この発明は積雪カバーに関し、特に家屋の換気構造体に取り付けられる積雪カバーに関するものである。
換気構造体内部への雪の侵入及び雪による換気孔(開口部)の埋もれを防ぐ積雪カバーとして、特許文献1に示すものが存在している。
図6は、特許文献1に示す屋根用板金役物に用いる従来の積雪用換気カバーの写真であり、図7は、図6で示した積雪用換気カバーの施工方法を示す説明図であり、図8は、図6で示した積雪用換気カバー及び積雪用換気カバーを取り付ける屋根用板金役物の断面模式図である。
まず、図6(a)及び(b)を参照して、積雪用換気カバー60は、カバー天面板材61と、カバー天面板材61の前端から下方へ垂下させたカバー前面板材62と、カバー天面板材61の後端から後方へ延出させたカバー後面板材63と、カバー天面板材61の両側端から下方へ垂下させたカバー側面板材64a及び64bと、カバー側面板材64a及び64bの各々の下端から側方へ延出させたカバー側方取付板材65a及び65bと、カバー後面板材63の後端から後方へ延出させたカバー後方取付板材66とを有している。カバー後面板材63にはカバー第2開口部67を設け、カバー側方取付板材65a及び65bとカバー後方取付板材66とには、カバー取付ビス孔68a~68eが形成されている。カバー天面板材61の内面には、カバー位置決め材69a及び69bを設けている。
次に、図7(a)及び図8を参照して、屋根用板金役物70が、建造物80の屋根頂部に設置されている。
屋根用板金役物70は、屋根面81に配置される天面板材71を有し、天面板材71には、切り起こしにより天面板用開口部72が形成されている。天面板材71の下面には止水箱73が取り付けられている。天面板材71は、固定ビス74a及び74bによって屋根面81に固定される。固定ビス74a及び74bのビス頭部75a及び75bは天面板材71の上面に突出している。
積雪用換気カバー60の屋根用板金役物70への設置工程では、まず図7(a)を参照して、積雪用換気カバー60の位置決め材69a及び69bをビス頭部75a及び75bにそれぞれ当接させて、屋根用板金役物70に対する積雪用換気カバー60の位置決めを行い、天面板用開口部72を積雪用換気カバー60にて覆う。
次に、図7(b)及び図8を参照して、積雪用換気カバー60の屋根用板金役物70への留め付け工程を行う。留め付け工程では、カバー取付ビス孔68a~68eの各々を介して、積雪用換気カバー60と天面板材71とをカバー固定ビス76a~76eにて留め付ける。
このようにして積雪用換気カバー60を屋根用板金役物70に設置すると、カバー第2開口部67に加えて、カバー前面板材62の後方にカバー第1開口部77が、カバー後面板材63の両側端の下方にカバー第3開口部78が、それぞれ形成される。尚、積雪荷重がカバー天面板材61に加わってもカバー位置決め材69a及び69bが支えとなり、カバー天面板材61と天面板材71との間に形成する通風路79が閉塞されることがない。
特許文献1に示す上述のような積雪用換気カバー60は、カバー後面板材63のカバー天面板材61に対する傾斜角αが90°未満に設定されているため、設置状態におけるカバー後面板材63の傾きは水平に近いものとなる。加えて、カバー後面板材63はカバー天面板材61の後端から後方へ延出するように形成されている。したがって、設置状態においてカバー後面板材63は積雪しやすく、又、カバー後面板材63に設けられたカバー第2開口部67は、積雪によって埋もれやすいものとなっていた。
更に、積雪用換気カバー60と屋根用板金役物70とを留め付けているカバー固定ビス76a~76eはいずれも積雪用換気カバー60と天面板材71とを貫通しているため、カバー固定ビス76a~76eを介して雨水や雪解け水が屋根用板金役物70の内部に侵入する虞もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、後面部に積雪しにくく、第2通気部が積雪によって埋もれにくい積雪カバーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、家屋等の建築物の屋根に設置される、上面に換気孔が形成された換気構造体に取り付けられる積雪カバーであって、金属板を切断及び折り曲げて成形したものよりなり、平面視矩形形状であって、換気孔を覆う天面部と、天面部の長手側の一方端部から下方に延び、換気構造体への取付時に換気構造体の軒先側端部よりも外方側に位置して、軒先側端部との隙間による第1通気部を形成する前面部と、天面部の長手側の他方端部から下方に延び、天面部と形成する角の内角の角度が90°以下に設定される後面部と、少なくとも後面部に形成される第2通気部と、天面部の短手側の両端部から各々垂下する一対の側面部とを備え、換気構造体への取付時には、換気構造体の上面の上方に、第1通気部と第2通気部とを連通する通気経路を形成するものである。
このように構成すると、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2通気部は、後面部から天面部の他方端部周辺にかけて形成されるものである。
このように構成すると、第2通気部の形成範囲が後面部と天面部とに跨る。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、天面部と後面部とが形成する角の内角の角度は、90°に設定されるものである。
このように構成すると、天面部と換気構造体の上面との距離が最長になる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、天面部には、換気構造体側に小ネジを挿入可能とする挿入孔が少なくとも1つ形成され、更に、換気構造体の上面に設置され、天面部を換気構造体に対して固定するベース部材を少なくとも1つ備え、ベース部材は、換気構造体への固定に用いられるビスを通す孔が形成された第1固定部と、第1固定部よりも上方に位置し、天面部を載置可能であって小ネジを受けるネジ穴が、換気構造体の上面への設置時の平面視において、孔の位置とずれた位置に形成されている、第2固定部とを備えるものである。
このように構成すると、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれる。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、側面部の各々の下方端部に接続し、側面部の各々の外面側に形成される載置部と、載置部の前面部側の端部に接続し、前面部側に垂れて軒先側端部を覆い、換気構造体まで貫通する固定具を打ち込み可能な前垂部とを有する、一対の取付部を備えるものである。
このように構成すると、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となる。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜するので、後面部に積雪しにくく、第2通気部が積雪によって埋もれにくい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2通気部の形成範囲が後面部と天面部とに跨るので、第2通気部が積雪によってより埋もれにくい。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、天面部と換気構造体の上面との距離が最長になるので、通気経路が広がり、通気良好となる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれるので、天面部の固定部分から侵入した雨水が、換気構造体内部にまでは侵入しにくくなる。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となるので、換気構造体内部への雨水侵入を防止しつつ、より頑強に固定できる。
この発明の第1の実施の形態による積雪カバーの外観形状を示す斜視図である。
図1で示した積雪カバーの固定に用いるベース部材の斜視図である。
図1で示した積雪カバーの取付方法を示す模式図である。
図3で示した取付方法にて取り付けられた積雪カバーの取付状態を示す斜視図である。
図4で示したV-Vラインの断面模式図であって、積雪カバーの納まり例を示した断面模式図である。
特許文献1に示す屋根用板金役物に用いる従来の積雪用換気カバーの写真である。
図6で示した積雪用換気カバーの施工方法を示す説明図である。
図6で示した積雪用換気カバー及び積雪用換気カバーを取り付ける屋根用板金役物の断面模式図である。
図1は、この発明の第1の実施の形態による積雪カバーの外観形状を示す斜視図である。
図を参照して、積雪カバー10は、板厚0.35mmのガルバリウムカラー鋼板を切断及び折り曲げて成形したものよりなり、平面視矩形形状の天面部11と、天面部11の長手側の一方端部12から下方に延びる前面部13と、天面部11の長手側の他方端部14から下方に延びる後面部15と、天面部11の短手側の両端部から各々垂下する一対の側面部16a及び16bと、側面部16a及び16bの各々の下方端部に接続する一対の取付部17a及び17bとを備える。取付部17aは側面部16aの下方端部に接続し、側面部16aの外面側に形成される載置部18aと、載置部18aの前面部13側端部に接続し、前面部13側に垂れる前垂部19aとを有する。取付部17bも取付部17aと同様の構成よりなり、載置部18b及び前垂部19bを有する。前面部13と側面部16aとは各々の短手辺の一方同士が当接するように位置し、図に示すように、前面部13及び側面部16aの内面を掛け渡すように配置したL字型鋼板を、リベット等の留め具で前面部13及び側面部16aの各々の外面から留め付けることにより、互いを拘束している。このようにすると、前面部13と側面部16aとの位置が安定し、前面部13と側面部16aとに隙間が生じにくくなる。図示は省略するが、前面部13と側面部16b、後面部15と側面部16a及び16bも同様の位置関係及び構成を有する。このようにすると、積雪カバー10の形状が安定すると共に、強度が向上する。
尚、後面部15から天面部11の他方端部14周辺にかけて、複数の長角孔を等間隔に帯状に配置したものよりなる第2通気部22が形成されている。このように構成すると、第2通気部22の形成範囲が後面部15と天面部11とに跨る。又、天面部11には2つの挿入孔23a及び23bが、前垂部19aにはビス穴24aが、前垂部19bにはビス穴24bが、それぞれ形成されている。これらのように構成したことによる効果は後述する。
積雪カバー10は、後述する1.5尺タイプの換気棟に適合するように、天面部11の長手辺の長さは535mmに、短手辺の長さは80mmに、前面部13及び後面部15の短手辺の長さは15mmに、載置部18a及び18bの長手辺の長さは62.5mmに、短手辺の長さは30mmに、前垂部19a及び19bの短手辺(垂れ方向)の長さは17mmに、それぞれ設定されている。前面部13の下方端部の全域及び後面部15の下方端部の一部には、補強及び安全性向上のため、各々の内面側への折り返しが施されている。又、挿入孔23a及び23bは6mm×15mmの長丸形状に形成され、天面部11の一方端部12からの距離が53mm、近傍の天面部11の短手辺からの距離が40mm(挿入孔23aと23bとの間隔が455mm)の位置に、各々の中心が位置するようにそれぞれ配置されている。第2通気部22を構成する長角孔はいずれも3mm×12mmの矩形形状を折り曲げたものよりなり、長手辺が、天面部11の側に3mm、後面部15の側に9mmとなるように配置されている。ビス穴24a及び24bは直径2mmの円形に形成され、前垂部19aの短手辺(側面部16aから遠い側)及び前垂部19bの短手辺(側面部16bから遠い側)からの距離が15mmの位置に、それぞれ配置されている。
尚、天面部11と後面部15とが形成する角の内角θの角度は90°に設定されている。このように構成したことによる効果も後述する。
図2は、図1で示した積雪カバーの固定に用いるベース部材の斜視図であり、図3は、図1で示した積雪カバーの取付方法を示す模式図であり、図4は、図3で示した取付方法にて取り付けられた積雪カバーの取付状態を示す斜視図であり、図5は、図4で示したV-Vラインの断面模式図であって、積雪カバーの納まり例を示した断面模式図である。
まず、図2及び図3を参照して、ベース部材30aはガルバリウムカラー鋼板を折り曲げ形成したものよりなり、平面視矩形形状の第1固定部31と、第1固定部31の長手側の一方端部33より連続して立ち上がり側面視逆L字型に形成されて、積雪カバー10の天面部11を載置可能とする第2固定部32aと、第1固定部31aの長手側の他方端部34より斜め下方に垂れる当接部35と、第2固定部32aの端部36より連続し側面視L字型に形成されている載置部37とを備える。第1固定部31には後述する固定用ビス41aを通す孔38が形成され、第2固定部32aの上面には後述する小ネジ42aを受けるネジ穴39aが形成されている。尚、第2固定部32aが上述のように形成されているので、第2固定部32aの上面及びネジ穴39aは第1固定部31よりも上方に位置し、又、ネジ穴39aは平面視において孔38の位置とずれた位置に位置する。このように構成したことによる効果は後述する。ベース部材30bもベース部材30aと同様の構成よりなる。
次に、図3から図5を参照して、換気棟50への積雪カバー10の取付方法を説明する。
取付方法の説明に先立って、まず、換気棟50の構成について説明する。換気棟50は切妻又は寄棟屋根に設置される1.5尺タイプのものであって、図5に示すような側面視山型形状を有し、換気棟50の頂上部分を境に構成が左右対称となるものである(図5において図示が省略されている右側の構成は、左側の構成を左右対称にしたものである)。尚、説明の便宜上、図3及び図4では図5に示す左側の構成のみを図示する。換気棟50は、上面51に切り起こし孔よりなる複数の換気孔52が形成されているものであり、上面51の軒先側端部53には下方に延びる前面板部54が形成されている。
換気棟50の屋根への設置にあたっては、図5に示すように、垂木55a及び55b、屋根下地56a及び56b、屋根材等57a及び57bの各々の間の空間58と捨水切59a及び59bとを覆うように、換気棟50を屋根材等57a及び57bの上面に配置する。
続いてベース部材30aを、換気孔52を塞がず、且つ、積雪カバー10の挿入孔23aに対応する位置に配置し、当接部35と前面板部54とを当接させると共に載置部37を上面51に載置する。この状態で固定用ビス41aを、第1固定部31の孔38を介してベース部材30aの上方から、上面51、屋根材等57a及び屋根下地56aを貫通して垂木55aに到達するように打ち込み、換気棟50にベース部材30aを固定すると共に換気棟50を屋根に固定する。このように固定すると、前面板部54によって当接部35の移動が制限されるため、ベース部材30aの配置位置を決めやすく、又、固定用ビス41aを軸にベース部材30aが回転することもないので、ベース部材30aの設置状態が安定する。更に、ベース部材30aと換気棟50とをまとめて一度に固定でき、簡便である。尚、このように設置されたベース部材30aにおいても、平面視において孔38がネジ穴39aの外方側に位置する、すなわちネジ穴39aと孔38とは水平方向における位置がずれている。ベース部材30bもベース部材30aと同様の位置及び工程にて、固定用ビス41bを用いて換気棟50に固定、設置する。
次に、ベース部材30aの第2固定部32aの上面及びベース部材30bの第2固定部32bの上面に積雪カバー10の天面部11を載置して換気孔52を天面部11で覆い、前面板部54に前垂部19a及び19bを当接させて軒先側端部53の一部を前垂部19a及び19bで覆う。更に、挿入孔23a及び23bの位置をネジ穴39a及び39bに合わせる。
尚、挿入孔23a及び23bの寸法は上述の通りであり、いずれも小ネジ42a又は42bを換気材50の側に挿入できるものとなっている。このような挿入孔23a及び23bに小ネジ42a及び42bをそれぞれ挿入し、ネジ穴39a及び39bにねじ入れて小ネジ42a及び42bを軽く締め、天面部11を換気棟50に対して仮止めする。
ここで、上述したようにベース部材30aの設置時においてネジ穴39aと孔38との水平方向における位置がずれているから、図5にて示すように、ベース部材30aの天面部11に対する固定部分と、換気棟50に対する固定部分とが分離したものとなる。このように構成すると、天面部11との固定部分である挿入孔23a、小ネジ42a及びネジ穴39aとの隙間から侵入した雨水が、換気棟50の内部にまでは侵入しにくくなる。ベース部材30bにおいても同様である。
最後に、ビス穴24a及び24bを介して、前垂部19a及び19bの外面から換気棟50に向けて、換気棟50を貫通するようにビス43a及び43bをそれぞれ打ち込み、積雪カバー10を留め付けた後、小ネジ42a及び42bを本締めして換気棟50への積雪カバー10の取付を完了する。
このように構成すると、換気棟50の軒先側端部53及び前面板部54における、すなわち、換気棟50の上面51以外の箇所における積雪カバー10の固定も可能となるので、換気棟50内部への雨水侵入を防止しつつ、より頑強に固定できる。
積雪カバー10が換気棟50に取り付けられた状態においては、積雪カバー10とベース部材30a及び30bとの寸法が上述のように設定されていることから、図5にて示すように、積雪カバー10の前面部13が軒先側端部53及び前面板部54よりも外方側に位置する。そして、前面部13と軒先側端部53及び前面板部54との隙間に第1通気部21が形成される。この第1通気部21の形成により、換気棟50の上面51の上方に第1通気部21と第2通気部22とを連通する通気経路25が形成され、図5の点線矢印にて示すように空気が流れる。よって、降雪時においても換気棟50の換気性能を維持することができる。又、積雪による荷重が天面部11にかかっても、ベース部材30a及び30bにより天面部11のたわみが抑制され、通気経路25が潰れにくい。
尚、上述したように、積雪カバー10の天面部11と後面部15とが形成する角の内角θの角度は90°に設定されている。よって、積雪カバー10の取付時には後面部15は換気棟50の上面51に対して直立し、水平方向に対して傾斜するものとなっている。このように構成すると、後面部15に積雪しにくく、第2通気部22が積雪によって埋もれにくい。又、天面部11と換気棟50の上面51との距離が後面部15の短手辺の長さと同じに、すなわち最長となるため、通気経路25が広がり、通気良好となる。
更に、第2通気部22の形成範囲が後面部15と天面部11とに跨っているので、積雪カバー10と上面51との鉛直距離において最も遠い位置にも第2通気部22が形成されている。このように構成すると、第2通気部22の全てを埋めるのに要する積雪高さが高くなり、又、後面部15及び天面部11のいずれか一方が積雪により埋もれても、他方が埋もれなければ第2通気部22が完全に埋もれなくなるので、第2積雪部22が積雪によってより、埋もれにくいものとなる。
尚、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーは側面視山型形状の換気棟に取り付けられるものであったが、片流れ屋根に設置される換気棟や、下屋取合いに設置される換気雨押え等、上面に換気孔が形成されている他の換気構造体に取り付けられるものであってもよい。
又、上記の第1の実施の形態では、積雪カバー及びベース部材はガルバリウムカラー鋼板よりなるものであったが、他の金属板よりなるものであってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、第2通気部は後面部から天面部にかけて形成されるものであったが、少なくとも後面部に形成されていればよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、第2通気部は複数の長角孔を等間隔に帯状に配置したものよりなっていたが、切り起こしや横長孔等、複数の他の形状の孔よりなるものであってもよく、配置が不規則であってもよい。又、単一の孔よりなってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーの天面部と後面部との角の内角θの角度は90°に設定されていたが、90°以下に設定されていればよい。尚、内角θの角度が「90°-屋根の傾斜角度」以下に設定されると、後面部が天面部の下方に隠れ、又、「90°-屋根の傾斜角度」に設定されると、後面部が水平面に対して垂直になるため、後面部に積雪せず第2通気部が埋もれにくくなる。
更に、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーはベース部材及びベース部材に対応する挿入孔を各々2つ備えるものであったが、少なくとも1つずつ備えるものであればよく、3つ以上ずつ備えるものであってもよい。又、ベース部材及び挿入孔を備えず他の固定部材等を用いるものであってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、ベース部材は特定形状を有するものであったが、第2固定部が第1固定部よりも上方に位置し、ベース部材設置時の平面視においてネジ穴の位置が孔の位置とずれた位置に形成されているものであれば他の形状であってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーの前垂部はビス穴が形成されているものであったが、ビスや釘等の固定具を打ち込み可能なものであればよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、ビスは換気棟を貫通して積雪カバーと換気棟とを留め付けるのみのものであったが、屋根材にまで到達するものでもよく、又、ビス以外に釘等他の固定具を用いてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、取付部は前垂部を備えるものであったが、無くてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーは一対の取付部を備えるものであったが、無くてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、積雪カバーは、所定寸法よりなり1.5尺タイプの換気棟に適合するものであったが、他の寸法よりなるもの、例えば3尺タイプや6尺タイプの換気構造体に適合するものであってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、貫通孔は長丸形状のものであったが、他の形状であってもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、ベース部材により天面部のたわみが抑制されていたが、天面部のたわみを抑制する他の部材を備えてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、側面部の各々と前面部又は後面部は特定の位置関係を有し特定の部材により互いに拘束されていたが、他の部材により拘束されてもよく、又、拘束されず他の位置関係を有していてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、前面部及び後面部の所定範囲に折り返しが施されていたが、範囲が異なってもよく、又、折り返しが施されていなくてもよい。
10…積雪カバー
11…天面部
12…一方端部
13…前面部
14…他方端部
15…後面部
16a、16b…側面部
17a、17b…取付部
18a、18b…載置部
19a、19b…前垂部
21…第1通気部
22…第2通気部
23a、23b…挿入孔
24a、24b…ビス穴
25…通気経路
30a、30b…ベース部材
31…第1固定部
32a、32b…第2固定部
38…孔
39a、39b…ネジ穴
41a、41b…固定用ビス
42a、42b…小ネジ
43a、43b…ビス
50…換気棟
51…上面
52…換気孔
53…軒先側端部
54…前面板部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
更に、積雪用換気カバー60と屋根用板金役物70とを留め付けているカバー固定ビス76a~76eはいずれも積雪用換気カバー60と天面板材71とを貫通しているため、カバー固定ビス76a~76eを介して雨水や雪解け水が屋根用板金役物70の内部に浸入する虞もあった。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、家屋等の建築物の屋根に設置される、上面に換気孔が形成された換気構造体に取り付けられる積雪カバーであって、金属板を切断及び折り曲げて成形したものよりなり、平面視矩形形状であって、換気孔を覆う天面部と、天面部の長手側の一方端部から下方に延び、換気構造体への取付時に換気構造体の軒先側端部よりも外方側に位置して、軒先側端部との隙間による第1通気部を形成する前面部と、天面部の長手側の他方端部から下方に延び、天面部と形成する角の内角の角度が90°以下に設定される後面部と、少なくとも後面部に形成される第2通気部と、天面部の短手側の両端部から各々垂下する一対の側面部とを備え、換気構造体への取付時には、換気構造体の上面の上方に、第1通気部と第2通気部とを連通する通気経路を形成し、第2通気部は、後面部から天面部の他方端部周辺にかけて形成されるものである。
このように構成すると、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜する。又、第2通気部の形成範囲が後面部と天面部とに跨る。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、天面部には、換気構造体側に小ネジを挿入可能とする挿入孔が少なくとも1つ形成され、更に、換気構造体の上面に設置され、天面部を換気構造体に対して固定するベース部材を少なくとも1つ備え、ベース部材は、換気構造体への固定に用いられるビスを通す孔が形成された第1固定部と、第1固定部よりも上方に位置し、天面部を載置可能であって小ネジを受けるネジ穴が、換気構造体の上面への設置時の平面視において、孔の位置とずれた位置に形成されている、第2固定部とを備えるものである。
このように構成すると、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、側面部の各々の下方端部に接続し、側面部の各々の外面側に形成される載置部と、載置部の前面部側の端部に接続し、前面部側に垂れて軒先側端部を覆い、換気構造体まで貫通する固定具を打ち込み可能な前垂部とを有する、一対の取付部を備えるものである。
このように構成すると、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となる。
請求項4記載の発明は、家屋等の建築物の屋根に設置される、上面に換気孔が形成された換気構造体に取り付けられる積雪カバーであって、金属板を切断及び折り曲げて成形したものよりなり、平面視矩形形状であって、換気孔を覆う天面部と、天面部の長手側の一方端部から下方に延び、換気構造体への取付時に換気構造体の軒先側端部よりも外方側に位置して、軒先側端部との隙間による第1通気部を形成する前面部と、天面部の長手側の他方端部から下方に延び、天面部と形成する角の内角の角度が90°以下に設定される後面部と、少なくとも後面部に形成される第2通気部と、天面部の短手側の両端部から各々垂下する一対の側面部とを備え、換気構造体への取付時には、換気構造体の上面の上方に、第1通気部と第2通気部とを連通する通気経路を形成し、天面部には、換気構造体側に小ネジを挿入可能とする挿入孔が少なくとも1つ形成され、更に、換気構造体の上面に設置され、天面部を換気構造体に対して固定するベース部材を少なくとも1つ備え、ベース部材は、換気構造体への固定に用いられるビスを通す孔が形成された第1固定部と、第1固定部よりも上方に位置し、天面部を載置可能であって小ネジを受けるネジ穴が、換気構造体の上面への設置時の平面視において、孔の位置とずれた位置に形成されている、第2固定部とを備えるものである。
このように構成すると、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれる。又、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜する。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、側面部の各々の下方端部に接続し、側面部の各々の外面側に形成される載置部と、載置部の前面部側の端部に接続し、前面部側に垂れて軒先側端部を覆い、換気構造体まで貫通する固定具を打ち込み可能な前垂部とを有する、一対の取付部を備えるものである。
このように構成すると、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となる。
請求項6記載の発明は、家屋等の建築物の屋根に設置される、上面に換気孔が形成された換気構造体に取り付けられる積雪カバーであって、金属板を切断及び折り曲げて成形したものよりなり、平面視矩形形状であって、換気孔を覆う天面部と、天面部の長手側の一方端部から下方に延び、換気構造体への取付時に換気構造体の軒先側端部よりも外方側に位置して、軒先側端部との隙間による第1通気部を形成する前面部と、天面部の長手側の他方端部から下方に延び、天面部と形成する角の内角の角度が90°以下に設定される後面部と、少なくとも後面部に形成される第2通気部と、天面部の短手側の両端部から各々垂下する一対の側面部とを備え、換気構造体への取付時には、換気構造体の上面の上方に、第1通気部と第2通気部とを連通する通気経路を形成し、側面部の各々の下方端部に接続し、側面部の各々の外面側に形成される載置部と、載置部の前面部側の端部に接続し、前面部側に垂れて軒先側端部を覆い、換気構造体まで貫通する固定具を打ち込み可能な前垂部とを有する、一対の取付部を備えるものである。
このように構成すると、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となる。又、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜する。
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、天面部と後面部とが形成する角の内角の角度は、90°に設定されるものである。
このように構成すると、天面部と換気構造体の上面との距離が最長になる。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜するので、後面部に積雪しにくく、第2通気部が積雪によって埋もれにくい。又、第2通気部の形成範囲が後面部と天面部とに跨るので、第2通気部が積雪によってより埋もれにくい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれるので、天面部の固定部分から浸入した雨水が、換気構造体内部にまでは浸入しにくくなる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となるので、換気構造体内部への雨水浸入を防止しつつ、より頑強に固定できる。
請求項4記載の発明は、孔とネジ穴との水平方向における位置がずれるので、天面部の固定部分から浸入した雨水が、換気構造体内部にまでは浸入しにくくなる。又、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜するので、後面部に積雪しにくく、第2通気部が積雪によって埋もれにくい。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となるので、換気構造体内部への雨水浸入を防止しつつ、より頑強に固定できる。
請求項6記載の発明は、換気構造体の軒先側端部における固定も可能となるので、換気構造体内部への雨水浸入を防止しつつ、より頑強に固定できる。又、取付時に、後面部が水平方向に対して傾斜するので、後面部に積雪しにくく、第2通気部が積雪によって埋もれにくい。
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、天面部と換気構造体の上面との距離が最長になるので、通気経路が広がり、通気良好となる。
ここで、上述したようにベース部材30aの設置時においてネジ穴39aと孔38との水平方向における位置がずれているから、図5にて示すように、ベース部材30aの天面部11に対する固定部分と、換気棟50に対する固定部分とが分離したものとなる。このように構成すると、天面部11との固定部分である挿入孔23a、小ネジ42a及びネジ穴39aとの隙間から浸入した雨水が、換気棟50の内部にまでは浸入しにくくなる。ベース部材30bにおいても同様である。
このように構成すると、換気棟50の軒先側端部53及び前面板部54における、すなわち、換気棟50の上面51以外の箇所における積雪カバー10の固定も可能となるので、換気棟50内部への雨水浸入を防止しつつ、より頑強に固定できる。