以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるデュアル構造のディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
まず、これら図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1および図2に示すように、ディスク型ガス発生器1Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての第1点火器組立体30、第2点火器組立体40、第1ガス発生剤51、第2ガス発生剤52、上側支持部材62、フィルタ70等が収容されてなるものである。
図1に示すように、ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とフランジ部23とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
上部側シェル20に設けられたフランジ部23は、ディスク型ガス発生器1Aを外部の部材(たとえば、エアバッグ装置に設けられたリテーナ等)に固定するための部位である。フランジ部23の所定位置には、周壁部22の軸方向と平行な方向に沿って貫通するように貫通孔(図中において当該貫通孔は現われていない)が設けられている。当該貫通孔には、ボルト等の締結部材が挿入されることになり、これによりディスク型ガス発生器1Aが外部の部材に対して固定されることになる。
下部側シェル10の底板部11の所定位置には、第1開口部11aおよび第2開口部11bが設けられている。下部側シェル10の底板部11には、第1開口部11aを閉塞するように第1点火器組立体30が組付けられているとともに、第2開口部11bを閉塞するように第2点火器組立体40が組付けられている。ここで、第1開口部11aは、第1点火器組立体30の下端に設けられた後述する第1雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位であり、第2開口部11bは、第2点火器組立体40の下端に設けられた後述する第2雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位である。
第1点火器組立体30は、第1ホルダ31と、第1点火器32と、第1シール部材33と、カップ体34と、伝火薬36とを主として含んでいる。第1ホルダ31は、第1点火器組立体30のベースを構成するものであり、当該第1ホルダ31に、第1点火器32およびカップ体34等が組付けられることにより、第1点火器組立体30が一体の部品として構成されている。
第1ホルダ31は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。天板部21側に位置する第1ホルダ31の上面には、上側凹部31aが設けられており、底板部11側に位置する第1ホルダ31の下面には、下側凹部31bが設けられている。また、上側凹部31aの底部ならびに下側凹部31bの底部を構成する部分の第1ホルダ31には、これら上側凹部31aおよび下側凹部31bに達するように貫通孔31cが設けられている。
また、第1ホルダ31の上面には、上側凹部31aを取り囲むようにかしめ部31d,31eが設けられている。このうちの内側に配置されたかしめ部31dは、第1点火器32を第1ホルダ31にかしめ固定するための部位であり、このうちの外側に配置されたかしめ部31eは、カップ体34を第1ホルダ31にかしめ固定するための部位である。
第1点火器32は、火炎を発生させるためのものであり、基部32aと、点火部32bと、一対の端子ピン32cとを有している。基部32aは、点火部32bおよび一対の端子ピン32cを保持する部位であり、また第1ホルダ31に対して固定される部位でもある。点火部32bは、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体(ブリッジワイヤ)とを含んでいる。一対の端子ピン32cは、点火薬を着火させるために点火部32bに接続されている。
より詳細には、点火部32bは、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン32cが挿通されてこれを保持する塞栓とを含んでおり、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン32cの先端を連結するように上述した抵抗体が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、スクイブカップ内には、点火薬だけでなくさらに伝火薬を充填してもよいが、点火薬と同時に配置され得る伝火薬としては、ホウ素/硝酸カリウム等に代表される金属/酸化剤からなる組成物、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、又は、ホウ素/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等を用いることができる。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン32cを介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから第1点火器32が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
第1点火器32は、第1ホルダ31の貫通孔31cに一対の端子ピン32cが上方から挿入されるとともに第1ホルダ31の上側凹部31aに基部32aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部31dが折り曲げられることにより、第1ホルダ31に固定されている。
ここで、第1ホルダ31と第1点火器32との間には、Oリング等からなる第1シール部材33が介装されており、これによって第1ホルダ31と第1点火器32との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第1点火器32の固定方法は、上述したかしめ部31dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ体34は、底板部11側の端部が開口したカップ状の形状を成し、内部に伝火薬36が収容された伝火室35を含んでいる。カップ体34は、伝火室35を規定する頂壁部34aおよび側壁部34bと、側壁部34bの開口端側の部分から径方向外側に向けて延設されたフランジ部34cとを有している。
カップ体34は、その内部に形成された伝火室35が第1点火器32の点火部32bに面するように第1ホルダ31に組付けられており、より詳細には、フランジ部34cが第1ホルダ31の上面に当て留めされた状態において、上述したかしめ部31eが折り曲げられることにより、第1ホルダ31に固定されている。
カップ体34は、頂壁部34aおよび側壁部34bのいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室35を取り囲んでいる。このカップ体34は、第1点火器32が作動することによって伝火薬36が着火された場合に伝火室35内の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂または溶融するものであり、その機械的強度は比較的低いものが使用される。
そのため、カップ体34としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
なお、カップ体34としては、このようなものの他にも、鉄や銅等に代表されるような機械的強度の高い金属製の部材からなり、その側壁部34bに開口を有し、当該開口を閉鎖するようにシールテープが貼着されたもの等を利用することも可能である。また、カップ体34の固定方法も、上述したかしめ部31eを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
伝火室35に充填された伝火薬36は、第1点火器32が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬36としては、第1ガス発生剤51を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬36としては、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬36の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
第1ホルダ31の下端は、下部側シェル10の底板部11に設けられた第1開口部11aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第1ホルダ31に予め第1点火器32およびカップ体34等が組付けられることで一体化された第1点火器組立体30が、下部側シェル10に対して固定されるとともに、特に第1点火器組立体30の内部に設けられた伝火室35が、ハウジングの内部の空間に向けて突出して配置されることになる。ここで、底板部11と第1ホルダ31との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第1ホルダ31の下側凹部31bには、第1点火器32の一対の端子ピン32cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部31bおよび一対の端子ピン32cによって上述した第1雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第1雌型コネクタ部は、第1点火器32とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第1雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第1雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン32cとの電気的導通が実現されることになる。
第2点火器組立体40は、第2ホルダ41と、第2点火器42と、第2シール部材43と、仕切り部44と、第2ガス発生剤52とを主として含んでいる。第2ホルダ41は、第2点火器組立体40のベースを構成するものであり、当該第2ホルダ41に、第2点火器42および仕切り部44等が組付けられることにより、第2点火器組立体40が一体の部品として構成されている。
第2ホルダ41は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。天板部21側に位置する第2ホルダ41の上面には、上側凹部41aが設けられており、底板部11側に位置する第2ホルダ41の下面には、下側凹部41bが設けられている。また、上側凹部41aの底部ならびに下側凹部41bの底部を構成する部分の第2ホルダ41には、これら上側凹部41aおよび下側凹部41bに達するように貫通孔41cが設けられている。
また、第2ホルダ41の上面には、上側凹部41aを取り囲むようにかしめ部41dが設けられている。かしめ部41dは、第2点火器42を第2ホルダ41にかしめ固定するための部位である。
第2点火器42は、火炎を発生させるためのものであり、基部42aと、点火部42bと、一対の端子ピン42cとを有している。基部42aは、点火部42bおよび一対の端子ピン42cを保持する部位であり、また第2ホルダ41に対して固定される部位でもある。なお、第2点火器42は、基本的には上述した第1点火器32と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第2点火器42は、第2ホルダ41の貫通孔41cに一対の端子ピン42cが上方から挿入されるとともに第2ホルダ41の上側凹部41aに基部42aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部41dが折り曲げられることにより、第2ホルダ41に固定されている。
ここで、第2ホルダ41と第2点火器42との間には、Oリング等からなる第2シール部材43が介装されており、これによって第2ホルダ41と第2点火器42との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第2点火器42の固定方法は、上述したかしめ部41dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
仕切り部44は、隔壁部材45と、蓋部材46と、帯部材47とを有しており、これら隔壁部材45、蓋部材46および帯部材47が組み合わされることで全体としてカップ状の形状を成している。仕切り部44は、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ70の内側の空間を2室に仕切る圧力隔壁として機能する。
図1および図2に示すように、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ70の内側の空間は、仕切り部44によって当該仕切り部44よりも外側の空間と当該仕切り部44よりも内側の空間とに仕切られており、このうちの前者の空間が第1燃焼室S1として規定されるとともに、このうちの後者の空間が第2燃焼室S2として規定される。
図1に示すように、仕切り部44は、その内部に形成された第2燃焼室S2が第2点火器42の点火部42bに面するように第2ホルダ41に組付けられている。より詳細には、後述するように、仕切り部44のうちの隔壁部材45の下端に設けられた固定部45aが第2ホルダ41に圧入されることにより、仕切り部44が第2ホルダ41を介して底板部11に固定されている。
仕切り部44の内部に位置する第2燃焼室S2には、第2ガス発生剤52が収容されている。第2ガス発生剤52は、第2点火器42が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。なお、第2ガス発生剤52の詳細については、後述することとする。
図1および図3に示すように、隔壁部材45は、軸方向の一端に第1フランジ部45bの開口を有する筒状の形状を成している。隔壁部材45は、その軸方向がハウジングの軸方向と平行となるように配置されており、底板部11側に位置する開口端が、底板部11に組付けられた第2ホルダ41に固定された固定部45aとして機能している。
より詳細には、当該固定部45aは、上述したように第2ホルダ41に圧入されており、これによって隔壁部材45が第2ホルダ41に固定されることで当該隔壁部材45を含む仕切り部44が底板部11に組付けられている。なお、隔壁部材45は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
蓋部材46は、底板部11側の一端部が開口したカップ状の形状を成し、隔壁部材45の天板部21側の開口端に当接している。蓋部材46は、隔壁部材45と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
蓋部材46は、隔壁部材45の天板部21側に位置する開口を覆うことで仕切り部44の閉塞端を構成するカップ状の覆い部46aと、覆い部46aの周縁から径方向外側に向けて延設している第2フランジ部46cを含んでいる。
尚、蓋部材46は、隔壁部材45の天板部21側に位置する開口を覆えば特に限定されるものではなく、カップ状に限らず、例えば円盤形状等の形状であっても構わない。
蓋部材46は、隔壁部材45の開口端と当接するように配置されており、さらに帯部材47の上側に位置する上側縮径部47bによりかしめ固定される。これにより、蓋部材46と帯部材47は連結される。
帯部材47は、両端が開口した筒状の形状をしており、隔壁部材45と蓋部材46とを連結している。帯部材47は、隔壁部材45と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
帯部材47は、開口47dを持つ円筒部47aと、円筒部47aの上側周壁から縮径し、蓋部材46と連結する上側縮径部47bと、円筒部47aの下側周壁から縮径し、隔壁部材45と連結する下側縮径部47cとを含んでいる。
ここで、開口47dは、円筒部47aにおいて周方向に略均等に配置されていることが、第2ガス発生剤52の燃焼により生じたガスを均等に噴出することができることから好ましい。また、開口47dは、円筒部47aの中央部より下端寄りに形成されていることが好ましい。下端寄りに形成されていることで、第2ガス発生剤52の燃焼によるガスの第2燃焼室S2からの噴出が好適に制御可能となるためである。
帯部材47の下端は、隔壁部材45において中央より上端側寄りに配置されていることが好ましい。このように配置することで、後述する第3段階目での帯部材47の下側縮径部47cの隔壁部材45からの脱離が過剰に遅延することが防止できるためである。
ここで、図3を沿って仕切り部44の作製方法を説明する。帯部材47の上側から隔壁部材45を挿入し、さらに蓋部材46を隔壁部材45に当接させる。そしてかしめ治具49を用いて、帯部材47の上側に上側縮径部47aを形成させ、蓋部材46と帯部材47は連結される。
図1に示すように、第2ホルダ41の下端は、下部側シェル10の底板部11に設けられた第2開口部11bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部11に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第2ホルダ41に予め第2点火器42および仕切り部44等が組付けられることで一体化された第2点火器組立体40が、下部側シェル10に対して固定されるとともに、特に第2点火器組立体40の内部に設けられた第2燃焼室S2が、ハウジングの内部の空間に向けて突出して配置されることになる。ここで、底板部11と第2ホルダ41との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第2ホルダ41の下側凹部41bには、第2点火器42の一対の端子ピン42cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部41bおよび一対の端子ピン42cによって上述した第2雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第2雌型コネクタ部は、第2点火器42とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第2雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第2雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン42cとの電気的導通が実現されることになる。
図1および図2に示すように、ハウジングの内部の空間には、上述した第1点火器組立体30および第2点火器組立体40に加え、フィルタ70が収容されている。フィルタ70は、円筒状の形状を成し、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と合致するようにハウジングと同軸上に配置されている。これにより、フィルタ70は、その外周面がハウジングの周壁部の内周面に対向している。
フィルタ70は、その内側の空間に第1点火器組立体30および第2点火器組立体40が配置されるように、これら第1点火器組立体30および第2点火器組立体40を取り巻くように配置されている。これにより、フィルタ70の内側の空間であってかつ仕切り部44の外側の空間に、第1ガス発生剤51が収容される第1燃焼室S1が形成されることになる。なお、フィルタ70は、ハウジングの周壁部から所定の距離をもって配置されており、これによりハウジングの周壁部とフィルタ70との間には、ガス排出室S3が形成されている。
フィルタ70としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ70として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ70は、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがこのフィルタ70中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスが確実にフィルタ70中を通過するように構成することが必要になる。
ここで、第1点火器組立体30は、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように偏心配置されており、第2点火器組立体40も、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように(すなわち、仕切り部44の中心軸(より厳密には隔壁部材45の中心軸)がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように)偏心配置されている。このように構成することにより、ハウジングの内部にデッドスペースが生じることが防止でき、ディスク型ガス発生器1Aを全体として小型に構成することができる。
第1燃焼室S1には、第1ガス発生剤51が収容されている。より具合的には、第1ガス発生剤51は、フィルタ70の内側の空間であってかつ第1点火器組立体30のカップ体34の頂壁部34aおよび側壁部34bに隣り合う空間、ならびに、フィルタ70の内側の空間であってかつ第2点火器組立体40の仕切り部44の側壁部に隣り合う空間に配置されている。第1ガス発生剤51は、第1点火器32が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。
上述した第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてこれら第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤の形状の他にもガス発生剤の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
ここで、第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52は、それらの組成が同じものであってもよいし、それらの組成が異なるものであってもよい。また、第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52は、それらの形状や大きさが同じものであってもよいし、それらの形状や大きさが異なるものであってもよい。
フィルタ70に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、ガス排出室S3に面するように複数個のガス噴出口24が設けられている。この複数個のガス噴出口24は、フィルタ70を通過したガスをガス排出室S3を介してハウジングの外部に導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口24を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ25が貼り付けられている。このシールテープ25としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ25によってハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
第1燃焼室S1のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材62が配置されている。上側支持部材62は、略円盤状の形状を成し、フィルタ70と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ70と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材62は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、天板部21と第1ガス発生剤51との間に位置している。
上側支持部材62は、フィルタ70をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ70の内部を経由することなくフィルタ70の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。上側支持部材62は、上述した下側支持部材61と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材62の内部には、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤51に接触するように平面視略C字状のクッション材63が配置されている。これにより、クッション材63は、第1燃焼室S1の天板部21側の部分において天板部21と第1ガス発生剤51との間に位置することになり、第1ガス発生剤51を底板部11側に向けて押圧している。
クッション材63は、成形体からなる第1ガス発生剤51が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。なお、クッション材63は、第1ガス発生剤51の燃焼によって焼失するものである。
図4および図5は、それぞれ本実施の形態に係るディスク型ガス発生器の動作時の第1および第2段階を示す模式図である。次に、これら図4および図5を参照して、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aの動作について説明する。
ディスク型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電を受け、まずは第1点火器32が作動する。
図4に示すように、第1点火器32が作動した第1段階においては、第1点火器32の点火部32bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部32bが破裂する。これにより、カップ体34の内部に収容された伝火薬36が着火されて燃焼する。
伝火薬36が燃焼することにより、伝火室35の内部において多量の熱粒子が発生し、伝火室35の温度および圧力が上昇することで脆弱な部材からなるカップ体34が破裂または溶融する。カップ体34が破裂または溶融することにより、上述した多量の熱粒子が第1燃焼室S1のうちの第1ガス発生剤51が収容された部分へと流れ込む。
多量の熱粒子が第1燃焼室S1の当該部分へと流れ込むことにより、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤51が順次着火されて燃焼し、これによって第1燃焼室S1において多量のガスが発生する。第1燃焼室S1にて発生したガスは、フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込む。
このとき、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、複数個のガス噴出口24を閉鎖していたシールテープ25が開裂する。これにより、第1燃焼室S1にて発生したガスの複数個のガス噴出口24を介してのハウジングの外部に向けての噴出が開始される(矢印AR1参照)
また、このとき、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じるハウジングの内部の圧力上昇に起因して、下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21は、外側に向けて膨らむように変形する。これにより、隔壁部材45の天板部21側の開口端と当接する蓋部材46の覆い部46a(すなわち、仕切り部44の閉塞端)と、天板部21との間の距離が増加することになる。
一方で、この第1段階においては、第1ガス発生剤51が燃焼することで生じる第1燃焼室S1の圧力上昇に起因して、蓋部材46が隔壁部材45に対して押し付けられることになる。そのため、隔壁部材45の天板部21側の開口が、蓋部材46の覆い部46aによって閉塞されるとともに、隔壁部材45の天板部21寄りの部分の外周面と蓋部材の第覆い部46aと帯部材47が密着することで当該部分が覆われた状態が維持される。
これにより、当該第1段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通した状態とはならず、未だ燃焼が開始されていない第2ガス発生剤52に第1ガス発生剤51の燃焼の影響が及ぶことがなくなる。
次に、上述した第1点火器32の作動から所定時間遅れたタイミングで、上述したコントロールユニットからの通電を受けて第2点火器42が作動する。
図5に示すように、第2点火器42が作動した第2段階においては、第2点火器42の点火部42bに充填された点火薬が抵抗体によって加熱されることで着火され、当該点火薬が燃焼することで点火部42bが破裂する。これにより、第2燃焼室S2に収容された第2ガス発生剤52が順次着火されて燃焼を開始する。
ここで、第2ガス発生剤52の燃焼の開始に先立って、第1ガス発生剤51が予め着火されて燃焼していることにより、ディスク型ガス発生器1Aが全体として既に高温に加熱された状態にあるため、点火部42bと第2ガス発生剤52との間に伝火薬を設けずとも、第2ガス発生剤52の燃焼がスムーズに開始されることになり、また当該第2ガス発生剤52の燃焼が途切れ難くなる。
このとき、第2ガス発生剤52が燃焼することで生じる第2燃焼室S2の圧力上昇に起因して、第2燃焼室S2に収容された蓋部材46に圧力が付与されることになり、蓋部材46の第1覆い部46aには、主としてハウジングの軸方向に沿った方向に当該圧力が作用する
これにより、蓋部材46は、その全体が上部側シェル20の天板部21側に向けて移動し、隔壁部材45と蓋部材46の間に開口が生じる。さらに、蓋部材46に伴って帯部材47は上部側シェルの天板部21側に向けて移動する。さらに帯部材47の下側縮径部47cは、隔壁部材45の第1フランジ部45bによって帯部材46の移動を制限する。
以上により、図中において矢印AR2にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、帯部材47に設けられた複数個の開口47dを通過することで第1燃焼室S1へと安定的に導入されることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口24を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第1および第2段階において、複数個のガス噴出口24からディスク型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、当該ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
ここで、ディスク型ガス発生器1Aの周囲環境が低温環境下または常温環境下にある場合には、もっぱら上述した第2段階の状態が維持されたまま、第1ガス発生剤51および第2ガス発生剤52の燃焼が終了し、これによってディスク型ガス発生器1Aの動作が完了する。
一方、ディスク型ガス発生器1Aの周囲環境が極度な高温の環境下にある場合には、第2燃焼室S2の圧力上昇が促進され過ぎてしまうことがあり、何ら対策を施していない場合に、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に上昇してしまうおそれがある。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aにおいては、第2燃焼室S2の圧力が促進され過ぎてしまった場合に、ディスク型ガス発生器1Aの動作が完了する前に、付加的に後述する第3段階へと移行し、その後ディスク型ガス発生器1Aの動作が完了することになる。
図6に示すように、上述した第3段階において、第2燃焼室S2の内圧が過度に上昇した場合には、これに伴って蓋部材46がさらに天板部21側に向けて移動することになり、帯部材47の下側縮径部47cが隔壁部材45から離れる。ここで、帯部材47と隔壁部材45を確実に離れるようにするためには、帯部材47の材料強度や板厚、および帯部材47の下端縮径部47cと隔壁部材45の第1フランジ部45bとの掛かり代の深さを調節すると良い。
これに伴い、帯部材47に設けられた複数個の開口47dのみならず、下側縮径部47cと隔壁部材45との間にガス排出路が発生することになる。そのため、この第3段階においては、第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが、複数個の開口47dの総開口面積と下側縮径部47cと隔壁部材45との間にガス排出路の面積の総和分だけの流路断面積をもって連通することになる。
したがって、当該第3段階においては、上述した第2段階よりもより大きい流路断面積をもって第1燃焼室S1と第2燃焼室S2とが連通することになり、第2燃焼室S2の圧力が過度に上昇してしまうことが防止できることになる。そのため、ディスク型ガス発生器1Aの周囲環境が極度に高温環境下にある場合にも、第2ガス発生剤52を持続的に燃焼させつつ、必要以上に第2燃焼室S2の圧力が上昇してしまうことを未然に防止することができる。
以上により、図中において矢印AR2,AR3にて示すように、第2燃焼室S2にて発生したガスが、複数個の開口47dの総開口面積と下側縮径部47cと隔壁部材45との間にガス排出路を通過することで第1燃焼室S1へと導入されることになる。
第2燃焼室S2にて発生し、その後第1燃焼室S1に導入されたガスは、フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてガス排出室S3へと流れ込み、さらにその後、複数個のガス噴出口24を介してのハウジングの外部に向けて噴出される(矢印AR1参照)。
なお、上述した第3段階において、複数個のガス噴出口24からディスク型ガス発生器1Aの外部へと噴出されたガスは、上述した第1段階および第2段階の場合と同様に、当該ディスク型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開させる。
以上において説明したように、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aとすることにより、低温環境下および常温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階および第2段階を経て当該ディスク型ガス発生器1Aの動作が完了し、極度な高温環境下において作動した場合に、もっぱら上述した第1段階、第2段階および第3段階を経て当該ディスク型ガス発生器1Aの動作が完了することになる。
そのため、周囲環境が低温環境下、常温環境下および極度な高温環境下のいずれの場合においても、第2ガス発生剤52の燃焼の初期段階において、第2燃焼室S2の圧力を相当程度に高めつつ、持続的に第2ガス発生剤52を燃焼させることができるとともに、周囲環境が極度な高温環境下の場合においても、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に高圧になることなく、持続的に第2ガス発生剤52を燃焼させることができることになる。
したがって、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aとすることにより、環境温度の相違の影響を可能な限り排除しつつ、作動時において所望のガス出力を確実に得ることができるデュアル構造のディスク型ガス発生器1Aとすることができる。
なお、一般に、ガス発生器においては、ガス発生剤の製造時における製造条件の避けられないばらつきや、ガス発生剤のハウジング内部への充填作業の際の避けられない充填状態の違い等に基づき、製品間において動作時におけるガス出力に僅かながらばらつきが生じ得る。この点、本実施の形態に係るディスク型ガス発生器1Aとすれば、このような原因に基づくガス出力のばらつきに対しても有効にこれを抑制することができ、この意味においても、作動時において所望のガス出力を確実に得ることが可能になる。