JP2022135185A - 基板位置制御方法、及び基板処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】一方の処理室から他方の処理室に搬送される基板に対して、ロードロック室を介さずに位置補正を行う基板位置制御方法及び基板処理システムを提供する。【解決手段】方法は、第1の処理室に搬送される基板に位置の調整に用いる第1の位置調整情報と、第2の処理室に搬送される基板に位置の調整に用いる第2の位置調整情報とを参照して、第1及び第2の位置調整情報に基づいて位置が調整された基板を第2の処理室に搬送された場合の位置との間の旋回方向における旋回方向のずれ及び伸縮方向における伸縮方向のずれを示した差分情報を算出する第1の算出工程と、差分情報で示された旋回方向のずれを補正する旋回補正値を算出する第2の算出工程と、差分情報で示された伸縮方向のずれと、旋回補正値に従って旋回方向に基板の位置を補正したことで生じる伸縮方向の旋回補正によるずれと、を補正する伸縮補正値を算出する第3の算出工程と、を有する。【選択図】図18
Description
本開示は、基板位置制御方法、及び基板処理システムに関する。
従来、基板処理システムには、基板を搬送する搬送装置が設けられた搬送室と、搬送室の周囲に配置された複数の処理室と、処理室内に基板を搬送、搬出するごとに、処理室を真空から常圧に戻す必要がないように、開閉自在なゲートバルブを介したロードロック室と、が設けられている。ロードロック室は、真空と常圧とを切り替え可能である。基板処理システムにおいては、搬送装置が、ロードロック室、真空搬送室、各基板処理室との間の基板の搬送を行う。例えば、ロードロック室に基板が搬入され、ロードロック室内が真空処理室と同様に真空になった後、搬送装置が、基板を真空処理室内に搬送する。
ロードロック室には、基板の位置を調整するための位置調整機構が設けられている。そこで、基板処理システムでは、ロードロック室から処理室に、基板を搬送する際に、ロードロック室に設けられた位置調整機構によって、搬送先の処理室に応じた位置調整を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本開示によれば、一方の処理室から他方の処理室に搬送される基板に対して、ロードロック室を介さずに位置補正を行う技術を提供する。
本開示の一態様による基板位置制御方法は、旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、搬送室に接続された第1の処理室と、搬送室に接続された第2の処理室と、搬送室に接続されると共に基板の位置の調整を行う位置調整機構を有するロードロック室と、を有する基板処理システムにおける基板位置制御方法であって、ロードロック室から第1の処理室に搬送される基板に対する位置の調整に用いる第1の位置調整情報と、ロードロック室から第2の処理室に搬送される基板に対する位置の調整に用いる第2の位置調整情報と、を記憶する記憶部を参照して、第1の位置調整情報に基づいて位置が調整された基板を第2の処理室に搬送された場合の位置と、第2の位置調整情報に基づいて位置が調整された基板を第2の処理室に搬送された場合の位置と、の間の、旋回方向における旋回方向のずれ及び伸縮方向における伸縮方向のずれを示した差分情報を算出する第1の算出工程と、差分情報で示された旋回方向のずれを補正する旋回補正値を算出する第2の算出工程と、差分情報で示された伸縮方向のずれと、旋回補正値に従って旋回方向に基板の位置を補正したことで生じる伸縮方向の旋回補正によるずれと、を補正する伸縮補正値を算出する第3の算出工程と、を有する。
本開示によれば、一方の処理室から他方の処理室に搬送される基板に対して、ロードロック室を介さずに位置補正を行うことができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る基板位置制御方法を実施可能な基板処理システムの一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る基板処理システムの平面図である。
第1の実施形態に係る基板位置制御方法を実施可能な基板処理システムの一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る基板処理システムの平面図である。
図1及び図2に示されるように、基板処理システム100は、旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とを行う搬送機構23a(後述)を有する搬送装置23を備えた搬送室3と、ロードロック室5と、3基のプロセスチャンバ(処理室の一例)1a、1b、1cと、を搭載するマルチチャンバシステムである。基板処理システム100は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)用のガラス基板(以下、「基板S」という。)に対してプラズマ処理を行うための真空処理システムである。また、本実施形態の基板処理システム100で処理される基板Sは、矩形の基板Sであり、一例として、G4.5世代のサイズ(例えば、730mm×920mm)の基板Sや、G6世代のサイズ(例えば、1500mm×1850mm)の基板Sである。
基板処理システム100では、複数の大型チャンバが平面視で十字形に連結されている。複数の大型チャンバとして、中央部には搬送室3が設けられ、搬送室3の三方の側面に隣接して基板Sに対してプラズマ処理を行う3つのプロセスチャンバ1a、1b、1c(処理室の一例)が設けられ、搬送室3の残りの一方の側面に隣接してロードロック室5が設けられている。プロセスチャンバ1a、1b、1c、及び搬送室3は、いずれも常に減圧雰囲気(真空状態)において基板Sの処理及び搬送を行う真空チャンバであり、ロードロック室5は、必要に応じて減圧雰囲気と大気雰囲気を切り替える真空大気切替チャンバである。
搬送室3とプロセスチャンバ1a、1b、1cとの間には開口部(図示せず)が設けられており、開口部には開閉機能を有するゲートバルブ7aが設けられている。搬送室3とロードロック室5との間には開口部(図示せず)が設けられており、開口部には開閉機能を有するゲートバルブ7bが設けられている。ゲートバルブ7a、7bは、「閉」の状態で各チャンバの間を気密にシールし、「開」の状態でチャンバの間を連通させて基板Sの搬送を可能にする。ロードロック室5と外部の大気雰囲気との間にもゲートバルブ7cが設けられており、「閉」の状態でロードロック室5の気密性を維持し、「開」の状態でロードロック室5内と外部との間で基板Sの搬送を可能にする。
プロセスチャンバ1a、1b、1cは、その内部空間を所定の減圧雰囲気に維持できるように構成されている。プロセスチャンバ1a、1b、1c内には、図2に示されるように、基板Sを載置する載置台であるサセプタ2が設けられている。サセプタ2は、電極部2a及び(図示しない)セラミクス部を有する。電極部2aは、例えば平面視で矩形状に形成されている。電極部2aの外形は、例えば基板Sの外形よりも小さい。電極部2aの上面には、基板Sが載置される。電極部2aは、基板Sをプラズマにより処理する際にバイアス用のRFが印加され、基板載置面となる頂面は誘電体材料により形成されている。基板載置面には基板Sを保持するために静電チャックが設けられていてもよい。セラミクス部は、電極部2aの周囲に設けられている。セラミクス部は、石英など、他の絶縁性材料で構成されてもよい。プロセスチャンバ1a、1b、1cでは、基板Sをサセプタ2に載置した状態で、基板Sに対して、例えば真空条件でのエッチング処理、アッシング処理、成膜処理等のプラズマ処理が行われる。
本実施形態は、プロセスチャンバ1a、1b、1c毎に異なる種類の処理を行う例とする。このため、プロセスチャンバ1aで基板Sに対する処理が終了した後に、基板Sは、プロセスチャンバ1aから搬送室3を介してプロセスチャンバ1cに搬送される。
搬送室3は、真空処理室であるプロセスチャンバ1a、1b、1cと同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。搬送室3内には、図2に示されるように、搬送装置23が設けられている。搬送装置23は、プロセスチャンバ1a、1b、1c及びロードロック室5の間で基板Sを搬送する。
図3は、搬送装置23が有する搬送機構の構成例を示す斜視図である。図3に示されるように、搬送機構23aは、台座部113と、台座部113に対してスライド可能に設けられたスライドアーム115と、スライドアーム115の上にスライド可能に設けられ、基板Sを支持する支持部材としてのフォーク101とを有する。フォーク101は、プロセスチャンバ1a、1b、1c及びロードロック室5に進退可能に構成されている。フォーク101は、ピックベース117と、ピックベース117に連結された保持部である複数の支持ピック119を有する。図3の例では、フォーク101は、4本の支持ピック119a、119b、119c、119dを有する。なお、プロセスチャンバ1a、1b、1cのうち任意の一つ以上を示す場合にはプロセスチャンバ1と称する。
スライドアーム115の両側の側部には、台座部113に対してスライドアーム115をスライドさせるためのガイド121が設けられている。台座部113には、ガイド121をスライド可能に支持するスライド支持部123が設けられている。
また、スライドアーム115の両側の側部には、スライドアーム115に対してフォーク101をスライドさせるためのガイド125が、ガイド121と平行に設けられている。そして、ガイド125に沿ってスライドするスライダ127が設けられ、スライダ127にフォーク101が装着されている。
搬送機構23aは、上述したガイド121に沿ったスライドアーム115のスライド制御、及びガイド125に沿ったフォーク101のスライド制御を行うことで、伸縮方向301にフォーク101の伸縮距離を制御する伸縮制御を実現できる。
さらに、搬送機構23aは、台座部113に設けられている旋回機構によって、旋回軸302を中心にフォーク101の旋回角度を制御する旋回制御を実現できる。なお、旋回軸302は、スライド方向に沿ったフォーク101の中心軸と交差するように構成されることが望ましい。
なお、本実施形態では、搬送機構23aについて説明したが、搬送室3に設けられた搬送機構の数を制限するものではない。例えば、搬送機構23aが一つ設けられていてもよいし、搬送機構23aが複数(例えば2段)に設けられていてもよい。
例えば、搬送機構23aが上下方向に2段設けられている場合、上下の搬送機構は、連結機構(図示せず)によって連結され、一体となって水平方向に旋回できるように構成されている。また、上下二段に構成された搬送機構は、スライドアーム115及びフォーク101のスライド動作や、台座部113の旋回動作及び昇降動作を行う駆動ユニット(図示せず)に連結されている。
図2に戻り、ロードロック室5は、プロセスチャンバ1a、1b、1c及び搬送室3と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロック室5は、大気雰囲気にある(図示しない)カセットと、減圧雰囲気の搬送室3と、の間で基板Sの受渡しを行うためのチャンバである。ロードロック室5では、大気雰囲気と減圧雰囲気とが繰り返し切り替えられるため、内容積が小さく構成されている。また、ロードロック室5を大気雰囲気と減圧雰囲気とに繰り返し切り替えるために、ロードロック室5には、排気バルブ(図示せず)を介して排気系(図示せず)と、給気バルブ(図示せず)を介してガス供給系(図示せず)とが接続されている。
例えば、ロードロック室5に、基板収容部27が上下二段に設けられていてもよい。基板収容部27には、基板Sを支持するバッファ28が設けられている。バッファ28は、互いに間隔をあけた複数の支持部により構成されている。バッファ28の間隔は、櫛歯状の支持ピック(例えばフォーク101の支持ピック119)の逃げ溝となっている。
ロードロック室5内には、矩形状の基板Sの各辺に当接して位置合わせを行うポジショナー(位置調整機構の一例)29が3つ設けられている。なお、3つのポジショナー29の各々を示す場合はポジショナー29a、29b、29cと称す。ポジショナー29は、プロセスチャンバ1のサセプタ2の電極部2aの中央若しくは基板Sに処理を施すための適切な位置に基板Sを置くために、基板Sの3点の位置調整に用いられる。ポジショナー29a、29b、29cの位置については後述する。
基板処理システム100は、各部の動作を制御する制御部30を有する。制御部30は、コントローラ31、ユーザーインターフェース32、及び記憶部33を有する。コントローラ31は、CPUを備えており、基板処理システム100において、例えばプロセスチャンバ1a、1b、1c、搬送装置23等の各部の動作を制御する。ユーザーインターフェース32は、例えば工程管理者が基板処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボード、基板処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイを有する。記憶部33には、基板処理システム100で実行される各種処理をコントローラ31の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されている。ユーザーインターフェース32及び記憶部33は、コントローラ31に接続されている。
図4は、コントローラ31において実現される機能構成を例示したブロック図である。図4に示されるように、コントローラ31は、記憶部33に記憶されている制御プログラムを実行する。これにより、コントローラ31は、バルブ制御部401と、ポジショナー制御部402と、搬送制御部403と、アライメント取得部404と、差分算出部405と、旋回補正値算出部406と、伸縮補正値算出部407と、を備える。
なお、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばCD-ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリに格納された状態のものを利用できる。また、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
次に、コントローラ31の具体的な構成について説明する。
バルブ制御部401は、ゲートバルブ7a、7b、7cの開閉制御と、ロードロック室5の減圧制御を行うための、ロードロック室5の排気バルブと給気バルブの開閉制御と、を行う。
ポジショナー制御部402は、ロードロック室5のバッファ28に載置された基板Sに対して、ポジショナー(位置調整機構の一例)29a、29b、29cを制御して、搬送先のプロセスチャンバ1a、1b、1cに応じた位置調整を行う。
本実施形態の搬送機構23aは、上述したように旋回制御と伸縮制御が実現可能であり、ポジショナー制御部402は、これらの動きを補足して、搬送先のプロセスチャンバ1a、1b、1cのサセプタ2の適切な位置に基板Sを載置できるように、基板Sに対して予め位置調整を行う。
図5は、本実施形態のポジショナー制御部402が制御するポジショナー29の位置を例示した図である。図5に示される例では、ロードロック室5に3個のポジショナー29a、29b、29cが設けられている。図5に示される例では、ポジショナー29a、29b、29cで位置調整の対象となる基板Sの外周の位置を点A、点B、及び点Cと称する。
本実施形態では、搬送機構23aが旋回制御を行うための旋回軸302を基準として処理を行う。このため、本実施形態の記憶部33には、旋回軸302と点A、B、C各々との間の距離がパラメータとして格納されている。以下の説明においては、図5に示されるように、旋回軸302と点Aとの距離LAを"3245.06"とし、旋回軸302と点Bとの距離LBを"4694.51"とし、旋回軸302と点Cとの距離LCを"3015.91"とする。さらに、記憶部33には、旋回軸302を含む基準軸501と、点A、B、C各々と、の間の角度をパラメータとして格納している。以下の説明においては、図5に示されるように、点Aの角度θAを"76.64°"とし、点Bの角度θBを"80.81°"とし、点Cの角度θCを"80.07°"とする。基準軸501は、搬送機構23aの旋回制御を行う際に角度算出の基準となる軸方向とする。また、ポジショナー29による位置調整の方向も旋回軸302を基準として定められる。ポジショナー29a及びポジショナー29bによる位置調整の方向は旋回方向となる。ポジショナー29cによる位置調整の方向は伸縮方向となる。
本実施形態では、基板Sの位置制御には高い精度が求められている。このため、記憶部33は、搬送先となるプロセスチャンバ1毎に、点A、B、Cの位置調整量を記憶している。本実施形態では、点A、B、Cの位置調整量を記憶する記憶部33を、基板処理システム100の制御部30に設ける例について説明するが、当該構成例に限定するものではない。例えば、制御部30が、通信可能な他のコンピュータの記憶部から、点A、B、Cの各々の位置調整量を取得してもよい。
図6は、記憶部33が記憶する、プロセスチャンバ1毎の位置調整量を格納する位置調整量テーブルを例示した図である。図6に示される位置調整量テーブルでは、搬送先となるプロセスチャンバ1毎に、点A、B、Cの位置調整量を格納している。
例えば、位置調整量テーブルは、ロードロック室5から第1プロセスチャンバ1a(第1の処理室の一例)に搬送される基板Sに対する位置の調整に用いる位置調整量(第1の位置調整情報の一例)601を、点A、B、C毎に記憶する。さらに、位置調整量テーブルは、ロードロック室5から第3プロセスチャンバ1c(第2の処理室の一例)に搬送される基板Sに対する位置の調整に用いる位置調整量(第2の位置調整情報)602を、点A、B、C毎に記憶する。図6に示されるように、位置調整量の単位(mm)とする。
これにより、ポジショナー制御部402は、位置調整量テーブルを読み込んで、搬送先のプロセスチャンバ1に対応する点A、B、C毎の位置調整量に従ってポジショナー29a、29b、29cを制御することで、基板Sの搬送先に応じた位置調整を実現できる。
図7は、制御部30が有するコントローラ31に備えられたポジショナー制御部402の制御による基板Sの位置調整を説明した図である。図では簡略化して制御部30のみを示す。図7(A)に示されるように、基板Sが載置された場合に、制御部30のコントローラ31が、当該基板Sの搬送先を特定する。そして、コントローラ31のポジショナー制御部402は、記憶部33から搬送先のプロセスチャンバ1に対応する点A、B、C毎の位置調整量を読み出す。
図7(B)に示されるように、ポジショナー制御部402は、点Aに対応するポジショナー29a、点Bに対応するポジショナー29b、及び点Cに対応するポジショナー29cの各々について、読み出した位置調整量を移動させる制御を行う。具体的には、ポジショナー29aは、基板Sを旋回方向701に移動させる。ポジショナー29bは、基板Sを旋回方向702に移動させる。ポジショナー29cは、基板Sを伸縮方向703に移動させる。
このように、本実施形態では、ポジショナー制御部402が、点A、点B、及び点Cの3点で基板Sを旋回方向又は伸縮方向に位置を調整することで、基板Sの旋回方向及び伸縮方向における具体的な調整を可能としている。なお、本実施形態では、ポジショナー制御部402が、点A、点B、及び点Cの3点で基板Sの位置を調整する例について説明するが、調整を行う位置を制限するものではない。基板の位置を調整する箇所は、点A、点B、及び点Cに制限するものではなく、旋回方向及び伸縮方向に調整を行える3点以上の点であればよい。
コントローラ31に備えられた搬送制御部403は、搬送室3に存在する搬送機構23aの旋回制御及び伸縮制御によって、基板Sの搬送の制御を行う。
ところで、最近用いられる基板処理システムでは、複数のプロセスチャンバ1a、1b、1cの各々において異なる処理を連続して実施する傾向にある。このため、例えば、一方のプロセスチャンバ1で第1処理した後に他方のプロセスチャンバ1に搬送して第2処理を行うことがある。
本実施形態の基板処理システム100も、基板Sに対して、複数のプロセスチャンバ1の各々で処理を行う。上述したように、ロードロック室5では、複数のプロセスチャンバ1の各々に応じた位置調整を行っている。このため、複数のプロセスチャンバ1の各々に適切な位置に基板Sを配置するためには、プロセスチャンバ1に基板Sを搬送するごとに、ロードロック室5において位置調整を行うのが好ましい。例えば、一方のプロセスチャンバ1で第1の処理を行った後、一旦ロードロック室5に戻し、他方のプロセスチャンバ1に適した位置調整を行って、他方のプロセスチャンバ1に搬送することが好ましい。
しかしながら、ロードロック室5に基板Sを戻さない方が好ましい場合も存在する。例えば、プロセスチャンバ1において、基板Sに対して腐食性ガスで処理を行う場合がある。このような場合、プロセスチャンバ1において処理に用いるガスによっては、当該処理を行った後に、ロードロック室5に基板Sを戻すと、基板S上の残留ガスでロードロック室5の内部の表面が腐食する可能性がある。
さらには、ロードロック室5を介さずに、一方のプロセスチャンバ1から他のプロセスチャンバ1に直接搬送を行う方が、スループットが向上するという利点がある。
しかしながら、一方のプロセスチャンバ1用に位置合わせを行った状態の基板Sを、そのまま他方のプロセスチャンバ1に載置すると位置ずれが生じるおそれがある。特に、位置ずれが生じることにより下部の電極部2aの基板載置面が露出してプラズマ処理で損傷が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態の基板処理システム100は、ロードロック室5を介さずに、複数のプロセスチャンバ1間で基板Sの直接搬送するシリアル搬送を行う際に搬送機構23aの動作に補正を加える。基板処理システム100は、プロセスチャンバ1毎に位置合わせに用いる位置調整量の差に基づいて、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1に搬送する搬送機構23aの動作を補正する。次に具体的な搬送手順の例について説明する。
ロードロック室5の外部の大気雰囲気から、開状態の大気側のゲートバルブ7cを介して、ロードロック室5の基板収容部27のバッファ28に基板Sが搬送され載置された場合、バルブ制御部401は、ロードロック室5の大気側のゲートバルブ7cを閉じる制御を行った後、ロードロック室5の排気バルブを開く制御を行いロードロック室5内を排気して、所定の真空度まで減圧する制御を行う。さらに、バルブ制御部401は、搬送室3とロードロック室5との間のゲートバルブ7bを開く制御を行う。
搬送室3とロードロック室5との間のゲートバルブ7bが開かれた後、ポジショナー制御部402が、基板Sの搬送先のプロセスチャンバ1に応じた位置調整を行う。なお、ゲートバルブ7bが開かれる前に位置調整を行っておいてもよい。本実施形態では、ロードロック室5から第1プロセスチャンバ1aに搬送される例とする。
搬送制御部403は、搬送機構23aのフォーク101を制御して、ロードロック室5で、第1プロセスチャンバ1a用に位置調整された後の基板Sを受け取る。
続いて、搬送制御部403は、搬送機構23aのフォーク101を制御して、搬送先となる第1プロセスチャンバ1aに基板Sを搬入し、第1プロセスチャンバ1aのサセプタ2に受け渡す。
続いて、第1プロセスチャンバ1a内で基板Sに対して第1処理が行われる。第1処理は、基板Sに対して第1プロセスチャンバ1a内で行われる処理であればよい。
搬送制御部403は、搬送機構23aのフォーク101を制御して、第1処理が行われた基板Sを、第1プロセスチャンバ1aのサセプタ2から受け取り、第1プロセスチャンバ1aから搬出する。
搬送制御部403は、搬送機構23aのフォーク101を制御して、第1プロセスチャンバ1aから搬出された基板Sを、第3プロセスチャンバ1cに搬入する。
この場合、第3プロセスチャンバ1cに搬入された基板Sは、第3プロセスチャンバ1c用の位置調整がなされていない。このため、搬送制御部403が、基板Sの位置の補正を行わずに、基板Sを第3プロセスチャンバ1cのサセプタ2に載置すると位置のずれが生じる。
図8は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送した場合の点A、点B、及び点C各々のずれ量を例示した図である。図8に示されるように、ロードロック室5における第1プロセスチャンバ1aの位置調整量は、点A"19.670000"、点B"19.930000"、点C"20.940000"である。一方、ロードロック室5における第3プロセスチャンバ1cの位置調整量は、点A"17.283333"、点B"17.466667"、点C"20.539000"である。
このため、搬送制御部403が、第1プロセスチャンバ1a用に調整された基板Sを、第3プロセスチャンバ1cに搬送する場合、点Aにおいて"2.286667"、点Bにおいて"2.463333"、点Cにおいて"0.401000"のずれ量が生じる。
そこで、本実施形態の搬送制御部403は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送する際に、搬送機構23aの旋回方向及び伸縮方向に、基板Sの位置を補正する。
図9は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送した場合の概念を示した説明図である。図9(A)に示されるように、搬送制御部403は、搬送機構23aを制御して、基板Sを受け取る。その後、搬送制御部403は、基板Sを、第1プロセスチャンバ1aから搬出する。
図9(B)に示されるように、搬送制御部403は、搬送機構23aを制御して、基板Sを、第3プロセスチャンバ1cに搬入する。搬送制御部403は、第1プロセスチャンバ1aと第3プロセスチャンバ1cとの間のずれ量(図8参照)に対応するように、旋回制御及び伸縮制御で補正した後に、第3プロセスチャンバ1cのサセプタ2に基板Sを載置する。
具体的には、搬送制御部403は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに旋回させるための旋回角に、旋回補正値と、を加算した合計角901だけ、基板Sを旋回させる。さらに、搬送制御部403は、第3プロセスチャンバ1cのサセプタ2に載置するための伸縮量に、伸縮補正値と、を加算した合計伸縮量902だけ、フォーク101の伸縮制御を行う。
旋回補正値は、一方のプロセスチャンバ1(例えば、第1プロセスチャンバ1a)から他方のプロセスチャンバ1(例えば、第3プロセスチャンバ1c)に搬送する際に生じる旋回方向のずれ量を補正するための補正値とする。
伸縮補正値は、一方のプロセスチャンバ1(例えば、第1プロセスチャンバ1a)から他方のプロセスチャンバ1(例えば、第3プロセスチャンバ1c)に搬送する際に生じる伸縮方向のずれ量を補正するための補正値と、旋回補正値によって旋回方向の基板Sの位置を補正したことによって生じた伸縮方向の旋回補正によるずれ量を補正するための補正値と、を加算した値とする。
本実施形態の制御部30は、旋回補正値及び伸縮補正値を、記憶部33に記憶させる。そして、搬送制御部403は、プロセスチャンバ1間で基板Sを直接搬送する際に、記憶部33から、当該直接搬送に対応する旋回補正値及び伸縮補正値を読み出して、旋回補正値及び伸縮補正値に従ってずれ量を補正した上で、基板Sを搬送先のプロセスチャンバ1のサセプタ2に載置する。
図4に戻り、基板処理システム100の制御部30が備える、旋回補正値及び伸縮補正値を記憶部33に記憶させるために必要な構成について説明する。
アライメント取得部404は、プロセスチャンバ1に搬送する前にポジショナー29がロードロック室5で基板Sに位置調整を行うための位置調整量を取得し、記憶部33に記憶する。これにより、図6で示した位置調整量テーブルが更新される。なお、位置調整量の具体的な取得手法については後述する。
差分算出部405は、一方のプロセスチャンバ1用に位置調整された基板Sを、他方のプロセスチャンバ1に搬送された場合の位置と、他方のプロセスチャンバ1用に位置調整された基板Sを他方のプロセスチャンバ1に搬送された場合の位置と、の間のずれ量を算出する。算出されるずれ量は、旋回方向のずれ量と、伸縮方向のずれ量とを含む。
本実施形態では、一方のプロセスチャンバ1の点A、Bの位置調整量と、他方のプロセスチャンバ1の点A、Bの位置調整量と、の間のずれ量が、旋回方向のずれ量(旋回方向における旋回方向のずれを示した差分情報の一例)となる。また、一方のプロセスチャンバ1の点Cの位置調整量と、他方のプロセスチャンバ1の点Cの位置調整量と、の間のずれ量が、伸縮方向のずれ量(伸縮方向における伸縮方向のずれを示した差分情報の一例)となる。
旋回補正値算出部406は、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1に基板Sを搬送する場合に、搬送機構23aの旋回制御で旋回角度の補正可能な数値範囲から、旋回方向のずれ量を低減させるための、旋回角度の旋回補正値を検索していく2分探索を行う。なお、本願においては、旋回方向の位置に関するずれ量(mm)を補正するために、旋回方向の位置の移動をもたらす旋回運動に関する角度(°)の補正値を2分探索により求めてゆく。即ち、角度(°)の補正値がずれ量(mm)の補正値に反映される。
図10は、本実施形態に係る旋回補正値算出部406が行う2分探索の概念を説明した図である。図10(A)に示される例は、最小値-2°~最大値2°が旋回角度の補正可能な数値範囲とする。なお、当該範囲は、本実施形態で実際に用いられるものではなく、説明を容易にするために示した例である。
そして、旋回補正値算出部406は、当該補正可能な数値範囲を検索範囲として、2分探索で旋回方向のずれ量が少なくなる旋回角度(°)を検索する。まず、旋回補正値算出部406は、図10(A)の検索範囲の中央値0°を特定する。
次に、図10(B)に示されるように、旋回補正値算出部406は、中央値0°から+0.1°ずらした暫定値0.1°を特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、(中央値)0°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量と、(暫定値)0.1°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量と、を比較する。
旋回補正値算出部406は、比較結果によって次の検索範囲を特定する。次の検索範囲は、今回の検索範囲を中央値で分割した範囲のうち、いずれか一方とする。
例えば、比較の結果、旋回補正値算出部406は、0°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量が小さいと判断した場合、次の検索範囲を最小値-2°~最大値0°に特定する。また、旋回補正値算出部406は、0.1°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量が小さいと判断した場合、次の検索範囲を最小値0°~最大値2°に特定する。なお、ずれ量の算出方法については後述する。
図10(C)で示される例では、旋回補正値算出部406が、0°補正した場合と比べて、0.1°補正した場合の方がずれ量が小さいと判断したために、次の検索範囲を最小値0°~最大値2°に特定した例となる。また、旋回補正値算出部406は、次の検索範囲の中央値1°も特定する。
次に、図10(D)に示されるように、旋回補正値算出部406は、中央値1°から+0.1°ずらした暫定値1.1°を特定する。暫定値は、中央値と2分探索の比較のために用いる値とする。
そして、旋回補正値算出部406は、(中央値)1°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量と、(暫定値)1.1°補正した場合の基板Sの旋回方向のずれ量と、を比較する。旋回補正値算出部406は、1°補正した場合が1.1°補正した場合と比べてずれ量が小さいと判断した場合、次の検索範囲を最小値0°~最大値1°に特定する。旋回補正値算出部406は、1.1°補正した場合が1°補正した場合と比べてずれ量が小さいと判断した場合、次の検索範囲を最小値1°~最大値2°に特定する。
図10(E)に示される例では、旋回補正値算出部406は、1.1°補正した場合と比べて1°補正した場合の方がずれ量が小さいと判断したために、次の検索範囲を最小値0°~最大値1°に特定した例とする。図10(E)で示される例では旋回補正値算出部406は、さらに次の検索範囲の中央値0.5°も特定する。
このように、本実施形態では、旋回補正値算出部406が、中央値を基準に、検索範囲を半分に絞り込む処理を繰り返していく。当該処理を繰り返していくことで、基板Sの位置のずれ量が小さくなる旋回角度を特定できる。
つまり、旋回補正値算出部406は、検索範囲の最大値と、検索範囲の最小値と、最大値と最小値との間の中央値と、を取得し、中央値から最大値側又は最小値側に予め定められた探索値の分だけずらした暫定値を算出する。本実施形態では、中央値に、探索値"0.0001°"を加算して暫定値を算出する例とする。そして、旋回補正値算出部406は、中央値に基づいて旋回角度をずらした場合に旋回方向の基板Sの位置のずれが補正される量と、暫定値に基づいて旋回角度をずらした場合に旋回方向の基板Sの位置のずれが補正される量と、の比較結果に基づいて検索範囲を狭め、当該狭められた検索範囲に基づいて最大値、最小値、及び中央値を更新する処理を繰り返していく。探索値とは、2分探索において、中央値と比較する暫定値を生成するために、中央値に対して加算する(減算でもよい)ために予め定められた数値とする。なお、暫定値を算出する探索値は、小さ過ぎると検索範囲の絞り込みに時間がかかり、大き過ぎると絞り込みの精度が悪くなることから、その間において適当な値を定める必要がある。
次に具体的な処理について説明する。図8に示されるように、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送した場合、点Aにおいて"2.286667"、点Bにおいて"2.463333"、点Cにおいて"0.401000"のずれ量が生じる。
図11は、補正せずに、第1プロセスチャンバ1aの位置調整された基板Sを、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送した場合の位置を例示した図である。図11に示される例では、第3プロセスチャンバ1c用に位置調整を行った後に基板Sを搬送した場合における基板Sの領域1150を点線で示している。そして、点Aでは旋回方向に"2.286667"のずれ量1101が生じ、点Bでは旋回方向に"2.463333"のずれ量1102が生じ、点Cでは伸縮方向に"0.401000"のずれ量1103が生じている。その結果、電極部2aの露出している部分1181、1182が生じている。なお、図11に示される例では、説明を容易にするためにずれ量を強調して示している。
そして、旋回補正値算出部406は、旋回方向の基板Sの位置のずれ量を低減させるため、換言すれば、点A及び点Bの旋回方向(x軸方向)のずれ量を小さくするために、2分探索を用いて旋回補正値を算出する。
図12は、本実施形態の旋回補正値算出部406による2分探索が行われる検索範囲を例示した図である。図12に示される例では、1回目の検索範囲は、基板Sの補正可能な数値範囲(最小値"-0.2000°"~最大値"0.2000°")とする。中央値は、"0.0000°"とする。なお、最小値、最大値、中央値及び暫定値については、表記においては簡単のため小数点以下4桁で表しているが、ずれ量の計算においては他の数値の桁数に合わせて計算を行う。また、ずれ量の数値などは小数点以下6桁にて表記を行っているが、実際の計算そのものは更に下の桁まで計算を行っており、表記の都合で小数点以下6桁に丸めているため、表記上は最終桁における数字が合わない場合がある。
図13は、本実施形態に係る旋回補正値算出部406が行う2分探索による演算情報を例示した図である。図13に示される例では、中央値"0.0000°"で補正した場合のずれ量を算出する。具体的には、下記の式(1)によって2分探索1回目の中央値で補正した場合の点Aのx座標(XCA)を算出する。なお、距離"3245.06"は旋回軸302と点Aとの間の距離LAとする。角度"76.640000°"は、旋回軸302を基準として基準軸501と点Aとの間の角度θAに、中央値"0.0000°"を加算した角度とする。ここで、第1プロセスチャンバ1a及び第3プロセスチャンバ1cにおけるそれぞれの位置調整量は、ロードロック室5における位置関係、即ち旋回軸302と点A、点B、及び点Cの各々との距離及び角度が用いられて算出されている。このため、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送した場合における、旋回補正値の算出においても、ロードロック室5における位置関係が基準として用いられる。
XCA=3245.06×cos(76.640000°)……(1)
旋回補正値算出部406は、式(1)から、中央値の点Aのx座標(XCA)"749.831865"を算出する。この場合、旋回補正値算出部406は、補正前の点Aのx座標"749.831865"との差分として、補正量"0.000000"を算出する。旋回補正値算出部406は、図8の点Aのずれ量"2.286667"から補正量"0.000000"を減算して、旋回方向の補正後ずれ量"2.286667"を算出する。なお、ここでは手順の説明のため形式的に加算減算を行ったが、中央値"0.0000°"では事実上角度補正をしていないため、旋回方向のずれ量に変化はない。
旋回補正値算出部406は、下記の式(2)によって2分探索1回目の中央値の点Bのx座標(XCB)を算出する。なお、距離"4694.51"は旋回軸302と点Bとの間の距離LBとする。角度"80.810000°"は、旋回軸302を基準として基準軸501と点Bとの間の角度θBに中央値"0.0000°"を加算した角度とする。
XCB=4694.51×cos(80.810000°)……(2)
旋回補正値算出部406は、式(2)から、中央値の点Bのx座標(XCB)"749.755016"を算出する。この場合、旋回補正値算出部406は、補正前の点Bのx座標"749.755016"との差分として、補正量"0.000000"を算出する。旋回補正値算出部406は、図8の点Bのずれ量"2.463333"から補正量"0.000000"を減算して、旋回方向の補正後ずれ量"2.463333"を算出する。なお、ここでは手順の説明のため形式的に加算減算を行ったが、中央値"0.0000°"では事実上角度の補正をしていないため、旋回方向のずれ量に変化はない。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の点Aの補正後ずれ量"2.286667"と、中央値の点Bの補正後ずれ量"2.463333"とを比較して、ずれ量が大きい"2.463333"を中央値の判定値として特定する。当該中央値の判定値(ずれ量)は、後述する暫定値の判定値(ずれ量)との比較に用いられる。
次に、中央値に探索値"0.0001°"を加算した暫定値"0.0001°"についてずれ量を算出する。具体的には、旋回補正値算出部406は、式(1)で示した角度"76.640000°"の代わりに、角度"76.640100°"を用いて下記の式(3)で2分探索1回目の暫定値の点Aのx座標(XZA)を算出する。角度"76.640100"は、基準軸501と点Aとの間の角度"76.640000°"に暫定値"0.0001°"を加算した値とする。
XZA=3245.06×cos(76.640100°)……(3)
旋回補正値算出部406は、式(3)から、暫定値の点Aのx座標(XZA1)"749.826355"を算出する。この場合、旋回補正値算出部406は、補正前の点Aのx座標"749.831865"との差分として、補正量"-0.005510"を算出する。旋回補正値算出部406は、図8の点Aのずれ量"2.286667"から補正量"-0.005510"を減算して、旋回方向の補正後ずれ量"2.292177"を算出する。
次に、旋回補正値算出部406は、式(2)で示した角度"80.810000°"の代わりに、角度"80.810100°"を用いて下記の式(4)で2分探索1回目の暫定値の点Bのx座標(XZB)を算出する。角度"80.810100°"は、基準軸501と点Bとの角度"80.810000°"に暫定値"0.0001°"を加算した値とする。
XZB=4694.51×cos(80.810100°)……(4)
旋回補正値算出部406は、式(4)から、暫定値の点Bのx座標(XZB)"749.746928"を算出する。この場合、旋回補正値算出部406は、補正前の点Bのx座標"749.755016"との差分として、補正量"-0.008088"を算出する。旋回補正値算出部406は、図8の点Bのずれ量"2.463333"から補正量"-0.008088"を減算して、旋回方向の補正後ずれ量"2.471422"を算出する。
そして、旋回補正値算出部406は、点Aの補正後ずれ量"2.292177"と、点Bの補正後ずれ量"2.471422"と、を比較して、ずれ量が大きい"2.471422"を暫定値の判定値として特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"2.463333"と、暫定値の判定値"2.471422"とを比較し、値が小さい方を特定する。1回目の2分探索において、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"2.463333"が、暫定値の判定値"2.471422"より小さいと判断する。つまり、暫定値"0.0001°"を加算したことで、旋回方向のずれ量が大きくなったので、今回の検索範囲のうち、最小値側に狭めた検索範囲を次の検索で用いる。そこで、旋回補正値算出部406は、1回目の検索範囲を中央値で分割し、中央値より小さい範囲を、次の検索範囲として特定する。
図12で示されるように、最小値"-0.2000°"~最大値"0.0000°"が2回目の検索範囲となる。そして中央値"-0.1000°"となる。
旋回補正値算出部406は、補正値として、中央値"0.0000°"の代わりに、中央値"-0.1000°"を用いる場合、点Aの角度が中央値により補正されて"76.540000"となり、点Bの角度が中央値により補正されて"80.710000"となる。そして、旋回補正値算出部406は、上記と同様の処理を行うことで、中央値"-0.1000°"で補正した場合における、点Aの補正量"5.509279"、及び点Bの補正量"8.087150"を算出する。そして、旋回補正値算出部406は、当該補正量で補正した場合の点Aの補正後ずれ量"-3.222612"と点Bの補正後ずれ量"-5.623816"とを算出する。旋回補正値算出部406は、算出された複数の補正後ずれ量のうち、絶対値が大きい"-5.623816"を判定値として特定する。このように判定値は、絶対値として大きい方を用いる。
次に、旋回補正値算出部406は、2回目の暫定値として、中央値"-0.1000°"から探索値"0.0001"を加算した値"-0.0999°"を用いる場合、点Aの角度が"76.540100"となり、点Bの角度が"80.710100"となる。そして、旋回補正値算出部406は、上記と同様の処理を行うことで、暫定値"-0.0999°"で補正した場合における、点Aの補正量"5.503771"、及び点Bの補正量"8.079064"を算出する。そして、旋回補正値算出部406は、当該補正量で補正した場合の点Aの補正後ずれ量"-3.217104"と点Bの補正後ずれ量"-5.615730"とを算出する。旋回補正値算出部406は、算出された複数の補正後ずれ量のうち、絶対値が大きい"-5.615730"を判定値として特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"-5.623816"と、暫定値の判定値"-5.615730"とを比較し、絶対値が小さい方を特定する。2回目の2分探索において、旋回補正値算出部406は、暫定値の判定値"-5.615730"が、中央値の判定値"-5.623816"より絶対値が小さいと判断する。そこで、旋回補正値算出部406は、2回目の検索範囲を中央値で分割し、中央値より大きい範囲、即ち、暫定値が含まれる範囲を、次の検索範囲として特定する。
図12で示されるように、最小値"-0.1000°"~最大値"0.0000°"が3回目の検索範囲となる。そして中央値"-0.0500°"となる。旋回補正値算出部406が、当該処理を繰り返すことで、検索範囲が狭められていく。次に、当該2分探索の終了について説明する。
11回目の2分探索において、検索範囲は、最小値"-0.0352°"~最大値"-0.0348°"となる。そして中央値"-0.0350°"となる。
図13に示されるように、旋回補正値算出部406は、中央値"-0.0350°"を用いて、演算を行った結果、点Aの補正後ずれ量"0.358158"と点Bの補正後ずれ量"-0.367430"とを算出する。旋回補正値算出部406は、算出された複数の補正ずれ量のうち、絶対値が大きい"-0.367430"を判定値として特定する。
旋回補正値算出部406は、暫定値"-0.0349°"を用いて、演算を行った結果、点Aの補正後ずれ量"0.363668"と点Bの補正後ずれ量"-0.359343"とを算出する。旋回補正値算出部406は、算出された複数の補正後ずれ量のうち、絶対値が大きい"0.363668"を判定値として特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"-0.367430"と、暫定値の判定値"0.363668"とを比較し、暫定値の判定値の方が、絶対値が小さいと判断する。そこで、旋回補正値算出部406は、12回目の2分探索において、最小値"-0.0350°"~最大値"-0.0348°"を検索範囲とする。そして中央値"-0.0349°"となる。
旋回補正値算出部406は、中央値"-0.0349°"を用いて、演算を行った結果、"0.366668"を判定値として特定する。旋回補正値算出部406は、暫定値"-0.0348°"を用いて、演算を行った結果、"0.369178"を判定値として特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"0.366668"と、暫定値の判定値"0.369178"とを比較し、中央値の判定値の方が、絶対値が小さいと判断する。そこで、旋回補正値算出部406は、13回目の2分探索において、最小値"-0.0350°"~最大値"-0.0349°"を検索範囲とする。そして中央値"-0.0350°"となる。ここで、最小値と最大値の厳密な中央の値に探索値を加算すると最大値を超えてしまうため、13回目の2分探索の中央値として、最小値の"-0.0350°"を中央値として定めた。
旋回補正値算出部406は、中央値"-0.0350°"を用いて、演算を行った結果、"-0.367430"を判定値として特定する。旋回補正値算出部406は、暫定値"-0.0349°"を用いて、演算を行った結果、"0.363668"を判定値として特定する。
そして、旋回補正値算出部406は、中央値の判定値"-0.367430"と、暫定値の判定値"0.363668"とを比較し、暫定値の判定値の方が、絶対値が小さいと判断する。
11回目~13回目の2分探索において、判定結果が、暫定値の判定値、中央値の判定値、暫定値の判定値の順に特定された。このように、中央値と暫定値とを交互に繰り返したにもかかわらず、判定値(ずれ量)"0.366668"より小さくなっていない。このため、旋回補正値算出部406は、判定結果として暫定値と中央値とを交互に繰り返したにも拘わらず、判定値(補正後ずれ量)が小さくなっていないと判断した時点で、最後の判定結果である中央値又は暫定値を特定する。そして、旋回補正値算出部406は、特定された中央値又は暫定値を、旋回補正値とする。なお、図13で示される例では、旋回補正値は、特定された暫定値である"-0.0349"となる。
本実施形態では、当該検索範囲を最大値側及び最小値側に狭めても、旋回方向の基板Sの位置のずれ量に変化が生じなくなった時点で処理を終了する例について説明した。しかしながら、2分探索の終了条件をこのような手法に制限するものではない。例えば、旋回補正値算出部406は、2分探索を所定回数(例えば10回)行った時点で終了し、判定値(ずれ量)が小さくなる中央値または暫定値を特定し、特定された中央値または暫定値を旋回補正値としてもよい。
また、例えば、旋回補正値算出部406は、判定値(ずれ量)が所定の閾値よりも小さくなった時点で、2分探索を終了し、判定値(ずれ量)が閾値よりも小さくなる中央値または暫定値を特定し、特定された中央値または暫定値を旋回補正値としてもよい。
図14は、第1プロセスチャンバ1aの位置調整された基板Sを、旋回補正値算出部406で特定された旋回角度の補正を行った上で、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送した場合の位置を例示した図である。図14に示される例では、第3プロセスチャンバ1c用に位置調整を行った後に基板Sを搬送した場合における基板Sの領域1150を点線で示している。図14に示される例では、旋回角度を"-0.0349°"(図13参照)補正したことで、点Aでは旋回方向に"0.363668"(図13参照)のずれ量1401、点Bでは旋回方向に"-0.359343"(図13参照)のずれ量1402となった。これにより、図11で示した場合と比べて旋回方向のずれ量が低減された。一方、点Cのずれ量1403には、旋回方向に補正されたことによるずれ量が加算された。そこで、次に、伸縮補正値算出部407が、伸縮方向の補正を行う。
伸縮補正値算出部407は、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1に基板Sを搬送する場合に、差分算出部405によって算出された点Cの伸縮方向のずれ量(差分情報の一例)と、旋回補正値算出部406によって特定された旋回角度の旋回補正値に従って旋回方向に移動させたことで生じる伸縮方向の旋回補正によるずれ量と、を補正する伸縮補正値を算出する。
図15は、伸縮補正値算出部407で行われる伸縮方向の補正を説明した図である。図15に示されるように、伸縮補正値算出部407は、ずれていない場合の基板Sの点Cに対応する、旋回方向に補正した後の基板S上の点C1'の位置を特定する。その後、伸縮補正値算出部407は、点C1'に線対称の点C2'の位置を特定する。そして、伸縮補正値算出部407は、点C1'と点C2'を結ぶ線を斜辺とした直角三角形の底辺長Lを算出する。底辺長Lを算出する式は下記の通りである。なお、点C1'の角度は、角度θC"80.07°"から旋回補正値"-0.0349°"を減算した角度とする。なお、斜辺の距離"3015.91"は、距離LCを表している。
L=cos(80.07°-(-0.0349°))×3015.91×2……(5)
そこで、伸縮補正値算出部407は、下記の式(6)を用いて、直角三角形の高さHsを算出する。基板Sの回転角は、旋回補正値とみなすことができる。
Hs=L×tan(-0.0349°)……(6)
伸縮補正値算出部407は、基板Sの中心を基準にずれ量を補正するため、旋回補正に対応する伸縮方向のずれ量(高さHs/2)を算出する。
そして、伸縮補正値算出部407は、伸縮補正値Pを算出する。伸縮補正値Pは、下記の式(7)から算出する。なお、ずれ量"0.401000"は、図8で示したように、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送によって生じたずれ量とする。
P=-1×(0.401000-(高さHs/2)……(7)
上述した処理によって、伸縮補正値算出部407による伸縮補正値Pの算出を行うことができる。
本実施形態においては、旋回補正値算出部406による旋回補正値、及び伸縮補正値算出部407による伸縮補正値は、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1までの直接搬送が行われる前に予め算出しておく。そして、記憶部33が、旋回補正値、及び伸縮補正値を記憶する。そして、直接搬送が行われる毎に、搬送元及び搬送先に対応する旋回補正値、及び伸縮補正値が読み出される。
図16は、第1プロセスチャンバ1aの位置調整された基板Sを、旋回補正値、及び伸縮補正値の補正を行った上で、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送した場合の位置を例示した図である。図16に示される例では、第3プロセスチャンバ1c用に位置調整を行った後に基板Sを搬送した場合における基板Sの領域1150を点線で示している。領域1150は、第3プロセスチャンバ1cのサセプタ2上での基板Sの正規位置となる。図16に示される例では、搬送機構23aについて旋回角度について旋回補正値だけ旋回させる補正を行うとともに、伸縮方向に伸縮補正値だけ伸縮させる補正を行っている。図16に示されるように、基板Sの位置が、正規位置からのずれ量が小さくなるよう補正されることで、電極部2aが露出するのを抑止できる。
次に、基板処理システム100で行われる具体的な処理手順について説明する。図17は、ロードロック室5において各プロセスチャンバごとに位置調整を行う際に用いられる位置調整量を取得し記憶部33に登録するための、基板処理システム100による位置調整量テーブルの登録手順を示したフローチャートである。図17で示される例は、第1プロセスチャンバ1aの登録手順であるが、第2プロセスチャンバ1b、及び第3プロセスチャンバ1cの登録手順も同様として説明を省略する。
まず、基板処理システム100では、第1プロセスチャンバ1aのサセプタ2の正規位置に基板Sを設置する(S1701)。
搬送制御部403は、搬送機構23aを制御して、第1プロセスチャンバ1aからロードロック室5に、基板Sを搬送して、ロードロック室5のバッファ28に載置する(S1702)。
次に、ポジショナー制御部402は、バッファ28に載置された基板Sに接するように、ポジショナー29を移動制御する(S1703)。この時、ポジショナー29は基板Sに当接した時点で停止し、基板Sを動かすことがないようにする。
アライメント取得部404は、S1703によるポジショナー29a、29b、29cの各々の移動量を、基板Sに位置調整するための位置調整量として取得する(S1704)。
アライメント取得部404は、第1プロセスチャンバ1aの位置調整量として、記憶部33の位置調整量テーブルに登録する(S1705)。
基板処理システム100は、位置調整量が登録された後、プロセスチャンバ1間で基板Sを直接搬送した場合の補正値の算出を行う。図18は、基板処理システム100による直接搬送した場合の補正値の算出手順を示したフローチャートである。図18では、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送する場合の補正値の算出手順を示した例を示すが、他のプロセスチャンバ1間の直接搬送する場合の補正値の算出手順も同様として説明を省略する。
差分算出部405は、第1の算出工程の一例として、第1プロセスチャンバ1a用に位置調整された場合の位置調整量と、第3プロセスチャンバ1c用に位置調整された場合の位置調整量と、の間のずれ量を算出する(S1801)。
旋回補正値算出部406は、旋回角度の補正可能な数値範囲を、検索範囲として特定し、当該検索範囲の中央値を特定する(S1802)。
旋回補正値算出部406は、特定された中央値で旋回角度を補正した場合における、点Aのずれ量、及び点Bのずれ量を算出する(S1803)。
旋回補正値算出部406は、中央値で補正した場合の点Aのずれ量、及び点Bのずれ量のうち、絶対値の大きい方を中央値の判定値として特定する(S1804)。
旋回補正値算出部406は、中央値から探索値"0.0001°をずらした暫定値を特定し、暫定値で旋回角度を補正した場合における、点Aのずれ量、及び点Bのずれ量を算出する(S1805)。
旋回補正値算出部406は、暫定値で補正した場合の点Aのずれ量、及び点Bのずれ量のうち、絶対値の大きい方を暫定値の判定値として特定する(S1806)。
次に、旋回補正値算出部406は、暫定値の判定値の絶対値が、中央値の判定値の絶対値より小さいか否かを判定する(S1807)。旋回補正値算出部406は、暫定値の判定値の絶対値が、中央値の判定値の絶対値より小さいと判定した場合(S1807:Yes)、中央値を最小値として、最大値側に検索範囲を狭める(S1808)。
一方、旋回補正値算出部406は、暫定値の判定値の絶対値が、中央値の判定値の絶対値以上(中央値の判定値の絶対値が暫定値の判定値の絶対値より小さい、又は同値になる)と判定した場合(S1807:No)、中央値を最大値として、最小値側に検索範囲を狭める(S1809)。
そして、旋回補正値算出部406は、処理を終了させるための所定の条件を満たしたか否かを判定する(S1810)。所定の条件としては、例えば、最大値側及び最小値側を交互に検索範囲を狭めたにも関わらず、判定値が小さくならない場合や、2分探索を所定回数繰り返す場合などがある。
旋回補正値算出部406が、所定の条件を満たしていないと判定した場合(S1810:No)、狭めた検索範囲のうち中央値を特定し(S1811)、再びS1803から処理を行う。
一方、旋回補正値算出部406が、所定の条件を満たしたと判定した場合(S1811:Yes)、最後のS1807で判定に用いられた暫定値及び中央値のうち、ずれ量が小さい方を、旋回補正値として特定する(S1812)。なお、S1802~S1812は、第2の算出工程の一例とする。
その後、伸縮補正値算出部407が、第3の算出工程の一例として、差分算出部405で算出された伸縮方向のずれ量と、旋回角度の旋回補正値で旋回方向に補正したことによる伸縮方向の旋回補正によるずれ量と、を低減させるための伸縮補正値を算出する(S1813)。
旋回補正値算出部406及び伸縮補正値算出部407が、記憶部33に旋回補正値、及び伸縮補正値を登録する(S1814)。
次に、基板処理システム100は、基板Sの搬送処理について説明する。図19は、基板処理システム100による直接搬送した場合の処理手順を示したフローチャートである。
まず、基板処理システム100は、ロードロック室5のバッファ28に、処理対象の基板Sを載置する(S1901)。配置された際に、基板Sの搬送先となるプロセスチャンバ1が特定される。本実施形態は複数のプロセスチャンバ1が搬送先になった場合について説明する。
ポジショナー制御部402は、最初の搬送先である第1プロセスチャンバ1aの位置調整量を、記憶部33から読み出す(S1902)。
ポジショナー制御部402は、位置調整工程の一例として、読み出した位置調整量に基づいて、ポジショナー29を制御して、処理対象の基板Sの位置調整を行う(S1903)。
搬送制御部403は、第1の搬送工程の一例として、位置調整した後の基板Sを、第1プロセスチャンバ1aに搬送する(S1904)。
基板処理システム100は、処理工程の一例として、第1プロセスチャンバ1a内で腐食性ガスを用いて基板Sのプラズマ処理を行う(S1905)。なお、本実施形態では、腐食性ガスを用いて基板Sのプラズマ処理を行う例とするが、プロセスチャンバ1で基板Sに対して行う処理を制限するものではなく、所定の処理であればよい。
搬送制御部403は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに直接搬送する場合に用いる旋回補正値、及び伸縮補正値を、記憶部33から読み出す(S1906)。
搬送制御部403は、第2の搬送工程の一例として、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送する際に、読み出した旋回補正値及び伸縮補正値で補正する(S1907)。
本実施形態においては上述した処理を行うことで、基板Sを載置する位置のずれ量を低減できる。さらに、旋回補正値及び伸縮補正値を記憶部33に予め記憶しておくことで、直接搬送する際の演算負荷を軽減できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記憶部33に旋回補正値及び伸縮補正値を予め記憶しておき、直接搬送する際に読み出す例について説明した。しかしながら、第1の実施形態は、旋回補正値及び伸縮補正値を予め記憶していく手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、直接搬送する時に、旋回補正値及び伸縮補正値を算出する例について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の基板処理システム100と同様の構成として説明を省略する。
第1の実施形態では、記憶部33に旋回補正値及び伸縮補正値を予め記憶しておき、直接搬送する際に読み出す例について説明した。しかしながら、第1の実施形態は、旋回補正値及び伸縮補正値を予め記憶していく手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態では、直接搬送する時に、旋回補正値及び伸縮補正値を算出する例について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の基板処理システム100と同様の構成として説明を省略する。
第2の実施形態の基板処理システム100は、第1の実施形態と同様、図17で示されるように、位置調整量テーブルを登録する。
次に、基板処理システム100は、基板Sの搬送処理について説明する。図20は、基板処理システム100による直接搬送した場合の処理手順を示したフローチャートである。
まず、本実施形態の基板処理システム100は、図19のS1901~S1905と同様に、ロードロック室5のバッファ28への基板Sの載置から、第1プロセスチャンバ1a内で腐食性ガスを用いた基板Sの処理までが行われる(S2001~S2005)。
そして、旋回補正値算出部406、及び伸縮補正値算出部407が、旋回補正値、及び伸縮補正値を算出する(S2006)。旋回補正値、及び伸縮補正値の算出は、図18で示した処理手順と同様の手順を行うものとして説明を省略する。
搬送制御部403は、第1プロセスチャンバ1aから第3プロセスチャンバ1cに基板Sを直接搬送する際に、算出した旋回補正値及び伸縮補正値で補正する(S2007)。
上述した実施形態の基板処理システム100は、プロセスチャンバ1間で直接搬送する際に、プロセスチャンバ1毎の位置調整量の差によって生じるずれ量を低減させる。当該ずれ量を低減させるために、搬送機構23aの旋回方向による旋回度合い、及び搬送機構23aの伸縮方向による伸縮度合いを補正することで、ずれ量を低減させていく。
上述した実施形態においては、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1に基板Sを搬送する際に、旋回方向及び伸縮方向の補正を行うことで、ロードロック室5を介さずとも、基板Sの位置調整が可能となった。これにより、基板処理システム100におけるスループット向上及びロードロック室5の腐食の抑制を実現できる。
上述した実施形態の基板処理システム100においては、搬送機構23aにおいて、基板Sを支持する部位、例えばフォーク101の付け根部分近傍に旋回機構が設けられていない場合であっても、上述した旋回方向及び伸縮方向の補正を行うことで、基板Sを載置する位置のずれ量を低減できる。
上述した実施形態の基板処理システム100においては、旋回方向のずれ量を補正するためのシミュレーションにおいて、旋回方向の角度の特定する2分探索を用いる例とした。2分探索を複数回繰り返すことで、ずれ量を低減させる旋回補正値を求めるのが容易になる。
上述した実施形態及び変形例においては、旋回補正値を算出するために2分探索手法を用いる例について説明した。しかしながら、差分算出部405によって算出された旋回方向のずれ量を補正するための、搬送機構23aの旋回方向の旋回補正量を算出する手法であれば、2分探索手法以外のどのような手法を用いてもよい。
上述した実施形態の基板処理システム100においては、プロセスチャンバ1毎の位置調整量の差分に、旋回補正値だけ旋回させることでさらに発生する伸縮方向の補正値を加算して、伸縮補正値を算出する。伸縮補正値は、旋回補正を考慮した上での値のため、適切にずれ量を低減させることができる。
上述した実施形態の基板処理システム100においては、上述した処理を行うことで、一方のプロセスチャンバ1から他方のプロセスチャンバ1に基板を載置する際の位置ずれを低減できる。これにより、上述した実施形態の基板処理システム100においては、少なくともサセプタ2に設けられた電極部2aが露出することを抑止できる。
100 基板処理システム
1a、1b、1c プロセスチャンバ
3 搬送室
5 ロードロック室
30 制御部
31 コントローラ
32 ユーザーインターフェース
33 記憶部
401 バルブ制御部
402 ポジショナー制御部
403 搬送制御部
404 アライメント取得部
405 差分算出部
406 旋回補正値算出部
407 伸縮補正値算出部
1a、1b、1c プロセスチャンバ
3 搬送室
5 ロードロック室
30 制御部
31 コントローラ
32 ユーザーインターフェース
33 記憶部
401 バルブ制御部
402 ポジショナー制御部
403 搬送制御部
404 アライメント取得部
405 差分算出部
406 旋回補正値算出部
407 伸縮補正値算出部
Claims (8)
- 旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、前記搬送室に接続された第1の処理室と、前記搬送室に接続された第2の処理室と、前記搬送室に接続されると共に前記基板の位置の調整を行う位置調整機構を有するロードロック室と、を有する基板処理システムにおける基板位置制御方法であって、
前記ロードロック室から前記第1の処理室に搬送される前記基板に対する位置の調整に用いる第1の位置調整情報と、前記ロードロック室から前記第2の処理室に搬送される前記基板に対する位置の調整に用いる第2の位置調整情報と、を記憶する記憶部を参照して、
前記第1の位置調整情報に基づいて位置が調整された前記基板を前記第2の処理室に搬送された場合の位置と、前記第2の位置調整情報に基づいて位置が調整された前記基板を前記第2の処理室に搬送された場合の位置と、の間の、旋回方向における旋回方向のずれ及び伸縮方向における伸縮方向のずれを示した差分情報を算出する第1の算出工程と、
前記差分情報で示された前記旋回方向のずれを補正する前記旋回角度の旋回補正値を算出する第2の算出工程と、
前記差分情報で示された前記伸縮方向のずれと、前記旋回補正値に従って前記旋回方向に前記基板の位置を補正したことで生じる伸縮方向の旋回補正によるずれと、を補正する伸縮補正値を算出する第3の算出工程と、を有する、
基板位置制御方法。 - 前記第2の算出工程は、前記第1の処理室から前記第2の処理室に前記基板を搬送する場合に、前記旋回角度の補正可能な数値範囲のうち、前記旋回方向のずれを低減させる前記旋回角度を検索していく2分探索によって、前記旋回補正値を算出する、
請求項1に記載の基板位置制御方法。 - 前記第2の算出工程は、前記補正可能な数値範囲を検索範囲として、前記検索範囲の最大値と、前記検索範囲の最小値と、前記最大値と前記最小値との間の中央値と、を取得し、前記中央値から前記旋回方向に前記最大値側又は前記最小値側に予め定められた探索値の分だけずらした暫定値を算出し、前記中央値に基づいて前記旋回方向に前記基板をずらした場合に前記旋回方向のずれが補正される量と、前記暫定値に基づいて前記旋回方向に前記基板をずらした場合に前記旋回方向のずれが補正される量と、の比較結果に基づいて前記検索範囲を狭め、当該狭められた前記検索範囲に基づいて前記最大値、前記最小値、及び前記中央値を更新する処理を、予め定められた回数繰り返して、前記旋回補正値を算出する、
請求項2に記載の基板位置制御方法。 - 前記第2の算出工程は、前記補正可能な数値範囲を検索範囲として、前記検索範囲の最大値と、前記検索範囲の最小値と、前記最大値と前記最小値との間の中央値と、を取得し、前記中央値から前記旋回方向に前記最大値側又は前記最小値側に予め定められた探索値の分だけずらした暫定値を算出し、前記中央値に基づいて前記旋回方向に前記基板をずらした場合に前記旋回方向のずれが補正される量と、前記暫定値に基づいて前記旋回方向に前記基板をずらした場合に前記旋回方向のずれが補正される量と、の比較結果に基づいて前記検索範囲を狭め、当該狭められた前記検索範囲に基づいて前記最大値、前記最小値、及び前記中央値を更新する処理を繰り返す際に、前記検索範囲を前記最大値側及び前記最小値側のどちらに狭めても補正される量に変化が生じなくなった場合に、前記中央値又は前記暫定値のうちいずれか一方を、前記旋回補正値として算出する、
請求項2に記載の基板位置制御方法。 - 前記位置調整機構が前記第1の位置調整情報に基づいて前記基板の位置を調整する位置調整工程と、
前記位置調整工程が行われた後に、前記搬送機構が前記基板を前記第1の処理室に搬送する第1の搬送工程と、
前記搬送機構が前記基板を、前記第1の処理室から前記第2の処理室へ前記基板を搬送する際に、前記旋回補正値及び前記伸縮補正値に基づいて前記基板の位置を補正する第2の搬送工程と、
をさらに有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板位置制御方法。 - 前記記憶部が記憶する前記第1の位置調整情報及び前記第2の位置調整情報は、前記位置調整機構によって3点で前記基板の位置を調整するための情報を含み、
前記位置調整工程は、前記第1の位置調整情報を用いて、前記位置調整機構が3点で位置の調整を行う、
請求項5に記載の基板位置制御方法。 - 前記第1の搬送工程によって前記基板を前記第1の処理室に搬送した後であり、前記第2の搬送工程によって前記第1の処理室から前記第2の処理室へ前記基板を搬送する前に、前記第1の処理室内にて前記基板に対して所定の処理を施す処理工程を、さらに有する、
請求項5又は6に記載の基板位置制御方法。 - 旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、
前記搬送室に接続された第1の処理室と、
前記搬送室に接続された第2の処理室と、
前記搬送室に接続されると共に、前記基板の位置の調整を行う位置調整機構を有するロードロック室と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ロードロック室から前記第1の処理室に搬送される前記基板に対する位置の調整に用いる第1の位置調整情報と、前記ロードロック室から前記第2の処理室に搬送される前記基板に対する位置の調整に用いる第2の位置調整情報と、を記憶する記憶部を参照して、
前記第1の位置調整情報に基づいて位置が調整された前記基板を前記第2の処理室に搬送された場合の位置と、前記第2の位置調整情報に基づいて位置が調整された前記基板を前記第2の処理室に搬送された場合の位置と、の間の、旋回方向における旋回方向のずれ及び伸縮方向における伸縮方向のずれを示した差分情報を算出する第1の算出工程と、
前記第1の処理室から前記第2の処理室に前記基板を搬送する場合に、前記旋回角度の補正可能な数値範囲のうち、前記差分情報で示された前記旋回方向のずれを低減させる前記旋回角度を検索していく2分探索によって、前記差分情報で示された前記旋回方向のずれを補正する旋回補正値を算出する第2の算出工程と、
前記差分情報で示された伸縮方向のずれと、前記旋回補正値に従って前記旋回方向に前記基板の位置を補正したことで生じる伸縮方向の旋回補正によるずれと、を補正する伸縮補正値を算出する第3の算出工程と、を含む処理を実行する、
基板処理システム。
Priority Applications (4)
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