以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の各構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている各構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている各構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
なお、実施の形態において例示される各構成要素の寸法、材質、形状、当該各構成要素の相対配置などは、本発明が適用される装置の構成、各種条件等により適宜変更されてもよい。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るプリンター100の構成を簡易的に示す図である。なお、図1は、後述の補助搬送ローラーR3および後述の圧着ローラーR4を示していない。また、図1に示される各構成要素の位置は正確ではない。
プリンター100は、一例として、熱転写型のプリンターである。図1を参照して、プリンター100は、ロール紙Pr1を使用して、印刷を行う機能を有する。ロール紙Pr1は、長尺状のペーパーP1がロール状に巻かれて構成される。プリンター100は、ペーパーP1を搬送する機能を有する。以下においては、ペーパーP1が搬送される経路を、「搬送経路」ともいう。
プリンター100は、サーマルヘッドSh1と、主搬送ローラーR1および圧着ローラーR2を含む後述のペーパーテンション制御機構50と、プラテンローラーR6とを備える。
サーマルヘッドSh1は、印画処理を行う際に、熱を発する。ペーパーテンション制御機構50は、ペーパーP1にかかるテンション(張力)を制御する機能を有する。
図2は、本発明の実施の形態1に係るペーパーテンション制御機構50の構成を示す側面図である。
図2において、X方向、Y方向およびZ方向の各々は、互いに直交する。以下の図に示されるX方向、Y方向およびZ方向の各々も、互いに直交する。以下においては、X方向と、当該X方向の反対の方向(−X方向)とを含む方向を「X軸方向」ともいう。また、以下においては、Y方向と、当該Y方向の反対の方向(−Y方向)とを含む方向を「Y軸方向」ともいう。また、以下においては、Z方向と、当該Z方向の反対の方向(−Z方向)とを含む方向を「Z軸方向」ともいう。
また、以下においては、X軸方向およびY軸方向を含む平面を、「XY面」ともいう。また、以下においては、X軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「XZ面」ともいう。また、以下においては、Y軸方向およびZ軸方向を含む平面を、「YZ面」ともいう。
図3は、図2のA1−A2線に沿った、ペーパーテンション制御機構50の断面図である。図2および図3を参照して、ペーパーテンション制御機構50は、主搬送ローラーR1、圧着ローラーR2、補助搬送ローラーR3、圧着ローラーR4、検知ローラーR5、バネ7、エンコーダー8、フォトセンサー9、ペーパーガイド10およびモーター11,12を備える。
ペーパーガイド10は、搬送経路(ペーパーパス)を構成するための部材である。主搬送ローラーR1および補助搬送ローラーR3は、搬送経路のうち、互いに離れた位置に設けられている。
主搬送ローラーR1は、グリップローラーである。モーター11は、主搬送ローラーR1を回転させる機能を有する。モーター11は、例えば、ステッピングモーターである。主搬送ローラーR1は、モーター11の駆動に応じて、回転する。圧着ローラーR2は、主搬送ローラーR1と協同して、ペーパーP1を搬送するように、設けられる。圧着ローラーR2は、ピンチローラーである。
補助搬送ローラーR3は、ゴムローラーである。モーター12は、補助搬送ローラーR3を回転させる機能を有する。モーター12は、例えば、ステッピングモーターである。補助搬送ローラーR3は、モーター12の駆動に応じて、回転する。圧着ローラーR4は、補助搬送ローラーR3と協同して、ペーパーP1を搬送するように、設けられる。圧着ローラーR4は、ピンチローラーである。
主搬送ローラーR1および補助搬送ローラーR3は、協同して、ペーパーP1を搬送する。具体的には、補助搬送ローラーR3は、主搬送ローラーR1に向けてペーパーP1を搬送する。主搬送ローラーR1は、補助搬送ローラーR3から搬送されたペーパーP1を搬送する。以下においては、ペーパーP1が搬送される方向を、「搬送方向Dr1」ともいう。図2における搬送方向Dr1は、X方向である。
検知ローラーR5は、搬送経路のうち、主搬送ローラーR1と補助搬送ローラーR3との間の位置に設けられている。検知ローラーR5は、搬送されているペーパーP1が当該検知ローラーR5に接触している場合、ペーパーP1の搬送速度に従って、回転する。検知ローラーR5の形状は、円柱状である。
シャフト6は、検知ローラーR5が回転自在となるように、当該検知ローラーR5を保持している。シャフト6は、検知ローラーR5の回転軸である。検知ローラーR5の長手方向の両端には、シャフト6が固定されている。
以下においては、ペーパーP1の主面P1aと交差する方向を、「方向Dr2」まはた「Dr2」ともいう。図2において、主面P1aがXY平面と平行な場合、方向Dr2は、例えば、Z軸方向、または、略Z軸方向である。略Z軸方向は、例えば、1度から10度の範囲内で傾けられたZ軸に沿った方向である。
方向Dr2は、方向Dr2aおよび方向Dr2bを含む。図2において、方向Dr2aは、Z方向(上方向)である。また、方向Dr2bは、方向Dr2aと反対の方向である。図2において、方向Dr2bは、−Z方向(下方向)である。
また、以下においては、搬送されているペーパーP1に検知ローラーR5が接触した状態を、「接触状態StC」ともいう。検知ローラー5は、接触状態StCで、方向Dr2において移動自在に構成されている。
バネ7は、シャフト6を方向Dr2aへ付勢するように、当該シャフト6に設けられている。シャフト6は検知ローラーR5に固定されているため、バネ7は、検知ローラーR5を、方向Dr2aへ付勢する。バネ7は、一例として、ねじりバネである。
図4は、本発明の実施の形態1に係るエンコーダー8の構成を示す図である。なお、図4には、フォトセンサー9も示されている。以下、図4(a)を使用して、エンコーダー8を説明する。
エンコーダー8の形状は、略円盤状である。エンコーダー8には、図4(a)のように、複数のスリットSL1が設けられる。当該複数のスリットSL1は、エンコーダー8に円状に設けられる。各スリットSL1の形状は、長尺状(矩形)である。
エンコーダー8は、検知ローラーR5と一体化されている。具体的には、エンコーダー8は、検知ローラーR5の回転軸であるシャフト6に固定されている。そのため、エンコーダー8は、検知ローラーR5の回転と同期して回転する。エンコーダー8をシャフト6(検知ローラーR5)に固定する方法は、例えば、ねじ止め、スナップフィット、圧入等である。
フォトセンサー9は、詳細は後述するが、エンコーダー8の回転速度を検知する機能を有する。
再び、図2を参照して、ペーパーガイド10には、検知ローラーR5を設けるための空間が設けられる。前述したように、検知ローラーR5は、搬送されているペーパーP1が当該検知ローラーR5に接触している場合、ペーパーP1の搬送速度に従って、回転する。この場合、エンコーダー8は、ペーパーP1の搬送速度に従って、検知ローラーR5の回転と同期して回転する。
ペーパーテンション制御機構50では、ペーパーガイド10により構成される搬送経路において、主搬送ローラーR1、検知ローラーR5および補助搬送ローラーR3は、直線状に設けられている。
次に、フォトセンサー9について詳細に説明する。フォトセンサー9は、スリットSL1を検知する機能を有する。フォトセンサー9は、例えば、光等を使用して、スリットSL1を検知する。図4(a)を参照して、検知線L1aは、フォトセンサー9が、スリットSL1を検知するための位置を示す線である。検知線L1aの形状は、円である。
以下においては、エンコーダー8の回転速度を、「回転速度Ve」または「Ve」ともいう。また、以下においては、隣接する2つのスリットSL1を、それぞれ、スリットSL1aおよびスリットSL1bともいう。また、以下においては、フォトセンサー9がスリットSL1aを検知してから、フォトセンサー9がスリットSL1bを検知するまでの時間を、「時間Tv」ともいう。
フォトセンサー9は、例えば、単位距離を時間Tvで除算することにより、回転速度Veを検知(特定)する。当該単位距離は、例えば、1センチである。すなわち、フォトセンサー9は、回転速度Veを検知する速度検知部である。
また、フォトセンサー9は、スリットSL1を検知した場合、パルスを出力する。具体的には、フォトセンサー9は、検知信号Sgを出力する。フォトセンサー9は、スリットSL1を検知している状態では、Hレベルの検知信号Sgを出力する。また、フォトセンサー9は、スリットSL1を検知していない状態では、Lレベルの検知信号Sgを出力する。
そのため、エンコーダー8が回転している場合、フォトセンサー9は、例えば、図5(a)に示すように、検知信号Sgで表現される複数のパルスを、順次、出力する。フォトセンサー9が出力するパルスは、回転速度Veの大きさに応じた幅を有するパルスである。なお、回転速度Veが大きいほど、フォトセンサー9が出力するパルスの幅は小さい。以下においては、パルスの幅を、「幅Wp」または「Wp」ともいう。
次に、ペーパーP1にかかるテンションを制御するための説明を行う。図6は、本発明の実施の形態1に係るペーパーテンション制御機構50における制御構成を示すブロック図である。ペーパーテンション制御機構50は、さらに、パルスカウンター14と、パルス幅検知部15と、回転制御部13とを備える。
パルスカウンター14は、フォトセンサー9が出力するパルスを検知し、当該パルスの数をカウントする。以下においては、パルスカウンター14によりカウントされたパルスの数を、「パルス数Pn」または「Pn」ともいう。
パルス幅検知部15は、パルスカウンター14がパルスを検知する毎に、当該パルスの幅Wpを検知する。パルス幅検知部15は、パルスの幅Wpを検知する毎に、当該パルスの幅Wpを、パルスカウンター14へ通知する。そのため、パルスカウンター14は、常時、幅Wp(パルスの幅)も把握している。
以下においては、主搬送ローラーR1の回転速度を、「回転速度Vr1」または「Vr1」とも表記する。また、以下においては、補助搬送ローラーR3の回転速度を、「回転速度Vr2」または「Vr2」とも表記する。
回転制御部13は、補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2が変化するように、モーター12を制御する。また、回転制御部13は、主搬送ローラーR1の回転速度Vr1が変化するように、モーター11を制御する。そのため、回転制御部13は、常時、回転速度Vr1、Vr2を把握している。
なお、回転制御部13は、モーター11を制御しない構成としてもよい。当該構成では、回転制御部13は、モーター11を制御する別の回転制御部から、回転速度Vr1を、常時、受信する。これにより、回転制御部13は、常時、回転速度Vr1、Vr2を把握している。
ここで、以下の前提Pr1を考慮する。前提Pr1では、一例として、Vr1<Vr2である。前提Pr1では、ペーパーP1は、例えば、図2のように、ペーパーP1は検知ローラーR5と接触しない程度に、弛んでいる。そのため、前提Pr1では、ペーパーP1が、方向Dr1へ搬送されている状態でも、検知ローラーR5は回転しない。この場合、パルスカウンター14により得られるパルス数Pnは、0である。
ペーパーP1における弛みの量が多くなった場合、ペーパーP1が、ペーパーガイド10等に強く当たり、ペーパーP1にキズが発生する可能性がある。そのため、ペーパーP1には、一定のテンションを与える必要がある。
そこで、パルス数Pnが0である場合、パルスカウンター14は、無回転情報を、回転制御部13へ送信する(フィードバックする)。当該無回転情報は、検知ローラーR5が回転していないことを示す情報である。
回転制御部13は、無回転情報の受信に応じて、Vr1>Vr2となるまで、回転速度Vr2の速度が徐々に小さくなるように、モーター12を制御する。すなわち、回転制御部13は、ペーパーP1の状態を、当該ペーパーP1にテンション(張力)がかかった状態に移行させる。
ペーパーP1にテンションがかかると、ペーパーP1は検知ローラーR5と接触する。これにより、検知ローラーR5およびエンコーダー8が回転を始める。その結果、パルスが発生するようになり、パルスカウンター14が、パルスをカウントするようになる。すなわち、パルス数Pnが1以上になる。
パルスが発生し始めた段階で、パルスカウンター14は、回転情報を、回転制御部13へ送信する(フィードバックする)。回転情報は、検知ローラーR5が回転していることを示す情報である。
回転制御部13は、回転情報の受信に応じて、ペーパーP1に一定の大きさのテンションがかかるように、モーター12を制御する。具体的には、回転制御部13は、例えば、回転速度Vr2を維持する制御、回転速度Vr2を大きくする制御等の制御を、モーター12に対し、繰り返し行う。
このように、エンコーダー8が、検知ローラーR5に固定される構成により、ペーパーP1にテンションがかかっているか否かを素早く検知することが可能となる。
なお、前述したように、バネ7は、検知ローラーR5(シャフト6)を、方向Dr2aへ付勢する。以下においては、バネ7が、検知ローラーR5(シャフト6)に対し、方向Dr2aへ付勢する力を、「力Pws」ともいう。なお、力Pwsが加わる方向と反対の方向は、方向Dr2bである。また、以下においては、ペーパーP1にかかるテンションにより、ペーパーP1が検知ローラーR5に対し方向Dr2bへ加える力を、「力Pwp」ともいう。
前述のようなフィードバック制御を行っても、テンションの制御が間に合わず、力Pwpが力Pwsより大きい状態が発生する場合がある。当該状態は、図7に示されるような状態である。
図7は、ペーパーP1が検知ローラーR5(エンコーダー8)を、方向Dr2bへ押し下げた状態を示す。以下においては、ペーパーP1により検知ローラーR5(エンコーダー8)が方向Dr2bへ押し下げられた状態を、「押し下げ状態」ともいう。以下においては、ペーパーP1により検知ローラーR5(エンコーダー8)が方向Dr2bへ押し下げられていない状態を、「非押し下げ状態」ともいう。
押し下げ状態においても、パルス数Pnは、主搬送ローラーR1の回転速度Vr1に依存するため、当該パルス数Pnは一定である。当該回転速度Vr1は、ペーパーP1の搬送速度に相当する。
しかしながら、非押し下げ状態から押し下げ状態に移行した場合、フォトセンサー9に対するエンコーダー8の位置が、図4(a)に示す位置から、図4(b)に示す位置へ移動する。そのため、検知線L1aは、検知線L1bに変化する。検知線L1bは、フォトセンサー9が、スリットSL1を検知するための位置を示す線である。
以下においては、エンコーダー8の外周部の回転速度Veを、「回転速度Ve1」または「Ve1」ともいう。回転速度Ve1は、非押し下げ状態における回転速度Veである。また、以下においては、エンコーダー8の内周部の回転速度Veを、「回転速度Ve2」または「Ve2」ともいう。回転速度Ve2は、押し下げ状態における回転速度Veである。
図5(a)は、非押し下げ状態における複数のパルスを示す。図5(b)は、押し下げ状態における複数のパルスを示す。押し下げ状態では、非押し下げ状態と比較して、パルス数Pnは同じである。しかしながら、フォトセンサー9がエンコーダー8の外周部に近い程、回転速度Veは大きい。そのため、非押し下げ状態のVe1は、押し下げ状態のVe2より大きい。すなわち、Ve1>Ve2の関係式が成立する。
なお、非押し下げ状態から押し下げ状態に移行することにより、検知ローラーR5(エンコーダー8)の位置が変化した場合、エンコーダー8の回転速度Veは、Ve1からVe2に変化する。すなわち、エンコーダー8は、検知ローラーR5の位置の変化に応じて、当該エンコーダー8の回転速度Veが変化するように構成されている。
ここで、図8に示される、隣接するスリットSL1aおよびスリットSL1bを使用して説明する。図8は、エンコーダー8の一部の拡大図である。中心線Lcaは、スリットSL1aの延在方向に沿った線である。中心線Lcbは、スリットSL1bの延在方向に沿った線である。中心線Lcaと中心線Lcbとのなす角度は、一例として、45度であると仮定する。
以下においては、中心線Lcaと中心線Lcbとの間における検知線L1aの長さを、「長さL1ax」とも表記する。また、以下においては、中心線Lcaと中心線Lcbとの間における検知線L1bの長さを、「長さL1bx」とも表記する。また、以下においては、スリットSL1の幅の半分の長さを、「長さt」または「t」と表記する。以下においては、「2×t」を、「長さ2t」または「2t」とも表記する。長さ2tは、スリットSL1の幅である。
また、以下においては、非押し下げ状態においてエンコーダー8の外周部が長さL1ax分だけ回転するのに要する時間を、「時間Txa」または「Txa」とも表記する。また、以下においては、押し下げ状態においてエンコーダー8の内周部が長さL1bx分だけ回転するのに要する時間を、「時間Txb」または「Txb」とも表記する。
なお、エンコーダー8の外周部におけるスリットSL1の幅、および、エンコーダー8の内周部におけるスリットSL1の幅は、長さ2tである。また、時間Txaは、時間Txbと同じである。そのため、前述したように、エンコーダー8の外周部の回転速度Ve1は、エンコーダー8の内周部の回転速度Ve2より大きい。
以下においては、非押し下げ状態においてエンコーダー8の外周部が長さ2t分だけ回転するのに要する時間を、「時間Ta」または「Ta」とも表記する。また、以下においては、押し下げ状態においてエンコーダー8の内周部が長さ2t分だけ回転するのに要する時間を、「時間Tb」または「Tb」とも表記する。
時間Taおよび時間Tbは、それぞれ、以下の式1および式2により表現される。
なお、Ve1>Ve2より、(2t/Ve1)<(2t/Ve2)の関係が得られる。そのため、Ta<Tbの関係式が成立する。時間Taは、図5(a)に示されるパルスの幅Wpに相当する。また、時間Tbは、図5(b)に示されるパルスの幅Wpに相当する。
そのため、非押し下げ状態から押し下げ状態に移行した場合、複数のパルスの状態は、図5(a)の状態から、図5(b)の状態に変化する。すなわち、非押し下げ状態から押し下げ状態に移行することにより、検知ローラーR5(エンコーダー8)の位置が変化した場合、パルスの幅Wpは、TaからTbに変化する。
なお、前述したように、パルスカウンター14は、常時、幅Wp(パルスの幅)を把握している。そのため、パルスカウンター14は、パルスの幅Wpの変化に基づいて、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する。すなわち、パルスカウンター14は、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する検知部である。
なお、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する処理は、パルス幅検知部15が行う構成(以下、「構成Cta」ともいう)としてもよい。構成Ctaでは、パルス幅検知部15が、パルスの幅Wpの変化に基づいて、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する。構成Ctaでは、パルス幅検知部15が、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する検知部である。
前述のように、検知ローラーR5(エンコーダー8)の位置の変化によりパルスの幅WpがTaからTbに変化した場合、ペーパーP1には、力Pwsより大きい余分なテンションがかかっている。以下においては、ペーパーP1にかかっているテンション(張力)を、「ペーパーテンション」ともいう。
そこで、パルスの幅WpがTaからTbに変化した場合、テンション制御処理が行われる。すなわち、検知ローラーR5(エンコーダー8)の位置の変化に基づいて、テンション制御処理が行われる。
検知ローラーR5の位置の変化に基づいて行われるテンション制御処理では、補助搬送ローラーR3が、ペーパーテンションが小さくなるように、当該ペーパーP1の搬送速度を制御する。すなわち、補助搬送ローラーR3は、検知ローラー5の位置の変化に基づいて、ペーパーテンションが小さくなるように、ペーパーP1の搬送速度を制御する。換言すれば、補助搬送ローラーR3は、検知ローラー5の位置が変化した場合、当該検知ローラー5の変化後の位置が、当該検知ローラー5の変化前の位置になるように、ペーパーP1の搬送速度を制御する。
具体的には、テンション制御処理では、検知部であるパルスカウンター14が、速度向上指示を、回転制御部13へ送信する。速度向上指示は、Vr2>Vr1が成立するまで、補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2の速度を大きくするための指示である。なお、前述の構成Ctaでは、検知部であるパルス幅検知部15が、速度向上指示を、回転制御部13へ送信する。
回転制御部13は、速度向上指示の受信に応じて、補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2を制御する。具体的には、回転制御部13は、速度向上指示の受信に応じて、Vr2>Vr1が成立するまで、補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2の速度が大きくなるように、モーター12を制御する。
なお、補助搬送ローラーR3は、当該補助搬送ローラーR3が回転することにより、ペーパーP1を搬送する。そのため、補助搬送ローラーR3は、回転制御部13による、当該補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2の制御に従って、Vr2>Vr1が成立するように、ペーパーP1の搬送速度を制御する。これにより、テンション制御処理は終了する。
なお、前述したように、非押し下げ状態から押し下げ状態に移行することにより、検知ローラーR5(エンコーダー8)の位置が変化した場合、エンコーダー8の回転速度Veは、Ve1からVe2に変化する。すなわち、回転速度Veは、検知ローラーR5の位置の変化に応じて変化する。
回転速度VeがVe1からVe2に変化すると、パルスの幅WpがTaからTbに変化し、回転制御部13は、速度向上指示の受信に応じて、補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2を制御する。なお、補助搬送ローラーR3は、当該補助搬送ローラーR3が回転することにより、ペーパーP1を搬送する。
そのため、補助搬送ローラーR3は、回転制御部13による、当該補助搬送ローラーR3の回転速度Vr2の制御に従って、ペーパーP1の搬送速度を制御する。すなわち、補助搬送ローラーR3は、検知ローラーR5の位置の変化に応じて変化する、エンコーダー8の回転速度Veに基づいて、ペーパーP1の搬送速度を制御する。
なお、上記のテンション制御処理が行われることにより、ペーパーテンションは小さくなる。したがって、主搬送ローラーR1に必要以上の負荷がかかることを防ぐことができる。その結果、色ズレ等の発生を防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、補助搬送ローラーR3は、主搬送ローラーR1に向けてペーパーP1を搬送する。主搬送ローラーR1は、補助搬送ローラーR3から搬送されたペーパーP1を搬送する。すなわち、主搬送ローラーR1および補助搬送ローラーR3は、協同して、ペーパーP1を搬送する。
検知ローラーR5は、搬送経路のうち、主搬送ローラーR1と補助搬送ローラーR3との間の位置に設けられている。検知ローラーR5は、搬送されているペーパーP1に当該検知ローラーR5が接触した状態で、当該ペーパーP1の主面と交差する方向Dr2において移動自在に構成されている。補助搬送ローラーR3は、検知ローラーR5の位置の変化に基づいて、ペーパーP1の搬送速度を制御する。
これにより、複数の搬送ローラー間に存在するペーパーにかかるテンションを制御することができる。
また、本実施の形態では、ペーパーP1の主面と交差する方向において移動自在な検知ローラーR5と、検知ローラーR5の回転と同期して回転するエンコーダー8とが使用されることにより、ペーパーP1にかかるテンションの変化を素早く検知することができる。
また、本実施の形態のペーパーテンション制御機構50は、エンコーダー8の回転により得られるパルスの幅を検知する機能を有する。これにより、ペーパーP1に必要以上なテンションがかかった状態においても、バネ7の力Pwsの範囲内であれば、ペーパーP1にかかるテンションを検知することができる。そのため、搬送されるペーパーP1にかかるテンションの変化を精度よく検出することができる。
また、パルスの幅Wpの変化量に基づいて、検知ローラーR5の移動量も知ることができる。そのため、ペーパーにかかるテンションの大きさを把握することができる。また、急なテンションの変化が起きた場合でも、バネ7の力Pwsの範囲内であれば、主搬送ローラーR1に必要以上の負荷がかかることを防止することができる。その結果、色ズレ等の発生を防ぐことができる。
また、本実施の形態では、ペーパーP1を搬送する複数のローラーが、直線状または非直線状に配置されていても、ペーパーテンション制御機構50を構成することができる。そのため、ペーパーテンション制御機構50における、複数の搬送ローラー等の部品の配置の自由度を向上させることができる。また、搬送されるペーパーにかかるテンションの変化を精度よく検出することができる。そのため、低コストおよび省スペースで、ペーパーのテンション制御を精密に行うことができる。その結果、印画品位の高い印画物が得られる。
なお、関連技術Bでは、複数のローラは、直線状に配置されている。そのため、弛みの検知に基づくテンション制御を行う場合、ペーパーが弛んでいる期間はペーパーの状態を知ることができる。しかしながら、ペーパーに必要以上のテンションがかかった状態では、ペーパーにかかっているテンションを検知できないという問題がある。
また、複数のローラーが非直線状に配置されている場合、ペーパーの弛みの形状は不均一になる。この場合、関連技術Bでは、センサーによる、弛みの検知の精度がばらつきやすい。また、関連技術Bでは、弛みを用いているため、部品を配置するための位置がペーパーの下側に制限される。そのため、部品配置の自由度が制限されるという問題がある。
関連技術Cでは、ペーパーの両端部に配置される部品が、非直線状に配置される必要がある。この場合でも、部品配置の自由度が制限されるという問題がある。
また、関連技術Cでは、テンションレバーが動き始めるまで、テンションの変化を検知することが不可能である。そのため、テンションレバーが動き始めるまでの期間は、ペーパーに一定のテンションがかかってしまうという問題もある。また、関連技術Cでは、テンションレバーを配置するための部品のコスト、設置スペース等が必要となる。
そこで、本実施の形態のペーパーテンション制御機構50(プリンター100)は上記のように構成される。そのため、当該ペーパーテンション制御機構50(プリンター100)は、上記の問題を解決することができる。
<変形例1>
本変形例の構成は、複数のローラーが非直線状に設けられている構成(以下、「構成Ct1」ともいう)である。
図9は、本発明の変形例1における、構成Ct1が適用されたプリンター100の一部を示す図である。構成Ct1が適用されたプリンター100は、両面プリンターである。構成Ct1が適用されたプリンター100は、ペーパーテンション制御機構50を備える。
構成Ct1では、ペーパーガイド10は湾曲している。そのため、ペーパーガイド10により構成される搬送経路も湾曲している。構成Ct1が適用されたペーパーテンション制御機構50では、主搬送ローラーR1および補助搬送ローラーR3は、搬送経路のうち、互いに離れた位置に設けられている。
また、構成Ct1が適用されたペーパーテンション制御機構50では、検知ローラーR5は、搬送経路のうち、主搬送ローラーR1と補助搬送ローラーR3との間の位置に設けられている。なお、エンコーダー8は、検知ローラーR5と一体化されている。
また、構成Ct1が適用されたペーパーテンション制御機構50では、ペーパーガイド10により構成される搬送経路において、主搬送ローラーR1、検知ローラーR5および補助搬送ローラーR3は、非直線状に設けられている。
なお、構成Ct1が適用されたペーパーテンション制御機構50は、実施の形態1と同じ処理を行う。
以上説明したように、本変形例によれば、主搬送ローラーR1、検知ローラーR5および補助搬送ローラーR3が、非直線状に設けられている構成においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
<変形例2>
本変形例の構成は、ねじりバネであるバネ7と異なる種類のバネを使用した構成(以下、「構成Ct2」ともいう)である。
図10は、本発明の変形例2における、構成Ct2が適用されたプリンター100の一部を示す図である。構成Ct2が適用されたプリンター100は、構成Ct1が適用されたプリンター100と比較して、バネ7の代わりにバネ7Aを備える点のみが異なる。
バネ7Aは、引っ張りコイルバネである。すなわち、バネ7Aは、伸張した状態のバネである。構成Ct2では、バネ7Aは、シャフト6を方向Dr2aへ付勢する。そのため、構成Ct2では、検知ローラーR5は、バネ7Aにより、方向Dr2aへ付勢されている。
以上説明したように、本変形例によれば、引っ張りコイルばねであるバネ7Aにより、検知ローラーR5は、バネ7Aにより、方向Dr2aへ付勢されている。
引っ張りコイルバネは、ねじりバネと比較して高い初張力が得られる。そのため、検知ローラーR5およびエンコーダー8が、方向Dr2aへ移動するまでにおいて、広いテンション範囲を取ることが可能となる。
これにより、モーターからローラーへの速度制御の応答性が悪い構成であっても、検知ローラーR5を動かさない範囲で、ペーパーテンション制御機構50の使用が容易となる。応答性が悪い構成は、例えば、ローラーとステッピングモーターとの間に、トルクリミッタ、ギア列等といった部品が挟まれており、遊びが大きい構成である。遊びとは、ステッピングモーターの駆動が、ローラーの動作に反映されない範囲のことである。
なお、構成Ct2は、実施の形態1のペーパーテンション制御機構50に適用してもよい。すなわち、図2および図3のペーパーテンション制御機構50において、バネ7の代わりにバネ7Aを使用してもよい。
<変形例3>
本変形例の構成は、検知ローラーR5の移動を検知するための構成を、実施の形態1の構成よりも小さくした構成(以下、「構成Ct3」ともいう)である。
以下においては、検知ローラーR5の移動を検知するために使用される構成を、「移動検知構成」ともいう。移動検知構成は、エンコーダー8およびフォトセンサー9で構成される。
構成Ct3が適用されたプリンター100が備えるペーパーテンション制御機構50は、エンコーダー8およびフォトセンサー9の代わりに、検知部品を備える。検知部品は、エンコーダー8よりサイズが小さい。検知部品は、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する機能を有する。検知部品は、例えば、マイクロスイッチ、プッシュスイッチ等のスイッチである。なお、検知部品は、例えば、圧力センサーであってもよい。なお、構成Ct3では、パルスカウンター14またはパルス幅検知部15の代わりに、検知部品が、検知ローラーR5の位置が変化したことを検知する。
以上説明したように、本変形例によれば、実施の形態1よりも省スペースでペーパーテンション制御機構50を構成することが可能となる。すなわち、ペーパーテンション制御機構50を小型化できる。
なお、構成Ct3は、構成Ct1、または、構成Ct2に適用してもよい。
現在では、従来から開発されてきた、ペーパーの片面に印画する熱転写型プリンターが既に広く普及している。そのため、現在では、高付加価値を生み出しやすい両面プリントが可能な熱転写型の両面プリンターの開発が増加してきている。
両面プリンターでは、片面プリンターではあまり気にされていなかった、ペーパーの裏面の状態も重要視される。そのため、両面プリンターで印刷を行う場合、ペーパーの搬送状態について、より気を使う必要がある。
また、ロール紙を使用する、ペーパーの反転機構を備えるプリンターでは、ペーパーが逆反りになることにより、ペーパーがガイド等に強く当たりやすいという問題がある。そのため、ペーパーの状態を適切に制御し、ペーパーを適切に搬送することが要求されている。
そこで、本実施の形態のペーパーテンション制御機構50(プリンター100)は上記のように構成される。そのため、当該ペーパーテンション制御機構50(プリンター100)は、上記の要求を満たすことができる。
(機能ブロック図)
図11は、ペーパーテンション制御機構BL10の特徴的な機能構成を示すブロック図である。ペーパーテンション制御機構BL10は、実施の形態1、変形例1、変形例2および変形例3のいずれかに係るペーパーテンション制御機構50に相当する。つまり、図11は、ペーパーテンション制御機構BL10の有する機能のうち、本発明に関わる主要な機能を示すブロック図である。
ペーパーテンション制御機構BL10は、主搬送ローラーBL1、補助搬送ローラーBL3および検知ローラーBL5を備える。
主搬送ローラーBL1および補助搬送ローラーBL3は、ペーパーが搬送される搬送経路のうち、互いに離れた位置に設けられている。前記補助搬送ローラーBL3は、前記主搬送ローラーBL1に向けて前記ペーパーを搬送する。前記主搬送ローラーBL1は、前記補助搬送ローラーBL3から搬送された前記ペーパーを搬送する。検知ローラーBL5は、前記搬送経路のうち、前記主搬送ローラーBL1と前記補助搬送ローラーBL3との間の位置に設けられている。
主搬送ローラーBL1は、主搬送ローラーR1に相当する。また、補助搬送ローラーBL3は、補助搬送ローラーR3に相当する。検知ローラーBL5は、検知ローラーR5に相当する。
また、前記検知ローラーBL5は、搬送されている前記ペーパーに当該検知ローラーが接触した状態で、当該ペーパーの主面と交差する方向において移動自在に構成されている。前記補助搬送ローラーBL3は、前記検知ローラーBL5の位置の変化に基づいて、前記ペーパーの搬送速度を制御する。
(その他の変形例)
以上、本発明に係るペーパーテンション制御機構およびプリンターについて、実施の形態および各変形例に基づいて説明したが、本発明は、当該実施の形態および各変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を実施の形態および各変形例に施したものも、本発明に含まれる。つまり、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態、各変形例を自由に組み合わせたり、実施の形態、各変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
また、ペーパーテンション制御機構50は、図で示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、ペーパーテンション制御機構50は、本発明の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。
また、本発明は、ペーパーテンション制御機構50が備える特徴的な構成部の動作をステップとするペーパーテンション制御方法として実現してもよい。