以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の各構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている各構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている各構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
なお、実施の形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、当該各構成要素の相対配置などは、本発明が適用される装置の構成、各種条件等により適宜変更されてもよい。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る印刷装置100の主な構成を示す図である。図1において、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。以下の図に示されるX方向、Y方向およびZ方向も、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(−X方向)とを含む方向を「X軸方向」ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(−Y方向)とを含む方向を「Y軸方向」ともいう。また、以下においては、Z方向と、当該Z方向の反対の方向(−Z方向)とを含む方向を「Z軸方向」ともいう。
また、以下においては、X軸方向およびY軸方向を含む平面を、「XY面」ともいう。また、以下においては、X軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「XZ面」ともいう。また、以下においては、Y軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「YZ面」ともいう。
図2は、本発明の実施の形態1に係る印刷装置100の主な構成を示すブロック図である。印刷装置100は、例えば、熱昇華型のプリンタである。印刷装置100は、用紙2の両面に対し、画像を形成するための印画処理(以下、「印画処理P」ともいう)を行う機能を有する。すなわち、印刷装置100は、両面印刷機能を有する。
印刷装置100は、情報処理装置101の制御にしたがって、動作する。情報処理装置101は、例えば、PC(Personal Computer)である。情報処理装置101は、例えば、印刷装置100へ印刷指示、印画データ、印画情報等を与えることにより、印刷装置100に印画処理Pを実行させる。
図1を参照して、印刷装置100には、ロール紙2rおよびインクシート3が装着されている。ロール紙2rは、長尺状の用紙2がロール状に巻かれて構成される。用紙2は、表面2aおよび裏面2bを有する。なお、用紙2の表面2a側、および、用紙2の裏面2b側には、受像層が設けられている。
印画処理Pは、用紙2の表面2aおよび裏面2bに対し選択的に画像を形成するための処理である。印画処理Pは、印画処理Paおよび印画処理Pbを含む。印画処理Paは、用紙2の表面2aに画像を形成するための処理である。印画処理Pbは、用紙2の裏面2bに画像を形成するための処理である。
インクシート3の形状は、長尺状である。インクシート3の一方側の端部がロール状に巻かれることにより、インクロール3raが構成される。インクロール3raは、後述のリール9aに取り付けられる。インクシート3の他方側の端部がロール状に巻かれることにより、インクロール3rbが構成される。インクロール3rbは、後述のリール9bに取り付けられる。
インクシート3には、複数の長尺状の転写材料領域が、当該インクシート3の長手方向に並ぶように設けられている。各転写材料領域には、4種類の転写材料が設けられる。当該4種類の転写材料は、イエロー(Y)の染料、マゼンダ(M)の染料、シアン(C)の染料、および、オーバーコート層(OP)である。
以下においては、イエローの染料を、「Y染料」ともいう。また、以下においては、マゼンダの染料を、「M染料」ともいう。また、以下においては、シアンの染料を、「C染料」ともいう。また、以下においては、オーバーコート層を、「OP材料」または「オーバーコート材料」ともいう。
また、以下においては、Y染料、M染料およびC染料の各々を、「色染料」ともいう。Y染料、M染料およびC染料は、カラー印刷を行うための3種類の色染料である。OP材料は、用紙2に転写された色染料を保護するための材料である。インクシート3は、3種類の色染料(Y染料、M染料およびC染料)と、オーバーコート材料(OP材料)とを有する。
図1には、用紙2が搬送される経路である通紙経路21,22,23,24,25,26が示される。
図1および図2を参照して、印刷装置100は、筐体Ch1と、メモリ4と、CPU5と、通信部7と、通紙経路切替部30,31,32と、用紙センサ40,41と、マークセンサSna,Snbと、給紙部14と、主搬送部61と、副搬送部62と、印画部6と、インクシート駆動部9と、カッター10と、ダストボックス12とを備える。
筐体Ch1は、印刷装置100の各構成要素を収容する。筐体Ch1は、例えば、用紙センサ40、41、マークセンサSna,Snb、給紙部14、主搬送部61、副搬送部62、印画部6、インクシート駆動部9、カッター10、ダストボックス12等を収容する。筐体Ch1の形状は、例えば、直方体である。なお、筐体Ch1には、排紙口H1が設けらている。排紙口H1は、用紙2(印画物)を排出するための開口である。
メモリ4は、不揮発性メモリと一時記憶メモリとを含む。メモリ4には、例えば、制御プログラム、各種設定値等を記憶している。
CPU5は、制御プログラムに従って、各種の処理を行うプロセッサである。CPU5は、印刷装置100の各部に対して制御を行う。CPU5は、例えば、搬送部61、副搬送部62、印画部6、インクシート駆動部9等を制御する。
通信部7は、外部の情報処理装置101と通信する。通信部7は、情報処理装置101から、例えば、印刷指示、印画データ、印画情報等を受信する。
以下においては、用紙2が搬送されるための経路を、「用紙経路」ともいう。通紙経路切替部30,31,32は、通紙経路21,22,23,24,25,26の一部を、用紙経路として、設定するための処理を行う。
用紙センサ40、41は、用紙2を検出する機能を有する。用紙センサ40、41は、例えば、光を使用した反射型センサである。
マークセンサSna,Snbは、通紙経路24の近傍に設けられる。通紙経路24は、排紙口H1に向かう方向へ、用紙2が搬送される経路である。マークセンサSna,Snbは、用紙2の表面2aを参照可能な位置に設けられる。
なお、マークセンサSna,Snbは、用紙2の裏面2bを参照可能な位置に設けられてもよい。なお、用紙に対し、片面印画が行われる場合を考慮すると、マークセンサSna,Snbは、用紙2の表面2aを参照可能な位置に設けられる構成が望ましい。
また、マークセンサSnaは、カッター10と排紙口H1との間に設けられる。マークセンサSnbは、カッター10より、ロール紙2r側に配置される。すなわち、マークセンサSnbは、カッター10よりも、排紙口H1から遠い位置に設けられる。以下においては、マークセンサSna,Snbの各々を、「マークセンサSn」ともいう。
マークセンサSnは、後述の切断マークを検出する機能を有する。具体的には、マークセンサSnは、印刷装置100が用紙2を搬送している際に、後述の切断マークを検出する機能を有する。マークセンサSnは、例えば、光を使用した反射型センサである。
給紙部14は、用紙2の給紙、および、用紙2の巻き取りを行う機能を有する。給紙部14は、フィードローラ14a、ピンチローラ14bおよびフィードローラ駆動部(図示せず)からなる。フィードローラ駆動部は、フィードローラ14aを回転させる機能を有する。
主搬送部61は、用紙2の主搬送を行う。主搬送部61は、グリップローラ61a、ピンチローラ61bおよびグリップローラ駆動部(図示せず)からなる。グリップローラ61aの表面には、複数の微小突起が設けられている。グリップローラ駆動部は、グリップローラ61aを回転させる機能を有する。グリップローラ駆動部は、例えば、ステッピングモータである。
副搬送部62は、用紙2の副搬送を行う。副搬送は、例えば、印刷装置100の筐体Ch1から、切断された用紙2を排出するための、当該用紙2の搬送である。副搬送部62は、フィードローラ62a、ピンチローラ62bおよびフィードローラ駆動部(図示せず)からなる。フィードローラ62aの表面には、微小突起は設けられていない。すなわち、フィードローラ62aの表面は、滑らかな面である。フィードローラ62aは、例えば、ゴムローラである。
フィードローラ駆動部は、フィードローラ62aを回転させる機能を有する。フィードローラ駆動部は、例えば、ステッピングモータである。
主搬送部61および副搬送部62は、サーマルヘッド6aの近傍に配置される。具体的には、画像が形成された用紙2を、排紙口H1に向かう方向へ搬送するための経路(通紙経路23,24)において、主搬送部61および副搬送部62は、サーマルヘッド6aよりも下流側に設けられる。
印画部6は、用紙2に、画像を形成するための機能を有する。印画部6は、サーマルヘッド6aと、ヒートシンク6cと、冷却ファン8と、プラテンローラ6bと、ヘッド駆動部(図示せず)とからなる。
サーマルヘッド6aは熱を発する機能を有する。ヒートシンク6cはサーマルヘッド6aの放熱を行う部材である。冷却ファン8は、ヒートシンク6cの冷却を行う。プラテンローラ6bは、インクシート3を用紙2に圧着させる機能を有する。具体的には、プラテンローラ6bおよびサーマルヘッド6aにより、インクシート3および用紙2を挟むことにより、インクシート3を用紙2に圧着させる。
インクシート駆動部9は、リール9aと、リール9bと、リール駆動部(図示せず)からなる。リール駆動部は、リール9aを回転させる機能を有する。リール駆動部は、例えば、DCモータ等である。リール9aは、インクロール3raがインクシート3を巻き取るように、回転する。リール9bは、リール9aの回転に伴って回転する。リール9bは、インクロール3rbからインクシート3が供給されるように、回転する。なお、リール9bには、トルクリミッタ(図示せず)が設けられている。トルクリミッタは、インクシート3に加わる力を、所定の張力にするための部材である。
カッター10は、用紙2を切断する機能を有する。ダストボックス12は、カッター10によって用紙2が切断さることにより発生する切断屑2Wを収容する。
次に、通紙経路を切替えるための処理(以下、「経路切替え処理」ともいう)について説明する。印刷装置100は、一例として、用紙2の裏面2bに画像を形成する印画処理Pbを行った後、用紙2の表面2aに画像を形成する印画処理Paを行う。
図3は、用紙2の裏面2bに画像を形成する印画処理Pbが行われる場合の通紙経路を説明するための図である。図4は、用紙2の表面2aに画像を形成する印画処理Paが行われる場合の通紙経路を説明するための図である。
以下においては、画像を形成する対象となる面を、「印画面」ともいう。経路切替え処理は、印画面を、用紙2の表面2aまたは裏面2bに設定するための印画面設定処理である。印画面設定処理(経路切替え処理)は、印画面設定部により行われる。印画面設定部は、通紙経路切替部30,31,32により構成される。
以下においては、印画面を、用紙2の表面2aに設定するための経路切替え処理を、「経路切替え処理A」ともいう。また、以下においては、印画面を、用紙2の裏面2bに設定するための経路切替え処理を、「経路切替え処理B」ともいう。
本実施の形態の印刷装置100は、一例として、経路切替え処理B、印画処理Pb、経路切替え処理Aおよび印画処理Paの順で、経路切替え処理B、印画処理Pb、経路切替え処理Aおよび印画処理Paを行う。
経路切替え処理Bでは、通紙経路切替部30,31,32が、図3の通紙経路21,25,23,26を、用紙経路に設定するための処理を行う。これにより、印画面が、用紙2の裏面2bに設定される。
なお、印画面を、表面2aまたは裏面2bに設定するための印画面設定処理は、通紙経路切替部30,31,32により構成される印画面設定部以外により行われる構成としてもよい。例えば、印画手段(サーマルヘッド)を複数設けて、表面2aと裏面2bとを異なる印画手段で印画する構成において、印画面設定処理が行われてもよい。また、印画面設定処理は、上記の印画面設定部とは異なる別の構成により行われてもよい。
印画処理Pbでは、要約すると、用紙2が、通紙経路21,25,23,26を通過している際に、印画部6により、用紙2の裏面2bに画像が形成される。裏面2bに画像が形成された後、用紙2の先端の位置が、通紙経路切替部31の手前の位置となるように、フィードローラ14aが、用紙2を巻き取る。なお、用紙2の先端の位置の検出には用紙センサ40が使用される。
また、経路切替え処理Aでは、通紙経路切替部30,31,32が、図4の通紙経路21,22,23,24を、用紙経路に設定するための処理を行う。これにより、印画面が、用紙2の表面2aに設定される。すなわち、経路切替え処理Aでは、印画面が、用紙2の裏面2bから、表面2aに変更される。
印画処理Paでは、要約すると、用紙2が、通紙経路21,22,23,24を通過している際に、印画部6により、用紙2の表面2aに画像が形成される。以下においては、用紙2を搬送するための処理を、「用紙搬送処理」ともいう。
次に、印画処理Pについて説明する。以下においては、プラテンローラ6bが、用紙2およびインクシート3を介して、サーマルヘッド6aに接触している場合における、当該プラテンローラ6bの状態を、「プラテン接触状態」ともいう。プラテン接触状態は、プラテンローラ6bおよびサーマルヘッド6aにより、用紙2およびインクシート3が挟まれている状態である。すなわち、プラテン接触状態は、インクシート3が用紙2に圧着された状態である。また、以下においては、プラテンローラ6bが、用紙2から離れている場合における、当該プラテンローラ6bの状態を、「プラテン非接触状態」ともいう。
印画処理Pでは、印画処理Pbおよび印画処理Paが行われる。印画処理Pbおよび印画処理Paの各々では、同じ処理が行われる。印画処理Pbおよび印画処理Paは、プラテンローラ6bの状態がプラテン接触状態である状況で、行われる。以下においては、印画処理Pbまたは印画処理Paにおいて行われる用紙搬送処理を、「用紙搬送処理P」ともいう。また、以下においては、用紙2のうち、画像を形成するための領域を、「印画領域」ともいう。
印画処理Pbまたは印画処理Paは、Y染料、M染料、C染料およびOP材料の順で、Y染料、M染料、C染料およびOP材料を、用紙2の印画領域に転写する処理である。以下においては、Y染料を、「1番目の転写材料」ともいう。また、以下においては、M染料を、「2番目の転写材料」ともいう。また、以下においては、C染料を、「3番目の転写材料」ともいう。また、以下においては、OP材料を、「4番目の転写材料」ともいう。
まず、印画処理Pbについて説明する。前述したように、印画処理Pbは、用紙2の裏面2bに画像を形成するための処理である。印画処理Pbが行われる際の印画面は、裏面2bである。
印画処理Pbでは、単位印画処理が行われる。単位印画処理では、シート搬送処理、用紙搬送処理Pおよび転写処理が同時に行われる。
シート搬送処理では、所定時間にわたって、インクシート3が搬送される。また、用紙搬送処理Pでは、主搬送部61により用紙2が搬送される。具体的には、グリップローラ61aおよびピンチローラ61bにより用紙2が挟まれた状態で、当該用紙2が搬送される。
転写処理では、インクシート3および用紙2が搬送されている期間にわたって、サーマルヘッド6aは、u番目の転写材料に対し加熱を行う。「u」は、1以上の自然数である。転写処理が初めて行われる場合、uは1である。なお、サーマルヘッド6aによる加熱の量は、前述の印画データに基づいて、CPU5により制御される。これにより、インクシート3のu番目の転写材料が、用紙2の印画面の印画領域に転写される。
そして、インクシート3は、次の転写材料を印画領域に転写するための位置まで、リール9aにより、所定の張力で巻き取られる。
以上の単位印画処理が、2から4番目の転写材料の各々に対しても、上記と同様に、行われる。そして、印画処理Pbは終了する。これにより、印画面の印画領域に、Y染料、M染料、C染料およびOP材料が、Y染料、M染料、C染料およびOP材料の順で、転写される。その結果、印画領域に画像が形成される。そして、この印画処理Pbは終了する。
印画処理Pbの終了後、経路切替え処理Aが行われる。これにより、印画面が、用紙2の裏面2bから、表面2aに変更される。そして、プラテンローラ6bの状態がプラテン接触状態である状況で、印画処理Paが行われる。印画処理Paにおける処理は、印画処理Pbにおける処理と同じである。
以上により、印刷装置100は、印画処理Pb、経路切替え処理Aおよび印画処理Paの順で、印画処理Pb、経路切替え処理Aおよび印画処理Paを行う。すなわち、印刷装置100は、プラテン接触状態で、サーマルヘッド6aがインクシート3を加熱することにより、用紙2の表面2aおよび裏面2bに対し、選択的に印画処理を行う。以下においては、用紙2の印画領域に画像が形成されたものを、「印画物」ともいう。当該印画物は、用紙2の一部である。
そして、用紙2は、所定の長さだけ搬送され、カッター10により、所定の寸法に切断される。これにより、用紙2の一部である印画物が生成される。また、排紙機構(図示せず)により、印画物が、印刷装置100から排出される。
(用紙搬送処理)
次に、本実施の形態における用紙搬送処理について詳細に説明する。本実施の形態の印刷装置100は、主搬送部61および副搬送部62を選択的に使用して、用紙2を搬送する。
以下においては、主搬送部61を使用して行われる用紙搬送処理を、「用紙搬送処理Aa」ともいう。また、以下においては、副搬送部62を使用して行われる用紙搬送処理を、「用紙搬送処理Ab」ともいう。
主搬送部61は、グリップローラ61aを使用して、用紙2を力Pwaで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する機能を有する。力Pwaは、用紙2を挟む力である。具体的には、主搬送部61は、グリップローラ61aおよびピンチローラ61bにより、用紙2を力Pwaで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する。
副搬送部62は、フィードローラ62aを使用して、用紙2を力Pwbで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する機能を有する。力Pwbは、用紙2を挟む力である。力Pwbは、力Pwaより小さい。具体的には、副搬送部62は、フィードローラ62aおよびピンチローラ62bにより、用紙2を力Pwbで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する。
なお、前述したように、グリップローラ61aの表面には、複数の微小突起が設けられている。そのため、用紙搬送処理Aaが行われる際、複数の微小突起が用紙2に突き刺さる。これにより、主搬送部61は、大きな力(力Pwa)で用紙2を挟むことができる。そのため、主搬送部61が用紙を搬送するための力(搬送力)は大きい。その結果、主搬送部61による用紙の搬送精度は高い。
なお、前述したように、フィードローラ62aの表面には、微小突起は設けられていない。そのため、前述したように、力Pwbは、力Pwaより小さい。したがって、副搬送部62による用紙の搬送精度は、主搬送部61による用紙の搬送精度より低い。以下においては、本実施の形態における、用紙2を搬送するための構成を、「構成Ct1」ともいう。
構成Ct1では、高い搬送精度が必要な処理(例えば、印画処理)が行われる際に、主搬送としての用紙搬送処理Aaを行う。具体的には、印画処理Pb,Paの各々で行われる前述の用紙搬送処理Pは、用紙搬送処理Aaである。すなわち、主搬送部61は、印刷装置100が印画処理Pb,Paを行う際に、グリップローラ61aを使用して、用紙2を搬送する。
以下においては、用紙2を搬送するための、印画処理Pb,Pa以外の処理を、「非印画処理」ともいう。構成Ct1における非印画処理では、副搬送部62により用紙2の搬送が行われる、副搬送としての用紙搬送処理Abが行われる。すなわち、用紙搬送処理Abでは、副搬送部62は、非印画処理を印刷装置100が行う際に、フィードローラ62aを使用して、用紙2を搬送する。
非印画処理は、例えば、初期化処理である。初期化処理は、後述の図5において、「初期化/排紙」と示されている期間に行われる処理である。初期化処理は、印刷装置100にロール紙2rを装着した後において用紙2の先端部分を切断するために、用紙2を搬送する処理である。印刷装置100にロール紙2rを装着した際、用紙2の先端部分に汚れが付着する可能性がある。そのため、初期化処理では、用紙2の先端部分を切断するために、当該用紙2が搬送される。
また、非印画処理は、例えば、給紙処理である。給紙処理は、図5において、「給紙」と示されている期間に行われる処理である。また、非印画処理は、例えば、用紙の巻き取りを行うための処理(紙戻し処理)である。紙戻し処理は、図5において、「紙戻し」と示されている期間に行われる処理である。
また、非印画処理は、例えば、印画面設定処理である。印画面設定処理は、図5において、「印画面設定」と示されている期間に行われる処理である。印画面設定処理は、例えば、前述の経路切替え処理Aである。
また、非印画処理は、例えば、排紙処理である。排紙処理は、図5において、「排紙」と示されている期間に行われる処理である。排紙処理は、用紙2において、画像が形成された部分(印画物2d)を、用紙2から切り離し、当該印画物2dを、印刷装置100から排出するための処理である。
次に、用紙2にグリップ痕が形成されるタイミングについて説明する。図5は、用紙にグリップ痕が形成されるタイミングを説明するための図である。
以下においては、グリップローラ61a(主搬送部61)のみを使用して、用紙の搬送の全てを行う構成を、「構成CtN」ともいう。構成CtNは、本実施の形態の構成と比較の対象となる構成である。また、以下においては、構成CtNが適用された印刷装置を、「印刷装置100N」ともいう。
図23は、比較例としての構成CtNが適用された印刷装置100Nから排出される印画物2dにおけるグリップ痕の位置および状態を模式的に示す図である。すなわち、図23は、グリップローラ61aのみを使用して用紙の搬送の全てが行われた場合の印画物2dにおけるグリップ痕の位置および状態を模式的に示す図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る印刷装置100から排出される印画物2dにおける、グリップ痕の位置および状態を模式的に示す図である。すなわち、図6は、印刷装置100が印画処理Pb,Paを行う際に主搬送部61が用紙搬送処理Aaを行い、非印画処理を印刷装置100が行う際に副搬送部62が用紙搬送処理Abを行う状況の印画物2dにおけるグリップ痕の位置および状態を模式的に示す図である。
ここで、構成CtNにおいて、初期化処理、裏面印画処理(給紙処理、印画処理Pb)、印画面設定処理(経路切替え処理A)、表面印画処理(給紙処理、印画処理Pa)および排紙処理が順に行われると仮定する。
図5および図23を参照して、裏面印画処理は、図5において、「裏面印画」と示されている期間に行われる処理である。表面印画処理は、図5において、「表面印画」と示されている期間に行われる処理である。排紙処理は、図5において、「排紙」と示されている期間に行われる処理である。
以下においては、用紙2のうち、印画が行われていない部分を、「未印画部」ともいう。また、以下においては、用紙2の未印画部に形成されたグリップ痕を、「グリップ痕N」ともいう。また、以下においては、用紙2のうち、画像が形成されている部分を、「画像部」ともいう。また、以下においては、用紙2の画像部に形成されたグリップ痕を、「グリップ痕G」ともいう。
構成CtNでは、前述の初期化処理が行われる際に、用紙2の裏面2bに、グリップ痕Nであるグリップ痕73が形成される。また、裏面印画処理の給紙処理が行われる際に、用紙2の表面2aに、グリップ痕Nであるグリップ痕71が形成される。また、印画処理Pb(YMC印画、OP印画)が行われる際に、用紙2の表面2aに、グリップ痕71が形成される。
また、構成CtNでは、表面印画処理の給紙処理が行われる際に、用紙2の裏面2bに、グリップ痕Gであるグリップ痕72と、グリップ痕Nであるグリップ痕73とが形成される。また、印画処理Pa(YMC印画、OP印画)が行われる際に、用紙2の裏面2bに、グリップ痕74が形成される。グリップ痕74は、グリップ痕73が存在する部分に、グリップローラ61aの微小突起が突き刺さることにより形成される。すなわち、グリップ痕74は、グリップ痕73が変化したものである。
また、構成CtNでは、排紙処理が行われることにより、用紙2の裏面2bに、グリップ痕Nであるグリップ痕73が形成される。なお、当該グリップ痕73は、次の印画処理Pa(YMC印画、OP印画)が行われる際に、グリップ痕74となる。
構成CtNでは、排紙処理において用紙2が切断され、再度、裏面印画処理が行われる直前に、グリップローラ61aが用紙2の裏面2bから離れる。そして、裏面印画処理、表面印画処理および排紙処理が、この順で行われる。これにより、再度、裏面2bに、グリップローラ61aの微小突起が突き刺さる。そのため、図23のように、印画物2dの裏面2bにおけるグリップ痕72,74は、基本的に、異なる位置に形成される。
ここで、印画が行われる前に用紙2にグリップ痕が形成される状況と、印画が行われた後に用紙2にグリップ痕が形成される状況とについて説明する。
図7は、印画が行われる前に用紙2にグリップ痕が形成される状況を説明するための図である。図7(a)は、用紙2の構成を示す断面図である。図7(a)を参照して、用紙2は、基材81と、2つの受像層80とを含む。基材81の形状は、シート状である。基材81の一方の面には、受像層80が設けられている。また、基材81の他方の面には、別の受像層80が設けられている。
ここで、印画が行われる前に、用紙2にグリップ痕82nが形成されたと仮定する(図7(b)参照)。すなわち、用紙2の未印画部にグリップ痕82n(グリップ痕N)が形成されたと仮定する。
この場合、受像層80は、グリップ痕82nにより傷つけられる。そのため、図7(b)の用紙2に、印画が行われても、グリップ痕82nが形成された部分には、染料は吸着しない(図7(c)参照)。なお、図7(c)では、染料吸着層83が示される。染料吸着層83とは、染料が吸着している受像層80である。
そのため、グリップ痕82nが形成された部分は空白領域となり、グリップ痕82nは目立つ。また、空白領域が多く形成されるため、用紙2のうち多くのグリップ痕82nが形成されている部分の濃度は、グリップ痕82nが形成されていない部分の濃度より薄い。
図8は、印画が行われた後に用紙2にグリップ痕が形成される状況を説明するための図である。図8(a)の用紙2に対し、印画が行われた場合、用紙2は、図8(b)の状態となる。図8(b)の用紙2が、グリップローラ61aにより搬送される場合、グリップローラ61aの微小突起は、染料吸着層83に突き刺さる。これにより、グリップ痕82gは、染料が印画面に吸着している状態で、形成される(図8(c)参照)。すなわち、グリップ痕82gは、画像部に形成されたグリップ痕Gである。したがって、グリップ痕Gであるグリップ痕82gは、グリップ痕Nであるグリップ痕82nよりも、目立ちにくい。
上述の理由のため、印画前に形成されるグリップ痕71,74は、印画後に形成されるグリップ痕72よりも、目立つ。すなわち、グリップ痕Nであるグリップ痕71,74は、グリップ痕Gであるグリップ痕72よりも、目立つ。
本実施の形態では、前述したように、主搬送部61は、印刷装置100が印画処理Pb,Paを行う際に、グリップローラ61aを使用して、用紙2を搬送する。副搬送部62は、非印画処理を印刷装置100が行う際に、フィードローラ62aを使用して、用紙2を搬送する。
本実施の形態の構成Ct1において、非印画処理は、例えば、排紙処理である。前述したように、排紙処理は、用紙2において、画像が形成された部分(印画物2d)を当該用紙2から切り離し、当該印画物2dを印刷装置100から排出するための処理である。構成Ct1における排紙処理では、副搬送部62が、フィードローラ62aを使用して、用紙2を搬送する。そのため、図5および図6に示すように、用紙2にグリップ痕73が形成されない。したがって、印画物2dには、グリップ痕Nであるグリップ痕74は存在しない。
前述したように、グリップ痕74は、印画が行われる前に用紙2に形成される、目立つグリップ痕である。なお、本実施の形態の印刷装置100が生成した印画物2dの裏面2bには、目立ちにくいグリップ痕72しか存在しない。そのため、裏面2bに存在するグリップ痕の数は非常に少ない。その結果、高い印画品位を有する印画物2dを得ることができる。
(切断箇所の制御)
次に、用紙2のうち、切断するための箇所を制御するための方法について説明する。以下においては、用紙2のうち、カッター10が実際に切断する位置を、「切断位置」ともいう。
前述の、フィードローラ62aによる用紙搬送は、用紙2の表面にグリップ痕が形成されないため、印画物2dの印画品位は向上する。しかしながら、フィードローラ62aによる用紙搬送は、グリップローラ61aによる用紙搬送よりも、用紙の搬送力は小さい。そのため、印画が行われた用紙を切断する際に、用紙の搬送量が適切に制御されなかった場合、用紙の印画位置と切断位置とがずれるという不具合が発生する可能性がある。
そこで、上記の不具合の発生を抑制するために、本実施の形態では、用紙に、画像とともに切断マークを形成し、当該切断マークを使用して、用紙を切断する。すなわち、切断マークは、用紙が切断される際に使用されるマークである。
まず、切断マークについて説明する。図9は、切断マークを説明するための図である。なお、図9には、後述の説明のために、マークセンサSn(Sna,Snb)も示されている。以下においては、用紙2に形成するための画像を、「画像G1」ともいう。図9では、後述の処理が行われることにより、用紙2の印画領域Rg1に、画像G1および切断マークM1a,M1bが形成された状態を示す。切断マークM1a,M1bの各々は、画像G1に隣接する。
以下においては、画像G1および切断マークM1a,M1bが形成されている用紙2の状態を、「画像形成状態」ともいう。また、以下においては、マークセンサSnにより切断マークが検出された状態を、「マーク検出状態」ともいう。また、以下においては、マーク検出状態において、用紙2のうち、カッター10が切断する対象となる箇所を、「切断箇所」ともいう。切断マークは、切断箇所に対応づけられたマークである。
また、以下においては、用紙2が搬送される方向を、「用紙搬送方向」ともいう。用紙搬送方向は、副走査方向である。図9において、用紙搬送方向は、X方向および−X方向を含むX軸方向である。また、以下においては、用紙2の先端を、「先端E1」ともいう。
用紙2に形成された画像G1は、端部Geaおよび端部Gebを有する。端部Geaは、端部Gebよりも、先端E1に近い。端部Geaは、用紙搬送方向(X軸方向)と交差する、画像G1の一方の端部である。端部Gebは、用紙搬送方向(X軸方向)と交差する、画像G1の他方の端部である。
また、切断マークM1aは、画像G1の端部Geaに隣接する。切断マークM1bは、画像G1の端部Gebに隣接する。なお、画像G1が形成された用紙2がカッター10に向かう方向へ搬送されている場合、端部Geaは、端部Gebよりも先に当該カッター10へ到達する。
用紙2には、余白部Rma,Rmbが設けられる。余白部Rmaは、画像G1の端部Geaに隣接する。余白部Rmbは、画像G1の端部Gebに隣接する。用紙搬送方向における、余白部Rma,Rmbの長さは、例えば、約10ミリから20ミリの範囲の長さである。
本実施の形態では、余白の無い印画物を得るために、画像G1の端部Gea,Gebの各々に切断箇所が設けられる。余白の無い印画物とは、縁無し印画物である。具体的には、画像G1の端部Geaには、切断箇所Lcaが設けられている。すなわち、切断箇所Lcaは、端部Geaに設けられている。また、画像G1の端部Gebには、切断箇所Lcbが設けられている。すなわち、切断箇所Lcbは、端部Gebに設けられている。
切断箇所Lcaは、マークセンサSnaにより切断マークM1aが検出された状態(マーク検出状態)において、用紙2のうち、カッター10が切断する対象となる箇所である。切断箇所Lcbは、マークセンサSnbにより切断マークM1bが検出された状態(マーク検出状態)において、用紙2のうち、カッター10が切断する対象となる箇所である。
なお、切断マークM1aは、切断箇所Lcaに対応づけられたマークである。切断マークM1bは、切断箇所Lcbに対応づけられたマークである。なお、用紙2のうち、切断箇所Lcaと切断箇所Lcbとの間の部分は、印画物2dである。
後述の処理により、余白部Rma,Rmbが用紙2から切り離されるように、当該用紙2の切断箇所Lca,Lcbが順次切断される。これにより、余白の無い印画物2dが得られる。なお、連続して印画が行われる場合、余白部Rmaが用紙2から切り離され、余白部Rmbは、次の印画が行われる際に、用紙2から切り離される。
以上の動作が行われるため、切断マークM1aは余白部Rmaに設けられる。また、切断マークM1bは余白部Rmbに設けられる。切断マークM1a,M1bを余白部に設けることにより、余白部Rma,Rmbが用紙2から切り離された場合、切断マークM1a,M1bも用紙2から切り離される。
以下においては、マークセンサSnが参照する箇所を、「参照箇所Ls1」ともいう。図9には、マークセンサSnが参照する参照箇所Ls1が示される。以下においては、用紙2が排紙口H1へ向かう方向を、「排紙方向」ともいう。図9において、排紙方向は、−X方向である。なお、図9の用紙2は、排紙方向(−X方向)へ搬送される。そのため、図9の参照箇所Ls1は、直線で示される。以下においては、切断マークM1aおよび切断マークM1bの各々を、「切断マークM1」ともいう。
排紙方向へ搬送される用紙2の参照箇所Ls1において、マークセンサSnは、切断マークM1を検出する。具体的には、排紙方向(−X方向)へ搬送される用紙2の参照箇所Ls1において、マークセンサSna,Snbは、それぞれ、切断マークM1a,M1bを検出する。
なお、画像G1が存在する領域は、マークセンサSna,Snbが参照する必要はない。そのため、画像G1内に、切断マークと類似したマークが存在する場合、切断マークの誤検出が行われる可能性がある。そこで、必要に応じて、用紙2の搬送距離に応じたマスク区間を設けてもよい。マスク区間は、例えば、マークセンサSna,Snbが動作しない区間である。
なお、画像G1の両端に切断マークが必要なため、本実施の形態では、余白部Rmaの切断マークM1aの用紙搬送方向の長さは、余白部Rmaの用紙搬送方向の長さの半分程度としている。しかしながら、これに限定されず、余白部Rmaの用紙搬送方向の長さは、切断マークM1aが印画可能な範囲で、必要に応じて長さを変更してよい。
以下においては、用紙2の印画領域Rg1のうちの不要な領域を、「不要領域Rg1n」ともいう。また、以下においては、用紙2における、余白部Rmaまたは余白部Rmbのうち、印画が行われていない領域を、「未印画領域Rg2n」ともいう。
図10は、用紙2に形成された切断マークM1aを説明するための図である。図11は、用紙2に形成された切断マークM1bを説明するための図である。切断マークM1aおよび切断マークM1bの各々は、同じ構成を有する。前述したように、切断マークM1aおよび切断マークM1bの各々を、「切断マークM1」ともいう。
切断マークM1は、複数の線状部m1を含む。線状部m1は、一例として、黒ラインである。複数の線状部m1は、用紙2の幅方向(Y軸方向)に延在する。すなわち、複数の線状部m1の各々の形状は、長尺状である。複数の線状部m1の各々の幅は、異なる。複数の線状部m1は、用紙搬送方向(X軸方向)に沿って並ぶように設けられる。なお、用紙2の色は、白である。そのため、切断マークM1は、複数の黒ラインと、複数の白ラインとから構成される。
以下においては、切断マークM1に含まれる複数の線状部m1のうち、マークセンサSnにより最初に検出される線状部を、「線状部m1a」ともいう。すなわち、線状部m1aは、切断マークM1のうちマークセンサSnにより最初に検出される部分である。また、以下においては、切断マークM1に含まれる複数の線状部m1のうち、マークセンサSnにより最後に検出される線状部を、「線状部m1b」ともいう。すなわち、切断マークM1における複数の線状部m1は、線状部m1a,m1bを含む。
線状部m1bは、端m1beを有する。端m1beは、線状部m1bのうち、マークセンサSnにより最後に検出される部分である。なお、線状部m1b(端m1be)は、切断箇所Lca,Lcbに対応づけられた部分である。
複数の線状部m1において、線状部m1aの幅が最も大きい。これは、画像と切断マークとを識別しやすくし、かつ、用紙の搬送時に、線状部m1aの検出精度を高めるためである。また、複数の線状部m1において、線状部m1bの幅が最も小さい。すなわち、用紙搬送方向における線状部m1aの長さは、当該用紙搬送方向における線状部m1bの長さと異なる。
切断マークM1を構成する複数の黒ラインおよび白ラインの幅は、切断マークM1の誤検出が行われないように、設定される。すなわち、当該複数の黒ラインおよび白ラインの幅が、上述のように、同じ幅に設定されないことにより、切断マークM1の識別精度を高くすることができる。また、前述のマスク区間を設けることにより、切断マークM1の誤検出を防いでもよい。
次に、切断マークM1の検出に応じて、用紙2の搬送を制御する処理(以下、「用紙搬送制御処理」ともいう)について説明する。図12は、本発明の実施の形態1における用紙搬送制御処理を説明するための図である。図12(a)は、切断マークM1を示す。前述したように、切断マークM1は、複数の線状部m1を含む。以下においては、用紙が搬送される速度を、「用紙搬送速度」ともいう。
マークセンサSnは、複数の線状部m1の検出状態を示す信号Sg1を出力する。マークセンサSnは、線状部m1(黒ライン)を検出している期間においては、Hレベルの信号Sg1を出力する。なお、マークセンサSnが、線状部m1(黒ライン)を検出するための処理は、しきい値を使用した一般的な処理であるため、詳細な説明は省略する。
また、マークセンサSnは、線状部m1(黒ライン)を検出していない期間においては、Lレベルの信号Sg1を出力する。そのため、図12(b)のように、仮に、用紙搬送速度が一定である場合、マークセンサSnが出力する信号Sg1は、図12(c)に示される波形を示す。
本実施の形態の用紙搬送制御処理は、線状部m1の検出に応じて、用紙の搬送速度を変化させる処理である。用紙搬送制御処理では、印刷装置100は、搬送されている用紙2の線状部m1aをマークセンサSnが検出した場合、当該用紙2の搬送速度を低下させる。
具体的には、用紙搬送制御処理では、副搬送部62が搬送している用紙2の線状部m1aをマークセンサSnが検出したときに、副搬送部62は、CPU5の制御に従って、用紙搬送速が0になるまで、当該用紙搬送速を徐々に低下させる(図12(d)参照)。
なお、副搬送部62は、マークセンサSnが線状部m1bを検出したときに、用紙搬送速度がほぼ0になるように、当該用紙搬送速度を徐々に低下させる。これにより、複数の線状部m1の検出精度をあげることができる。
なお、複数の線状部m1の各々の幅は、用紙搬送速度の低下の度合いに応じた幅である。具体的には、各線状部m1の幅は、当該線状部m1が線状部m1bに近い程、小さい。これにより、用紙の位置の検出の精度を向上させることができる。
また、用紙搬送制御処理では、マークセンサSnが線状部m1bの端m1beを検出したタイミングで、副搬送部62は搬送されている用紙2をとめる。以上により、用紙搬送制御処理は終了する。
用紙搬送制御処理が行われることにより、マークセンサSnが出力する信号Sg1は、図12(e)に示される波形を示す。詳細は後述するが、カッター10は、信号Sg1が示す、複数の線状部m1の検出状態に従ったタイミングで、用紙2の切断箇所Lca,Lcbを切断する。
なお、切断マークM1は、マークセンサSnが検出可能な印画面に形成される。マークセンサSna,Snbが、図1のように配置される構成では、切断マークM1は、用紙2の表面2aに形成される。なお、マークセンサSna,Snbが、用紙2の裏面2bを参照可能な位置に設けられる構成では、切断マークM1は、用紙2の裏面2bに形成される。
次に、用紙2(印画物2d)を切断するための処理について詳細に説明する。まず、印画物2dの先端部を切断するための処理(以下、「先端部切断処理」ともいう)について説明する。
図13は、本発明の実施の形態1における先端部切断処理を説明するための図である。図13では、構成を分かりやすくするために、用紙2の裏面2bに形成されている画像を示していない。
ここで、以下の前提Pm1を考慮する。前提Pm1では、切断の対象となる用紙2は、一例として、図9に示される、画像G1が形成された用紙2である。また、前提Pm1では、用紙2は、排紙方向へ搬送される。図9における排紙方向は、−X方向である。
また、前提Pm1では、マークセンサSnaが、搬送されている用紙2の切断マークM1aに含まれる線状部m1aを検出したとき、前述の用紙搬送制御処理が行われる。用紙搬送制御処理では、マークセンサSnaが線状部m1bの端m1beを検出したタイミングで、搬送されている用紙2が止まる。
そして、先端部切断処理が行われる。先端部切断処理では、余白部Rmaが用紙2から切り離されるように、カッター10が、用紙2の切断箇所Lcaを切断する。これにより、余白部Rmaは、切断屑2Wとして、ダストボックス12に入る。
以上により、カッター10は、マークセンサSnaが切断マークM1aを検出したことに応じて、用紙2のうち、切断マークM1aに対応づけられた切断箇所Lcaを切断する。以下においては、用紙2のうち、カッター10が切断可能な箇所を、「切断可能箇所」ともいう。
なお、切断マークM1aに含まれる線状部m1bの端m1beをマークセンサSnaが検出したタイミングにおいて、用紙2の切断箇所Lcaが切断可能箇所となるように、マークセンサSnaの位置は設定される。言い換えれば、用紙2の切断箇所Lcaが切断可能箇所となるタイミングにおいて、切断マークM1aに含まれる線状部m1bの端m1beをマークセンサSnaが検出するように、当該切断マークM1aの位置は設定される。
なお、前述したように、切断箇所Lcaは、画像G1の端部Geaに設けられる。用紙2の切断箇所Lcaが切断されることにより、印画物2dの先端部において余白が発生することはない。
なお、フィード・アンド・カットが行われる場合、マークセンサSnaまたはマークセンサSnbは、用紙2の先端を検出する手段として使用されてもよい。この場合、マークセンサSnが用紙2の先端を検出してから、フィードローラ62aにより用紙2を、所定の距離だけ搬送した後、用紙2の切断が行われる。
次に、印画物2dの後端部を切断するための処理(以下、「後端部切断処理」ともいう)について説明する。図14は、本発明の実施の形態1における後端部切断処理を説明するための図である。図14では、構成を分かりやすくするために、用紙2の裏面2bに形成されている画像を示していない。
前述の先端部切断処理が行われた後、用紙2が排紙方向(−X方向)へ搬送される。マークセンサSnbが、搬送されている用紙2の切断マークM1bに含まれる線状部m1aを検出したとき、前述の用紙搬送制御処理が行われる。用紙搬送制御処理では、マークセンサSnbが線状部m1bの端m1beを検出したタイミングで、搬送されている用紙2が止まる。
そして、後端部切断処理が行われる。後端部切断処理では、印画物2dが用紙2から切り離されるように、カッター10が、用紙2の切断箇所Lcbを切断する。そして、印画物2dは、排紙口H1を介して、筐体Ch1(印刷装置100)の外部に排出される。
以上により、カッター10は、マークセンサSnbが切断マークM1bを検出したことに応じて、用紙2のうち、切断マークM1bに対応づけられた切断箇所Lcbを切断する。
なお、切断マークM1bに含まれる線状部m1bの端m1beをマークセンサSnbが検出したタイミングにおいて、用紙2の切断箇所Lcbが切断可能箇所となるように、マークセンサSnbの位置は設定される。言い換えれば、用紙2の切断箇所Lcbが切断可能箇所となるタイミングにおいて、切断マークM1bに含まれる線状部m1bの端m1beをマークセンサSnbが検出するように、当該切断マークM1bの位置は設定される。
なお、前述したように、切断箇所Lcbは、画像G1の端部Gebに設けられる。用紙2の切断箇所Lcbが切断されることにより、印画物2dの後端部において余白が発生することはない。
(マークの印画)
次に、切断マークM1を用紙2に印画するための処理(以下、「印画処理M」ともいう)について説明する。以下においては、印画処理Mを行う構成を、「構成CtM」ともいう。
本実施の形態では、印画処理Mは、前述の印画処理Pに含まれる前述の印画処理Paである。なお、印画処理Mが、前述の印画処理Pbである構成としてもよい。当該構成では、マークセンサSna,Snbは、用紙2の裏面2bを参照可能な位置に設けられる。
印画処理Mにおいて、印画部6は、画像G1と、切断マークM1とを用紙2に形成する。また、印画部6は、用紙2の先端E1を基準として、切断マークM1を用紙2に形成する。
具体的には、印画処理Mにおいて、印画部6は、画像G1と、切断マークM1aと、切断マークM1bとを、用紙2に形成する(図9参照)。より具体的には、印画処理Mの転写処理において、画像G1、切断マークM1a,M1bが、用紙2に形成されるように、サーマルヘッド6aは、インクシート3に対し加熱を行う。なお、サーマルヘッド6aによる加熱の量は、印画データに基づいて、CPU5により制御される。なお、当該印画データは、画像G1、切断マークM1a,M1bを、用紙2に形成するためのデータである。
以上説明したように、本実施の形態によれば、主搬送部61は、用紙2を力Pwaで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する機能を有する。副搬送部62は、用紙2を力Pwaより小さい力Pwbで挟んだ状態で、当該用紙2を搬送する機能を有する。印刷装置100は、主搬送部61および副搬送部62を選択的に使用して、用紙2を搬送する。
これにより、主搬送部61および副搬送部62を選択的に使用するという簡易な構成で、用紙2を挟む力を変更することができる。
また、本実施の形態によれば、主搬送部61は、印刷装置100が印画処理Pb,Paを行う際に、グリップローラ61aを使用して、用紙2を搬送する。副搬送部62は、非印画処理を印刷装置100が行う際に、フィードローラ62aを使用して、用紙2を搬送する。
これにより、図5に示すように、印画物2dにグリップ痕が形成される回数を、構成CtNよりも、大幅に少なくすることができる。そのため、印画物2dにおけるグリップ痕を目立たなくすることができる。その結果、高い印画品位を有する印画物2dを得ることができる。
また、本実施の形態によれば、印画部6は、画像G1と、当該画像G1に隣接する切断マークM1とを用紙2に形成する。切断マークM1は、マークセンサSnにより当該切断マークM1が検出された状態において、用紙2のうち、カッター10が切断する対象となる切断箇所Lca,Lcbに対応づけられたマークである。カッター10は、マークセンサSnが切断マークM1を検出したことに応じて、用紙2のうち、切断マークM1に対応づけられた切断箇所Lca,Lcbを切断する。これにより、用紙2の切断箇所に対応づけられたマークを利用して、当該切断箇所を切断することができる。
また、本実施の形態では、前述の前述の印画処理M、先端部切断処理および後端部切断処理が行われることにより、用紙2の種類、印画物のサイズ等に関わらず、余白が存在せず、かつ、所望のサイズの印画物を得ることができる。
また、環境変化、経時変化等により、フィードローラの搬送量にばらつきが生じた状態においても、切断マークM1が検出される位置、および、切断箇所の位置は、変化しない。そのため、余白が存在せず、かつ、所望のサイズの印画物を得ることができる。
なお、本実施の形態では、仮に、用紙2の搬送中に、切断マークM1が検出されなかった場合、用紙2を巻き戻して、切断マークM1を、再度、検出するための動作を追加してもいい。
なお、関連構成Aでは、前述したように、オーバーコート層を印画するためのローラ押圧力を、YMCのインクを印画するためのローラ押圧力より弱くする。しかしながら、オーバーコート層が印画される前の用紙には、グリップ痕が形成される。そのため、印画品位が低下するという問題がある。
また、関連構成Aでは、ローラ押圧力を弱くしているため、用紙の搬送力が低下する。これにより、用紙において、切断の対象となる切断箇所と、実際に切断される箇所とがずれる状況が発生する。この状況では、印画物に余白が生じ、印画品位が低下するという問題がある。
また、関連構成Bでは、用紙のうち、冗長画像が存在する部分が切断された場合、本来必要のない画像が印画物の両端に残ってしまう。そのため、印画物の印画品位が低下するという問題がある。
そこで、本実施の形態の印刷装置100は、上記のように構成される。そのため、本実施の形態の印刷装置100により、上記の各問題を解決することができる。
<実施の形態1の変形例1>
本変形例の構成は、副搬送部62が用紙2を搬送するタイミングを変更した構成(以下、「構成Ctm1」ともいう)である。
実施の形態1では、Y染料、M染料、C染料およびOP材料の各々を用紙に転写するための処理(印画処理Pb,Pa)を、印刷装置100が行う際に、主搬送部61が、用紙2を搬送する構成とした。なお、OP材料に対し、前述の単位印画処理が行われる場合、サーマルヘッド6aによる加熱の量は一定であり、用紙2を高精度に搬送する必要はない。
本変形例の構成Ctm1では、OP材料を用紙2に転写する際、副搬送部62が用紙2を搬送する。以下においては、OP材料に対して行われる前述の単位印画処理を、「単位印画処理OP」ともいう。また、以下においては、3種類の色染料(Y染料、M染料およびC染料)の各々に対して行われる前述の単位印画処理を、「単位印画処理C」ともいう。
具体的には、構成Ctm1では、オーバーコート材料(OP材料)を用紙2に転写するための単位印画処理OPを印刷装置100が行う際に、副搬送部62は、用紙2を搬送する。すなわち、単位印画処理OPの用紙搬送処理Pにおいて、副搬送部62は、フィードローラ62aを使用して、用紙2を搬送する。
以下においては、用紙を搬送するための、単位印画処理C以外の処理を、「搬送処理K」ともいう。搬送処理Kは、前述の非印画処理に含まれる用紙搬送処理である。
また、構成Ctm1では、前述の非印画処理を印刷装置100が行う際に、副搬送部62は、用紙2を搬送する。
また、構成Ctm1では、3種類の色染料(Y染料、M染料およびC染料)の各々を用紙2に転写するための処理(単位印画処理C)を印刷装置100が行う際に、主搬送部61は、用紙2を搬送する。
以上説明したように、本変形例によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。すなわち、印画物におけるグリップ痕を目立たなくすることができる。その結果、印画品位の高い印刷物を得ることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、切断マークM1aを使用しない構成(以下、「構成Ct2」ともいう)である。以下においては、構成Ct2が適用された印刷装置を、「印刷装置100A」ともいう。
実施の形態1では、切断マークM1aを使用して、画像G1の端部Gea(先端部)を切断していた。一方、構成Ct2では、切断マークM1bを使用して、画像G1の端部Gea(先端部)を切断する。なお、構成Ct2では、印画物の用紙搬送方向の長さに応じて、用紙における、切断マークM1bおよび切断箇所Lcaの位置は変化する。そのため、構成Ct2では、印画物2dの用紙搬送方向の長さの種類に対応する数のマークセンサが必要である。
図15は、本発明の実施の形態2に係る印刷装置100Aの主な構成を示す図である。図16は、本発明の実施の形態2に係る印刷装置100Aの主な構成を示すブロック図である。
図15および図16を参照して、印刷装置100Aは、図4の印刷装置100と比較して、マークセンサSnaを備えない点と、マークセンサSnc,Snd,Sneをさらに備える点とが異なる。印刷装置100Aのそれ以外の構成は、印刷装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
マークセンサSnc,Snd,Sneの各々の構成および機能は、マークセンサSnbの構成および機能と同じである。カッター10、および、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、通紙経路24に対応づけて設けられている。また、通紙経路24において、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、カッター10よりも下流側に設けられている。
また、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、用紙2の表面2aを参照可能な位置に設けられる。なお、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、用紙2の裏面2bを参照可能な位置に設けられてもよい。なお、用紙2に対し、片面印画が行われる場合を考慮すると、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、用紙2の表面2aを参照可能な位置に設けられる構成が望ましい。
マークセンサSncは、カッター10より、ロール紙2r側に配置される。また、マークセンサSncは、マークセンサSnbよりもロール紙2rに近い位置に設けられる。すなわち、マークセンサSncは、マークセンサSnbよりも、排紙口H1から遠い位置に設けられる。
以下においては、マークセンサSnc,Snd,Sneの各々、「マークセンサSn」ともいう。すなわち、印刷装置100Aは、4つのマークセンサSnを有する。なお、印刷装置100Aが有するマークセンサSnの数は、4に限定されず、2、3、または,5以上であってもよい。
本実施の形態の構成Ct2では、切断マークM1bは、切断箇所Lca,Lcbに対応づけられたマークである。
次に、本実施の形態の構成Ct2における、印画物2dの先端部を切断するための処理(以下、「先端部切断処理A」ともいう)について説明する。
図17は、本発明の実施の形態2における先端部切断処理Aを説明するための図である。図17では、構成を分かりやすくするために、用紙2の裏面2bに形成されている画像を示していない。
ここで、以下の前提Pm2を考慮する。前提Pm2では、切断の対象となる用紙2は、切断マークM1aが形成されてなく、かつ、画像G1および切断マークM1bが形成された用紙2である。すなわち、前提Pm2において、切断の対象となる用紙2は、図9に示される用紙2から、切断マークM1aを除いたものである。また、前提Pm2では、用紙2は、排紙方向へ搬送される。排紙方向は、−X方向である。また、前提Pm2では、一例として、マークセンサSncにより切断マークM1bが検出された際に、用紙2が切断される。そのため、切断マークM1bに対応づけられた切断箇所Lcaは、マークセンサSncにより切断マークM1bが検出された状態(マーク検出状態)において、用紙2のうち、カッター10が切断する対象となる箇所である。
また、前提Pm2では、マークセンサSncが、搬送されている用紙2の切断マークM1bに含まれる線状部m1aを検出したとき、前述の用紙搬送制御処理が行われる。用紙搬送制御処理では、マークセンサSncが線状部m1bの端m1beを検出したタイミングで、搬送されている用紙2が止まる。
そして、先端部切断処理Aが行われる。先端部切断処理Aでは、前述の余白部Rmaが用紙2から切り離されるように、カッター10が、用紙2の切断箇所Lcaを切断する。これにより、余白部Rmaは、切断屑2Wとして、ダストボックス12に入る。
以上により、カッター10は、マークセンサSncが切断マーク切断マークM1b(線状部m1bの端m1be)を検出したことに応じて、用紙2のうち、切断マークM1bに対応づけられた切断箇所Lcaを切断する。
なお、印画物2dの後端部(端部Geb)を切断するための処理は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。すなわち、カッター10は、マークセンサSnbが切断マークM1b(線状部m1bの端m1be)を検出したことに応じて、用紙2のうち、切断マークM1bに対応づけられた切断箇所Lcbを切断する。
なお、端部Geaの切断箇所Lcaを切断するために使用されるマークセンサSnは、印画物2dの用紙搬送方向の長さに応じて、マークセンサSnd,Sne等となる場合もある。
(マークの印画)
次に、本実施の形態において、切断マークM1bを用紙2に印画するための処理(以下、「印画処理Mb」ともいう)について説明する。
本実施の形態では、印画処理Mbは、印画処理Pに含まれる前述の印画処理Paである。なお、印画処理Mbが、前述の印画処理Pbである構成としてもよい。当該構成では、マークセンサSnb,Snc,Snd,Sneは、用紙2の裏面2bを参照可能な位置に設けられる。
印画処理Mbにおいて、印画部6は、画像G1と、切断マークM1とを用紙2に形成する。また、印画部6は、用紙2の先端E1を基準として、切断マークM1を用紙2に形成する。具体的には、印画処理Mbにおいて、印画部6は、画像G1と、切断マークM1bとを、用紙2に形成する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、切断マークM1bを使用して、印画物2dの端部Gea(先端部)および端部Geb(後端部)を切断する。
なお、実施の形態1では、マークセンサSn(Sna)は、カッター10と排紙口H1との間に設けられる。そのため、カッター10から排紙口H1までの距離によっては、設計の自由度が制限される。
一方、本実施の形態では、マークセンサSnは、通紙経路24に対応づけて設けられている。そのため、印刷装置における、各構成要素の配置の自由度が高くなる。
また、本実施の形態では、切断マークM1bを使用して、印画物2dの端部Gea(先端部)および端部Geb(後端部)を切断する。そのため、用紙2に、切断マークM1aを形成する必要がない。
したがって、例えば、図18のように、余白部Rmbに形成される切断マークM1bのサイズを大きくすることができる。これにより、線状部m1aの幅を大きくして、搬送速度に対する、当該線状部m1aの検出精度を向上させることができる。また、余白部Rmbのサイズを小さくすることができる。
なお、ユーザーが印刷を望む画像のサイズを印刷装置100Aへ送信する際に、不要なマークセンサSnを常時、オフにすることにより、当該マークセンサSnによる、切断マークM1の誤検出を防ぐことができる。また、実施の形態1と同様に、前述のマスク区間を設けることにより、切断マークM1の誤検出を防いでもよい。
<変形例A>
なお、切断マークM1は、前述した構成に限定されない。例えば、図19のように、用紙2の幅方向において、線状部m1の幅、線状部m1の数を変更した切断マークM1を使用する構成(以下、「構成CtA1」)としてもよい。この構成CtA1では、用紙2の幅方向において、複数のマークセンサSnを設置することにより、切断マークM1の検出精度を向上させることができる。
また、1つの切断マークを利用して、印画物2dの端部Gea(先端部)および端部Geb(後端部)を切断する構成(以下、「構成CtA2」)としてもよい。以下においては、用紙2の幅方向を、「幅方向」ともいう。
図20は、変形例Aにおける構成CtA2を説明するための図である。図20では、一例として、図9の印画物2dの後端側(余白部Rmb)が示されている。なお、余白部Rmbの右端には、次の印画物2dに形成されるための画像G1の不要領域Rg1nが示されている。図20において、幅方向はY軸方向であり、用紙搬送方向は、X軸方向である。
図20を参照して、構成CtA2では、幅方向におけるマークセンサSnaの位置は、幅方向におけるマークセンサSnbの位置と異なる。
また、構成CtA2では、用紙搬送方向におけるマークセンサSnaの位置は、用紙搬送方向におけるマークセンサSnbの位置と異なる。具体的には、構成CtA2のマークセンサSnaの用紙搬送方向の位置は、図13のマークセンサSnaの用紙搬送方向の位置と同じである。また、構成CtA2のマークセンサSnbの用紙搬送方向の位置は、図13のマークセンサSnbの用紙搬送方向の位置と同じである。
また、構成CtA2では、一例として、用紙2の余白部Rmbに切断マークM1cを形成した構成である。
切断マークM1cは、切断マークM1caと、切断マークM1cbとから構成される。用紙2の幅方向(Y軸方向)に沿って切断マークM1caおよび切断マークM1cbは隣接している。切断マークM1caは、マークセンサSnaが検出するための切断マークである。切断マークM1cbは、マークセンサSnbが検出するための切断マークである。また、切断マークM1caは、切断箇所Lcaに対応づけられたマークである。切断マークM1cbは、切断箇所Lcbに対応づけられたマークである。
構成CtA2では、図13で説明した先端部切断処理、および、図14で説明した後端部切断処理が行われる。
以下においては、構成CtA2において、切断マークM1cを用紙2に印画するための処理を、「印画処理Mc」ともいう。構成CtA2における印画処理Mcは、印画処理Pに含まれる前述の印画処理Paである。なお、印画処理Mbが、前述の印画処理Pbである構成としてもよい。
印画処理Mcにおいて、印画部6は、画像G1と、切断マークM1cとを用紙2に形成する。すなわち、印画部6は、画像G1と、切断マークM1caと、切断マークM1cbとを用紙2に形成する。
以上の説明した構成CtA2により、余白部Rmbのサイズを小さくすることができる。
(第1の機能ブロック図)
図21は、印刷装置BL10の特徴的な機能構成を示すブロック図である。印刷装置BL10は、印刷装置100または印刷装置100Aに相当する。
印刷装置BL10は、インクシートが用紙に圧着された状態で、サーマルヘッドが当該インクシートを加熱することにより、当該用紙の表面および裏面に対し、選択的に印画処理を行う。
印刷装置BL10は、機能的には、主搬送部BL1と、副搬送部BL2とを備える。主搬送部BL1は、グリップローラを使用して、前記用紙を第1の力で挟んだ状態で、当該用紙を搬送する機能を有する。主搬送部BL1は、主搬送部61に相当する。副搬送部BL2は、フィードローラを使用して、前記用紙を前記第1の力より小さい第2の力で挟んだ状態で、当該用紙を搬送する機能を有する。副搬送部BL2は、副搬送部62に相当する。
印刷装置BL10は、主搬送部BL1および副搬送部BL2を選択的に使用して、前記用紙を搬送する。
(第2の機能ブロック図)
図22は、印刷装置BL20の特徴的な別の機能構成を示すブロック図である。印刷装置BL20は、印刷装置100または印刷装置100Aに相当する。
印刷装置BL20は、用紙の表面および裏面に対し選択的に画像を形成するための印画処理を行う、熱昇華型の印刷装置である。印刷装置BL20は、機能的には、印画部BL1aと、マークセンサBL2aと、カッターBL3aとを備える。
印画部BL1aは、前記印画処理において、前記画像と、当該画像に隣接する切断マークとを前記用紙に形成する。印画部BL1aは、印画部6に相当する。
マークセンサBL2aは、印刷装置BL20が前記用紙を搬送している際に、前記切断マークを検出する機能を有する。マークセンサBL2aは、マークセンサSnに相当する。
カッターBL3aは、前記用紙を切断する機能を有する。カッターBL3aは、カッター10に相当する。前記切断マークは、マークセンサBL2aにより当該切断マークが検出された状態において、前記用紙のうち、カッターBL3aが切断する対象となる切断箇所に対応づけられたマークである。
カッターBL3aは、マークセンサBL2aが前記切断マークを検出したことに応じて、前記用紙のうち、前記切断マークに対応づけられた前記切断箇所を切断する。
(その他の変形例)
以上、本発明に係る印刷装置について、各実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、当該各実施の形態および変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を各実施の形態および変形例に施したものも、本発明に含まれる。つまり、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
以下においては、本発明に係る印刷装置を、「印刷装置hzs」とも称する。印刷装置hzsは、印刷装置100および印刷装置100Aのいずれかである。印刷装置hzsは、図で示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、印刷装置hzsは、本発明の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。
また、両面印刷機能を有する印刷装置hzsは、熱昇華型のプリンタとしたがこれに限定されない。印刷装置hzsは、他の印刷方式のプリンタであってもよい。
また、両面印刷機能を有する印刷装置hzsは、通紙経路切替部を有する装置としたが、両面印刷機能を有する他の方式の印刷装置であってもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、変形例を適宜、変形、省略することが可能である。