JP2021095589A - Cu系粉末及び該Cu系粉末の製造方法 - Google Patents

Cu系粉末及び該Cu系粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リン化物を形成し易い元素Mを含有するCu系粉末であるので、熱処理によってCu系粉末に含まれるPと元素Mとがリン化物を形成してCu母相中から析出するから、熱伝導性や電気伝導性に与えるPの影響が少ないCu系合金を製造することのできるCu系粉末を提供する。【解決手段】298K〜1300Kの温度域におけるリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーがCu3P以下であるリン化物を形成する元素Mを含有し、前記元素Mのリン化物の中で前記温度域における標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物がMxPy(但し、x>0,y>0)で表され、Aが「A=Pの質量%×(x/y)×(Mの原子量/Pの原子量)」で表されるとき、前記Cu系粉末における前記元素Mの含有量は前記A×0.3質量%以上、かつ、前記A×1.2質量%以下であり、前記Pの含有量は0.01質量%〜1.0質量%であるCu系粉末。【選択図】なし

Description

本発明はCu系粉末に関する。詳しくは、該Cu系粉末は、Pを含有する溶湯から製造するので、Pが酸素と反応して気相のリン酸化物となって酸素量を減少させることができるため、酸素による溶湯の流動性の悪化を抑制できるからアトマイズ法によって優れた生産性と安全性を確保して製造することができ、また、該Cu系粉末は、リン化物を形成し易い元素Mを含有するため、該Cu系粉末に含まれるPは熱処理によって元素Mとリン化物を形成してCu母相中から析出させることができるから、熱伝導性や電気伝導性に与えるPの影響が少ないCu系合金を製造することができるCu系粉末に関する。
アトマイズ法によるCu系粉末の製造には、生産性や作業の安全のため、常に溶湯の噴霧時の流動性が求められる。
溶湯の流動性には酸素が影響し、酸素量が多いと流動性は悪化する。
また、溶湯が酸素を多く含有すれば、製造した粉末の酸素量が増え、表面酸化や内部酸化が生じるため、このような粉末から製造する製品の欠陥や特性悪化を引き起こす虞がある。
酸素を減少させる方法としては木炭やフラックスを溶湯に添加する方法が確立されている。
添加した木炭やフラックスは溶湯中の酸素と反応し、酸化物を形成して酸素量が減るため、溶湯の流動性を向上させることができる。
しかし、添加した木炭やフラックスは溶湯上面に浮上することから、出湯する瞬間の酸化は抑えきれず、突如として流動性が悪くなるという問題があり、また、木炭やフラックスは除去し難いため、製造したCu系粉末に木炭やフラックスやフラックスの酸化物が混入するという問題がある。
このような問題点の解決法として、溶湯に銅とリン化銅からなるリン銅を添加する方法がある。
リン銅を溶湯に添加すると、リン(P)と溶湯中の酸素とが反応し、気相のリン酸化物となって酸素量が減少するから溶湯の流動性の悪化を抑制することができる。
また、気相のリン酸化物であると、木炭やフラックスのように物理的に除去する必要もない。
しかし、PがCu系合金のCu母相中に存在すると、Cu系合金の優れた特長である熱伝導性や電気伝導性を著しく低下させることが知られている。
溶湯における酸素量に対して過剰のリン銅を添加して製造したCu系粉末を熱処理して製造したCu系合金にはCu母相中にPが残留することになり、リン銅を添加しない場合と比べて熱伝導性や電気伝導性が低下するという問題がある。
雰囲気溶解であればリン銅を添加せずに溶湯の流動性を保つことができるが、真空装置が必要であるから、大量生産には向かず、製造コストが増加するという問題がある。
また、Pは原料由来の不可避不純物としてCu系粉末に含まれることもある。
上記の問題点から、従来の溶解方法にて溶解し、リン銅等を添加した溶湯から製造したCu系粉末であっても、また、不可避不純物としてPを含むCu系粉末であっても、Cu系粉末を熱処理して製造したCu系合金の熱伝導性や電気伝導性に対するPの影響が少ないCu系粉末の開発が望まれている。
特開平6−93351
特許文献1には、溶湯に酸化性ガスを吹き付けることで、溶湯中のPを除去し、その後、還元性ガスを吹き付けることで酸素量を低下させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される方法をアトマイズ法による粉末製造に適用する場合、酸化性ガスによるPの除去は可能であるが、過酸化が生じた場合の還元工程の追加が容易でないという問題がある。
本発明者らは、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、元素MとPとCuを含有するCu系粉末であって、前記元素Mは、298K〜1300Kの温度域における前記元素Mのリン1mol当たりのリン化物の標準生成自由エネルギーが同温度域におけるCuPのリン1mol当たりの標準生成自由エネルギー以下の元素であり、前記元素Mのリン化物の中で前記温度域における標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物がM(但し、x>0,y>0)で表され、Aが「A=Pの質量%×(x/y)×(Mの原子量/Pの原子量)」で表されるとき、前記Cu系粉末における前記元素Mの含有量は前記A×0.3質量%以上、かつ、前記A×1.2質量%以下であり、前記Pの含有量は0.01質量%〜1.0質量%であるCu系粉末であれば、溶湯の流動性が高いから、アトマイズ法でCu系粉末を製造する場合であっても優れた生産性と安全性を確保することができ、また、リン化物を形成し易い元素Mを含有するので、Cu系粉末を熱処理することでPと元素Mとがリン化物を形成して、PをCu母相中から析出させることができるので、熱伝導性や電気伝導性に対するPの影響が少ないCu系合金を製造できるCu系粉末になるという刮目すべき知見を得て前記技術的課題を達成したものである。
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
本発明は、元素MとPとCuを含有するCu系粉末であって、前記元素Mは、298K〜1300Kの温度域における前記元素Mのリン1mol当たりのリン化物の標準生成自由エネルギーが同温度域におけるCuPのリン1mol当たりの標準生成自由エネルギー以下の元素であり、前記元素Mのリン化物の中で前記温度域における標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物がM(但し、x>0,y>0)で表され、Aが下記(式)で表されるとき、前記Cu系粉末における前記元素Mの含有量は前記A×0.3質量%以上、かつ、前記A×1.2質量%以下であり、前記Pの含有量は0.01質量%〜1.0質量%であるCu系粉末である。
(式)A=Pの質量%×(x/y)×(Mの原子量/Pの原子量)
また、本発明は、Snを0.1質量%〜3.0質量%含有する前記Cu系粉末である。
また、本発明は、Oの含有量が0.1質量%以下である前記Cu系粉末である。
また、本発明は、粉末冶金用又は積層造形用である前記Cu系粉末である。
また、本発明は、アトマイズ法にて製造してなる前記Cu系粉末である。
また、本発明は、前記Cu系粉末に潤滑剤を0.1質量%〜1.0質量%添加してなるCu系粉末である。
また、本発明は、アトマイズ法にて製造する前記Cu系粉末の製造方法である。
本発明におけるCu系粉末は、脱酸効果のあるリン銅等を溶湯に添加してPを含有させることができるので、Pと酸素が気相のリン酸化物を形成して溶湯中の酸素量が減少し、流動性が高い溶湯になるから、アトマイズ法によって優れた生産性と安全性を確保して製造することができる。
また、形成されるリン酸化物は気相であるため、木炭やフラックスのように物理的に除去する必要はない。
また、本発明におけるCu系粉末は、不可避不純物を除き、元素Mを(式)で表されるAの0.3倍〜1.2倍質量%含有することから、Cu系粉末の熱処理の際に、酸素と反応せずに残留したPは元素Mと反応してリン化物となり、Cu母相中から析出させることができるから、熱伝導性や電気伝導性に与えるPの影響が少ないCu系合金を製造することができる。
また、スズ(Sn)を0.1質量%〜3.0質量%含有するCu系粉末であれば融点が下がるため、製造時の溶湯の流動性をさらに向上させることができると共に、Cu系合金の母相強度を向上させることもできる。
また、酸素(O)が0.1質量%以下であれば、粉末の内部酸化を抑制することができるので、Cu系合金の欠陥や特性悪化を引き起こし難いCu系粉末になる。
また、Cu系粉末に潤滑剤を0.1質量%〜1.0質量%添加すれば、潤滑性が向上して粉末冶金における成形体を成形し易いCu系粉末になる。
したがって、本発明は、焼結を伴う粉末冶金用途等の他、積層造形用途においてもP及び/又は元素Mが拡散してPと元素Mとがリン化物を形成するような熱処理を行うことで熱伝導性や電気伝導性に与えるPの影響が少ないCu系合金が得られるCu系粉末である。
本発明は、熱処理を行ってCu系合金を製造するCu系粉末である。
熱処理は、Cu系粉末が含有するP及び/又は元素Mが拡散してPと元素Mとがリン化物を形成する熱処理であればどのような熱処理であってもよく、焼結、焼結後の時効、レーザー及び電子ビームによる溶融とその後の時効を例示することができる。
熱処理は1回であってもよいし、複数回であってもよい。
本発明におけるCu系粉末は、Pを含有する溶湯から製造することができる。Pを含有する溶湯は流動性に優れるから、アトマイズ法にて優れた生産性と安全性を確保して製造することできる。
製造されたCu系粉末は、酸素と気相のリン酸化物を形成せずに溶湯中に残留するPや、原料の不可避不純物として混入したPを含有する。
Pの含有量は0.01質量%〜1.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0.05質量%〜0.5質量%である。
Pの含有量が0.01質量%未満では溶湯における脱酸効果が低く、流動性の高い溶湯にならない虞があり、また、1.0質量%を超えると、(式)で表されるAの0.3倍〜1.2倍質量%の元素Mを含有したとしても、元素Mとリン化物を形成しなかった余剰のPがCu系合金のCu母相中に残留し、熱伝導性や電気伝導性へ影響を及ぼす虞があるからである。
Pは溶湯に添加するのが好ましい。
添加するPは、リン銅やニッケルリン等の脱酸効果があるものであれば形態を問わないが、融点が低い方が好ましく、リン銅とニッケルリンであれば、リン銅の方が好ましい。
本発明におけるCu系粉末は、298K〜1300Kの温度域(該温度域を「同温度域」又は「前記温度域」と言うことがある)におけるリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが同温度域におけるCuPのリン1mol当たりの標準生成自由エネルギー以下のリン化物を形成する元素Mを含有する。
リン1mol当たりのリン化物の標準生成自由エネルギーとはリン化物1mol当たりの標準生成自由エネルギーの文献値をリンのモル数で除することで算出することができる。
リン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが前記温度域におけるCuPのリン1mol当たりの標準生成自由エネルギー以下である元素Mはリン化物を形成し易い元素である。
したがって、P及び/又は元素Mが拡散するような熱処理によってリン化物を形成できるのでPが固定化され、Cu母相中から析出させることができるから、熱伝導性や電気伝導性に対するPが与える影響が少ないCu系合金を製造することができる。
元素Mとして、ニッケル(Ni/原子量58.69)、コバルト(Co/原子量58.93)、マンガン(Mn/原子量54.94)、アルミニウム(Al/原子量26.98)を例示する。
Cu系粉末における元素Mの含有量は、元素Mのリン化物の中で前記温度域におけるリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物がM(式)で表され、Aが(式)で表されるときのAの0.3倍〜1.2倍質量%である。
(式) A=Pの質量%×(x/y)×(Mの原子量/Pの原子量)
(式)中の「Mの原子量」及び「Pの原子量」の値は小数点以下の桁数が同じであれば何桁でもよい。
(式)で表されるAはMに含まれるPに対して過不足ない元素Mの量を表わす値である。
元素Mの含有量がAの0.3倍質量%未満では、Cu母相中に残留するリン化物を形成しなかった余剰のPの量が多くなり、Cu系合金の熱伝導性や電気伝導性へのPが及ぼす影響が大きくなる虞があるからである。
元素Mの含有量がAの1.2倍質量%を超えると、Cu母相中に残留するリン化物を形成しなかった余剰の元素Mの影響が顕著になり、元素Mを添加しない場合よりもCu系合金の熱伝導性や電気伝導性が低下する虞があるからである。
例として、後述する実施例1にて元素Mの含有量の範囲を計算すると、Cu系粉末が含有するPの質量%は0.01、元素MはCo、前記温度域におけるCoの標準生成自由エネルギーの文献値が最も低いリン化物はCoPであるからx=2、y=1、Pの原子量は30.97、Coの原子量は58.93であるから、(式)に当てはめて、Aの値は0.038となる。
したがって、Coの含有量は0.011質量%〜0.046質量%の範囲が好ましいことになる。
は標準生成自由エネルギーの文献値から決定すればよい。
なお、本発明においては、前記温度域内においてリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物が変化をするという特殊な元素の場合、即ち、298K〜αKにおいてはMがリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物であるが、αK〜1300KではMがリン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物になるような元素においては、低温側において、リン1mol当たりの標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物(前記の場合であればMである)を採用してAの値を求めることとする。
本発明におけるCu系粉末は元素Mを含有していればよく、どのような形態であってもよい。
元素MはCu系合金のCu母相中に残留したPを全てリン化物にできる量を添加することが好ましいことから、溶湯中のPの残留見込み量に合わせて元素Mの単体粉末や地金を添加した後、粉末化したCu系合金粉末としてもよい。
また、製造したCu系粉末に残留するPの含有量(質量%)を測定し、Pの含有量に合わせて元素Mの単体粉末と混合してCu系混合粉末としてもよいし、元素Mを含有する合金粉末と混合してCu系混合粉末としてもよい。
本発明におけるCu系粉末はスズ(Sn)を含有することができる。
Snは溶湯に添加すれば合金の融点を下げることができるので溶湯の流動性をさらに向上させることができ、また、Cu系合金のCu母相強度を向上させることもできる。
Cu系粉末におけるSnの含有量は0.1質量%〜3.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5質量%〜2.0質量%である。
Snが0.1質量%未満であれば、合金の融点の低下やCu母相強度の向上が見られなくなり、また、3.0質量%を超えて含有すると、PよりもSnの方が熱伝導性や電気伝導性に与える影響が大きいため、Snを含有させないときと比べてCu系合金の熱伝導性や電気伝導性が低下するためである。
Snは溶湯に添加することが好ましい。
Cu系粉末に残留する元素M、P及びSnの含有量は吸光光度法またはICP発光分光分析法にて測定することができる。
本発明におけるCu系粉末は不可避的に酸素(O)が混入するが、Oの含有量は0.1質量%以下に抑えることが好ましい。
0.1質量%以下であると、粉末の内部酸化が抑制されるため、Cu系合金の欠陥や特性悪化が起こり難くなるためである。
Cu系粉末の酸素量は不活性ガス融解赤外線吸収法で測定することができる。
本発明におけるCu系粉末の製造方法は特に限定されないが、公知のアトマイズ法で製造することが好ましい。
流動性の高い溶湯になるため、生産性と安全性を確保して製造することができるからである。
公知のアトマイズ法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法及び遠心アトマイズ法を挙げることができる。
本発明におけるCu系粉末は潤滑剤を添加することができる。
潤滑剤を添加すれば潤滑性が向上し、粉末冶金において圧粉成形体を成形し易くなる。
潤滑剤の添加量は0.1質量%〜1.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.2質量%〜0.8質量%である。
0.1質量%未満であると潤滑性があまり向上せず、また、1.0質量%を超えて添加した場合は焼結性が低下するからである。
また、潤滑剤の蒸発量が多いと焼結炉を汚損する虞も生じるからである。
本発明における潤滑剤は特に限定されるものではないが、ステアリン酸亜鉛等の金属セッケンやEBS系ワックスを好適に使用することができる。
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(溶湯の作製)
実施例及び比較例のCu系粉末は、原料の銅を1100℃以上で加熱して溶融状態にしたのち、元素M、リン銅、Snの単体粉末又は地金を添加し、溶湯を製造した。
(粉末の製造)
溶融状態の実施例及び比較例の各Cu系合金成分(溶湯)を落下させながら約15MPaの高圧水と接触させることで急冷凝固させる水アトマイズ法で作製した。
実施例15は水アトマイズ法により製造されたCu系粉末(Cu/P=Bal./0.3質量%)98.86質量%に、Co粉末を1.14質量%添加して作製した。
(溶湯の流動性)
溶湯の流動性は、目視により、溶湯の落下が悪化しなかったサンプルを〇、悪化しかけたが粉末の製造が継続できたサンプルを△、悪化により粉末の製造を中断せざるを得なかったサンプルを×として評価した。
(粉末の各元素の測定)
表1に記載した元素M、Sn、P、Oの含有量は作製した粉末をそれぞれ測定して得た値である。
元素M、Snは、ICP発光分光分析装置iCAP7600(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用し、Pは分光光度計UV−1850(株式会社島津製作所製)を使用し、OはEMGA−920(株式会社堀場製作所製)を使用し不活性ガス融解赤外線吸収法を用いて測定した。
(熱処理)
実施例及び比較例の各Cu系粉末は、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3質量%添加した後、圧粉体密度が8.0g/cmとなるように成形し、熱処理として水素雰囲気中で1000℃で120分保持して焼結させた後、水冷し、再び水素雰囲気中で550℃で120分保持して時効させた。その後、水冷して各焼結体を得た。
(電気伝導性の評価)
電気伝導性(熱伝導性)の評価は真密度換算の導電率(%IACS)を測定することで行った。
各焼結体を5mm×30mm×1mmに切断加工し、端子間距離20mmの体積抵抗値を抵抗計3541(日置電機株式会社製)で測定して真密度換算の導電率(%IACS)を求めた。
元素Mを含有する実施例と元素Mを含有しない比較例の各Cu系合金の導電率(%IACS)を測定し、Pの含有量が同じで、元素Mを含有しないCu系合金の導電率よりも元素Mを含有するCu系合金の導電率が上がっているものを「改善あり」、同等又は下がっているものを「改善なし」として評価した。
実施例5〜8の焼結体のビッカース硬さを微小硬度計HMV−G(株式会社島津製作所製)を用い、荷重25gfで求めた。
結果を表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2においては、Pの質量%と「M」に記載したリン化物からそれぞれAを計算し、A×0.3質量%を元素Mの最小値、A×1.2質量%を最大値とし、各Cu系粉末の元素Mの含有量が前記最小値と最大値の範囲にある場合には適合の欄に〇、前記範囲を外れている場合には×と示した。
Figure 2021095589
Figure 2021095589
実施例1〜15に示すように、本発明のCu系粉末から製造したCu系合金はいずれも、比較例2〜4に示す元素Mを添加せず、Pの含有量が同じであるCu系粉末から製造したCu系合金と比較して導電率が高いことが確認できた。
また、Snを添加することで母相強度が向上することが確認できた。
なお、Snを添加した実施例の溶湯は、Snを添加しない実施例の溶湯と比べて流動性がさらに向上することが観察された。
本発明は、Pを含有する溶湯から製造するので、Pが酸素と反応して気相のリン酸化物となり、酸素量を減少させることができるため、酸素による溶湯の流動性の悪化を抑制できるから、アトマイズ法によって優れた生産性及び安全性を確保して製造することができる。
また、リン化物を形成し易い元素Mを含有するので、熱処理を行うことで、Cu系粉末に含まれるPと元素Mとがリン化物を形成してCu母相中から析出させることができるため、熱伝導性や電気伝導性に与えるPの影響が少ないCu系合金を製造することができる。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。

Claims (7)

  1. 元素MとPとCuを含有するCu系粉末であって、
    前記元素Mは、298K〜1300Kの温度域における前記元素Mのリン1mol当たりのリン化物の標準生成自由エネルギーが同温度域におけるCuPのリン1mol当たりの標準生成自由エネルギー以下の元素であり、
    前記元素Mのリン化物の中で前記温度域における標準生成自由エネルギーが最も低いリン化物がM(但し、x>0,y>0)で表され、Aが下記(式)で表されるとき、前記Cu系粉末における前記元素Mの含有量は前記A×0.3質量%以上、かつ、前記A×1.2質量%以下であり、前記Pの含有量は0.01質量%〜1.0質量%であるCu系粉末。
    (式)A=Pの質量%×(x/y)×(Mの原子量/Pの原子量)
  2. Snを0.1質量%〜3.0質量%含有する請求項1記載のCu系粉末。
  3. Oの含有量が0.1質量%以下である請求項1又は2記載のCu系粉末。
  4. 粉末冶金用又は積層造形用である請求項1乃至3いずれか記載のCu系粉末。
  5. アトマイズ法にて製造してなる請求項1乃至4いずれか記載のCu系粉末。
  6. 請求項1乃至5いずれか記載のCu系粉末に潤滑剤を0.1質量%〜1.0質量%添加してなるCu系粉末。
  7. アトマイズ法にて製造する請求項1乃至6いずれか記載のCu系粉末の製造方法。
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