JP2022035017A - 易酸化性元素を含有する粉末冶金用Cu系混合粉末 - Google Patents

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翔 篠原
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Abstract

【課題】易酸化性元素を含有しても通常の焼結雰囲気で焼結でき、また、小型の部品や複雑な形状の部品を成形しても角欠け等の損傷が生じ難い圧粉成形体を製造でき、強度と耐食性に優れる焼結体を製造できる粉末冶金用Cu系混合粉末を提供する。【解決手段】易酸化性元素である元素Mと、Cuを96質量%以上含有するCu又はCu合金粉末とを含有し、前記元素Mの含有量は0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下であり、前記Cu又はCu合金粉末の含有量は5.0質量%以上であり、前記Cu又はCu合金粉末の見掛密度は3.6g/cm3以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が75μm以下であり、前記Cu系混合粉末の見掛密度は4.0g/cm3以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が106μm以下である粉末冶金用Cu系混合粉末。【選択図】なし

Description

本発明は易酸化性元素を含有する粉末冶金用Cu系混合粉末に関する。詳しくは、易酸化性元素を含有するので、強度及び耐食性に優れる焼結体を製造できるCu系混合粉末であって、焼結性が極めて高いので易酸化性元素を含有しても通常の焼結雰囲気で焼結でき、また、圧粉成形性にも優れ、小型の部品や複雑な形状の部品であっても角欠け等の損傷が生じ難く、ハンドリング性に優れた圧粉成形体を製造できるため、Cu系焼結部品の製造に好適に使用できる粉末冶金用Cu系混合粉末に関する。
Cu系粉末を焼結して製造されるCu系焼結部品は含油軸受、ブラシ、エンジン部品、摩擦材等の多くの用途で使用されている。
近年、自動車部品の軽量化や熱効率改善等の目的で、Cu系焼結部品には更なる強度や耐食性が求められ、放熱性、即ち、電気伝導性の向上も求められている。
Cu系焼結部品の強度や耐食性、電気伝導性を向上させるために、焼結材に代わり、Cu-Al合金やCu-Cr合金等のCu系鋳造材を使用する方法が知られている。
しかし、Cu系鋳造材は複雑な形状の部品を作ることが困難であり、また、部品内部に気孔を内包することが出来ないため、軽量化や含油用途には向いておらず、また、大量生産するには製造コストが増加するという問題がある。
また、Cu系鋳造材として多用される、Cu-Al合金やCu-Cr合金等は、AlやCr等の易酸化性元素を含むため、原料粉末粒子表面に焼結を阻害する強固な酸化被膜が形成され易く、粉末冶金でこれらの焼結部品を製造するには真空雰囲気等で焼結する必要がある。
しかし、真空雰囲気にするにはバッチ式にせざるを得ないため、大量生産には向いておらず、製造コストが増加するという問題がある。
上記の問題点から、小型の部品や複雑な形状の部品を成形しても角欠け等の損傷が生じ難く、ハンドリング性に優れた圧粉成形体を製造でき、また、強度や耐食性、電気伝導性に優れたCu系焼結部品を製造できるCu系粉末であって、通常の焼結雰囲気で焼結できるCu系粉末の開発が望まれている。
特許第4941236号 特許第4424810号
特許文献1には、Al含有のCu系合金粉末に対して、フッ化物とリン合金を焼結助剤として添加することで、焼結時にフッ化物で母金属粉末間の拡散を阻害する酸化アルミニウム被膜が破壊されると共に、リン合金から生成される液相により母金属粉末間の拡散を補助し、焼結を促進させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される方法はAl含有のCu系合金粉末に限られ、Al以外の易酸化性元素を含有する場合は焼結できないという問題がある。
また、フッ化物と複合的に利用されているリン合金は、構成する元素の拡散を液相によって促し、焼結させる方法であるが、Pは粒界腐食の原因になる他、Cu母相中に固溶した場合、Cu母相の電気伝導性や熱伝導性を著しく悪化させる虞がある。
特許文献2には、SnとAlとTiとCuからなる粉末で焼結させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示される方法は、Snによる液相焼結を主な焼結機構としているため、多量のSnが必須であり、また、液相の発汗現象を抑制させるためのTi添加が必要であるが、SnやTi等の添加元素の種類や量が増えると電気伝導性や熱伝導性を著しく悪化させると共に、合金元素の偏析を生じ易く、これに起因して耐食性や強度の低下を招く虞がある。
また、特許文献2に開示される方法もAl含有のCu系合金粉末に限られ、Al以外の易酸化性元素を含有する場合には焼結できないという問題がある。
加えて、特許文献1や特許文献2に開示される合金粉末は、純Cu粉末と比較して一般的に粉末が硬い為、圧粉成形性が悪いという問題もある。
本発明者らは、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーがCr酸化物以下である元素Mと、不可避不純物を含めてCuを96質量%以上含有し、前記元素Mを含有しないCu又はCu合金粉末と、不可避不純物を含有しており、前記Cu系混合粉末における前記元素Mの含有量は0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下であり、前記Cu系混合粉末における前記Cu又はCu合金粉末の含有量は5.0質量%以上であり、前記Cu又はCu合金粉末の見掛密度は3.6g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が75μm以下であり、前記Cu系混合粉末の見掛密度は4.0g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が106μm以下である粉末冶金用Cu系混合粉末であれば、強度や耐食性に優れた焼結体を製造でき、また、焼結性が極めて高いから、易酸化性元素である元素Mを含有しても、通常の焼結雰囲気で焼結できると共に、圧粉成形性に優れ、小型の部品や複雑な形状の部品であっても角欠け等の損傷が生じ難くてハンドリング性に優れた圧粉成形体を製造できるから、複雑な形状のCu系焼結部品の製造に好適に使用できる粉末冶金用Cu系混合粉末になるという刮目すべき知見を得て前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
本発明は、粉末冶金用Cu系混合粉末であって、前記Cu系混合粉末は、298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーがCr酸化物以下である元素Mと、不可避不純物を含めてCuを96質量%以上含有し、前記元素Mを含有しないCu又はCu合金粉末と、不可避不純物を含有しており、前記Cu系混合粉末における前記元素Mの含有量は0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下であり、前記Cu系混合粉末における前記Cu又はCu合金粉末の含有量は5.0質量%以上であり、前記Cu又はCu合金粉末の見掛密度は3.6g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が75μm以下であり、前記Cu系混合粉末の見掛密度は4.0g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が106μm以下である粉末冶金用Cu系混合粉末である。
また、本発明は、Niを1.0~20質量%又はCoを1.0~6.5質量%含有する前記粉末冶金用Cu系混合粉末である。
また、本発明は、Sn及び/又はZnを0.1~3.0質量%含有する前記粉末冶金用Cu系混合粉末である。
また、本発明は、潤滑剤を0.1~1.0質量%含有する前記粉末冶金用Cu系混合粉末である。
また、本発明は、前記Cu系混合粉末の製造方法である。
本発明におけるCu系混合粉末は、298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーがクロム(Cr)酸化物以下である元素Mを0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下含有するから、該Cu系混合粉末の圧粉成形体を熱処理することによってCu系合金のCu母相中に元素Mが固溶し、固溶強化によりCu母相強度が高いCu系合金の焼結体を製造することができる。
時効析出する元素M又は元素Mの金属間化合物の場合、溶体化処理や時効処理等の熱処理を行うことで、さらにCu母相強度が高いCu系合金の焼結体を製造することができる。
また、焼結体には元素Mを主成分とする不働態被膜が形成されるため、耐食性に優れたCu系合金の焼結体を製造することができる。
また、本発明におけるCu系混合粉末は、不可避不純物を含めてCuを96質量%以上含有し元素Mを含有しないCu又はCu合金粉末を5.0質量%以上含有し、また、該Cu又はCu合金粉末の見掛密度は3.6g/cm以下であり、粒度分布の70%以上が75μm以下の粒子径であるから焼結性が極めて高く、易酸化性元素である元素Mを含有しても通常の焼結雰囲気で焼結できる。
また、本発明におけるCu系混合粉末は、見掛密度が4.0g/cm以下であり、全体の粒度分布の70%以上が106μm以下の粒子径であるから、圧粉成形性に優れ、小型の部品や複雑な形状の部品であっても角欠け等の損傷が生じ難く、ハンドリング性に優れた圧粉成形体を製造できるので、複雑な形状のCu系焼結部品を製造することができる。
また、本発明におけるCu系混合粉末に、ニッケル(Ni)を1.0~20質量%、又は、コバルト(Co)を1.0~6.5質量%含有させれば、Cu系合金の母相強度や耐食性をさらに向上させることができる。
また、スズ(Sn)及び/又は亜鉛(Zn)を0.1~3.0質量%含有すれば、Cu系混合粉末の焼結性をさらに向上させることができると共に、Cu系合金の母相強度をさらに向上させることができる。
また、本発明におけるCu系混合粉末に潤滑剤を0.1~1.0質量%添加すれば、潤滑性が向上してさらに圧粉成形体を成形し易くなる。
本発明は、熱処理を行ってCu系合金を製造する銅(Cu)系混合粉末である。
熱処理としては、焼結、焼結後の溶体化や時効を例示することができる。
熱処理は1回であってもよいし、複数回であってもよい。
本発明は易酸化性元素である元素Mと、Cu又はCu合金粉末と、不可避不純物を含有するCu系混合粉末であって、通常の焼結雰囲気で焼結できる。
通常の焼結雰囲気とは、例えば水素を含む露点-30℃程度の焼結雰囲気である。
本発明におけるCu系混合粉末は、298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーがCr酸化物以下である元素Mを含有する。
元素Mは通常の焼結雰囲気において酸化物の還元が非常に困難な元素である。
元素Mとしては、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)等を挙げることができる。
298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーの値は文献から取得することができる。
本発明におけるCu系混合粉末における元素Mの含有量は、全体の0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下が好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以上、且つ、1100~1300Kの温度域におけるCuへの固溶限以下であることが好ましい。
元素Mの含有量が全体の0.01質量%未満では、母相強度や耐食性の向上に与える効果が低くなる虞があり、また、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍を超えて含有すると、固溶しきれない元素Mが酸化物になり易く、焼結性が悪くなる虞があるからである。
Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の値は固溶限曲線から読み取ることが出来る。
元素Mは合金粉末として混合してもよいし、単体粉末を混合してもよい。
本発明におけるCu系混合粉末は、元素Mと不可避不純物以外に、見掛密度が低く、且つ、微粉末のCu又はCu合金粉末を含有する。
本発明が含有するCu又はCu合金粉末のCuの含有量は96質量%以上が好ましい。
元素Mは粒子表面に酸化被膜を形成し易いため、拡散を阻害し、焼結不良の原因となる以外に圧粉成形性も悪化させる。
しかし、見掛密度が低く、且つ、微粉末であるCu又はCu合金粉末と混合した粉末にすることで、固相拡散、即ち、焼結を促進させることができ、また、圧粉成形性も向上させることができる。
見掛密度が低く、且つ、微粉末であると高い比表面積により元素MとCuの相互拡散が促進されるからである。
また、Cuの含有量が高いと、元素Mを含む粉末表面とCuの濃度勾配が大きくなるため元素MとCuの相互拡散をさらに促進させることができる。
本発明が含有するCu又はCu合金粉末は、不可避不純物を含めて、Cuの含有量が96質量%以上、見掛密度が3.6g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が75μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、Cuの含有量が98質量%以上、見掛密度が2.5g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が45μm以下である。
Cu又はCu合金粉末におけるCuの含有量が96質量%未満の場合、見掛密度が3.6g/cm以下であり、粒度分布の70%以上が75μm以下であっても拡散が進まず、焼結性を向上させる効果が低くなり、且つ、圧粉成形性が悪化する虞があるからである。
また、Cuの含有量が96質量%以上でも、見掛密度が3.6g/cmを超える、又は、粒子径が75μm以下の粒子が70%未満の場合は拡散が進まず、焼結性を向上させる効果が著しく低くなり、且つ、圧粉成形性が悪化する虞があるからである。
本発明におけるCu系混合粉末が含有するCu又はCu合金粉末の含有量は5.0質量%以上が好ましく、さらに好ましくは20質量%以上である。
5.0質量%未満では焼結性や圧粉成形性を向上させる効果が低くなる虞があるからである。
本発明におけるCu系混合粉末は、見掛密度が4.0g/cm以下であり、粒度分布の70%以上が106μm以下の粒子径である微細粒子からなるため、圧粉成形性に優れる。
元素Mの単体粉末や元素Mを含む合金粉末は比較的硬くて変形し難く、一方、Cu又はCu合金粉末は比較的軟らかく変形が容易であるため、見掛密度が低い方が、元素MにCu又はCu合金粉末が絡まる度合いが増し、強固な成形体を製造することができるようになるからである。
また、粒度分布は、微細粒子が多いと比表面積が大きくなるので圧粉成形性が向上するからである。
見掛密度が4.0g/cmを超える、又は、106μm以下の粒子が全体の70%未満の粒度分布であると圧粉成形が困難になる。
本発明におけるCu系混合粉末は不可避不純物を含む。
不可避不純物とは、原料となる粉末の製造工程等で不可避的に混入する元素である。
本発明においては、不可避的に混入した0.01質量%未満の元素Mは不可避不純物とする。
本発明におけるCu系混合粉末は、原料である元素Mの単体粉末や合金粉末及びCuの単体粉末又はCu合金粉末を混合することによって製造することができる。
原料である元素Mの単体粉末や合金粉末及びCuの単体粉末又はCu合金粉末の製造方法は特に限定されず、公知のアトマイズ法、電解法や粉砕法で製造することができる。
公知のアトマイズ法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法を挙げることができる。
本発明におけるCu系混合粉末はNi又はCoを含有することができる。
Ni又はCoを添加すれば、Cu系合金のCu母相強度や耐食性をさらに向上させることができる。
Niの含有量は1.0~20質量%が好ましく、さらに好ましくは、1.5~15質量%である。
1.0質量%未満であれば、焼結したCu系合金のCu母相強度や耐食性の向上が見られなくなり、また、20質量%を超えて含有すると、焼結性や圧粉成形性に影響を及ぼしたり、焼結体に歪が生じたりする虞があるからである。
Coの含有量は1.0~6.5質量%が好ましく、さらに好ましくは1.5~5.0質量%である。
1.0質量%未満であれば、Cu系合金のCu母相強度や耐食性の向上が見られなくなり、また、6.5質量%を超えて含有すると、圧粉成形性に影響を及ぼす虞があるからである。
また、6.5質量%を超えて含有すると、CuとCoの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限を超えるため、固溶しきれないCoによって焼結性が悪化したり、焼結体に歪が生じたりする虞があるからである。
Ni又はCoは合金粉末で添加してもよいし、それぞれ単体粉末として添加してもよい。
本発明におけるCu系混合粉末はSn及び/又はZnを含有することができる。
SnやZnを添加すれば、SnやZnの液相の発生、若しくは、Cu又はCu合金粉末の融点の低下により、Cu又はCu合金粉末の焼結促進効果がさらに向上するため、Cu系混合粉末の焼結性をさらに向上させることができる。
また、焼結体であるCu系合金のCu母相強度を向上させることもできる。
Cu系混合粉末におけるSn及び/又はZnの含有量は0.1~3.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5~2.0質量%である。
Sn及び/又はZnが0.1質量%未満であれば、焼結性の向上やCu母相強度の向上が見られなくなり、また、3.0質量%を超えて含有すると、Cu母相が低融点化し、耐熱性が低下する虞があるからである。
また、Znの含有量が3.0質量%を超えると焼結時にZnが蒸発して焼結炉を汚損する虞もある。
SnやZnは合金粉末で添加してもよいし、それぞれ単体粉末として添加してもよい。
本発明におけるCu系混合粉末は潤滑剤を添加することができる。
潤滑剤を添加すれば潤滑性が向上し、圧粉成形体を成形し易くなる。
潤滑剤の添加量は0.1~1.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.2~0.8質量%である。
0.1質量%未満であると潤滑性の向上が不十分なため、圧粉成形時に問題が生じ易くなり、1.0質量%を超えて添加した場合は焼結性が低下するからである。
また、1.0質量%を超えると焼結時に潤滑剤の蒸発量が多くなるので焼結炉を汚損する虞もある。
本発明における潤滑剤は特に限定されるものではないが、ステアリン酸亜鉛等の金属セッケンやEBS系ワックスを好適に使用することができる。
また、本発明におけるCu系混合粉末には、通常の粉末冶金用粉末と同様に、焼結体の耐摩耗性等の各種特性を向上させる為、PやCo、Cr等を含む硬質粒子や、黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を混合してもよい。
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A粉末の製造)
不可避不純物を含めてCuを96質量%以上含み、且つ、見掛密度が3.6g/cm以下であり、粒度分布の70%以上が75μm以下であって、元素Mを含まないCu又はCu合金粉末をA粉末とする。
Sn又はZnとCuが表1記載のA粉末の組成になるように調整された溶融状態の合金成分を落下させながら約15MPaの高圧水と接触させることで急冷凝固させる水アトマイズ法で実施例9~12と比較例4のA粉末を製造した。
また、Cu地金に直流電流を通電し、陰極板上に析出させたCuを回収して洗浄乾燥することで高純度のCu粉末が得られる電解法で前記実施例9~12と比較例4以外の実施例、参考例及び比較例(以下「実施例等及び比較例」という)のA粉末を製造した。
(元素M含有粉末の製造)
元素Mを含有する粉末とA粉末を混合して製造したCu系混合粉末が表1記載の通りの組成になるように調整された元素MとCuを含有する溶融状態の合金成分を落下させながら約15MPaの高圧水と接触させて急冷凝固させる水アトマイズ法で実施例18を除く実施例等及び比較例の元素MとCuの合金粉末を製造した。
実施例18は元素Mの単体粉末を混合して製造した。
元素Mの上限(質量%)はCuと元素Mの二元系平衡状態図から取得した固溶限に1.1を乗じたものとした。
製造したA粉末と元素M含有粉末とを表1記載の組成となるようにロッキングミキサーで混合してCu系混合粉末を製造した。
Cu系混合粉末の組成やA粉末の組成は、ICP発光分光分析装置iCAP7600(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)で含有する元素を定量した。
A粉末及び実施例等及び比較例の各Cu系混合粉末の見掛密度(AD[g/cm])は、ISO 3923-1規格の測定法に従い求めた。
A粉末及び実施例等及び比較例の各Cu系混合粉末の粒度分布はISO 4497に従い求めた粒度分布の値を元に、A粉末中の粒子径75μm以下の粉末と、Cu系混合粉末中の粒子径106μm以下の粉末の割合(%)をそれぞれ算出して求めた。
(Cu系混合粉末の圧粉成形性)
実施例等及び比較例の各Cu系混合粉末を2ton/cmで、寸法が30×12×約5mmの直方体となるように圧粉成形した後、目視で観察し、抜き出し後の圧粉成形体に角欠けがある場合は×、角欠けがない場合は〇として評価した。
(Cu系混合粉末の熱処理)
実施例等及び比較例の各Cu系混合粉末は、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3質量%添加した後、寸法が30×12×約5mmの直方体、成形密度が6.0g/cmとなるように成形し、水素窒素混合雰囲気中(H:N=3:1)で1000℃、30分保持して各焼結体を得た。
実施例等及びA粉末を添加している比較例の焼結前後の密度変化率とA粉末を添加せずに各実施例と同一組成に調整した粉末の焼結前後の密度変化率の差を、下記(式)にて算出した。
(式)
{(実施例等及びA粉末を添加している比較例の焼結密度-実施例等及びA粉末を添加している比較例の成形密度)/実施例等及びA粉末を添加している比較例の成形密度×100}-{(A粉末を添加していない同一組成の粉末の焼結密度-A粉末を添加していない同一組成の粉末の成形密度)/A粉末を添加していない同一組成の粉末の成形密度×100}
前記(式)の解が「正」であれば、焼結性が向上していることになる。
結果を表1及び表2に示す。
特に記載していない限り、単位は質量%(mass%)の値である。
また、ハイフンでつないだ金属粉末は合金粉末を表す。
Figure 2022035017000001
Figure 2022035017000002
実施例1~4及び17~19に示すように、実施例のCu系混合粉末は、A粉末を添加していない同一組成の粉末よりも焼結性が高く、通常の焼結雰囲気においても焼結可能であることが示された。
実施例5~8に示すように、通常は焼結性を悪化させるNi又はCoを添加しても、A粉末を添加していない同一組成の粉末よりも焼結性が高いことが示された。
また、実施例9~16に示すように、SnやZnを添加することで焼結性がさらに向上することが示された。
本発明における粉末冶金用Cu系混合粉末は、Cu母相強度や耐食性に優れたCu系合金の焼結体を製造できる。
また、焼結性が極めて高いので、易酸化性元素である元素Mを含有しても通常の焼結雰囲気で焼結できる。
また、見掛密度が低く、且つ、微細粒子からなる粉末であるので、圧粉成形性に優れ、小型の部品や複雑な形状の部品を成形しても角欠け等の損傷が生じ難く、ハンドリング性に優れた圧粉成形体を製造できる。
即ち、本発明は、強度や耐食性に優れた焼結部品を製造でき、また、小型の焼結部品や、複雑な形状の焼結部品の製造に好適に使用することができる粉末冶金用Cu系混合粉末である。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。

Claims (5)

  1. 粉末冶金用Cu系混合粉末であって、前記Cu系混合粉末は、
    298~1300Kの温度域における最も低級な凝縮相酸化物の標準生成自由エネルギーがCr酸化物以下である元素Mと、
    不可避不純物を含めてCuを96質量%以上含有し、前記元素Mを含有しないCu又はCu合金粉末と、
    不可避不純物を含有しており、
    前記Cu系混合粉末における前記元素Mの含有量は0.01質量%以上、且つ、Cuと元素Mの二元系平衡状態図における1300K以下の温度におけるCuへの固溶限の1.1倍以下であり、
    前記Cu系混合粉末における前記Cu又はCu合金粉末の含有量は5.0質量%以上であり、
    前記Cu又はCu合金粉末の見掛密度は3.6g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が75μm以下であり、
    前記Cu系混合粉末の見掛密度は4.0g/cm以下であり、粒子径は、粒度分布の70%以上が106μm以下である粉末冶金用Cu系混合粉末。
  2. Niを1.0~20質量%又はCoを1.0~6.5質量%含有する請求項1記載の粉末冶金用Cu系混合粉末。
  3. Sn及び/又はZnを0.1~3.0質量%含有する請求項1又は2記載の粉末冶金用Cu系混合粉末。
  4. 潤滑剤を0.1~1.0質量%含有する請求項1乃至3いずれか記載の粉末冶金用Cu系混合粉末。
  5. 請求項1乃至4いずれか記載のCu系混合粉末の製造方法。
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