JP2020128154A - ガス発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のガス発生器を提供する。【解決手段】ガス発生器1Aは、ハウジングの内部であってフィルタ70の内側の空間を第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とに仕切る仕切り部44と、第2点火器42を保持する第2ホルダ41とを備える。仕切り部44は、筒状の隔壁部材45とカップ状のカバー部材46とを有し、第2ホルダ41は、ハウジングの底板部11からフィルタ70の内側の空間に向けて突出するように配置される。仕切り部44は、隔壁部材45の底板部11側に位置する軸方向端部が第2ホルダ41に圧入されることにより、第2ホルダ41を介して底板部11に固定される。隔壁部材45には、底板部11側に位置する軸方向端部から天板部21側に向けて延びるスリット45cが設けられ、スリット45cは、カバー部材46の筒状部46bによって覆われる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両等衝突時に乗員を保護する乗員保護装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、自動車等に装備されるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関する。
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を発火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
ガス発生器には、種々の構成のものが存在するが、運転席側エアバッグ装置や助手席側エアバッグ装置等に特に好適に組み込まれるガス発生器として、外径が比較的大きい短尺略円柱状のディスク型ガス発生器がある。このディスク型ガス発生器にも、種々の構造のものが存在し、その一つとしてデュアル構造のディスク型ガス発生器がある。
デュアル構造のディスク型ガス発生器は、ハウジングの内部に設置された筒状のフィルタの内側に形成される燃焼室を2室に仕切るとともに、当該2室の各々にガス発生剤を充填し、さらにこれら2室に対応づけて2個の点火器を設け、通常は、一方の点火器が他方の点火器よりも遅れて作動するように構成されたものである。このデュアル構造のディスク型ガス発生器は、単一の燃焼室および単一の点火器のみを具備したシングル構造のディスク型ガス発生器に比べ、所望のガス出力を長時間にわたって維持できるといった、エアバッグの展開により適したガスの出力特性が得られるものである。
デュアル構造のディスク型ガス発生器においては、燃焼室を2室に仕切るためにハウジングの内部に圧力隔壁が設けられる。この圧力隔壁は、一般にカップ状の部材にて構成される場合が多く、その場合には、圧力隔壁の外側の空間が、先に燃焼が開始される第1ガス発生剤が収容される第1燃焼室として規定され、圧力隔壁の内側の空間が、遅れて燃焼が開始される第2ガス発生剤が収容される第2燃焼室として規定される。
ここで、カップ状の圧力隔壁の筒状の側壁部には、第2燃焼室にて発生したガスが第1燃焼室を介して外部に噴出されるようにするためのガス通過孔が設けられることになるが、当該ガス通過孔は、第1燃焼室における第1ガス発生剤の燃焼時において、未だ燃焼が開始されていない第2燃焼室に収容された第2ガス発生剤に影響を及ぼすことがないように封止されていることが必要になる。
そのため、たとえばデュアル構造のディスク型ガス発生器においては、上記圧力隔壁を、閉塞端を含むカップ部材と、当該閉塞端を覆うようにカップ部材に組付けられたカップ状の脆弱なカバー部材との2部材に分けて構成し、カップ部材の周壁にガス通過孔を設けることにより、第1ガス発生剤の燃焼時においては、カバー部材によってガス通過孔が閉塞され、第2ガス発生剤の燃焼時においては、第2ガス発生剤が燃焼することで生じる圧力によってガス通過孔を覆う部分のカバー部材に開裂が生じるようにし、これによって第2燃焼室と第1燃焼室とが連通するように構成される。
このような構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器が開示された文献としては、たとえば特開2007−131077号公報(特許文献1)が挙げられる。
特開2007−131077号公報
ここで、組付構造を簡素化することで組立作業を容易化し、これによって製造コストを削減する観点からは、上述した圧力隔壁をいわゆる圧入を利用してハウジングに対して固定することが好ましい。この点、上記特許文献1には、その詳細な説明はなされていないものの、点火器を保持する略円筒状の点火器カラーをハウジングに対して固定することとし、この点火器カラーに上述したカップ部材を嵌め込むことにより、当該カップ部材を含む圧力隔壁をハウジングに対して固定することが記載されている。
しかしながら、第2ガス発生剤が燃焼することで第2燃焼室において発生する圧力上昇は、一般に非常に急峻な圧力の立ち上がりを伴うものであり、この圧力の立ち上がりによって圧力隔壁に付与される衝撃力は、非常に大きいものとなる。そのため、何らの対策を講じることなく上述した圧入を利用した組付構造を採用した場合には、圧力隔壁がこの大きな衝撃力を受けることでハウジングから脱落してしまうおそれが非常に高くなる。この脱落が生じた場合には、ガス発生剤の燃焼が意図したものとはならず、そのため所望のガス出力が得られなくなることになり、性能面において信頼性に劣るものとなってしまう。
より詳細には、上記特許文献1に開示されるように、圧力隔壁としてのカップ部材を単に点火器カラーに嵌め込むこととした場合には、仮にそれが相当程度の高い組付強度が実現される圧入固定であったとしても、第2ガス発生剤の燃焼時においてカップ部材の閉塞端が上述した衝撃力を直接的に受けることになり、第1ガス発生剤の燃焼時において、第1燃焼室の圧力上昇に伴って既にハウジングが外側に向けて膨らむように変形していることも相まって、カップ部材が点火器カラーから脱落してしまうおそれがある。
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のガス発生器を提供することを目的とする。
本発明に基づくガス発生器は、ハウジングと、フィルタと、仕切り部と、第1点火器と、第2点火器と、ホルダとを備えている。上記ハウジングは、ガス噴出口が設けられた周壁部と、上記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部と、上記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部とを含んでいる。上記フィルタは、その外周面が上記周壁部の内周面に対向するように上記ハウジングの内部に収容された筒状の部材からなる。上記仕切り部は、上記天板部側に閉塞端を有する全体としてカップ状の形状を成しており、上記底板部に組付けられることにより、上記フィルタの内側の空間を、第1ガス発生剤が収容された第1燃焼室と、第2ガス発生剤が収容された第2燃焼室とに仕切っている。上記第1点火器は、上記仕切り部の外側の空間である上記第1燃焼室に面するように上記底板部に組付けられている。上記第2点火器は、上記仕切り部の内側の空間である上記第2燃焼室に面するように上記底板部に組付けられている。上記ホルダは、上記底板部に固定されるとともに上記第2点火器を保持することにより、上記第2点火器を上記底板部に組付けるものである。上記仕切り部は、軸方向の両端に開口を有しかつ上記ホルダに固定された筒状の隔壁部材と、上記隔壁部材に組付けられたカバー部材とを有している。上記カバー部材は、上記隔壁部材の上記天板部側に位置する開口を覆うことで上記閉塞端を構成する閉塞部と、上記閉塞部から上記仕切り部の軸方向に沿って延設されることで上記隔壁部材の外周面に密着してこれを覆う筒状部とを含むカップ状の形状を成している。上記ホルダは、上記底板部から上記フィルタの内側の空間に向けて突出するように配置されている。上記仕切り部は、上記隔壁部材の上記底板部側に位置する軸方向端部が上記ホルダに圧入されることにより、上記ホルダを介して上記底板部に組付けられている。上記隔壁部材には、上記底板部側に位置する軸方向端部から上記天板部側に向けて延びるスリットが設けられており、上記隔壁部材に設けられた上記スリットが、上記カバー部材の上記筒状部によって覆われている。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記スリットが、上記隔壁部材の上記底板部側に位置する軸方向端部から上記天板部側に位置する軸方向端部にまで達するように、上記隔壁部材の軸方向に沿って延設されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記フィルタの中心軸が上記周壁部の中心軸と重なるように、上記フィルタが、上記ハウジングと同軸上に配置されていてもよく、また、上記隔壁部材の中心軸が上記周壁部の中心軸と重ならないように、上記仕切り部が、上記ハウジングに対して偏心配置されていてもよい。その場合には、上記隔壁部材のうちの上記スリットが設けられた部分が上記周壁部の中心軸に最も近い位置に配置されていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記スリットの上記底板部寄りの端部である下側端部に嵌合する突出部が、上記ホルダの外周面に設けられていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記突出部が、上記スリットの上記下側端部を規定する部分の上記隔壁部材の表面および上記スリットの上記下側端部に面する部分の上記カバー部材の内周面に密着することにより、上記スリットの上記下側端部が、上記突出部によって閉塞されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第2点火器の作動時において、上記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる上記第2燃焼室の圧力上昇に起因して、上記カバー部材のうちの上記スリットに面する部分が開裂するように構成されていてもよい。その場合には、上記第2燃焼室にて発生したガスが、上記スリットを通過して上記第1燃焼室に導入されることになる。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第2点火器の作動時において、上記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる上記第2燃焼室の圧力上昇に起因して、上記カバー部材が上記天板部側に向けて移動することに伴い、上記スリットの上記底板部寄りの部分が開放されることで上記第1燃焼室と上記第2燃焼室とが連通するように構成されていてもよい。その場合には、上記第2燃焼室にて発生したガスは、上記スリットのうちの開放された部分を通過して上記第1燃焼室に導入されることになる。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第2点火器の作動時における上記カバー部材の移動が、上記天板部によって制限されるように構成されていてもよい。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、上記第1点火器の作動時において、上記第1ガス発生剤が燃焼することで生じる上記第1燃焼室の圧力上昇に起因して、上記天板部が外側に向けて膨らむように変形することにより、上記天板部と上記閉塞部との間の距離が増加するように構成されていてもよい。その場合には、この距離の増加分が、上記第2点火器の作動時における上記カバー部材の移動しろに含まれるように構成されていることが好ましい。
上記本発明に基づくガス発生器は、上記フィルタの上記天板部側の端部を支持するように上記フィルタの内側の空間に配置された上側支持部材をさらに備えていてもよい。その場合には、上記上側支持部材が、上記フィルタと上記天板部との境目部分を覆う宛がい部を含んでいてもよい。また、その場合には、上記隔壁部材の上記天板部側の端部が、上記宛がい部のうちの上記フィルタの上記天板部側の端部を覆う部分に上記周壁部の径方向において対向するように位置していることが好ましい。
本発明によれば、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のガス発生器とすることができる。
実施の形態1に係るディスク型ガス発生器の模式断面図である。 図1に示すII−II線に沿った模式断面図である。 図1に示す仕切り部の組付構造を示す分解斜視図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作時の第1段階を示す模式断面図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作時の第2段階を示す模式断面図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作時の第3段階を示す模式断面図である。 図6に示すVII−VII線に沿った模式断面図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作時の第3段階の他の例を示す模式断面図である。 図1に示す仕切り部の他の構成例を示す分解斜視図である。 第1変形例に係るディスク型ガス発生器の模式断面図である。 図10に示す領域XIの拡大図である。 図10に示す第2点火器組立体の組付構造を示す分解図である。 第2変形例に係るディスク型ガス発生器の模式断面図である。 図13に示す領域XIVの拡大図である。 図13に示す棚板部の他の構成例を示す拡大断面図である。 実施の形態2に係るディスク型ガス発生器の模式断面図である。 図16に示すXVII−XVII線に沿った第2点火器組立体の模式断面図である。 図16に示すディスク型ガス発生器の動作時の第2段階を示す模式断面図である。 実施の形態3に係るディスク型ガス発生器の模式断面図である。 図19に示すディスク型ガス発生器の動作時の第2段階を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるデュアル構造のディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るディスク型ガス発生器の模式断面図であり、図2は、図1に示すII−II線に沿った模式断面図である。また、図3は、図1に示す仕切り部の組付構造を示す分解斜視図である。まず、これら図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1および図2に示すように、ディスク型ガス発生器1Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての第1点火器組立体30、第2点火器組立体40、第1ガス発生剤51、第2ガス発生剤52、下側支持部材61、上側支持部材62、フィルタ70等が収容されてなるものである。
図1に示すように、ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とフランジ部23とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向(すなわち周壁部12,22の軸方向)の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
上部側シェル20に設けられたフランジ部23は、ディスク型ガス発生器1Aを外部の部材(たとえば、エアバッグ装置に設けられたリテーナ等)に固定するための部位である。フランジ部23の所定位置には、ハウジングの軸方向と平行な方向に沿って貫通するように貫通孔(図中において当該貫通孔は現われていない)が設けられている。当該貫通孔には、ボルト等の締結部材が挿入されることになり、これによりディスク型ガス発生器1Aが外部の部材に対して固定されることになる。
下部側シェル10の底板部11の所定位置には、第1開口部11aおよび第2開口部11bが設けられている。下部側シェル10の底板部11には、第1開口部11aを閉塞するように第1点火器組立体30が組付けられているとともに、第2開口部11bを閉塞するように第2点火器組立体40が組付けられている。ここで、第1開口部11aは、第1点火器組立体30の下端に設けられた後述する第1雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位であり、第2開口部11bは、第2点火器組立体40の下端に設けられた後述する第2雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位である。
第1点火器組立体30は、第1ホルダ31と、第1点火器32と、第1シール部材33と、カップ体34と、伝火薬36とを主として含んでいる。第1ホルダ31は、第1点火器組立体30のベースを構成するものであり、当該第1ホルダ31に第1点火器32およびカップ体34等が組付けられることにより、第1点火器組立体30が一体の部品として構成されている。
第1ホルダ31は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。天板部21側に位置する第1ホルダ31の上面には、上側凹部31aが設けられており、底板部11側に位置する第1ホルダ31の下面には、下側凹部31bが設けられている。また、上側凹部31aの底部ならびに下側凹部31bの底部を構成する部分の第1ホルダ31には、これら上側凹部31aおよび下側凹部31bに達するように貫通孔31cが設けられている。
また、第1ホルダ31の上面には、上側凹部31aを取り囲むようにかしめ部31d,31eが設けられている。このうちの内側に配置されたかしめ部31dは、第1点火器32を第1ホルダ31にかしめ固定するための部位であり、このうちの外側に配置されたかしめ部31eは、カップ体34を第1ホルダ31にかしめ固定するための部位である。
第1点火器32は、火炎を発生させるためのものであり、一般にスクイブと称される火工品からなる。第1点火器32は、基部32aと、点火部32bと、一対の端子ピン32cとを有している。基部32aは、点火部32bおよび一対の端子ピン32cを保持する部位であり、また第1ホルダ31に対して固定される部位でもある。点火部32bは、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体(ブリッジワイヤ)とを含んでいる。一対の端子ピン32cは、点火薬を着火させるために点火部32bに接続されている。
より詳細には、基部32aおよび点火部32bは、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン32cが挿通されてこれを保持する塞栓とを含んでおり、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン32cの先端を連結するように上述した抵抗体が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン32cを介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから第1点火器32が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
第1点火器32は、第1ホルダ31の貫通孔31cに一対の端子ピン32cが上方から挿入されるとともに第1ホルダ31の上側凹部31aに基部32aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部31dが折り曲げられることにより、第1ホルダ31に固定されている。
ここで、第1ホルダ31と第1点火器32との間には、Oリング等からなる第1シール部材33が介装されており、これによって第1ホルダ31と第1点火器32との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第1点火器32の固定方法は、上述したかしめ部31dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ体34は、底板部11側の端部が開口したカップ状の形状を成しており、内部に伝火薬36が収容された伝火室35を含んでいる。カップ体34は、伝火室35を規定する頂壁部34aおよび側壁部34bと、側壁部34bの開口端側の部分から径方向外側に向けて延設されたフランジ部34cとを有している。
カップ体34は、その内部に形成された伝火室35が第1点火器32の点火部32bに面するように第1ホルダ31に組付けられており、より詳細には、フランジ部34cが第1ホルダ31の上面に当て留めされた状態において、上述したかしめ部31eが折り曲げられることにより、第1ホルダ31に固定されている。
カップ体34は、頂壁部34aおよび側壁部34bのいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室35を取り囲んでいる。このカップ体34は、第1点火器32が作動することによって伝火薬36が着火された場合に伝火室35内の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂または溶融するものであり、その機械的強度は比較的低いものが使用される。
そのため、カップ体34としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
なお、カップ体34としては、このようなものの他にも、鉄や銅等に代表されるような機械的強度の高い金属製の部材からなり、その側壁部に開口を有し、当該開口を閉鎖するようにシール部材が設けられたもの等を利用することもできる。この場合においては、伝火薬36の燃焼により、当該シール部材が開裂または溶融することで上述した開口が開放されることになる。ここで、上述したシール部材としては、開口を閉鎖するようにカップ体に貼り付けが可能なシールテープや、開口を閉鎖するようにカップ体に対して圧入による組付けが可能なリング状シール体等が利用できる。シールテープとしては、たとえば片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、リング状シール体としては、上述した開口を閉鎖する薄板筒状の部位を含むアルミニウム製のプレス成形品等が好適に利用できる。また、カップ体34の固定方法も、上述したかしめ部31eを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
伝火室35に充填された伝火薬36は、第1点火器32が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬36としては、第1ガス発生剤51を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO32等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬36としては、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬36の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
第1ホルダ31の下端は、下部側シェル10の底板部11に設けられた第1開口部11aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第1ホルダ31に第1点火器32およびカップ体34等が組付けられることで一体化された第1点火器組立体30が、下部側シェル10に対して固定されることになる。
そのため、第1ホルダ31は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置するように構成されることになり、特に第1点火器組立体30の内部に設けられた伝火室35が、ハウジングの内部の空間に配置されることになる。ここで、底板部11と第1ホルダ31との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第1ホルダ31の下側凹部31bには、第1点火器32の一対の端子ピン32cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部31bおよび一対の端子ピン32cによって上述した第1雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第1雌型コネクタ部は、第1点火器32とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第1雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第1雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン32cとの電気的導通が実現されることになる。
第2点火器組立体40は、第2ホルダ41と、第2点火器42と、第2シール部材43と、仕切り部44と、第2ガス発生剤52とを主として含んでいる。第2ホルダ41は、第2点火器組立体40のベースを構成するものであり、当該第2ホルダ41に第2点火器42および仕切り部44等が組付けられることにより、第2点火器組立体40が一体の部品として構成されている。
第2ホルダ41は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。天板部21側に位置する第2ホルダ41の上面には、上側凹部41aが設けられており、底板部11側に位置する第2ホルダ41の下面には、下側凹部41bが設けられている。また、上側凹部41aの底部ならびに下側凹部41bの底部を構成する部分の第2ホルダ41には、これら上側凹部41aおよび下側凹部41bに達するように貫通孔41cが設けられている。
また、第2ホルダ41の上面には、上側凹部41aを取り囲むようにかしめ部41dが設けられている。かしめ部41dは、第2点火器42を第2ホルダ41にかしめ固定するための部位である。
第2点火器42は、火炎を発生させるためのものであり、上述した第1点火器32と同様に、一般にスクイブと称される火工品からなる。第2点火器42は、基部42aと、点火部42bと、一対の端子ピン42cとを有している。基部42aは、点火部42bおよび一対の端子ピン42cを保持する部位であり、また第2ホルダ41に対して固定される部位でもある。点火部42bは、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体(ブリッジワイヤ)とを含んでいる。一対の端子ピン42cは、点火薬を着火させるために点火部42bに接続されている。
なお、第2点火器42は、基本的には上述した第1点火器32と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第2点火器42は、第2ホルダ41の貫通孔41cに一対の端子ピン42cが上方から挿入されるとともに第2ホルダ41の上側凹部41aに基部42aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部41dが折り曲げられることにより、第2ホルダ41に固定されている。
ここで、第2ホルダ41と第2点火器42との間には、Oリング等からなる第2シール部材43が介装されており、これによって第2ホルダ41と第2点火器42との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第2点火器42の固定方法は、上述したかしめ部41dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
図1および図2に示すように、仕切り部44は、隔壁部材45とカバー部材46とを有しており、これら隔壁部材45およびカバー部材46が組み合わされることで全体としてカップ状の形状を成している。仕切り部44は、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ70の内側の空間を2室に仕切る圧力隔壁として機能する。
ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ70の内側の空間は、仕切り部44によって当該仕切り部44よりも外側の空間と当該仕切り部44よりも内側の空間とに仕切られており、このうちの前者の空間が第1燃焼室S1として規定されるとともに、このうちの後者の空間が第2燃焼室S2として規定される。
仕切り部44は、その内部に形成された第2燃焼室S2が第2点火器42の点火部42bに面するように第2ホルダ41に組付けられている。より詳細には、後述するように、仕切り部44のうちの隔壁部材45の下端に設けられた固定部45aが第2ホルダ41に圧入されることにより、仕切り部44が第2ホルダ41を介して底板部11に組付けられている。
仕切り部44の内部に位置する第2燃焼室S2には、第2ガス発生剤52が収容されている。第2ガス発生剤52は、第2点火器42が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。なお、第2ガス発生剤52の詳細については、後述することとする。
図1ないし図3に示すように、隔壁部材45は、軸方向の両端に開口を有する筒状の形状を成しており、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。隔壁部材45は、その軸方向がハウジングの軸方向と平行となるように配置されており、底板部11側に位置する開口端が、固定部45aとして機能している。
すなわち、固定部45aは、隔壁部材45のうちの、底板部11に固定された第2ホルダ41に対して圧入によって固定されてなる部位であり、当該固定部45aによって隔壁部材45が第2ホルダ41に組付けられることにより、当該隔壁部材45を含む仕切り部44が第2ホルダ41を介して底板部11に固定されることになる。
隔壁部材45には、底板部11側に位置する軸方向端部から天板部21側に向けて延びるスリット45cが設けられている。当該スリット45cは、隔壁部材45の底板部11側の軸方向端部(すなわち、固定部45aが位置する側の開口端)から天板部21側の軸方向端部(すなわち、固定部45aが位置する側とは反対側の開口端45b)にまで達するように隔壁部材45の軸方向に沿って延設されており、これにより隔壁部材45の軸方向と直交する断面形状は、C字状とされている。なお、スリット45cは、固定部45aにも設けられている。
カバー部材46は、底板部11側の端部が開口したカップ状の形状を成しており、隔壁部材45に組付けられている。カバー部材46は、隔壁部材45の天板部21側に位置する閉塞部46aと、当該閉塞部46aの周縁から仕切り部44の軸方向に沿って底板部11側に向けて延設された筒状部46bとを含んでいる。
カバー部材46は、閉塞部46aおよび筒状部46bのいずれにも開口を有しておらず、その内部に配置された隔壁部材45を取り囲んでいる。より詳細には、カバー部材46の閉塞部46aは、隔壁部材45の上述した開口端45bに設けられた開口を覆っており、カバー部材46の筒状部46bは、隔壁部材45の外周面を覆っている。また、隔壁部材45に設けられたスリット45cも、カバー部材46の筒状部46bによって覆われている。
ここで、カバー部材46は、好ましくは隔壁部材45に対して圧入されることで組付けられている。そのため、カバー部材46の筒状部46bの内周面は、隔壁部材45の外周面に密着した状態にあり、当該筒状部46bは、隔壁部材45に圧接触している。
これにより、隔壁部材45は、第1燃焼室S1に向けて露出することなく、カバー部材46によってその外側表面が完全に覆われた状態にあり、また、隔壁部材45およびカバー部材46によって構成された仕切り部44は、その閉塞端がカバー部材46の閉塞部46aによって構成されることになる。
カバー部材46は、隔壁部材45に比較してその機械的強度が比較的低い脆弱な部材にて構成されており、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材からなる。カバー部材46は、好ましくは金属製の板状部材をプレス加工したプレス成形品にて構成される。
図1に示すように、第2ホルダ41の下端は、下部側シェル10の底板部11に設けられた第2開口部11bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第2ホルダ41に第2点火器42および仕切り部44等が組付けられることで一体化された第2点火器組立体40が、下部側シェル10に対して固定されることになる。
そのため、第2ホルダ41は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置するように構成されることになり、特に第2点火器組立体40の内部に設けられた第2燃焼室S2が、ハウジングの内部の空間に配置されることになる。ここで、底板部11と第2ホルダ41との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第2ホルダ41の下側凹部41bには、第2点火器42の一対の端子ピン42cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部41bおよび一対の端子ピン42cによって上述した第2雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第2雌型コネクタ部は、第2点火器42とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第2雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第2雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン42cとの電気的導通が実現されることになる。
図1および図2に示すように、ハウジングの内部の空間には、上述した第1点火器組立体30および第2点火器組立体40に加え、フィルタ70が収容されている。フィルタ70は、円筒状の形状を成しており、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と合致するようにハウジングと同軸上に配置されている。これにより、フィルタ70は、その外周面がハウジングの周壁部の内周面に対向している。
フィルタ70は、その内側の空間に第1点火器組立体30および第2点火器組立体40が配置されるように、これら第1点火器組立体30および第2点火器組立体40を取り巻くように配置されている。これにより、フィルタ70の内側の空間であってかつ仕切り部44の外側の空間に、第1ガス発生剤51が収容される第1燃焼室S1が形成されることになる。なお、フィルタ70は、ハウジングの周壁部から所定の距離をもって配置されており、これによりハウジングの周壁部とフィルタ70との間には、ガス排出室S3が形成されている。
フィルタ70としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ70として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ70は、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがこのフィルタ70中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスが確実にフィルタ70中を通過するように構成することが必要になる。
ここで、第1点火器組立体30は、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように偏心配置されており、第2点火器組立体40も、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように(すなわち、仕切り部44の中心軸(より厳密には隔壁部材45の中心軸)がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように)偏心配置されている。このように構成することにより、ハウジングの内部(特にフィルタ70の内側の空間)にデッドスペースが生じることが防止でき、ディスク型ガス発生器1Aを全体として小型に構成することができる。
第1燃焼室S1には、第1ガス発生剤51が収容されている。より具体的には、第1ガス発生剤51は、フィルタ70の内側の空間であってかつ第1点火器組立体30のカップ体34の頂壁部34aおよび側壁部34bに隣り合う空間、ならびに、フィルタ70の内側の空間であってかつ第2点火器組立体40の仕切り部44の側壁部に隣り合う空間に配置されている。第1ガス発生剤51は、第1点火器32が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。
上述した第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてこれら第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅や塩基性炭酸銅等の塩基性金属水酸化物、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤の形状の他にもガス発生剤の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
ここで、第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52は、それらの組成が同じものであってもよいし、それらの組成が異なるものであってもよい。また、第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52は、それらの形状や大きさが同じものであってもよいし、それらの形状や大きさが異なるものであってもよい。
フィルタ70に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、ガス排出室S3に面するように複数個のガス噴出口24が設けられている。この複数個のガス噴出口24は、フィルタ70を通過したガスをハウジングの外部にガス排出室S3を介して導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口24を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ25が貼り付けられている。このシールテープ25としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ25によってハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
図1に示すように、第1燃焼室S1のうち、底板部11側に位置する端部には、下側支持部材61が配置されている。下側支持部材61は、環状の形状を成しており、フィルタ70と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ70と底板部11とに宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材61は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、底板部11と第1ガス発生剤51との間に位置している。
下側支持部材61は、フィルタ70をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ70の内部を経由することなくフィルタ70の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。下側支持部材61は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
第1燃焼室S1のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材62が配置されている。上側支持部材62は、略円盤状の形状を成しており、フィルタ70と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ70と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材62は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、天板部21と第1ガス発生剤51との間に位置している。
上側支持部材62は、フィルタ70をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ70の内部を経由することなくフィルタ70の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。上側支持部材62は、上述した下側支持部材61と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材62の内部には、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤51に接触するように平面視略C字状のクッション材63が配置されている。これにより、クッション材63は、第1燃焼室S1の天板部21側の部分において天板部21と第1ガス発生剤51との間に位置することになり、第1ガス発生剤51を底板部11側に向けて押圧している。
クッション材63は、成形体からなる第1ガス発生剤51が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。なお、クッション材63は、第1ガス発生剤51の燃焼によって焼失するものである。
なお、第2ガス発生剤52の振動による破砕を防止する何らかの手当てが必要な場合には、第1ガス発生剤51の場合と同様に、これをクッション材を用いることで実現することができる。その場合には、円盤状のクッション材をカバー部材46の閉塞部46aと第2ガス発生剤52との間に配置するか、あるいは、円環板状のクッション材を第2点火器42を取り囲む部分の第2ホルダ41の上面と第2ガス発生剤52との間に配置するか、のいずれかとすることができる。
前者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤52が底板部11側に向けて押圧されることになり、後者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤52が天板部21側に向けて押圧されることになる。なお、前者の構成および後者の構成の双方を採用することとしてもよい。ここで、上述した第2ガス発生剤52を押圧するクッション材としては、第1ガス発生剤51を押圧するクッション材63と同様の材質ものを利用することができる。
図4ないし図6は、それぞれ本実施の形態に係るディスク型ガス発生器の動作時の第1ないし第3段階を示す模式図である。また、図7は、図6に示すVII−VII線に沿った模式断面図である。次に、これら図4ないし図7を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aの動作について説明する。
ディスク型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電を受け、まずは第1点火器32が作動する。
図4に示すように、第1点火器32が作動した第1段階においては、第1点火器32の点火部32bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32bが破裂する。これにより、カップ体34の内部に収容された伝火薬36が着火されて燃焼する。
伝火薬36が燃焼することにより、伝火室35の内部において多量の熱粒子が発生し、伝火室35の温度および圧力が上昇することで脆弱な部材からなるカップ体34が破裂または溶融する。カップ体34が破裂または溶融することにより、上述した多量の熱粒子が第1燃焼室S1へと流れ込む。
多量の熱粒子が第1燃焼室S1へと流れ込むことにより、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤51が順次着火されて燃焼し、これによって第1燃焼室S1において多量のガスが発生する。第1燃焼室S1にて発生したガスは、フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込む。
次いで、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、複数個のガス噴出口24を閉鎖していたシールテープ25が開裂する。これにより、第1燃焼室S1にて発生したガスの複数個のガス噴出口24を介してのハウジングの外部に向けての噴出が開始される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第1段階において、複数個のガス噴出口24からディスク型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、当該ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
このとき、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21は、外側に向けて膨らむように変形する。これにより、カバー部材46の閉塞部46a(すなわち、仕切り部44の閉塞端)と、天板部21との間の距離が増加することになる。
一方で、この第1段階においては、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、カバー部材46が隔壁部材45に対して押し付けられることになる。そのため、隔壁部材45の天板部21側の開口がカバー部材46の閉塞部46aによって閉塞されるとともに、カバー部材46の筒状部46bが隔壁部材45の外周面に密着した状態が維持されることになる。そのため、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤52に第1ガス発生剤51の燃焼の影響が及ぶことがない。
次に、上述した第1点火器32の作動から所定時間遅れたタイミングで、上述したコントロールユニットからの通電を受けて第2点火器42が作動する。
図5に示すように、第2点火器42が作動した第2段階においては、第2点火器42の点火部42bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部42bが破裂する。これにより、第2燃焼室S2に収容された第2ガス発生剤52が順次着火されて燃焼を開始する。
ここで、第2ガス発生剤52の燃焼の開始に先立って、第1ガス発生剤51が予め着火されて燃焼していることにより、ディスク型ガス発生器1Aが全体として既に高温に加熱された状態にあるため、点火部42bと第2ガス発生剤52との間に伝火薬を設けずとも、第2ガス発生剤52の燃焼がスムーズに開始されることになり、また当該第2ガス発生剤52の燃焼が途切れ難くなる。
その際、第2ガス発生剤52が燃焼することで生じる第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、隔壁部材45に組付けられたカバー部材46に圧力が付与されることになり、カバー部材46のうちの閉塞部46aには、主としてハウジングの軸方向に沿った方向に当該圧力が作用する。これにより、カバー部材46は、筒状部46bの内周面が隔壁部材45の外周面に概ね密着した状態が維持されつつ、その全体が上部側シェル20の天板部21側に向けて移動することになる。
なお、このとき、隔壁部材45にも圧力が付与されることになるが、隔壁部材45の天板部21側の端部が閉塞されていない開口端45bとして構成されているため、隔壁部材45には、ハウジングの軸方向に沿った方向には大きな圧力は付与されず、そのため隔壁部材45が天板部21側に向けて移動することはない。
ここで、本実施の形態においては、この第2段階におけるカバー部材46の移動が所定量だけ生じた時点で、カバー部材46の移動が、天板部21によって制限されるように構成されている。すなわち、カバー部材46が、上側支持部材62を介して天板部21に当接することにより、カバー部材46が停止することになる。このカバー部材46が停止し時点においては、閉塞部46aおよびその近傍に歪な変形が生じるものの、筒状部46bには大きな変形は生じず、隔壁部材45の外側表面の大部分がカバー部材46によって覆われた状態が維持される。
上述したカバー部材46の天板部21側に向けての移動に伴い、隔壁部材45に設けられたスリット45cの底板部11寄りの部分である下側端部は、第1燃焼室S1に向けて開放されることになる。そのため、第2段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、スリット45cの当該下側端部を介して連通した状態となり、第2燃焼室S2にて発生したガスの当該下側端部を介しての第1燃焼室S1への導入が開始される(矢印AR2参照)。
ここで、カバー部材46が停止した時点においては、上述したスリット45cの下側端部を介してのガスの通過のみが許容された状態となるため、当該下側端部の流路断面積を十分に絞ることにより、引き続き第2燃焼室S2の内圧が適切に高められた状態が維持されることになる。したがって、第2ガス発生剤52の燃焼が持続することになり、当該第2段階においては、第2燃焼室S2の内圧上昇が継続することになる。
第2燃焼室S2にて発生し、上述したスリット45cの下側端部を介して第1燃焼室S1に導入されたガスは、その後フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口24を介してハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第2段階において、複数個のガス噴出口24からディスク型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
次に、図6および図7に示すように、第2燃焼室S2の内圧が所定の圧力にまで上昇することに伴い、脆弱な部材からなるカバー部材46のうち、隔壁部材45に設けられたスリット45cに面する部分に破裂または溶融が生じ、これによってカバー部材46が開裂する。そのため、第3段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、スリット45cの全体を介して連通した状態となり、第2燃焼室S2にて発生したガスが、スリット45cの全体を介して第1燃焼室S1へと導入されることになる(矢印AR3参照)。
このとき、カバー部材46の筒状部46bのうち、隔壁部材45のスリット45cに面しない部分には、当該部分が隔壁部材45によって覆われていることで開裂は生じない。また、カバー部材46の閉塞部46aにも、当該閉塞部46aが上側支持部材62に当接していることで開裂は生じない。
一方で、カバー部材46の上述した移動に伴い、隔壁部材45の開口端45bよりも天板部21側に向けて突き出ることとなった部分のカバー部材46の筒状部46bには、場合によっては開裂が生じることもあり得る。当該部分に開裂が生じるか否かは、カバー部材46の厚みや材質、隔壁部材45に設けられたスリット45cの大きさ、第2段階におけるカバー部材46の天板部21側に向けての移動量等に代表されるような各種の条件によって決まる。ここでは、当該部分において開裂が生じないものとし、当該部分に開裂が生じる場合の動作については、後において詳述することとする。
第2燃焼室S2にて発生し、上述したスリット45cの全体を介して第1燃焼室S1に導入されたガスは、その後フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口24を介してハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第3段階において、複数個のガス噴出口24からディスク型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
その後、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤51および第2燃焼室S2に収容された第2ガス発生剤52のすべてが燃焼し尽くすことにより、ディスク型ガス発生器1Aの動作が完了する。
以上において説明した本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、上述したように、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とを仕切る圧力隔壁としての仕切り部44を、スリット45cが設けられてなる筒状の隔壁部材45と、脆弱な部材からなるカップ状のカバー部材46とによって構成することとし、当該隔壁部材45の底板部11側の軸方向端部(すなわち固定部45a)を第2ホルダ41に圧入することにより、当該仕切り部44を底板部11に組付けることとしている。
ここで、隔壁部材45には、その底板部11側の軸方向端部に達するようにスリット45cが形成されているため、上述した第2ホルダ41に対する隔壁部材45の圧入の際に、隔壁部材45の当該軸方向端部が拡径するように弾性変形することにより、隔壁部材45をスムーズに第2ホルダ41に対して固定することができる。そのため、仕切り部44の底板部11に対する組付構造を簡素化することができ、その組付け作業も大幅に容易化することになる。
また、隔壁部材45は、その天板部21側の軸方向端部が開口端45bとして構成されたものであるため、第2ガス発生剤52の燃焼時において、上述したようにハウジングの軸方向に沿った方向に隔壁部材45に圧力が付与されることがない。そのため、隔壁部材45が脱落してしまうことが十分に防止可能となり、所望のガス出力がより確実に得られることになる。
したがって、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aとすることにより、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。これにより、高性能のデュアル構造のディスク型ガス発生器を低コストに提供することが可能になる。
ここで、図7を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、隔壁部材45のうちのスリット45cが設けられた部分が、ハウジングの周壁部の中心軸に最も近い位置に配置されるように、仕切り部44が位置決めして底板部11に対して組付けられている。特に、本実施の形態においては、隔壁部材45に設けられたスリット45cが、第1点火器32側を向くように位置している。
このように構成することにより、第2燃焼室S2にて発生したガスが第1燃焼室S1に導入されるに際して、仕切り部44から噴出される高温高圧のガスが、至近距離でフィルタ70に直接的に噴き付けられることが防止できる。そのため、高温高圧のガスが至近距離で噴き付けられることで生じ得るフィルタ70の破損が未然に防止できることになる。
また、図5を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、カバー部材46の移動しろに、当該ディスク型ガス発生器1Aの作動時における底板部11および天板部21の変形に伴う天板部21とカバー部材46の閉塞部46aとの間の距離の増加分が含まれるため、ディスク型ガス発生器1Aの動作前の状態(すなわち、図1に示す状態)において、当該閉塞部46aは、天板部21に宛がわれた上側支持部材62から離間して位置していてもよいし、当該上側支持部材62に当接していてもよい。
図8は、図1に示すディスク型ガス発生器の動作時の第3段階の他の例を示す模式断面図である。上述したディスク型ガス発生器1Aの動作時の第3段階は、第2燃焼室S2の内圧が所定の圧力に上昇した時点で、隔壁部材45のスリット45cに面する部分のカバー部材46のみに開裂が生じるものであったが(図6参照)、前述のとおり、第2段階におけるカバー部材46の移動に伴い、隔壁部材45の開口端45bよりも天板部21側に向けて突き出ることとなったカバー部材46の筒状部46bにも、開裂が生じる場合がある。図8は、その場合のディスク型ガス発生器1Aの動作を説明するものである。
図8に示すように、第3段階において、カバー部材46の上記部分においても開裂が生じた場合には、第2燃焼室S2にて発生したガスの一部が、当該部分を介してハウジングの径方向に沿って噴き出すことで第1燃焼室S1に導入されることになる(矢印AR4参照)。この場合には、仕切り部44の周壁部のうち、ハウジングの中心軸から最も遠い位置において仕切り部44から噴き出されたガスが、至近距離でフィルタ70に直接的に噴き付けられることで当該フィルタ70に破損が生じるおそれがある。
この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、図1を参照して、当該ディスク型ガス発生器1Aが動作する前の状態において、上側支持部材62のフィルタ70と天板部21との境目部分を覆う宛がい部のうちの、フィルタ70の天板部21側の端部を覆う部分に対して、ハウジングの径方向に沿って、隔壁部材45の天板部21側の端部が面するように構成されている。
このように構成することにより、カバー部材46の上記部分において開裂が生じた場合にも、特にフィルタ70により近い位置に配置された部分の仕切り部44から噴き出されたガスが、上側支持部材62に噴き付けられることでその進行方向が変更されることになり、もっぱら下部側シェル10の底板部11側に向けて噴き出すことになる。
そのため、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aとすることにより、第3段階において、隔壁部材45の開口端45bよりも天板部21側に向けて突き出ることとなった部分のカバー部材46の筒状部46bに開裂が生じた場合にも、フィルタ70に破損が生じることが未然に防止できることになる。
図9は、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器の他の構成例に係る仕切り部の分解斜視図である。上述したディスク型ガス発生器1Aに具備された仕切り部44の隔壁部材45は、底板部11側に位置する軸方向端部(すなわち固定部45a)から天板部21側に位置する軸方向端部(すなわち開口端45b)にまで達するように軸方向に沿ってスリット45cが設けられてなるものであったが、本構成例に係るディスク型ガス発生器1A’は、これに代えて図9に示す如くの形状の隔壁部材45’を備えてなるものである。
すなわち、図9を参照して、隔壁部材45’には、上述した隔壁部材45と同様に、底板部11側に位置する軸方向端部(すなわち固定部45a)から天板部21側に向けて延びるスリット45c’が設けられているものの、当該スリット45c’は、天板部21側に位置する軸方向端部(すなわち開口端45b)にまでは達しておらず、隔壁部材45’の軸方向の途中位置において途切れている。
しかしながら、このように構成した場合にも、隔壁部材45’の底板部11側の軸方向端部に達するようにスリット45c’が形成されている限りにおいては、第2ホルダ41に対する隔壁部材45’の圧入の際に、隔壁部材45’をスムーズに第2ホルダ41に対して固定することができる。したがって、このように構成した場合にも、上述したディスク型ガス発生器1Aとした場合と同様に、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、この他にも、軸方向に沿って断続的に延びる複数のスリットを設けるとともに、そのうちの最も底板部側に位置するスリットを底板部側の軸方向端部に達するように形成してなる隔壁部材や、底板部側の軸方向端部に達するようにスリットを設けるとともに、当該スリットが設けられた位置とは周方向において異なる位置に単数または複数の開口部が設けられてなる隔壁部材、底板部側の軸方向端部に達するスリットが周方向の異なる位置に複数設けられてなる隔壁部材等を用いることとした場合にも、上述した効果に準じた効果を得ることができる。
(第1変形例)
図10は、第1変形例に係るディスク型ガス発生器の模式断面図であり、図11は、図10に示す領域XIの拡大図である。また、図12は、図10に示す第2点火器組立体の組付構造を示す分解図である。以下、これら図10ないし図12を参照して、第1変形例に係るディスク型ガス発生器1A1について説明する。
本変形例に係るディスク型ガス発生器1A1は、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、構成の異なる第1点火器組立体30および第2点火器組立体40を具備している点においてのみ、その構造が相違するものである。
図10に示すように、第1点火器組立体30は、第1点火器32、第1シール部材33、カップ体34および伝火薬36に加え、第1ホルダ31としての点火器カラー37、棚板部38および樹脂成形部39を有している。点火器カラー37は、金属製の略円筒状の部材からなり、棚板部38は、金属製の円環平板状の部材からなる。一方、樹脂成形部39は、型を用いた射出成形によって形成された樹脂製の部位からなる。なお、本変形例に係る第1点火器32は、上述した基部32a(図1等参照)を有しておらず、点火部32bに一対の端子ピン32cが直接接続されてなるものである。
樹脂成形部39は、第1点火器32に固着しているとともに、棚板部38に固着している。これにより、第1点火器32、棚板部38および樹脂成形部39は、予め一体化された単一の部品として構成されている。この樹脂成形部39は、射出成形時において型を用いることにより、第1点火器32と棚板部38との間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。
より詳細には、上述した流動性樹脂材料を、棚板部38に設けられた貫通孔38aを経由して棚板部38の上面の一部から下面の一部にまで達するように当該棚板部38に付着させるとともに、第1点火器32にもこれを付着させ、この状態において流動性樹脂材料を固化させることにより、第1点火器32を樹脂成形部39を介して棚板部38に組付けることができる。これにより、棚板部38の貫通孔38aは、樹脂成形部39によって埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が樹脂成形部39によって確保できることになる。
樹脂成形部39は、棚板部38の上面側に設けられた上側成形部39aと、棚板部38の下面側に設けられた下側成形部39bとを有している。上側成形部39aは、外形が略円柱状であり、第1点火器32の点火部32bの外周面および下面を覆うことで当該点火部32bを保持している。上側成形部39aには、カップ体34の下端が嵌め込まれている。一方、下側成形部39bは、外形が略円柱状であり、当該下側成形部39bには、外部に向けて露出する凹部39cが設けられている。凹部39cの内部には、第1点火器32の一対の端子ピン32cが配置されており、これにより凹部39cと一対の端子ピン32cとによって第1雌型コネクタ部が構成されている。
点火器カラー37は、その下端が下部側シェル10の底板部11に設けられた第1開口部11aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、点火器カラー37は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置することになる。また、点火器カラー37の上端には、かしめ部37aが設けられている。かしめ部37aは、第1点火器32、棚板部38および樹脂成形部39を含む一体化された単一の部品を点火器カラー37にかしめ固定するための部位である。
点火器カラー37には、上述した第1点火器32、棚板部38および樹脂成形部39を含む予め一体化された単一の部品が組付けられている。より詳細には、点火器カラー37の中空部に、上記部品が上方から挿入され、この状態において点火器カラー37の上述したかしめ部37aが内側に向けて折り曲げられることにより、棚板部38の外周縁部が当該かしめ部37aによって巻き込まれることになり、これによって上記部品が点火器カラー37に固定されることになる。ここで、点火器カラー37と棚板部38との間には、Oリング等からなる第1シール部材33が介装されており、これによって当該部分におけるシール性が確保されている。
点火器カラー37は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。棚板部38は、たとえば普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
一方、樹脂成形部39の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
図10ないし図12に示すように、第2点火器組立体40は、第2点火器42、第2シール部材43、仕切り部44および第2ガス発生剤52に加え、第2ホルダ41としての点火器カラー47、棚板部48および樹脂成形部49を有している。点火器カラー47は、金属製の略円筒状の部材からなり、棚板部48は、金属製の円環平板状の部材からなる。一方、樹脂成形部49は、型を用いた射出成形によって形成された樹脂製の部位からなる。なお、本変形例に係る第2点火器42は、上述した基部42a(図1等参照)を有しておらず、点火部42bに一対の端子ピン42cが直接接続されてなるものである。
樹脂成形部49は、第2点火器42に固着しているとともに、棚板部48に固着している。これにより、第2点火器42、棚板部48および樹脂成形部49は、予め一体化された単一の部品として構成されている。この樹脂成形部49は、射出成形時において型を用いることにより、第2点火器42と棚板部48との間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。
より詳細には、上述した流動性樹脂材料を、棚板部48に設けられた貫通孔48aを経由して棚板部48の上面の一部から下面の一部にまで達するように当該棚板部48に付着させるとともに、第2点火器42にもこれを付着させ、この状態において流動性樹脂材料を固化させることにより、第2点火器42を樹脂成形部49を介して棚板部48に組付けることができる。これにより、棚板部48の貫通孔48aは、樹脂成形部49によって埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が樹脂成形部49によって確保できることになる。
樹脂成形部49は、棚板部48の上面側に設けられた上側成形部49aと、棚板部48の下面側に設けられた下側成形部49bとを有している。上側成形部49aは、外形が略円柱状であり、第2点火器42の点火部42bの外周面および下面を覆うことで当該点火部42bを保持している。一方、下側成形部49bは、外形が略円柱状であり、当該下側成形部49bには、外部に向けて露出する凹部49cが設けられている。凹部49cの内部には、第2点火器42の一対の端子ピン42cが配置されており、これにより凹部49cと一対の端子ピン42cとによって第2雌型コネクタ部が構成されている。
点火器カラー47は、その下端が下部側シェル10の底板部11に設けられた第2開口部11bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、点火器カラー47は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置することになる。また、点火器カラー47の上端には、かしめ部47aが設けられている。かしめ部47aは、第2点火器42、棚板部48および樹脂成形部49を含む一体化された単一の部品を点火器カラー47にかしめ固定するための部位である。
点火器カラー47には、上述した第2点火器42、棚板部48および樹脂成形部49を含む予め一体化された単一の部品が組付けられている。より詳細には、図12に示すように、点火器カラー47の中空部に、上記部品が上方から挿入され、この状態において点火器カラー47の上述したかしめ部47aが内側に向けて折り曲げられることにより、棚板部48の外周縁部が当該かしめ部47aによって巻き込まれることになり、これによって上記部品が点火器カラー47に固定されることになる。ここで、点火器カラー47と棚板部48との間には、Oリング等からなる第2シール部材43が介装されており、これによって当該部分におけるシール性が確保されている。
点火器カラー47は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。棚板部48は、たとえば普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
一方、樹脂成形部49の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
ここで、図10に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A1においても、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aの場合と同様に、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とを仕切る圧力隔壁としての仕切り部44を、スリット45cが設けられてなる筒状の隔壁部材45と、脆弱な部材からなるカップ状のカバー部材46とによって構成することとし、当該隔壁部材45の底板部11側の軸方向端部(すなわち固定部45a)を第2ホルダ41(より厳密には、第2ホルダ41の点火器カラー47)に圧入することにより、当該仕切り部44を底板部11に組付けることとしている。
したがって、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A1とした場合にも、上述した実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができ、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A1においては、第1点火器組立体30および第2点火器組立体40におけるシールを向上させるために、樹脂成形部39,49によってそれぞれ覆われることとなる棚板部38,48の表面の所定位置に、射出成形に先立って予め接着剤層を設けておくこととしてもよい。当該接着剤層は、棚板部38,48の所定位置に接着剤を塗布してこれを硬化させること等によってその形成が可能である。
このようにすれば、棚板部38と樹脂成形部39との間および棚板部48と樹脂成形部49との間にそれぞれ硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部39,49をそれぞれより強固に棚板部38,48に固着させることが可能になる。したがって、棚板部38,48に設けられた貫通孔38a,48aを囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することもできる。
ここで、棚板部38,48に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を原料として含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係るディスク型ガス発生器の模式断面図であり、図14は、図13に示す領域XIVの拡大図である。以下、これら図13および図14を参照して、第2変形例に係るディスク型ガス発生器1A2について説明する。
本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2は、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、構成の異なる第1点火器組立体30および第2点火器組立体40を具備している点においてのみ、その構造が相違するものである。
図13に示すように、第1点火器組立体30は、第1点火器32、カップ体34および伝火薬36に加え、第1ホルダ31としての点火器カラー37、棚板部38および樹脂成形部39を有している。点火器カラー37は、金属製の略円筒状の部材からなる。棚板部38は、円環平板状の主板部38Aと、下端にフランジ状の部位が設けられた筒状の付加板部38Bとの2部材にて構成されており、これら主板部38Aおよび付加板部38Bは、いずれも金属製の部材からなる。一方、樹脂成形部39は、型を用いた射出成形によって形成された樹脂製の部位からなる。なお、本変形例に係る第1点火器32は、上述した基部32a(図1等参照)を有しておらず、点火部32bに一対の端子ピン32cが直接接続されてなるものである。
樹脂成形部39は、第1点火器32に固着しているとともに、棚板部38および点火器カラー37に固着している。これにより、第1点火器32、点火器カラー37、棚板部38および樹脂成形部39は、予め一体化された単一の部品として構成されている。この樹脂成形部39は、射出成形時において型を用いることにより、第1点火器32と点火器カラー37および棚板部38との間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。
より詳細には、上述した流動性樹脂材料を、棚板部38に設けられた貫通孔38aを経由して棚板部38の上面の一部から下面の一部および点火器カラー37の内周面にまで達するように当該棚板部38および点火器カラー37に付着させるとともに、第1点火器32にもこれを付着させ、この状態において流動性樹脂材料を固化させることにより、第1点火器32を樹脂成形部39を介して点火器カラー37および棚板部38に組付けることができる。これにより、棚板部38の貫通孔38aが樹脂成形部39によって埋め込まれた状態となるとともに、点火器カラー37と棚板部38との間の隙間が樹脂成形部39によって覆われることになり、これら部分におけるシール性が樹脂成形部39によって確保できることになる。
樹脂成形部39は、棚板部38の主板部38Aの上面側に設けられた上側成形部39aと、棚板部38の主板部38Aの下面側に設けられた下側成形部39bとを有している。上側成形部39aは、外形が略円柱状であり、第1点火器32の点火部32bの外周面および下面を覆うことで当該点火部32bを保持している。上側成形部39aには、カップ体34の下端が嵌め込まれている。一方、下側成形部39bは、外形が略円柱状であり、当該下側成形部39bには、外部に向けて露出する凹部39cが設けられている。凹部39cの内部には、第1点火器32の一対の端子ピン32cが配置されており、これにより凹部39cと一対の端子ピン32cとによって第1雌型コネクタ部が構成されている。
点火器カラー37は、その下端が下部側シェル10の底板部11に設けられた第1開口部11aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、第1点火器32、点火器カラー37、棚板部38および樹脂成形部39を含む一体化された単一の部品は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置することになる。
また、点火器カラー37の上端には、かしめ部37aが設けられている。かしめ部37aは、カップ体34を点火器カラー37にかしめ固定するための部位である。すなわち、カップ体34は、そのフランジ部34cが棚板部38の上面に当て留めされた状態において、上述したかしめ部37aが折り曲げられることにより、第1ホルダ31のうちの点火器カラー37および棚板部38に固定されている。
なお、上述したように、樹脂成形部39によって点火器カラー37と棚板部38との間のシール性が確保されているため、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2においては、第1点火器組立体30にOリング等の第1シール部材33(図1参照)は設けられていない。
点火器カラー37は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。棚板部38を構成する主板部38Aおよび付加板部38Bは、いずれもたとえば普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
一方、樹脂成形部39の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
ここで、棚板部38を構成する付加板部38Bは、第1点火器32の点火部32bの外周面を取り囲むように、樹脂成形部39の上側成形部39aに埋設されている。このように、棚板部38に付加板部38Bを設けることにより、第1点火器32の作動時において、点火部32bのスクイブカップが径方向外側に向けて開く際に発生する衝撃を、当該付加板部38Bによって受け止めることができる。そのため、当該衝撃が樹脂成形部39の上側成形部39aに作用することで当該樹脂成形部39に亀裂等が発生することを未然に防止することができる。
なお、付加板部38Bは、樹脂成形部39を射出成形するに先立って予め主板部38Aに接合されていることが好ましい。当該接合には、たとえば溶接が好適に用いられ、付加板部38Bの下端に設けられたフランジ状の部位を主板部38Aに重ね合わせ、この重ね合わされた部分を溶接することにより、付加板部38Bを主板部38Aに接合することができる。
図13および図14に示すように、第2点火器組立体40は、第2点火器42、仕切り部44および第2ガス発生剤52に加え、第2ホルダ41としての点火器カラー47、棚板部48および樹脂成形部49を有している。点火器カラー47は、金属製の略円筒状の部材からなる。棚板部48は、円環平板状の主板部48Aと、下端にフランジ状の部位が設けられた筒状の付加板部48Bとの2部材にて構成されており、これら主板部48Aおよび付加板部48Bは、いずれも金属製の部材からなる。一方、樹脂成形部49は、型を用いた射出成形によって形成された樹脂製の部位からなる。なお、本変形例に係る第2点火器42は、上述した基部42a(図1等参照)を有しておらず、点火部42bに一対の端子ピン42cが直接接続されてなるものである。
樹脂成形部49は、第2点火器42に固着しているとともに、棚板部48および点火器カラー47に固着している。これにより、第2点火器42、点火器カラー47、棚板部48および樹脂成形部49は、予め一体化された単一の部品として構成されている。この樹脂成形部49は、射出成形時において型を用いることにより、第2点火器42と点火器カラー47および棚板部48との間の空間を充填するようにこれらの間に流動性樹脂材料を流し込んでこれを固化させることで形成することができる。
より詳細には、上述した流動性樹脂材料を、棚板部48に設けられた貫通孔48aを経由して棚板部48の上面の一部から下面の一部および点火器カラー47の内周面にまで達するように当該棚板部48および点火器カラー47に付着させるとともに、第2点火器42にもこれを付着させ、この状態において流動性樹脂材料を固化させることにより、第2点火器42を樹脂成形部49を介して点火器カラー47および棚板部48に組付けることができる。これにより、棚板部48の貫通孔48aが樹脂成形部49によって埋め込まれた状態となるとともに、点火器カラー47と棚板部48との間の隙間が樹脂成形部49によって覆われることになり、これら部分におけるシール性が樹脂成形部49によって確保できることになる。
樹脂成形部49は、棚板部48の主板部48Aの上面側に設けられた上側成形部49aと、棚板部48の主板部48Aの下面側に設けられた下側成形部49bとを有している。上側成形部49aは、外形が略円柱状であり、第2点火器42の点火部42bの外周面および下面を覆うことで当該点火部42bを保持している。一方、下側成形部49bは、外形が略円柱状であり、当該下側成形部49bには、外部に向けて露出する凹部49cが設けられている。凹部49cの内部には、第2点火器42の一対の端子ピン42cが配置されており、これにより凹部49cと一対の端子ピン42cとによって第2雌型コネクタ部が構成されている。
点火器カラー47は、その下端が下部側シェル10の底板部11に設けられた第2開口部11bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、第2点火器42、点火器カラー47、棚板部48および樹脂成形部49を含む一体化された単一の部品は、底板部11からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置することになる。
なお、上述したように、樹脂成形部49によって点火器カラー47と棚板部48との間のシール性が確保されているため、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2においては、第2点火器組立体40にOリング等の第2シール部材43(図1参照)は設けられていない。
ここで、点火器カラー47の上端には、かしめ部47aが設けられている。本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2にあっては、上述したように樹脂成形部49が点火器カラー47および棚板部48の双方に固着しているため、棚板部48は点火器カラー47に当該樹脂成形部49を介して固定された状態にはあるものの、上述したかしめ部47aを折り曲げて当該かしめ部47aによって棚板部48の外周縁を保持することとすれば、さらに棚板部48を点火器カラー47に対して強固に固定することができる。
点火器カラー47は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。棚板部48を構成する主板部48Aおよび付加板部48Bは、いずれもたとえば普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
一方、樹脂成形部49の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて使用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。
ここで、棚板部48を構成する付加板部48Bは、第2点火器42の点火部42bの外周面を取り囲むように、樹脂成形部49の上側成形部49aに埋設されている。このように、棚板部48に付加板部48Bを設けることにより、第2点火器42の作動時において、点火部42bのスクイブカップが径方向外側に向けて開く際に発生する衝撃を、当該付加板部48Bによって受け止めることができる。そのため、当該衝撃が樹脂成形部49の上側成形部49aに作用することで当該樹脂成形部49に亀裂等が発生することを未然に防止することができる。
なお、付加板部48Bは、樹脂成形部49を射出成形するに先立って予め主板部48Aに接合されていることが好ましい。当該接合には、たとえば溶接が好適に用いられ、付加板部48Bの下端に設けられたフランジ状の部位を主板部48Aに重ね合わせ、この重ね合わされた部分を溶接することにより、付加板部48Bを主板部48Aに接合することができる。
ここで、図13に示すように、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2においても、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aの場合と同様に、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とを仕切る圧力隔壁としての仕切り部44を、スリット45cが設けられてなる筒状の隔壁部材45と、脆弱な部材からなるカップ状のカバー部材46とによって構成することとし、当該隔壁部材45の底板部11側の軸方向端部(すなわち固定部45a)を第2ホルダ41(より厳密には、第2ホルダ41の点火器カラー47)に圧入することにより、当該仕切り部44を底板部11に組付けることとしている。
したがって、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2とした場合にも、上述した実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができ、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、本変形例に係るディスク型ガス発生器1A2においては、第1点火器組立体30および第2点火器組立体40におけるシールを向上させるために、樹脂成形部39,49によってそれぞれ覆われることとなる点火器カラー37,47の内周面あるいは棚板部38,48の表面の所定位置に、射出成形に先立って予め接着剤層を設けておくこととしてもよい。当該接着剤層は、点火器カラー37,47または棚板部38,48の所定位置に接着剤を塗布してこれを硬化させること等によってその形成が可能である。
このようにすれば、点火器カラー37または棚板部38と樹脂成形部39との間および点火器カラー47または棚板部48と樹脂成形部49との間にそれぞれ硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部39,49をそれぞれより強固に点火器カラー37,47または棚板部38,48に固着させることが可能になる。したがって、棚板部38,48に設けられた貫通孔38a,48aを囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することもできる。
ここで、点火器カラー37,47または棚板部38,48に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、具体的には、上述した実施の形態2において例示したものを利用することができる。
なお、点火器の点火部の外周面を取り囲むように設けられた付加板部を含む構成の棚板部は、必ずしも本変形例のように樹脂成形部を介して点火器カラーと一体化されている必要はなく、上述した第1変形例に係るディスク型ガス発生器1A1のように、点火器と棚板部とのみが樹脂成形部を介して一体化されている場合においても、当該構成の棚板部を採用することができる。
図15は、本変形例に係るディスク型ガス発生器の他の構成例に係る棚板部の構造を示す拡大断面図である。上述したディスク型ガス発生器1A2に具備された第2点火器組立体40の棚板部48は、主板部48Aと付加板部48Bとの2部材にてこれを構成したものであったが、本構成例に係るディスク型ガス発生器1A2’においては、これに代えて図15に示す如くの形状の単一の部材からなる棚板部48’にてこれを構成している。
すなわち、棚板部48’は、円環平板状の主板部48A’と、当該主板部48A’の外側縁部から連続して延びるように折り曲げられたフランジ状の部位および当該フランジ部状の部位の内側縁部から連続し延びるように折り曲げられた筒状の部位を含む付加板部48B’とを有する単一の部材にて構成されている。
このように構成した場合にも、上述したディスク型ガス発生器1A2とした場合と同様に、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。さらには、上記構成の棚板部48’は、金属製の板状部材をプレス加工等することによって容易に形成することができるため、このような構成の棚板部48’を備えたディスク型ガス発生器1A2’とすることにより、部品点数のさらなる削減および製造の容易化が実現できることになる。
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2に係るディスク型ガス発生器の模式断面図であり、図17は、図16に示すXVII−XVII線に沿った第2点火器組立体の模式断面図である。また、図18は、図16に示すディスク型ガス発生器の動作時の第2段階を示す模式断面図である。以下、これら図16ないし図18を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Bの構成および動作について説明する。
本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、構成が異なる第2点火器組立体40を具備している点においてのみ、その構造が相違するものである。
図16に示すように、第2点火器組立体40は、上述した実施の形態1の場合と同様に、第2ホルダ41と、第2点火器42と、第2シール部材43と、仕切り部44と、第2ガス発生剤52とを主として含んでいる。第2ホルダ41は、その外周面の所定位置に径方向外側に向けて突出する突出部41eを有しており、当該突出部41eは、第2ホルダ41に圧入された隔壁部材45のスリット45cの下側端部に嵌め込まれている。
より詳細には、図17に示すように、突出部41eは、スリット45cの下側端部を規定する部分の隔壁部材45の表面に密着しているとともに、スリット45cの当該下側端部に面する部分のカバー部材46の内周面にも密着している。これにより、スリット45cの下側端部は、この突出部41eによって閉塞された状態にある。
このように構成されたディスク型ガス発生器1Bにおいても、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aの場合と同様に、その動作時において、第1ガス発生剤51が燃焼する第1段階と、仕切り部44のうちのカバー部材46が移動する第2段階と、主として第2ガス発生剤52が燃焼する第3段階とを経ることになる。
第1段階においては、第1点火器32が作動することで伝火薬36が着火されて燃焼し、これによって第1ガス発生剤51が順次着火されて燃焼することで第1燃焼室S1にて多量のガスが発生し、第1燃焼室S1において発生したガスが、フィルタ70の内部を通過することでガス排出室S3へと導入され、その後、複数個のガス噴出口24を介してハウジングの外部に向けて噴出される。
この第1段階においては、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、カバー部材46が隔壁部材45に対して押し付けられることになる。したがって、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤52に第1ガス発生剤51の燃焼の影響が及ぶことがない。
図18に示すように、第2段階においては、第2点火器42が作動することで第2ガス発生剤52が順次着火されて燃焼し、これにより多量のガスが発生することで第2燃焼室S2に圧力上昇が発生する。この第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、カバー部材46は、天板部21側に向けて移動する。
このとき、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Bにあっては、第2ホルダ41に設けられた突出部41eが隔壁部材45のスリット45cの下側端部に嵌まり合っているため、カバー部材46の移動時ならびに移動後においても、この突出部41eによってスリット45cの下側端部が閉塞された状態にある。そのため、この第2段階においても、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならない。
その後、カバー部材46の閉塞部46aが上側支持部材62を介して天板部21に当接することで当該カバー部材46が停止し、さらに第2ガス発生剤52が燃焼することで第2燃焼室S2の内圧が所定の圧力にまで上昇した第3段階においては、脆弱な部材からなるカバー部材46のうち、隔壁部材45に設けられたスリット45cに面する部分に破裂または溶融が生じ、これによってカバー部材46が開裂する。そのため、当該第3段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、スリット45cの下側端部を除く概ね全体を介して連通した状態となり、第2燃焼室S2にて発生したガスが、このスリット45cを介して第1燃焼室S1へと導入される。
以上において説明した本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Bとすることにより、上述した実施の形態1において説明した動作に基本的に準じた動作にて、これが動作することになる。そのため、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aとした場合と同様に、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。
加えて、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Bとした場合には、隔壁部材45のスリット45cの下側端部を閉塞する突出部41eが第2ホルダ41に設けられているため、カバー部材46の移動時ならびに移動後においても、直ちに第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、その間にわたって継続的に第2燃焼室S2の内圧を高めることができる。したがって、当該構成を採用することにより、第2ガス発生剤52の燃焼がより確実に持続することになり、所望のガス出力がより安定して得られることになる。
また、第2ホルダ41に設けられた突出部41eは、第2ホルダ41に仕切り部44を圧入によって固定する際の位置決め用のガイドともなる。したがって、当該突出部41eをガイドとして利用することにより、組付け後において隔壁部材45に設けられたスリット45cが所望の方向に確実に向くようにすることができ、組付け作業がより容易化することにもなる。
なお、本実施の形態においては、突出部41eによってスリット45cの下側端部が閉塞されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、突出部41eをスリット45cの下側端部を閉塞する形状や大きさに形成しないことも想定される。その場合には、当該突出部41eは、位置決め用のガイドとしてのみ機能することになる。
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3に係るディスク型ガス発生器の模式断面図であり、図20は、図19に示すディスク型ガス発生器の動作時の第2段階を示す模式断面図である。以下、これら図19ないし図20を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Cの構成および動作について説明する。
本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Cは、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aと比較した場合に、構成が異なる仕切り部44を具備している点においてのみ、その構造が相違するものである。
図19に示すように、仕切り部44は、上述した実施の形態1の場合と同様に、スリット45cが設けられてなる筒状の隔壁部材45と、閉塞部46aおよび筒状部46bを含むカップ状のカバー部材46とによって構成されている。しかしながら、カバー部材46は、上述した実施の形態1のそれとは異なり、第2ガス発生剤52が燃焼することによっても開裂しない機械的強度が高い部材にて構成されている。具体的には、カバー部材46は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材にて構成される。
このように構成されたディスク型ガス発生器1Cにおいては、その動作時において、第1ガス発生剤51が燃焼する第1段階と、主として第2ガス発生剤52が燃焼するとともに仕切り部44のうちのカバー部材46が移動する第2段階とを経ることになる。
第1段階においては、第1点火器32が作動することで伝火薬36が着火されて燃焼し、これによって第1ガス発生剤51が順次着火されて燃焼することで第1燃焼室S1にて多量のガスが発生し、第1燃焼室S1において発生したガスが、フィルタ70の内部を通過することでガス排出室S3へと導入され、その後、複数個のガス噴出口24を介してハウジングの外部に向けて噴出される。
この第1段階においては、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、カバー部材46が隔壁部材45に対して押し付けられることになる。したがって、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤52に第1ガス発生剤51の燃焼の影響が及ぶことがない。
図20に示すように、第2段階においては、第2点火器42が作動することで第2ガス発生剤52が順次着火されて燃焼し、これにより多量のガスが発生することで第2燃焼室S2に圧力上昇が発生する。この第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、カバー部材46は、天板部21側に向けて移動する。
このとき、隔壁部材45に設けられたスリット45cの底板部11寄りの部分である下側端部が、第1燃焼室S1に向けて開放されることに伴い、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、スリット45cの当該下側端部を介して連通した状態となる。そのため、第2燃焼室S2にて発生したガスの当該下側端部を介しての第1燃焼室S1への導入がこの時点で開始されることになる(矢印AR2参照)。
ここで、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Cにおいては、上述したように、カバー部材46が、第2ガス発生剤52が燃焼することによっても開裂しない機械的強度が高い部材にて構成されているため、カバー部材46の閉塞部46aが上側支持部材62を介して天板部21に当接することで当該カバー部材46が停止した後においても、引き続き第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とがスリット45cの当該下側端部を介して連通した状態が維持されることになる。
これにより、カバー部材46の停止後においても、継続的に第2燃焼室S2にて発生したガスが第1燃焼室S1へと導入されることになるが、当該状態においては、スリット45cの下側端部を介してのガスの通過のみが許容された状態となるため、当該下側端部の流路断面積を十分に絞ることにより(すなわち、スリット45cの幅を十分に小さくしたり、カバー部材46の移動しろを十分に短くしたりすること等により)、引き続き第2燃焼室S2の内圧が適切に高められた状態を維持することができる。したがって、このように構成することにより、第2ガス発生剤52の燃焼を十分に持続させることが可能になる。
以上において説明した本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Cとすることにより、上述した実施の形態1において説明した動作に基本的に準じた動作にて、これが動作することになる。そのため、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1に係るディスク型ガス発生器1Aとした場合と同様に、所望のガス出力が安定して得られる簡素な構成のデュアル構造のディスク型ガス発生器とすることができる。
なお、図19および図20に示す本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Cは、スリット45cの幅を十分に小さくすることで上述した流路断面積を絞りつつも、当該流路断面積が必要以上に小さくなることで隔壁部材45やカバー部材46に意図しない変形が生じることがないように、仕切り部44の軸方向長さを比較的短くすることにより、カバー部材46の移動しろを相当程度に長く設定した場合のものである。
(その他の形態等)
上述した実施の形態1,2およびその変形例等においては、第2点火器が作動した第2段階であって、カバー部材の移動が天板部によって制限された後の状態において、隔壁部材の天板部側の端部が上側支持部材に対向して位置するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はなく、当該制限後の状態において、隔壁部材の天板部側の端部が上側支持部材に対向しないように構成することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1ないし3およびその変形例等においては、第1点火器および第2点火器が異なるタイミングで通電されることにより、第2点火器が第1点火器の作動のタイミングから遅れたタイミングで作動するように構成された場合を例示して説明を行なったが、これらが同時のタイミングで通電されることにより、同時のタイミングで作動するように構成されていてもよい。また、第1点火器と第2点火器とを同時のタイミングで通電する場合であっても、第2点火器の点火部に点火薬の着火を遅らせる延時薬を設けることにより、第2点火器の通電から点火薬の着火までに要する時間を延長し、これによって第1点火器と第2点火器とを同時のタイミングで通電しつつも、第2ガス発生剤の燃焼開始のタイミングを第1ガス発生剤の燃焼開始のタイミングよりも遅らせるように構成することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1ないし3およびその変形例等においては、第2燃焼室にガス発生剤のみを充填した場合を例示して説明を行なったが、第2燃焼室にガス発生剤に加えて伝火薬を収容することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1ないし3およびその変形例等においては、第1点火器組立体における第1点火器の組付構造と、第2点火器組立体における第2点火器の組付構造とを基本的に同様のものとした場合を例示して説明を行なったが、これら組付構造を相互に異ならしめることとしてもよい。たとえば、第1点火器および第2点火器の一方を金属製の部材のみからなるホルダを介してハウジングに固定するとともに、第1点火器および第2点火器の他方を金属製の点火器カラーおよび樹脂成形部からなるホルダを介してハウジングに固定することとしてもよい。
さらには、上述した実施の形態1ないし3およびその変形例等において示した特徴的な構成は、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて相互にこれらを組み合わせることができる。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例等はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A〜1C,1A’,1A1,1A2,1A2’ ディスク型ガス発生器、10 下部側シェル、11 底板部、11a 第1開口部、11b 第2開口部、12 周壁部、20 上部側シェル、21 天板部、22 周壁部、23 フランジ部、24 ガス噴出口、25 シールテープ、30 第1点火器組立体、31 第1ホルダ、31a 上側凹部、31b 下側凹部、31c 貫通孔、31d,31e かしめ部、32 第1点火器、32a 基部、32b 点火部、32c 端子ピン、33 第1シール部材、34 カップ体、34a 頂壁部、34b 側壁部、34c フランジ部、35 伝火室、36 伝火薬、37 点火器カラー、37a かしめ部、38 棚板部、38A 主板部、38B 付加板部、38a 貫通孔、39 樹脂成形部、39a 上側成形部、39b 下側成形部、39c 凹部、40 第2点火器組立体、41 第2ホルダ、41a 上側凹部、41b 下側凹部、41c 貫通孔、41e 突出部、41d かしめ部、42 第2点火器、42a 基部、42b 点火部、42c 端子ピン、43 第2シール部材、44 仕切り部、45,45’ 隔壁部材、45a 固定部、45b 開口端、45c,45c’ スリット、46 カバー部材、46a 閉塞部、46b 筒状部、47 点火器カラー、47a かしめ部、48,48’ 棚板部、48A,48A’ 主板部、48B,48B’ 付加板部、48a 貫通孔、49 樹脂成形部、49a 上側成形部、49b 下側成形部、49c 凹部、51 第1ガス発生剤、52 第2ガス発生剤、61 下側支持部材、62 上側支持部材、63 クッション材、70 フィルタ、S1 第1燃焼室、S2 第2燃焼室、S3 ガス排出室。

Claims (6)

  1. ガス噴出口が設けられた周壁部、前記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部、および、前記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部を含むハウジングと、
    外周面が前記周壁部の内周面に対向するように前記ハウジングの内部に収容された筒状のフィルタと、
    前記天板部側に閉塞端を有する全体としてカップ状の形状を成し、前記底板部に組付けられることにより、前記フィルタの内側の空間を第1ガス発生剤が収容された第1燃焼室および第2ガス発生剤が収容された第2燃焼室に仕切る仕切り部と、
    前記仕切り部の外側の空間である前記第1燃焼室に面するように前記底板部に組付けられた第1点火器と、
    前記仕切り部の内側の空間である前記第2燃焼室に面するように前記底板部に組付けられた第2点火器と、
    前記底板部に固定されるとともに前記第2点火器を保持することにより、前記第2点火器を前記底板部に組付けるホルダとを備え、
    前記仕切り部は、軸方向の両端に開口を有しかつ前記ホルダに固定された筒状の隔壁部材と、前記隔壁部材に組付けられたカバー部材とを有し、
    前記カバー部材は、前記隔壁部材の前記天板部側に位置する開口を覆うことで前記閉塞端を構成する閉塞部と、前記閉塞部から前記仕切り部の軸方向に沿って延設されることで前記隔壁部材の外周面に密着してこれを覆う筒状部とを含むカップ状の形状を成し、
    前記ホルダは、前記底板部から前記フィルタの内側の空間に向けて突出するように配置され、
    前記隔壁部材の前記底板部側に位置する軸方向端部が前記ホルダに圧入されることにより、前記仕切り部が、前記ホルダを介して前記底板部に組付けられ、
    前記隔壁部材には、前記底板部側に位置する軸方向端部から前記天板部側に向けて延びるスリットが設けられ、
    前記隔壁部材に設けられた前記スリットが、前記カバー部材の前記筒状部によって覆われている、ガス発生器。
  2. 前記スリットが、前記隔壁部材の前記底板部側に位置する軸方向端部から前記天板部側に位置する軸方向端部にまで達するように、前記隔壁部材の軸方向に沿って延設されている、請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記フィルタの中心軸が前記周壁部の中心軸と重なるように、前記フィルタが、前記ハウジングと同軸上に配置され、
    前記隔壁部材の中心軸が前記周壁部の中心軸と重ならないように、前記仕切り部が、前記ハウジングに対して偏心配置され、
    前記隔壁部材のうちの前記スリットが設けられた部分が、前記周壁部の中心軸に最も近い位置に配置されている、請求項1または2に記載のガス発生器。
  4. 前記スリットの前記底板部寄りの端部である下側端部に嵌合する突出部が、前記ホルダの外周面に設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
  5. 前記突出部が、前記スリットの前記下側端部を規定する部分の前記隔壁部材の表面および前記スリットの前記下側端部に面する部分の前記カバー部材の内周面に密着することにより、前記スリットの前記下側端部が、前記突出部によって閉塞されている、請求項4に記載のガス発生器。
  6. 前記第2点火器の作動時において、前記第2ガス発生剤が燃焼することで生じる前記第2燃焼室の圧力上昇に起因して、前記カバー部材のうちの前記スリットに面する部分が開裂し、これにより、前記第2燃焼室にて発生したガスが、前記スリットを通過して前記第1燃焼室に導入される、請求項1から5のいずれかに記載のガス発生器。
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