JP2022063646A - 樹脂構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い防水性を保持しながら、作業性に優れる樹脂構造体、を提供すること。【解決手段】樹脂構造体1は、第1樹脂体10と、第1樹脂体10に組み付けられる第2樹脂体20と、を備え、第1樹脂体10及び第2樹脂体20が二重壁構造を有し、第1樹脂体10の第1係合部(14、15)と第2樹脂体20の第2係合部(26、27)とが係合されている一の係合箇所3が、一の係合箇所3と対向する他の係合箇所2よりも組付方向の手前側に位置し、一の係合箇所3にて第1係合部15と第2係合部27とが係合された状態で、一の係合箇所3を回動中心として、第2樹脂体20を回動させる回動途中段階では、第1壁部11と第2壁部21との干渉が回避される、ように構成される。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂構造体に関する。
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される樹脂構造体が提案されている。例えば、従来の電気接続箱の一つは、電子部品等を保持する本体ケースと、本体ケースの上部(又は下部)に組み付けられるアッパーカバー(又はロアカバー)と、を有している(例えば、特許文献1-2を参照。)。
特開2009-273311号公報 特開2013-34320号公報
例えば、従来の電気接続箱では、防水性の観点から、本体ケースの周壁、及び、アッパーカバーの周壁の双方が二重壁構造を有しているものがある。一般に、上述した電気接続箱では、本体ケースとアッパーカバーとの着脱時には、二重壁構造を有する双方の周壁を嵌め合わせる、又は、嵌め合わせを解除する。しかし、上述した電気接続箱では、双方が二重壁構造を有しているため、本体ケースとアッパーカバーとの着脱時には、本体ケースとアッパーカバーとを組付方向に平行に着脱しなければ、双方の周壁が互いに干渉することがあった。このため、本体ケースとアッパーカバーとの着脱工程は、容易に行い難く作業性に優れなかった。このように、従来の電気接続箱は、本体ケース及びアッパーカバーが有する二重壁構造により防水性を有しつつも作業性には優れず、防水性と作業性との両立が困難であった。
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる樹脂構造体、の提供である。
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂構造体は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
開口部を有する箱状の第1樹脂体と、前記開口部を覆うように前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体は、
二重壁構造を有し、且つ、前記第2樹脂体を該第1樹脂体に組み付ける組付方向に延びている第1壁部と、
前記第1壁部に設けられる第1係合部と、を有し、
前記第2樹脂体は、
前記第1壁部と嵌め合わせられる二重壁構造を有し、且つ、前記組付方向に延びている第2壁部と、
前記第2壁部に設けられ且つ前記第1係合部と係合される第2係合部と、を有し、
該樹脂構造体は、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合されている一の係合箇所が、前記一の係合箇所と対向する位置に位置する他の係合箇所よりも前記組付方向の手前側に位置し、
前記一の係合箇所にて前記第1係合部と前記第2係合部とが係合された状態で、前記一の係合箇所を回動中心として、前記第2樹脂体を回動させる回動途中段階では、前記第1壁部と前記第2壁部との干渉が回避される、ように構成される、
樹脂構造体であること。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体において、
前記第1壁部は、
第1内部壁と、前記第1内部壁よりも該樹脂構造体の外側に位置する第1外部壁と、から構成される前記二重壁構造を有し、
前記一の係合箇所が設けられる第1箇所では、前記第1外部壁の端部が前記第1内部壁の端部よりも前記組付方向の手前側に位置し、
前記他の係合箇所が設けられる第2箇所では、前記第1内部壁の前記端部が前記第1外部壁の前記端部よりも前記手前側に位置している、
樹脂構造体であること。
[3]
上記[2]に記載の樹脂構造体において、
前記第2壁部は、
第2内部壁と、前記第2内部壁よりも前記外側に位置する第2外部壁と、から構成される前記二重壁構造を有し、
前記第2内部壁が前記第1内部壁と前記第1外部壁との間に画成された壁間スペースに収容され、
前記第1箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さは、前記第2箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さよりも短い、
樹脂構造体であること。
[4]
上記[1]から上記[3]の何れか一項に記載の樹脂構造体において、
前記第2樹脂体は、
前記他の係合箇所を構成する前記第2係合部の前記手前側に、該樹脂構造体の外側に突出する凸部が設けられ、
前記第1樹脂体の前記開口部を覆う第3壁部を更に有し、
前記第3壁部は、
前記他の係合箇所側に、前記組付方向の奥側に向かって窪む凹部を有する、
樹脂構造体であること。
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体の第1壁部、及び、第2樹脂体の第2壁部の双方が二重壁構造を有して、第1壁部と第2壁部との双方が嵌め合わされる。具体的には、第1樹脂体及び第2樹脂体の一方には二重壁構造を構成する二つの壁が画成する壁間のスペースが存在し、このスペースに他方が有する壁が挿入されることで、双方が互いに嵌め合わされる。このため、本構成の樹脂構造体は、防水性に優れる。また、本構成の樹脂構造体は、一の係合箇所が、対向する位置の他の係合箇所よりも組付方向の手前側に位置するとともに、一の係合箇所にて第1係合部と第2係合部とが係合された状態で、一の係合箇所を回動中心として、第2樹脂体が回動される。これにより、第2樹脂体を回動させたとき、一の係合箇所が他の係合箇所よりも組付方向の手前側にない場合に比べ、第2壁部は、第1壁部に対して、組付方向に略平行に移動する。つまり、回動中心である一の係合箇所が、他の係合箇所よりも組付方向の手前側に位置することで、第2樹脂体を回動させる回動途中段階では、第1壁部と第2壁部との干渉が回避される。加えて、従来のように第1樹脂体と第2樹脂体とを組付方向に平行に移動させることなく、一点を支持して第2樹脂体を回動させることで、樹脂構造体の着脱作業が容易になる。この結果、本構成の樹脂構造体は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、一の係合箇所が設けられる第1箇所では、第1外部壁の端部が第1内部壁の端部よりも組付方向の手前側に位置し、第2箇所では、第1内部壁の端部が第1外部壁の端部よりも手前側に位置している。別の言い方をすると、第1箇所では、第1内部壁と第1外部壁とを比べて回動中心に遠い第1内部壁が第1外部壁よりも端部が組付方向の手前側に位置し、他方側では第1内部壁と第1外部壁とを比べて回動中心に遠い第1外部壁が第1内部壁よりも端部が組付方向の手前側に位置している。このため、回動中心に近い第1内部壁又は第1外部壁は、回動途中段階では、第2壁部との干渉が回避される。この結果、本構成の樹脂構造体は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
上記[3]の構成の樹脂構造体によれば、第2内部壁が第1内部壁と第1外部壁との間で画成された壁間スペースに収容されることで、第1壁部と第2壁部とは嵌め合わされる。そして、第1箇所の第2内部壁の組付方向の長さは、第2箇所の第2内部壁の組付方向の長さよりも短く構成されている。第2箇所と比べて回動中心に近い第1箇所においては、回動途中段階にて、第2内部壁が第1壁部と干渉しやすい。しかし、壁間スペースに収容された第2内部壁のうち、回動中心に近い第1箇所側の長さが第2箇所側の長さよりも短いことで、第1箇所での第2内部壁と第1壁部との干渉が回避される。この結果、本構成の樹脂構造体は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
上記[4]の構成の樹脂構造体によれば、他の係合箇所を構成する前記第2係合部の手前側に、樹脂構造体の外側に突出する凸部が設けられる。第1樹脂体と第2樹脂体との着脱時において、他の係合箇所を構成する第2係合部に凸部が設けられることで第2樹脂体を回動させるとき、作業者は凸部に指を掛けることができる。また、開口部を覆う第3壁部の他の係合箇所側に凹部が設けられていることで、作業者は凸部に掛けた指とは異なる指を凹部に載置できる。このため、第2樹脂体の回動を片手で行うことができ、第1樹脂体と第2樹脂体との着脱が容易になる。この結果、本構成の樹脂構造体は、作業性に優れる。
このように、本発明によれば、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる樹脂構造体、を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂構造体を一方側から見た斜視図である。 図2は、図1に示す樹脂構造体を他方側から見た斜視図である。 図3は、図1に示す樹脂構造体の側面図である。 図4は、図1に示すA-A断面図である。 図5(a)は、図4に示すB部拡大図であり、図5(b)は、図4に示すC部拡大図である。 図6(a)は、本発明の実施形態に係る本体ケースを一方側から見た斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示す本体ケースを他方側から見た斜視図である。 図7は、図2に示すロック部、及び、凹部を異なる角度から見た拡大斜視図である。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1及び図2に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)である。
図1及び図2に示すように、樹脂構造体1は、本体ケース10と、アッパーカバー20と、を含んで構成される。本体ケース10は、リレー等の電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されることになる。アッパーカバー20は、本体ケース10の上端開口部を塞ぐように本体ケース10の上端部に組み付けられる。本体ケース10と、アッパーカバー20と、の各々は、樹脂構造体1である。本体ケース10は、本発明の「第1樹脂体」に対応し、アッパーカバー20は、本発明の「第2樹脂体」に対応している。また、後述する第1ロック部14と第2ロック部26との係合箇所をロック部2といい、後述する第1フック部15と第2フック部27との係合箇所をフック部3という。ロック部2は、本発明の「他の係合箇所」に対応し、フック部3は、本発明の「一の係合箇所」に対応している。
以下、説明の便宜上、図1~7に示すように、「上下方向」、「周方向」、「内外方向」、「上」、「下」、「内」及び「外」を定義する。「上下方向」、「周方向」及び「内外方向」は、互いに直交している。本体ケース10とアッパーカバー20との組み付け時において、「上下方向」は、樹脂構造体1の組付方向に対応している。「周方向」は、本体ケース10の後述する周壁11及びアッパーカバー20の後述する周壁21における周方向に対応し、「内外方向」は、周壁11及び周壁21における厚み方向に対応している。以下、樹脂構造体1を構成する各部材について順に説明する。
まず、本体ケース10について説明する。本体ケース10は、図2に示すように、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁11を有する。周壁11は、図1~図3に示すように、周方向の長手側の一方側の上端部が他方側の上端部よりも上方に位置している。なお、一方側は図3の左側であり、他方側は図3の右側である。
図4~図6に示すように、周壁11は、内外方向の内側に位置する略矩形筒状の第1内部壁12と、第1内部壁12に対して周方向全域に亘って所定距離だけ外側に位置する略矩形筒状の第1外部壁13と、からなる、上下方向に延びる二重壁構造を有する。このため、第1内部壁12と第1外部壁13との間には、上下方向に延びる略矩形筒状の壁間スペースH(図5参照)が画成されている。
図5及び図6に示すように、第1内部壁12の上端部は、一方側では第1外部壁13の上端部よりも上方に位置し、他方側及び周方向の長手側では第1外部壁13の上端部よりも下方に位置している。別の言い方をすると、短手側に位置する第1内部壁12及び第1外部壁13は、第1内部壁12と第1外部壁13とを比べて、後述する回動中心(即ち、フック部3)に近い方の上端部が、回動中心と遠い方の上端部よりも下方に位置している。第1内部壁12の上端部と第1外部壁13の上端部との上下方向の位置関係は、箇所D1,D2で切り替わっている(図6参照)。
図1~図2及び図6に示すように、第1外部壁13の外面の上端縁には、他方側に第1ロック部14が設けられ、一方側に第1フック部15(本例では、2箇所)が設けられている。つまり、第1ロック部14は、第1フック部15よりも下方に位置している。
第1ロック部14は、第1外部壁13の上端縁側から上方に延び、後述するアッパーカバー20の第2ロック部26と係合される。第1フック部15は、第1外部壁13の上端縁側から外側に向けて短く延びる突起状に形成され、後述するアッパーカバー20の第2フック部27と係合される。
次いで、アッパーカバー20について説明する。アッパーカバー20は、図2に示すように、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁21と、周壁21の上端開口部を塞ぐ略矩形平板状の上壁25と、を一体に有する。図4~図6に示すように、周壁21は、内外方向の内側に位置する略矩形筒状の第2内部壁22と、第2内部壁22に対して周方向全域に亘って所定距離だけ外側に位置する略矩形筒状の第2外部壁23と、からなる。
図4及び図5に示すように、第2内部壁22の下端部は、第2外部壁23の下端部よりも上方に位置する。第2内部壁22の下端部側と、第2外部壁23の上端部とは、連結部24によって連結されている。つまり、周壁21は、周方向全域に亘って第2内部壁22と第2外部壁23とを連結する連結部24を更に含んで構成される。
このように、周壁21は、周壁21の下端縁側において、第2内部壁22と、第2外部壁23と、からなる上下方向に延びる二重壁構造を有する。なお、第2内部壁22は、他方側よりも一方側が短く且つ下端部が上方に位置している。
図1及び図2に示すように、第2外部壁23の外面には、上述した他方側に第2ロック部26が設けられ、一方側の下端縁側に第2フック部27(本例では、2箇所)が設けられている。第2ロック部26は、第1ロック部14と係合される箇所よりも上方において操作部28が一体に設けられている。第2フック部27は、第1外部壁13の下端縁側から下方に向けて短く延びて、突起状に形成された第1フック部15を内側に位置させて係合できる枠状に形成される。
図7に示すように、操作部28は、下段部28aと、下段部28aよりも上方に位置し且つ下段部28aよりも外側に突出する上段部28bと、を有している。操作部28は、下段部28aと上段部28bとが上下方向に沿って積層されて構成される階段状の形状を有する。
図2及び図7に示すように、上壁25は、他方側の2箇所の角部のうちの1箇所に、下方に窪む凹部29を有している。なお、凹部29は、他方側の2箇所の角部のそれぞれに設けられてもよい。
次いで、本体ケース10とアッパーカバー20との組付状態について説明する。組付状態では、図4及び図5に示すように、本体ケース10の二重壁構造を有する周壁11と、アッパーカバー20の二重壁構造を有する周壁21とが嵌まり合っている。具体的には、アッパーカバー20の第2内部壁22は、壁間スペースHに位置し、本体ケース10の第1外部壁13の上端部が連結部24に当接されている。このとき、第1ロック部14及び第2ロック部26、並びに、第1フック部15及び第2フック部27は、それぞれ係合されている。
上述したように、二重壁構造を有する周壁11及び周壁21が嵌め合わされることで、樹脂構造体の外部から内部へと浸水し難くなる。仮に、樹脂構造体1の内部に浸水してきた場合でも、侵入した水は、一方側では、矢印Y2に沿って流れ(図5(a)参照)、壁間スペースHで下方から外部へと排出され、他方側では、矢印Y3に沿って流れ(図5(b))、壁間スペースHで下方から外部へと排出される。このように、本実施形態に係る樹脂構造体1は、周壁11及び周壁21が嵌め合わされているため(いわゆる、ラビリンス構造を有しているため)防水性が高い。
次いで、本体ケース10からアッパーカバー20を取り外す工程について説明する。初めに、作業者は、操作部28に指を掛けて、アッパーカバー20の上壁25に設けられた凹部29に他の指を載置する。このとき、作業者は、例えば、上壁25の上方において、一方側から他方側に向かって腕が伸ばされて、操作部28に人差し指又は中指が掛けられ、凹部29に薬指又は小指が載置される。そして、操作部28を操作することで、ロック部2の係合を解除する。
その後、作業者は、図3(a)に示すように、フック部を回動中心として、アッパーカバー20の他方側を上方に持ち上げて、矢印Y1の向きに回動させる。
このとき、フック部3がロック部2よりも上方に位置することで、フック部3とロック部2とが上下方向の同一高さに位置する場合よりも、回動半径が大きくなる。このため、アッパーカバー20は、上述した同一高さに位置する場合に比べて、回動軌跡(即ち、回転)が緩やかになる。つまり、周壁21は、周壁11(即ち、上下方向)に対して、実質的に略平行に移動する。このため、周壁11及び周壁21は、互いに干渉し難い。
最後に、作業者は、フック部の解除を外す。これにより、本体ケース10からアッパーカバー20が取り外される。上述したように、樹脂構造体1は、アッパーカバー20を回動させることで、本体ケース10とアッパーカバー20との組付状態を解除できる。
特に、上述した取り外す工程においては、操作部28が下段部28a及び上段部28bによって階段状の形状を有するため、作業者の指が操作部28から滑ることが抑制される。更に、上壁25に凹部29が設けられていることで、作業者は操作部28に掛けた指とは異なる指を凹部29に載置でき、片手で本体ケース10からアッパーカバー20を取り外すことができる。つまり、作業者は、上述したように、取り外す工程を容易に行える。
なお、本例では取り外す工程について説明したが、フック部3を係合してアッパーカバー20を矢印Y1と逆方向に回動させることで、本体ケース10にアッパーカバー20を容易に取り付けることができる。取り付ける工程では、フック部3がロック部2よりも上方に位置するため、周壁11に対して、周壁21が上下方向の上方から容易に嵌め合わされる。このように、本実施形態に掛かる樹脂構造体1は、本体ケース10とアッパーカバー20との着脱が容易に行えて、作業性に優れる。
<作用・効果>
本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、周壁11及び周壁21が二重壁構造であり、双方が嵌め合わされるため(いわゆる、ラビリンス構造を有するため)、樹脂構造体1の組付状態では、防水性に優れる。また、本実施形態に係る樹脂構造体1は、フック部3がロック部2よりも上方に位置するとともに、第1フック部15と第2フック部27とが係合された状態で、フック部3を回動中心として、アッパーカバー20が回動される。これにより、アッパーカバー20を回動させたとき、フック部3がロック部2よりも上方に位置していない場合に比べ、周壁21は、周壁11に対して、上下方向に略平行に移動する。つまり、アッパーカバー20を回動させる回動途中段階では、周壁11と周壁21との干渉が回避される。加えて、従来のように本体ケース10とアッパーカバー20とを上下方向に平行に移動させることなく、一点を支持してアッパーカバー20を回動させることで、樹脂構造体1の着脱作業が容易になる。この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
更に、一方側では、第1内部壁12と第1外部壁13とを比べて回動中心(即ち、フック部3)に遠い第1内部壁12が第1外部壁13よりも上端部が上方に位置し、他方側では、回動中心に遠い第1外部壁13が第1内部壁12よりも上端部が上方に位置している。このため、回動中心に近い第1内部壁12又は第1外部壁13(即ち、周壁11)は、アッパーカバー20の回動途中段階では、周壁21との干渉が回避される。この結果、本実施懈形態に係る樹脂構造体1は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
更に、第2内部壁22が第1内部壁12と第1外部壁13との間で画成された壁間スペースHに収容されることで、周壁11と周壁21とは嵌め合わされる。そして、一方側の第2内部壁22の上下方向の長さは、他方側及び周方向の長手側の第2内部壁22の上下方向の長さよりも短い。他方側と比べて回動中心に近い一方側においては、回動途中段階にて、第2内部壁22が周壁11と干渉しやすい。しかし、壁間スペースHに収容された第2内部壁22のうち、一方側の長さが他方側の長さよりも短いことで、特に、一方側での第2内部壁22と周壁11との干渉が回避される 。この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、高い防水性を保持しながら、作業性に優れる。
更に、第2ロック部26と一体に操作部28が設けられることで、本体ケース10とアッパーカバー20との着脱時において、アッパーカバー20を回動させるとき、上段部28bに指を掛けることができる。また、上壁25に凹部29が設けられていることで、上段部28bに掛けた指とは異なる指を凹部29に載置できる。このため、本実施形態に係る樹脂構造体1は、アッパーカバー20を片手で回動させることができるため、作業性に優れる。
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
ここで、上述した本発明に係る樹脂構造体の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
開口部を有する箱状の第1樹脂体(本体ケース10)と、前記開口部を覆うように前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体(アッパーカバー20)と、を備えた樹脂構造体(1)であって、
前記第1樹脂体(本体ケース10)は、
二重壁構造を有し、且つ、前記第2樹脂体を該第1樹脂体に組み付ける組付方向に延びている第1壁部(周壁11)と、
前記第1壁部に設けられる第1係合部(第1ロック部14、第1フック部15)と、を有し、
前記第2樹脂体(アッパーカバー20)は、
前記第1壁部と嵌め合わせられる二重壁構造を有し、且つ、前記組付方向に延びている第2壁部(周壁21)と、
前記第2壁部に設けられ且つ前記第1係合部と係合される第2係合部(第2ロック部26、第2フック部27)と、を有し、
該樹脂構造体(1)は、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合されている一の係合箇所(フック部3)が、前記一の係合箇所と対向する位置に位置する他の係合箇所(ロック部2)よりも前記組付方向の手前側に位置し、
前記一の係合箇所(フック部3)にて前記第1係合部(第1フック部15)と前記第2係合部(第2フック部27)とが係合された状態で、前記一の係合箇所(フック部3)を回動中心として、前記第2樹脂体(アッパーカバー20)を回動させる回動途中段階では、前記第1壁部(周壁11)と前記第2壁部(周壁21)との干渉が回避される、ように構成される、
樹脂構造体(1)。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1壁部(周壁11)は、
第1内部壁(12)と、前記第1内部壁よりも該樹脂構造体の外側に位置する第1外部壁(13)と、から構成される前記二重壁構造を有し、
前記一の係合箇所(フック部3)が設けられる第1箇所では、前記第1外部壁の端部が前記第1内部壁の端部よりも前記組付方向の手前側に位置し(図5(a))、
前記他の係合箇所が設けられる第2箇所では、前記第1内部壁の前記端部が前記第1外部壁の前記端部よりも前記手前側に位置している(図5(b))、
樹脂構造体(1)。
[3]
上記[2]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第2壁部(周壁21)は、
第2内部壁(22)と、前記第2内部壁よりも前記外側に位置する第2外部壁(23)と、から構成される前記二重壁構造を有し、
前記第2内部壁(22)が前記第1内部壁(12)と前記第1外部壁(13)との間に画成された壁間スペース(H)に収容され、
前記第1箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さは、前記第2箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さよりも短い(図5)、
樹脂構造体(1)。
[4]
上記[1]から上記[3]の何れか一項に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第2樹脂体(アッパーカバー20)は、
前記他の係合箇所(ロック部2)を構成する前記第2係合部(第2ロック部26)の前記手前側に、該樹脂構造体の外側に突出する凸部(上段部28b)が設けられ、
前記第1樹脂体の前記開口部を覆う第3壁部(上壁25)を更に有し、
前記第3壁部(上壁25)は、
前記他の係合箇所側に、前記組付方向の奥側に向かって窪む凹部(29)を有する、
樹脂構造体(1)。
1 樹脂構造体
2 ロック部(他の係合箇所)
3 フック部(一の係合箇所)
10 本体ケース(第1樹脂体)
11 周壁(第1壁部)
12 第1内部壁
13 第1外部壁
14 第1ロック部
15 第1フック部
20 アッパーカバー(第2樹脂体)
21 周壁(第2壁部)
22 第2内部壁
23 第2外部壁
25 上壁(第3壁部)
26 第2ロック部
27 第2フック部
28b 上段部(凸部)
29 凹部
H 壁間スペース

Claims (4)

  1. 開口部を有する箱状の第1樹脂体と、前記開口部を覆うように前記第1樹脂体に組み付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
    前記第1樹脂体は、
    二重壁構造を有し、且つ、前記第2樹脂体を該第1樹脂体に組み付ける組付方向に延びている第1壁部と、
    前記第1壁部に設けられる第1係合部と、を有し、
    前記第2樹脂体は、
    前記第1壁部と嵌め合わせられる二重壁構造を有し、且つ、前記組付方向に延びている第2壁部と、
    前記第2壁部に設けられ且つ前記第1係合部と係合される第2係合部と、を有し、
    該樹脂構造体は、
    前記第1係合部と前記第2係合部とが係合されている一の係合箇所が、前記一の係合箇所と対向する位置に位置する他の係合箇所よりも前記組付方向の手前側に位置し、
    前記一の係合箇所にて前記第1係合部と前記第2係合部とが係合された状態で、前記一の係合箇所を回動中心として、前記第2樹脂体を回動させる回動途中段階では、前記第1壁部と前記第2壁部との干渉が回避される、ように構成される、
    樹脂構造体。
  2. 請求項1に記載の樹脂構造体において、
    前記第1壁部は、
    第1内部壁と、前記第1内部壁よりも該樹脂構造体の外側に位置する第1外部壁と、から構成される前記二重壁構造を有し、
    前記一の係合箇所が設けられる第1箇所では、前記第1外部壁の端部が前記第1内部壁の端部よりも前記組付方向の手前側に位置し、
    前記他の係合箇所が設けられる第2箇所では、前記第1内部壁の前記端部が前記第1外部壁の前記端部よりも前記手前側に位置している、
    樹脂構造体。
  3. 請求項2に記載の樹脂構造体において、
    前記第2壁部は、
    第2内部壁と、前記第2内部壁よりも前記外側に位置する第2外部壁と、から構成される前記二重壁構造を有し、
    前記第2内部壁が前記第1内部壁と前記第1外部壁との間に画成された壁間スペースに収容され、
    前記第1箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さは、前記第2箇所の前記第2内部壁の前記組付方向の長さよりも短い、
    樹脂構造体。
  4. 請求項1から請求項3の何れか一項に記載の樹脂構造体において、
    前記第2樹脂体は、
    前記他の係合箇所を構成する前記第2係合部の前記手前側に、該樹脂構造体の外側に突出する凸部が設けられ、
    前記第1樹脂体の前記開口部を覆う第3壁部を更に有し、
    前記第3壁部は、
    前記他の係合箇所側に、前記組付方向の奥側に向かって窪む凹部を有する、
    樹脂構造体。
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