JP2021037891A - ガス発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスの出力特性を向上させたガス発生器を提供することを目的とする。【解決手段】ガス噴出口が設けられた筒状の周壁部と、前記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部、および前記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部とによって構成されている。そして、ガス発生剤が収容された燃焼室を内部に有する短尺筒状のハウジングと、前記底板部に組付けられ、作動時において着火する点火薬が収容された点火部を含む点火器を含んでいる。また、伝火薬が収容された伝火室を内部に含み、前記内部の空間が前記点火部に面するように、前記燃焼室に向けて突出して配置された有底筒状の単一の部材からなるカップ状部材を備えた構成を採っている。さらに、前記カップ状部材は脆性材料で構成されており、前記点火器の作動に伴って前記カップ状部材は破裂、変形、又は溶融する構成である。【選択図】図1

Description

本発明は、車両等衝突時に乗員を保護する乗員保護装置に組み込まれるガス発生器に関し、特に、自動車等に装備されるエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関する。
従来、自動車等の乗員の保護の観点から、乗員保護装置であるエアバッグ装置が普及している。エアバッグ装置は、車両等衝突時に生じる衝撃から乗員を保護する目的で装備されるものであり、車両等衝突時に瞬時にエアバッグを膨張および展開させることにより、エアバッグがクッションとなって乗員の体を受け止めるものである。
ガス発生器は、このエアバッグ装置に組み込まれ、車両等衝突時にコントロールユニットからの通電によって点火器を発火し、点火器において生じる火炎によりガス発生剤を燃焼させて多量のガスを瞬時に発生させ、これによりエアバッグを膨張および展開させる機器である。
ガス発生器には、種々の構造のものが存在するが、運転席側エアバッグ装置や助手席側エアバッグ装置等に、特に好適に利用できるガス発生器として、外径が比較的大きい短尺略円柱状のディスク型ガス発生器がある。
ディスク型ガス発生器は、軸方向の両端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有し、ハウジングの周壁部に複数のガス噴出口が設けられるとともに、ハウジングに組付けられた点火器に面するようにハウジングの内部に伝火薬が収容され、さらに当該伝火薬を囲うようにハウジングの内部にガス発生剤が充填され、当該ガス発生剤の周囲をさらに囲うようにフィルタがハウジングの内部に収容されてなるものである。
このディスク型ガス発生器の具体的な構成が開示された文献としては、たとえば特開2004−217059号公報(特許文献1)がある。
特許文献1では、伝火薬が充填されたカップ状部材と、点火器本体を保持する点火器カラーをクリンプケースの下端側折曲部でかしめ固定されたガス発生器が開示されている。カップ状部材はアルミニウム等の金属で構成されており、閉塞端面及び周壁部の少なくとも一方に脆弱部を有しており、カップ体が脆弱部において破裂されやすくなるため、クリンプケースに加えられる圧力が減少する結果、クリンプケースの脱落や破損が防止される。しかしながら、カップ状部材が金属材料の薄板のアルミニウムで構成されているため、開裂時に均一にカップ状部材が破裂しない問題があり、ガス発生剤への着火にムラが生じている。
金属材料は弾性変形から塑性変形へ至り、金属材料がこれ以上延びない時点で開裂する。通常、カップ状部材へ脆弱部を設けることで、確実に脆弱部が開裂するように開裂部位を定めている。しかし、カップ状部材へ脆弱部を設けると、先に脆弱部が開裂するため、カップ状部材全体を均一に開裂させることは困難である。したがって、脆弱部を設けたカップ状部材ではガス発生剤をムラなく着火することが課題であった。
ガス発生剤をムラなく着火するためには、カップ状部材に内包した伝火薬を十分に燃焼させ、カップ状部材の内圧を高めて伝火薬の燃焼速度を向上させる必要がある。このことにより、短時間のうちにガス発生器内部のガス発生剤を燃焼させ、エアバッグへガスを噴出させることができる。しかし、カップ状部材の機械的強度を高めるためには、金属材料で構成し、カップ状部材の厚みを増すことや、カップ状部材内部の内圧を十分に高めるために、伝火薬の充填量を増やし、燃焼速度の向上を図る必要があった。しかし、カップ状部材の機械的強度を向上させることや伝火薬の充填量を増やしても、ガス発生剤をムラなく着火することには限界がある。
特開2004−217059号公報
ディスク型ガス発生器においては、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間がより短いことが好ましい。これは、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間が長い場合に、これがエアバッグの展開の遅れに繋がるためであり、如何に短時間のうちにガスを噴出させるかが重要な課題となっている。
特に、作動時におけるガス発生量が比較的大きく設定されたディスク型ガス発生器においては、作動時におけるガス発生量が比較的小さく設定されたディスク型ガス発生器に比べ、ガスが噴出されるまでの時間が長くなる傾向にある。これは、偏に、作動時におけるガス発生量が比較的大きく設定されたディスク型ガス発生器において、ガス発生剤の充填量が相対的に多くなることに起因している。
より詳細には、ガス発生剤の充填量が多くなることに伴い、必然的にハウジングが大型化し、結果として点火器からガス噴出口までの距離も長くなるため、作動開始直後に発生したガスがガス噴出口に至るまでにより長い経路を経ることが必要になり、これがガス噴出の遅れに繋がる。また、ガス発生剤の充填量が多くなることに伴い、作動開始直後における未燃焼のガス発生剤の量も必然的に多くなるため、これが作動開始直後に発生したガスに対する流動抵抗となってしまい、これもガス噴出の遅れに繋がる。
そのため、従来のディスク型ガス発生器においては、短時間のうちにガスを噴出させる観点から、ガス発生剤がより早期にかつより多く燃焼を開始するように、伝火薬の充填量をより多くする等の対策が採られている。
しかしながら、伝火薬の充填量を増加させた場合にも、点火器が作動した時点からガス噴出口を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間の短縮には限界があり、必ずしもこれを十分に早めることはできない。これは、伝火薬の充填量を単に増加させた場合には、点火器から離れた位置に配置された伝火薬に対する迅速な着火が行なえなくなり、結果として伝火薬の充填量を少なくした場合と大差がないこととなってしまうためである。
また、伝火薬の充填量を増加させた場合には、当然にこれに伴って製造コストが増大してしまう問題も別途発生し、その改善が求められているところである。
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、ガスの出力特性を向上させたガス発生器を提供することを目的とする。
本発明に基づくガス発生器は、ガス噴出口が設けられた筒状の周壁部と、前記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部、および前記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部とによって構成されている。そして、ガス発生剤が収容された燃焼室を内部に有する短尺筒状のハウジングと、前記底板部に組付けられ、作動時において着火する点火薬が収容された点火部を含む点火器を含んでいる。また、伝火薬が収容された伝火室を内部に含み、前記内部の空間が前記点火部に面するように、前記燃焼室に向けて突出して配置された有底筒状の単一の部材からなるカップ状部材を備えた構成を採っている。カップ状部材は前記点火器の作動に伴って破裂、変形、又は溶融する部材であり、カップ状部材はJIS13B号引張試験片による圧延方向の破断伸び(JIS Z2241:2011)が10%未満である脆性材料の部材で構成する。
このように構成することによって、カップ状部材は点火器の作動に伴って、アルミニウム等の金属材料よりも全体を均一に破裂、変形、又は溶融することができる。破断伸びが10%未満の脆性材料は1点が開裂すると、その周囲へ亀裂が進展しやすく、瞬時にカップ状部材全体へ亀裂が広がる。カップ状部材全体が瞬時に開裂されることで、伝火室周囲の燃焼室の領域に集中して熱粒子を流入させることができ、優れたガス出力特性を実現できる。
前記カップ状部材の破断強度が5〜100MPaであるガス発生器であることが好ましい。
このように構成することによって、カップ状部材の内圧を十分に高めてから、カップ状部材を開裂することができる。
上記本発明に基づくガス発生器にあっては、前記カップ状部材の材質が、セラミック、ガラス、ポリカーボネートなどの脆性材料からなる構成とすることが好ましい。
このように構成することによって、カップ状部材は伝火薬及びガス発生剤の燃焼と共に燃焼または溶融し、スラグ捕集剤として機能できる。
本発明によれば、着火性等のガスの出力特性の優れたガス発生器とすることができる。
本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aの概略図である。 図1に示すディスク型ガス発生器の動作を説明するための模式図である。 図1に示すディスク型ガス発生器のカップ状部材の拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bの概略図である。 本発明の第3の実施形態に係るディスク型ガス発生器Cの概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aの概略図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器Aの構成について説明する。
図1に示すように、ディスク型ガス発生器Aは、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、仕切り部材55、伝火薬59、ガス発生剤61、下側支持部材70、上側支持部材80、クッション材85およびフィルタ90等が収容されてなるものである。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容された燃焼室60が位置している。
ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視した状態において非点対称形状(たとえばD字状、樽型形状、長円形状等)の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
点火器40は、火炎を発生させるためのものであり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42とを備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する塞栓とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。
これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。なお、開口部15は、上述したように平面視非点対称形状に形成されているため、当該開口部15を連結部33で埋め込むことにより、これら開口部15および連結部33は、保持部30が底板部11に対して回転してしまうことを防止する回り止め機構としても機能する。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。
この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させること等により、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を原料として含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
なお、ここでは、樹脂成形部からなる保持部30を射出成形することで下部側シェル10に対する点火器40の固定を可能にした場合の構成例を例示したが、下部側シェル10に対する点火器40の固定に他の代替手段を用いることも可能である。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、仕切り部材55および伝火薬59が収容される空間をその内部に含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた空間が点火器40の点火部41に面するように、ガス発生剤61が収容された燃焼室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設されたフランジ部62とを有している。
カップ状部材50は、側壁部52および頂壁部51のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた空間を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火室内部の伝火薬59が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融するものである。
カップ状部材50の材質としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド等に代表される熱可塑性樹脂、黒鉛鋳鉄品、アルミダイカスト品等に代表される鋳物、アルミナ、石英ガラス、炭化珪素、窒化珪素等に代表されるセラミックからなるものが好適に利用される。ここで、これらの材質は2種類以上混合されて使用しても構わない。本発明におけるカップ状部材50の材質としては、セラミックス、ポリカーボネート、ガラスが好ましい。これらの材料は、圧力がかかって亀裂が生じた場合により粉々に破断しやすい材料であるためである。
本発明においては、カップ状部材50の破断伸びは、10%未満である。破断伸びは、JIS Z2241:2011に準拠する方法によって測定することができる。このように、破断伸びが10未満であることによって、カップ状部材50内部の内圧が高まってカップ状部材の破断が生じた際に、部材の伸びが極力抑えられることになる。すると、カップ状部材50の強靭性がないことから、カップ状部材50は亀裂を起点にして粉々に破裂することとなる。そのため、作動時にカップ状部材50の外部へ広範囲に熱粒子を飛散させることが可能となり、燃焼室60の広範囲にわたってガス発生剤61の燃焼が促進されることとなる。また、破断伸びが小さいと、伝火薬59の熱量が小さい状態で破断が開始する。そのため、フィルタの冷却効率を下げることにも寄与することとなる。そして、カップ状部材50を小さくすることも可能となる。特に、ガラス、セラミック、ポリカーボネートは圧延方向の破断伸びが10%未満であるので好ましい。そして、破断伸びは5%未満であることがより好ましく、1%未満であることが特に好ましい。このような、破断伸びが5%未満の材料としては、ガラス、セラミック、ポリカーボネート等の材料が挙げられる。
本発明においては、カップ状部材50の破断強度は、7MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることが特に好ましい。尚、破断強度は破裂試験(バースト試験)に準拠して測定することができる。上限は特に限定されないが、例えば100MPa以下であればよい。このような、好適な高い破断強度であることで、カップ状部材50の内圧を十分に高めてから、開裂させることが可能となる。さらに、内圧を高めることで、燃焼速度は早くなり、伝火薬59の充填量は少なくなることから、カップ状部材50を小さくすることができる。なお、カップ状部材50の固定方法としては、上述した下側支持部材70を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
破裂試験(バースト試験)は管端を封口した脆性材料(破断伸びは10%未満)で構成された容器に加圧装置で平均昇圧速度が50MPa/secで液体を注入し、容器が破裂したときの内圧を測定する。容器が破裂した瞬間の最大内圧を破断強度とする。注入する液体は作動油や水、エチルアルコールやエチレングリコール等のアルコール類を用いることができ、好ましくは作動油を用いる。
加圧装置は加圧ポンプや油圧シリンダーであり、好ましくは油圧シリンダーが用いられる。油圧シリンダーを用いる場合、注入する液体の流量を一定にすることで、作動ピストンの移動速度が一定になる。
伝火室に充填された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬59としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO、B/NaNO、Sr(NO等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬59は、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬59の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
ハウジングの内部の空間のうち、上述したカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容された燃焼室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成された燃焼室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の頂壁部51の外側表面に面する部分に設けられた空間ならびに側壁部52の外側表面に面する部分に設けられた空間が燃焼室60として構成されている。これにより、カップ状部材50の外側表面には、これに隣接してガス発生剤61が配置されることになる。
また、ガス発生剤61が収容された燃焼室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ90が配置されている。フィルタ90は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されている。
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅や塩基性炭酸銅等の塩基性金属水酸化物、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ90は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ90は、燃焼室60にて発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、燃焼室60内にて発生したガスが確実にフィルタ90中を通過するようにすることが必要である。なお、フィルタ90は、ハウジングの周壁部を構成する下部側シェル10の周壁部12および上部側シェル20の周壁部22との間で所定の大きさの間隙部28が形成されることとなるように、当該周壁部12,22から離間して配置されている。
フィルタ90に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、複数個のガス噴出口23が設けられている。この複数個のガス噴出口23は、フィルタ90を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口23を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ24が貼り付けられている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ24によって燃焼室60の気密性が確保されている。
燃焼室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側支持部材70が配置されている。下側支持部材70は、環状の形状を有しており、フィルタ90と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と底板部11とに実質的に宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材70は、燃焼室60の上記端部近傍において、底板部11とガス発生剤61との間に位置している。
下側支持部材70は、底板部11の内底面に沿うように底板部11に宛がわれた円環板状の基部71と、フィルタ90の底板部11寄りの内周面に当接する当接部72と、基部71から天板部21側に向けて立設された筒状の立設部73とを有している。当接部72は、基部71の外縁から延設されており、立設部73は、基部71の内縁から延設されている。立設部73は、下部側シェル10の突状筒部13の外周面と、保持部30の内側被覆部31の外周面とを覆っている。
下側支持部材70は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、下側支持部材70は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
燃焼室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材80が配置されている。上側支持部材80は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ90と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材80は、燃焼室60の上記端部近傍において、天板部21とガス発生剤61との間に位置している。
上側支持部材80は、天板部21に当接する基部81と、当該基部81の周縁から立設された当接部82とを有している。当接部82は、フィルタ90の天板部21側に位置する軸方向端部の内周面に当接している。
上側支持部材80は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、上側支持部材80は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材80の内部には、燃焼室60に収容されたガス発生剤61に接触するように円盤状のクッション材85が配置されている。これにより、クッション材85は、燃焼室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。
クッション材85は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
次に、図1を参照して、本実施の形態におけるガス発生器Aの組立作業の要領について説明する。
まず、下部側シェル10においては、樹脂成形部からなる保持部30として射出成形されることによって、点火器40が固定される。そして、内部に伝火薬59が収容されたカップ状部材50の側壁部52を、下部側シェル10の保持部30に圧入することにより固定する。次いで、下部側支持部材70でカップ状部材50の周面を覆い固定し、フィルタ90を下部側シェル10の内底面に向けて挿入配置する。下部側支持部材70はカップ状部材50に当接していなくても良い。
そして、フィルタ90の内側にガス発生剤61を充填し、クッション材85を介装した上部側支持部材80をフィルタ90の上端部分に内挿する。この後、ガス噴出口23がシールテープ24によって閉塞された上部側シェル20を下部側シェル10に対してかぶせ、下部側シェル10と上部側シェル20とを溶接する。以上により、図1に示す構造のガス発生器1の組み立てが完了する。
ここで、本実施の形態におけるガス発生器Aにおいては、カップ状部材50に開口が設けられていないため、カップ状部材50の内部に設けられた伝火室57に伝火薬59を充填する工程が非常に容易に行える。これは、ガス発生器Aの作動時において、カップ状部材の一部が、破裂、変形または溶融するようにカップ状部材50自体が機械的強度の低い脆弱な部材にて構成されているためである。すなわち、開口を有するカップ状部材50を用いた場合に必要であった、伝火薬59を充填するためにカップ状部材50に設けられた開口を閉塞する作業、例えば、アルミテープや閉塞板が不要になるため、製造工程を大幅に簡素化することができる。
図2は、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器Aの動作を説明するための模式図である。次に、この図2と前述の図1とを参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器Aの動作について説明する。なお、図2においては、点火器作動後のカップ状部材50の内部の状態変化を表している。
図1を参照して、ディスク型ガス発生器Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室である第1空間S1に収容された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼を開始する。
その際、図2に示すように、点火器40が作動した直後においては、点火部41に装填されていた点火薬が急速に燃焼することによって点火部41のスクイブカップが破裂するとともに、当該点火薬が急速に燃焼することによって生じる推力が、伝火室57に充填された伝火薬59に伝播する。
上記推力がカップ状部材50の頂壁部51または側壁部52の一部に達することにより、破断伸びが10%未満の脆弱な部材からなるカップ状部材50は破裂、変形、又は溶融が生じる。このカップ状部材50の破裂、変形又は溶融は、点火薬が燃焼することによって生じる熱粒子で伝火薬59が着火するよりも遅い。ここで、カップ状部材50の伝火薬59は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材50の内部において飛散し、分散した状態となる。本発明においては、破断伸びが10未満の脆弱な部材からなっていることから、カップ状部材50に生じた亀裂による破断が、カップ状部材50の広範囲に亘ることとなる。そのため、カップ状部材50が広範囲に飛散し、カップ状部材50の内部に生じた熱粒子が、燃焼室60の広範囲に亘って飛散することとなる。
そのため、より短時間のうちにより点火器40から遠い位置にある伝火薬59についても熱粒子によって着火されてその燃焼を開始することになり、結果としてカップ状部材50の内部の空間の圧力上昇ならびに当該空間の温度上昇が大幅に促進されることとなる。その結果、より短時間のうちにカップ状部材50の頂壁部51または側壁部52が破裂、変形又は溶融することになり、伝火薬59が燃焼することによって生じた多量の熱粒子が、燃焼室60へと早期に流れ込むことになる。
特に、図1ではカップ状部材50に脆性材料を用いることから、伝火薬59の燃焼の初期段階では、カップ状部材50の破裂、変形又は溶融は生じない。この時、カップ状部材50が破裂、変形又は溶融が生じる所定時間が経過するまで、カップ状部材50の内圧は上昇する。そして、一定以上の内圧となってから、カップ状部材50は破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材50を樹脂、ガラス、セラミック、脆性金属材料といった破断伸びが低いとともに、破裂に要するエネルギーが小さい材料を使用し、カップ状部材50の開裂時において十分に伝火薬59の燃焼を促進させ、ガス発生剤61へ燃焼が促進された状態でカップ状部材50の内壁全体を開裂させることができる。
図1に示すように、多量の熱粒子が燃焼室60に流れ込むことにより、燃焼室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスが発生する。燃焼室60にて発生したガスは、フィルタ90の内部を通過し、その際、フィルタ90によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去されて間隙部28に流れ込む。
以下においては、図1を参照して、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとした場合に、伝火薬59による火炎エネルギーの伝達が好適に制御可能となる仕組みについて説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態のガス発生器Aにおいては、カップ状部材50の頂壁部51または側壁部52において、脆弱部は設けない。このように構成することにより、脆性材料で構成されるカップ状部材50は、ある起点となる部分からカップ状部材全体へ破裂、変形又は溶融するため、図2の示すようにカップ状部材50の破片が燃焼室60へ飛び散りながら、開裂することとなる。
また、上記構成を採用することにより、頂壁部51が着火時から瞬時に破裂、変形又は溶融することで、直ぐに頂壁部51と天板部21の間のガス発生剤61の燃焼が進行するため、ガス出力の遅延が生じることもなく、ガス発生器内部の内圧も迅速に高まり、さらに出力特性のばらつきが生じることも未然に防止できる。
ガス発生剤61が燃焼することで生じるハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴い、上部側シェル20に設けられたガス噴出口23を閉鎖していたシールテープ24が開裂し、当該ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出する。噴出したガスは、ディスク型ガス発生器Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開する。
ここで、点火器40が作動することで発生する推力の伝播を受けてカップ状部材50の頂壁部51または側壁部52が破裂、変形又は溶融するかは、カップ状部材50の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41とカップ状部材と頂壁部51または側壁部52との間の距離、伝火室に充填された伝火薬59の密度等によって決まることになる。
このように、伝火薬59の燃焼に伴う伝火室の圧力上昇や温度上昇を利用してカップ状部材50を破裂、変形又は溶融させるためには、上述したカップ状部材50の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41とカップ状部材50の頂壁部51または側壁部52との間の距離、伝火室に充填された伝火薬59の密度等を種々調整すればよいが、上述の通り特にカップ状部材50の部材を鉄、ステンレス等の鉄系金属材料かつ破断伸びが10%未満の脆性部材にて構成することにより、比較的容易にその実現が可能である。
以上において説明したように、上述した本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとすることにより、カップ状部材50の頂壁部51または側壁部52のいずれかが開裂し、その後、カップ状部材50の内壁へ瞬時に進展することによってガス発生剤61の燃焼をより早期に開始させることが可能になるため、結果として点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を従来に比して短縮化することができる。また、カップ状部材50に脆性材料を用いることにより、部品コストは増加することになるものの、伝火薬59の充填量は大幅に少なくすることができ、点火器が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を低コストに短縮化させることができる。
このように、本発明の第1の実施形態におけるディスク型ガス発生器Aとすることにより、伝火薬59の充填量を少なく抑えつつも、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を短縮化することができるディスク型ガス発生器とすることができる。
図3は、上述した図1及び図2に示すディスク型ガス発生器Aのカップ状部材の拡大図である。以下、この図3を参照して説明する。
第1の実施形態のカップ状部材50においては、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設されたフランジ部62とを有している。具体的には、フランジ部62は、突状筒部13の環状部と平行に径方向外側へ曲成された形状を有している。そのため、下部側支持部材70と下部側シェル10の底板部11との間でカップ状部材50の一部が挟まれる構造にはなっていない。
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bの概略図である。図4に示すように、第2の実施形態に係るディスク型ガス発生器Bは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器A(図1参照)と比較して、カップ状部材50の延設部53を有する点においてのみ構成が相違している。
以下に示す実施形態においては、同一のまたは共通する部分に図中の同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
カップ状部材50は、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70とによって挟み込まれている。ここで、下側支持部材70は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材85、上側支持部材80および天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。これにより、カップ状部材50の固定にかしめ固定や圧入固定を利用せずとも、カップ状部材50が底板部11から脱落することが防止できる。
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態に係るディスク型ガス発生器Cの概略図である。図5に示すように、第3の実施形態に係るディスク型ガス発生器Cは、第1の実施形態に係るディスク型ガス発生器A(図1参照)と比較して、第2点火器と第2燃焼室が設けられている点において構成が相違している。
以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中の同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
下部側シェル110の底板部111の所定位置には、第1開口部111aおよび第2開口部111bが設けられている。下部側シェル110の底板部111には、第1開口部111aを閉塞するように第1点火器組立体130が組付けられているとともに、第2開口部111bを閉塞するように第2点火器組立体140が組付けられている。ここで、第1開口部111aは、第1点火器組立体130の下端に設けられた後述する第1雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位であり、第2開口部111bは、第2点火器組立体140の下端に設けられた後述する第2雌型コネクタ部を外部に向けて露出させるための部位である。
第1点火器組立体130は、第1ホルダ131と、第1点火器132と、第1シール部材133と、カップ体134と、伝火薬136とを主として含んでいる。第1ホルダ131は、第1点火器組立体130のベースを構成するものであり、当該第1ホルダ131に第1点火器132およびカップ体134等が組付けられることにより、第1点火器組立体130が一体の部品として構成されている。
第1ホルダ131は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金等の金属製の部材にて構成される。天板部121側に位置する第1ホルダ131の上面には、上側凹部131aが設けられており、底板部111側に位置する第1ホルダ131の下面には、下側凹部131bが設けられている。また、上側凹部131aの底部ならびに下側凹部131bの底部を構成する部分の第1ホルダ131には、これら上側凹部131aおよび下側凹部131bに達するように貫通孔131cが設けられている。
また、第1ホルダ131の上面には、上側凹部131aを取り囲むようにかしめ部131d,131eが設けられている。このうちの内側に配置されたかしめ部131dは、第1点火器132を第1ホルダ131にかしめ固定するための部位であり、このうちの外側に配置されたかしめ部131eは、カップ体134を第1ホルダ131にかしめ固定するための部位である。
第1点火器132は、火炎を発生させるためのものであり、一般にスクイブと称される火工品からなる。第1点火器132は、前述の点火器40と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第1点火器132は、第1ホルダ131の貫通孔131cに一対の端子ピン132cが上方から挿入されるとともに第1ホルダ131の上側凹部131aに基部132aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部131dが折り曲げられることにより、第1ホルダ131に固定されている。
ここで、第1ホルダ131と第1点火器132との間には、Oリング等からなる第1シール部材133が介装されており、これによって第1ホルダ131と第1点火器132との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第1点火器132の固定方法は、上述したかしめ部131dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ状部材150は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成しており、内部に伝火薬136が収容された伝火室135を含んでいる。カップ状部材150は、伝火室135を規定する頂壁部151および側壁部152と、側壁部152の開口端側の部分から径方向外側に向けて延設されたフランジ部153とを有している。
カップ状部材150は、その内部に形成された伝火室135が第1点火器132の点火部132bに面するように第1ホルダ131に組付けられており、より詳細には、フランジ部153が第1ホルダ131の上面に当て留めされた状態において、上述したかしめ部131eが折り曲げられることにより、第1ホルダ131に固定されている。
カップ状部材150は、頂壁部154および側壁部158のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室135を取り囲んでいる。このカップ状部材150は、第1点火器132が作動することによって伝火薬136が着火された場合に伝火室135内の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融する。
カップ状部材150の材質としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル硬質樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合合成樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂、ポリ塩化ビニル硬質樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレンや黒鉛鋳鉄品、アルミダイカスト品等に代表される鋳物、アルミナ、石英ガラス、炭化珪素、窒化珪素に代表されるセラミックからなるものが好適に利用される。ここで、これらの材質は2種類以上混合されて使用しても構わない。本発明におけるカップ状部材150の材質としては、セラミックス、ポリカーボネート、ガラス、樹脂が好ましい。樹脂はフィラーを含む材質が好ましく、フィラーにより破断伸びは小さくなる。これらの材料は、圧力がかかって亀裂が生じた場合により粉々に破断しやすい材料であるためである。
無機あるいは有機フィラーとしては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化硅素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO−Al)、イットリア含有ジルコニア(Y−ZrO)、硅酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、有機ベントナイト、カーボン(C)などを使用することができ、これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても構わない。
また、上記フィラーにも適宜表面処理を実施してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明においては、カップ状部材150の破断伸びは、10%未満である。破断伸びは、JIS Z2241:2011に準拠する方法によって測定することができる。このように、破断伸びが10未満であることによって、カップ状部材150内部の内圧が高まってカップ状部材の破断が生じた際に、部材の伸びが極力抑えられることになる。すると、カップ状部材150の強靭性がないことから、カップ状部材150は亀裂を起点にして粉々に破裂することとなる。そのため、作動時にカップ状部材150の外部へ広範囲に熱粒子を飛散させることが可能となり、第1燃焼室S1の広範囲にわたって第1ガス発生剤181の燃焼が促進されることとなる。また、破断伸びが小さいと、伝火薬59の熱量が小さい状態で破断が開始する。そのため、フィルタの冷却効率を下げることにも寄与することとなる。そして、カップ状部材50を小さくすることも可能となる。特に、ガラス、セラミックは圧延方向の破断伸びが10%未満であるので好ましい。そして、破断伸びは5%未満であることがより好ましく、1%未満であることが特に好ましい。このような、破断伸びが5%未満の材料としては、ガラス、セラミック、ポリカーボネート等の材料が挙げられる。
本発明においては、カップ状部材50の破断強度は、7MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることが特に好ましい。尚、破断強度は破裂試験(バースト試験)に準拠して測定することができる。上限は特に限定されないが、例えば100MPa以下であればよい。このような、好適な高い破断強度であることで、カップ状部材150の内圧を十分に高めてから、開裂させることが可能となる。さらに、内圧を高めることで、燃焼速度は早くなり、伝火薬136の充填量は少なくなることから、カップ状部材150を小さくすることができる。なお、カップ状部材150の固定方法としては、上述した下側支持部材161を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
伝火室135に充填された伝火薬136は、前述の伝火薬59と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第1ホルダ131の下端は、下部側シェル110の底板部111に設けられた第1開口部111aに上方から挿入されており、その外周縁が底板部111に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第1ホルダ131に第1点火器132およびカップ体134等が組付けられることで一体化された第1点火器組立体130が、下部側シェル110に対して固定されることになる。
そのため、第1ホルダ131は、底板部111からハウジングの内部の空間に向けて突出して位置するように構成されることになり、特に第1点火器組立体130の内部に設けられた伝火室135が、ハウジングの内部の空間に配置されることになる。ここで、底板部111と第1ホルダ131との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第1ホルダ131の下側凹部131bには、第1点火器132の一対の端子ピン132cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部131bおよび一対の端子ピン132cによって上述した第1雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第1雌型コネクタ部は、第1点火器132とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第1雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第1雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン132cとの電気的導通が実現されることになる。
第2点火器組立体140は、第2ホルダ141と、第2点火器142と、第2シール部材143と、仕切り部144と、第2ガス発生剤182とを主として含んでいる。第2ホルダ141は、第2点火器組立体140のベースを構成するものであり、当該第2ホルダ141に、第2点火器142および仕切り部144等が組付けられることにより、第2点火器組立体140が一体の部品として構成されている。
第2ホルダ141は、外形が略円柱状の部材からなり、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。天板部121側に位置する第2ホルダ141の上面には、上側凹部141aが設けられており、底板部111側に位置する第2ホルダ141の下面には、下側凹部141bが設けられている。また、上側凹部141aの底部ならびに下側凹部141bの底部を構成する部分の第2ホルダ141には、これら上側凹部141aおよび下側凹部141bに達するように貫通孔141cが設けられている。
また、第2ホルダ141の上面には、上側凹部141aを取り囲むようにかしめ部141dが設けられている。かしめ部141dは、第2点火器142を第2ホルダ141にかしめ固定するための部位である。
第2点火器142は、火炎を発生させるためのものであり、基部142aと、点火部142bと、一対の端子ピン142cとを有している。基部142aは、点火部142bおよび一対の端子ピン142cを保持する部位であり、また第2ホルダ141に対して固定される部位でもある。なお、第2点火器142は、基本的には上述した第1点火器132と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
第2点火器142は、第2ホルダ141の貫通孔141cに一対の端子ピン142cが上方から挿入されるとともに第2ホルダ141の上側凹部141aに基部142aが収容されて当て留めされた状態において、上述したかしめ部141dが折り曲げられることにより、第2ホルダ141に固定されている。
ここで、第2ホルダ141と第2点火器142との間には、Oリング等からなる第2シール部材143が介装されており、これによって第2ホルダ141と第2点火器142との間の隙間が閉塞されることで当該部分における気密性が確保されている。なお、第2点火器142の固定方法は、上述したかしめ部141dを用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
仕切り部144は、隔壁部材145と、カバー部材146と、キャップ部材147とを有しており、これら隔壁部材145、カバー部材146およびキャップ部材147が組み合わされることで全体としてカップ状の形状を成している。仕切り部144は、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ170の内側の空間を2室に仕切る圧力隔壁として機能する。
図5に示すように、ハウジングの内部の空間であってかつフィルタ170の内側の空間は、仕切り部144によって当該仕切り部144よりも外側の空間と当該仕切り部144よりも内側の空間とに仕切られており、このうちの前者の空間が第1燃焼室S1として規定されるとともに、このうちの後者の空間が第2燃焼室S2として規定される。
図5に示すように、仕切り部144は、その内部に形成された第2燃焼室S2が第2点火器142の点火部142bに面するように第2ホルダ141に組付けられている。より詳細には、後述するように、仕切り部144のうちの隔壁部材145の下端に設けられた固定部145aが第2ホルダ141に圧入されることにより、仕切り部144が第2ホルダ141を介して底板部111に固定されている。
仕切り部144の内部に位置する第2燃焼室S2には、第2ガス発生剤182が収容されている。第2ガス発生剤182は、第2点火器142が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。なお、第2ガス発生剤182の詳細については、後述することとする。
図5に示すように、隔壁部材145は、軸方向の両端に開口を有する筒状の形状を成している。隔壁部材145は、その軸方向がハウジングの軸方向と平行となるように配置されており、底板部111側に位置する開口端が、底板部111に組付けられた第2ホルダ141に固定された固定部145aとして機能している。
より詳細には、当該固定部145aは、上述したように第2ホルダ141に圧入されており、これによって隔壁部材145が第2ホルダ141に固定されることで当該隔壁部材145を含む仕切り部144が底板部111に組付けられている。なお、隔壁部材145は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
カバー部材146は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成し、隔壁部材145の天板部121側の開口端に組付けられている。カバー部材146は、隔壁部材145と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成される。
カバー部材146は、後述するキャップ部材147の頂板部147aを覆う円盤状の第1覆い部146aと、当該第1覆い部146aの周縁から底板部111側に向けて延設されることで隔壁部材145のうちの天板部121寄りの部分の外周面を覆う円筒状の第2覆い部146bとを含んでいる。このうち、第1覆い部146aは、隔壁部材145の天板部121側に位置する開口を覆うことで、後述するキャップ部材147の頂板部147aと共に仕切り部144の閉塞端を構成している。
カバー部材146は、隔壁部材145の上述した開口端に外挿されることで隔壁部材145に組付けられており、好ましくは隔壁部材145に対して圧入によって固定されている。これにより、カバー部材146の第2覆い部146bは、隔壁部材145のうちの上述した外周面に密着している。ここで、カバー部材146に設けられた第2覆い部146bの軸方向長さは、比較的短く構成することができ、隔壁部材145の上述した開口端が封止可能な必要最小限の長さとすることができる。
キャップ部材147は、底板部111側の端部が開口したカップ状の形状を成し、隔壁部材145のうちの天板部121寄りの部分に挿入されている。これにより、キャップ部材147は、隔壁部材145およびカバー部材146によって規定される空間に収容されている。キャップ部材147は、隔壁部材145と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されるが、その厚みは、隔壁部材145に比べて十分に薄く構成される。
キャップ部材147は、隔壁部材145の天板部121側に位置する開口を覆うことで仕切り部144の閉塞端を構成する円盤状の頂板部147aと、当該頂板部147aの周縁から底板部111側に向けて延設された円筒状の周板部147bとを含んでいる。このうち、頂板部147aは、第2ガス発生剤182とカバー部材146の第1覆い部146aとの間に配置されており、上述したカバー部材146の第1覆い部146aと共に仕切り部144の閉塞端を構成している。
キャップ部材147は、隔壁部材145の上述した開口端に内挿されることで隔壁部材145に収容されており、本実施の形態においては、キャップ部材147が隔壁部材145に対して遊嵌されている。ここで、遊嵌とは、隔壁部材145に嵌め込まれたキャップ部材147が、隔壁部材145との間で所定のクリアランスをもった状態にあることを意味し、換言すれば、キャップ部材147の外径は、隔壁部材145の内径よりも僅かに小さい。
すなわち、本実施の形態においては、キャップ部材147は、隔壁部材145に対して圧入されておらず、キャップ部材147の周板部147bは、ディスク型ガス発生器Cの非動作時において隔壁部材145の内周面に密着していない。これにより、本実施の形態においては、キャップ部材147が隔壁部材145に対して相対的に移動可能でかつ変形可能に組付けられることになり、第2ガス発生剤182の燃焼時において、後述するキャップ部材147の移動および変形が生じることになる。
ここで、上述のとおりキャップ部材147を隔壁部材145に遊嵌することとした場合には、隔壁部材145を第2ホルダ141に圧入する際の圧入作業が容易化する効果も得られる。すなわち、上述した仕切り部144を第2ホルダ141を介して下部側シェル110の底板部111に組付ける組付作業は、たとえば、隔壁部材145にキャップ部材147を遊嵌したものに第2ガス発生剤182を充填し、これを第2ホルダ141に対して圧入し、その後においてカバー部材146を隔壁部材145に対して圧入することで行なわれる。この場合、隔壁部材145を第2ホルダ141に圧入するに際して、キャップ部材147と隔壁部材145との間に形成された上述したクライアランスを介して空気が外部へ排出されることになるため、その圧入作業が容易化することになる。また、カバー部材146を隔壁部材145に圧入するに際してその圧入作業を容易化するためには、カバー部材146の所定位置にたとえば1箇所だけ孔を形成しておき、当該孔を介して空気が外部に排出されるようにすればよい。ただし、その場合には、上述した孔の形成位置は、隔壁部材145に対するカバー部材146の圧入が完了した時点において、当該孔が隔壁部材145またはキャップ部材147によって閉塞される位置とすることが必要である。
キャップ部材147の周板部147bには、複数個の第1ガス通過孔147cと、複数個の第2ガス通過孔147dとが設けられている。複数個の第1ガス通過孔147cおよび複数個の第2ガス通過孔147dは、いずれも周板部147bの厚み方向に沿って当該周板部147bを貫通するように設けられており、それぞれその外側に位置する開口面が隔壁部材145に対向することで当該隔壁部材145によって覆われている。
ここで、複数個の第1ガス通過孔147cは、周板部147bの周方向に沿って点列状に設けられており、複数個の第2ガス通過孔147dも、周板部147bの周方向に沿って点列状に設けられている。複数個の第1ガス通過孔147cは、いずれも複数個の第2ガス通過孔147dよりも天板部121側(すなわち、頂板部147a側)に配置されており、これにより周板部147bには、2段のガス通過孔群が設けられている。
複数個の第1ガス通過孔147cは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものである。より詳細には、これら複数個の第1ガス通過孔147cは、特に第2ガス発生剤182の燃焼の初期段階において第2燃焼室S2の圧力を相当程度に高めつつ、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものであるが、その詳細については後述する。
複数個の第2ガス通過孔147dは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、必要に応じて第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものである。より詳細には、これら複数個の第2ガス通過孔147dは、第2ガス発生剤182の燃焼時において、第2燃焼室S2の圧力が必要以上に高圧になった場合に、第2燃焼室S2にて発生したガスを仕切り部144の外側の空間に向けて通過させるためのものであるが、その詳細については後述することとする。
図5に示すように、第2ホルダ141の下端は、下部側シェル110の底板部111に設けられた第2開口部111bに上方から挿入されており、その外周縁が底板部111に対して接合されることで固定されている。これにより、当該第2ホルダ141に予め第2点火器142および仕切り部144等が組付けられることで一体化された第2点火器組立体140が、下部側シェル110に対して固定されるとともに、特に第2点火器組立体140の内部に設けられた第2燃焼室S2が、ハウジングの内部の空間に向けて突出して配置されることになる。ここで、底板部111と第2ホルダ141との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
第2ホルダ141の下側凹部141bには、第2点火器142の一対の端子ピン142cが露出して位置している。これにより、当該下側凹部141bおよび一対の端子ピン142cによって上述した第2雌型コネクタ部が構成されることになる。
当該第2雌型コネクタ部は、第2点火器142とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位である。第2雌型コネクタ部は、ハウジングの外部に向けて露出しており、当該第2雌型コネクタ部に上述した雄型コネクタが挿し込まれることにより、ハーネスの芯線と端子ピン142cとの電気的導通が実現されることになる。
図5に示すように、ハウジングの内部の空間には、上述した第1点火器組立体130および第2点火器組立体140に加え、フィルタ170が収容されている。フィルタ170は、円筒状の形状を成し、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と合致するようにハウジングと同軸上に配置されている。これにより、フィルタ170は、その外周面がハウジングの周壁部の内周面に対向している。
フィルタ170は、その内側の空間に第1点火器組立体130および第2点火器組立体140が配置されるように、これら第1点火器組立体130および第2点火器組立体140を取り巻くように配置されている。これにより、フィルタ170の内側の空間であってかつ仕切り部144の外側の空間に、第1ガス発生剤181が収容される第1燃焼室S1が形成されることになる。なお、フィルタ170は、ハウジングの周壁部から所定の距離をもって配置されており、これによりハウジングの周壁部とフィルタ170との間には、ガス排出室S3が形成されている。
フィルタ170としては、前述のフィルタ90と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
フィルタ170は、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがこのフィルタ170中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスが確実にフィルタ170中を通過するように構成することが必要になる。
ここで、第1点火器組立体130は、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように偏心配置されており、第2点火器組立体140も、その中心軸がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように(すなわち、仕切り部144の中心軸(より厳密には隔壁部材145の中心軸)がハウジングの周壁部の中心軸と重ならないように)偏心配置されている。このように構成することにより、ハウジングの内部(特にフィルタ170の内側の空間)にデッドスペースが生じることが防止でき、ディスク型ガス発生器Cを全体として小型に構成することができる。
第1燃焼室S1には、第1ガス発生剤181が収容されている。より具体的には、第1ガス発生剤181は、フィルタ170の内側の空間であってかつ第1点火器組立体130のカップ状部材150の頂壁部154および側壁部157に隣り合う空間、ならびに、フィルタ170の内側の空間であってかつ第2点火器組立体140の仕切り部144の側壁部に隣り合う空間に配置されている。第1ガス発生剤151は、第1点火器132が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。
上述した第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182としては、前述のガス発生剤61と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
ここで、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182は、それらの組成が同じものであってもよいし、それらの組成が異なるものであってもよい。また、第1ガス発生剤181および第2ガス発生剤182は、それらの形状や大きさが同じものであってもよいし、それらの形状や大きさが異なるものであってもよい。
フィルタ170に対面する部分の上部側シェル120の周壁部122には、ガス排出室S3に面するように複数個のガス噴出口124が設けられている。この複数個のガス噴出口124は、フィルタ170を通過したガスをハウジングの外部にガス排出室S3を介して導出するためのものである。
また、上部側シェル120の周壁部122の内周面には、上記複数個のガス噴出口124を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ125が貼り付けられている。このシールテープ125としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ125によってハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
図5に示すように、第1燃焼室S1のうち、底板部111側に位置する端部には、下側支持部材161が配置されている。下側支持部材161は、環状の形状を成しており、フィルタ170と底板部111との境目部分を覆うように、これらフィルタ170と底板部111とに宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材161は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、底板部111と第1ガス発生剤151との間に位置している。
下側支持部材161は、フィルタ170をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ170の内部を経由することなくフィルタ170の下端と底板部111との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。下側支持部材161は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
第1燃焼室S1のうち、天板部121側に位置する端部には、上側支持部材162が配置されている。上側支持部材162は、カップ状の形状を成しており、フィルタ170と天板部121との境目部分を覆うように、これらフィルタ170と天板部121とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材162は、第1燃焼室S1の上記端部近傍において、天板部121と第1ガス発生剤151との間に位置している。
上側支持部材162は、フィルタ170をハウジングに固定するための部材であるとともに、作動時において、第1燃焼室S1および第2燃焼室S2にて発生したガスがフィルタ170の内部を経由することなくフィルタ170の上端と天板部121との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。上側支持部材162は、上述した下側支持部材161と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
この上側支持部材162の内部には、第1燃焼室S1に収容された第1ガス発生剤181に接触するように平面視略C字状のクッション材163が配置されている。これにより、クッション材163は、第1燃焼室S1の天板部121側の部分において天板部121と第1ガス発生剤181との間に位置することになり、第1ガス発生剤181を底板部111側に向けて押圧している。
クッション材163は、前述のクッション材85と同様の構成のものであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
なお、第2ガス発生剤182の振動による破砕を防止する何らかの手当てが必要な場合には、第1ガス発生剤181の場合と同様に、これをクッション材を用いることで実現することができる。その場合には、円盤状のクッション材を隔壁部材145の頂壁部145aと第2ガス発生剤182との間に配置するか、あるいは、円環板状のクッション材を第2点火器142を取り囲む部分の第2ホルダ141の上面と第2ガス発生剤182との間に配置するか、のいずれかとすることができる。
前者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤182が底板部111側に向けて押圧されることになり、後者の構成を採用した場合には、クッション材によって第2ガス発生剤182が天板部121側に向けて押圧されることになる。なお、前者の構成および後者の構成の双方を採用することとしてもよい。ここで、上述した第2ガス発生剤182を押圧するクッション材としては、第1ガス発生剤181を押圧するクッション材163と同様の材質ものを利用することができる。
(その他の形態等)
上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、金属製の部材をプレス加工することによって成形されたプレス成形品にて上部側シェルおよび下部側シェルを構成した場合を例示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、プレス加工と他の加工(鍛造加工や絞り加工、切削加工等)との組み合わせによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよいし、上記他の加工のみによって形成された上部側シェルおよび下部側シェルを使用することとしてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、下部側シェルに突状筒部を設けた場合を例示したが、当該突状筒部が設けられない構成のガス発生器に本発明を適用することも当然に可能である。
さらには、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例においては、カップ状部材として、点火器が作動することによって伝火薬が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融するものを使用した場合を例示して説明を行なったが、他の構成のカップ状部材を用いることとしてもよい。具体的には、カップ状部材として、ステンレス合金等の機械的強度の高い部材に開口を予め設けておき、当該開口をシールテープによって閉塞することで、作動時において当該シールテープの閉塞が破られるように構成されたものを使用することもできる。
加えて、上述した本発明の実施の形態1および2ならびにその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨に照らして許容される範囲で当然に相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
A〜C ディスク型ガス発生器、10 下部側シェル、11 底板部、12 周壁部、13 突状筒部、14 窪み部、15 開口部、20 上部側シェル、21 天板部、22 周壁部、23 ガス噴出口、24 シールテープ、28 間隙部、30 保持部、31 内側被覆部、32 外側被覆部、33 連結部、34 雌型コネクタ部、40 点火器、41 点火部、42 端子ピン、50 カップ状部材、51 頂壁部、52 側壁部、53 延設部、54 先端部、55 仕切り部材、57 伝火室、59 伝火薬、60 燃焼室、61 ガス発生剤、62 フランジ部、70 下側支持部材、71 基部、72 当接部、73 立設部、74 隔壁部、80 上側支持部材、81 基部、82 当接部、85 クッション材、90 フィルタ、S1 第1空間、S2 第2空間、110 下部側シェル、111 底板部、111a 第1開口部、111b 第2開口部、112 周壁部、120 上部側シェル、121 天板部、122 周壁部、123 フランジ部、124 ガス噴出口、125 シールテープ、130 第1点火器組立体、131 第1ホルダ、131a 上側凹部、131b 下側凹部、131c 貫通孔、131d,131e かしめ部、132 第1点火器、132a 基部、132b 点火部、132c 端子ピン、133 第1シール部材、134 カップ体、134a 頂壁部、134b 側壁部、134c フランジ部、135 伝火室、136 伝火薬、140 第2点火器組立体、141 第2ホルダ、141a 上側凹部、141b 下側凹部、141c 貫通孔、141d かしめ部、142 第2点火器、142a 基部、142b 点火部、142c 端子ピン、143 第2シール部材、144 仕切り部、145 隔壁部材、145a 固定部、145c 第1ガス通過孔、145d 第2ガス通過孔、146 カバー部材、146a 第1覆い部、146b 第2覆い部、146c 第3覆い部、147 キャップ部材、147a 頂板部、147b 周板部、147b1 斜板部、147c 第1ガス通過孔、147d 第2ガス通過孔、147e 第3ガス通過孔、150 カップ状部材、151 頂壁部、152 側壁部、161 下側支持部材、162 上側支持部材、163 クッション材、170 フィルタ、181 第1ガス発生剤、182 第2ガス発生剤、S1 第1燃焼室、S2 第2燃焼室、S3 ガス排出室。

Claims (3)

  1. ガス噴出口が設けられた筒状の周壁部と、前記周壁部の軸方向の一端を閉塞する天板部、および前記周壁部の軸方向の他端を閉塞する底板部とによって構成され、ガス発生剤が収容された燃焼室を内部に有する短尺筒状のハウジングと、前記底板部に組付けられ、作動時において着火する点火薬が収容された点火部を含む点火器と、
    伝火薬が収容された伝火室を内部に含み、前記内部の空間が前記点火部に面するように、前記燃焼室に向けて突出して配置された有底筒状の単一の部材からなるカップ状部材とを備え、
    前記カップ状部材は前記点火器の作動に伴って破裂、変形、又は溶融する部材であり、前記カップ状部材は引張試験片による圧延方向の破断伸びが10%未満である部材またはフィラーを含む樹脂で構成される、ガス発生器。
  2. 前記カップ状部材の破断強度が5〜100MPaである、請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記カップ状部材が、セラミック、ガラス、ポリカーボネートから選択される少なくとも一種の材料を含む請求項1または請求項2に記載のガス発生器。
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