JP2022102514A - ガス発生器 - Google Patents

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春樹 滝澤
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Abstract

【課題】点火器が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化が図られたガス発生器を提供する。【解決手段】ガス発生器1Aは、軸方向の一端部側に点火器40が組付けられるとともに、軸方向の他端寄りにフィルタ90が配置されたハウジングと、ガス発生剤70を内部に収容するとともに、点火器40とフィルタ90との間に配置された密閉容器60とを備える。密閉容器60は、筒状の側壁部61bおよび当該側壁部61bの一方の軸方向端部を閉塞する底壁部61aを含むカップ体61と、カップ体61の他方の軸方向端部である開口端に取付けられることで当該開口端を閉塞するカバー体62とを有する。カップ体61の底壁部61aは、点火器40側に配置され、カバー体62は、フィルタ90側に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等に装備される乗員保護装置としてのエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、サイドエアバッグ装置等に好適に組み込まれる外形が長尺円柱状のいわゆるシリンダ型ガス発生器に関する。
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を着火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
ガス発生器には、車両等に対する設置位置や出力等の仕様に基づき、種々の構成のものが存在している。その一つに、シリンダ型ガス発生器と称されるものがある。シリンダ型ガス発生器は、その外形が長尺円柱状であり、サイドエアバッグ装置やカーテンエアバッグ装置、ニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に好適に組み込まれる。
通常、シリンダ型ガス発生器においては、ハウジングの軸方向の一端部に点火器が組付けられるとともに当該一端部側にガス発生剤が収容された燃焼室が設けられ、ハウジングの軸方向の他端部側にフィルタが収容されたフィルタ室が設けられ、当該フィルタ室を規定する部分のハウジングの周壁部にガス噴出口が設けられる。
このように構成されたシリンダ型ガス発生器においては、燃焼室にて発生したガスがハウジングの軸方向に沿ってフィルタ室に流入することでフィルタの内部を通過し、フィルタを通過した後のガスがガス噴出口を介して外部に噴出される。
一般に、ガス発生器においては、ガス発生剤が外部から気密に封止されていることが重要である。これは、ガス発生剤が吸湿してしまった場合に、所望のガス出力特性が得られなくなってしまうおそれがあるためである。
シリンダ型ガス発生器において、ガス発生剤が吸湿してしまうことを防止する方法としては、点火器の作動によって発生する熱または圧力によって溶融または破裂する比較的脆弱な部材からなる密閉容器にガス発生剤を収容し、これをハウジングの内部に配置する方法がある。当該方法が採用されたシリンダ型ガス発生器は、たとえば特開2018-69924号公報(特許文献1)において開示されている。
上記特許文献1に開示のシリンダ型ガス発生器においては、密閉容器が長尺有底円筒状のカップ体と、当該密閉容器の開放端を閉塞するカバー体とによって構成されており、カップ体の底壁部がハウジングの上記他端部側(すなわちフィルタ側)に配置されるとともに、カバー体がハウジングの上記一端部側(すなわち点火器側)に配置されている。また、ハウジングの内部に配置された密閉容器と、点火器が組付けられたハウジングの上記一端部との間には、密閉容器をハウジングの他端部側に向けて付勢するコイルバネが設けられている。当該コイルバネは、主として密閉容器をハウジングの内部において固定するためのものである。
特開2018-69924号公報
ここで、上記特許文献1においても開示されるように、密閉容器を構成するカップ体とカバー体の接合は、巻き締めとかしめ固定とが併用されることで行なわれることが一般的である。この巻き締めとかしめ固定とを併用した場合には、その製造上の理由から、必然的にカバー体が配置される側の密閉容器の端部において、カップ体の開口端とカバー体の巻き込み部とが密閉容器の軸方向に沿って外側に向けて突出して位置することになる。
そのため、上記特許文献1に開示の構成を採用した場合には、このカップ体の開口端とカバー体の巻き込み部とが突出して位置する分だけ、密閉容器の内部に配置されたガス発生剤と点火器との間の距離が長くなってしまい、結果として点火器が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化に限界が生じてしまう。
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、点火器が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化が図られたガス発生器を提供することを目的とする。
本発明に基づくガス発生器は、ハウジングと、ガス発生剤と、点火器と、フィルタと、密閉容器とを備えている。上記ハウジングは、軸方向の一端部および他端部が閉塞された長尺の部材からなり、筒状の周壁部を有している。上記ガス発生剤は、上記ハウジングの内部に配置されている。上記点火器は、上記ハウジングの上記一端部側に位置する閉塞端に組付けられており、上記フィルタは、上記ハウジングの内部であってかつ上記ハウジングの上記他端部側に配置されている。上記密閉容器は、上記ガス発生剤が収容されたガス発生剤収容室を規定しており、上記ハウジングの内部であってかつ上記点火器と上記フィルタとの間に配置されている。上記密閉容器は、上記ハウジングと略同軸上に配置された筒状の側壁部および当該側壁部の一方の軸方向端部を閉塞する底壁部を含むカップ体と、上記カップ体の他方の軸方向端部である開口端に取付けられることで当該開口端を閉塞するカバー体とを有している。上記カップ体は、上記点火器が作動することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。上記カップ体の上記底壁部は、上記点火器側に配置されており、上記カバー体は、上記フィルタ側に配置されている。
上記本発明に基づくガス発生器は、上記密閉容器の内部に配置されるとともに、上記ガス発生剤を弾性付勢することにより、上記密閉容器の内部において上記ガス発生剤を移動不能に固定する弾性付勢部材をさらに備えていてもよい。その場合には、上記弾性付勢部材が、上記カバー体と上記ガス発生剤との間に位置するように、上記密閉容器の上記カバー体側の端部に配置されていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器は、上記密閉容器の内部に配置されるとともに、上記点火器の作動に依らずに自動発火するオートイグニッション剤をさらに備えていてもよい。その場合には、上記弾性付勢部材から見て上記ガス発生剤が位置する側とは反対側に上記オートイグニッション剤が配置されることにより、上記弾性付勢部材によって上記ガス発生剤と上記オートイグニッション剤とが隔てられていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記弾性付勢部材が、コイルバネにて構成されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カバー体が、上記点火器が作動することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記密閉容器と上記フィルタとの間に、連通孔が設けられた圧力隔壁が設けられていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カバー体が、上記点火器が作動することで発生する熱または圧力によっても溶融および破裂しない非脆弱な部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記点火器が作動することで連通孔が形成されることとなる脆弱部が、上記カバー体に設けられることにより、上記カバー体とは別部材からなる圧力隔壁が、上記密閉容器と上記フィルタとの間に設けられていないことが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カップ体が、アルミニウム系材料からなる部材にて構成されているとともに、上記カバー体が、アルミニウム系材料の膜にて覆われた鉄系材料からなる部材にて構成されていてもよく、その場合には、上記カップ体と上記カバー体とが、直接的に接触するように接合されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記底壁部のうちの上記点火器に面する部分に、湾曲凹状の窪み部が設けられていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記点火器が、点火薬が装填された点火部と、当該点火部に接続された端子ピンとを有していてもよい。その場合には、上記本発明に基づくガス発生器が、上記点火部にて発生する熱粒子の進行方向に指向性を与えることで当該熱粒子を上記密閉容器に導くための指向性付与部材をさらに備えていてもよい。上記指向性付与部材は、上記周壁部の径方向において上記点火部を取り囲む筒状部と、当該筒状部の上記フィルタ側の端部から外側に向けて延設されたフランジ部とを有していてもよい。その場合には、上記底壁部が、上記フランジ部に当接していることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記ハウジングが、上記閉塞端を構成するホルダを有していてもよい。その場合には、上記ホルダが、上記ハウジングの内部の空間に向けて開口する収容部を含んでいてもよく、また、上記点火部が、上記収容部に収容されるとともに上記ハウジングの径方向に沿って外側に向けて突出する環状突部を含んでいてもよい。さらにその場合には、上記筒状部のうちの上記フランジ部が設けられた側とは反対側に位置する端部が、上記収容部に挿入されていることが好ましく、また、上記筒状部のうちの上記収容部に挿入された部分の端部が、上記収容部の側面に圧接触しているとともに、上記環状突部が、上記筒状部のうちの上記収容部に挿入された部分の端部と上記収容部の底面とによって挟み込まれていることが好ましい。
本発明によれば、点火器が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化が図られたガス発生器とすることができる。
実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図1に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。 図1に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図4に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態3に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図6に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態4に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図8に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態5に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図10に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態6に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図13に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態8に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 実施の形態9に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図16に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。 実施の形態10に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 実施の形態11に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 実施の形態12に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 関連形態に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。 図21に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。 図21に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。図2および図3は、それぞれ図1に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図およびカバー体近傍の模式拡大断面図である。まず、これら図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aは、長尺円柱状の外形を有しており、軸方向に位置する一端部および他端部が閉塞された長尺円筒状のハウジングを有している。ハウジングには、当該ハウジングの周壁部を構成するハウジング本体10と、当該ハウジングの軸方向の上述した一端部側に配置されたホルダ20と、当該ハウジングの軸方向の上述した他端部側に配置された閉塞部材30とが含まれる。
ハウジング本体10、ホルダ20および閉塞部材30にて構成されたハウジングの内部には、内部構成部品としての点火器40、仕切り部材50、密閉容器60、ガス発生剤70、コイルバネ73,80およびフィルタ90等が収容されている。また、ハウジングの内部には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤70が主として配置された燃焼室S1と、フィルタ90が配置されたフィルタ室S2とが位置している。
ハウジング本体10は、軸方向の両端に開口が形成された長尺円筒状の部材からなる。ホルダ20は、ハウジング本体10の軸方向と同方向に沿って延びる貫通孔形状の収容部21を有する筒状の部材からなり、その外周面に後述するかしめ固定のための環状溝部22を有している。閉塞部材30は、所定の厚みを有する円盤状の部材からなり、その周面に後述するかしめ固定のための環状溝部31を有している。これらかしめ固定のための環状溝部22,31は、いずれもホルダ20の外周面および閉塞部材30の周面に周方向に沿って延びるように形成されている。
ハウジング本体10は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されていてもよいし、SPCEに代表される圧延鋼板をプレス加工することで円筒状に成形したプレス成形品にて構成されていてもよい。また、ハウジング本体10は、STKMに代表される電縫管にて構成されていてもよい。
特に、ハウジング本体10を圧延鋼板のプレス成形品や電縫管にて構成した場合には、ステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材を用いた場合に比べて安価にかつ容易にハウジング本体10を形成することができるとともに、大幅な軽量化が可能になる。
一方、ホルダ20および閉塞部材30は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。
ホルダ20は、ハウジング本体10の軸方向の一方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の上記一方の開口端にホルダ20が内挿された状態で、当該ホルダ20の外周面に設けられた環状溝部22に対応する部分のハウジング本体10が径方向内側に向けて縮径させられて当該環状溝部22に係合することにより、ホルダ20がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の上述した一端部側の閉塞端が、ホルダ20によって構成されることになる。
閉塞部材30は、ハウジング本体10の軸方向の他方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の上記他方の開口端に閉塞部材30が内挿された状態で、当該閉塞部材30の周面に設けられた環状溝部31に対応する部分のハウジング本体10が径方向内側に向けて縮径させられて当該環状溝部31に係合することにより、閉塞部材30がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の上述した他端部側の閉塞端が、閉塞部材30によって構成されることになる。
これらかしめ固定は、ハウジング本体10を径方向内側に向けて略均等に縮径させる八方かしめと呼ばれるかしめ固定である。この八方かしめを行なうことにより、ハウジング本体10には、かしめ部12,13が設けられることになる。これにより、かしめ部12,13は、それぞれ環状溝部22,31に直接接触することになり、これらの間に隙間が生じることが防止されている。
なお、ハウジング本体10に対するホルダ20および閉塞部材30の組付構造は、上述した組付構造に限定されるものではなく、他の組付構造を採用することとしてもよい。また、ハウジング本体10と閉塞部材30とを別体とはせずに、有底筒状の形状を有する一つの部材にてこれらを構成することとしてもよい。
図1および図2に示すように、点火器40は、ホルダ20によって支持されることでハウジングの軸方向の上述した一端部に組付けられている。点火器40は、ガス発生剤70を燃焼させるためのものであり、ハウジングの内部の空間に面するように設置されている。
点火器40は、点火部41と、当該点火部41に接続された一対の端子ピン42とを含んでいる。点火部41は、点火薬と、塞栓と、スクイブカップとを含んでおり、点火薬は、塞栓およびスクイブカップによって規定される空間に装填されることで点火部41に収容されている。一対の端子ピン42は、塞栓によって保持されている。また、点火部41の内部には、一対の端子ピン42に接続されるように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられており、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に接するように上述した点火薬が位置している。なお、点火部41の内部には、必要に応じて伝火薬が装填されていてもよい。
ここで、抵抗体としては、一般にニクロム線やプラチナおよびタングステンを含む合金製の抵抗線等が用いられ、点火薬としては、一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が用いられる。また、伝火薬としては、B/KNO、B/NaNO、Sr(NO等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5-アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の熱粒子は、点火薬を収容しているスクイブカップを開裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
点火器40の点火部41には、指向性付与部材として燃焼制御カバー43が外挿されている。燃焼制御カバー43は、金属製の部材からなり、略円筒状の筒状部43aを含んでいる。燃焼制御カバー43は、作動時において点火器40にて発生する熱粒子を効率的に密閉容器60およびその内部に収容されたガス発生剤70に導くためのものであり、より詳細には、点火器40の点火部41にて発生する熱粒子の進行方向に指向性を与えるものである。
具体的には、点火部41が、ハウジング本体10の径方向において燃焼制御カバー43の筒状部43aによって取り囲まれていることにより、スクイブカップの破裂の際に、当該スクイブカップのうちのガス発生剤70側に位置する先端部において主として開口が形成されることになり、これに伴って点火部41にて発生する熱粒子の進行方向がハウジング本体10の軸方向に絞られることになる。そのため、上述した如くの燃焼制御カバー43を設けることにより、点火器40で発生する熱粒子を効率的にガス発生剤70に導くことが可能になる。
なお、点火器40および燃焼制御カバー43は、ホルダ20に設けられたかしめ部23によってホルダ20に固定されており、これにより点火器40は、その点火部41がハウジングの内部に向けて突出して位置するようにホルダ20に組付けられている。
具体的には、ホルダ20に設けられた収容部21は、ハウジングの内部の空間に向けて開口しており、ホルダ20は、収容部21を規定する部分の壁面に内側に向けて突出する環状形状の台座部24を有しているとともに、点火器40をかしめ固定するための上述したかしめ部23をハウジングの内部の空間に面する方の軸方向端部に有している。また、燃焼制御カバー43の筒状部43aのホルダ20側の端部43a1は、筒状部43aの他の部分よりも拡径しており、点火器40は、点火部41の所定位置に径方向外側に向けて突出する環状突部41aを有している。
組付けに際しては、燃焼制御カバー43が取付けられた点火器40が、収容部21に内挿されて台座部24に当て留めされた状態とされるとともに、この状態においてかしめ部23がかしめられることにより、点火器40の環状突部41aおよび燃焼制御カバー43の上述した端部43a1が、かしめ部23とホルダ20の収容部21の底面を規定する台座部24とによって挟み込まれる。これにより、点火器40と燃焼制御カバー43とが共にホルダ20に固定されることになる。
収容部21のうち、ホルダ20の外部に露出する方の軸方向端部には、点火器40の端子ピン42が配置されている。この端子ピン42が配置された部分の収容部21は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れる雌型コネクタ部を形成している。当該雌型コネクタ部として機能する部分の収容部21には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
図1および図3に示すように、ハウジングの内部の空間の所定位置には、仕切り部材50が配置されている。仕切り部材50は、ハウジングの内部の空間を軸方向において燃焼室S1とフィルタ室S2とに仕切るための部材である。
仕切り部材50は、有底円筒状の形状を有しており、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。仕切り部材50は、圧力隔壁として機能するものであり、ハウジング本体10の軸方向に直交するように配置された平板状の隔壁部51と、当該隔壁部51の周縁から立設された筒板状の環状壁部52とを有している。仕切り部材50は、その隔壁部51の外側の主面がフィルタ90に当接するように配置されており、環状壁部52の外周面は、ハウジング本体10の内周面に当接している。
隔壁部51には、貫通孔形状の連通孔51aが設けられるとともに、当該隔壁部51のフィルタ90側に位置する主面には、連通孔51aを取り囲むようにスコア51bが設けられている。連通孔51aは、燃焼室S1とフィルタ室S2とを連通させるためのものである。一方、スコア51bは、ガス発生剤70の燃焼による燃焼室S1の内圧上昇に伴い、上述した連通孔51aを起点に当該隔壁部51が破断してより大きな開口部が形成されるようにするためのものであり、たとえば放射状に互いに交差するように設けられた複数の溝にて構成される。
なお、連通孔51aは、必ずしも隔壁部51に予め設けられている必要はなく、シリンダ型ガス発生器1Aの作動時において燃焼室S1にて発生する圧力を受けて隔壁部51が開裂することで開口し、これによって連通孔が形成されるように構成してもよい。また、スコア51bも、必ずしも隔壁部51に設けられている必要はないが、上述したように連通孔51aを隔壁部51に予め設けない場合には、隔壁部51が開裂する起点とすべく、これが隔壁部51に設けられていることが好ましい。
図1ないし図3に示すように、ハウジングの内部の空間のうち、ホルダ20と仕切り部材50とによって挟まれた空間(すなわち燃焼室S1)には、密閉容器60と、コイルバネ80とが配置されている。また、密閉容器60の内部の空間であるガス発生剤収容室S1Aには、ガス発生剤70と、コイルバネ73とが収容されている。
密閉容器60は、内部に収容されたガス発生剤70を封止するためのものであり、カップ体61とカバー体62とを含んでいる。これらカップ体61とカバー体62とが接合されることにより、密閉容器60の内部には、上述したガス発生剤収容室S1Aが形成されている。
密閉容器60は、両端が閉塞された略円筒状の形状を有しており、ハウジングと略同軸上に配置されている。密閉容器60を構成するカップ体61およびカバー体62は、いずれも点火器40が作動することによって発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。
カップ体61は、平板状の底壁部61aと、当該底壁部61aの周縁から延びる筒状の側壁部61bとを有している。一方、カバー体62は、カップ体61の開口端61b1に挿入されることでカップ体61の内部に位置する平板状の蓋部62aと、当該蓋部62aの周縁から延び、カップ体61の開口端61b1の内周面、端面および外周面を覆うようにその一部が曲成された巻き込み部62bとを有している。
ここで、上述したカップ体61とカバー体62との接合は、カップ体61の開口端61b1と、これを覆うように設けられたカバー体62の巻き込み部62bとの間で行なわれている。これにより、カップ体61の開口端61b1は、カバー体62によって閉塞されることになる。
より具体的には、カップ体61の開口端61b1がカバー体62の巻き込み部62bによって巻き締められるとともに、このカップ体61の開口端61b1を覆うように設けられた巻き込み部62bに第1かしめ部62b1および第2かしめ部62b2が設けられることにより、これらカップ体61とカバー体62との接合が実現されている。これら第1かしめ部62b1および第2かしめ部62b2は、いずれもカップ体61の所定部位を径方向内側に縮径させることによって形成される。
上述したように、カップ体61およびカバー体62は、いずれも点火器40が作動することによって発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。より詳細には、カバー体62は、点火器40が作動することで点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼し、点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されており、カップ体61は、点火器40が作動することでガス発生剤70が燃焼し、ガス発生剤70が燃焼することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。
具体的には、カップ体61およびカバー体62は、たとえば銅やアルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等の金属製のプレス成形品にて構成されていることが好ましく、これらが上述したように接合されることにより、内部に収容されたガス発生剤70が外部から気密に封止されることになる。
密閉容器60は、カップ体61の底壁部61aが点火器40側に位置するとともに、カバー体62がフィルタ90側に位置するように、ハウジング本体10に挿入されている。これにより、カップ体61の底壁部61aは、点火器40の点火部41に面することになり、カバー体62の蓋部62aは、仕切り部材50の隔壁部51に面することになる。
より詳細には、カップ体61の底壁部61aが位置する側の密閉容器60の端部は、ハウジング本体10に遊嵌されており、カバー体62の蓋部62aが位置する側の密閉容器60の端部は、仕切り部材50の内部に挿入されることで当該仕切り部材50に嵌合または遊嵌している。これにより、密閉容器60は、ハウジング本体10との間に仕切り部材50の環状壁部52が介在した状態で位置決めされることになり、ハウジング本体10の内周面から所定の距離だけ離れて配置されることになる。
そのため、ハウジングの周壁部を構成するハウジング本体10と、密閉容器60の側壁部61bとの間には、所定の大きさの空間である断熱層S1Bが形成されることになり、当該断熱層S1Bは、燃焼室S1の軸方向に沿って略円筒状に延在することになる。
このように、ガス発生剤70が収容された密閉容器60とハウジング本体10との間に円筒状の形状を有する断熱層S1Bを設けることにより、当該断熱層S1Bが熱抵抗となってハウジング本体10の熱がガス発生剤70に伝熱され難くなる。そのため、ガス発生剤70がシリンダ型ガス発生器1Aの周囲温度の影響を受けて昇温および降温することが抑制できることになり、ガス発生剤70に温度変化が生じ難くなる。したがって、このように構成することにより、シリンダ型ガス発生器1Aの動作が安定することになる。
また、上記断熱層S1Bを設けることにより、シリンダ型ガス発生器1Aが組み込まれたエアバッグ装置が装備された車両等において火災等が発生した場合にも、ガス発生剤70が外部から加熱されて昇温してしまうことが効果的に抑制できることになる。すなわち、当該断熱層S1Bが設けられることにより、上述した火災等が発生した場合にも、ガス発生剤70が早期に昇温して点火器40の作動に依らずにガス発生剤70が自然着火してしまうことが抑制できることになり、安全性の面で改善が図られることになる。
ここで、断熱層S1Bは、ハウジング本体10の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有していることが好ましく、本実施の形態においては、空気層にて構成されている。しかしながら、断熱層S1Bは、必ずしも空気層である必要はなく、他の気体が充填された気体層によって構成されていてもよいし、真空層にて構成されていてもよい。さらには、この他にも、各種の断熱部材を当該空間に配置することで断熱層S1Bを構成してもよい。
密閉容器60の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部には、弾性付勢部材としてのコイルバネ73が配置されている。一方、密閉容器60の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部を除く部分には、ガス発生剤70が配置されている。
ガス発生剤70は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火されて燃焼することでガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤70としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、ガス発生剤70は、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体として構成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5-アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅、塩基性炭酸銅等の塩基性金属塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤70の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、シリンダ型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤70の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤70の形状の他にもガス発生剤70の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
コイルバネ73は、成形体からなるガス発生剤70が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、金属線材を曲げ加工することによって形成されたバネ部73aおよび押圧部73bを有している。コイルバネ73は、密閉容器70のカバー体62側の端部に配置されており、より詳細には、バネ部73aの一端がカバー体62の蓋部62aに当接するように配置されている。押圧部73bは、バネ部73aの他端に形成されている。押圧部73bは、たとえば金属線材が所定の間隔をもって略平行に配置されることで構成されており、ガス発生剤70に当接している。
これにより、ガス発生剤70は、コイルバネ73によって点火器40側に向けて弾性付勢されることになり、密閉容器60の内部において移動してしまうことが防止されている。なお、上述した如くのコイルバネ73に代えて、たとえばセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材からなるクッション材を弾性付勢部材として利用することとしてもよい。
燃焼室S1のうち、密閉容器60よりもホルダ20側に位置する空間には、上述したコイルバネ73とは別部品であるコイルバネ80が配置されている。コイルバネ80は、金属線材を螺旋状に巻き回すことによって形成されており、上述したコイルバネ73とは異なり、当該コイルバネ73が有する如くの押圧部73bは有していない。本実施の形態においては、金属線材が軸方向のいずれの位置においても同一の内径を有するように巻き回されることにより、コイルバネ80は、全体として略円筒状の外形を有している。
コイルバネ80は、ハウジングの内部に収容される各種の構成部品の寸法ばらつきを吸収しつつ、密閉容器60をハウジングの内部において固定するための部材である。また、コイルバネ80は、ハウジングの一端部に組付けられた点火器40から密閉容器60に収容されたガス発生剤70までの距離を適切に保つためのものでもある。
そのため、コイルバネ80は、ハウジングの軸方向の上述した一端部と密閉容器60との間に介装されており、その一端がホルダ20に当接するように配置されているとともに、その他端が密閉容器60のホルダ20側の端部(すなわち、カップ体61の底壁部61a)に当接するように配置されている。これにより、密閉容器60は、コイルバネ80によってハウジングの軸方向の他端部側である仕切り部材50側に向けて弾性付勢されることになり、上述した仕切り部材50とコイルバネ80とによって挟持されることでハウジングに対して固定されることになる。
図1に示すように、ハウジングの内部の空間のうち、閉塞部材30と仕切り部材50とによって挟まれた空間(すなわちフィルタ室S2)には、フィルタ90が配置されている。フィルタ90は、ハウジング本体10の軸方向と同方向に延びる中空部91を有する円筒状の部材からなり、その軸方向の一方の端面が閉塞部材30に当接しており、その軸方向の他方の端面が仕切り部材50に当接している。
フィルタ90は、ガス発生剤70が燃焼することによって発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれるスラグ(残渣)等を除去する除去手段としても機能する。上述したように円筒状の部材からなるフィルタ90を利用することにより、作動時においてフィルタ室S2を流動するガスに対する流動抵抗が低く抑えられることになり、効率的なガスの流動が実現可能となる。
フィルタ90としては、好適にはステンレス鋼や鉄鋼等からなる金属線材または金属網材の集合体にて構成されたものが利用できる。具体的には、メリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体、またはこれらをプレスにより押し固めたもの等が利用できる。
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用できる。
フィルタ室S2を規定する部分のハウジング本体10には、ガス噴出口11が周方向および軸方向に沿って複数個設けられている。これら複数個のガス噴出口11は、フィルタ90を通過した後のガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
次に、図1を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aの作動時における動作について説明する。
図1を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。
点火器40が作動すると、点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することによって点火部41内の圧力が上昇し、これによって点火部41のスクイブカップが開裂し、点火薬が燃焼することで発生した熱粒子が点火部41の外部へと流出する。
点火部41から流出した熱粒子には、上述した燃焼制御カバー43によって指向性が与えられ、これにより密閉容器60のカップ体61の底壁部61aへと至る。これに伴い、点火器40が作動することによって発生した熱または圧力によってカップ体61の底壁部61aが溶融または破裂し、上述した熱粒子が、密閉容器60の内部に収容されたガス発生剤70へと達する。
ガス発生剤70に達した熱粒子は、ガス発生剤70を燃焼させ、これにより多量のガスが発生する。これに伴い、ガス発生剤収容室S1Aの圧力および温度が上昇し、密閉容器60のカップ体61の側壁部61bが破裂または溶融し、さらには密閉容器60のカバー体62の蓋部62aが破裂または溶融する。
これにより、燃焼室S1とフィルタ室S2とが、仕切り部材50の隔壁部51に設けられた連通孔51aを介して連通した状態となり、燃焼室S1において発生したガスは、当該連通孔51aを介してフィルタ室S2へと流入する。また、ガス発生剤70が引き続き燃焼することで燃焼室S1全体の圧力がさらに上昇することにより、仕切り部材50の隔壁部51のうちのスコア51bが設けられた部分に破断が生じる。これにより、より多量のガスがフィルタ室S2へと流入する。
フィルタ室S2に流れ込んだガスは、フィルタ90の中空部91を軸方向に沿って流動した後に径方向に向けて向きを変え、フィルタ90の内部を通流する。その際に、フィルタ90によって熱が奪われてガスが冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去される。
そして、フィルタ90を通流した後のガスは、ガス噴出口11を介してハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、シリンダ型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
以上において説明したように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aにおいては、密閉容器60を構成するカップ体61とカバー体62との接合が、巻き締めとかしめ固定とが併用されることで行なわれているとともに、当該密閉容器60が、カップ体61の底壁部61aが点火器40側に位置するとともに、カバー体62がフィルタ90側に位置するように配置されている。したがって、製造上の理由から、密閉容器60の軸方向に沿って突出して位置することとなるカップ体61の開口端61b1およびカバー体62の巻き込み部62bが、点火器40側に配置されることなく、フィルタ90側に配置されることになる。
そのため、このように構成した場合には、点火器40と密閉容器60との間の距離を何らの制約を受けることもなく所望の距離に設定することができる。この点、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aにおいては、コイルバネ80の弾性係数を調整することにより、点火器40と密閉容器60との間の距離を精度よく予め定めた距離に合わせ込むことができる。
したがって、上述した構成を採用することにより、密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離を従来よりも短くすることが可能になり、結果として点火器40が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化を図ることができる。これにより、従来よりも高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
また、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Aにおいては、弾性付勢部材としてのコイルバネ73が、カバー体62とガス発生剤70との間に位置するように、密閉容器60のカバー体62側の端部に配置されている。このように構成することにより、コイルバネ73が密閉容器60の点火器40側の部分に配置されることもないため、さらに密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離を短くすることができる。
したがって、当該構成を採用することにより、密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離をさらに短くすることが可能になり、結果として点火器40が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間のさらなる短縮化を図ることができる。これにより、従来よりもさらに高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図5は、図4に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図4および図5を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Bについて説明する。
図4および図5に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、さらにオートイグニッション剤71を備えている点においてのみ、その構成が相違している。
オートイグニッション剤71は、偏平略円柱状に成形されたペレットからなり、密閉容器60の内部に配置されている。より具体的には、オートイグニッション剤71は、コイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されており、カバー体62の蓋部62aとコイルバネ73とによって挟み込まれて保持されている。これにより、オートイグニッション剤71は、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てられている。
オートイグニッション剤71は、点火器40の作動に依らずに自動発火する薬剤である。より詳細には、オートイグニッション剤71は、ガス発生剤70よりも低い温度で自然発火するものであり、シリンダ型ガス発生器1Bが組み込まれたエアバッグ装置が装備された車両等において万が一火災等が発生した場合に、シリンダ型ガス発生器1Bが外部から加熱されることによって異常動作が誘発されないようにするためのものである。
ここで、オートイグニッション剤71は、ガス発生剤70に準じた組成物からなるため、これらの組成の組み合わせによっては、ガス発生剤70とオートイグニッション剤71とを接触配置させた場合に、徐々に互いの組成に変化が生じる経年劣化を引き起こすことがある。そのため、これらガス発生剤70とオートイグニッション剤71とが直接的に接触しないように、従来においてはこれらの間に金属製の板状部材を配置することが一般的であった。なお、当該構成の一例は、後述する関連形態(図21等参照)において示されており、当該関連形態においては、この金属製の板状部材として区画部材72がオートイグニッション剤71とガス発生剤70との間に配置されている。
しかしながら、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Bにあっては、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aと同様に、弾性付勢部材としてのコイルバネ73が、カバー体62とガス発生剤70との間に位置するように、密閉容器60のカバー体62側の端部に配置されているため、上述したようにこのコイルバネ73を用いてガス発生剤70とオートイグニッション剤71とを隔てることとしている。そのため、このように構成すれば、別途上述した如くの金属製の板状部材を配置する必要がなくなるため、部品点数の削減ならびにシリンダ型ガス発生器の軽量化および小型化を図ることが可能になる。
また、上記のように構成することにより、オートイグニッション剤71は、ハウジング本体10との間で、金属製の部材である密閉容器60のカバー体62寄りの端部および金属製の部材である仕切り部材50を介して実質的に最短経路で熱的に接触することになる。そのため、車両等において火災等が発生した場合において、オートイグニッション剤71が自動発火することで開始されるオートイグニッション動作の発現のタイミングが早められることになり、結果として、当該オートイグニッション動作が発現する際のガス発生剤70の温度を相対的に低く抑えることができる。したがって、オートイグニッション動作時のハウジングの内圧の上昇を大幅に抑制することが可能になり、安全性の面での改善が図られることになる。
このように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Bとした場合には、上述した実施の形態1において説明した効果に加え、これら様々な効果をさらに得ることが可能になる。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図7は、図6に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図6および図7を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cについて説明する。
図6および図7に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cは、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、当該シリンダ型ガス発生器1Aに設けられていた仕切り部材50(図1等参照)を具備していない点と、密閉容器60のうちのカバー体62の材質が異なる点とにおいてのみ、その構成が相違している。
具体的には、密閉容器60のうちのカバー体62は、点火器40が作動することで発生する熱または圧力によっても溶融および破裂しない非脆弱な部材にて構成されている。一例としては、カバー体62は、ステンレス鋼や鉄鋼等の金属製のプレス成形品にて構成される。一方、密閉容器60のうちのカップ体61は、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aの場合と同様に、たとえば銅やアルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等の金属製のプレス成形品にて構成されている。
このように、密閉容器60のカバー体62を非脆弱な部材にて構成することにより、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していた仕切り部材50に代えて、当該カバー体62を圧力隔壁として利用することができる。
図7に示すように、カバー体62の蓋部62aのフィルタ90側の主面には、脆弱部としてのスコア62a1が設けられている。このスコア62a1は、ガス発生剤70の燃焼による燃焼室S1の内圧上昇に伴って非脆弱な部材からなるカバー体62の蓋部62aが破断して連通孔が形成されるようにするためのものであり、たとえば放射状に互いに交差するように設けられた複数の溝にて構成される。スコア62a1は、フィルタ90のうちの中空部91に対向する部分に設けられている。
以上において説明した本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cとすることにより、上述した実施の形態1において説明した効果に加え、当該実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aに設けられていた仕切り部材50を廃止することができるため、部品点数の削減ならびにシリンダ型ガス発生器の軽量化および小型化を図ることできるという効果を得ることができる。
ここで、密閉容器60のカップ体61をたとえばアルミニウム系材料からなる部材にて構成するとともに、カバー体62をたとえば鉄系材料かなる部材にて構成した場合には、異種金属が直接的に接触した状態で接合されることになるため、いわゆる電食が発生するおそれがある。これを防止するためには、カバー体62をアルミニウム系材料の膜にて覆われた鉄系材料からなる部材にて構成し、これをカップ体61に直接的に接合することとすればよい。ここで、鉄系材料かなる部材の表面をアルミニウム系材料の膜にて覆う方法としては、たとえばアルミニウムめっきを施すことが想定される。
なお、上述したように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cにおいては、実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aに設けられていた仕切り部材50が設けられていない。そのため、何らの手立ても行なわなかった場合には、実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aにおいて仕切り部材50の環状壁部52によって行なわれていた密閉容器60の位置決めができないことになり、結果として密閉容器60とハウジング本体10との間に断熱層S1Bが確実には形成できないこととなってしまう。
この点、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cにおいては、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aの場合と同様に、密閉容器60を構成するカップ体61とカバー体62との接合が、巻き締めとかしめ固定とが併用されることで行なわれているため、これによって密閉容器60の位置決めが行なえることになる。
すなわち、カップ体61の開口端61b1を覆うようにカバー体62に巻き込み部62bを設けることにより、この巻き込み部62bのうちのカップ体61の開口端61b1の外表面を覆う部分の厚み分だけ、カップ体61の側壁部61bとハウジング本体10との間に隙間を設けることができる。また、カバー体62の巻き込み部62bのうち、カップ体61の開口端61b1の外周面を覆う部分であってかつカップ体61の開口端61b1の内周面を覆う部分の巻き込み部62bに対向した部分に第2かしめ部62b2が設けられることにより、そのかしめ加工の際の加圧流動により、当該第2かしめ部62b2に隣接する部分の巻き込み部62bが僅かではあるが外側に迫り出すことになり、この迫り出した部分についても、これがカップ体61の側壁部61bとハウジング本体10とを距離をもって配置させるためのスペーサとして機能することになる。
したがって、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Cとすることにより、上述した実施の形態1において説明した断熱層S1Bを設けることによって得られる効果についても、これを得ることができる。
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図9は、図8に示すシリンダ型ガス発生器のカバー体近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図8および図9を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Dについて説明する。
図8および図9に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Dは、上述した実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器1Bの特徴的な構成と、上述した実施の形態3に係るシリンダ型ガス発生器1Cの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Bは、オートイグニッション剤71が、密閉容器60の内部であってかつコイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されることにより、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てて配置されているとともに、密閉容器60のカバー体62を非脆弱な部材にて構成することにより、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していた仕切り部材50(図1等参照)を廃止して、当該カバー体62を圧力隔壁として利用している。
このように構成した場合には、上述した実施の形態2および3において説明した効果のすべてを得ることができ、安全性の面や小型軽量化の観点、さらには高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態5)
図10は、実施の形態5に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図11は、図10に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図10および図11を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Eについて説明する。
図10および図11に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Eは、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、密閉容器60のカップ体61の底壁部61aに窪み部61a1が設けられている点においてのみ、その構成が相違している。
具体的には、カップ体61の底壁部61aのうちの点火器40に面する部分には、密閉容器60の内側に向けて湾曲凹状に窪んだ部分が形成されており、この湾曲凹状に窪んだ部分によって上述した窪み部61a1が形成されている。この窪み部61a1が設けられることにより、点火器40の点火部41と密閉容器60との間には、バッファ空間S1Cが設けられている。
上述したように、点火器40の作動時においては、点火部41のスクイブカップの先端部において開裂が生じる。そのため、点火器40が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間のさらなる短縮化を図るためには、点火部41のスクイブカップの先端が他の部材によって何らの拘束も受けずスムーズに開裂することが好ましい。そのためには、カップ体61の底壁部61aに上述した窪み部61a1を設けずにこれを点火器40から距離をもって配置することが考えられるが、当該構成を採用したのではシリンダ型ガス発生器の大型化に繋がることになり、好ましい解決策とは必ずしも言えない。
これに対し、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Eにおいては、上述したように湾曲凹状の窪み部61a1を底壁部61aに設けることにより、カップ体61の底壁部61aを点火器40から所定の距離をもって配置しつつも、これによって形成されるバッファ空間S1Cの体積を小さくし、シリンダ型ガス発生器の大型化を可能な限り抑えている。
また、スクイブカップが破裂することで点火部41から放出される熱粒子は、放射状に進むことになる。そのため、上述したように湾曲凹状の窪み部61a1を底壁部61aに設けることにより、この放射状に進む熱粒子の多くが遅滞なくカップ体61の底壁部61aに到達することになり、密閉容器60の溶融または破裂が早期に達成されることになる。そのため、この点においても、点火器40が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間の短縮化を図ることができる。
したがって、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Eとすることにより、上述した実施の形態1において説明した効果に加え、さらに高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができるという効果が得られる。
(実施の形態6)
図12は、実施の形態6に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。以下、この図12を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Fについて説明する。
図12に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Fは、上述した実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器1Bの特徴的な構成と、上述した実施の形態5に係るシリンダ型ガス発生器1Eの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Fは、オートイグニッション剤71が、密閉容器60の内部であってかつコイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されることにより、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てて配置されているとともに、カップ体61の底壁部61aに湾曲凹状の窪み部61a1が設けられることにより、点火器40の点火部41と密閉容器60との間にバッファ空間S1Cが位置している。
このように構成した場合には、上述した実施の形態2および5において説明した効果のすべてを得ることができ、安全性の面や小型軽量化の観点、さらには高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態7)
図13は、実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図14は、図13に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図13および図14を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gについて説明する。
図13および図14に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gは、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、当該シリンダ型ガス発生器1Aに設けられていたコイルバネ80(図1等参照)を具備していない点と、指向性付与部材としての燃焼制御カバー43の形状が異なる点において、主としてその構成が相違している。
具体的には、燃焼制御カバー43は、円筒状の筒状部43aと、当該筒状部43aのハウジングの他端部側(すなわちフィルタ90側)の端部からハウジング本体10の径方向外側に向けて延設されたフランジ部43bとを含んでいる。このうち、筒状部43aは、ハウジング本体10の径方向において点火器40の点火部41を取り囲むように位置しており、フランジ部43bは、密閉容器60のカップ体61の底壁部61aに当接している。
図14に示すように、燃焼制御カバー43は、ホルダ20に設けられた収容部21に圧入されることでホルダ20に固定されており、点火器40は、この圧入された燃焼制御カバー43とホルダ20とによって挟み込まれることでホルダ20に固定されている。より詳細には、燃焼制御カバー43は、筒状部43aのフランジ部43bが設けられた側とは反対側に位置する端部43a1がホルダ20の収容部21に圧入されており、これに伴って筒状部43aの端部43a1は、収容部21の側面に圧接触している。一方、点火器40の点火部41に設けられた環状突部41aは、ホルダ20の収容部21に収容されており、燃焼制御カバー43の筒状部43aの端部43a1とホルダ20の収容部21の底面を規定する台座部24とによって挟み込まれている。
これに伴い、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gにおいては、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aのホルダ20が具備していたかしめ部23(図2等参照)は設けられていない。そのため、このように構成すれば、ホルダ20にかしめ部23を設けるための加工が不要になるため、製造コストの削減を図ることができる。
なお、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gにおいては、ハウジング本体10に対するホルダ20の組付強度を高めるために、燃焼室S1のホルダ20側の端部に対応する部分のハウジング本体10にかしめ部14が設けられている。このかしめ部14は、ハウジング本体10の当該部分を径方向内側に縮径させることによって形成される。これにより、ホルダ20の燃焼室S1側の端部は、ハウジング本体10に設けられた一対のかしめ部12,14によってハウジング本体10の軸方向に沿って挟み込まれることになり、ホルダ20の組付強度が向上することになる。なお、このかしめ部14は、必ずしも必須のものではなく、これを設けないこととしてもよい。
以上において説明した本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gとすることにより、上述した実施の形態1において説明した効果に加え、当該実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aに設けられていたコイルバネ80を廃止することができるため、部品点数の削減ならびにシリンダ型ガス発生器の軽量化を図ることできるという効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Gにおいては、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされることで位置決めされることになるため、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していた如くのコイルバネ80を用いて密閉容器60を固定する場合よりも、密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離にばらつきが生じ難くなる。そのため、所望のガス出力が安定的に得られる高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態8)
図15は、実施の形態8に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。以下、この図15を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Hについて説明する。
図15に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Hは、上述した実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器1Bの特徴的な構成と、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Hは、オートイグニッション剤71が、密閉容器60の内部であってかつコイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されることにより、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てて配置されているとともに、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態2および7において説明した効果のすべてを得ることができ、安全性の面や小型軽量化の観点、さらには高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態9)
図16は、実施の形態9に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図であり、図17は、図16に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図である。以下、これら図16および図17を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Iについて説明する。
図16および図17に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Iは、上述した実施の形態5に係るシリンダ型ガス発生器1Eの特徴的な構成と、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Iは、カップ体61の底壁部61aに湾曲凹状の窪み部61a1が設けられることにより、点火器40の点火部41と密閉容器60との間にバッファ空間S1Cが位置しているとともに、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態5および7において説明した効果のすべてを得ることができ、高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
また、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Iにおいては、上述したようにカップ体61の底壁部61aに窪み部61a1が設けられていることにより、密閉容器60の点火器40側の端部は、中央部が凹んだ環状形状を有することになる。そのため、このように構成した場合には、この環状形状の密閉容器60の端部が同じく環状形状を有する燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当接することになるため、当該フランジ部43bが撓み易くなる。
したがって、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していたコイルバネ80と同様に、燃焼制御カバー43の当該フランジ部43bが、ハウジングの内部に収容される各種の構成部品の寸法ばらつきを吸収する機能を果たすことにもなる。そのため、このように構成することにより、製造時における各種部品の寸法管理が容易化する効果を得ることもできる。
(実施の形態10)
図18は、実施の形態10に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。以下、この図18を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Jについて説明する。
図18に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Jは、上述した実施の形態2に係るシリンダ型ガス発生器1Bの特徴的な構成と、上述した実施の形態9に係るシリンダ型ガス発生器1Iの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Iは、オートイグニッション剤71が、密閉容器60の内部であってかつコイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されることにより、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てて配置されているとともに、カップ体61の底壁部61aに湾曲凹状の窪み部61a1が設けられることにより、点火器40の点火部41と密閉容器60との間にバッファ空間S1Cが位置しており、さらには、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態2および9において説明した効果のすべてを得ることができ、安全性の面や小型軽量化の観点、さらには高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態11)
図19は、実施の形態11に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。以下、この図19を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Kについて説明する。
図19に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Kは、上述した実施の形態3に係るシリンダ型ガス発生器1Cの特徴的な構成と、上述した実施の形態10に係るシリンダ型ガス発生器1Jの特徴的な構成とを具備したものである。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Kは、オートイグニッション剤71が、密閉容器60の内部であってかつコイルバネ73から見てガス発生剤70が位置する側とは反対側(すなわちフィルタ90側)に配置されることにより、コイルバネ73によってガス発生剤70と隔てて配置されているとともに、密閉容器60のカバー体62を非脆弱な部材にて構成することにより、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していた仕切り部材50(図1等参照)を廃止して、当該カバー体62を圧力隔壁として利用しており、さらには、カップ体61の底壁部61aに湾曲凹状の窪み部61a1が設けられることにより、点火器40の点火部41と密閉容器60との間にバッファ空間S1Cが位置しており、加えて、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態3および10において説明した効果のすべてを得ることができ、安全性の面や小型軽量化の観点、さらには高性能化の点において従来よりも格段に改善が図られたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
(実施の形態12)
図20は、実施の形態12に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。以下、この図20を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Lについて説明する。
図20に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Lは、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gと比較した場合に、燃焼制御カバー43の筒状部43aがハウジング本体10の他端部側(すなわちフィルタ90側)に向けて延設されている点においてのみ相違している。
具体的には、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Lにあっては、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gよりも燃焼制御カバー43の筒状部43aが延設されていることにより、フランジ部43bが点火器40の点火部41からより距離をもって位置しており、これによって燃焼制御カバー43の内部にバッファ空間S1Cが設けられている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gに比較して、密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離が長くなる分、点火器40が作動した時点からガスが排出され始める時点までの時間が遅延するおそれが生じることになるが、バッファ空間S1Cが設けられることでスクイブカップの開裂が阻害されるおそれがなくなるため、当該距離を適切に設定することにより、高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
したがって、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Lとすることにより、上述した実施の形態7において説明した効果に準じた効果を得ることができる。
(関連形態)
図21は、関連形態に係るシリンダ型ガス発生器の模式断面図である。また、図22および図23は、それぞれ図21に示すシリンダ型ガス発生器のカップ体の底壁部近傍の模式拡大断面図およびカバー体近傍の模式拡大断面図である。まず、これら図21ないし図23を参照して、本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mの構成について説明する。
図21ないし図23に示すように、本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mは、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gと比較した場合に、密閉容器60の向きならびに当該密閉容器60に収容された各種部品の構成およびレイアウトが相違している。
具体的には、本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mにあっては、密閉容器60が、カップ体61の底壁部61aがフィルタ90側に位置するとともに、カバー体62が点火器40側に位置するように、ハウジング本体10に挿入されている。これにより、カップ体61の底壁部61aは、仕切り部材50の隔壁部51に面することになり、カバー体62の蓋部62aは、点火器40の点火部41に面することになる。
ここで、図22に示すように、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mにおいても、上述した実施の形態7に係るシリンダ型ガス発生器1Gと同様に、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。
この燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされた密閉容器60の点火器40側の端部は、製造上の理由から、当該密閉容器60の軸方向に沿って突出して位置することとなるカップ体61の開口端61b1およびカバー体62の巻き込み部62bにて構成されている。そのため、これら突出して位置するカップ体61の開口端61b1およびカバー体62の巻き込み部62bがスペーサとなるため、点火器40の点火部41とカバー体62の蓋部62aとの間には、バッファ空間S1Cが設けられることになる。
図21ないし図23に示すように、密閉容器60の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部には、オートイグニッション剤71および区画部材72が配置されており、ホルダ20側の端部には、コイルバネ73が配置されている。一方、密閉容器60の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部とホルダ20側の端部とを除く部分には、ガス発生剤70が配置されている。
図23に示すように、区画部材72は、ガス発生剤収容室S1Aをハウジングの軸方向において区画するための部材である。区画部材72は、ハウジング本体10の周壁部の軸方向において仕切り部材50に面する部分に位置決め用凹部72aを有しているとともに、外縁にスカート形状の固定用筒部72bを有している。また、区画部材72の位置決め用凹部72aの底部には、区画部材72によって区画される一対の空間(すなわち、ガス発生剤70が収容された空間およびオートイグニッション剤71が収容された空間)を相互に連通させるための単一または複数の貫通孔72cが設けられている。
ここで、区画部材72は、金属製のプレス成形品にて構成されていることが好ましく、たとえばガス発生剤70の燃焼によっても破断または溶融することのない真鍮製の部材にて構成されている好ましい。ただし、区画部材72が真鍮製である必要性は必ずしもなく、ステンレス鋼や鉄鋼、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金等にて区画部材72を形成することとしてもよい。
なお、区画部材72には、必ずしも貫通孔72cが設けられている必要はなく、当該区画部材72にスコアを設けることにより、ガス発生剤70の燃焼に伴って区画部材72に貫通孔が形成されるように構成してもよい。また、区画部材72に貫通孔やスコアを設けることなく、区画部材72自体をガス発生剤70の燃焼によって破断または溶融する脆弱な部材にて構成してもよい。
区画部材72は、密閉容器60のカップ体61の側壁部61bに内挿されており、区画部材72の固定用筒部72bは、当該側壁部61bの内周面に当接している。すなわち、区画部材72は、カップ体61の側壁部61bに圧入されており、これによって区画部材72が密閉容器60に固定されている。
区画部材72に設けられた位置決め用凹部72aには、ペレット状に成形されたオートイグニッション剤71の一部が収容されている。これにより、オートイグニッション剤71は、区画部材72の位置決め用凹部72aの底部と、カップ体61の底壁部61aとによって挟み込まれている。したがって、オートイグニッション剤71は、区画部材72およびカップ体61の双方に当接することになる。
このように構成することにより、オートイグニッション剤71は、ハウジング本体10との間で、金属製の部材である区画部材72、金属製の部材である密閉容器60の底壁部61a寄りの端部および金属製の部材である仕切り部材50を介して実質的に最短経路で熱的に接触することになる。
次に、図21を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mの作動時における動作について説明する。
図21を参照して、本実施の形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。
点火器40が作動すると、点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することによって点火部41内の圧力が上昇し、これによって点火部のスクイブカップが開裂し、点火薬が燃焼することで発生した熱粒子が点火部41の外部へと流出する。
点火部41から流出した熱粒子には、上述した燃焼制御カバー43の筒状部43aによって指向性が与えられ、これにより密閉容器60のカバー体62の蓋部62aへと至る。これに伴い、点火器40が作動することによって発生した熱または圧力によってカバー体62の蓋部62aが溶融または破裂し、上述した熱粒子が、ガス発生剤70へと達する。
ガス発生剤70に達した熱粒子は、ガス発生剤70を燃焼させ、これにより多量のガスが発生する。これに伴い、ガス発生剤収容室S1Aの圧力および温度が上昇し、密閉容器60のカップ体61の側壁部61bが破裂または溶融するとともにオートイグニッション剤71が燃焼し、さらには密閉容器60のカップ体61の底壁部61aが破裂または溶融する。
これにより、燃焼室S1とフィルタ室S2とが、仕切り部材50の隔壁部51に設けられた連通孔51aを介して連通した状態となり、燃焼室S1において発生したガスは、当該連通孔51aを介してフィルタ室S2へと流入する。また、ガス発生剤70が引き続き燃焼することで燃焼室S1全体の圧力がさらに上昇することにより、仕切り部材50の隔壁部51のうちのスコア51bが設けられた部分に破断が生じる。これにより、より多量のガスがフィルタ室S2へと流入する。
フィルタ室S2に流れ込んだガスは、フィルタ90の中空部91を軸方向に沿って流動した後に径方向に向けて向きを変え、フィルタ90の内部を通流する。その際に、フィルタ90によって熱が奪われてガスが冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去される。
そして、フィルタ90を通流した後のガスは、ガス噴出口11を介してハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、シリンダ型ガス発生器1Mに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
以上において説明した本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mにあっては、上述したように、筒状部43aおよびフランジ部43bを備える燃焼制御カバー43によって点火器40がホルダ20に固定されつつ、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされている。そのため、ホルダ20にかしめ部23(図2等参照)を設けるための加工が不要になるため、製造コストの削減を図ることができる。
また、本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mにおいては、密閉容器60の点火器40側の端部が燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当て留めされることで位置決めされることになるため、コイルバネ80(図1等参照)を用いて密閉容器60を固定する場合よりも、密閉容器60の内部に配置されたガス発生剤70と点火器40との間の距離にばらつきが生じ難くなる。そのため、所望のガス出力が安定的に得られる高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
さらには、本関連形態に係るシリンダ型ガス発生器1Mにおいては、密閉容器60の点火器40側の端部に、突出して位置するカップ体61の開口端61b1およびカバー体62の巻き込み部62bが設けられることになるため、当該密閉容器60の点火器40側の端部は、中央部が凹んだ環状形状を有することになる。そのため、このように構成した場合には、この環状形状の密閉容器60の端部が同じく環状形状を有する燃焼制御カバー43のフランジ部43bに当接することになるため、当該フランジ部43bが撓み易くなる。
したがって、上述した実施の形態1に係るシリンダ型ガス発生器1Aが具備していたコイルバネ80と同様に、燃焼制御カバー43の当該フランジ部43bが、ハウジングの内部に収容される各種の構成部品の寸法ばらつきを吸収する機能を果たすことにもなる。そのため、このように構成することにより、製造時における各種部品の寸法管理が容易化する効果を得ることもできる。
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態および関連形態においては、ハウジングの内部であってかつ密閉容器の径方向外側に断熱層が形成されるように構成してなるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、当該断熱層は必ずしも必須の構成ではない。すなわち、本発明は、上述した如くの断熱層が設けられていないシリンダ型ガス発生器にも当然に適用することができ、その場合には、密閉容器がハウジング本体に圧入されることでハウジング本体の内周面に密閉容器の側壁部が当接することになる。
また、上述した本発明の実施の形態および関連形態において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして逸脱しない範囲において、当然にこれを相互組み合わせることができる。
さらには、上述した本発明の実施の形態および関連形態においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、カーテンエアバッグ装置やニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器にもその適用が可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A~1M シリンダ型ガス発生器、10 ハウジング本体、11 ガス噴出口、12~14 かしめ部、20 ホルダ、21 収容部、22 環状溝部、23 かしめ部、24 台座部、30 閉塞部材、31 環状溝部、40 点火器、41 点火部、41a 環状突部、42 端子ピン、43 燃焼制御カバー、43a 筒状部、43a1 端部、43b フランジ部、50 仕切り部材、51 隔壁部、51a 連通孔、51b スコア、52 環状壁部、60 密閉容器、61 カップ体、61a 底壁部、61a1 窪み部、61b 側壁部、61b1 開口端、62 カバー体、62a 蓋部、62a1 スコア、62b 巻き込み部、62b1 第1かしめ部、62b2 第2かしめ部、70 ガス発生剤、71 オートイグニッション剤、72 区画部材、72a 位置決め用凹部、72b 固定用筒部、72c 貫通孔、73 コイルバネ、73a バネ部、73b 押圧部、80 コイルバネ、90 フィルタ、91 中空部、S1 燃焼室、S1A ガス発生剤収容室、S1B 断熱層、S1C バッファ空間、S2 フィルタ室。

Claims (10)

  1. 筒状の周壁部を有し、軸方向の一端部および他端部が閉塞された長尺のハウジングと、
    前記ハウジングの内部に配置されたガス発生剤と、
    前記ハウジングの前記一端部側に位置する閉塞端に組付けられた点火器と、
    前記ハウジングの内部であってかつ前記ハウジングの前記他端部側に配置されたフィルタと、
    前記ハウジングの内部であってかつ前記点火器と前記フィルタとの間に配置され、前記ガス発生剤が収容されたガス発生剤収容室を規定する密閉容器とを備え、
    前記密閉容器が、前記ハウジングと略同軸上に配置された筒状の側壁部および当該側壁部の一方の軸方向端部を閉塞する底壁部を含むカップ体と、前記カップ体の他方の軸方向端部である開口端に取付けられることで当該開口端を閉塞するカバー体とを有し、
    前記カップ体が、前記点火器が作動することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成され、
    前記カップ体の前記底壁部が、前記点火器側に配置され、
    前記カバー体が、前記フィルタ側に配置されている、ガス発生器。
  2. 前記密閉容器の内部に配置され、前記ガス発生剤を弾性付勢することにより、前記密閉容器の内部において前記ガス発生剤を移動不能に固定する弾性付勢部材をさらに備え、
    前記弾性付勢部材が、前記カバー体と前記ガス発生剤との間に位置するように、前記密閉容器の前記カバー体側の端部に配置されている、請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記密閉容器の内部に配置され、前記点火器の作動に依らずに自動発火するオートイグニッション剤をさらに備え、
    前記弾性付勢部材から見て前記ガス発生剤が位置する側とは反対側に前記オートイグニッション剤が配置されることにより、前記弾性付勢部材によって前記ガス発生剤と前記オートイグニッション剤とが隔てられている、請求項2に記載のガス発生器。
  4. 前記弾性付勢部材が、コイルバネからなる、請求項2または3に記載のガス発生器。
  5. 前記カバー体が、前記点火器が作動することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成され、
    前記密閉容器と前記フィルタとの間に、連通孔が設けられた圧力隔壁が設けられている、請求項1から4のいずれかに記載のガス発生器。
  6. 前記カバー体が、前記点火器が作動することで発生する熱または圧力によっても溶融および破裂しない非脆弱な部材にて構成され、
    前記点火器が作動することで連通孔が形成されることとなる脆弱部が、前記カバー体に設けられることにより、前記カバー体とは別部材からなる圧力隔壁が、前記密閉容器と前記フィルタとの間に設けられていない、請求項1から4のいずれかに記載のガス発生器。
  7. 前記カップ体が、アルミニウム系材料からなる部材にて構成され、
    前記カバー体が、アルミニウム系材料の膜にて覆われた鉄系材料からなる部材にて構成され、
    前記カップ体と前記カバー体とが、直接的に接触するように接合されている、請求項6に記載のガス発生器。
  8. 前記底壁部のうちの前記点火器に面する部分に、湾曲凹状の窪み部が設けられている、請求項1から7のいずれかに記載のガス発生器。
  9. 前記点火器が、点火薬が装填された点火部と、当該点火部に接続された端子ピンとを有し、
    前記点火部にて発生する熱粒子の進行方向に指向性を与えることで当該熱粒子を前記密閉容器に導くための指向性付与部材をさらに備え、
    前記指向性付与部材が、前記周壁部の径方向において前記点火部を取り囲む筒状部と、当該筒状部の前記フィルタ側の端部から外側に向けて延設されたフランジ部とを有し、
    前記底壁部が、前記フランジ部に当接している、請求項1から8のいずれかに記載のガス発生器。
  10. 前記ハウジングが、前記閉塞端を構成するホルダを有し、
    前記ホルダが、前記ハウジングの内部の空間に向けて開口する収容部を含み、
    前記点火部が、前記収容部に収容されるとともに前記ハウジングの径方向に沿って外側に向けて突出する環状突部を含み、
    前記筒状部のうちの前記フランジ部が設けられた側とは反対側に位置する端部が、前記収容部に挿入され、
    前記筒状部のうちの前記収容部に挿入された部分の端部が、前記収容部の側面に圧接触しているとともに、前記環状突部が、前記筒状部のうちの前記収容部に挿入された部分の端部と前記収容部の底面とによって挟み込まれている、請求項9に記載のガス発生器。
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