以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aの概略図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器Aの構成について説明する。
図1に示すように、ディスク型ガス発生器Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、仕切り部材55、伝火薬59、ガス発生剤61、下側支持部材70、上側支持部材80、クッション材85およびフィルタ90等が収容されてなるものである。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容された燃焼室60が位置している。
ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視した状態において非点対称形状(たとえばD字状、樽型形状、長円形状等)の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
点火器40は、火炎を発生させるためのものであり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42とを備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する塞栓とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。
これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。なお、開口部15は、上述したように平面視非点対称形状に形成されているため、当該開口部15を連結部33で埋め込むことにより、これら開口部15および連結部33は、保持部30が底板部11に対して回転してしまうことを防止する回り止め機構としても機能する。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。
この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させること等により、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を原料として含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
なお、ここでは、樹脂成形部からなる保持部30を射出成形することで下部側シェル10に対する点火器40の固定を可能にした場合の構成例を例示したが、下部側シェル10に対する点火器40の固定に他の代替手段を用いることも可能である。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、仕切り部材55および伝火薬59が収容される空間をその内部に含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた空間が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容された燃焼室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70とによって挟み込まれている。ここで、下側支持部材70は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材85、上側支持部材80および天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。これにより、カップ状部材50の固定にかしめ固定や圧入固定を利用せずとも、カップ状部材50が底板部11から脱落することが防止できる。
カップ状部材50は、側壁部52および頂壁部51のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた空間を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火室内部の伝火薬59が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融するものである。
カップ状部材50の材質としては、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスやステンレス合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。特に、アルミニウムよりも機械的強度が比較的に高い、ステンレス鋼、鉄鋼等の鉄系金属材料が好ましい。
なお、カップ状部材50の固定方法としては、上述した下側支持部材70を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ状部材50の頂壁部51の少なくとも一部には、側壁部52より薄肉の脆弱部55が設けられている。脆弱部55は、放射状に延びるスリットによって設けられ、カップ状部材50の側壁部52よりも機械的強度が低く構成されている。ここで、脆弱部55が点火器40の点火部41に対向することとなるように配置されている。また、頂壁部51の放射状に延びる前記脆弱部55以外の部分は、脆弱部より厚肉で側壁部52と同程度の厚みである非脆弱部56が設けられている。
これにより、カップ状部材50の内部の空間は、伝火薬59が燃焼することによって生じる推力によって、脆弱部55を破裂、変形または溶融するものであり、脆弱部55の機械的強度が比較的低くなっている。一方、非脆弱部56は、その厚みが脆弱部55に比して厚く形成されることにより、点火器40の作動に伴う伝火薬59の燃焼によっても、残存するように構成されている。
なお、上述した脆弱部55の厚みt1および非脆弱部の厚みt2は、使用される伝火薬59の種類や充填量等に基づいて適宜調整されるものであるが、その一例を示す。例えば、上記脆弱部55の厚みt1は、カップ状部材を鉄製またはステンレス製とした場合には、0.6mm以下とされ、好ましくは0.3mm以下とされる。一方、非脆弱部56の厚みt2は、カップ状部材50を鉄製またはステンレス製とした場合には、脆弱部55の厚みt1よりも大きいことを条件に、0.3mm以上0.9mm以下、好ましくは0.4mm以上0.6mm以下とされる。なお、カップ状部材50の側壁部52の厚みt3は、特に制限されるものではないが、プレス成形の際の成形性、及び伝火薬59の燃焼により生じた火炎の指向性をもたせる観点から、非脆弱部56の厚みt2と同等程度とされることが好ましい。ここで、同等程度とは、非脆弱部56の厚みt2との厚みの差が、0.6mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
伝火室に充填された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬59としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬59は、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬59の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
ハウジングの内部の空間のうち、上述したカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容された燃焼室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成された燃焼室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の頂壁部51の外側表面に面する部分に設けられた空間ならびに側壁部52の外側表面に面する部分に設けられた空間が燃焼室60として構成されている。これにより、カップ状部材50の外側表面には、これに隣接してガス発生剤61が配置されることになる。
また、ガス発生剤61が収容された燃焼室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ90が配置されている。フィルタ90は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されている。
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅や塩基性炭酸銅等の塩基性金属水酸化物、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ90は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ90は、燃焼室60にて発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、燃焼室60内にて発生したガスが確実にフィルタ90中を通過するようにすることが必要である。なお、フィルタ90は、ハウジングの周壁部を構成する下部側シェル10の周壁部12および上部側シェル20の周壁部22との間で所定の大きさの間隙部28が形成されることとなるように、当該周壁部12,22から離間して配置されている。
フィルタ90に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、複数個のガス噴出口23が設けられている。この複数個のガス噴出口23は、フィルタ90を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口23を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ24が貼り付けられている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ24によって燃焼室60の気密性が確保されている。
燃焼室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側支持部材70が配置されている。下側支持部材70は、環状の形状を有しており、フィルタ90と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と底板部11とに実質的に宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材70は、燃焼室60の上記端部近傍において、底板部11とガス発生剤61との間に位置している。
下側支持部材70は、底板部11の内底面に沿うように底板部11に宛がわれた円環板状の基部71と、フィルタ90の底板部11寄りの内周面に当接する当接部72と、基部71から天板部21側に向けて立設された筒状の立設部73とを有している。当接部72は、基部71の外縁から延設されており、立設部73は、基部71の内縁から延設されている。立設部73は、カップ状部材50の延設部53を介して、下部側シェル10の突状筒部13の外周面と、保持部30の内側被覆部31の外周面とを覆っている。
下側支持部材70は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、下側支持部材70は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
ここで、上述したカップ状部材50の延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70の基部71との間に配置されている。これにより、当該先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と基部71とによって挟み込まれて保持されている。このように構成することにより、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70の基部71によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。
燃焼室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材80が配置されている。上側支持部材80は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ90と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材80は、燃焼室60の上記端部近傍において、天板部21とガス発生剤61との間に位置している。
上側支持部材80は、天板部21に当接する基部81と、当該基部81の周縁から立設された当接部82とを有している。当接部82は、フィルタ90の天板部21側に位置する軸方向端部の内周面に当接している。
上側支持部材80は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、上側支持部材80は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材80の内部には、燃焼室60に収容されたガス発生剤61に接触するように円盤状のクッション材85が配置されている。これにより、クッション材85は、燃焼室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。
クッション材85は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
次に、図1を参照して、本実施の形態におけるガス発生器Aの組立作業の要領について説明する。
まず、下部側シェル10においては、樹脂成形部からなる保持部30として射出成形されることによって、点火器40が固定される。そして、内部に伝火薬59が収容されたカップ状部材50の側壁部52を、下部側シェル10の保持部30に圧入することにより固定する。次いで、下部側支持部材70をカップ状部材50の延設部53の先端部54に載置させ、フィルタ90を下部側シェル10の内底面に向けて挿入配置する。
そして、フィルタ90の内側にガス発生剤61を充填し、クッション材85を介装した上部側支持部材80をフィルタ90の上端部分に内挿する。この後、ガス噴出口23がシールテープ24によって閉塞された上部側シェル20を下部側シェル10に対してかぶせ、下部側シェル10と上部側シェル20とを溶接する。以上により、図1に示す構造のガス発生器1の組み立てが完了する。
ここで、本実施の形態におけるガス発生器Aにおいては、カップ状部材50に開口が設けられていないため、カップ状部材50の内部に設けられた伝火室57に伝火薬59を充填する工程が非常に容易に行える。これは、ガス発生器Aの作動時において、カップ状部材の一部が、破裂、変形または溶融するようにカップ状部材50自体が機械的強度の低い脆弱な部材にて構成されているためである。すなわち、開口を有するカップ状部材を用いた場合に必要であった、伝火薬59を充填するためにカップ状部材に設けられた開口を閉塞する作業、例えば、アルミテープや閉塞板が不要になるため、製造工程を大幅に簡素化することができる。
図2は、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器の動作を説明するための模式図である。次に、この図2と前述の図1とを参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器Aの動作について説明する。なお、図2においては、カップ状部材50の内部の状態変化を(A)、(B)の順に時系列で表わしている。
図1を参照して、ディスク型ガス発生器Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室である第1空間S1に収容された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼を開始する。
その際、図2(A)に示すように、点火器40が作動した直後においては、点火部41に装填されていた点火薬が急速に燃焼することによって点火部41のスクイブカップが破裂するとともに、当該点火薬が急速に燃焼することによって生じる推力が、伝火室57に充填された伝火薬59に伝播する。
図2(B)に示すように、上記推力がカップ状部材50の頂壁部52に達することにより、脆弱な部材からなるカップ状部材50の脆弱部55は破裂、変形、又は溶融が生じる。このカップ状部材50の脆弱部55の破裂、変形又は溶融は、点火薬が燃焼することによって生じる熱粒子による伝火薬59の着火よりも遅く発生する。なお、側壁部52には脆弱部55が存在せず、頂壁部51に脆弱部55が存在していることから、頂壁部51の脆弱部55から破裂、変形又は溶融し、頂壁部51の破裂、変形又は溶融まで内圧が上昇することとなる。ここで、カップ状部材50の伝火薬59は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材50の内部において飛散し、分散した状態となる。脆弱部55は図3または図6に示すようにスリットとして設けられ、カップ状部材50の頂壁部51から先に破裂、変形又は溶融し、側壁部52にかけて開裂していく。
そのため、より短時間のうちにより点火器40から遠い位置にある伝火薬59についても熱粒子によって着火されてその燃焼を開始することになり、結果としてカップ状部材50の内部の空間の圧力上昇ならびに当該空間の温度上昇が大幅に促進されることとなる。その結果、より短時間のうちにカップ状部材50の脆弱部55が破裂、変形又は溶融することになり、伝火薬59が燃焼することによって生じた多量の熱粒子が、燃焼室60へと早期に流れ込むことになる。
特に、図1ではカップ状部材50が鉄製又はステンレス製であってアルミニウムに比して強度が高いことから、伝火薬59の燃焼の初期段階では、カップ状部材50の破裂、変形又は溶融は生じない。この時、カップ状部材の脆弱部55の破裂、変形又は溶融が生じる所定時間が経過するまで、カップ状部材50の内圧は上昇する。そして、一定以上の内圧となってから、カップ状部材50の脆弱部55が破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材50を鉄製又はステンレス製といった機械的強度の高い鉄系金属材料を使用して、機械的強度を上げることで、カップ状部材50の開裂時において十分に伝火薬59の燃焼を促進させ、ガス発生剤61へ燃焼が促進された状態でカップ状部材50を開裂させることができる。このようなカップ状部材50の機械的強度の向上は、アルミニウム等の強度の低い金属を使用した場合でも、厚みを厚くすることで実現可能である。その場合の厚みとしては、0.4mm以上1.0mm以下が好ましく、0.4mm以上0.7mm以下がより好ましい。
図1に示すように、多量の熱粒子が燃焼室60に流れ込むことにより、燃焼室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスが発生する。燃焼室60にて発生したガスは、フィルタ90の内部を通過し、その際、フィルタ90によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去されて間隙部28に流れ込む。
以下においては、図1を参照して、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとした場合に、伝火薬59による火炎エネルギーの伝達が好適に制御可能となる仕組みについて説明する。
図1(B)に示すように、本発明の第1の実施形態のガス発生器Aにおいては、カップ状部材50の頂壁部51において、頂壁部51において放射状に厚みt1が他の部分に比して薄肉とすることによって脆弱部55を構成し、カップ状部材50の頂壁部52の残る部分の厚みt2を上記脆弱部55の厚みt1よりも厚肉とすることによって非脆弱部56を構成している。そして、カップ状部材50の側壁部52は脆弱部55より厚肉とし、非脆弱部56と同程度の厚みとして構成している。
このように構成することにより、図2(A)に示すように、まず脆弱部55が破裂、変形又は溶融する。ここで、カップ状部材50は起点となる部分から破裂、変形又は溶融するため、脆弱部55が存在しない側壁部52から破裂、変形又は溶融するおそれがなく、伝火薬59が十分に燃焼してから頂壁部51が破裂、変形又は溶融することとなる。その後、破裂、変形又は溶融した脆弱部55を起点として、脆弱部55に沿って頂壁部51が開裂していく。頂壁部51の開裂後、開裂は側壁部52へ到達して、そのまま側壁部52を開裂させていく。こうして、脆弱部55の長手方向に沿った開裂となることから、図2(B)の示すように花びら状に開裂することとなる。そのため、カップ状部材50が開裂していくことで、時間の経過とともに天板部21側の方向へ向かうに従って広く開口されていくことから、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子はより天板部側21へ指向性をもって流れ込むことになる。
具体的には、脆弱部55が破裂、変形又は溶融して、脆弱部55を起点として、頂壁部51の非脆弱部が開裂した開裂の第1段階においては、カップ状部材50の頂壁部51が破裂、変形又は溶融して側壁部52は残存していることから、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子は、天板部21方向へ流れ込むことになり、燃焼室60内に流入する火炎がカップ状部材50と天板部21との間に絞られることとなる。その結果、カップ状部材50に隣接するガス発生剤61のすべてが一度に同時に着火されることがなくなり、ガス発生剤61の燃え広がりが伝火室57と天板部21との間を中心として進行することになる。
カップ状部材50の頂壁部51の破裂、変形又は溶融が進行していくと、次に第2段階として側壁部52の開裂が進行していく。ここで、側壁部52の開裂は、頂壁部51に放射状に設けられた脆弱部55が設けられていた長手方向に沿って進行していくこととなり、側壁部52においては側壁部52の軸方向に下方に向かって開裂が進行していく。そのため、かかる開裂部からも、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子が燃焼室60内へ流入していくこととなる。その結果、カップ状部材50とフィルタ90との間のガス発生剤61へも燃え広がりが進行して行くこととなる。
したがって、カップ状部材50に脆弱部55と非脆弱部56とを設け、これら脆弱部55および非脆弱部56が設けられる位置および大きさ等を適宜調整することにより、ガス発生剤61が急速に燃焼することを防止してその燃焼の進行を意図的に遅延させることができ、ガス出力を所定時間にわたって持続させるなどのガス出力の調整を仕様に応じて最適化することが非常に容易に行えることになる。
また、カップ状部材50の側壁部52を薄肉に構成した場合には、伝火薬59の燃焼によってカップ状部材50が破裂、変形又は溶融した際の衝撃がフィルタ90に加わって、フィルタ90が損傷してしまうおそれがあるが、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aのごとくカップ状部材50の側壁部52を肉厚に構成して頂壁部51に脆弱部55を設けることにより、カップ状部材50の破裂、変形または溶融の初期では天板部21側へ熱粒子が向かうことから、このようなフィルタ90に加わる衝撃が緩和されてその損傷が未然に防止される効果も得られる。
また、上記構成を採用することにより、頂壁部51が着火時から瞬時に破裂、変形又は溶融することで、直ぐに頂壁部51と天板部21の間のガス発生剤61の燃焼が進行するため、ガス出力の遅延が生じることもなく、ガス発生器内部の内圧も迅速に高まり、さらに出力特性のばらつきが生じることも未然に防止できる。
ガス発生剤61が燃焼することで生じるハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴い、上部側シェル20に設けられたガス噴出口23を閉鎖していたシールテープ24が開裂し、当該ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ディスク型ガス発生器Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開する。
ここで、点火器40が作動することで発生する推力の伝播を受けてカップ状部材50の脆弱部55が破裂、変形又は溶融するかは、カップ状部材の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41とカップ状部材と脆弱部55との間の距離、伝火室に充填された伝火薬59の密度等によって決まることになる。
このように、伝火薬59の燃焼に伴う伝火室の圧力上昇や温度上昇を利用してカップ状部材50の脆弱部55を破裂、変形又は溶融させるためには、上述したカップ状部材50の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41とカップ状部材50の脆弱部55との間の距離、伝火室に充填された伝火薬59の密度等を種々調整すればよいが、上述の通り特にカップ状部材50の部材を鉄、ステンレス等の鉄系金属材料の部材にて構成することにより、比較的容易にその実現が可能である。
なお、いずれの場合においても、カップ状部材50の脆弱部55は、カップ状部材50の側壁部52よりも機械的強度が低いことが好ましい。カップ状部材40の脆弱部55をカップ状部材50の側壁部52よりも脆弱にする手法としては、これらの厚みを調整したり、これらの材質を異ならしめたり、これらの形状を工夫したりすること等が想定される。
このように構成することにより、カップ状部材50が破裂、変形または溶融するに先立って脆弱部55を破裂、変形あるいは溶融させることが、比較的容易に実現できることになる。ただし、カップ状部材50が破裂、変形または溶融するに先立って脆弱部55を破裂、変形または溶融させることができる場合には、脆弱部55とカップ状部材50の側壁部52とが同等程度の機械的強度を有してもよい。
以上において説明したように、上述した本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとすることにより、伝火薬59の燃焼が促進されることによってガス発生剤61の燃焼をより早期に開始させることが可能になるため、結果として点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を従来に比して短縮化することができる。また、カップ状部材50の脆弱部55を追加することにより、部品加工は増加することになるものの、伝火薬59の充填量は大幅に少なくすることができ、点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を低コストに短縮化させることができる。
このように、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとすることにより、伝火薬59の充填量を少なく抑えつつも、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるディスク型ガス発生器とすることができる。
図3は、上述した本発明の第1の実施形態に基づいた全周スリット変形例に係るカップ状部材50の脆弱部55を頂壁部から見た要部の拡大断面図である。以下、この図3を参照して、本変形例について説明する。
図3に示すように、カップ状部材50の脆弱部55は、全周スリットにおいては、脆弱部55としてスコア56aが設けられており、これにより脆弱部55が断面視波状の凹部を有するように構成されている。図3(A)では、脆弱部55としてスコア56aが略30度ごとに設けられている。このように細かく脆弱部55を設けることで、カップ状部材50を開裂しやすくなる。したがって、着火から短時間でカップ状部材50が開裂し、燃焼室60へ火炎が流入しやすくなる。図3(B)では、脆弱部55としてスコア56aが平面視十字状に設けられている。このように脆弱部55を設けることで、カップ状部材50を開裂しにくくなる。そのため、伝火薬59の燃焼によって伝火室57の内圧が相当程度に高まってから、頂壁部52が破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材50の開裂時において十分に伝火薬59の燃焼を促進させ、ガス発生剤61への着火性が高い状態でカップ状部材50を開裂させることができる。本発明においては、平面視十字状またはアスタリスク状に設けられていることが好ましい。
これらのように構成した場合には、カップ状部材50の脆弱部55は全周から均等に破断するばかりでなく、上述した第1の実施形態において説明した効果も得られる。
なお、脆弱部55の凹凸形状としては、上述したものに限らず、どのような形状のものであってもよい。たとえば、非脆弱部56の一部を頂壁部51に向けて膨出させることで環状の凸部を設けてもよいし、脆弱部55の全体を凹部が生じるように湾曲させることとしてもよい。また、脆弱部55に点列状または行列状に複数の凸部または凹部を設けることとしてもよい。さらに、頂壁部51に円形または環状の脆弱部55を設けることとしてもよい。
図6は、半周スリット変形例に係るカップ状部材50の脆弱部55を頂壁部から見た要部の拡大断面図である。以下、この図6を参照して、本変形例に係る半周スリット変形例について説明する。
図6に示すように、本変形例に係る半周スリット変形例においては、脆弱部55として半周にスコア56bが設けられている点においてのみ、上述した第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとその構成が相違している。図6に示すように、脆弱部は周方向からみて、特定角度の間に設けられることにより偏って配置されている。ここで、軸方向上側から見た際に半周(角度において180°)以下の角度で脆弱部が設けられている領域を脆弱部存在領域、軸方向上側から見た際に半周(角度において180°)を超えた角度で脆弱部が設けられていない領域を脆弱部非存在領域という。図6においては、上記脆弱部存在領域と上記脆弱部非存在領域が存在することにより、カップ状部材の破裂、変形または溶融は、脆弱部存在領域が脆弱部非存在領域に先立って生じるため、指向性をもって伝火薬の燃焼により生じた熱粒子が燃焼室へ流入していくこととなる。
具体的には、半周スリット変形例においては、脆弱部55として頂壁部51にスコア56bが設けられている。図6(A)では、脆弱部55としてスコア56aが略30°ごとに半周面において設けられている。このように細かく脆弱部55を設けることで、カップ状部材50を開裂しやすくなる。したがって、着火から短時間でカップ状部材50が開裂し、燃焼室60へ指向性をもって火炎が流入しやすくなる。図6(B)では、脆弱部55としてスコア56aが略60°ごとに半周面において設けられている。このように脆弱部55を設けることで、カップ状部材50の開裂時において、天板部121に向けて頂壁部52が破裂、変形又は溶融することで、燃焼室60へ指向性をもって火炎が流入しやすくなる。図6(C)では、脆弱部55としてスコア56aが平面視十字状に半周面において設けられている。このように脆弱部55を設けることで、カップ状部材50を開裂しにくくなる。そのため、伝火薬59の燃焼によって伝火室57の内圧が相当程度に高まってから、頂壁部52が破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材50の開裂時において十分に伝火薬59の燃焼を進行させ、ガス発生剤61への着火性が高い状態でカップ状部材50を開裂させ、燃焼室60へ指向性をもって火炎が流入しやすくなる。当該スコア56bは、脆弱部55の略中央部を中心として半周分で平面視十字状またはアスタリスク状に設けられていることが好ましい。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、点火器40の作動時においてより確実に脆弱部55が破裂、変形又は溶融することになり、伝火薬59の燃焼の促進を確実ならしめる効果を得ることができる。さらに、頂壁部52において半周分で偏在している脆弱部55から破裂、変形または溶融することから伝火薬59の燃焼ガスが燃焼室60へ流れ込む向きに指向性を与えることができる。
(第2の実施形態)
図4(A)、図4(B)は、本発明の第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bの概略図である。図4(A)、図4(B)に示すように、第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器A(図1参照)と比較して、カップ状部材50の延設部53がない点においてのみ構成が相違している。
以下に示す実施形態においては、同一のまたは共通する部分に図中の同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
第2の実施形態のカップ状部材50においては、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設されたフランジ部62とを有している。具体的には、フランジ部62は、突状筒部13の環状部と平行に径方向外側へ曲成された形状を有している。そのため、下部側支持部材70と下部側シェル10の底板部11との間でカップ状部材50の一部が挟まれる構造にはなっていない。
このように構成された第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bとした場合にも、上述した効果と同様の効果が得られることになり、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のディスク型ガス発生器とすることができる。
(第3の実施形態)
図5(A)、図5(B)は本発明の第3の実施形態に係るディスク型ガス発生器Cの概略図である。図5(A)、図5(B)に示すように、第3の実施形態に係るディスク型ガス発生器Cは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器A(図1参照)と比較して、第2点火器と第2燃焼室が設けられている点において構成が相違している。
以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中の同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
下部側シェル110の底板部111の所定位置には、第1開口部111aおよび第2開口部111bが設けられている。下部側シェル110の底板部111には、第1開口部111aを閉塞するように第1点火器組立体130が組付けられているとともに、第2開口部111bを閉塞するように第2点火器組立体140が組付けられている。ここで、第1開口部111aは、第1点火器組立体130の下端に設けられた後述する第1雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位であり、第2開口部111bは、第2点火器組立体140の下端に設けられた後述する第2雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位である。
第1点火器組立体130は、第1ホルダ131と、第1点火器132と、第1シール部材133と、カップ体134と、伝火薬136とを主として含んでいる。第1ホルダ131は、第1点火器組立体130のベースを構成するものであり、当該第1ホルダ131に第1点火器132およびカップ体134等が組付けられることにより、第1点火器組立体130が一体の部品として構成されている。
第1ホルダ131は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。天板部121側に位置する第1ホルダ131の上面には、上側凹部131aが設けられており、底板部111側に位置する第1ホルダ131の下面には、下側凹部131bが設けられている。また、上側凹部131aの底部ならびに下側凹部131bの底部を構成する部分の第1ホルダ131には、これら上側凹部131aおよび下側凹部131bに達するように貫通孔131cが設けられている。
また、第1ホルダ131の上面には、上側凹部131aを取り囲むようにかしめ部131d,131eが設けられている。このうちの内側に配置されたかしめ部131dは、第1点火器132を第1ホルダ131にかしめ固定するための部位であり、このうちの外側に配置されたかしめ部131eは、カップ体134を第1ホルダ131にかしめ固定するための部位である。
第1点火器132は、火炎を発生させるためのものであり、一般にスクイブと称される火工品からなる。第1点火器132は、前述の点火器40と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第1点火器132は、第1ホルダ131の貫通孔131cに一対の端子ピン132cが上方から挿入されるとともに第1ホルダ131の上側凹部131aに基部132aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部131dが折り曲げられることにより、第1ホルダ131に固定されている。
ここで、第1ホルダ131と第1点火器132との間には、Oリング等からなる第1シール部材133が介装されており、これによって第1ホルダ131と第1点火器132との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第1点火器132の固定方法は、上述したかしめ部131dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ状部材150は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成しており、内部に伝火薬136が収容された伝火室135を含んでいる。カップ状部材150は、伝火室135を規定する頂壁部151および側壁部152と、側壁部152の開口端側の部分から径方向外側に向けて延設されたフランジ部153とを有している。
カップ状部材150は、その内部に形成された伝火室135が第1点火器132の点火部132bに面するように第1ホルダ131に組付けられており、より詳細には、フランジ部153が第1ホルダ131の上面に当て留めされた状態において、上述したかしめ部131eが折り曲げられることにより、第1ホルダ131に固定されている。
カップ状部材150は、頂壁部154および側壁部158のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室135を取り囲んでいる。このカップ状部材150は、第1点火器132が作動することによって伝火薬136が着火された場合に伝火室135内の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融する。
カップ状部材150の頂壁部151の少なくとも一部には、側壁部152より薄肉の脆弱部155が設けられている。脆弱部155は、頂壁部151の略半周面部分(頂壁部151において、全周のうち3分の1を占める120°部分)において放射状に延びるスリットによって設けられ、カップ状部材150の側壁部152よりも機械的強度が低く構成されている。ここで、脆弱部155が第1点火器132の点火部132bに対向することとなるように配置されている。また、頂壁部151の放射状に延びる前記脆弱部155以外の部分は、脆弱部より厚肉で側壁部152と同程度の厚みである非脆弱部156が設けられている。また、頂壁部151に設けられた脆弱部155は、第2点火器142が設置された側に偏在させて配置されている。
このようなカップ状部材155としては、図6に示すような形態のカップ状部材を好適に適用することができる。
図6においては、上記脆弱部存在領域と上記脆弱部非存在領域が存在することにより、カップ状部材の破裂、変形または溶融は、脆弱部存在領域が脆弱部非存在領域に先立って生じるため、指向性をもって伝火薬の燃焼により生じた熱粒子が燃焼室へ流入していくこととなる。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、点火器130の作動時においてより確実に脆弱部155が破裂変形または溶融等することになり、伝火薬136の燃焼の促進を確実ならしめる効果を得ることができる。さらに、頂壁部151において半周分で偏在している脆弱部155から破裂、変形または溶融することから伝火薬136の燃焼ガスが燃焼室S1へ流れ込む向きに指向性を与えることができる。
これにより、カップ状部材150の内部の空間は、点火薬が燃焼することによって生じる推力によって、脆弱部155を破裂、変形または溶融するものであり、その機械的強度が比較的低く構成されている。一方、非脆弱部156は、その厚みが脆弱部155に比して厚く形成されることにより、第1点火器130の作動に伴う伝火薬136の燃焼によっても、残存するように構成されている。
なお、上述した脆弱部155の厚みt1および非脆弱部156の厚みt2は、使用される伝火薬136の種類や充填量等に基づいて適宜調整されるものであるが、その一例を示す。例えば、上記脆弱部155の厚みt1は、カップ状部材を鉄製またはステンレス製とした場合には0.6mm以下とされ、好ましくは0.4mm以下とされ、さらに好ましくは0.3mm以下とされる。一方、非脆弱部156の厚みt2は、カップ状部材150を鉄製またはステンレス製とした場合には、脆弱部155の厚みt1よりも大きいことを条件に、0.3mm以上0.9mm以下、好ましくは0.4mm以上0.6mm以下とされる。
なお、カップ状部材150の側壁部152の厚みt3は、特に制限されるものではないが、プレス成形の際の成形性、及び伝火薬136の燃焼により生じた火炎の指向性をもたせる観点から、非脆弱部156の厚みt2と同等程度とされることが好ましい。ここで、同等程度とは、非脆弱部156の厚みt2との厚みの差が、0.6mm以下であることが好ましく、0.3mm以下であることがより好ましい。
カップ状部材150の材質としては、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。特に、アルミニウムよりも機械的強度が比較的に高い、鉄、ステンレス等の鉄系金属材料が好ましい。
伝火室135に充填された伝火薬136は、前述の伝火薬59と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第1ホルダ131の下端は、下部側シェル110の底板部111に設けられた第1開口部111aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部111に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第1ホルダ131に第1点火器132およびカップ体134等が組付けられることで一体化された第1点火器組立体130が、下部側シェル110に対して固定されることになる。
そのため、第1ホルダ131は、底板部111からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置するように構成されることになり、特に第1点火器組立体130の内部に設けられた伝火室135が、ハウジングの内部の空間に配置されることになる。ここで、底板部111と第1ホルダ131との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第1ホルダ131の下側凹部131bには、第1点火器132の一対の端子ピン132cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部131bおよび一対の端子ピン132cによって上述した第1雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第1雌型コネクタ部は、第1点火器132とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第1雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第1雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン132cとの電気的導通が実現されることになる。
第2点火器組立体140は、第2ホルダ141と、第2点火器142と、第2シール部材143と、仕切り部144と、第2ガス発生剤182とを主として含んでいる。第2ホルダ141は、第2点火器組立体140のベースを構成するものであり、当該第2ホルダ141に、第2点火器142および仕切り部144等が組付けられることにより、第2点火器組立体140が一体の部品として構成されている。
第2ホルダ141は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。天板部121側に位置する第2ホルダ141の上面には、上側凹部141aが設けられており、底板部111側に位置する第2ホルダ141の下面には、下側凹部141bが設けられている。また、上側凹部141aの底部ならびに下側凹部141bの底部を構成する部分の第2ホルダ141には、これら上側凹部141aおよび下側凹部141bに達するように貫通孔141cが設けられている。
また、第2ホルダ141の上面には、上側凹部141aを取り囲むようにかしめ部141dが設けられている。かしめ部141dは、第2点火器142を第2ホルダ141にかしめ固定するための部位である。
第2点火器142は、火炎を発生させるためのものであり、基部142aと、点火部142bと、一対の端子ピン142cとを有している。基部142aは、点火部142bおよび一対の端子ピン142cを保持する部位であり、また第2ホルダ141に対して固定される部位でもある。なお、第2点火器142は、基本的には上述した第1点火器132と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第2点火器142は、第2ホルダ141の貫通孔141cに一対の端子ピン142cが上方から挿入されるとともに第2ホルダ141の上側凹部141aに基部142aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部141dが折り曲げられることにより、第2ホルダ141に固定されている。
ここで、第2ホルダ141と第2点火器142との間には、Oリング等からなる第2シール部材143が介装されており、これによって第2ホルダ141と第2点火器142との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第2点火器142の固定方法は、上述したかしめ部141dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
仕切り部144は、隔壁部材145と、カバー部材146と、キャップ部材147とを有しており、これら隔壁部材145、カバー部材146およびキャップ部材147が組み合わされることで全体としてカップ状の形状を成している。仕切り部144は、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ170の内側の空間を2室に仕切る圧力隔壁として機能する。
図5に示すように、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ170の内側の空間は、仕切り部144によって当該仕切り部144よりも外側の空間と当該仕切り部144よりも内側の空間とに仕切られており、このうちの前者の空間が第1燃焼室S1として規定されるとともに、このうちの後者の空間が第2燃焼室S2として規定される。
図5に示すように、仕切り部144は、その内部に形成された第2燃焼室S2が第2点火器142の点火部142bに面するように第2ホルダ141に組付けられている。より詳細には、後述するように、仕切り部144のうちの隔壁部材145の下端に設けられた固定部145aが第2ホルダ141に圧入されることにより、仕切り部144が第2ホルダ141を介して底板部111に固定されている。
仕切り部144の内部に位置する第2燃焼室S2には、第2ガス発生剤182が収容されている。第2ガス発生剤182は、第2点火器142が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。なお、第2ガス発生剤182の詳細については、後述することとする。
図5に示すように、隔壁部材145は、軸方向の両端に開口を有する筒状の形状を成している。隔壁部材145は、その軸方向がハウジングの軸方向と平行となるように配置されており、底板部111側に位置する開口端が、底板部111に組付けられた第2ホルダ141に固定された固定部145aとして機能している。
より詳細には、当該固定部145aは、上述したように第2ホルダ141に圧入されており、これによって隔壁部材145が第2ホルダ141に固定されることで当該隔壁部材145を含む仕切り部144が底板部111に組付けられている。なお、隔壁部材145は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
カバー部材146は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成し、隔壁部材145の天板部121側の開口端に組付けられている。カバー部材146は、隔壁部材145と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
カバー部材146は、後述するキャップ部材147の頂板部147aを覆う円盤状の第1覆い部146aと、当該第1覆い部146aの周縁から底板部111側に向けて延設されることで隔壁部材145のうちの天板部121寄りの部分の外周面を覆う円筒状の第2覆い部146bとを含んでいる。このうち、第1覆い部146aは、隔壁部材145の天板部121側に位置する開口を覆うことで、後述するキャップ部材147の頂板部147aと共に仕切り部144の閉塞端を構成している。
カバー部材146は、隔壁部材145の上述した開口端に外挿されることで隔壁部材145に組付けられており、好ましくは隔壁部材145に対して圧入によって固定されている。これにより、カバー部材146の第2覆い部146bは、隔壁部材145のうちの上述した外周面に密着している。ここで、カバー部材146に設けられた第2覆い部146bの軸方向長さは、比較的短く構成することができ、隔壁部材145の上述した開口端が封止可能な必要最小限の長さとすることができる。
キャップ部材147は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成し、隔壁部材145のうちの天板部121寄りの部分に挿入されている。これにより、キャップ部材147は、隔壁部材145およびカバー部材146によって規定される空間に収容されている。キャップ部材147は、隔壁部材145と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されるが、その厚みは、隔壁部材145に比べて十分に薄く構成される。
キャップ部材147は、隔壁部材145の天板部121側に位置する開口を覆うことで仕切り部144の閉塞端を構成する円盤状の頂板部147aと、当該頂板部147aの周縁から底板部111側に向けて延設された円筒状の周板部147bとを含んでいる。このうち、頂板部147aは、第2ガス発生剤182とカバー部材146の第1覆い部146aとの間に配置されており、上述したカバー部材146の第1覆い部146aと共に仕切り部144の閉塞端を構成している。
キャップ部材147は、隔壁部材145の上述した開口端に内挿されることで隔壁部材145に収容されており、本実施の形態においては、キャップ部材147が隔壁部材145に対して遊嵌されている。ここで、遊嵌とは、隔壁部材145に嵌め込まれたキャップ部材147が、隔壁部材145との間で所定のクリアランスをもった状態にあることを意味し、換言すれば、キャップ部材147の外径は、隔壁部材145の内径よりも僅かに小さい。
すなわち、本実施の形態においては、キャップ部材147は、隔壁部材145に対して圧入されておらず、キャップ部材147の周板部147bは、ディスク型ガス発生器Aの非動作時において隔壁部材145の内周面に密着していない。これにより、本実施の形態においては、キャップ部材147が隔壁部材145に対して相対的に移動可能でかつ変形可能に組付けられることになり、第2ガス発生剤182の燃焼時において、後述するキャップ部材147の移動および変形が生じることになる。
ここで、上述のとおりキャップ部材147を隔壁部材145に遊嵌することとした場合には、隔壁部材145を第2ホルダ141に圧入する際の圧入作業が容易化する効果も得られる。すなわち、上述した仕切り部144を第2ホルダ141を介して下部側シェル110の底板部111に組付ける組付作業は、たとえば、隔壁部材145にキャップ部材147を遊嵌したものに第2ガス発生剤182を充填し、これを第2ホルダ141に対して圧入し、その後においてカバー部材146を隔壁部材145に対して圧入することで行なわれる。この場合、隔壁部材145を第2ホルダ141に圧入するに際して、キャップ部材147と隔壁部材145との間に形成された上述したクライアランスを介して空気が外部へ排出されることになるため、その圧入作業が容易化することになる。また、カバー部材146を隔壁部材145に圧入するに際してその圧入作業を容易化するためには、カバー部材146の所定位置にたとえば1箇所だけ孔を形成しておき、当該孔を介して空気が外部に排出されるようにすればよい。ただし、その場合には、上述した孔の形成位置は、隔壁部材145に対するカバー部材146の圧入が完了した時点において、当該孔が隔壁部材145またはキャップ部材147によって閉塞される位置とすることが必要である。
キャップ部材147の周板部147bには、複数個の第1ガス通過孔147cと、複数個の第2ガス通過孔147dとが設けられている。複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dは、いずれも周板部147bの厚み方向に沿って当該周板部147bを貫通するように設けられており、それぞれその外側に位置する開口面が隔壁部材145に対向することで当該隔壁部材145によって覆われている。
ここで、複数個の第1ガス通過孔147cは、周板部147bの周方向に沿って点列状に設けられており、複数個の第2ガス通過孔147dも、周板部147bの周方向に沿って点列状に設けられている。複数個の第1ガス通過孔147cは、いずれも複数個の第2ガス通過孔147dよりも天板部121側(すなわち、頂板部147a側)に配置されており、これにより周板部147bには、2段のガス通過孔群が設けられている。
複数個の第1ガス通過孔147cは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものである。より詳細には、これら複数個の第1ガス通過孔147cは、特に第2ガス発生剤182の燃焼の初期段階において第2燃焼室S2の圧力を相当程度に高めつつ、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものであるが、その詳細については後述することとする。
複数個の第2ガス通過孔147dは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、必要に応じて第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものである。より詳細には、これら複数個の第2ガス通過孔147dは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に高圧になった場合に、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものであるが、その詳細については後述することとする。
図5に示すように、第2ホルダ141の下端は、下部側シェル110の底板部111に設けられた第2開口部111bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部111に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第2ホルダ141に予め第2点火器142および仕切り部144等が組付けられることで一体化された第2点火器組立体140が、下部側シェル110に対して固定されるとともに、特に第2点火器組立体140の内部に設けられた第2燃焼室S2が、ハウジングの内部の空間に向けて突出して配置されることになる。ここで、底板部111と第2ホルダ141との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第2ホルダ141の下側凹部141bには、第2点火器142の一対の端子ピン142cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部141bおよび一対の端子ピン142cによって上述した第2雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第2雌型コネクタ部は、第2点火器142とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第2雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第2雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン142cとの電気的導通が実現されることになる。
図5に示すように、ハウジングの内部の空間には、上述した第1点火器組立体130および第2点火器組立体140に加え、フィルタ170が収容されている。フィルタ170は、円筒状の形状を成し、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と合致するようにハウジングと同軸上に配置されている。これにより、フィルタ170は、その外周面がハウジングの周壁部の内周面に対向している。
フィルタ170は、その内側の空間に第1点火器組立体130および第2点火器組立体140が配置されるように、これら第1点火器組立体130および第2点火器組立体140を取り巻くように配置されている。これにより、フィルタ170の内側の空間であってかつ仕切り部144の外側の空間に、第1ガス発生剤181が収容される第1燃焼室S1が形成されることになる。なお、フィルタ170は、ハウジングの周壁部から所定の距離をもって配置されており、これによりハウジングの周壁部とフィルタ170との間には、ガス排出室S3が形成されている。
フィルタ170としては、前述のフィルタ90と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
フィルタ170は、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがこのフィルタ170中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスが確実にフィルタ170中を通過するように構成することが必要になる。
ここで、第1点火器組立体130は、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように偏心配置されており、第2点火器組立体140も、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように(すなわち、仕切り部144の中心軸(より厳密には隔壁部材145の中心軸)がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように)偏心配置されている。このように構成することにより、ハウジングの内部(特にフィルタ170の内側の空間)にデッドスペースが生じることが防止でき、ディスク型ガス発生器Cを全体として小型に構成することができる。
第1燃焼室S1には、第1ガス発生剤181が収容されている。より具体的には、第1ガス発生剤181は、フィルタ170の内側の空間であってかつ第1点火器組立体130のカップ状部材150の頂壁部154および側壁部157に隣り合う空間、ならびに、フィルタ170の内側の空間であってかつ第2点火器組立体140の仕切り部144の側壁部に隣り合う空間に配置されている。第1ガス発生剤151は、第1点火器132が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。
上述した第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182としては、前述のガス発生剤61と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
ここで、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182は、それらの組成が同じものであってもよいし、それらの組成が異なるものであってもよい。また、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182は、それらの形状や大きさが同じものであってもよいし、それらの形状や大きさが異なるものであってもよい。
フィルタ170に対面する部分の上部側シェル120の周壁部122には、ガス排出室S3に面するように複数個のガス噴出口124が設けられている。この複数個のガス噴出口124は、フィルタ170を通過したガスをハウジングの外部にガス排出室S3を介して導出するためのものである。
また、上部側シェル120の周壁部122の内周面には、上記複数個のガス噴出口124を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ125が貼り付けられている。このシールテープ125としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ125によってハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
図5に示すように、第1燃焼室S1のうち、底板部111側に位置する端部には、下側支持部材161が配置されている。下側支持部材161は、環状の形状を成しており、フィルタ170と底板部111との境目部分を覆うように、これらフィルタ170と底板部111とに宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材161は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、底板部111と第1ガス発生剤151との間に位置している。
下側支持部材161は、フィルタ170をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ170の内部を経由することなくフィルタ170の下端と底板部111との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。下側支持部材161は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
第1燃焼室S1のうち、天板部121側に位置する端部には、上側支持部材162が配置されている。上側支持部材162は、カップ状の形状を成しており、フィルタ170と天板部121との境目部分を覆うように、これらフィルタ170と天板部121とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材162は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、天板部121と第1ガス発生剤151との間に位置している。
上側支持部材162は、フィルタ170をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ170の内部を経由することなくフィルタ170の上端と天板部121との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。上側支持部材162は、上述した下側支持部材161と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材162の内部には、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤181に接触するように平面視略C字状のクッション材163が配置されている。これにより、クッション材163は、第1燃焼室S1の天板部121側の部分において天板部121と第1ガス発生剤181との間に位置することになり、第1ガス発生剤181を底板部111側に向けて押圧している。
クッション材163は、前述のクッション材85と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
なお、第2ガス発生剤182の振動による破砕を防止する何らかの手当てが必要な場合には、第1ガス発生剤181の場合と同様に、これをクッション材を用いることで実現することができる。その場合には、円盤状のクッション材を隔壁部材145の頂壁部145aと第2ガス発生剤182との間に配置するか、あるいは、円環板状のクッション材を第2点火器142を取り囲む部分の第2ホルダ141の上面と第2ガス発生剤182との間に配置するか、のいずれかとすることができる。
前者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤182が底板部111側に向けて押圧されることになり、後者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤182が天板部121側に向けて押圧されることになる。なお、前者の構成および後者の構成の双方を採用することとしてもよい。ここで、上述した第2ガス発生剤182を押圧するクッション材としては、第1ガス発生剤181を押圧するクッション材163と同様の材質ものを利用することができる。
図7ないし図9は、それぞれ本実施の形態に係るディスク型ガス発生器の動作時の第1ないし第3段階を示す模式断面図である。次に、これら図7ないし図9を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cの動作について説明する。
ディスク型ガス発生器Cが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電を受け、まずは第1点火器132が作動する。
図7に示すように、第1点火器132が作動した第1段階においては、第1点火器132の点火部132bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部132bが破裂する。これにより、カップ状部材150の内部に収容された伝火薬136が着火されて燃焼する。
図7に示すように、カップ状部材150の頂壁部151において、頂壁部152において放射状に厚みt1が他の部分に比して薄肉とすることによって脆弱部155を構成し、カップ状部材150の頂壁部151の残る部分の厚みt2を上記脆弱部155の厚みt1よりも厚肉とすることによって非脆弱部156を構成している。そして、カップ状部材150の側壁部152は脆弱部155より厚肉とし、非脆弱部156と同程度の厚みとして構成している。なお、側壁部152には脆弱部155が存在せず、頂壁部151に脆弱部155が存在していることから、頂壁部151の脆弱部155から破裂、変形または溶融し、頂壁部51の破裂、変形または溶融まで内圧が上昇することとなる。ここで、カップ状部材150の伝火薬136は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材150の内部において飛散し、分散した状態となる。脆弱部155は図6に示すようにスリットとして設けられ、カップ状部材150の頂壁部151から先に破裂、変形または溶融し、側壁部152にかけて開裂していく(矢印AR1参照)。
そのため、より短時間のうちにより第1点火器132から遠い位置にある伝火薬136についても熱粒子によって着火されてその燃焼を開始することになり、結果としてカップ状部材150の内部の空間の圧力上昇ならびに当該空間の温度上昇が大幅に促進されることとなる。その結果、より短時間のうちにカップ状部材150の脆弱部155が破裂、変形または溶融することになり、伝火薬136が燃焼することによって生じた多量の熱粒子が、第1燃焼室S1へと早期に流れ込むことになる。特に、図5ではカップ状部材150が鉄製又はステンレス製であってアルミニウムに比して強度が高いことから、伝火薬136の燃焼の初期段階では、カップ状部材150の破裂、変形または溶融は生じない。そして、カップ状部材の脆弱部155の破裂、変形又は溶融が生じる所定時間が経過するまで、カップ状部材150の内圧は上昇する。そして、一定以上の内圧となってから、カップ状部材150の脆弱部155が破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材150を鉄製又はステンレス製といった強度の高い鉄系材料を使用して、強度を上げることで、カップ状部材150の開裂時において十分に伝火薬136の燃焼を進ませ、第1ガス発生材181への着火性が高い状態でカップ状部材150を開裂させることができる。このようなカップ状部材150の強度の向上は、アルミニウム等の強度の低い金属を使用した場合でも、厚みを厚くすることで実現可能である。その場合の厚みとしては、0.4mm以上1.0mm以下が好ましく、0.4mm以上0.7mm以下がより好ましい。
そして、図7に示すように、まず第2点火器142側に偏在して設けられた脆弱部155が破裂、変形又は溶融する。ここで、前記の通り、カップ状部材150内の内圧が高まっていることから、勢いをもって着火性に優れた状態で熱粒子が頂壁部151と天板部121との間の空間に流入していくこととなる。その後、図7に示すように、破裂、変形又は溶融した脆弱部155を起点として、脆弱部155に沿って頂壁部151の第2点火器142側方向の頂壁部151が開裂していく。第2点火器142側方向の頂壁部151の開裂後、開裂は頂壁部151の第2点火器142側の側壁部152へと進む。そして、第2点火器142側の側壁部152が脆弱部155に沿った開裂となることからカップ状部材50の第2点火器142側の面が花びら状に開裂していく。その後、頂壁部151のフィルタ170側の残部及びフィルタ側の側壁部152は、開裂せずに残存することとなる。そのため、カップ状部材150が開裂していくことで、時間の経過とともに順に第2点火器142側の天板部121側、第2点火器142側の方向へ行くに従って広く開口されていくことから、伝火薬136の燃焼によって生じた熱粒子はより、初期段階には第2点火器142側の頂壁部151と天板部121との間の空間に、その次の段階としては第2点火器142側へ指向性をもって流れ込むことになる。
具体的には、脆弱部155が破裂、変形又は溶融して、脆弱部155を起点として、頂壁部154の非脆弱部156の第2点火器142側の部分が開裂した開裂の第1段階においては、カップ状部材150の第2点火器142側の頂壁部151が破裂、変形又は溶融して、カップ状部材150の頂壁部151のフィルタ側及び側壁部157は残存していることから、伝火薬136の燃焼によって生じた熱粒子は、第2点火器142側へ指向性を持って天板部121方向へ流入することになり、第1燃焼室S1内に流入する火炎がカップ状部材150と天板部121との間の第2点火器142側に絞られることとなる。その結果、カップ状部材150に隣接する第1ガス発生剤181のすべてが一度に同時に着火されることがなくなり、第1ガス発生剤181の燃え広がりが伝火室と天板部121との間の第1点火器132からみて第2点火器142側を中心として指向性をもって進行することになる。
カップ状部材150の頂壁部151の破裂、変形又は溶融が進行していくと、次に図8に示すように第2段階として、カップ状部材150の第2点火器142側の側壁部152が破裂、変形又は溶融していく。ここで、側壁部157の開裂は放射状に設けられた脆弱部155が設けられていた方向に沿って進行していくこととなり、側壁部157においては側壁部157の軸方向に下方に向かって開裂が進行していく。そのため、かかる開裂部及び頂壁部154と天板部121の間のフィルタ170側の部分からも、伝火薬136の燃焼によって生じた熱粒子が第1燃焼室S1内へ流入していくこととなる。ここで、カップ状部材150の頂壁部151のフィルタ170側及び側壁部152のフィルタ170側は残存していることから、伝火薬136の燃焼によって生じた熱粒子は、第2点火器142側へ指向性を持って流入することになり、第1燃焼室S1内に流入する火炎が第2点火器142側に絞られることとなる。その結果、カップ状部材150に隣接する第1ガス発生剤181のすべてが一度に同時に着火されることがなくなり、第1ガス発生剤181の燃え広がりが伝火室57と天板部121との間の第1点火器132からみて第2点火器142側を中心として指向性をもって進行することになる。そのため、初期から第2段階での勢いのある熱粒子はいずれも第2点火器142側へ流入していくことになる。以上により、伝火室から流入してきた熱粒子が、第1燃焼室S1へと導入されることになる。このとき、当該熱粒子は、破裂、変形または溶融していない頂壁部151のフィルタ側の非脆弱部156及びフィルタ170側の側壁部152によってその進行方向が制御されることになり、もっぱら第2点火器142側に向けて噴き出すことになる。そのため、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cにおいては、伝火薬の燃焼によって生じた熱粒子が第1燃焼室S1に導入されるに際して、直接的にフィルタ170の内周面に向けて噴き付けられることがなくなる。したがって、フィルタ170の破損が未然に防止できることになる。
さらに、カップ状部材150の破裂、変形又は溶融が進行していっても、頂壁部151のフィルタ170側に存在する残存部及びフィルタ170側の側壁部157の開裂は進行しない。その結果、カップ状部材150から流入する熱粒子はフィルタ170側へ吹き付けられることがなくなるため、フィルタ170の損傷は抑えられることとなる。
カップ状部材150に脆弱部155と非脆弱部156とを設け、これら脆弱部155および非脆弱部156が設けられる位置および大きさ等を適宜調整することにより、第1ガス発生剤181が急速に燃焼することを防止してその燃焼の進行を意図的に遅延させることができ、ガス出力を所定時間にわたって持続させるなどのガス出力の調整を仕様に応じて最適化することが非常に容易に行えることになる。
多量の熱粒子が第1燃焼室S1の第2点火器142側部分へと流れ込むことにより、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤181が着火されて燃焼し、これによって第1燃焼室S1において多量のガスが発生する。第1燃焼室S1にて発生したガスは、フィルタ170の内部を通過し、その際、フィルタ170によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ170によって除去されてガス排出室S3へと流れ込む。
このとき、第1ガス発生剤181が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、複数個のガス噴出口124を閉鎖していたシールテープ125が開裂する。これにより、第1燃焼室S1にて発生したガスの複数個のガス噴出口124を介してのハウジングの外部に向けての噴出が開始される(矢印AR2参照)。
なお、上述した第1段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Cの外部へと噴出されたガスは、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
また、このとき、第1ガス発生剤181が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、下部側シェル110の底板部111および上部側シェル120の天板部121は、外側に向けて膨らむように変形する。これにより、カバー部材146の第1覆い部146aおよびキャップ部材147の頂板部147a(すなわち、仕切り部44の閉塞端)と、天板部121との間の距離がそれぞれ増加することになる。
一方で、この第1段階においては、第1ガス発生剤181が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、カバー部材146が隔壁部材145に対して押し付けられることになる。そのため、隔壁部材145の天板部121側の開口が、カバー部材146の第1覆い部146aによって閉塞されるとともに、隔壁部材145の天板部121寄りの部分の外周面にカバー部材146の第2覆い部146bが密着することで当該部分が覆われた状態が維持される。
これにより、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤182に第1ガス発生剤181の燃焼の影響が及ぶことがなくなる。
次に、上述した第1点火器132の作動から所定時間遅れたタイミングで、上述したコントロールユニットからの通電を受けて第2点火器142が作動する。
図8に示すように、第2点火器142が作動した第2段階においては、第2点火器142の点火部142bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部142bが破裂する。これにより、第2燃焼室S2に収容された第2ガス発生剤182が順次着火されて燃焼を開始する。
ここで、第2ガス発生剤182の燃焼の開始に先立って、第1ガス発生剤181が予め着火されて燃焼していることにより、ディスク型ガス発生器Cが全体として既に高温に加熱された状態にあるため、点火部142bと第2ガス発生剤182との間に伝火薬を設けずとも、第2ガス発生剤182の燃焼がスムーズに開始されることになり、また当該第2ガス発生剤182の燃焼が途切れ難くなる。
このとき、第2ガス発生剤182が燃焼することで生じる第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、第2燃焼室S2に収容されたキャップ部材147に圧力が付与されることになり、キャップ部材147のうちの頂板部147aには、主としてハウジングの軸方向に沿った方向に当該圧力が作用し、キャップ部材147のうちの周板部147bには、主としてハウジングの径方向に沿った方向に当該圧力が作用する。
これにより、キャップ部材147は、その全体が上部側シェル120の天板部121側に向けて移動することになるとともに、その周板部147bが径方向外側に向けて拡がるように変形することになる。したがって、周板部147bの下端寄りの部分が隔壁部材45の内周面に周方向に沿って密着した状態とされつつ、キャップ部材147が、天板部121側に向けて移動する。
そのため、周板部147bの下端寄りの部分が隔壁部材145の内周面に周方向に沿って密着した状態が維持されるため、当該部分におけるガスの漏れ出しが防止できることになる。したがって、隔壁部材145およびキャップ部材147によって圧力隔壁が確実に構成されることになり、第2燃焼室S2の内圧を適切に上昇させることができ、結果として第2ガス発生剤182の燃焼が途切れることなく持続することになる。
また、キャップ部材147の上述した移動に伴い、カバー部材146は、キャップ部材147によって押し上げられることで天板部121側に向けて移動することになる。これにより、キャップ部材147は、隔壁部材145の天板部121側の開口端から離脱する。そのため、カバー部材146が隔壁部材145から離脱した時点で、キャップ部材147の周板部147bに設けられた第1ガス通過孔147cは、隔壁部材145の天板部121側の位置において第1燃焼室S1に面するように露出する。
ここで、本実施の形態においては、この第2段階におけるカバー部材146およびキャップ部材147の移動が所定量だけ生じた時点で、これらカバー部材146およびキャップ部材147の移動が、天板部121によって制限されるように構成されている。すなわち、カバー部材146が、上側支持部材162を介して天板部121に当接するとともに、キャップ部材147が、カバー部材146および上側支持部材162を介して天板部121に当接することにより、これらカバー部材146およびキャップ部材147が停止することになる。
これにより、キャップ部材147に設けられた複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dのうち、より天板部121側に位置する複数個の第1ガス通過孔147cのみが、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2の双方に面するように露出することになり、より底板部111側に位置する複数個の第2ガス通過孔147dは、第2燃焼室S2には面するものの、隔壁部材145によって覆われることで第1燃焼室S1には面していない状態となる。
そのため、この第2段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積分だけの流路断面積をもって連通することになる。したがって、当該複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積を適切に絞ることにより、ディスク型ガス発生器Aの周囲環境が低温環境下、常温環境下、高温環境下のいずれにある場合にも、第2燃焼室S2の内圧が適切に上昇することになり、結果として第2ガス発生剤182が持続的に燃焼することになる。
以上により、図中において矢印AR3にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、周板部147bに設けられた複数個の第1ガス通過孔147cを通過することで第1燃焼室S1へと導入されることになる。このとき、当該ガスは、隔壁部材145から離脱したカバー部材146によってその進行方向が変更されることになり、もっぱら下部側シェル110の底板部111側に向けて噴き出すことになる。
そのため、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cにおいては、第2燃焼室S2にて発生したガスが第1燃焼室S1に導入されるに際して、直接的にフィルタ170の内周面に向けて噴き付けられることがなくなる。したがって、フィルタ170の破損が未然に防止できることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ170の内部を通過し、その際、フィルタ170によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ170によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口124を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR2参照)。
なお、上述した第2段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Cの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
ここで、ディスク型ガス発生器Aの周囲環境が低温環境下または常温環境下にある場合には、もっぱら上述した第2段階の状態が維持されたまま、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182の燃焼が終了し、これによってディスク型ガス発生器Cの動作が完了する。
一方、ディスク型ガス発生器Cの周囲環境が高温環境下にある場合には、第2燃焼室S2の圧力上昇が促進され過ぎてしまうことがあり、何ら対策を施していない場合に、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に上昇してしまうおそれがある。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cにおいては、第2燃焼室S2の圧力が促進され過ぎてしまった場合に、ディスク型ガス発生器Cの動作が完了する前に、付加的に後述する第3段階へと移行し、その後ディスク型ガス発生器Cの動作が完了することになる。
図9に示すように、上述した第2段階において、第2燃焼室S2の内圧が過度に上昇した場合には、これに伴ってキャップ部材147がさらに天板部21側に向けて移動することになり、当該キャップ部材147によってカバー部材146および上側支持部材162を介して天板部121が押圧され、これによって天板部121がさらに外側に向けて変形することになる。
これに伴い、キャップ部材147に設けられた複数個の第1ガス通過孔147cのみならず複数個の第2ガス通過孔147dも、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2の双方に面するように露出することになる。そのため、この第3段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積と複数個の第2ガス通過孔147dの総開口面積の総和分だけの流路断面積をもって連通することになる。
したがって、当該第3段階においては、上述した第2段階よりもより大きい流路断面積をもって第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通することになり、第2燃焼室S2の圧力が過度に上昇してしまうことが防止できることになる。そのため、ディスク型ガス発生器Cの周囲環境が高温環境下にある場合にも、第2ガス発生剤52を持続的に燃焼させつつ、必要以上に第2燃焼室S2の圧力が上昇してしまうことを未然に防止することができる。
以上により、図中において矢印AR3,AR4にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、周板部147bに設けられた複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dを通過することで第1燃焼室S1へと導入されることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ170の内部を通過し、その際、フィルタ170によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ170によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口124を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第3段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Cの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階および第2段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
なお、上述した第1段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Cの外部へと噴出されたガスは、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
また、このとき、第1ガス発生剤181が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、下部側シェル110の底板部111および上部側シェル120の天板部21は、外側に向けて膨らむように変形する。これにより、カバー部材146の第1覆い部146aおよびキャップ部材147の頂板部147a(すなわち、仕切り部144の閉塞端)と、天板部121との間の距離がそれぞれ増加することになる。
一方で、この第1段階においては、第1ガス発生剤181が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、カバー部材146が隔壁部材145に対して押し付けられることになる。そのため、隔壁部材145の天板部121側の開口が、カバー部材146の第1覆い部146aによって閉塞されるとともに、隔壁部材145の天板部121寄りの部分の外周面にカバー部材146の第2覆い部146bが密着することで当該部分が覆われた状態が維持される。
これにより、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤152に第1ガス発生剤151の燃焼の影響が及ぶことがなくなる。
次に、上述した第1点火器132の作動から所定時間遅れたタイミングで、上述したコントロールユニットからの通電を受けて第2点火器142が作動する。
図8に示すように、第2点火器142が作動した第2段階においては、第2点火器142の点火部142bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部142bが破裂する。これにより、第2燃焼室S2に収容された第2ガス発生剤182が順次着火されて燃焼を開始する。
ここで、第2ガス発生剤182の燃焼の開始に先立って、第1ガス発生剤181が予め着火されて燃焼していることにより、ディスク型ガス発生器Aが全体として既に高温に加熱された状態にあるため、点火部142bと第2ガス発生剤52との間に伝火薬を設けずとも、第2ガス発生剤182の燃焼がスムーズに開始されることになり、また当該第2ガス発生剤182の燃焼が途切れ難くなる。
このとき、第2ガス発生剤182が燃焼することで生じる第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、第2燃焼室S2に収容されたキャップ部材147に圧力が付与されることになり、キャップ部材147のうちの頂板部147aには、主としてハウジングの軸方向に沿った方向に当該圧力が作用し、キャップ部材147のうちの周板部147bには、主としてハウジングの径方向に沿った方向に当該圧力が作用する。
これにより、キャップ部材147は、その全体が上部側シェル120の天板部121側に向けて移動することになるとともに、その周板部147bが径方向外側に向けて拡がるように変形することになる。したがって、周板部147bの下端寄りの部分が隔壁部材145の内周面に周方向に沿って密着した状態とされつつ、キャップ部材147が、天板部121側に向けて移動する。
そのため、周板部147bの下端寄りの部分が隔壁部材145の内周面に周方向に沿って密着した状態が維持されるため、当該部分におけるガスの漏れ出しが防止できることになる。したがって、隔壁部材145およびキャップ部材147によって圧力隔壁が確実に構成されることになり、第2燃焼室S2の内圧を適切に上昇させることができ、結果として第2ガス発生剤182の燃焼が途切れることなく持続することになる。
また、キャップ部材147の上述した移動に伴い、カバー部材146は、キャップ部材47によって押し上げられることで天板部121側に向けて移動することになる。これにより、キャップ部材147は、隔壁部材145の天板部121側の開口端から離脱する。そのため、カバー部材146が隔壁部材145から離脱した時点で、キャップ部材147の周板部147bに設けられた第1ガス通過孔147cは、隔壁部材145の天板部121側の位置において第1燃焼室S1に面するように露出する。
ここで、本実施の形態においては、この第2段階におけるカバー部材146およびキャップ部材147の移動が所定量だけ生じた時点で、これらカバー部材146およびキャップ部材147の移動が、天板部121によって制限されるように構成されている。すなわち、カバー部材146が、上側支持部材162を介して天板部21に当接するとともに、キャップ部材147が、カバー部材146および上側支持部材162を介して天板部121に当接することにより、これらカバー部材146およびキャップ部材147が停止することになる。
これにより、キャップ部材147に設けられた複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dのうち、より天板部121側に位置する複数個の第1ガス通過孔147cのみが、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2の双方に面するように露出することになり、より底板部111側に位置する複数個の第2ガス通過孔147dは、第2燃焼室S2には面するものの、隔壁部材145によって覆われることで第1燃焼室S1には面していない状態となる。
そのため、この第2段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積分だけの流路断面積をもって連通することになる。したがって、当該複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積を適切に絞ることにより、ディスク型ガス発生器Aの周囲環境が低温環境下、常温環境下、高温環境下のいずれにある場合にも、第2燃焼室S2の内圧が適切に上昇することになり、結果として第2ガス発生剤52が持続的に燃焼することになる。
以上により、図中において矢印AR2にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、周板部147bに設けられた複数個の第1ガス通過孔147cを通過することで第1燃焼室S1へと導入されることになる。このとき、当該ガスは、隔壁部材145から離脱したカバー部材146によってその進行方向が変更されることになり、もっぱら下部側シェル110の底板部111側に向けて噴き出すことになる。
そのため、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cにおいては、第2燃焼室S2にて発生したガスが第1燃焼室S1に導入されるに際して、直接的にフィルタ170の内周面に向けて噴き付けられることがなくなる。したがって、フィルタ170の破損が未然に防止できることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ170の内部を通過し、その際、フィルタ170によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ170によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口124を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第2段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Aの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
ここで、ディスク型ガス発生器Cの周囲環境が低温環境下または常温環境下にある場合には、もっぱら上述した第2段階の状態が維持されたまま、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182の燃焼が終了し、これによってディスク型ガス発生器Cの動作が完了する。
一方、ディスク型ガス発生器Cの周囲環境が高温環境下にある場合には、第2燃焼室S2の圧力上昇が促進され過ぎてしまうことがあり、何ら対策を施していない場合に、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に上昇してしまうおそれがある。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Aにおいては、第2燃焼室S2の圧力が促進され過ぎてしまった場合に、ディスク型ガス発生器Aの動作が完了する前に、付加的に後述する第3段階へと移行し、その後ディスク型ガス発生器Cの動作が完了することになる。
図9に示すように、上述した第2段階において、第2燃焼室S2の内圧が過度に上昇した場合には、これに伴ってキャップ部材147がさらに天板部121側に向けて移動することになり、当該キャップ部材147によってカバー部材146および上側支持部材162を介して天板部121が押圧され、これによって天板部121がさらに外側に向けて変形することになる。
これに伴い、キャップ部材147に設けられた複数個の第1ガス通過孔147cのみならず複数個の第2ガス通過孔147dも、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2の双方に面するように露出することになる。そのため、この第3段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、複数個の第1ガス通過孔147cの総開口面積と複数個の第2ガス通過孔147dの総開口面積の総和分だけの流路断面積をもって連通することになる。
したがって、当該第3段階においては、上述した第2段階よりもより大きい流路断面積をもって第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通することになり、第2燃焼室S2の圧力が過度に上昇してしまうことが防止できることになる。そのため、ディスク型ガス発生器Cの周囲環境が高温環境下にある場合にも、第2ガス発生剤182を持続的に燃焼させつつ、必要以上に第2燃焼室S2の圧力が上昇してしまうことを未然に防止することができる。
以上により、図中において矢印AR3,AR4にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、周板部147bに設けられた複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dを通過することで第1燃焼室S1へと導入されることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ170の内部を通過し、その際、フィルタ170によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ170によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口124を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第3段階において、複数個のガス噴出口124からディスク型ガス発生器Cの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階および第2段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器Cに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
以上において説明したように、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすることにより、低温環境下および常温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階および第2段階を経て当該ディスク型ガス発生器Cの動作が完了し、高温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階、第2段階および第3段階を経て当該ディスク型ガス発生器Cの動作が完了することになる。
そのため、周囲環境が低温環境下、常温環境下および高温環境下のいずれの場合においても、第2ガス発生剤182の燃焼の初期段階において、第2燃焼室S2の圧力を相当程度に高めつつ、持続的に第2ガス発生剤182を燃焼させることができるとともに、周囲環境が高温環境下の場合においても、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に高圧になることなく、持続的に第2ガス発生剤182を燃焼させることができることになる。
したがって、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすることにより、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のディスク型ガス発生器Cとすることができる。
なお、一般に、ガス発生器においては、ガス発生剤の製造時における製造条件の避けられないばらつきや、ガス発生剤のハウジング内部への充填作業の際の避けられない充填状態の違い等に基づき、製品間において動作時におけるガス出力に僅かながらばらつきが生じ得る。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすれば、このような原因に基づくガス出力のばらつきに対しても有効にこれを抑制することができ、この意味においても、作動時において所望のガス出力を確実に得ることが可能になる。
以上において説明したように、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすることにより、低温環境下および常温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階および第2段階を経て当該ディスク型ガス発生器Cの動作が完了し、高温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階、第2段階および第3段階を経て当該ディスク型ガス発生器Cの動作が完了することになる。
そのため、周囲環境が低温環境下、常温環境下および高温環境下のいずれの場合においても、第2ガス発生剤182の燃焼の初期段階において、第2燃焼室S2の圧力を相当程度に高めつつ、持続的に第2ガス発生剤182を燃焼させることができるとともに、周囲環境が高温環境下の場合においても、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に高圧になることなく、持続的に第2ガス発生剤182を燃焼させることができることになる。
したがって、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすることにより、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のディスク型ガス発生器Cとすることができる。
なお、一般に、ガス発生器においては、ガス発生剤の製造時における製造条件の避けられないばらつきや、ガス発生剤のハウジング内部への充填作業の際の避けられない充填状態の違い等に基づき、製品間において動作時におけるガス出力に僅かながらばらつきが生じ得る。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器Cとすれば、このような原因に基づくガス出力のばらつきに対しても有効にこれを抑制することができ、この意味においても、作動時において所望のガス出力を確実に得ることが可能になる。
(実施例1)
実施例1として、前記第2の実施形態として記載のディスク型ガス発生器Bを用いた。ここで、伝火薬59が充填されたカップ状部材50の材質を鉄製とし、板厚は0.5mmである。頂壁部51の脆弱部55はスリット深さを0.3mm(残厚0.2mm)とし、幅を0.4mmとした。また、スリット箇所は60°ごとにスリットを設けた。すなわち、第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器Aと比較した場合に、伝火薬59の充填量およびカップ状部材50の内部の空間の容積がほぼ同じであり、伝火薬59が充填されたカップ状部材50が延設部53を有しないのみが相違している。
(比較例1)
比較例1として、前記第2の実施形態として記載のディスク型ガス発生器Bにおいて、カップ状部材50の頂壁部51に脆弱部を設けないで、側壁部52にスリット状の脆弱部を設けたディスク型ガス発生器を用いた。ここで、伝火薬59が充填されたカップ状部材50の材質を鉄製とし、板厚は0.5mmである。側壁部52に脆弱部55を設け、スリットの深さを0.3mm(残厚0.2mm)とし、幅を0.4mmとした。また、スリットの箇所は、側壁部52の頂壁部51側の端面から軸方向下方へ向けて8.0mmの長さで設けた。また、頂壁部51において60°ごとに頂壁部51側の端面からスリットを設けた。
(比較例2、比較例3)
図10は、比較例2及び比較例3に係るディスク型ガス発生器Dの概略図である。図10に示すように、比較例2及び比較例3に係るディスク型ガス発生器Dは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器A(図1参照)と比較して、カップ状部材50の頂壁部51に脆弱部55が設けられていない点においてのみ構成が相違している。脆弱部55が設けられていないことで、カップ状部材50は破裂、変形または溶融する部位が定まらないため、伝火室の伝火薬59の燃焼ガスが燃焼室60へ流れ込む部位も定まらないことになる。したがって、ガス発生器の出力は安定しない。ここで、伝火薬59が充填されたカップ状部材50の材質をアルミニウム製とした。
検証試験においては、実施例1および比較例1〜3に係る各々4個のディスク型ガス発生器を個別に60L容積の密閉されたタンク内に設置するとともに、これを動作させてタンク内圧の上昇を経時的に計測することとし、これにより、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Tout、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P1、および、点火器が作動した時点から40[ms]後のタンク内圧P2を測定した。
このうち、P1およびP2は、点火器が作動した時点から比較的早い段階においてどの程度のガス出力が得られたかを示すものであり、当該P1およびP2の値が大きい程、より早期に多量のガスがディスク型ガス発生器から排出されていることになる。ここで、エアバッグ装置においては、より早期にエアバッグが膨張および展開することが重要であり、そのためには、点火器が作動した時点から比較的早い段階において高いガス出力が得られることが必要である。そのため、ディスク型ガス発生器としては、上記P1およびP2の値がより大きいことが好ましい。
なお、実施例1および比較例1〜3に係る各々4個のディスク型ガス発生器のうち、実施例1及び比較例1については、これをカップ状部材50の材質を鉄とし、伝火薬を1.1gとした上で、脆弱部55の位置を頂壁部(実施例1)と側壁部(比較例1)に設けて動作させることとし、残る比較例2及び比較例3については、カップ状部材50の材質をアルミニウム製とし、脆弱部55は設けず、伝火薬の薬量に差を設けて動作させることとした。尚、比較例2では薬量を1.1gとし、比較例3では薬量を1.7gとした。
図11、図12に示すように、実施例1に係るディスク型ガス発生器においては、Toutが5.0[ms]であり、比較例1で9.1[ms]であった。一方、比較例2、3に係るディスク型ガス発生器においては、比較例2のToutが8.1[ms]であり、比較例3のToutが5.0[ms]であった。
また、実施例に係るディスク型ガス発生器においては、実施例1のP1が153[kPa]であり、比較例1で112[kPa]であった。一方で、比較例2、3に係るディスク型ガス発生器においては、比較例2のP1が124[kPa]であり、比較例3で149[kPa]であった。
さらに、実施例に係るディスク型ガス発生器においては、実施例1のP2が269[kPa]であり、比較例1でP2が245[kPa]であった。一方で、比較例2、3に係るディスク型ガス発生器においては、比較例2のP1が250[kPa]であり、比較例3のP1が264[kPa]であった。
上記の結果より、実施例に係るディスク型ガス発生器においては、脆弱部および伝火薬の薬量の如何と問わず、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Toutが、実施例1は比較例1、2に係るディスク型ガス発生器のいずれよりも短いことが分かる。ただし、比較例3に係るディスク型ガス発生器においては、実施例1に係るディスク型ガス発生器と同様のToutとなっている。
また、上記の結果より、実施例1に係るディスク型ガス発生器においては、基本的に脆弱部および伝火薬の薬量の如何と問わず、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P1が、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器のいずれよりも大きいことが分かる。ただし、実施例1に係るディスク型ガス発生器においては、比較例3に係るディスク型ガス発生器とほぼ同様のP1となっている。
さらには、上記の結果より、実施例1に係るディスク型ガス発生器においては、基本的に脆弱部および伝火薬の薬量の如何と問わず、点火器が作動した時点から40[ms]後のタンク内圧P2が、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器のいずれよりも大きいことが分かる。ただし、実施例に係るディスク型ガス発生器においては、比較例3に係るディスク型ガス発生器とほぼ同様のP2となっている。
ここで、ディスク型ガス発生器は、通常、車両のフロアに対してハウジングの軸方向が所定の角度をもった傾斜姿勢にて設置される場合が多い。また、車両が走行する路面の傾斜状態の変化に伴い、ディスク型ガス発生器の水平面に対する角度は、ある一定の角度範囲で常時変化することになる。そのため、ディスク型ガス発生器においては、上述したある一定の角度範囲内において、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Toutが、所定の時間よりも早いことが求められるとともに、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P2、および、点火器が作動した時点から40[ms]後のタンク内圧P2が、いずれも大きい値をとることが求められる。
この点、比較例1に係るディスク型ガス発生器は、カップ状部材の脆弱部55が側壁部52に設けられていることに伴い、伝火室の伝火薬が十分に燃焼しない状態で側壁部が破裂、変形または溶融し、燃焼ガスが燃焼室60のガス発生剤へ流れ込むことでTout,P1,P2に大きな変化が生じている。
これに対し、比較例2に係るディスク型ガス発生器は、カップ状部材50の材質がアルミニウムであり、実施例1のカップ状部材50の材質が鉄と相対的に機械的強度が低いことに伴い、伝火室の伝火薬が十分に燃焼しない状態でカップ状部材50が破裂、変形または溶融することで、結果としてTout,P1,P2に大きな変化が生じている。
一方、比較例3に係るディスク型ガス発生器は、カップ状部材50に搭載する伝火薬の薬量が多いことに伴い、伝火室の伝火薬が十分に燃焼した状態でカップ状部材50が破裂、変形または溶融することで、結果として水平状態と垂直状態でTout,P1,P2に大きな変化は生じていないものの、実施例1に係るディスク型ガス発生器よりも伝火薬の薬量が増加していることで、カップ状部材50の体格差が大きくなっている。
以上により、上述した実施の形態2におけるディスク型ガス発生器とすることにより、伝火薬59の充填量を少なく抑えつつも、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるディスク型ガス発生器とすることができることが、実験的にも確認されたと言える。
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、金属製の部材をプレス加工することによって成形されたプレス成形品にて上部側シェルおよび下部側シェルを構成した場合を例示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、プレス加工と他の加工(鍛造加工や絞り加工、切削加工等)との組み合わせによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよいし、上記他の加工のみによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、下部側シェルに突状筒部を設けた場合を例示したが、当該突状筒部が設けられない構成のガス発生器に本発明を適用することも当然に可能である。
さらには、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、カップ状部材として、点火器が作動することによって伝火薬が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融するものを使用した場合を例示して説明を行なったが、他の構成のカップ状部材を用いることとしてもよい。具体的には、カップ状部材として、ステンレス合金等の機械的強度の高い部材に開口を予め設けておき、当該開口をシールテープによって閉塞することで、作動時において当該シールテープの閉塞が破られるように構成されたものを使用することもできる。
加えて、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして許容される範囲で当然に相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。