JP4109023B2 - 鉄系焼結摺動部材の製造方法及び鉄系焼結摺動部材 - Google Patents
鉄系焼結摺動部材の製造方法及び鉄系焼結摺動部材 Download PDFInfo
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、鉄を主成分とする鉄系焼結摺動部材、具体的には素地(マトリックス)の組織がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、該素地中に炭素が分散含有されているとともに素地中に遊離セメンタイトの存在しない鉄系焼結摺動部材の製造方法及び鉄系焼結摺動部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄系焼結摺動部材としては、鉄−銅−黒鉛系含油焼結摺動部材あるいは黒鉛の固体潤滑作用を利用した鉄−黒鉛系または鉄−銅−黒鉛系焼結摺動部材がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術における後者の鉄系焼結摺動部材においては、黒鉛の固体潤滑作用を得るには少なくとも3重量%以上の配合量が必要とされるが、この場合、鉄粉末と黒鉛粉末が焼結過程で反応して焼結組織中に高硬度の遊離セメンタイト(Fe3C)を析出するという現象が現れる。この高硬度の遊離セメンタイトの組織中への析出は、相手材、例えば軸との摺動において当該相手材を損傷させるという欠点を惹起することになり、摺動部材においては極力避けなければならない重要な要素である。
【0004】
この遊離セメンタイトの析出を防止する方法としては、鉄−黒鉛系焼結摺動部材においては、(1)黒鉛の配合量を少量(0.82重量%以下)とすること、あるいは(2)遊離セメンタイトの析出し得ない低い温度で焼結すること、により一応の解決は見られるが、上記(1)の方法では配合した黒鉛の固体潤滑作用を期待することができず、また(2)の方法では焼結合金化が不充分で摺動部材としての機械的強度が低く、いずれの方法によっても得られた焼結摺動部材は黒鉛による固体潤滑作用を十分発揮させることができず、実用に供し難いという問題を残す。
【0005】
さらに別の方法として、黒鉛粉末に銅メッキを施した、所謂被銅黒鉛粉末を使用することにより遊離セメンタイトの析出のない鉄系焼結摺動部材を得ることができるが、この方法においては(1)黒鉛粉末に予め銅メッキを施す工程を要し、コスト高になること、(2)すべての黒鉛粒子にもれなく銅メッキを施すことは工業的に困難であること、(3)上記(2)の結果として、焼結時に鉄と黒鉛との反応を生じ、遊離セメンタイトの析出を完全に防ぎ難いこと、などの問題がある。
【0006】
また、鉄−炭素−X(金属元素)系の三元系の状態図から、アルミニウム、珪素、錫、チタンなどオーステナイト組織(γ相)にループができる金属元素を配合することにより、組織中に遊離セメンタイトの析出を防止できることが理論づけられている。しかしながら、これら金属元素を単体粉の形態で鉄−炭素系に配合する場合、単体粉の酸化の問題が生じ、該金属元素のフェライト相(α相)への拡散が十分行われず、結果として組織中に遊離セメンタイトが析出することになる。
【0007】
上述した問題点に鑑み、本発明者らは上記三元系状態図からα相生成元素である珪素に着目し、これら金属元素を合金化させて合金粉の形態で鉄−炭素−X(金属元素)系に配合することにより、珪素はα相中への拡散が充分に行われ、組織中に遊離セメンタイトの析出しない鉄系焼結体が得られることを知見した。
【0008】
そして、本願出願人はこの知見に基づき特願平11−306812号(特開2001−123253号:以下「先行技術」という)において、銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫母合金粉末と銅粉末と炭素粉末と鉄粉末とからなる鉄系焼結摺動部材であって、銅成分15〜25重量%、珪素成分1〜5重量%、錫成分1〜5重量%、炭素成分3〜10重量%、残部鉄成分からなり、素地がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、該組織中に炭素成分が分散含有されている鉄系焼結摺動部材ならびにその製造方法を提案した。
【0009】
この先行技術からなる鉄系焼結摺動部材は、その素地の組織をパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織に、それぞれ摺動部材の使用用途に応じて適宜制御可能であり、組織中に遊離セメンタイトを析出することなく多量の炭素(黒鉛)が分散含有されているので、該炭素の固体潤滑作用により自己潤滑性が付与されるとともに、潤滑油を含有した摺動部材においては炭素の固体潤滑作用と相俟って一層の自己潤滑作用の向上が図れるという作用効果を奏するものであった。
【0010】
しかしながら、上述した鉄系焼結摺動部材はその製造方法においては、通常の鉄系焼結摺動部材の焼結温度である1100〜1150℃の範囲で行なっており、当該焼結摺動部材の生産性、焼結炉の寿命などを考慮すると、必ずしも満足のいくものではない。この生産性の向上について、本発明者らはさらに研究を重ねた結果、先行技術の鉄系焼結摺動部材である銅成分15〜25重量%、珪素成分1〜5重量%、錫成分1〜5重量%、炭素成分3〜10重量%、残部鉄成分に対し、一定割合のマンガン成分を配合することにより、鉄成分の素地(マトリックス)と銅−錫成分の液相の接触角を減少し得、かつ鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角を減少し得、銅−錫成分の液相が鉄成分の表面および鉄成分の接触部に速やかに広がる濡れ性が向上し、焼結合金化が促進されることを見出し、結果として先行技術における鉄系焼結摺動部材の摺動特性および機械的性質を損うことなく、低い焼結温度での製造を可能とし、生産性の向上を達成することができることを見出した。
【0011】
本発明は、上記先行技術の改良に係るもので、生産性を向上させることのできる鉄系焼結摺動部材の製造方法及び鉄系焼結摺動部材を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明の第一の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法は、鉄粉末と、銅粉末と、銅−鉄−珪素−錫母合金粉末または銅−珪素−錫母合金粉末と、マンガン粉末または鉄−マンガン母合金粉末または銅−マンガン母合金粉末または銅−鉄−マンガン母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫−マンガン母合金粉末と、炭素粉末とを準備する工程と、これら粉末を、銅成分が15〜25重量%、珪素成分が1〜7重量%、錫成分が1〜5重量%、マンガン成分が0.1〜5重量%、炭素成分が3〜10重量%、残部鉄成分となるように配合し、混合して混合粉末を形成する工程と、該混合粉末を金型に装填し、所望の圧力で成形して所望の形状の圧粉体を成形する工程と、この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000℃〜1050℃の温度で20〜60分間焼結する工程と、からなり、素地がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、該素地中に炭素成分が分散含有されていることを特徴とする。
【0013】
第一の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法によれば、マンガン成分の配合により、主成分をなす鉄成分の素地(マトリックス)と銅−錫成分の液相の接触角を減少させ、かつ鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角を減少させるので、銅−錫成分の液相が鉄成分の表面および鉄成分の接触部に速やかに広がる濡れ性が向上し、焼結合金化が促進される。その結果、1000℃〜1050℃の温度での焼結を可能とする。また、マンガン成分の配合により、鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角が減少することにより、炭素成分と鉄成分の素地との接触が分断されることと、α相生成元素である珪素及び錫成分が銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫−マンガン母合金粉末の形態で鉄成分に配合されるため、焼結過程において当該珪素及び錫成分は鉄成分に優先的に拡散固溶して合金化すること、から鉄成分の素地への炭素成分の拡散が阻害され、素地の組織中に遊離セメンタイトの析出を生じることがない。
【0014】
本発明の第二の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法は、第一の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法において、炭素粉末は天然黒鉛およびまたは人造黒鉛からなる。
【0015】
第二の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法によれば、得られた鉄系焼結摺動部材には天然または人造黒鉛が分散含有されることになり、鉄系焼結摺動部材に天然または人造黒鉛の固体潤滑作用により自己潤滑性が付与される。
【0016】
本発明の第三の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法は、第一又は第二の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法において、圧粉体を焼結して鉄系焼結摺動部材を得たのち、これに含油処理を施すことにより、鉄系焼結摺動部材には10〜20vol%の割合で潤滑油が含油される。
【0017】
第三の態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法によれば、鉄系焼結摺動部材には含油処理により10〜20vol%の潤滑油が含油されるので、天然黒鉛およびまたは人造黒鉛の固体潤滑作用と相俟って鉄系焼結摺動部材の自己潤滑性がより一層高められる。
【0018】
第四の態様の鉄系焼結摺動部材は、第一から第三のいずれかの態様の鉄系焼結摺動部材の製造方法によって得られたものある。
【0019】
第四の態様の鉄系焼結摺動部材によれば、鉄成分の素地中には遊離セメンタイトが析出していないこと、3〜10重量%の炭素成分が分散含有されていること、さらには炭素成分に加えて潤滑油が10〜20vol%の割合で含有されたものにおいては相手材(例えば軸)との摩擦においては当該相手材を損傷させる虞がなく、また、部材中の炭素成分または炭素成分および潤滑油の含有により自己潤滑性が付与されているので、優れた摺動特性が発揮される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の鉄系焼結摺動部材の製造方法において使用される各成分組成について説明する。
【0021】
<銅−珪素−錫合金粉末あるいは鉄−銅−珪素−錫合金粉末について>
本発明においては、珪素及び錫成分は、銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫母合金粉末の形態で使用される。
【0022】
合金中の銅−錫成分は、焼結過程において液相を生じて結合材としての役割を果たす。この銅−錫成分の液相は後述するマンガン成分により、鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の接触角が減少し、かつ鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角が減少するので、銅−錫成分の液相は鉄成分の表面および鉄成分の接触部に速やかに広がる濡れ性を向上させる。そして、焼結体を緻密化させて機械的強度および靭性を向上させるとともに鉄系焼結摺動部材の摺動性能を向上させる。
【0023】
合金中の珪素成分は、主成分をなす鉄成分と親和性が良好で、焼結過程において鉄成分に拡散固溶して合金化する。
【0024】
本発明で使用する合金の成分組成を例示すると、(1)銅74重量%−珪素13重量%−錫13重量%、(2)銅64重量%−珪素12重量%−錫24重量%、(3)鉄30重量%−銅34重量%−珪素12重量%−錫24重量%の合金などである。
【0025】
<マンガン粉末について>
マンガン成分は、主成分をなす鉄成分の素地(マトリックス)と前述した銅−錫成分の液相の接触角を減少させ、かつ鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角を減少させるので、銅−錫成分の液相が鉄成分の表面および鉄成分の接触部に速やかに広がる濡れ性を向上させ、焼結合金化を促進させる役割を果たす。また、成分中の珪素成分と錫成分を一定量配合したものにおいては、マンガン成分の配合量によって素地の組織をパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存する組織に制御することが可能となる。そして、マンガン成分の配合量は0.1〜5重量%が適当である。配合量が0.1重量%未満では上述した役割が十分発揮されず、また5重量%を超えて配合しても、上記作用効果のそれ以上の効果は得られない。マンガン成分は、マンガン粉末単体での配合の他に、銅−マンガン母合金粉末、鉄−マンガン母合金粉末、銅−鉄−マンガン母合金粉末、鉄−銅−珪素−錫−マンガン母合金粉末の形態で配合することができる。
【0026】
マンガン成分を含む母合金の成分組成を例示すると、(1)銅75重量%−マンガン25重量%の母合金粉末、(2)鉄20〜25重量%−マンガン80〜75重量%の母合金粉末、(3)鉄3〜5重量%−マンガン4〜6重量%−銅89〜91重量%の母合金粉末、(4)鉄24重量%−銅―28重量%−珪素12重量%−錫24重量%−マンガン12重量%の母合金粉末などである。
【0027】
<炭素粉末について>
炭素成分は、本発明においては天然黒鉛およびまたは人造黒鉛が使用される。炭素成分はパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織に分散含有されて固体潤滑作用をなすもので、この固体潤滑作用を発揮させるためには少なくとも3重量%の配合量が必要とされる。また、素地がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、遊離セメンタイトの析出を生じないため、該炭素粉末を10重量%もの多量の配合が可能となる。しかし、10重量%を超えて配合すると、摺動部材としての機械的強度が損なわれるため、その配合量は10重量%が限度である。
【0028】
この炭素粉末を3〜10重量%含有するにも係らず素地中に遊離セメンタイトを析出しない理由は、焼結過程において、マンガン成分により鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角が減少し、炭素成分と鉄成分の素地との接触が分断されることと、α相生成元素である珪素および錫成分が銅−珪素−錫の母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫の母合金粉末あるいは鉄−銅−珪素−錫−マンガンの母合金粉末の形態で配合されるため、珪素および錫成分が鉄成分に優先的に固溶すること、から鉄成分の素地への炭素成分の拡散固溶が阻害されるためであると推察される。
【0029】
<銅粉末について>
本発明においては、上記銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫−マンガン母合金粉末と炭素粉末と鉄粉末を混合してなる混合粉末の成形性を高めるために、銅粉末が配合される。
【0030】
本発明における各成分の形態としては、鉄粉末は平均粒径100μmの還元鉄粉末が、銅粉末は平均粒径75μmの電解銅粉末が、銅−珪素−錫の母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫の母合金粉末あるいは鉄−銅−珪素−錫−マンガンの母合金粉末は平均粒径16μmのアトマイズ合金粉末が、マンガン粉末を単体で配合する場合の当該マンガン粉末は平均粒径10μmのスタンプマンガン粉末が使用される。また、炭素粉末はその粒径が75〜300μmの天然黒鉛およびまたは人造黒鉛が使用される。
【0031】
つぎに、鉄系焼結摺動部材の製造方法の一例について説明する。
【0032】
主成分をなす鉄粉末に対し、炭素粉末3〜10重量%と、銅−珪素−錫の母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫の母合金粉末と、銅粉末を、銅成分として15〜25重量%、珪素成分として1〜7重量%、錫成分として1〜5重量%となるように配合し、さらにマンガン粉末0.1〜5重量%を配合し、混合して混合粉末を形成する。ついで、該混合粉末を金型に装填して所望の形状の圧粉体を成形し、この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000℃〜1050℃の温度で20〜60分間焼結し、その後炉から取出し、鉄系焼結摺動部材素材を得る。その後、この鉄系焼結摺動部材素材に必要に応じて機械加工を施し、所望の寸法に加工して鉄系焼結摺動部材を得る。ここで、中性もしくは還元性雰囲気としては、アンモニア分解ガス、炭化水素分解ガス、窒素ガス、水素ガスなどが使用される。
【0033】
上述した製造方法において、焼結温度は、通常の鉄系焼結材料における焼結温度(1100〜1150℃)よりも低い1000℃〜1050℃の温度で行われる。これは、成分中のマンガン成分により鉄成分の素地(マトリックス)と銅−錫成分の液相の接触角を減少し得、かつ鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角を減少し得、銅−錫成分の液相が鉄成分の表面および鉄成分の接触部に速やかに広がる濡れ性が向上するとともに、珪素およびマンガン成分は液相を介しての拡散となるため、鉄の素地中に短時間で速やかに拡散し、焼結合金化が促進されるためである。したがって、低い焼結温度での製造を可能とし、生産性の向上を達成することができる。
【0034】
このようにして得た鉄系焼結摺動部材は、その素地の組織がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、該組織中に炭素が分散含有されている。また、成分中のマンガン成分により、(1)鉄成分の素地と銅−錫成分の液相の二面角が減少することにより、炭素成分と鉄成分の素地との接触が分断されること、(2)α相生成元素である珪素及び錫成分が銅−珪素−錫の母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫の母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫−マンガンの母合金粉末の形態で鉄成分に配合されるため、焼結過程において当該珪素及び錫成分は鉄成分に優先的に拡散固溶して合金化すること、から鉄成分の素地への炭素成分の拡散が阻害され、素地の組織中に遊離セメンタイトの析出を生じることがない。
【0035】
上記製造方法で得た鉄系焼結摺動部材は、その使用目的、用途に応じて含油処理を施し、含油焼結摺動部材としての適用が可能である。この含油焼結摺動部材においては、該焼結摺動部材中に含油される潤滑油の含油量が10〜20vol%であり、焼結摺動部材に含有された炭素成分の固体潤滑作用と相俟って該摺動部材により一層の自己潤滑性を付与することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の鉄系焼結摺動部材の製造方法および鉄系焼結摺動部材をその実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何等限定されないのである。
【0037】
実施例1〜6
平均粒径100μmの還元鉄粉末73〜75.8重量%に対し、平均粒径16μmの銅74重量%−珪素13重量%−錫13重量%のアトマイズ合金粉末を、銅成分として5.7重量%、珪素成分として1重量%、錫成分として1重量%となるように7.7重量%配合し、さらに平均粒径75μmの電解銅粉末を11.3重量%および平均粒径10μmの搗砕マンガン粉末を0.2〜3重量%配合し、V型ミキサーにて20分間混合したのち、炭素粉末として、75μm以上300μm以下の天然黒鉛粉末を5重量%配合し、再度V型ミキサーで5分間混合して混合粉末〔(1)鉄成分:75.8重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:0.2重量%、炭素成分:5重量%、(2)鉄成分:75.4重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:0.6重量%、炭素成分:5重量%、(3)鉄成分:75重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:1重量%、炭素成分:5重量%、(4)鉄成分:74.6重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:1.4重量%、炭素成分:5重量%、(5)鉄成分:74重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:2重量%、炭素成分:5重量%、(6)鉄成分:73重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:1重量%、マンガン成分:3重量%、炭素成分:5重量%〕を得た。
【0038】
ついで、これらの混合粉末を金型中に装填し、成形圧力5トン/cm2で成形して円筒状圧粉体を得た。これらの円筒状圧粉体をそれぞれアンモニア分解ガス雰囲気の加熱炉内に置き、1020℃の温度で20分間焼結したのち炉から取出し、鉄系焼結摺動部材素材を得た。この鉄系焼結摺動部材素材に機械加工を施し、それぞれ内径40mm、外径50mm、長さ15mmの鉄系焼結摺動部材を得た。
【0039】
これらの鉄系焼結摺動部材に含油処理を施した。このようにして得た鉄系焼結摺動部材の成分組成、密度、含油率および素地の組織を表1に示す。
【0040】
【表1】
表1中、Feは鉄成分を、Cuは銅成分を、Siは珪素成分を、Snは錫成分を、Mnはマンガン成分を、Cは炭素成分をそれぞれ示す。密度の単位はg/cm3で、含油率はvol%で示す。
【0041】
実施例7〜12
平均粒径100μmの還元鉄粉末69.5〜72.3重量%に対し、平均粒径16μmの鉄30重量%−銅34重量%−珪素12重量%−錫24重量%のアトマイズ合金粉末を8.33重量%(鉄成分:2.5重量%、銅成分:2.83重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%)配合し、さらに平均粒径75μmの電解銅粉末を14.17重量%および平均粒径10μmの搗砕マンガン粉末を0.2〜3重量%配合し、V型ミキサーにて20分間混合したのち、炭素粉末として、75μm以上300μm以下の天然黒鉛粉末を5重量%配合し、再度V型ミキサーで5分間混合して混合粉末〔(7)鉄成分:74.8重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:0.2重量%、炭素成分:5重量%、(8)鉄成分:74.4重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:0.6重量%、炭素成分:5重量%、(9)鉄成分:74重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:1重量%、炭素成分:5重量%、(10)鉄成分:73.6重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:1.4重量%、炭素成分:5重量%、(11)鉄成分:73重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:2重量%、炭素成分:5重量%、(12)鉄成分:72重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、マンガン成分:3重量%、炭素成分:5重量%〕を得た。
【0042】
ついで、これらの混合粉末を金型中に装填し、成形圧力5トン/cm2で成形して円筒状圧粉体を得た。この円筒状圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気の加熱炉内に置き、1000℃の温度で20分間焼結したのち炉から取出し、鉄系焼結摺動部材素材を得た。この鉄系焼結摺動部材素材に機械加工を施し、それぞれ内径40mm、外径50mm、長さ15mmの鉄系焼結摺動部材を得た。
【0043】
このようにして得た鉄系焼結摺動部材の成分組成、密度および素地の組織を表2に示す。
【0044】
【表2】
表2中、Feは鉄成分を、Cuは銅成分を、Siは珪素成分を、Snは錫成分を、Mnはマンガン成分を、Cは炭素成分をそれぞれ示す。密度の単位はg/cm3で、含油率はvol%で示す。
【0045】
比較例1
銅粉末5重量%、天然黒鉛粉末0.6重量%、不可避的不純物粉末3重量%、残部鉄粉末をV型ミキサーにて20分間混合し混合粉末を得た。ついで、この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力5トン/cm2で成形して円筒状圧粉体を得た。この円筒状圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気の加熱炉内に置き、1140℃の温度で30分間焼結したのち炉から取出し、鉄系焼結摺動部材素材を得た。この鉄系焼結摺動部材素材に機械加工を施し、内径40mm、外径50mm、長さ15mmの鉄系焼結摺動部材を得た。この鉄系焼結摺動部材の密度は5.65g/cm3であった。
【0046】
この鉄系焼結摺動部材の素地の組織はパーライトとフェライトが共存する組織を呈し、組織中に遊離セメンタイトの析出はないことを確認した。ついで、該鉄系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率20.0vol%の含油鉄系焼結摺動部材を得た。
【0047】
比較例2
平均粒径100μmの還元鉄粉末75重量%に対し、平均粒径16μmの鉄30重量%−銅34重量%−珪素12重量%−錫24重量%のアトマイズ合金粉末を8.33重量%(鉄成分:2.5重量%、銅成分:2.83重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%)配合し、さらに平均粒径75μmの電解銅粉末を14.17重量%配合し、V型ミキサーにて20分間混合したのち、炭素粉末として、75μm以上300μm以下の粒度を有する天然黒鉛粉末を5重量%配合し、再度V型ミキサーで5分間混合して混合粉末(鉄成分:75重量%、銅成分:17重量%、珪素成分:1重量%、錫成分:2重量%、炭素成分:5重量%)を得た。ついで、この混合粉末を金型中に装填し、成形圧力5トン/cm2で成形して円筒状圧粉体を得た。この円筒状圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気の加熱炉内に置き、1100℃の温度で30分間焼結したのち炉から取出し、鉄系焼結摺動部材素材を得た。この鉄系焼結摺動部材素材に機械加工を施し、内径40mm、外径50mm、長さ15mmの鉄系焼結摺動部材を得た。
【0048】
この鉄系焼結摺動部材の密度は5.83g/cm3を示し、鉄系焼結摺動部材の素地の組織はパーライト組織であった。ついで、この鉄系焼結摺動部材に含油処理を施し、含油率16.8vol%の含油鉄系焼結摺動部材を得た。
【0049】
つぎに、前記実施例1、3、5、8、10および比較例1、2で得た含油鉄系焼結摺動部材の摺動特性について、下記の条件で試験した結果を説明する。
<試験条件>
すべり速度 2m/min
負荷面圧 250kgf/cm2
試験時間 20時間
試験方法 ジャーナル回転試験(相手軸連続回転運動)
【0050】
上記試験条件で行なった摺動特性の試験結果は表3に示すとおりである。
【0051】
【表3】
表3中、摺動部材摩耗量および相手軸摩耗量は試験時間20時間後の寸法変化量を示したもので、その単位はmmである。
【0052】
上述した試験結果から、実施例1、3、5、8、10の含油鉄系焼結摺動部材と比較例2(先行技術の含油鉄系焼結摺動部材に相当)の含油鉄系焼結摺動部材は、いずれも摩擦係数が低く、とくに相手軸の摩耗量は極めて低い値を示した。試験後の相手軸表面には、該摺動部材に含有されている炭素(黒鉛)の固体潤滑作用による黒鉛被膜が形成されていることが確認され、結果として相手軸の摩耗量を低く抑えることができたものと推察される。一方、比較例1の含油鉄系焼結摺動部材は、試験開始後8時間で摩擦係数が0.3を超えたため、その時点で試験を中止した。したがって、表3中の比較例1については、摺動部材摩耗量および相手軸摩耗量は測定できなかったので、表3には値は示していない。
【0053】
【発明の効果】
本発明の鉄系焼結摺動部材の製造方法においては、先行技術および通常の鉄系焼結摺動部材の製造方法における焼結温度を最大で150℃下げることができ、生産性を大幅に向上させ得るものである。また、得られた鉄系焼結摺動部材の摺動特性は、先行技術の鉄系焼結摺動部材の摺動特性を損なうことなく同等の特性を有するものである。
Claims (4)
- 鉄粉末と、銅粉末と、銅−鉄−珪素−錫母合金粉末または銅−珪素−錫母合金粉末と、マンガン粉末または鉄−マンガン母合金粉末または銅−マンガン母合金粉末または銅−鉄−マンガン母合金粉末または鉄−銅−珪素−錫−マンガン母合金粉末と、炭素粉末とを準備する工程と、
これら粉末を、銅成分が15〜25重量%、珪素成分が1〜7重量%、錫成分が1〜5重量%、マンガン成分が0.1〜5重量%、炭素成分が3〜10重量%、残部鉄成分となるように配合し、混合して混合粉末を形成する工程と、
該混合粉末を金型に装填し、所望の圧力で成形して所望の形状の圧粉体を成形する工程と、
この圧粉体を中性もしくは還元性雰囲気に調整した加熱炉内で1000℃〜1050℃の温度で20〜60分間焼結する工程と、
からなり、素地がパーライト組織またはフェライト組織またはパーライトとフェライトが共存した組織を呈し、該素地中に炭素成分が分散含有されていることを特徴とする鉄系焼結摺動部材の製造方法。 - 炭素成分は、天然黒鉛およびまたは人造黒鉛からなる請求項1に記載の鉄系焼結摺動部材の製造方法。
- 圧粉体を焼結して鉄系焼結摺動部材を得たのち、これに含油処理を施し、10〜20vol%の割合で潤滑油を含有する請求項1又は2に記載の鉄系焼結摺動部材の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた鉄系焼結摺動部材。
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