JP4941236B2 - 焼結助剤及び焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末並びに該焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を焼結してなる焼結体 - Google Patents

焼結助剤及び焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末並びに該焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を焼結してなる焼結体 Download PDF

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Description

本発明は、焼結助剤及び焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末並びに該焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を焼結してなる焼結体に関するものである。
周知のとおり、アルミニウム青銅やアルミニウム黄銅などのアルミニウム含有銅系合金は、強度、耐食性、耐摩耗性に優れており、他種多様な製品の素材として使用されている。アルミニウム含有銅系合金の加工方法としては、アルミニウム含有銅系合金粉末を圧縮成形して焼結させる粉末冶金法が良く知られているが、粉末冶金法においては、アルミニウム含有銅系合金粉末の表面を被覆する酸化アルミニウムが粉末間での原子の拡散を阻害するために十分に結合しないので、高強度を有する焼結体を形成することができなかった。このため、粉末冶金法によって高強度を有する焼結体を形成できるように種々の焼結助剤を加えたアルミニウム含有銅系合金粉末が開発されている。
例えば、後出特許文献1には、基質を構成する合金粉末がCu-Al合金粉、Cu粉及びAl粉より選ばれる1種の粉末もしくは2種以上からなる混合粉末に、Pを0.5mass%以上含み、残部がCr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuの1種以上からなる合金粉を1種以上添加してなる焼結アルミニウム合金粉末が開示されている。
また、後出特許文献2には、アルミニウム含有銅系合金から成る焼結用合金粉であって、前記合金粉は、フッ化アルミニウムに、フッ化カルシウム及びフッ化マグネシウムから選択される少なくとも1種類を1〜70質量%混合してなる焼結助剤を0.02〜0.5質量%含んでいる焼結用合金粉が開示されている。
特開平2−173224号公報 特開2003−49206号公報
ところが、前記特許文献1記載の焼結アルミニウム合金粉末は、水素雰囲気中で焼結を行った場合においては焼結助剤の効果によって焼結が促進されるものの、窒素を含有する雰囲気中においては焼結が促進されず、焼結体の硬度や圧環強度が著しく低下するという問題点がある。
また、前記特許文献2記載の焼結用合金粉は、特許文献1記載の焼結用合金粉末に比べて水素雰囲気中で焼結を行った場合には硬度や圧環強度が僅かに向上するものの、窒素を含有する雰囲気中においては焼結が促進されず、十分な硬度や圧環強度を有する焼結体を得ることができないという問題点がある。
そこで、本発明は、窒素を含有する雰囲気中において粉末冶金法で加工する場合にも、十分な硬度や圧環強度を有する焼結体を得ることができる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末にフッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを焼結助剤として添加すれば、窒素を含有する雰囲気中においても十分な硬度や圧環強度を有する焼結体を形成することができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
即ち、本発明に係る焼結助剤は、フッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを含有しているものである。
また、本発明に係る焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末は、フッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを含有しているものである。
また、本発明は、前記焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末において、20質量%以下のフッ化カルシウムと0.5質量%以下のフッ化アルミニウムとからなるフッ化物を0.02〜20.5質量%含有しているものである。
また、本発明は、前記いずれかの焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末において、燐合金に含まれる燐を0.05〜0.5質量%含有しているものである。
また、本発明は、前記いずれかの焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末において、フッ化カルシウム以外の無機系固体潤滑剤を含有しているものである。
さらに、本発明に係る焼結体は、前記いずれかの焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を焼結してなるものである。
なお、本発明の他の実施の形態は、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末において、0.01〜20質量%のフッ化カルシウム及び/又は0.01〜0.5質量%のフッ化アルミニウムとからなり、これらの合計が0.02〜20.5質量%となるフッ化物と燐合金に含まれる燐0.05〜0.5質量%とを含有しているものである。
本発明によれば、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対してフッ化アルミニウムとフッ化カルシウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを焼結助剤として添加したので、焼結時に燐合金によって形成される燐酸塩で母金属粉末間の結合を阻害する酸化アルミニウム被膜が破壊されると共に、フッ化アルミニウムとフッ化カルシウムの混合に伴って生成される液相により母金属粉末間の結合が補助されるため、これらの相乗効果によって母金属粉末間の焼結が飛躍的に促進され、これにより、水素雰囲気中だけでなく、窒素を含む雰囲気中においても硬度及び圧環強度の高い焼結体を得ることができる。なお、フッ化物としてフッ化アルミニウムを単体で添加した場合にも、焼結時におけるフッ化アルミニウムの蒸発に伴って酸化アルミニウム被膜が破壊されるため、母金属粉末間の焼結が促進され、また、フッ化物としてフッ化カルシウムを単体で添加した場合にも、燐合金に含まれる燐と作用することにより、母金属粉末間の焼結が促進される。なお、窒素は水素に比べて安価であるため、焼結時のコストを下げることができる。
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末は、母金属粉末に対してフッ化物と燐合金とを含有する焼結助剤を添加したものである。なお、「質量%」の単位は、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末全体に対する割合を示している。
母金属粉末は、1種類又は複数種類の金属粉末から構成されており、母金属粉末全体として見るとアルミニウム及び銅が主な成分となっており、必要に応じてアルミニウム及び銅以外の金属も成分として加えられる。また、1種類の金属粉末に着目した場合に、その金属粉末は、純金属粉末からなっていてもよく、合金粉末からなっていてもよい。なお、アルミニウム及び銅を含有した合金粉末、即ち、銅−アルミニウム合金粉末から母金属粉末を構成するよりも、銅−アルミニウム合金粉末と銅のみからなる純金属粉末、即ち、銅粉末とから母金属粉末を構成する方が得られる焼結体の機械的特性が向上し、また、焼結時の雰囲気にも影響を受け難くなる。
具体的には、焼結体としてアルミニウム青銅合金を得ようとする場合には、アルミニウムが1〜13質量%の割合で配合されるように金属粉末を混合して母金属粉末とすればよく、この場合には、鉄、ニッケル、マンガンから選ばれる1又は2種以上の金属を1〜10質量%の割合で配合させてもよい。また、焼結体としてアルミニウム黄銅合金を得ようとする場合には、アルミニウムが1〜13質量%の割合で配合されるように金属粉末を混合し、さらに、亜鉛を10〜40質量%の割合で配合させればよく、この場合には、鉄、ニッケル、マンガン、錫から選ばれる1又は2以上の金属を0.5〜5質量%の割合で配合させてもよい。
母金属粉末として混合される金属粉末の粒度は、粉末冶金法においてハンドリング性の良い−150μm以下のものが好適であるが、特に限定されるものではない。
焼結助剤に用いるフッ化物は、フッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなり、これらの合計が0.02〜20.5質量%、より好ましくは0.02〜15.3質量%となるように母金属粉末に添加される。但し、フッ化カルシウムは、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対して20質量%以下、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.02〜15質量%で添加され、フッ化アルミニウムは、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対して0.5質量%以下、好ましくは0.01〜0.3質量%、より好ましくは0.02〜0.3質量%で添加される。フッ化アルミニウムは、母金属粉末の表面を被覆する酸化アルミニウムを蒸発によって破壊する働きを有しており、これにより、金属粉末間で原子が拡散して金属粉末間の結合が強化されるため、焼結体の硬度及び圧環強度が向上する。また、フッ化アルミニウムとフッ化カルシウムを共存させると、母金属粉末の表面に液相が生成されて焼結がより促進される。なお、フッ化カルシウムの正確な働きについては未だ解明されていないが、各種実験においてフッ化カルシウムと共に燐合金を添加すると焼結体の硬度及び圧環強度が向上していることから、燐合金に含まれる燐と共存することによって焼結助剤として働くことが判明している。
フッ化カルシウムの添加量が20質量%を超えると、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対するフッ化カルシウムの割合が多くなり過ぎ、母金属粉末間に多くのフッ化カルシウムが入り込んで母金属粉末同士の接触が妨げられるため、これに伴ってフッ化カルシウムの母金属粉末間の焼結を促進させる効果も低下する。フッ化アルミニウムの添加量が0.5質量%を超えると、フッ化アルミニウムが過剰に添加された状態となり、その過剰に添加されたフッ化アルミニウムが焼結助剤として作用することなく多量に蒸発するために焼結体の質量減少を引き起こすと共に焼結体の形状に歪みをきたす。また、フッ化物は、添加量の合計が0.02質量%に満たないと、焼結助剤として十分に作用しないために焼結体の硬度や圧環強度が向上せず、添加量の合計が20.5質量%を超えると、その大半を占めるフッ化カルシウムの焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対する割合が多くなり過ぎ、母金属粉末間に多くのフッ化カルシウムが入り込んで母金属粉末同士の接触が妨げられるため、これに伴ってフッ化カルシウムの母金属粉末間の焼結を促進させる効果も低下する。なお、フッ化アルミニウムに比べてフッ化カルシウムの添加量の上限が多いのは、両フッ化物の焼結時における反応の違いによるものである。即ち、フッ化アルミニウムは焼結時に蒸発するため、添加量が増しても母金属粉末間に介在する数は増加せずに母金属粉末間の結合を阻害することはないが、焼結時の蒸発量が増して焼結体の形状に影響を与えるため、焼結体の形状を保持したままで焼結させるために添加量の上限が定めれている。これに対して、フッ化カルシウムは焼結時に蒸発しないため、添加量が増しても焼結時の蒸発量が増加せずに焼結体の形状に影響を与えることはないが、母金属粉末間に介在する数が増して母金属粉末間の結合を阻害するため、焼結体の硬度や圧環強度をある程度保持するために添加量の上限が定められている。
なお、フッ化物の平均粒径は、50μm以下が好適であり、平均粒径が50μmを超えると、焼結を促進させる作用が少なくなるため、多量に添加する必要があり、少量の添加で十分に焼結を促進させるためには、50μm以下の平均粒径であることが好ましい。なお、平均粒径の下限については特に限定されない。
焼結助剤に用いる燐合金は、燐銅、燐鉄、燐ニッケルから選ばれる1又は2種以上のものが特に好ましい。焼結助剤として燐合金を用いることにより、焼結時に液相が生成されて焼結が促進され、また、母金属粉末の表面に形成された酸化アルミニウム被膜が燐合金によって形成される燐酸塩で破壊され、金属粉末間で原子が拡散して金属粉末間の結合が強化されて焼結体の硬度及び圧環強度が向上する。また、燐合金自体の添加量は限定されないが、燐合金に含有される燐は、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対して0.05〜0.5質量%添加されることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5質量%である。燐の添加量が0.05質量%に満たないと、添加量が少なくなり過ぎて焼結助剤としての効果を十分に得ることができず、添加量が0.5質量%を超えると、焼結が過剰に進行して焼結体の組織が粗大化、即ち、結晶が大きく成長し過ぎて焼結体の硬度や圧環強度が低下する。なお、燐合金の粒度は、−150μmが好ましい。
本発明の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対しては、フッ化カルシウム以外の無機系固体潤滑剤(以下、単に「無機系固体潤滑剤」という)を添加してもよい。なお、この無機系固体潤滑剤は、黒鉛又は二硫化モリブデンのいずれか一方又は双方からなるものであることが好ましい。無機系固体潤滑剤を添加することにより、金属粉末間に無機系固体潤滑剤が不純物として点在することになり、焼結による金属粉末間の結合が妨げられて焼結体の硬度や圧環強度などの機械的特性は低下するものの焼結体の表面に固体潤滑剤が存在した状態となり、その固体潤滑剤によって他物体との接触・摺動時に生じる焼結体表面の劣化を抑制できるため、軸受けなどの製品において効果をもたらす。なお、無機系固体潤滑剤の添加量は、0.5〜10質量%が好ましく、より高い硬度、圧環強度及び耐摩耗性を有する焼結体を得るためには0.5〜5質量%であることが好ましい。無機系固体潤滑剤の添加量が0.5質量%に満たないと、焼結体の表面に潤滑剤として作用するのに十分な固体潤滑剤が存在しなくなり、添加量が10質量%を超えると、焼結体の硬度や圧環強度が著しく低下して製品価値がなくなる。
そして、焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を100〜1000MPaで圧縮成形した後、その成形物を水素雰囲気、水素−窒素雰囲気又は窒素雰囲気中において750〜1000℃で加熱することによって焼結体を得ることができる。
以下において本発明に係る実施例を示す。
実施例1〜14,比較例1〜8.
先ず、電解法によって製造した粒度−150μmの銅粉末と、搗砕法によって製造した粒度−63μmの銅−50質量%アルミニウム合金粉末とを混合して母金属粉末とした。そして、母金属粉末に対してフッ化物として平均粒径10μmのフッ化アルミニウムと平均粒径1.5μmのフッ化カルシウムのいずれか一方又は双方を添加すると共に、燐合金として粒度−75μmの燐銅(Cu−8質量%P)、粒度−75μmの燐鉄(Fe−20質量%P)又は粒度−75μmの燐ニッケル(Ni−15質量%P)のいずれかを添加して焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得た。なお、母金属粉末に対してフッ化物及び燐合金を添加する際には、得られる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末中のフッ化物及び燐合金に含有される燐の添加量を表1に示すように変化させると共に、アルミニウムの含有量が10質量%になるように調節した。
次に、得られた焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末をプレス成形機(品名:CM-1000KN型耐圧試験機;東京衝機製造所製)によって500MPaの圧力にて成形し、外径20mm・内径12mm・高さ10mmの円筒状の成形物を得た。そして、この成形物をステンレス製の蓋付のボート内に入れて水素:窒素が1:3の比率で混合された水素−窒素雰囲気の小型管状炉に投入し、950℃で30分間加熱して焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004941236
実施例9,10及び比較例7から分かるようにフッ化アルミニウムを0.5質量%を超えた割合で添加しても、焼結体の硬度及び圧環強度は高い値を示しているが、その焼結体を目視にて確認したところ形状が歪んでいることを確認した。また、実施例4〜7及び比較例6から分かるようにフッ化カルシウムを20質量%を超えた割合で添加すると、焼結体の硬度及び圧環強度が低下する。また、実施例1,7及び比較例1,6から分かるようにフッ化物を0.02〜20.5質量%の範囲外の割合で添加すると、焼結体の硬度が低下する。さらに、実施例3,4,8及び比較例5,8から分かるように燐合金に含有される燐を0.05〜0.5質量%の範囲外の割合になるように添加すると、焼結体の硬度及び圧環強度が低下する。
実施例15〜25,比較例9〜14.
得られる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末中のフッ化物及び燐合金に含有される燐の添加量を表2に示すように変化させると共に、アルミニウムの含有量が7質量%となるように変更した他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得た。また、成形物を加熱する温度を900℃に変更した他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004941236
実施例26〜30,比較例15〜19.
噴霧法で製造した粒度−150μmの銅−9質量%アルミニウム−2質量%ニッケル−3.5質量%鉄合金粉末を母金属粉末とした。そして、得られる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末中のフッ化物及び燐合金に含有される燐の添加量を表3に示すように変化させた他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得た。また、炉内を水素と窒素が1:1の比率で混合された水素−窒素雰囲気に変更した他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004941236
実施例31〜35,比較例20〜24.
噴霧法で製造した粒度−150μmの銅−35質量%亜鉛−3質量%アルミニウム合金粉末を母金属粉末とした。そして、得られる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末中のフッ化物及び燐合金に含有される燐の添加量を表4に示すように変化させた他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得た。また、成形物を加熱する温度を900℃に変更すると共に、炉内を水素と窒素が1:1の比率で混合された水素−窒素雰囲気に変更した他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度をそれぞれ測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0004941236
実施例1〜14と母金属粉末を変更した実施例15〜25、実施例26〜30及び実施例31〜35においてもそれぞれの比較例に比べて相対的に高い硬度及び圧環強度を有する焼結体が得られており、これにより、母金属粉末を変更したとしても焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に対してフッ化物及び燐合金に含有される燐を所定範囲で添加することによって硬度及び圧環強度を高く保持できることが分かる。
実施例36〜40,比較例25〜29.
得られる焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末中のフッ化物及び燐合金に含有される燐の添加量を表5に示すように変化させると共に、無機系固形潤滑剤を表5に示すように変化させて添加した他は、前記実施例1と同様の条件にて焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を得た。また、前記実施例1と同様の条件にて焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度をそれぞれ測定した。その結果を表5に示す。
Figure 0004941236
無機系固体潤滑剤が添加されることにより、実施例36〜40は実施例1〜14よりも相対的に硬度及び圧環強度が低下しているが、比較例25〜29に比べて高い硬度及び圧環強度を保持しており、これにより、無機系固体潤滑剤が添加された焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末においてもフッ化物及び燐合金に含有される燐を所定範囲で添加することによって硬度及び圧環強度を高く保持できることが分かる。
次に、実施例4、比較例1及び比較例5の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を成形してなる成形物を加熱する炉内を水素に対して表6に示す比率で窒素を混合した雰囲気とした他は、実施例1と同様の条件にて焼結体を得た。
そして、得られた焼結体についてJIS Z 2245に基づくロックウェル硬さ、JIS Z 2507に基づく圧環強度及びCu−10質量%Al合金の真密度7.5g/cm3に対する焼結体密度を示した焼結密度比を測定した。その結果を表6及び図1に示す。なお、図1中、丸点は、実施例4の焼結体を示しており、四角点は、比較例1の焼結体を示しており、三角点は、比較例5の焼結体を示している。
Figure 0004941236
表6及び図1から分かるようにいずれの雰囲気中において焼結した焼結体であっても、実施例4の焼結体は、他の比較例の焼結体に比べてに硬度及び圧環強度が高くなることが分かる。
焼結体の焼結時における雰囲気と該焼結体の硬度、圧環強度及び焼結密度比との関係を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末に添加される焼結助剤であって、フッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを含有していることを特徴とする焼結助剤。
  2. フッ化カルシウムとフッ化アルミニウムのいずれか一方又は双方からなるフッ化物と燐合金とを含有してなることを特徴とする焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末。
  3. 20質量%以下のフッ化カルシウムと0.5質量%以下のフッ化アルミニウムとからなるフッ化物を0.02〜20.5質量%含有している請求項2記載の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末。
  4. 燐合金に含まれる燐を0.05〜0.5質量%含有している請求項2又は3のいずれかに記載の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末。
  5. フッ化カルシウム以外の無機系固体潤滑剤を含有している請求項2乃至4のいずれかに記載の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末。
  6. 請求項2乃至5のいずれかに記載の焼結用アルミニウム含有銅系合金粉末を焼結してなることを特徴とする焼結体。
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