JP2022073422A - 電線固定構造及びワイヤハーネス - Google Patents

Abstract

【課題】放熱性に優れた電線の保護。
【解決手段】電線１０の保護対象部１０ａを内方の電線収容室２１に収容し、かつ、電線収容室２１の電線１０を当該電線収容室２１の電線導出口２２ａから引き出させる金属製のプロテクタ２０と、プロテクタ２０を金属製の締結対象物ＣＡに固定させるための締結構造６０と、を備え、締結構造６０は、雄螺子部材６１と、プロテクタ２０に形成され、雄螺子部材６１を挿通させる貫通孔６２と、締結対象物ＣＡに設け、雄螺子部材６１を螺合させる雌螺子部６３と、を備えるものであり、プロテクタ２０は、締結対象物ＣＡに対する固定状態のときに当該締結対象物ＣＡに少なくとも一部を当接させること。
【選択図】図３

Description

本発明は、電線固定構造及びワイヤハーネスに関する。

従来、ワイヤハーネスにおいては、車両等の設置対象物に設置された電線を保護するための電線保護部材が設けられることがある。例えば、その電線保護部材としては、電線を内方に収容して覆う保護部材（プロテクタやコルゲートチューブ等）、電線を車体等の周辺部品に固定して電線と周辺部品との干渉を防ぐ保護部材（クリップやクランプ等）などが知られている。また、プロテクタについては、周辺部品に固定することによって、電線と周辺部品との干渉を防ぐ機能を兼務させることも可能である。ワイヤハーネスにおいては、電線の配索経路や周辺部品に応じて、プロテクタ又はコルゲートチューブで保護したり、プロテクタとコルゲートチューブを併用して保護したりすることもあれば、クリップ等で保護したりすることもある。例えば、下記の特許文献１には、電線をプロテクタで保護する技術について開示されている。

特開２００６－７４８４３号公報

ところで、車両においては、その駆動源に電動機を用いるなど、大電流化が進んでいる。このため、ワイヤハーネスにおいては、電線の発熱量が大きくなるので、その放熱性を上げることが望まれている。しかしながら、プロテクタやコルゲートチューブは、熱伝導率の小さい合成樹脂材料で成形されており、その内部空間の熱が逃げ難いので、電線の放熱性という点で改善の余地がある。一方、クリップやクランプは、同じように熱伝導率の小さい合成樹脂材料で成形されているが、電線を包み込む容積がプロテクタ等と比べて小さいので、電線の放熱性という点で有益である。但し、クリップ等は、電線の保護という本来の立場に立つならば、その周辺環境如何で、適用範囲が限定的なものとなり得る。

そこで、本発明は、放熱性に優れた電線の保護が可能な電線固定構造及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。

上記目的を達成する為、本発明に係る電線固定構造は、電線の保護対象部を内方の電線収容室に収容し、かつ、前記電線収容室の前記電線を当該電線収容室の電線導出口から引き出させる金属製のプロテクタと、前記プロテクタを金属製の締結対象物に固定させるための締結構造と、を備え、前記締結構造は、雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記締結対象物に設け、前記雄螺子部材を螺合させる雌螺子部と、を備えるもの、又は、前記締結対象物に立設させた雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記雄螺子部材に螺合させる雌螺子部材と、を備えるものであり、前記プロテクタは、前記締結対象物に対する固定状態のときに当該締結対象物に少なくとも一部を当接させることを特徴としている。

また、上記目的を達成する為、本発明に係るワイヤハーネスは、電線と、前記電線の保護対象部を内方の電線収容室に収容し、かつ、前記電線収容室の前記電線を当該電線収容室の電線導出口から引き出させる金属製のプロテクタと、前記プロテクタを金属製の締結対象物に固定させるための締結構造と、を備え、前記締結構造は、雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記締結対象物に設け、前記雄螺子部材を螺合させる雌螺子部と、を備えるもの、又は、前記締結対象物に立設させた雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記雄螺子部材に螺合させる雌螺子部材と、を備えるものであり、前記プロテクタは、前記締結対象物に対する固定状態のときに当該締結対象物に少なくとも一部を当接させることを特徴としている。

本発明に係る電線固定構造及びワイヤハーネスにおいては、通電に伴う電線の熱が保護対象部から直接的又は間接的にプロテクタに伝えられる。そのプロテクタの熱は、自身の温度が締結対象物の温度よりも高ければ、その締結対象物に伝えられる。更に、このプロテクタの熱は、雄螺子部材に伝えられ、この雄螺子部材から雌螺子部を介して締結対象物に伝えられる。また更に、このプロテクタの熱は、自身の温度が周囲の雰囲気温よりも高ければ、周囲の空気に放たれる。従って、本発明に係る電線固定構造及びワイヤハーネスは、このプロテクタと締結構造を用いることによって、放熱性に優れた電線の保護を図ることができる。

図１は、実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。 図２は、実施形態のワイヤハーネスを側方から見た側面図である。 図３は、実施形態の固定構造及びワイヤハーネスを示す分解斜視図である。 図４は、第１収容部材に対しての電線の収容状態を説明する斜視図である。 図５は、伝熱部材の一例を示す斜視図である。

以下に、本発明に係る電線固定構造及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。

［実施形態］
本発明に係る電線固定構造及びワイヤハーネスの実施形態の１つを図１から図５に基づいて説明する。

図１から図３の符号１は、本実施形態のワイヤハーネスを示す。このワイヤハーネス１は、電線１０と、この電線１０を締結対象物ＣＡに固定させるための電線固定構造と、を備える。

電線１０は、例えば、図示しないが、一端を車両のドライブユニットに電気接続させ、他端を車両の二次電池に電気接続させる。そのドライブユニットは、電気自動車等の車両における駆動源としての電動機やインバータ等を備える。よって、電線１０は、二次電池からドライブユニットへの給電や、ドライブユニット側で生成された回生電力の二次電池への蓄電等を担う。この例示では、そのドライブユニットにおける金属製の筐体を締結対象物ＣＡとして利用する。

本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、その電線１０の保護対象部１０ａを収容して周辺部品（図示略）から保護する金属製のプロテクタ２０を備え、このプロテクタ２０を介して電線１０を締結対象物ＣＡに固定させる（図１から図３）。

プロテクタ２０においては、その内方に、電線１０の保護対象部１０ａを収容させる電線収容室２１が形成されている（図１、図２及び図４）。また、このプロテクタ２０においては、その電線収容室２１の電線１０を当該電線収容室２１の端部の電線導出部２２から外方に引き出させる（図１、図３及び図４）。このため、電線導出部２２は、電線収容室２１における電線配索経路上の端末の開口であり、電線収容室２１の電線１０を外方に引き出させる電線導出口２２ａを有している（図１）。

ここで示すプロテクタ２０は、複数本の電線１０のそれぞれの保護対象部１０ａを保護するものであり、その電線１０毎に電線収容室２１が設けられている（図１及び図３）。この例示では、２つの電線収容室２１が形成されている。また、ここで示す電線収容室２１は、円柱状の電線１０の電線径よりも直径の大きな円柱状に形成された空間を有するものであり、この空間の軸線に沿って電線１０を配索させる。また、ここで示す電線収容室２１は、その両端に、電線導出口２２ａを有する電線導出部２２が設けられている（図４）。また、それぞれの電線収容室２１は、互いに間隔を空けて、円柱状の空間の軸線に沿って並走させている。そして、このプロテクタ２０は、隣り合う電線収容室２１を連結させる連結部２３を有している（図１、図３及び図４）。

このプロテクタ２０は、電線収容室２１を成す電線収容溝３１ａが形成された第１収容部材３０と、この第１収容部材３０に組み付けられ、電線収容溝３１ａの開口３１ａ_１を塞ぐ第２収容部材４０と、を備える（図１から図３）。その第１収容部材３０と第２収容部材４０は、例えば、ダイカストを用いて成形されたり（ダイカスト成形品に対する切削加工を含む）、金属板を母材にしてプレス成形されたりして形作られる。

第１収容部材３０は、樋状に形成された電線１０毎の収容体３１を有しており、その収容体３１の溝状の空間を電線収容溝３１ａとして利用する（図３及び図４）。ここで示す電線収容溝３１ａは、電線収容室２１の主要な空間を成している。また、この第１収容部材３０においては、電線収容溝３１ａの両端の開口が電線導出口２２ａの一部として利用される（図３）。また、この第１収容部材３０においては、収容体３１における電線収容溝３１ａの溝底に対向配置された開口３１ａ_１が電線１０を収容する際の挿入口として利用される。

この第１収容部材３０においては、隣り合う収容体３１同士を先の連結部２３で連結させている（図３及び図４）。この例示では、２つの収容体３１の間に２つの連結部２３が設けられている。

第２収容部材４０は、第１収容部材３０に設けた全ての開口３１ａ_１を一纏めにして塞ぐものであってもよく、その開口３１ａ_１毎に塞ぐものであってもよい。ここで示す第２収容部材４０は、開口３１ａ_１の形状に合わせた板状に成形され、収容体３１毎に組み付けられて当該収容体３１の開口３１ａ_１を塞ぐ（図１及び図３）。また、ここで示す第２収容部材４０は、その両端が樋状に形成され、この両端の開口が電線導出口２２ａの一部として利用される（図３）。尚、図中では、一方の開口のみを明示し、他方の開口を省略している。

このプロテクタ２０は、第１収容部材３０と第２収容部材４０をロック機構で組付け状態のまま固定させるものであってもよく、固定用の別部材を用いて組付け状態のまま固定させるものであってもよい。そのロック機構とは、図示しないが、例えば、第１収容部材３０と第２収容部材４０の内の少なくとも一方に設けた爪部を他方の相手方に引っ掛けることによって、この第１収容部材３０と第２収容部材４０を組付け状態のまま固定させるものである。また、固定用の別部材とは、組付け状態の第１収容部材３０と第２収容部材４０に外側から巻き付ける例えばタイバンドのことである。更に、このプロテクタ２０は、これらの固定構造に替えて、それぞれの第２収容部材４０を連結させる連結部を設けると共に、その連結部に後述する貫通孔６２と同心の貫通孔を形成し、その貫通孔にも後述する雄螺子部材６１を挿通させることによって、第１収容部材３０と第２収容部材４０を締結対象物ＣＡに共締め固定させるものであってもよい。つまり、このプロテクタ２０は、後述する締結構造６０を利用して、第１収容部材３０と第２収容部材４０を固定させるものであってもよい。

ここで示すプロテクタ２０においては、組付け状態の収容体３１と第２収容部材４０とによって、その一部に円筒部２４が形成される（図１及び図２）。このプロテクタ２０においては、その円筒部２４の外周面側における円弧状の溝がタイバンド（図示略）を巻き付ける際の位置決め用の固定溝２４ａとして利用される（図１及び図２）。そのタイバンドは、収容体３１に予め取り付けておいたものであってもよく、収容体３１と第２収容部材４０を組み付けた後で取り付けられるものであってもよい。ここで示すプロテクタ２０においては、第１収容部材３０の収容体３１と第２収容部材４０に各々設けた半円弧状の樋部を組み合わせることによって、円筒部２４が形成される（図１及び図３）。また、ここで示す固定溝２４ａは、第１収容部材３０の半円弧状の樋部に設けられている（図３）。また、ここで示すプロテクタ２０においては、収容体３１と第２収容部材４０の組付け体における一方の端部と中間部とに、固定溝２４ａ付きの円筒部２４が形成されている。尚、このプロテクタ２０においては、その一方の端部の円筒部２４が一方の電線導出部２２としても利用されている。

更に、この電線固定構造及びワイヤハーネス１は、電線１０を内方に収容して覆う筒状の電線保護部材５０を備える（図１、図３及び図４）。ここで示す電線保護部材５０は、合成樹脂材料で成形された円筒状のコルゲートチューブであり、その外周面に同心の円環状の溝５１が筒軸方向に間隔を空けて複数並べられている（図４）。電線収容室２１では、少なくとも一方の端部の電線導出部２２にのみ電線保護部材５０を収容させる。つまり、この電線保護部材５０は、電線収容室２１における両端の電線導出部２２の内の何れか一方だけに配置してもよく、その両端の電線導出部２２に各々配置してもよい。

ここで示す電線固定構造及びワイヤハーネス１においては、一方の電線導出部２２（円筒部２４）の内径を電線１０の電線径と同等の大きさに形成して、この一方の電線導出部２２に電線保護部材５０を収容させず、他方の電線導出部２２にのみ電線保護部材５０を収容させる。よって、他方の電線導出部２２の内壁面には、電線保護部材５０の溝５１に嵌め込む円弧状の嵌合突起２２ｂが形成されている（図４）。ここでは、その他方の電線導出部２２の内壁面に２つの嵌合突起２２ｂが形成されている。

ここで、電線保護部材５０は、電線導出部２２のみに位置させる長さに成形されたものであってもよく、電線導出口２２ａから引き出された電線１０の保護を図るべく、この電線導出口２２ａから電線１０の保護対象位置まで突出させる長さを持ったものとして成形されてもよい。

更に、この電線固定構造及びワイヤハーネス１は、そのプロテクタ２０を金属製の締結対象物ＣＡに固定させるための締結構造６０を備える（図３）。ここで例示する締結対象物ＣＡとは、先に示したように、金属製の筐体のことである。そこで、この締結構造６０は、その筐体の外壁面ＣＡ１（図１から図３）に対するプロテクタ２０の固定が可能なものとして構成する。また、この締結構造６０は、締結部材を用いて、プロテクタ２０を締結対象物ＣＡに固定する。その締結部材とは、螺子部材のことである。締結構造６０としては、その螺子部材を用いた次の２形態の内の何れか一方が適用される。

締結構造６０は、雄螺子部材と、プロテクタ２０に形成され、雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、締結対象物ＣＡに設け、雄螺子部材を螺合させる雌螺子部と、を備えるもの、又は、締結対象物ＣＡに立設させた雄螺子部材と、プロテクタ２０に形成され、雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、雄螺子部材に螺合させる雌螺子部材と、を備えるものとして構成する。この例示では、前者の形態の締結構造６０を適用している。よって、ここで示す締結構造６０は、雄螺子部材６１と、プロテクタ２０に形成され、雄螺子部材６１を挿通させる貫通孔６２と、締結対象物ＣＡに設け、雄螺子部材６１を螺合させる雌螺子部６３と、を備えている（図３）。この締結構造６０は、この雄螺子部材６１と貫通孔６２と雌螺子部６３の組み合わせを少なくとも２組備えている。ここで示す締結構造６０は、これらの組み合わせを２組備えている。

プロテクタ２０は、第１収容部材３０を締結対象物ＣＡに固定することによって、この締結対象物ＣＡに固定させる。よって、貫通孔６２は、第１収容部材３０に設ける。ここで示す第１収容部材３０においては、連結部２３に貫通孔６２が形成されている。また、第１収容部材３０においては、連結部２３毎に貫通孔６２を設けてもよく、１つの連結部２３に複数の貫通孔６２を設けてもよい。この例示では、連結部２３毎に円形の貫通孔６２が１つずつ形成されている。

ここで示す締結対象物ＣＡとしての筐体においては、少なくともプロテクタ２０を固定させる場所の外壁面ＣＡ１が平坦に形成されている。雌螺子部６３は、この締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１から突出させないように形成されたものであってもよく、この締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１から突出させた突出部に形成されたものであってもよい。この例示では、前者のように、締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１から突出させぬように雌螺子部６３が形成されている。

ここで、プロテクタ２０は、締結対象物ＣＡに対する固定状態のときに当該締結対象物ＣＡに少なくとも一部を当接させる。つまり、締結構造６０は、プロテクタ２０の少なくとも一部を締結対象物ＣＡに当接させた状態で、このプロテクタ２０を締結対象物ＣＡに固定させるものとして構成されている。これにより、このプロテクタ２０は、自身の温度が締結対象物ＣＡよりも高くなったときに、自身の熱を接触部分から締結対象物ＣＡに伝えることができる。

例えば、プロテクタ２０は、締結対象物ＣＡに対する固定状態のときに、第１収容部材３０のそれぞれの収容体３１と連結部２３の内の少なくとも１つを締結対象物ＣＡに当接させる。これにより、このプロテクタ２０は、締結対象物ＣＡに対する接触面積を広く取ることができるので、自身の熱を締結対象物ＣＡに伝え易くなる。

但し、ここで示すプロテクタ２０は、車両の走行振動が入力されたり、熱膨張や熱収縮が発生したりしたとしても、自身や締結対象物ＣＡの耐久性の低下を抑えることができるように、締結対象物ＣＡに当接させるための突出部２５を有している（図２）。つまり、ここで示すプロテクタ２０は、その突出部２５を介してだけ締結対象物ＣＡに当接させるように形成されている。突出部２５は、それぞれの収容体３１に設ける場合、それぞれの収容体３１の外壁面から各々突出させればよい。また、突出部２５は、連結部２３から突出させたものであってもよい。また、突出部２５は、第１収容部材３０の一部として形成されたものであってもよく、第１収容部材３０とは別の部材として成形され、この第１収容部材３０に組み付けられたものであってもよい。この例示では、第１収容部材３０の一部として形成された円筒状の突出部２５をそれぞれの連結部２３から各々突出させ、その突出部２５における一方の円環状の端面を締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１に接触させる。そして、ここでは、その突出部２５の内部空間が雄螺子部材６１を挿通させるための貫通孔６２として利用される。つまり、貫通孔６２は、突出部２５に形成されている。

このように構成されているワイヤハーネス１においては、先ず、第１収容部材３０を締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１に設置し、雄螺子部材６１を貫通孔６２に通して締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１の雌螺子部６３に螺合させることによって、第１収容部材３０を締結対象物ＣＡに固定する。そして、このワイヤハーネス１においては、その第１収容部材３０のそれぞれの収容体３１における電線収容溝３１ａに、電線保護部材５０が組み付けられた電線１０の保護対象部１０ａを設置する。その設置の際には、電線保護部材５０の溝５１を電線導出部２２の内壁面の嵌合突起２２ｂに嵌め込ませる。続いて、このワイヤハーネス１においては、第１収容部材３０のそれぞれの収容体３１に第２収容部材４０を組み付け、これに伴い形成された円筒部２４の固定溝２４ａにタイバンドを巻き付けて、第２収容部材４０を収容体３１に固定する。

本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１においては、通電に伴う電線１０の熱が保護対象部１０ａから直接的又は間接的にプロテクタ２０に伝えられる。そのプロテクタ２０の熱は、自身の温度が締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１の温度よりも高ければ、その締結対象物ＣＡに伝えられる。この例示では、プロテクタ２０の熱が突出部２５を介して締結対象物ＣＡの外壁面ＣＡ１に伝えられる。更に、このプロテクタ２０の熱は、雄螺子部材６１に伝えられ、この雄螺子部材６１から雌螺子部６３を介して締結対象物ＣＡに伝えられる。この例示では、プロテクタ２０の熱が主に突出部２５を介して雄螺子部材６１に伝えられる。また更に、このプロテクタ２０の熱は、自身の温度が周囲の雰囲気温よりも高ければ、周囲の空気に放たれる。従って、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、このプロテクタ２０と締結構造６０を用いることによって、放熱性に優れた電線１０の保護を図ることができる。

更に、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、電線収容室２１の中で電線保護部材５０が電線導出部２２だけに配置されるので、この電線収容室２１の中の電線１０の保護対象部１０ａにおいて、電線保護部材５０で覆われずに露出している部分が存在する。このため、その保護対象部１０ａにおいては、電線収容室２１の中で、電線保護部材５０で覆われずに露出している部分から室内の空気に放熱させたり、この露出部分からプロテクタ２０に伝熱させたりすることができる。従って、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、この点からも、放熱性に優れた電線１０の保護を図ることができるといえる。

ここで、この電線固定構造及びワイヤハーネス１は、電線収容室２１にて、電線１０の熱を電線収容室２１の内壁に伝える伝熱部材７０を備えるものであってもよい（図５）。例えば、この伝熱部材７０としては、電線１０の被覆よりも熱伝導率の高いものを用いる。これにより、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、電線１０の熱がプロテクタ２０に伝わり易くなるので、放熱性により優れた電線１０の保護を図ることができる。

その伝熱部材７０は、電線１０の外周面に予め組み付けておいたものであってもよく、電線収容室２１の内壁に組み付けられるものであってもよい。ここで示す伝熱部材７０は、柔軟性を持たせたシート状の伝熱シートであり、第１収容部材３０のそれぞれの収容体３１における電線収容溝３１ａの内壁に対して、この内壁形状に沿わせて組み付けられている。この伝熱部材７０は、例えば、粘着剤等で電線収容溝３１ａの内壁に予め貼り付けられる。また、この伝熱部材７０は、電線１０の熱を電線収容室２１の内壁に伝え易くするために、それぞれのシート面を電線収容溝３１ａの内壁と電線１０の外周面とに各々接触させるものであることが望ましい。この例示の伝熱部材７０は、電線収容溝３１ａの内壁にて電線保護部材５０が配置されない部位に設置される。つまり、この例示の伝熱部材７０は、電線１０の保護対象部１０ａにおける電線保護部材５０で覆われずに露出している部分の熱を電線収容室２１の内壁に伝えるものとして設けられている。

尚、伝熱部材７０は、図示しないが、第２収容部材４０の内壁にも設置してよく、電線１０の熱を第２収容部材４０の内壁にも伝達させることによって、電線１０の放熱性を更に向上させてもよい。

更に、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、金属板を母材にするなどして、プロテクタ２０（第１収容部材３０、第２収容部材４０）の肉厚を薄くすることができる。特に、このプロテクタ２０は、従来のように合成樹脂材料で成形されたプロテクタと比較して、強度を向上させながらも、薄肉化を図ることができる。このため、この電線固定構造及びワイヤハーネス１においては、従来のような合成樹脂材料からなるプロテクタと比較して、プロテクタ２０の小型化を図ることができ、また、その金属材料や肉厚如何でプロテクタ２０の軽量化を図ることができる。

また更に、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、突出部２５を介してプロテクタ２０を締結対象物ＣＡに当接させるので、それぞれの収容体３１と連結部２３の内の少なくとも１つを締結対象物ＣＡに当接させる場合と比較して、プロテクタ２０と締結対象物ＣＡとの間の接触面積が狭くなっている。このため、この電線固定構造及びワイヤハーネス１は、車両の走行振動が入力されたり、熱膨張や熱収縮が発生したりしたとしても、プロテクタ２０や締結対象物ＣＡの耐久性の低下を抑えることができる。

また更に、本実施形態の電線固定構造及びワイヤハーネス１は、先に例示した簡便な組付け工程で締結対象物ＣＡに固定することができる。

１ ワイヤハーネス
１０ 電線
１０ａ 保護対象部
２０ プロテクタ
２１ 電線収容室
２２ 電線導出部
２２ａ 電線導出口
２５ 突出部
３０ 第１収容部材
３１ａ 電線収容溝
３１ａ_１ 開口
４０ 第２収容部材
５０ 電線保護部材
６０ 締結構造
６１ 雄螺子部材
６２ 貫通孔
６３ 雌螺子部
ＣＡ 締結対象物

Claims (5)

1. 電線の保護対象部を内方の電線収容室に収容し、かつ、前記電線収容室の前記電線を当該電線収容室の電線導出口から引き出させる金属製のプロテクタと、
   前記プロテクタを金属製の締結対象物に固定させるための締結構造と、
   を備え、
   前記締結構造は、雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記締結対象物に設け、前記雄螺子部材を螺合させる雌螺子部と、を備えるもの、又は、前記締結対象物に立設させた雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記雄螺子部材に螺合させる雌螺子部材と、を備えるものであり、
   前記プロテクタは、前記締結対象物に対する固定状態のときに当該締結対象物に少なくとも一部を当接させることを特徴とした電線固定構造。
2. 前記プロテクタは、前記電線収容室を成す電線収容溝が形成された第１収容部材と、前記第１収容部材に組み付けられ、前記電線収容溝の開口を塞ぐ第２収容部材と、を備えることを特徴とした請求項１に記載の電線固定構造。
3. 前記プロテクタは、前記締結対象物に当接させるための突出部を有し、
   前記貫通孔は、前記突出部に形成されることを特徴とした請求項１又は２に記載の電線固定構造。
4. 前記電線を内方に収容して覆う筒状の電線保護部材を備え、
   前記電線収容室では、前記電線導出口を有する少なくとも一方の端部の電線導出部にのみ前記電線保護部材を収容させることを特徴とした請求項１，２又は３に記載の電線固定構造。
5. 電線と、
   前記電線の保護対象部を内方の電線収容室に収容し、かつ、前記電線収容室の前記電線を当該電線収容室の電線導出口から引き出させる金属製のプロテクタと、
   前記プロテクタを金属製の締結対象物に固定させるための締結構造と、
   を備え、
   前記締結構造は、雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記締結対象物に設け、前記雄螺子部材を螺合させる雌螺子部と、を備えるもの、又は、前記締結対象物に立設させた雄螺子部材と、前記プロテクタに形成され、前記雄螺子部材を挿通させる貫通孔と、前記雄螺子部材に螺合させる雌螺子部材と、を備えるものであり、
   前記プロテクタは、前記締結対象物に対する固定状態のときに当該締結対象物に少なくとも一部を当接させることを特徴としたワイヤハーネス。

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