JP6947580B2 - ガス発生器 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等衝突時に乗員を保護する乗員保護装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、自動車等に装備されるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関する。
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を発火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
ガス発生器には、種々の構造のものが存在するが、運転席側エアバッグ装置や助手席側エアバッグ装置等に特に好適に利用できるガス発生器として、外径が比較的大きい短尺略円柱状のディスク型ガス発生器がある。
ディスク型ガス発生器は、軸方向の両端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有し、ハウジングの周壁部に複数個のガス噴出口が設けられるとともに、ハウジングに組付けられた点火器に面するようにハウジングの内部に伝火薬が収容され、さらに当該伝火薬を囲うようにハウジングの内部にガス発生剤が充填され、当該ガス発生剤の周囲をさらに囲うようにフィルタがハウジングの内部に収容されてなるものである。
このディスク型ガス発生器の具体的な構成が開示された文献としては、たとえば特開2008−183939号公報(特許文献1)がある。
特開2008−183939号公報
ディスク型ガス発生器においては、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間がより短いことが好ましい。これは、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間が長い場合に、これがエアバッグの展開の遅れに繋がるためであり、如何に短時間のうちにガスを噴出させるかが重要な課題となっている。
特に、作動時におけるガス発生量が比較的大きく設定されたディスク型ガス発生器においては、作動時におけるガス発生量が比較的小さく設定されたディスク型ガス発生器に比べ、ガスが噴出されるまでの時間が長くなる傾向にある。これは、偏に、作動時におけるガス発生量が比較的大きく設定されたディスク型ガス発生器において、ガス発生剤の充填量が相対的に多くなることに起因している。
より詳細には、ガス発生剤の充填量が多くなることに伴い、必然的にハウジングが大型化し、結果として点火器からガス噴出口までの距離も長くなるため、作動開始直後に発生したガスがガス噴出口に至るまでにより長い経路を経ることが必要になり、これがガス噴出の遅れに繋がる。また、ガス発生剤の充填量が多くなることに伴い、作動開始直後における未燃焼のガス発生剤の量も必然的に多くなるため、これが作動開始直後に発生したガスに対する流動抵抗となってしまい、これもガス噴出の遅れに繋がる。
そのため、従来のディスク型ガス発生器においては、短時間のうちにガスを噴出させる観点から、ガス発生剤がより早期にかつより多く燃焼を開始することとなるように、伝火薬の充填量をより多くする等の対策が採られている。
しかしながら、伝火薬の充填量を増加させた場合にも、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間の短縮には限界があり、必ずしもこれを十分に早めることはできない。これは、伝火薬の充填量を単に増加させた場合には、点火器から離れた位置に配置された伝火薬に対する迅速な着火が行なえなくなり、結果として伝火薬の充填量を少なくした場合と大差がないこととなってしまうためである。
また、伝火薬の充填量を増加させた場合には、当然にこれに伴って製造コストが増大してしまう問題も別途発生し、その改善が求められているところである。
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、伝火薬の充填量を少なく抑えつつも、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるガス発生器を提供することを目的とする。
本発明に基づくガス発生器は、ハウジングと、点火器と、カップ状部材と、仕切り部とを備えている。上記ハウジングは、ガス噴出口が設けられた筒状の周壁部と、上記周壁部の軸方向の一端および他端を閉塞する天板部および底板部とを含んでおり、ガス発生剤が収容された燃焼室を内部に有している。上記点火器は、上記底板部に組付けられており、作動時において着火する点火薬が収容された点火部を含んでいる。上記カップ状部材は、内部の空間が上記点火部に面するように、上記燃焼室に向けて突出して配置されている。上記仕切り部は、上記カップ状部材の内部の空間を上記底板部側の第1空間と上記天板部側の第2空間とに仕切るように、上記カップ状部材の内部に配置されている。上記仕切り部は、上記点火器の作動に伴って破裂または変形あるいは溶融可能となるように、上記点火部に対向して配置されている。上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第1空間が、伝火薬が充填された伝火室として構成されているとともに、上記第2空間が、空隙部として構成されている。上記仕切り部は、筒状部および底部を含む有底筒状の仕切り部材の上記底部にて構成されており、上記仕切り部材は、上記カップ状部材に圧入されることで固定されている。上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記筒状部が上記仕切り部としての上記底部よりも上記天板部側に配置されることにより、上記仕切り部としての上記底部の位置決めが、上記筒状部によって行なわれている。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記仕切り部が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記仕切り部が、上記カップ状部材よりも脆弱であることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カップ状部材が、上記点火器の作動に伴う上記伝火薬の燃焼により上記第1空間および上記第2空間を規定する部分の全体が破裂または溶融する部材にて構成されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カップ状部材が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であってもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記カップ状部材の外側表面によって上記燃焼室が規定されるように、上記ガス発生剤が、上記カップ状部材に隣接して配置されていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記仕切り部にスコアが設けられていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記筒状部が、外側に向けて折り返された折返し部を上記天板部側の端部に含んでいてもよく、その場合には、上記折返し部が上記カップ状部材の側壁部に当接することにより、上記仕切り部材が、上記カップ状部材に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、伝火薬の充填量を少なく抑えつつも、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるガス発生器とすることができる。
本発明の実施の形態1におけるディスク型ガス発生器の概略図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作を説明するための模式図である。 第1変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。 第2変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。 第3変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。 第4変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。 比較例1に係るディスク型ガス発生器の概略図である。 比較例2に係るディスク型ガス発生器の概略図である。 検証試験の試験条件および試験結果を示す表である。 本発明の実施の形態2におけるディスク型ガス発生器の概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるディスク型ガス発生器の概略図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1に示すように、ディスク型ガス発生器1Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、仕切り部材55、伝火薬59、ガス発生剤61、下側支持部材70、上側支持部材80、クッション材85およびフィルタ90等が収容されてなるものである。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容された燃焼室60が位置している。
ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視した状態において非点対称形状(たとえばD字状、樽型形状、長円形状等)の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
点火器40は、火炎を発生させるためのものであり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42とを備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する塞栓とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。
これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。なお、開口部15は、上述したように平面視非点対称形状に形成されているため、当該開口部15を連結部33で埋め込むことにより、これら開口部15および連結部33は、保持部30が底板部11に対して回転してしまうことを防止する回り止め機構としても機能する。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。
この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させること等により、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を原料として含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
なお、ここでは、樹脂成形部からなる保持部30を射出成形することで下部側シェル10に対する点火器40の固定を可能にした場合の構成例を例示したが、下部側シェル10に対する点火器40の固定に他の代替手段を用いることも可能である。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、仕切り部材55および伝火薬59が収容される空間をその内部に含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた空間が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容された燃焼室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70とによって挟み込まれている。ここで、下側支持部材70は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材85、上側支持部材80および天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。これにより、カップ状部材50の固定にかしめ固定や圧入固定を利用せずとも、カップ状部材50が底板部11から脱落することが防止できる。
カップ状部材50は、側壁部52および頂壁部51のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた空間を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火薬59が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂または溶融するものであり、その機械的強度が比較的低い脆弱な部材からなる。ここで、カップ状部材50の、点火器40が作動することによって破裂または溶融する部分は、主として後述する第1空間S1および第2空間S2を規定する部分である。
そのため、カップ状部材50としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
なお、カップ状部材50の固定方法としては、上述した下側支持部材70を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ状部材50の内部の空間には、仕切り部材55が配置されている。仕切り部材55は、天板部21側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、底部としての仕切り部56と、当該仕切り部56の周縁から天板部21側に向けて延設された筒状部57とを有している。ここで、仕切り部材55は、仕切り部56が点火器40の点火部41に対向することとなるように、その軸方向がカップ状部材50の軸方向と合致するように配置されている。
これにより、カップ状部材50の内部の空間は、仕切り部材55の仕切り部56によって軸方向に2つの空間に仕切られている。これら2つの空間のうち、底板部11側に位置する第1空間S1には、伝火薬59が充填されており、これにより当該第1空間S1は、伝火室として構成されている。一方、これら2つの空間のうち、天板部21側に位置する第2空間S2は、伝火薬59等が収容されることなく空隙部として構成されている。
伝火室である第1空間S1は、カップ状部材50の側壁部52の一部と、仕切り部材55の仕切り部56と、保持部30の内側被覆部31と、点火器40の点火部41とによって規定されている。これにより、伝火薬59は、点火器40の点火部41に面すように配置されることになり、その大部分が、ハウジングの軸方向に沿って点火器40と空隙部である第2空間S2との間に位置することになる。
仕切り部材55は、仕切り部56に開口を有しておらず、伝火薬59が第1空間S1から第2空間S2に移動することを防止している。この仕切り部材55は、点火器40が作動した場合に、点火薬が燃焼することによって生じる推力によって、破裂または変形するものであり、その機械的強度が比較的低い脆弱な部材からなる。
そのため、仕切り部材55としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
ここで、仕切り部材55は、カップ状部材50に圧入されることで固定されていることが好ましい。すなわち、仕切り部材55の筒状部57の外周面が、カップ状部材50の側壁部52の内周面に圧接した状態とされていることが好ましい。このように構成することにより、仕切り部材55をカップ状部材50に容易に組付けることが可能になる。
また、上述のとおり、仕切り部材55の筒状部57が仕切り部56よりも天板部21側に位置することとなるように、仕切り部材55がカップ状部材50に挿入されていることが好ましい。このように構成することにより、当該筒状部57の天板部21側の端部をカップ状部材50の頂壁部51に当接させることができるため、これにより仕切り部56の位置決めを容易に行なうことが可能になる。
伝火室である第1空間S1に充填された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬59としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO32等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬59は、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬59の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
ハウジングの内部の空間のうち、上述したカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容された燃焼室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成された燃焼室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の頂壁部51の外側表面に面する部分に設けられた空間ならびに側壁部52の外側表面に面する部分に設けられた空間が燃焼室60として構成されている。これにより、カップ状部材50の外側表面には、これに隣接してガス発生剤61が配置されることになる。
また、ガス発生剤61が収容された燃焼室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ90が配置されている。フィルタ90は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されている。
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ90は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ90は、燃焼室60にて発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、燃焼室60内にて発生したガスが確実にフィルタ90中を通過するようにすることが必要である。なお、フィルタ90は、ハウジングの周壁部を構成する下部側シェル10の周壁部12および上部側シェル20の周壁部22との間で所定の大きさの間隙部28が形成されることとなるように、当該周壁部12,22から離間して配置されている。
フィルタ90に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、複数個のガス噴出口23が設けられている。この複数個のガス噴出口23は、フィルタ90を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口23を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ24が貼り付けられている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ24によって燃焼室60の気密性が確保されている。
燃焼室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側支持部材70が配置されている。下側支持部材70は、環状の形状を有しており、フィルタ90と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と底板部11とに実質的に宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材70は、燃焼室60の上記端部近傍において、底板部11とガス発生剤61との間に位置している。
下側支持部材70は、底板部11の内底面に沿うように底板部11に宛がわれた円環板状の基部71と、フィルタ90の底板部11寄りの内周面に当接する当接部72と、基部71から天板部21側に向けて立設された筒状の立設部73とを有している。当接部72は、基部71の外縁から延設されており、立設部73は、基部71の内縁から延設されている。立設部73は、カップ状部材50の延設部53を介して、下部側シェル10の突状筒部13の外周面と、保持部30の内側被覆部31の外周面とを覆っている。
下側支持部材70は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、下側支持部材70は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
ここで、上述したカップ状部材50の延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70の基部71との間に配置されている。これにより、当該先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と基部71とによって挟み込まれて保持されている。このように構成することにより、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70の基部71によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。
燃焼室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材80が配置されている。上側支持部材80は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ90と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材80は、燃焼室60の上記端部近傍において、天板部21とガス発生剤61との間に位置している。
上側支持部材80は、天板部21に当接する基部81と、当該基部81の周縁から立設された当接部82とを有している。当接部82は、フィルタ90の天板部21側に位置する軸方向端部の内周面に当接している。
上側支持部材80は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、上側支持部材80は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材80の内部には、燃焼室60に収容されたガス発生剤61に接触するように円盤状のクッション材85が配置されている。これにより、クッション材85は、燃焼室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。
クッション材85は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
図2は、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器の動作を説明するための模式図である。次に、この図2と前述の図1とを参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aの動作について説明する。なお、図2においては、カップ状部材50の内部の状態変化を(A)、(B)の順に時系列で表わしている。
図1を参照して、ディスク型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室である第1空間S1に収容された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼を開始する。
その際、図2(A)に示すように、点火器40が作動した直後においては、点火部41に装填されていた点火薬が急速に燃焼することによって点火部41のスクイブカップが破裂するとともに、当該点火薬が急速に燃焼することによって生じる推力が、伝火室である第1空間S1に充填された伝火薬59に伝播する。この推力は、主として点火器40の軸方向に沿って(すなわち、図中に示す矢印AR方向に向けて)、第1空間S1に充填された伝火薬59を伝播し、仕切り部材55の仕切り部56へと至る。
図2(B)に示すように、上記推力が仕切り部56に達することにより、脆弱な部材からなる仕切り部材55の仕切り部56は、破裂または変形する。この仕切り部56の破裂または変形は、点火薬が燃焼することによって生じる熱粒子による伝火薬59の着火とほぼ同時かそれよりも早く発生する。
ここで、仕切り部56が破裂した場合には、仕切り部56によって仕切られていた第1空間S1と第2空間S2とが連通することになり、伝火薬59が充填された空間の容積は、空隙部としての第2空間S2の容積分だけ瞬時に増加することになる。このとき、伝火薬59は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材50の内部において飛散し、分散した状態となる。
一方、仕切り部56が変形した場合には、伝火薬59が充填された空間の容積は、当該仕切り部56がカップ状部材50の頂壁部51側に向けて押し遣られた分だけ瞬時に増加することになる。このとき、伝火薬59は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材50の内部において飛散し、分散した状態となる。
このように仕切り部56が破裂または変形することにより、伝火薬59が充填された空間の容積が瞬時に増加するとともに、これに伴って伝火薬59がカップ状部材50の内部において分散した状態となるため、隣り合う伝火薬59同士の接触が解除されてその露出表面積が増加することに伴い、伝火薬59が位置する部分における伝火薬59の密度が大幅に減少することになる。これにより、点火薬が燃焼することで発生した熱粒子が、当該伝火薬59が分散した状態にあるカップ状部材50の内部に対して万遍なく行き渡ることになり、伝火薬59の燃焼が大幅に促進されることになる。
そのため、より短時間のうちにより点火器40から遠い位置にある伝火薬59についても熱粒子によって着火されてその燃焼を開始することになり、結果としてカップ状部材50の内部の空間の圧力上昇ならびに当該空間の温度上昇が大幅に促進されることとなる。その結果、より短時間のうちにカップ状部材50が破裂または溶融することになり、伝火薬59が燃焼することによって生じた多量の熱粒子が、燃焼室60へと早期に流れ込むことになる。
図1に示すように、多量の熱粒子が燃焼室60に流れ込むことにより、燃焼室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスが発生する。燃焼室60にて発生したガスは、フィルタ90の内部を通過し、その際、フィルタ90によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去されて間隙部28に流れ込む。
ガス発生剤61が燃焼することで生じるハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴い、上部側シェル20に設けられたガス噴出口23を閉鎖していたシールテープ24が開裂し、当該ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開する。
ここで、点火器40が作動することで発生する推力の伝播を受けて仕切り部材55の仕切り部56が破裂するかまたは変形するかは、仕切り部材55の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41と仕切り部56との間の距離、第1空間S1に充填された伝火薬59の密度等によって決まることになる。
また、上述した本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aにおいては、点火器40が作動することで発生する推力の伝播を受けて仕切り部材55の仕切り部56が破裂または変形することで、伝火薬59が充填された空間の容積が瞬時に増加するように構成した場合を例示したが、当該推力を利用するのではなく、伝火薬59の燃焼に伴う第1空間S1の圧力上昇を利用して仕切り部材55の仕切り部56が破裂または変形するように構成したり、あるいは、伝火薬59の燃焼に伴う第1空間S1の温度上昇を利用して仕切り部材55の仕切り部56が溶融するように構成したりすることにより、伝火薬59が充填された空間の容積が瞬時に増加するように構成することも可能である。
このように、伝火薬59の燃焼に伴う第1空間S1の圧力上昇や温度上昇を利用して仕切り部材55の仕切り部56を破裂または変形あるいは溶融させるためには、上述した仕切り部材55の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41と仕切り部56との間の距離、第1空間S1に充填された伝火薬59の密度等を種々調整すればよいが、特に仕切り部材を樹脂製の部材にて構成することにより、比較的容易にその実現が可能である。
なお、いずれの場合においても、仕切り部材55の仕切り部56は、カップ状部材50よりも脆弱であることが好ましい。仕切り部56をカップ状部材50よりも脆弱にする手法としては、これらの厚みを調整したり、これらの材質を異ならしめたり、これらの形状を工夫したりすること等が想定される。
このように構成することにより、カップ状部材50が破裂または溶融するに先立って仕切り部56を破裂または変形あるいは溶融させることが、比較的容易に実現できることになる。ただし、カップ状部材50が破裂または溶融するに先立って仕切り部56を破裂または変形あるいは溶融させることができる場合には、仕切り部材55の仕切り部56とカップ状部材50とが同等程度の機械的強度を有していてもよいし、カップ状部材50が仕切り部材55の仕切り部56よりも脆弱であってもよい。
以上において説明したように、上述したディスク型ガス発生器1Aとすることにより、伝火薬59の燃焼が促進されることによってガス発生剤61の燃焼をより早期に開始させることが可能になるため、結果として点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を従来に比して短縮化することができる。また、仕切り部材55を追加することにより、部品点数は増加することになるものの、伝火薬59の充填量は大幅に少なくすることができ、点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を低コストに短縮化させることができる。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Aとすることにより、伝火薬59の充填量を少なく抑えつつも、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるディスク型ガス発生器とすることができる。
(第1変形例)
図3は、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。以下、この図3を参照して、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Bについて説明する。
図3に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Bは、仕切り部材55の仕切り部56に凸部56aが設けられている点においてのみ、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとその構成が相違している。
具体的には、ディスク型ガス発生器1Bにおいては、仕切り部56の一部をカップ状部材50の頂壁部51側に向けて膨出させることで環状の凸部56aが設けられており、これにより仕切り部56が断面視波状の凹凸を有するように構成されている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、伝火室である第1空間S1への伝火薬59の装填の際に、より高密度に伝火薬59を充填することが可能になる効果も得られる。
なお、仕切り部56の凹凸形状としては、上述したものに限らず、どのような形状のものであってもよい。たとえば、仕切り部56の一部を第1空間S1側に向けて膨出させることで環状の凸部を設けてもよいし、仕切り部56の全体を湾曲させることとしてもよい。また、仕切り部56に点列状または行列状に複数の凸部または凹部を設けることとしてもよい。
(第2変形例)
図4は、上述した実施の形態1に基づいた第2変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。以下、この図4を参照して、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Cについて説明する。
図4に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Cは、仕切り部材55の仕切り部56にスコア56bが設けられている点においてのみ、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとその構成が相違している。
具体的には、ディスク型ガス発生器1Cにおいては、仕切り部56の第1空間S1側の主面にスコア56bが設けられている。当該スコア56bは、仕切り部56の略中央部を中心として平面視十字状またはアスタリスク状に設けられていることが好ましい。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、点火器40の作動時においてより確実に仕切り部56が破裂または変形等することになり、伝火薬59の燃焼の促進を確実ならしめる効果を得ることができる。
なお、スコア56bは、必ずしも仕切り部56の第1空間S1側の主面に設けられている必要はなく、カップ状部材50の頂壁部51側の主面に設けられていてもよい。また、スコア56bの形状は、上述したものに限られず、その形状を必要に応じて種々変更することが可能である。
(第3変形例)
図5は、上述した実施の形態1に基づいた第3変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。以下、この図5を参照して、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Dについて説明する。
図5に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Dは、仕切り部材55の筒状部57の仕切り部56側の端部とは反対側の端部に、外側に向けて折り返された折返し部58が設けられている点においてのみ、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとその構成が相違している。
具体的には、ディスク型ガス発生器1Dにおいては、カップ状部材50の頂壁部51側に位置する仕切り部56の端部に外側に向けて折り返された折返し部58が設けられており、当該折返し部58がカップ状部材50の側壁部52に当接するように、仕切り部材55がカップ状部材50に圧入されて固定されている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、カップ状部材50に対する仕切り部材55の固定を確実ならしめる効果を得ることができる。
(第4変形例)
図6は、上述した実施の形態1に基づいた第4変形例に係るディスク型ガス発生器の要部の拡大断面図である。以下、この図6を参照して、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Eについて説明する。
図6に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1Eは、カップ状部材50の頂壁部51と側壁部52とが略直交するように、これら頂壁部51と側壁部52とが接続された形状を有している点においてのみ、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとその構成が相違している。
具体的には、カップ状部材50の頂壁部51と側壁部52とが略直交するように構成されることにより、仕切り部材55の筒状部57の開口端側の端部が、これら頂壁部51と側壁部52との内隅部に当接するように配置されている。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、カップ状部材50に対する仕切り部材55の位置決めを確実ならしめる効果を得ることができる。
(検証試験)
以下においては、本発明の効果を確認した検証試験について説明する。検証試験においては、実施例として、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aを4個製作するとともに、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1X,1Yをそれぞれ4個ずつ製作した。
実施例および比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1A,1X,1Yは、いずれも、作動時におけるガス発生量が比較的大きく設定されたものであり、ガス発生剤の充填量および伝火薬の充填量を同じにすることにより、それらのガス発生量は、いずれも約3.0[mol]に設定されている。ここで、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aと、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1X,1Yとを比較した場合に、異なる点は、カップ状部材の構成および伝火薬の充填状態のみであり、その他の点については、いずれも共通の構成とした。
図1を参照して、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aは、カップ状部材50の内部に仕切り部材55が配置されてなるものであり、第1空間S1の容積は、約3217[mm3]であり、当該第1空間S1における伝火薬59の充填率は、約95[%]である。なお、第2空間S2の容積は、約1196[mm3]である。
図7は、比較例1に係るディスク型ガス発生器の概略図である。図7に示すように、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xは、実施例に係るディスク型ガス発生器1A(図1参照)と比較して、カップ状部材50の内部に仕切り部材55が配置されていない点においてのみ構成が相違している。ここで、伝火薬59が充填されたカップ状部材50の内部の空間の容積は、約4413[mm3]であり、当該空間における伝火薬59の充填率は、約70[%]である。
図8は、比較例2に係るディスク型ガス発生器の概略図である。図8に示すように、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yは、実施例に係るディスク型ガス発生器1A(図1参照)と比較して、カップ状部材50の内部に仕切り部材55が配置されていない点およびカップ状部材50が小型である点においてのみ構成が相違している。ここで、伝火薬59が充填されたカップ状部材50の内部の空間の容積は、約3220[mm3]であり、当該空間における伝火薬59の充填率は、約95[%]である。
すなわち、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xは、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、伝火薬59の充填量およびカップ状部材50の内部の空間の容積がほぼ同じであり、伝火薬59が充填された空間における伝火薬59の密度のみが相違している。一方、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yは、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、伝火薬59の充填量および伝火薬59が充填された空間における伝火薬59の密度がほぼ同じであり、カップ状部材50の内部の空間の容積のみが相違している。
検証試験においては、実施例および比較例1,2に係る各々4個のディスク型ガス発生器1A,1X,1Yを個別に所定の容積の密閉されたタンク内に設置するとともに、これを動作させてタンク内圧の上昇を経時的に計測することとし、これにより、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Tout、点火器が作動した時点から10[ms]後のタンク内圧P1、および、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P2を測定した。
このうち、P1およびP2は、点火器が作動した時点から比較的早い段階においてどの程度のガス出力が得られたかを示すものであり、当該P1およびP2の値が大きい程、より早期に多量のガスがディスク型ガス発生器から排出されていることになる。ここで、エアバッグ装置においては、より早期にエアバッグが膨張および展開することが重要であり、そのためには、点火器が作動した時点から比較的早い段階において高いガス出力が得られることが必要である。そのため、ディスク型ガス発生器としては、上記P1およびP2の値がより大きいことが好ましい。
なお、実施例および比較例1,2に係る各々4個のディスク型ガス発生器1A,1X,1Yのうち、2個については、これを水平状態に設置して動作させることとし、残る2個については、これを垂直状態に設置して動作させることとした。ここで、水平状態とは、ハウジングの軸方向が水平面と直交するように配置した状態を意味し、垂直状態とは、ハウジングの軸方向が水平面と平行となるように配置した状態を意味する。
図9は、当該検証試験の試験条件および試験結果を示す表である。なお、図9においては、合計で4個の実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにそれぞれサンプル番号1−4を割り当て、合計で4個の比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xにそれぞれサンプル番号5−8を割り当て、合計で4個の比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yにそれぞれサンプル番号9−12を割り当てている。
図9に示すように、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、Toutが、水平状態において平均値で4.8[ms]であり、垂直状態において平均値で5.6[ms]であった。一方、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xにおいては、Toutが、水平状態において平均値で4.6[ms]であり、垂直状態において平均値で9.1[ms]であった。また、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yにおいては、Toutが、水平状態において平均値で6.7[ms]であり、垂直状態において平均値で6.9[ms]であった。
また、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、P1が、水平状態において平均値で62.4[kPa]であり、垂直状態において平均値で46.5[kPa]であった。一方で、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xにおいては、P1が、水平状態において平均値で63.1[kPa]であり、垂直状態において平均値で11.8[kPa]であった。また、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yにおいては、P1が、水平状態において平均値で42.1[kPa]であり、垂直状態において平均値で36.2[kPa]であった。
さらに、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、P2が、水平状態において平均値で228.0[kPa]であり、垂直状態において平均値で209.2[kPa]であった。一方で、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xにおいては、P2が、水平状態において平均値で233.0[kPa]であり、垂直状態において平均値で165.4[kPa]であった。また、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yにおいては、P2が、水平状態において平均値で214.7[kPa]であり、垂直状態において平均値で199.3[kPa]であった。
上記の結果より、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、基本的に水平状態および垂直状態の如何と問わず、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Toutが、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1X,1Yのいずれよりも短いことが分かる。ただし、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aの水平状態においては、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xの水平状態とほぼ同様のToutとなっている。
また、上記の結果より、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、基本的に水平状態および垂直状態の如何と問わず、点火器が作動した時点から10[ms]後のタンク内圧P1が、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1X,1Yのいずれよりも大きいことが分かる。ただし、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aの水平状態においては、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xの水平状態とほぼ同様のP1となっている。
さらには、上記の結果より、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、基本的に水平状態および垂直状態の如何と問わず、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P2が、比較例1,2に係るディスク型ガス発生器1X,1Yのいずれよりも大きいことが分かる。ただし、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aの水平状態においては、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xの水平状態とほぼ同様のP2となっている。
ここで、ディスク型ガス発生器は、通常、車両のフロアに対してハウジングの軸方向が所定の角度をもった傾斜姿勢にて設置される場合が多い。また、車両が走行する路面の傾斜状態の変化に伴い、ディスク型ガス発生器の水平面に対する角度は、ある一定の角度範囲で常時変化することになる。そのため、ディスク型ガス発生器においては、上述したある一定の角度範囲内において、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間Toutが、所定の時間よりも早いことが求められるとともに、点火器が作動した時点から10[ms]後のタンク内圧P1、および、点火器が作動した時点から20[ms]後のタンク内圧P2が、いずれも大きい値をとることが求められる。
この点、比較例1に係るディスク型ガス発生器1Xは、伝火薬の充填率が相対的に低いことに伴い、ディスク型ガス発生器の傾斜状態が変化することでカップ状部材の内部の空間における伝火薬の位置に偏りが生じ、水平状態と垂直状態でTout,P1,P2に大きな変化が生じている。
これに対し、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yは、伝火薬の充填率が相対的に高いことに伴い、ディスク型ガス発生器の傾斜状態が変化してもカップ状部材の内部の空間における伝火薬の位置に偏りが生じ難く、結果として水平状態と垂直状態でTout,P1,P2に大きな変化は比較的生じていない。
一方、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aは、伝火薬の充填率が相対的に高いことに伴い、ディスク型ガス発生器の傾斜状態が変化してもカップ状部材の内部の空間における伝火薬の位置に偏りが生じ難く、結果として水平状態と垂直状態でTout,P1,P2に大きな変化は生じていないものの、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yよりはその差が大きくなっている。
しかしながら、実施例に係るディスク型ガス発生器1Aは、上述したように、比較例2に係るディスク型ガス発生器1Yよりも、水平状態および垂直状態のいずれにおいてもToutが短くかつP1,P2が大きくなっているため、この点において有利なものと判断できる。
以上により、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとすることにより、伝火薬59の充填量を少なく抑えつつも、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるディスク型ガス発生器とすることができることが、実験的にも確認されたと言える。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2におけるディスク型ガス発生器の概略図である。以下、この図10を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Fについて説明する。
図10に示すように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bは、下側支持部材70に隔壁部74が設けられている点においてのみ、上述した実施の形態1におけるディスク型ガス発生器1Aとその構成が相違している。
具体的には、隔壁部74は、下側支持部材70の立設部73がさらに天板部21側に向けて延設されることにより、ハウジングの軸方向に沿って燃焼室60の途中位置にまで達するように位置している。これにより、カップ状部材50の側壁部52の底板部11側の一部は、当該隔壁部74によって囲まれている。
また、隔壁部74の天板部21側の端部は、ハウジングの軸方向に沿って点火器40の点火部41の上面よりも天板部21側に配置されている。これにより、点火器40の点火部41は、ハウジングの径方向に沿って隔壁部74によって取り囲まれた状態とされている。
このように構成した場合には、ディスク型ガス発生器1Aの作動時において、点火器40に隣接して配置された部分の伝火薬59が燃焼することによって発生する熱粒子の飛散方向に所定の指向性を付与することができる。
ここで、一般に、点火器によって着火された伝火薬は、その燃焼によって基本的に放射状に燃え広がり、これに伴って伝火薬が燃焼することによって発生する熱粒子も、放射状に飛散ことになり、上述したような指向性を有していない。
しかしながら、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bにおいては、比較的機械強度の高い隔壁部74が、点火器40の点火部41およびその上方の空間をハウジングの径方向において取り囲むように設けられていることに伴い、隔壁部74に向けて飛散した熱粒子が、当該隔壁部74によって天板部21側に向けて飛散するようにその進行方向が変更される(換言すれば進行方向が絞られる)ことになるため、効率的に伝火薬59が天板部21側に向けて燃え広がるようになる。
これにより、点火器40から近い位置に配置された伝火薬59のみならず、点火器40から離れた位置に配置された伝火薬59に対しても、点火器40の作動開始時点から早期にその着火が行なえることになり、結果としてスムーズにガス発生剤61を燃焼させることが可能になる。そのため、ガス発生剤61も迅速に燃焼を開始することになり、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間が短縮できることになる。
このように、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器1Bとした場合には、上述した実施の形態1において説明した効果が得られるばかりでなく、さらに隔壁部74を設けることで、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間が短縮できることになり、これらの相乗効果によって、より早期にガスを噴出することができるディスク型ガス発生器とすることができる。
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、金属製の部材をプレス加工することによって成形されたプレス成形品にて上部側シェルおよび下部側シェルを構成した場合を例示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、プレス加工と他の加工(鍛造加工や絞り加工、切削加工等)との組み合わせによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよいし、上記他の加工のみによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、下部側シェルに突状筒部を設けた場合を例示したが、当該突状筒部が設けられない構成のガス発生器に本発明を適用することも当然に可能である。
さらには、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、カップ状部材として、点火器が作動することによって伝火薬が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂または溶融するものを使用した場合を例示して説明を行なったが、他の構成のカップ状部材を用いることとしてもよい。具体的には、カップ状部材として、ステンレス合金等の機械的強度の高い部材に開口を予め設けておき、当該開口をシールテープによって閉塞することで、作動時において当該シールテープの閉塞が破られるように構成されたものを使用することもできる。その場合には、上述した開口を、伝火室である第1空間を規定する部分のカップ状部材に設けることとしてもよいし、空隙部である第2空間を規定する部分のカップ状部材に設けることとしてもよい。
加えて、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして許容される範囲で当然に相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A〜1F ディスク型ガス発生器、10 下部側シェル、11 底板部、12 周壁部、13 突状筒部、14 窪み部、15 開口部、20 上部側シェル、21 天板部、22 周壁部、23 ガス噴出口、24 シールテープ、28 間隙部、30 保持部、31 内側被覆部、32 外側被覆部、33 連結部、34 雌型コネクタ部、40 点火器、41 点火部、42 端子ピン、50 カップ状部材、51 頂壁部、52 側壁部、53 延設部、54 先端部、55 仕切り部材、56 仕切り部(底部)、56a 凸部、56b スコア、57 筒状部、58 折返し部、59 伝火薬、60 燃焼室、61 ガス発生剤、70 下側支持部材、71 基部、72 当接部、73 立設部、74 隔壁部、80 上側支持部材、81 基部、82 当接部、85 クッション材、90 フィルタ、S1 第1空間、S2 第2空間。

Claims (4)

  1. ガス噴出口が設けられた筒状の周壁部と、前記周壁部の軸方向の一端および他端を閉塞する天板部および底板部とを含み、ガス発生剤が収容された燃焼室を内部に有するハウジングと、
    前記底板部に組付けられ、作動時において着火する点火薬が収容された点火部を含む点火器と、
    内部の空間が前記点火部に面するように、前記燃焼室に向けて突出して配置されたカップ状部材と、
    前記カップ状部材の内部の空間を前記底板部側の第1空間と前記天板部側の第2空間とに仕切るように、前記カップ状部材の内部に配置された仕切り部とを備え、
    前記仕切り部は、前記点火器の作動に伴って破裂または変形あるいは溶融可能となるように、前記点火部に対向して配置され、
    前記第1空間が、伝火薬が充填された伝火室として構成されているとともに、前記第2空間が、空隙部として構成され
    前記仕切り部が、筒状部および底部を含む有底筒状の仕切り部材の前記底部にて構成され、
    前記仕切り部材が、前記カップ状部材に圧入されることで固定され、
    前記筒状部が前記仕切り部としての前記底部よりも前記天板部側に配置されることにより、前記仕切り部としての前記底部の位置決めが、前記筒状部によって行なわれている、ガス発生器。
  2. 前記仕切り部が、前記カップ状部材よりも脆弱である、請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記カップ状部材が、前記点火器の作動に伴う前記伝火薬の燃焼により前記第1空間および前記第2空間を規定する部分の全体が破裂または溶融する部材にて構成されている、請求項1または2に記載のガス発生器。
  4. 前記筒状部が、外側に向けて折り返された折返し部を前記天板部側の端部に含み、
    前記折返し部が前記カップ状部材の側壁部に当接することにより、前記仕切り部材が、前記カップ状部材に固定されている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
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