JP2021161388A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを原料に用いて、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することを課題とする。【解決手段】脂肪族芳香族ポリエステルを製造する方法であって、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとを無溶媒で反応させる、ポリエステルの製造方法により課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸のフェノールエステルと、芳香族ジオールとを、無溶媒で反応させることによりポリエステルを製造する方法に関する。
従来、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを反応させて得られる脂肪族ポリエステルが知られているが、耐熱性や機械物性は必ずしも満足できるものではなかった。また、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを反応させて得られるポリエステルも知られているが、基本的に結晶性ポリマーであり、ガラス転移温度は必ずしも高くなかった。さらに芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールよりなる芳香族ポリエステルが知られているものの、融点が高く、成形が困難であるという問題があった。
一方で、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールよりなるポリエステルとして、特許文献1及び2のポリエステルが知られている。特許文献1には、コハク酸とビスフェノールAからなるポリエステルの記載があるが、極限粘度が0.29と分子量が低く、実用的なポリエステルではない。また、特許文献2には、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールからなるポリエステルの記載があるが、脂肪族ジカルボン酸原料はアルキルエステルとして反応させており、還元粘度が低く、実用的なポリエステルではない。
特開昭58−023028号公報 特表2001−504399号公報
本発明の目的は、上記課題を解決するものであり、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを原料に用いて、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することにある。
本発明者らは、上述の課題について鋭意検討を行った。この結果、特定の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールを無溶媒で反応させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]脂肪族芳香族ポリエステルを製造する方法であって、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとを無溶媒で反応させる、ポリエステルの製造方法。[2]前記反応は、製造されるポリエステルの還元粘度が0.3dl/g以上となるように行われる、[1]に記載のポリエステルの製造方法。
[3]前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルを構成するジカルボン酸がシュウ酸及びコハク酸の少なくとも何れかである、[1]または[2]に記載のポリエステルの製造方法。
[4]前記反応に用いる全ジカルボン酸に対する前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルの比率が50モル%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
[5]前記芳香族ジオールが、下記式(1)で表されるビスフェノールである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
Figure 2021161388

(式(1)中、R乃至Rは独立して水素、炭素数1〜6の炭化水素基及びハロゲンから選択される。R及びRは独立して水素及び炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。なお、R及びRは環を形成していてもよい。)
[6]前記式(1)で表されるビスフェノールがビスフェノールAである、[5]に記載のポリエステルの製造方法。
[7]前記反応に用いる全ジオールに対する芳香族ジオールの比率が50モル%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
[8]前記反応における温度が270℃以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
本発明によれば、脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとを原料に用いて、十分に高い分子量を有するポリエステルを提供することが可能である。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の態様に限定されるものではない。
本発明の一実施形態は、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニル(以下、単にジカルボン酸ジフェニルとも称する)と芳香族ジオールとを無溶媒で反応させることにより、脂肪族芳香族ポリエステルを製造する方法である。
<ジカルボン酸ジフェニル>
炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルを構成するジカルボン酸としては、鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましく、具体的にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などが挙げられる。炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルは、耐熱性の観点から、飽和脂肪族ジカルボン酸ジフェニルが好ましく、シュウ酸ジフェニル及びコハク酸ジフェニルがより好ましい。ジカルボン酸ジフェニルは、芳香族ジオールとの反応の際に、安価であり、高分子量なポリエステルを得やすい。ジカルボン酸ジフェニルは、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
ポリエステルの製造には、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニル以外のジカルボン酸(以下、「他のジカルボン酸」と言う場合がある。)を用いてもよい。炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとの反応に用いる全ジカルボン酸に対する前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルの比率は、製造が容易であることから高いことが好ましい。そこで、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
他のジカルボン酸としては、例えば、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。ここで、他のジカルボン酸は、ジカルボン酸の誘導体であっても、酸無水物であってもよい。他のジカルボン酸の誘導体としては、低級アルキルエステル、アリールエステル等が挙げられる。他のジカルボン酸を用いる場合は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
<ジオール>
芳香族ジオールとしては、上述の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと反応してポリエステルを形成できる限り特に限定されないが、高分子量なポリエステルを得やすいことから、下記式(1)で表されるビスフェノールが好ましい。
Figure 2021161388
上記式(1)中、R乃至Rは独立して水素、炭素数1〜6の炭化水素基及びハロゲンから選択される。R及びRは独立して水素及び炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。R及びRは環を形成していてもよい。また、R及びRのうち少なくとも一方は、炭素数2〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、耐熱性が高いポリエステルを得やすいことからビスフェノール類が好ましい。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAP、ビスフェノールZ、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAPなどが挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、テトラメチルビスフェノールAPが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。ポリエステルの製造に用いるジオールは、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
ポリエステルの製造には、芳香族ジオール以外のジオール(以下、「他のジオール」と言う場合がある。)を用いてもよい。炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとの反応に用いる全ジオールに対する芳香族ジオールの比率は、耐熱性が高くなりやすいことから高いことが好ましい。そこで、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
他のジオールを用いる場合は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びイソソルバイド等を用いることができる。他のジオールを用いる場合は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
<その他の成分>
ポリエステルの製造においては、ジカルボン酸ジフェニル及びジオール以外の化合物(以下、「その他の成分」と言う場合がある。)を用いてもよい。その他の成分としては、ジカルボン酸ジフェニル及びジオール以外の共重合成分(以下、「その他の共重合成分」と言う場合がある。)及びポリエステルの製造において用いられる添加剤などが挙げられる。
その他の共重合成分としては、ヒドロキシカルボン酸又は3官能以上の官能基を有する化合物などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸の誘導体であってもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、分子中に一個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物またはその誘導体であれば特に限定されない。具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸、サリチル酸、p−オキシ安息香酸及びこれらのエステル、酸無水物等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸は、3官能以上のヒドロキシカルボン酸であってもよい。3官能以上のヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられる。
3官能以上の官能基を有する化合物としては、3官能以上の多価アルコール;3官能以上の多価カルボン酸或いはその無水物、酸塩化物又はエステル及び3官能以上のヒドロキシカルボン酸或いはその無水物、酸塩化物又はエステルが挙げられる。
3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
その他の成分は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
ポリエステルの製造において、3官能以上の官能基を有する化合物を用いる場合、その合計含有量は、ポリエステルの全構成単位に対して、0.0001モル%以上であることが好ましく、0.001モル%以上であることがより好ましく、0.005モル%以上であることが更に好ましく、0.01モル%以上であることが特に好ましい。また、一方で、4モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
<ポリエステルの製造方法>
ポリエステルは、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールを反応させることにより得ることができる。製造の具体的方法は、溶液重合、溶融重合、界面重縮合等が上げられるが、生産性の点からは、無溶媒で、溶融重合により行うことが好ましい。
ポリエステルの製造は、通常、原料を混合した後に、エステル交換反応を行い、その後に重縮合反応を行う。エステル交換反応は、通常、原料の融点以上の温度で、常圧又は窒素気流下で行う。重縮合反応は、通常、原料及び生成ポリマーの融点以上の温度で、減圧条件下で行う。
炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとの反応は、製造されるポリエステルの還元粘度が0.3dl/g以上となるように行うことが好ましく、0.4dl/g以上となるように行うことがより好ましく、0.5dl/g以上となるように行うことが更に好ましい。製造されるポリエステルを所望の還元粘度とするためには、脂
肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールのモル比、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより調整することができる。すなわち、これらの条件を変更してポリエステルを製造し、所望の還元粘度を選択することができる。
ポリエステルの製造は、好ましくは、前述の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオール、さらには必要に応じ共重合成分、及びその他添加剤を用いて、触媒の存在下で製造される。
ポリエステルの製造は、無溶媒で反応させることが好ましい。無溶媒とすることにより、溶媒由来の不純物の混入を防ぐことができる。
触媒としては、ポリエステルの製造に用いることのできる任意の触媒を選択することができる。具体的には、例えば、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉛、セシウム、マンガン、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、カドミウム等の金属化合物が好適に用いられる。中でも活性の点から、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、スズ化合物、亜鉛化合物、鉛化合物が好適である。これらの触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
触媒を用いる場合の使用量は、反応速度が速い点では多いことが好ましく、また、一方で、製造コスト及び触媒残渣の影響が低くなり得られるポリエステルの安定性に優れる点では少ないことが好ましい。そこで、反応に供する単量体の量に対する触媒中の金属換算量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.003重量%以上である。また、一方で、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下である。
触媒添加のタイミングは、通常、減圧反応開始以前であれば特に限定されない。すなわち、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
ポリエステルを製造する際の重合温度、重合時間及び圧力などの条件については公知の条件で行うことができる。重合温度は、熱分解、着色、副反応などが起こり難い点では低いことが好ましい。また、一方で、短時間で反応が進行しやすい点では、高いことが好ましい。そこで、重合温度は、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、また、一方で、290℃以下が好ましく、280℃以下であることがより好ましく、270℃以下であることが特に好ましい。重合温度が上記範囲内であれば、高分子量のポリエステルが得られやすく、特に270℃以下であっても高分子量のポリエステルが得られる。重合時間は30分以上が好ましく、1〜15時間の範囲で選ぶことがより好ましい。圧力は、最終的な減圧度が、1.33×10Pa以下であることが好ましく、0.67×10Pa以下であることがより好ましく、0.13×10Pa以下であることが更に好ましい。
<ポリエステルの物性>
本発明の別の実施形態は、上述のポリエステルの製造方法により製造されたポリエステルである。具体的には、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとを構成単位として含み、還元粘度(ηsp/c)が0.3dl/g以上であるポリエステルである。また、ここで、脂肪族ジカルボン酸は、フェノールエステルの反応物であることが好ましい。
本実施形態のポリエステルは、還元粘度(ηsp/c)は、ポリエステルをフィルムや射出成形品への成形性、成型品の強度の点から、以下の範囲とすることが好ましい。すな
わち、還元粘度は、0.3dl/g以上であり、0.4dl/g以上であることが好ましく、0.5dl/g以上であることがより好ましい。還元粘度の上限は、限定されないが、通常3.0dl/g、好ましくは2.5dl/g、より好ましくは2.0dl/gである。
ポリエステルの還元粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(1:1重量比)中において、ポリエステルの濃度が0.5g/dlで、30℃にて測定した溶液粘度から求めることができる。
ポリエステルの還元粘度は、脂肪族ジカルボン酸をフェノールエステルとして反応させることにより高くすることができる。また、ポリエステルの還元粘度は、脂肪族ジカルボン酸のフェノールエステルと芳香族ジオールのモル比、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより調整できる。
本実施形態のポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートなどの汎用エンプラより、耐熱性の必要な用途に適用しやすいことから、TG−DTA測定での5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましく、320℃以上であることがより好ましい。TG−DTA測定は、日立ハイテクサイエンス社製 示差熱熱重量同時測定装置STA200を用いて、窒素雰囲気中、30℃から550℃まで10℃/分の速度で昇温しながら測定する。
また、本実施形態のポリエステルは、ポリブチレンテレフタレートなどの汎用エンプラより、耐熱性の必要な用途に適用しやすいことから、ガラス転移温度Tgが100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度は、日立ハイテクサイエンス社製 高感度型示差走査熱量計DSC7000Xを用い、窒素雰囲気中、30℃から280℃まで100℃/分で昇温させたのち、30℃まで10℃/分で降温し、再度280℃まで10℃/分で昇温し、二回目の昇温時のガラス転移点を測定することで得られる。
上記、5%重量減少温度及びガラス転移温度Tgを所望の範囲とすることは、脂肪族ジカルボン酸のフェノールエステルと芳香族ジオールのモル比、触媒の種類と量、重合温度、重合時間、重合反応時の圧力などにより達成できる。
<ポリエステルの用途>
本実施形態のポリエステルは、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形され、所定の用途に供される。成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。
本実施形態のポリエステルは、特に、射出成形体、発泡成形体、中空成形体への適用が好ましく、具体的な形状としては、フィルム、容器及び繊維への適用が好ましい。
また、これらの成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能等の表面機能等の付与を目的として、各種の加工を施すことも可能である。加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられ
る。
本実施形態のポリエステルの具体的な用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレイやファーストフードの容器、野外レジャー製品など)、押出成形品(フィルム、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シートなど)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセルなどのDDS、創傷被覆材、光学用途、レンズ、液晶材料、導光板などが挙げられる。さらに、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、電気製品筐体、インパネ、シート、ピラー等の自動車内装部品、バンパー、フロントグリル、ホイールカバー等の自動車外装構造材料などの自動車部品等に使用できる。より好ましくは、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレイ、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等及び農業用資材等が挙げられる。農業資材としては、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
本実施形態のポリエステルをフィルムとする場合、その製造方法としては、熱可塑性樹脂の通常の溶融成形法、例えば、インフレーション成形、Tダイ成形、押出成形、圧縮成形、真空成形、射出成形、中空成形、回転成形等、並びに、更にそれらに熱成形、延伸成形、発泡成形等の二次成形法を適用する方法を適用することができ、特にフィルム成形においては特にインフレーション成形、Tダイ成形、射出成形が好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下における各種物性等の測定方法や成形方法は、次の通りである。
<還元粘度(ηsp/c)>
実施例及び比較例で得られたポリエステルを、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(1:1重量比)中に溶解させて濃度0.5g/dlの溶液とし、30℃で測定した粘度から求めた。
<TG−DTA重量減少温度>
日立ハイテクサイエンス社製、示差熱熱重量同時測定装置STA200を用い、窒素雰囲気中、30℃から550℃まで10℃/分の速度で昇温しながら測定した。そして、サンプルの重量が5%減少した温度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
日立ハイテクサイエンス社製、高感度型示差走査熱量計DSC7000Xを用い、窒素雰囲気中、30℃から280℃まで100℃/分で昇温させたのち、30℃まで10℃/分で降温し、再度280℃まで10℃/分で昇温し、二回目の昇温時のガラス転移点を測定した。
<実施例1>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、シュウ酸ジフェニル68.6g、ビスフェノールA61.4g、酢酸亜鉛二水和物0.05gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした
。次に、系内を攪拌しながら1時間で220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。さらに、30分かけて280℃に昇温し、この温度で30分反応させた。その後1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、280℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を2時間継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.584dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は389℃、ガラス転移温度(Tg)は156℃であった。
<実施例2>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、シュウ酸ジフェニル62.4g、ビスフェノールC66.1g、酢酸亜鉛二水和物0.08gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に、系内を攪拌しながら1時間で220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。その後、1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、260℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を3時間継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.376dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は349℃、ガラス転移温度(Tg)は107℃であった。
<実施例3>
原料として、ビスフェノールC66.1gの代わりにテトラメチルビスフェノールF66.1gを用いた以外は、実施例2と同様にポリエステルの重合を行った。得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.357dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は406℃、ガラス転移温度(Tg)は117℃であった。
<実施例4>
原料として、シュウ酸ジフェニル68.6gの代わりにシュウ酸ジフェニル57.3g、ビスフェノールA61.4gの代わりにテトラメチルビスフェノールA63.8g、酢酸亜鉛二水和物0.05gの代わりに酢酸亜鉛二水和物0.08gを仕込んだ以外は、実施例1と同様にポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.612dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は396℃、ガラス転移温度(Tg)は152℃であった。
<実施例5>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、コハク酸ジフェニル69.7g、ビスフェノールA58.9g、酢酸亜鉛二水和物0.08gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に、系内を攪拌しながら1時間で220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて260℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。さらに、30分かけて280℃に昇温し、この温度で30分反応させた。その後1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、280℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を4時間30分継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.367dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は380℃、ガラス転移温度(Tg)は102℃であった。
<実施例6>
原料として、コハク酸ジフェニル58.1gを用い、ビスフェノールA58.9gの代わりにビスフェノールAP62.4gとした以外は、実施例5と同様にポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.318dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は391℃、ガラス転移温度(Tg)は139℃であった。
<実施例7>
原料として、シュウ酸ジフェニル48.4g、テトラメチルビスフェノールAP65.7g及び酢酸亜鉛二水和物0.05gを用いて、重合反応の継続時間を3時間とした以外は、実施例1と同様にポリエス得るの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.317dl/gであった。また、このポリエステルの5%重量減少温度は403℃、ガラス転移温度(Tg)は174℃であった。
<比較例1>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、シュウ酸ジメチル33.5g、ビスフェノールA64.7g、テトラブトキシチタン0.11gを仕込み、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に、系内を攪拌しながら1時間で170℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、1時間かけて220℃まで昇温し、そのまま1時間反応させた。さらに、1時間かけて260℃に昇温し、この温度で2時間30分反応させた。その後1時間30分かけて0.13×10Pa以下になるように減圧し、260℃で加熱減圧状態を保持したまま重合反応を3時間継続した後、重合反応を終了した。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.066dl/gであった。
<比較例2>
原料として、シュウ酸ジメチル33.5gの代わりにコハク酸ジメチル39.4gとした以外は、比較例1と同様にポリエステルの重合を行った。
得られたポリエステルの還元粘度ηsp/cは0.076dl/gであった。
Figure 2021161388

Claims (8)

  1. 脂肪族芳香族ポリエステルを製造する方法であって、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルと芳香族ジオールとを無溶媒で反応させる、ポリエステルの製造方法。
  2. 前記反応は、製造されるポリエステルの還元粘度が0.3dl/g以上となるように行われる、請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルを構成するジカルボン酸がシュウ酸及びコハク酸の少なくとも何れかである、請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. 前記反応に用いる全ジカルボン酸に対する前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸ジフェニルの比率が50モル%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  5. 前記芳香族ジオールが、下記式(1)で表されるビスフェノールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
    Figure 2021161388

    (式(1)中、R乃至Rは独立して水素、炭素数1〜6の炭化水素基及びハロゲンから選択される。R及びRは独立して水素及び炭素数1〜20の炭化水素基から選択される。なお、R及びRは環を形成していてもよい。)
  6. 前記式(1)で表されるビスフェノールがビスフェノールAである、請求項5に記載のポリエステルの製造方法。
  7. 前記反応に用いる全ジオールに対する芳香族ジオールの比率が50モル%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  8. 前記反応における温度が270℃以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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