃)、Tm:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))
  2. 前記脂肪族ジカルボン酸単位がコハク酸単位を有する、請求項1に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  3. コハク酸単位:フランジカルボン酸単位のモル比が20:80~80:20である、請求項1または2に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  4. 前記核剤を、前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.01~100重量部含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  5. 更に塩基性化合物を含有する、請求項1~4の何れか1項の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  6. 前記塩基性化合物を、前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.0001~0.3重量部含有する、請求項1~5の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  7. 前記塩基性化合物が金属原子を含有し、該塩基性化合物を前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して金属原子量として0.0001~0.01重量部含有する、請求項5または6に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  8. 前記塩基性化合物が有機化合物を含有し、該有機化合物を前記脂肪族芳香族ポリエステル100重量部に対して0.0001~0.3重量部含有する、請求項5~7の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  9. 前記脂肪族芳香族ポリエステルがバイオマス由来のジカルボン酸単位を有する、請求項1~8の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物。
  10. 脂肪族芳香族ポリエステル及び核剤を含有する脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、ブタンジオールと、脂肪族ジカルボン酸成分及びフランジカルボン酸成分を、エステル化反応及び/またはエステル交換反応を経て重縮合反応させる反応工程を有し、該重縮合反応系内において、下記式(1)の条件を満たす前記核剤を存在させることを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
    0℃<Tm-Tm≦100℃ ・・・(1)
    (上記式(1)中、Tm:核剤の融点(℃)、Tm:脂肪族芳香族ポリエステルの融点(℃))
  11. 請求項10に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記エステル化反応及び/または前記エステル交換反応を前記核剤の存在下で行うことを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
  12. 請求項10または11に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記重縮合反応を行う重縮合反応槽に前記核剤を供給することを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
  13. 請求項10~12の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記重縮合反応を行う重縮合反応槽から、溶融状態の生成物を押し出す押出工程を有し、該押出工程で該溶融状態の生成物に前記核剤を供給することを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
  14. 請求項10~13の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法であって、前記反応工程において、塩基性化合物を存在させることを特徴とする、脂肪族芳香族ポリエステル組成物の製造方法。
  15. 請求項1~9の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を含有してなる粒状組成物。
  16. 請求項1~9のいずれかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなる成形品。
  17. 請求項1~9のいずれかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなるフィルム。
  18. 請求項1~9のいずれかに記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を成形してなるコーティング材。
  19. 請求項1~9の何れか1項に記載の脂肪族芳香族ポリエステル組成物を水中に押し出す工程と水中でカットする工程を有する粒状組成物の製造方法。
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