JP2748666B2 - Cu合金粉末およびその製造法 - Google Patents
Cu合金粉末およびその製造法Info
- Publication number
- JP2748666B2 JP2748666B2 JP2192088A JP19208890A JP2748666B2 JP 2748666 B2 JP2748666 B2 JP 2748666B2 JP 2192088 A JP2192088 A JP 2192088A JP 19208890 A JP19208890 A JP 19208890A JP 2748666 B2 JP2748666 B2 JP 2748666B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- alloy
- oxide
- temperature
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、特に、すぐれた耐摩耗性を有する焼結体
の製造に用いるのに適したCu合金粉末およびその製造法
に関するものである。
の製造に用いるのに適したCu合金粉末およびその製造法
に関するものである。
従来、例えば特開昭63−241126号公報および特開昭59
−150043号公報に記載される通り、 重量%で(以下%は重量%を示す)、 Al:0.1〜1%、 を含有し、残りが実質的にCuからなる組成を有するCu−
Al合金原料粉末に、 大気中、300〜500℃の温度に加熱保持、 の条件で表面酸化処理を施した後、 不活性ガス雰囲気中、800〜900℃の温度に加熱保持、 の条件で内部酸化処理を施し、 引続いて余剰の酸素を除去する目的で、 還元性雰囲気中、400〜800℃の温度に加熱保持、 の条件で還元処理を施して、上記内部酸化によって生成
した微細な酸化アルミニウム(以下Al2O3で示す)がCu
またはCu−Al合金の素地に均一に分散した組織を有する
Cu合金粉末を製造する方法が知られている。
−150043号公報に記載される通り、 重量%で(以下%は重量%を示す)、 Al:0.1〜1%、 を含有し、残りが実質的にCuからなる組成を有するCu−
Al合金原料粉末に、 大気中、300〜500℃の温度に加熱保持、 の条件で表面酸化処理を施した後、 不活性ガス雰囲気中、800〜900℃の温度に加熱保持、 の条件で内部酸化処理を施し、 引続いて余剰の酸素を除去する目的で、 還元性雰囲気中、400〜800℃の温度に加熱保持、 の条件で還元処理を施して、上記内部酸化によって生成
した微細な酸化アルミニウム(以下Al2O3で示す)がCu
またはCu−Al合金の素地に均一に分散した組織を有する
Cu合金粉末を製造する方法が知られている。
また、この方法で製造されたCu合金粉末が、含油軸受
やガイドブッシュ、さらにバルブシートなどの各種駆動
装置の構造部材を通常の粉末冶金法により製造するに際
して、原料粉末として用いられていることも良く知られ
るところである。
やガイドブッシュ、さらにバルブシートなどの各種駆動
装置の構造部材を通常の粉末冶金法により製造するに際
して、原料粉末として用いられていることも良く知られ
るところである。
一方、近年の各種駆動装置の高性能化および高速化は
めざましく、これに伴ない、これの構造部材の使用環境
も一段と苛酷さを増し、このため構造部材には一層の耐
摩耗性が要求されているが、上記の従来内部酸化による
方法で製造されたCu合金粉末を用いて製造された焼結体
製構造部材では耐摩耗性が十分でなく、これらの要求に
満足して対応することができないのが現状である。
めざましく、これに伴ない、これの構造部材の使用環境
も一段と苛酷さを増し、このため構造部材には一層の耐
摩耗性が要求されているが、上記の従来内部酸化による
方法で製造されたCu合金粉末を用いて製造された焼結体
製構造部材では耐摩耗性が十分でなく、これらの要求に
満足して対応することができないのが現状である。
なお、この場合上記内部酸化法により製造された従来
Cu合金粉末において、素地に均一に分散するAl2O3の含
有割合を多くして耐摩耗性の向上をはかる試みもなされ
たが、粉末表面に露出するAl2O3粒の割合が増すと、Al2
O3粒が粗大化し易くなることと合まって、焼結性が著し
く低下し、この結果焼結体の強度低下を招き、強度の面
で実用に供することができないものである。
Cu合金粉末において、素地に均一に分散するAl2O3の含
有割合を多くして耐摩耗性の向上をはかる試みもなされ
たが、粉末表面に露出するAl2O3粒の割合が増すと、Al2
O3粒が粗大化し易くなることと合まって、焼結性が著し
く低下し、この結果焼結体の強度低下を招き、強度の面
で実用に供することができないものである。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、各種
駆動装置の構造部材として用いた場合に、すぐれた耐摩
耗性を発揮する焼結体を製造すべく、上記従来Cu合金粉
末に着目し研究を行なった結果、 まず、上記の従来内部酸化によるCu合金粉末の製造に
用いられているCu−Al合金原料粉末における0.1〜1%
のAl含有量に比して相対的に多い割合の1.5〜10%のAl
を含有したCu−Al合金粉末を用い、 このCu−Al合金原料粉末に、上記の従来内部酸化によ
る製造法における300〜500℃の酸化温度より一段と高い
600〜1000℃の温度で、望ましくは粉末流動化状態で、
酸化処理を施すと、 形成された酸化物粉末は、主体が酸化銅(以下CuOで
示す)からなる素地に、粉末中心部を通るあらゆる断面
において、粉末中心部と粉末周辺部との間に、微細なCu
−Al複合酸化物〔以下、Cu(AlO2)2で示す〕が環状に
凝集してなる環状複合酸化物相、いいかえれば粉末内部
に層をなしてシェル状に凝集分布する微細なCu(AlO2)
2で構成された環状複合酸化物相が存在する組織をもつ
ようになり、 さらに、この酸化物粉末に、同じく上記の従来方法に
おける400〜800℃の還元温度に比して相対的に低い200
〜400℃の温度で還元処理を施すと、 上記酸化物粉末の素地を形成していた主体のCuOがCu
に還元され、かつ上記環状複合酸化物相が微細なAl2O3
を主体とする環状硬質相に変化するようになり、 この結果得られたCu合金粉末は、相対的にAl2O3の含
有割合が高いので、耐摩耗性が飛躍的に向上するように
なり、さらに上記の通りAl2O3粒が粉末表面に存在せ
ず、内部に層をなしてシェル状に分布するので、焼結性
が損なわれることがなく、Al2O3の含有割合が高いにも
かかわらず、高強度の焼結体を製造することができるよ
うになるという研究結果を得たのである。
駆動装置の構造部材として用いた場合に、すぐれた耐摩
耗性を発揮する焼結体を製造すべく、上記従来Cu合金粉
末に着目し研究を行なった結果、 まず、上記の従来内部酸化によるCu合金粉末の製造に
用いられているCu−Al合金原料粉末における0.1〜1%
のAl含有量に比して相対的に多い割合の1.5〜10%のAl
を含有したCu−Al合金粉末を用い、 このCu−Al合金原料粉末に、上記の従来内部酸化によ
る製造法における300〜500℃の酸化温度より一段と高い
600〜1000℃の温度で、望ましくは粉末流動化状態で、
酸化処理を施すと、 形成された酸化物粉末は、主体が酸化銅(以下CuOで
示す)からなる素地に、粉末中心部を通るあらゆる断面
において、粉末中心部と粉末周辺部との間に、微細なCu
−Al複合酸化物〔以下、Cu(AlO2)2で示す〕が環状に
凝集してなる環状複合酸化物相、いいかえれば粉末内部
に層をなしてシェル状に凝集分布する微細なCu(AlO2)
2で構成された環状複合酸化物相が存在する組織をもつ
ようになり、 さらに、この酸化物粉末に、同じく上記の従来方法に
おける400〜800℃の還元温度に比して相対的に低い200
〜400℃の温度で還元処理を施すと、 上記酸化物粉末の素地を形成していた主体のCuOがCu
に還元され、かつ上記環状複合酸化物相が微細なAl2O3
を主体とする環状硬質相に変化するようになり、 この結果得られたCu合金粉末は、相対的にAl2O3の含
有割合が高いので、耐摩耗性が飛躍的に向上するように
なり、さらに上記の通りAl2O3粒が粉末表面に存在せ
ず、内部に層をなしてシェル状に分布するので、焼結性
が損なわれることがなく、Al2O3の含有割合が高いにも
かかわらず、高強度の焼結体を製造することができるよ
うになるという研究結果を得たのである。
この発明は、上記研究結果にもとづいてなされたもの
であって、 Al:1.5〜10重量%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなるCu−Al合金
原料粉末に、 酸化性雰囲気中、600〜1000℃の温度に、望ましくは
流動化状態で加熱保持、 の条件で酸化処理を施して、主体がCuOからなる素地
に、粉末中心部を通るあらゆる断面において、粉末中心
部と粉末周辺部との間に、微細なCu(AlO2)2が環状に
凝集してなる環状複合酸化物相が存在する組織をもった
酸化物粉末を形成し、 引続いて、上記酸化物粉末に、 還元性雰囲気中、200〜400℃の温度に加熱保持、 の条件で還元処理を施して、上記酸化物粉末の素地をCu
またはCu−Al合金とすると共に、上記環状複合酸化物相
を微細なAl2O3を主体とする環状硬質相とする、主要工
程によってCu合金粉末を製造する方法、 並びに、この方法で製造された、 Al :1.5〜9.2%、 酸素:1.3〜8.2%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、並び
にCuまたはCu−Al合金からなる素地に、粉末中心部を通
るあらゆる断面において、粉末中心部と粉末周辺部との
間に、環状に凝集した微細なAl2O3を主体とする環状硬
質相が存在する組織を有するCu合金粉末に特徴を有する
ものである。
であって、 Al:1.5〜10重量%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなるCu−Al合金
原料粉末に、 酸化性雰囲気中、600〜1000℃の温度に、望ましくは
流動化状態で加熱保持、 の条件で酸化処理を施して、主体がCuOからなる素地
に、粉末中心部を通るあらゆる断面において、粉末中心
部と粉末周辺部との間に、微細なCu(AlO2)2が環状に
凝集してなる環状複合酸化物相が存在する組織をもった
酸化物粉末を形成し、 引続いて、上記酸化物粉末に、 還元性雰囲気中、200〜400℃の温度に加熱保持、 の条件で還元処理を施して、上記酸化物粉末の素地をCu
またはCu−Al合金とすると共に、上記環状複合酸化物相
を微細なAl2O3を主体とする環状硬質相とする、主要工
程によってCu合金粉末を製造する方法、 並びに、この方法で製造された、 Al :1.5〜9.2%、 酸素:1.3〜8.2%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、並び
にCuまたはCu−Al合金からなる素地に、粉末中心部を通
るあらゆる断面において、粉末中心部と粉末周辺部との
間に、環状に凝集した微細なAl2O3を主体とする環状硬
質相が存在する組織を有するCu合金粉末に特徴を有する
ものである。
つぎに、この発明のCu合金粉末およびこれの製造法に
おいて、成分組成および製造条件を上記の通りに限定し
た理由を説明する。
おいて、成分組成および製造条件を上記の通りに限定し
た理由を説明する。
(a) Cu合金粉末の成分組成 Alは酸素と結合して粉末内部で層をなしてシェル状に
凝集分布する微細なAl2O3を形成し、粉末の焼結性を損
なうことなく、かつこれを原料粉末として用いて製造さ
れた焼結体の耐摩耗性を著しく向上させる作用があり、
この場合Al含有量がきまれば必然的に酸化処理で酸素含
有量もきまるものであり、したがってAl含有量が1.5%
未満になると酸素含有量も1.3%未満となり、Al2O3の形
成割合が不十分で所望のすぐれた耐摩耗性を確保するこ
とができず、一方Al含有量が9.2%を越えると、酸素含
有量も8.2%を越えて多くなり、この結果多量のAl2O3が
形成されることになるので、Al2O3粒の粗大化が避けら
れず、相手攻撃性が現われるようになることから、Al含
有量を1.5〜9.2%、酸素含有量を1.3〜8.2%と定めた。
凝集分布する微細なAl2O3を形成し、粉末の焼結性を損
なうことなく、かつこれを原料粉末として用いて製造さ
れた焼結体の耐摩耗性を著しく向上させる作用があり、
この場合Al含有量がきまれば必然的に酸化処理で酸素含
有量もきまるものであり、したがってAl含有量が1.5%
未満になると酸素含有量も1.3%未満となり、Al2O3の形
成割合が不十分で所望のすぐれた耐摩耗性を確保するこ
とができず、一方Al含有量が9.2%を越えると、酸素含
有量も8.2%を越えて多くなり、この結果多量のAl2O3が
形成されることになるので、Al2O3粒の粗大化が避けら
れず、相手攻撃性が現われるようになることから、Al含
有量を1.5〜9.2%、酸素含有量を1.3〜8.2%と定めた。
(b) Cu合金原料粉末のAl含有量 Al含有量が1.5%未満では、酸化処理で形成されるCu
(AlO2)2の粉末内部での環状凝集が十分に行なわれ
ず、この結果還元処理後の粉末表面に比較的多量のAl2O
3が存在するようになって焼結性が低下し、焼結体の強
度低下の原因となり、一方Al含有量が10%を越えると、
酸化処理で形成されるCu(AlO2)2並びに還元処理で形
成されるAl2O3の粗径が粗大化し、これを焼結体とした
場合相手攻撃性が増すようになることから、Al含有量を
1.5〜10%と定めた。
(AlO2)2の粉末内部での環状凝集が十分に行なわれ
ず、この結果還元処理後の粉末表面に比較的多量のAl2O
3が存在するようになって焼結性が低下し、焼結体の強
度低下の原因となり、一方Al含有量が10%を越えると、
酸化処理で形成されるCu(AlO2)2並びに還元処理で形
成されるAl2O3の粗径が粗大化し、これを焼結体とした
場合相手攻撃性が増すようになることから、Al含有量を
1.5〜10%と定めた。
(c) 酸化処理温度 その温度が600℃未満では、Cu(AlO2)2の環状凝集
が不十分であり、一方その温度が1000℃を越えると、粉
末を流動化しても粉末同志に融着が起り易くなることか
ら、その温度を600〜1000℃と定めた。
が不十分であり、一方その温度が1000℃を越えると、粉
末を流動化しても粉末同志に融着が起り易くなることか
ら、その温度を600〜1000℃と定めた。
(d) 還元温度 その温度が200℃未満では、酸化物粉末の還元に長時
間を要し、実用的でなく、一方その温度が400℃を越え
ると、還元処理で形成されるAl2O3が粗大化するように
なり、この結果焼結体の相手攻撃性が増すようになるこ
とから、その温度を200〜400℃と定めた。
間を要し、実用的でなく、一方その温度が400℃を越え
ると、還元処理で形成されるAl2O3が粗大化するように
なり、この結果焼結体の相手攻撃性が増すようになるこ
とから、その温度を200〜400℃と定めた。
つぎに、この発明のCu合金粉末およびその製造法を実
施例により具体的に説明する。
施例により具体的に説明する。
それぞれ第1表に示される平均粒径およびAl含有量の
Cu−Al合金原料粉末を用意し、これらCu−Al合金原料粉
末に、同じく第1表に示される条件で、酸化処理、必要
に応じて内部酸化処理、および還元処理を施すことによ
り本発明法1〜8および従来法1〜3を実施し、それぞ
れ本発明Cu合金粉末1〜8および従来Cu合金粉末1〜3
を製造した。
Cu−Al合金原料粉末を用意し、これらCu−Al合金原料粉
末に、同じく第1表に示される条件で、酸化処理、必要
に応じて内部酸化処理、および還元処理を施すことによ
り本発明法1〜8および従来法1〜3を実施し、それぞ
れ本発明Cu合金粉末1〜8および従来Cu合金粉末1〜3
を製造した。
ついで、この結果得られた各種Cu合金粉末について、
成分組成を測定すると共に、その断面組織を金属顕微鏡
(倍率:1000倍)を用いて観察し、さらに本発明Cu合金
粉末1〜8については、30個の粉末のそれぞれの断面の
中心部を通る任意直線上における粒径、並びに環状硬質
相の外径および内径を測定し、これらの平均値を算出し
た。これらの結果を第2表に示した。
成分組成を測定すると共に、その断面組織を金属顕微鏡
(倍率:1000倍)を用いて観察し、さらに本発明Cu合金
粉末1〜8については、30個の粉末のそれぞれの断面の
中心部を通る任意直線上における粒径、並びに環状硬質
相の外径および内径を測定し、これらの平均値を算出し
た。これらの結果を第2表に示した。
さらにこれらの各種のCu合金粉末を原料粉末として用
い、これより3ton/cm2の圧力で圧粉体にプレス成形し、
この圧粉体を、水素中、800℃の温度に30分間保持の条
件で焼結して、断面:10mm×10mm、長さ:55mmの寸法をも
った焼結体を製造し、この焼結体について、強度を評価
する目的で引張強さを測定すると共に、摩耗試験を行な
った。
い、これより3ton/cm2の圧力で圧粉体にプレス成形し、
この圧粉体を、水素中、800℃の温度に30分間保持の条
件で焼結して、断面:10mm×10mm、長さ:55mmの寸法をも
った焼結体を製造し、この焼結体について、強度を評価
する目的で引張強さを測定すると共に、摩耗試験を行な
った。
なお、摩耗試験は、回転軸を水平とした外径:40mm×
内径:30mm×長さ:15mmの鋳鉄(FC25)製熱処理リング
(硬さ:HRC50)の上方から、上記焼結体から8mm×8mm×
35mmの寸法に切出した試験片を水平に当接させ、この状
態で上記試験片に5kgの荷重を垂直にかけ、前記リング
を1.2m/秒の周速で回転させ、10分後の試験片の最大摩
耗深さを測定することにより行なった。これらの結果も
第2表に示した。
内径:30mm×長さ:15mmの鋳鉄(FC25)製熱処理リング
(硬さ:HRC50)の上方から、上記焼結体から8mm×8mm×
35mmの寸法に切出した試験片を水平に当接させ、この状
態で上記試験片に5kgの荷重を垂直にかけ、前記リング
を1.2m/秒の周速で回転させ、10分後の試験片の最大摩
耗深さを測定することにより行なった。これらの結果も
第2表に示した。
〔発明の効果〕 第1,2表に示される通り、本発明法1〜8によれば、
粉末内部に微細なAl2O3が断面組織でみて環状に凝集し
てなる環状硬質相が存在したCu合金粉末(本発明Cu合金
粉末1〜8)を製造することができ、この本発明Cu合金
粉末1〜8は、上記の通りAl含有量が高いにもかかわら
ず、Al2O3が粉末内部に封じ込められた状態になってい
るので、これを原料粉末として用いて焼結体を製造した
場合、良好な焼結性が確保されることから、高強度の焼
結体を製造することができるばかりでなく、相対的に高
含有量のAl2O3によって、これより製造された焼結体
は、相手材である熱処理リングの損耗がきわめて少ない
状態、すなわち相手攻撃性が抑制された状態で、すぐれ
た耐摩耗性を示すのに対して、従来法1〜3で製造され
たCu合金粉末(従来Cu合金粉末1〜3)は、Al2O3が粉
末全体に均一に分散分布した組織をもつので、Al含有量
が相対的に低いことと合まって、焼結性の低下はあまり
なく、したがってほぼ同等の強度を有する焼結体を製造
することができるものの、摩耗試験ではかなり劣った結
果しか示さないことが明らかである。
粉末内部に微細なAl2O3が断面組織でみて環状に凝集し
てなる環状硬質相が存在したCu合金粉末(本発明Cu合金
粉末1〜8)を製造することができ、この本発明Cu合金
粉末1〜8は、上記の通りAl含有量が高いにもかかわら
ず、Al2O3が粉末内部に封じ込められた状態になってい
るので、これを原料粉末として用いて焼結体を製造した
場合、良好な焼結性が確保されることから、高強度の焼
結体を製造することができるばかりでなく、相対的に高
含有量のAl2O3によって、これより製造された焼結体
は、相手材である熱処理リングの損耗がきわめて少ない
状態、すなわち相手攻撃性が抑制された状態で、すぐれ
た耐摩耗性を示すのに対して、従来法1〜3で製造され
たCu合金粉末(従来Cu合金粉末1〜3)は、Al2O3が粉
末全体に均一に分散分布した組織をもつので、Al含有量
が相対的に低いことと合まって、焼結性の低下はあまり
なく、したがってほぼ同等の強度を有する焼結体を製造
することができるものの、摩耗試験ではかなり劣った結
果しか示さないことが明らかである。
上述のように、この発明の方法によれば、相対的に多
量の微細なAl2O3が粉末内部に層をなしてシェル状に封
じ込められたCu合金粉末を製造することができ、したが
ってこの結果製造されたCu合金粉末は焼結性がきわめて
良好で、これを用いて製造された焼結体は高強度をも
ち、かつすぐれた耐摩耗性を示すようになるので、これ
を用いて上記のほかに、ブロックリングやロッカーアー
ム用チップ、ブレーキ用パット、さらにクラッチ板など
の各種駆動装置の構造部材を製造した場合、すぐれた性
能を発揮するようになるなど工業上有用な効果がもたら
されるのである。
量の微細なAl2O3が粉末内部に層をなしてシェル状に封
じ込められたCu合金粉末を製造することができ、したが
ってこの結果製造されたCu合金粉末は焼結性がきわめて
良好で、これを用いて製造された焼結体は高強度をも
ち、かつすぐれた耐摩耗性を示すようになるので、これ
を用いて上記のほかに、ブロックリングやロッカーアー
ム用チップ、ブレーキ用パット、さらにクラッチ板など
の各種駆動装置の構造部材を製造した場合、すぐれた性
能を発揮するようになるなど工業上有用な効果がもたら
されるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−91138(JP,A) 特開 平2−93029(JP,A) 特開 昭62−77405(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】Al:1.5〜9.2重量%、 酸素:1.3〜8.2重量%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、並び
にCuまたはCu−Al合金からなる素地に、粉末中心部を通
るあらゆる断面において、粉末中心部と粉末周辺部との
間に、環状に凝集した微細な酸化アルミニウムを主体と
する環状硬質相が存在する組織、を有することを特徴と
するCu合金粉末。 - 【請求項2】Al:1.5〜10重量%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなるCu−Al合金
原料粉末に、 酸化性雰囲気中、600〜1000℃の温度に加熱保持、 の条件で酸化処理を施して、主体が酸化銅からなる素地
に、粉末中心部を通るあらゆる断面において、粉末中心
部と粉末周辺部との間に、微細なCu−Al複合酸化物が環
状に凝集してなる環状複合酸化物相が存在する組織をも
った酸化物粉末を形成し、 ついで、上記酸化物粉末に、 還元性雰囲気中、200〜400℃の温度に加熱保持、 の条件で還元処理を施して、上記酸化物粉末の素地をCu
またはCu−Al合金とすると共に、上記環状複合酸化物相
を微細な酸化アルミニウムで構成された環状硬質相とす
ることを特徴とするCu合金粉末の製造法。 - 【請求項3】上記酸化処理が、上記Cu−Al合金原料粉末
を流動化させながら行なわれることを特徴とする上記特
許請求の範囲第(2)項記載のCu合金粉末の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2192088A JP2748666B2 (ja) | 1990-07-20 | 1990-07-20 | Cu合金粉末およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2192088A JP2748666B2 (ja) | 1990-07-20 | 1990-07-20 | Cu合金粉末およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0480301A JPH0480301A (ja) | 1992-03-13 |
JP2748666B2 true JP2748666B2 (ja) | 1998-05-13 |
Family
ID=16285451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2192088A Expired - Lifetime JP2748666B2 (ja) | 1990-07-20 | 1990-07-20 | Cu合金粉末およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2748666B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2419605B (en) | 2002-07-18 | 2006-10-18 | Honda Motor Co Ltd | Method of manufacturing composite copper material |
-
1990
- 1990-07-20 JP JP2192088A patent/JP2748666B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0480301A (ja) | 1992-03-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH08232029A (ja) | Ni基粒子分散型銅系焼結合金とその製造方法 | |
US4177069A (en) | Process for manufacturing sintered compacts of aluminum-base alloys | |
JP2002504188A (ja) | 高密度の高炭素焼結金属粉末鋼部品の製造法 | |
JP2014019945A (ja) | チタン合金及びその製造方法 | |
JP2748667B2 (ja) | Ni合金粉末およびその製造法 | |
JP2748666B2 (ja) | Cu合金粉末およびその製造法 | |
JPH06306403A (ja) | 高強度、高靱性Cr合金鋼粉焼結体およびその製造方法 | |
JP4109023B2 (ja) | 鉄系焼結摺動部材の製造方法及び鉄系焼結摺動部材 | |
JPH0499102A (ja) | Ni―Cu系合金粉末およびその製造法 | |
JP2643743B2 (ja) | 高強度を有する内燃機関用鉛含浸鉄基焼結合金製バルブシート | |
JPS6250445A (ja) | Fe基焼結材料製電気車のパンタグラフすり板材 | |
JP3336949B2 (ja) | 鉄基焼結合金製シンクロナイザーリング | |
JP2643680B2 (ja) | 内燃機関用金属充填焼結合金製バルブシート | |
JPH0499101A (ja) | Cu―Ni系合金粉末およびその製造法 | |
JP2556113B2 (ja) | 耐摩耗性のすぐれた高強度高靭性Cu基焼結合金 | |
JP2605866B2 (ja) | 耐摩耗性のすぐれた複合化合物分散型Cu―Zn―A▲l▼系焼結合金の製造法 | |
JPH04128302A (ja) | Fe基合金粉末およびその製造方法 | |
JPH02133537A (ja) | 耐摩耗性のすぐれた高強度高靭性Cu基焼結合金 | |
JP3111739B2 (ja) | 高速電気車用鉛含浸Fe基焼結合金製パンタグラフすり板材 | |
JP3111740B2 (ja) | 高速電気車用鉛含浸Fe基焼結合金製パンタグラフすり板材 | |
JP2629941B2 (ja) | 共還元複合Mo合金粉末およびこれを用いて製造されたFe基焼結合金摺動部材 | |
JPH01132701A (ja) | 粉末冶金用合金鋼粉 | |
JPH04128301A (ja) | Co基合金粉末およびその製造方法 | |
JP2737376B2 (ja) | 高疲労強度および高靭性を有するAl合金製2段粉末鍛造部材 | |
JPS60121257A (ja) | 焼結高速度鋼用の合金鋼粉 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080620 Year of fee payment: 11 |