JP2021519368A - 自己修復特性を有するナノ構造化複合材料 - Google Patents

自己修復特性を有するナノ構造化複合材料 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1つの架橋ポリロタキサンと、官能基(B)を含む少なくとも1つの有機改質された無機ハイブリッド材料、又は表面上に官能基(B)を有する少なくとも1種類の表面改質された無機粒子とを含む自己修復性複合材料に関する。ポリロタキサンは架橋ポリロタキサンであり、官能基(A)と官能基(B)との結合によって、貫通された環状分子の少なくとも2つが架橋される。【選択図】図1

Description

本発明は、架橋ポリロタキサンを基礎とする自己修復性複合材料のための組成物、並びに自己修復性複合材料及びその使用に関する。
自己修復性材料には、例えば自動車産業における塗装、スマートフォンのコーティング等の幅広い潜在的用途がある。この関連で、使用温度の上限を大きく超えない温度で自己修復が起こる材料を使用することに特に関心が持たれている。しかしながら、同時に対象の物品又は部材を通常通りに制限なく使用することができるように材料が安定でなければならず、すなわち、該材料は、例えば使用温度範囲で意図せず流動を開始してはならない。この材料には、十分な耐候安定性も必要とされる。
自己修復性材料を作製するための既知のアプローチは、しばしば可逆的に形成され得る化学結合を基礎としている。
非特許文献1では、芳香族ジスルフィド橋架けを介して架橋されたエラストマーが使用される。この種類の橋架け結合は、室温で可逆的なメタセシス反応を起こすことができ、事前に切断された部材片を単純な接合によって再連結させることを可能にする。しかしながら、主要な化合物は耐候安定性ではない。その系にはナノ粒子は存在しない。非特許文献2では、ポリウレタン系について同じことが当てはまる。
非特許文献3には、ジアミン成分が脂肪酸側基を有するポリイミド材料が記載されている。事前に切断された部材片が接合されると、これらの分子構成要素は2つの部材片間の界面で相互拡散によって新たな化合物を形成する効果を有する。このアプローチは、可逆的な化学結合なしに室温で機能する。得られる材料は、相互拡散を可能にするために比較的軟質であって、耐候安定性ではない。
非特許文献4には、トリチオカーボネートの部類の化合物を含む材料が記載されている。これらの化合物は、UV光の下で励起されて転位反応を起こし、自己修復挙動を引き起こすことができる。トリチオカーボネート基のUV感受性のため、この材料は耐候安定性ではなく、機械的安定性も良くない。
非特許文献5のアプローチでは、「粘着性」の短鎖ポリマー(例えば、ポリアミド)を含む表面官能化を有する自己配列ナノ粒子が使用される。この複合材は、隣接する表面に結合されたポリアミド分子間の水素結合によってつなぎ合わされる。これはまた、観察される自己修復挙動の基礎となる。上記ポリマーの短鎖の性質のため、得られる複合材は軟質であり、したがって実用には不向きである。
ポリロタキサン
ポリロタキサンは超分子構造を有するポリマーである。ポリロタキサンは、規定された反応条件下で環状分子(例えば、シクロデキストリン)が貫通された(threaded)ポリマー主鎖から構成されている。後に環がポリマー主鎖から滑り落ちるのを防ぐために、嵩高い側基を有するストッパー分子が主鎖に沿って及び/又は主鎖の末端に規定の間隔で挿入されている。ストッパー分子の間で、主鎖上の環状分子は原則として自由に移動可能である。引き続き、予め形成されたポリマーを、架橋分子を使用して、隣接したポリマーの環状分子間で共有結合的橋架けによって架橋することができる。これにより、いわゆる「スライドリングゲル」が生成される。この種類の系を以下に示す。
ポリロタキサンの主鎖は、かなり特定されたポリマーから構成されており、手間のかかる多段階法を介して作製される。最初に引用された参考文献は、例えばナノ粒子等の他の成分を含まない純粋なポリマー系を記載している(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。
特許文献1(アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社)は、適切な刺激(例えば、5℃から90℃の間の範囲の熱)によって非架橋状態又は架橋状態をとることができるポリロタキサンを含むポリロタキサンの特許の保護を請求している。分子の線状部分は、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、又はポリブタジエンからなる。ストッパー分子はアダマンタン又は置換ベンゼン基である。この材料にはナノ粒子は存在しない。
それに対して、ポリロタキサン中の補強要素としてのナノ粒子は、以下の参考文献に記載されている(非特許文献11)。
特許文献2(日産自動車株式会社及びアドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社)には、ポリロタキサンと微粒子とを含むコーティング材料が記載されている。このポリロタキサンはカプロラクトン基を有する。微粒子は380nmより小さく、シリカだけでなくアルミナも含む。このナノ粒子は更なる表面改質を有しない。自己修復挙動は記載されていない。
特許文献3(LG Chem社)には、ポリロタキサン及び該ポリロタキサンから得られる優れた機械的特性及び自己修復特性を有する光硬化性コーティングが記載されている。このポリロタキサンはポリエステルを基礎としている。ナノ粒子は存在しない。特許文献4(LG Chem社)によれば、同様の化合物が、無機微粒子を含むハードコートコーティングのために使用されている。ポリロタキサンだけでなく、シリカ、アルミナ、二酸化チタン又は酸化亜鉛の無機ナノ粒子も含む相応してコーティングされたプラスチックフィルムを包含する特許文献5(LG Chem社)もこれに該当する。しかしながら、これらのナノ粒子は表面官能化されていない。
さらに、ポリロタキサンの製造のための水相中での水不溶性モノマーとの不均一系重合反応の状況で、単段階反応、したがってより手間のかからない反応も調査されている。これに関連して、同時に2種の異なるモノマー(例えば、イソプレン及びスチレン)を使用する反応が存在する。乳化重合と同様に反応を開始する水溶性ラジカル開始剤が使用される。例えばイソプレン等の小分子は、反応混合物中でシクロデキストリンによって事前に錯化される。したがって、貫通されるシクロデキストリンの量は、イソプレンの濃度によって予め決められる。乳化重合の状況でのこの種類の手順の例は、特許文献6(BASF AG社)、特許文献7(Bayer AG社)及び特許文献8(ザールラント大学)である。乳化重合の状況でビニル基を有するモノマーをシクロデキストリンと組み合わせて使用するにもかかわらず、最初の2つの出願では、ポリロタキサンの形成は示されていない。両出願ともナノ粒子について述べていない。主鎖に沿ったシクロデキストリンの移動可能性を更に高めるために、ターポリマーが開発された。この場合に、水中での不均一系ラジカル重合の状況において、イソプレン及びスチレンの他に、例えばメチルアクリレート等のシクロデキストリンにより錯化され得ないモノマーが使用される(整理番号EP16205619.6を有する未公開の出願、ザールラント大学)。ザールラント大学の両出願は、従属請求項においてナノ粒子の使用について述べているが、実施例でこの使用について補足説明していない。
欧州特許第02123681号 欧州特許出願公開第2397527号 欧州特許出願公開第2787010号 欧州特許出願公開第2857440号 欧州特許出願公開第2949709号 国際公開第1997009354号 国際公開第2001038408号 国際公開第2016202906号
A. Rekondo, R. Martin, A. R. de Luzuriaga, G. Cabanero, H. J. Grande, and I. Odriozola, "Catalyst-free room-temperature self-healing elastomers based on aromatic disulfide metathesis", Mater. Horiz., vol. 1, No. 2, pp. 237-240, Feb. 2014. R. Martin, A. Rekondo, A. R. de Luzuriaga, G. Cabanero, H. J. Grande, and I. Odriozola, "The processability of a poly(urea-urethane) elastomer reversibly crosslinked with aromatic disulfide bridges", J. Mater. Chem. A, vol. 2, No. 16, pp. 5710-5715, March 2014. A. Susa, R. K. Bose, A. M. Grande, S. van der Zwaag, and S. J. Garcia, "Effect of the Dianhydride/Branched Diamine Ratio on the Architecture and Room Temperature Healing Behavior of Polyetherimides", ACS Appl. Mater. Interfaces, vol. 8, No. 49, pp. 34068-34079, Dec. 2016. Y. Amamoto, J. Kamada, H. Otsuka, A. Takahara, and K. Matyjaszewski, "Repeatable Photoinduced Self-Healing of Covalently Cross-Linked Polymers through Reshuffling of Trithiocarbonate Units", Angew. Chem. Int. Ed., vol. 50, No. 7, pp. 1660-1663, Feb. 2011. G. A. Williams, R. Ishige, O. R. Cromwell, J. Chung, A. Takahara, and Z. Guan, "Mechanically Robust and Self-Healable Superlattice Nanocomposites by Self-Assembly of Single-Component "Sticky" Polymer-Grafted Nanoparticles", Adv. Mater., vol. 27, No. 26, pp. 3934-3941, July 2015. K. Kato and K. Ito, "Dynamic transition between rubber and sliding states attributed to slidable cross-links", Soft Matter, vol. 7, No. 19, pp. 8737-8740, Sep. 2011. X. Li, H. Kang, J. Shen, L. Zhang, T. Nishi, and K. Ito, "Miscibility, intramolecular specific interactions and mechanical properties of a DGEBA based epoxy resin toughened with a sliding graft copolymer", Chin J Polym Sci, vol. 33, No. 3, pp. 433-443, March 2015. K. Kato, T. Yasuda, and K. Ito, "Peculiar elasticity and strain hardening attributable to counteracting entropy of chain and ring in slide-ring gels", Polymer, vol. 55, No. 10, pp. 2614-2619, May 2014. K. Kato, T. Mizusawa, H. Yokoyama, and K. Ito, "Polyrotaxane Glass: Peculiar Mechanics Attributable to the Isolated Dynamics of Different Components", J. Phys. Chem. Lett., vol. 6, No. 20, pp. 4043-4048, Oct. 2015. J. Araki, T. Kataoka, and K. Ito, "Preparation of a "sliding graft copolymer", an organic solvent-soluble polyrotaxane containing mobile side chains, and its application for a crosslinked elastomeric supramolecular film", Soft Matter, vol. 4, No. 2, pp. 245-249, Jan. 2008. K. Kato, D. Matsui, K. Mayumi, and K. Ito, "Synthesis, structure, and mechanical properties of silica nanocomposite polyrotaxane gels", Beilstein Journal of Organic Chemistry, vol. 11, No. 1, pp. 2194-2201, Nov. 2015.
本発明の課題は、機械的に堅牢であり、実質的に耐候安定性である自己修復特性を有する材料を提供することである。さらに、当該材料は透明であることが好ましい。更なる課題は、上記材料を製造する方法及び使用を指定することである。
上記課題は、独立請求項の特徴を有する発明によって解決される。本発明の有利な実施の形態は、従属請求項において特徴付けられている。これによって、全ての特許請求の範囲の文面は、引用することにより本明細書の一部をなす。本発明はまた、独立請求項及び/又は従属請求項の全ての合理的な組み合わせ、特に全ての指定された組み合わせを包含する。
上記課題は、自己修復性複合材料のための組成物であって、
a)コポリマーとそこに貫通された環状分子とを含む少なくとも1つのポリロタキサンと、ここで、少なくとも1つの環状分子は少なくとも1つの官能基(A)を有し、
b)官能基(B)を含む少なくとも1つの有機改質された無機ハイブリッド材料、又は表面上に官能基(B)を有する少なくとも1種類の表面改質された無機粒子と、
を含み、前記貫通された環状分子の少なくとも2つは、前記官能基(A)と前記官能基(B)との結合によって架橋され得る、組成物によって解決される。
本発明の1つの好ましい実施の形態では、ポリロタキサンは、非イオン性コポリマーであるコポリマーに貫通された少なくとも1つの環状分子と、少なくとも(a)ストッパー基を有する第1の重合性モノマーから誘導された構造単位と、少なくとも(b)第2の重合性モノマーから誘導された構造単位とを含み、ここで、ストッパー基を有する第1のモノマーから誘導された構造単位は、少なくとも部分的にコポリマーのポリマー鎖の末端に配置され、ストッパー基は環状分子がコポリマーから外れるのを防ぐ。
停止基(stopping group)を有する第1のモノマーから誘導された構造単位は、好ましくは、コポリマーの構造単位の総数100mol%に対して0.1mol%〜20mol%の量で存在する。
ポリロタキサンの環状分子を貫通するコポリマーは、非イオン性コポリマーであり、第1のモノマー及び第2のモノマーは、非イオン性モノマーである。好ましくは、ポリロタキサンに関して、「非イオン性モノマー」は、2〜11のpH、好ましくは3〜10のpHを有する水溶液中に存在する場合に、荷電した官能基を有しないモノマーである。本明細書で使用される「非イオン性モノマー」という表現は、例えばイオンを形成することができない構造単位又は官能基のみを含むモノマー、例えばイソプレン又はメチルメタクリレート等を包含する。さらに、「非イオン性モノマー」という表現はまた、カルボン酸基等の、原則としてイオンを形成することができるが、4未満、好ましくは3未満、特に2未満のpHを有する水溶液中に存在する場合に、過半数が、すなわち50mol%超が非荷電状態で存在する官能基を有するモノマーを包含する。そのようなpH範囲にて非荷電で存在するそのような非イオン性モノマーの例は、アクリル酸及びそれから誘導されたカルボン酸基を有する化合物、例えばメタクリル酸である。「非イオン性コポリマー」という表現は、好ましくは、2〜11、好ましくは3〜10のpHを有する水溶液中に存在する場合に、荷電形で存在する構造単位を実質的に含まないコポリマーを指す。本明細書で使用される「非イオン性コポリマー」という表現は、例えばイオンを形成することができない構造単位及び/又は官能基、例えばイソプレン又はメチルメタクリレートから誘導された構造単位のみを有する化合物を包含する。さらに、「非イオン性コポリマー」という表現はまた、例えばカルボン酸基等の、原則としてイオンを形成することができるが、4未満、好ましくは3未満、特に2未満のpHを有する水溶液中に存在する場合に、過半数が、すなわち50mol%超が非荷電状態で存在する構造単位及び/又は官能基を有するコポリマーを包含する。このpH範囲にて非荷電形で存在する構造単位の例は、アクリル酸及びカルボン酸基を有するその誘導体、例えばメタクリル酸から誘導された構造単位である。2〜11、好ましくは3〜10のpHを有する水溶液中に存在する場合に荷電される官能基を有するだけでなく、任意に4未満、好ましくは3未満、特に2未満のpHを有する水溶液中に存在する場合に、過半数が荷電形で存在する基も有する構造単位を実質的に有しない非イオン性コポリマーは、好ましくは、そのような官能基を有するそのような構造単位が少量しか存在しないことを意味する。例えば、2〜11、好ましくは3〜10のpHを有する水溶液中に存在する場合に荷電形で存在する官能基を有するそれらの構造単位は、共重合されるべきモノマー中の不純物又は共重合反応で使用される反応物、例えば開始剤、触媒及び/又は連鎖移動剤に由来する場合も、又は反応に意図的に添加されたイオン性モノマーに由来する場合もある。2〜11、好ましくは3〜10のpHを有する水溶液中に存在する場合に荷電される官能基を有する構造単位の割合は、それぞれの場合にコポリマーの構造単位100mol%に対して、好ましくは5mol%未満、より好ましくは3mol%未満、非常に好ましくは2mol%未満、特に1mol%未満である。これは、4未満、好ましくは3未満、特に2未満のpHを有する水溶液中で過半数が荷電形で存在する基にも相応のことが当てはまる。
本発明の1つの好ましい実施の形態では、ポリロタキサンのコポリマーは、停止基を有する第1の重合性モノマーから誘導された構造単位が、ポリマー鎖中にランダムに配置され、少なくとも部分的にポリマー鎖の末端の間に配置される統計コポリマーである。
本発明の1つの実施の形態では、ストッパー基を有する第1のモノマーから誘導された構造単位の含有量は、それぞれの場合にコポリマーの構造単位の総数100mol%に対して、0.5mol%〜18mol%の範囲、好ましくは1mol%〜16mol%、より好ましくは2mol%〜15mol%、非常に好ましくは3mol%〜12mol%の範囲である。
本発明の別の実施の形態では、コポリマーは、ストッパー基を有する第1の重合性モノマーから誘導された繰返単位を含むブロックAと、第2の重合性モノマーから誘導された繰返単位を含むブロックBと、第1のモノマーから誘導された繰返単位と同一の又は異なる、ストッパー基を有する第3のモノマーから誘導された繰返単位を含むブロックCとを含むブロックコポリマーであり、ここで、ブロックコポリマー中のブロックBは、ブロックAとブロックCとの間に配置されており、環状分子はブロックBに貫通されている。
第1のモノマーから誘導された構造単位及び第3のモノマーから誘導された構造単位の割合は、好ましくは、コポリマーの構造単位100mol%に対して0.1mol%〜20mol%の範囲である。ブロックC内の第3のモノマーから誘導された繰返単位が、ブロックA内の繰返単位と同一である場合に、ブロックCはブロックAとも呼称され得る。
本発明の1つの実施の形態では、第1のモノマーから誘導された構造単位と第3のモノマーから誘導された構造単位とを一緒にした含有量は、それぞれの場合にコポリマーの構造単位の総数100mol%に対して、0.3mol%〜18mol%、好ましくは0.5mol%〜14mol%、より好ましくは0.7mol%〜10mol%、非常に好ましくは0.9mol%〜5mol%、特に1mol%〜2.5mol%の範囲である。
本発明の1つの実施の形態では、環状分子はコポリマーの主鎖に貫通されている。すなわち、ポリロタキサンは、好ましくは主鎖型ロタキサンである。
使用されるポリロタキサンの環状分子は、ポリロタキサンに慣用の環状分子であり得る。これらは、例えばクラウンエーテル、ククルビットウリル、カリックスアレーン、環状アミド及び/又は遷移金属錯体であり得る。より好ましくは、環状分子は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体だけでなく、それらの組み合わせも包含する群から選択される。シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体は、例えば同じポリロタキサン上に組み合わせて存在することもできる。
本発明の1つの実施の形態では、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、天然シクロデキストリン、メチル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリン、ヒドロキシエチル化シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化シクロデキストリン、カチオン性シクロデキストリン誘導体、アニオン性シクロデキストリン誘導体、グリコシル化シクロデキストリン、又はこれらの化合物の組み合わせからなる群から選択され、ここで、まだ存在しないのであれば、上記シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、少なくとも1つの官能基(A)を有する。
本発明の更なる実施の形態では、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、α−シクロデキストリン、ランダムメチル化α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ランダムメチル化β−シクロデキストリン(RAMEB)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、アセチル−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、スクシニル−β−シクロデキストリン、スルホブチル化β−シクロデキストリン、硫酸β−シクロデキストリン、6−モノデオキシ−シクロデキストリン、スクシニル−β−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、スルホブチル化β−シクロデキストリン、硫酸β−シクロデキストリン、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−β−シクロデキストリン塩酸塩、ヘプタキス(6−デオキシ−6−アミノ)−β−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシ−3−N,N,N−トリメチルアミノ)プロピル−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6−トリ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、モノアミノ−β−シクロデキストリン、スルホブチル−β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ランダムメチル化γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシ−3−N,N,N−トリメチルアミノプロピル−β−シクロデキストリンハロゲン化物、指定された化合物の塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、ここで、まだ存在しないのであれば、上記シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、少なくとも1つの官能基(A)を有する。
本発明の更なる実施の形態では、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、カルボキシルメチル−α−シクロデキストリンナトリウム塩、カルボキシルメチル−β−シクロデキストリンナトリウム塩、スクシニル−α−シクロデキストリン、スクシニル−β−シクロデキストリン、スクシニル−γ−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−α−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−β−シクロデキストリン、リン酸α−シクロデキストリンナトリウム塩、リン酸β−シクロデキストリンナトリウム塩、リン酸γ−シクロデキストリンナトリウム塩、スルホブチル化α−シクロデキストリンナトリウム塩、スルホブチル化β−シクロデキストリンナトリウム塩、スルホブチル化γ−シクロデキストリンナトリウム塩、硫酸α−シクロデキストリンナトリウム塩、硫酸β−シクロデキストリンナトリウム塩、γ−シクロデキストリンナトリウム塩、6−モノデオキシ−6−モノアミノ−α−シクロデキストリン塩酸塩、ヘプタキス(6−デオキシ−6−アミノ)−β−シクロデキストリン七塩酸塩、オクタキス(6−デオキシ−6−アミノ)−γ−シクロデキストリン八塩酸塩、(2−ヒドロキシ−3−N,N,N−トリメチルアミノ)プロピル−β−シクロデキストリン塩化物、及びこれらの化合物の任意の組み合わせからなる群から選択されるイオン性シクロデキストリン又はイオン性シクロデキストリン誘導体であり、ここで、まだ存在しないのであれば、上記シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体は、少なくとも1つの官能基(A)を有する。1つの特に好ましい実施の形態では、シクロデキストリン誘導体は、ランダムメチル化β−シクロデキストリン(RAMEB)である。
RAMEBはメチル−β−シクロデキストリン(CAS番号128446−36−6)とも呼称され、β−シクロデキストリンから工業的に生産される。メチル置換基は、無水グルコース単位の2位、3位及び6位のヒドロキシル基にランダムに配置されている。メチル化度は製造業者に依存し、通常は1.3から2.3の間、好ましくは1.6から2の間である。RAMEBの水への溶解度は、未変性β−シクロデキストリンの溶解度より優れている。
第1のモノマーとしては、1つ以上の環状分子がコポリマー鎖から外れることがないように1つ以上の環状分子の移動を妨げるのに十分な立体障害を有する停止基を有する限り、多くの化合物が適切である。停止基を有する第1のモノマーは、好ましくはビニルモノマーである。本明細書で使用される「ビニルモノマー」という表現は、−CH=CH基であるビニル基を有するモノマーを指し、ここで、例えばポリエチレングリコールメタクリレート中のメチル基のように、水素原子が他の置換基によって置き換えられていてもよい。好ましくは、第1のモノマーは、70g/mol以上、好ましくは70g/mol〜1000g/mol、特に100g/mol〜500g/molの分子量を有する。
本発明の或る特定の実施の形態では、第1のモノマーは、ミルセン、芳香族ビニルモノマー、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカプロラクトン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、α,ω−ビス(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−2−アミノエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、4−アクリロイルモルホリン、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、マレイミド、N−アルキルマレイミドだけでなく、それらの任意の組み合わせも含む群から選択される。ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの場合には、ポリエチレングリコール部分の分子量は、3000g/mol未満、好ましくは1000g/mol未満である。これは、α,ω−ビス(メタ)アクリレートのポリエチレングリコール部分にも当てはまる。1つの実施の形態では、第1のモノマーは、ポリエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
本発明の或る特定の実施の形態では、停止基を有する第1のモノマーは、任意に置換されたスチレン、任意に置換されたビニルスルホン酸、任意に置換されたビニルピリジン、任意に置換されたジビニルベンゼン、及びそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される芳香族ビニルモノマーである。本明細書の「任意に置換された」という表現は、モノマーが、水素、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C10ハロアルキル、C〜C10アルコキシ、CN、ニトロ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)又は同様の置換基の群から選択される同一又は異なる1つ以上の置換基を有することを意味する。
第1のモノマーは、好ましくは、スチレン、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルカプロラクトン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。スチレン及びヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
α,ω−ビス(メタ)アクリレートの場合には、エチレングリコール、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAのα,ω−ビス(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物が好ましい。
環状分子を貫通することができる実質的に線状の構造を有するコポリマーの部分を形成することが可能である限り、第2のモノマーの選択は特に限定されない。第2のモノマーは、好ましくは線状モノマーである。「実質的に線状の構造」という表現は、環状分子がポリマーに貫通され得て、回転可能であり、かつポリマー鎖に沿って移動可能である限り、ポリマーのこの部分が分岐していなくてもよいという可能性を除外しない。したがって、第2のモノマーは、分岐が1つ以上の環状分子の回転可能性及び移動可能性を妨げない限り、分岐していてもよく、好ましくはわずかだけ分岐していてもよい。
或る特定の実施の形態では、第2のモノマーは、非イオン性モノマー、疎水性モノマー、特に非イオン性の疎水性モノマーである。本明細書の「疎水性モノマー」という表現は、このモノマーが、20g/L未満、好ましくは10g/L未満、特に5g/L未満、非常に具体的には2g/L未満の20℃での水中での溶解度を有することを意味する。
好ましくは、第2のモノマーはビニルモノマーである。特に好ましくは、停止基を有する第1のモノマー及び第2のモノマーはビニルモノマーである。好ましくは、第2のモノマーは、120g/mol以下、好ましくは110g/mol以下の分子量を有する。第2のモノマーは、好ましくは1,3−ジエン、N−アルキルアクリルアミド、アルケン、1,3,5−トリエン、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。1,3−ジエンの場合に、1,3−ジエンは、好ましくは1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、又はそれらの組み合わせから選択される。したがって、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、又は1,3−ブタジエン及びイソプレンを組み合わせて使用することができる。アルケンの場合に、エテン、プロペン、イソブテン、又はそれらの任意の組み合わせが好ましい。N−アルキルアクリルアミドの場合に、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。
第2のモノマーは、部分的に親水性のモノマーであってもよい。「部分的に親水性のモノマー」という表現は、水溶性が低いモノマー、好ましくは5g/L〜40g/L、好ましくは10g/L〜40g/L、より好ましくは15g/L〜40g/L、特に20g/L〜30g/Lの20℃での水中での溶解度を有するモノマーを示す。これに加えて又はこの代わりに、第2の部分的に親水性のモノマーは、メタクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニルエステル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミドを含む群から選択される。本明細書での(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート及びメタクリレートの両方を表す。
第2のモノマーとして疎水性モノマーのみを使用して、疎水性コポリマーを得ることもできる。本明細書での「疎水性コポリマー」は、コポリマーの構造単位の総数100mol%に対して少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも70mol%、より好ましくは少なくとも80mol%、特に少なくとも90mol%、95mol%又は100mol%の疎水性モノマーから誘導された構造単位を有するコポリマーを指す。「疎水性モノマー」という表現は、上記定義のように、低い水溶性を有する、好ましくはそれぞれの場合に20℃での20g/L未満、より好ましくは10g/L未満、特に5g/L未満、好ましくは2g/L未満の水溶性を有するモノマーと理解されるべきである。疎水性モノマーのこれらの定義は、第1のモノマー、第2のモノマー及び他の可能なモノマーに適用することができる。この実施の形態については、1つ以上の環状分子がシクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン誘導体である場合に、ポリロタキサンのコポリマーが少なくとも部分的に、特に全体的に疎水性コポリマーであることが好ましい。シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体は、疎水性の内表面を有する。したがって、それらをコポリマーの疎水性領域に貫通させると、コポリマーと環状分子との間に低レベルの相互作用しか引き起こされない。結果として、コポリマー鎖のこの部分に沿って、環状分子の移動可能性及び回転可能性が保証される。
更なる実施の形態では、コポリマーは、第3の親水性モノマーから誘導された構造単位を含み得る。1つ以上の環状分子を貫通することができる実質的に線状の構造を有するコポリマーの部分を形成することが可能である限り、第2のモノマーとともに、第3のモノマーの選択も特に限定されない。第3のモノマーは、好ましくは線状モノマーである。「実質的に線状の構造」という表現は、環状分子がポリマーに貫通され得て、回転可能であり、かつポリマー鎖に沿って移動可能である限り、ポリマーのこの部分が分岐しているという可能性を除外しない。したがって、第3のモノマーは、分岐が1つ以上の環状分子の回転可能性及び移動可能性を妨げない限り、分岐していてもよく、好ましくはわずかだけ分岐していてもよい。
好ましくは、第2のモノマー及び第3のモノマーはビニルモノマーである。より好ましくは、停止基を有する第1のモノマー、第2のモノマー及び第3のモノマーはビニルモノマーである。好ましくは、第3のモノマーは、120g/mol以下、好ましくは100g/mol以下の分子量を有する。
第3のモノマーは、親水性モノマーである。本明細書の「親水性モノマー」という表現は、このモノマーが、45g/L超、好ましくは45g/L〜2500g/L、特に50g/L〜2100g/Lの20℃での水中での溶解度を有することを意味する。この第3の親水性モノマーは、付加的に又は代替的に、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、それらの誘導体及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。本明細書では、メチルアクリレートが好ましい。
第2のモノマーと第3のモノマーとのモル比、又はそれらから誘導された構造単位のモル比は、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは1:3〜3:1、特に1:2〜2:1、非常に特に好ましくは1:1.5〜1.5:1の範囲である。
上述のモノマーに従って、コポリマーは、好ましくは、該モノマーを環状分子の存在下で、環状分子により錯化された第2のモノマーと共重合(又は三元共重合)させることによって実現される。結果として、ポリロタキサンが形成される。共重合は、熱的に及び/又は光化学的に惹起され得る。共重合は、好ましくは水中で行われる。
ポリロタキサンは、好ましくは、特許文献8又は欧州特許出願第16205619.6号(引用することにより本明細書の一部をなす)に開示される方法、特に特許の保護が請求された方法に従って、好ましくは架橋を有しないポリロタキサンを製造する方法で、すなわち環状分子の存在下での共重合において製造される。
コポリマーの分子量は、重合条件によって、例えば連鎖移動剤によって制御することができる。500000g/mol未満(ポリスチレン標準に対してゲル浸透クロマトグラフィーによって測定)、好ましくは400000g/mol未満、特に200000g/mol未満の分子量が好ましい。これとは独立して、2000g/mol超、好ましくは5000g/mol超、特に10000g/mol超が好ましい。
本発明の1つの実施の形態では、コポリマーは、構造単位が1つ以上の第2の疎水性モノマー及び1つ以上の第3の親水性モノマーから誘導された1つ以上の領域、又は構造単位が部分的に親水性のモノマーから誘導された1つ以上の領域を含む。これにより、ポリマー鎖に貫通される環状分子の数を制御することができる。したがって、ポリロタキサンの総重量に対して1重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜25重量%の低い割合の環状分子を有するポリロタキサンを製造することが可能である。疎水性モノマーの割合が高い場合に、貫通される環状分子、例えばシクロデキストリンの割合は70重量%超まで高まる。親水性モノマーの割合が高すぎる場合に、貫通される環状分子は非常に少なくなる。環状分子の割合が高いほど、ポリマーの自己修復能が低下するため、上記の低い割合を有するポリロタキサンが好ましい。
貫通された環状分子の割合は、ポリロタキサンの総質量、貫通された環状分子及び貫通されていない環状分子の総質量から、例えば貫通された環状分子及び遊離の環状分子の質量と遊離の環状分子の質量との合計から得ることができる。貫通された環状分子の量を測定する方法は、G. Kali, H. Eisenbarth, G. Wenz, "One Pot Synthesis of a Polyisoprene Polyrotaxane and Conversion to a Slide-Ring Gel", Macromol. Rapid. Commun. 2016, 37, 67-72及びその論文のために公開された補足情報に記載されている。
ポリロタキサンの質量は秤量により測定することができる。
貫通された環状分子と遊離の環状分子との総質量は、旋光分析によって、すなわち適切な溶剤中でのポリロタキサンの試料の旋光度αを測定することによって測定することができ、その際、試料の質量は溶解前に測定されている。次いで、環状分子の総濃度cは、既知である又は当業者に知られる技術により測定され得る環状分子の比旋光度[α]を用いて、以下の式:
c=α/([α]×l)
(式中、cは、貫通された環状分子と遊離の環状分子との総濃度であり、αは、試料の測定された旋光度であり、[α]は、環状分子の比旋光度であり、lはキュベットの長さである)に従って得ることができる。
得られた総濃度から、m=c×V(式中、Vは、旋光度の測定における試料の容量を表す)を用いて、貫通された環状分子と遊離の環状分子との総質量mを測定することが可能である。
ポリロタキサンのモル質量、多分散性(PD)及び遊離の環状分子の割合は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって確かめることができる。貫通された環状分子の量は、環状分子の総量(旋光分析により測定)と遊離のシクロデキストリンの残留量(GPCを介して測定)との間の差を使用して計算される。
前記官能基(A)は、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体から選択されることを特徴とすることが好ましい。官能基の前駆体は、官能基へと変換され得る基である。したがって、例えば、エポキシ基はヒドロキシル基の前駆体であり、エステルはカルボン酸基の前駆体であり、ブロックドイソシアネート基はイソシアネート基の前駆体である。エポキシ基又はヒドロキシル基が好ましい。
環状分子ごとに、1つの官能基、2つの官能基又は3つ以上の官能基が存在し得る。
ポリロタキサンは、好ましくは、水又はテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル若しくはアセトン等の有機溶剤中に可溶性又は分散可能である。
前記官能基(B)は、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体から選択されることを特徴とすることが好ましい。官能基の前駆体は、官能基へと変換され得る基である。したがって、例えば、エポキシ基はヒドロキシル基の前駆体であり、エステルはカルボン酸基の前駆体であり、ブロックドイソシアネート基はイソシアネート基の前駆体である。エポキシ基又はヒドロキシル基が好ましい。
官能基(A)と官能基(B)とを結合させることによって、貫通された環状分子の少なくとも2つを架橋させることができる。これは、遅くとも組成物の硬化時には、対応する共有結合が形成されて結合されていることを意味する。これにより、架橋ポリロタキサンが形成される。本明細書でのポリロタキサンにおける架橋は、少なくとも1つ、好ましくは2つのポリロタキサンの環状分子の架橋を指す。上記組成物は、好ましくは、環状分子への結合を、好ましくは共有結合を介して形成することができる少なくとも2つの官能基を含む架橋剤を含む。したがって、架橋は、好ましくは、第1のコポリマーに貫通された第1の環状分子と、第2のコポリマーに貫通された第2の環状分子との間の共有結合の形成を含む。架橋は、好ましくは、環状分子の官能基(A)を介して行われる。特に好ましくは、架橋剤は、官能基(A)及び官能基(B)の両方と結合して、これらを互いに共に架橋させるのに適している。
架橋に関与する基に応じて、架橋は、例えば、加熱又は放射線によって、好ましくは加熱によってもたらすことができる。シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体の場合に、架橋剤は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体の官能基(A)と結合を形成することができる少なくとも2つの基を有する。
基(A)に応じて、そしてまた任意に基(B)に応じて、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基及び(メタ)アクリレート基から選択される官能基を有する架橋剤が好ましい。
基(A)及び基(B)、そしてまた任意に架橋剤の官能基は、それらの互いの反応性に従って選択することができる。
1つの好ましい実施の形態では、基(A)及び基(B)は、架橋剤を介してのみ互いに結合され得る。これは、例えば、基(A)及び基(B)がヒドロキシル基、アミノ基若しくはモノアルキルアミノ基、又はそれらの前駆体である場合に該当する。硬化条件下では、これらの基は互いに共有結合することはできないが、その代わりに架橋剤の官能基との反応によってのみ共有結合することができる。この場合に、基(A)及び基(B)の合計と架橋剤の官能基とのモル比は、好ましくは4:1〜1:2、好ましくは3:1〜2:1である。シクロデキストリン及びイソシアネート基を有する架橋剤の場合に、これはOH基とNCO基との比率となる。
1つの好ましい実施の形態では、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体の場合の官能基(A)は、ヒドロキシル基、特にシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体の未変性ヒドロキシル基である。この場合に、架橋剤は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する分子、ジイソシアネート、トリイソシアネート、ブロックドジイソシアネート、ジイソチオシアネート、ビスエポキシド、塩化シアヌル、ジビニルスルホン、及びそれらの組み合わせを包含する群から選択される。ブロックドジイソシアネートは、室温で安定であるが、熱の影響下で開裂してジイソシアネートを形成するジイソシアネートの反応生成物とみなすことができる。ブロックドジイソシアネートの例は、D.A. Wicks, Z.W. Wicks Jr, Prog. Org. Coatings 1999, 36, 148-172に記載されている。ビスエポキシドの場合に、架橋剤はビスフェノールAジグリシジルエーテルであり得る。架橋剤は、その条件下で架橋ポリロタキサンの形成をもたらす限り、特に限定されない。他の架橋剤は、当業者により相応して選択され得る。
架橋ポリロタキサンは、好ましくはゲル、より好ましくはスライドリングゲルである。
スライドリングゲルは、物理結合又は化学結合に基づくゲルとは異なる。スライドリングゲルでは、ポリマー鎖はトポロジカルに連結されている。スライドリングゲルでは、ほぼ環状分子のみが互いに架橋されているのに対して、コポリマー鎖は互いに全く架橋されていないか、又はわずかな程度でしか架橋されていない。これは、例えば2つのポリロタキサンの環状分子が架橋剤を介して連結されている図16に示されている。環状分子が互いに架橋されているにすぎないため、環状分子はポリマー中でポリマー鎖に沿って移動することができる。これにより、コポリマー鎖中でのより効果的な応力の補償が可能となる。引張応力は、同様にコポリマー鎖間で分配される。結果として、スライドリングゲルを含む表面又は成形品は可撓性であり、あまり簡単には破壊されない。しかしながら、この特性の結果として、従来の架橋ポリロタキサンは、例えば屋外領域での用途に適していない。
例えば、ヒドロキシル基を有する未改質の加水分解物又は粒子を使用する場合に、確かにイソシアネート基との反応も可能であるが、これらの結合は加水分解的に及び熱的に不安定である。官能化されていないシラン縮合物は、ポリロタキサンマトリックス中で或る種のシリコーン油のように作用し、相分離を引き起こす。引っ掻き傷の場合に、ポリロタキサン主鎖上で移動可能なシクロデキストリンへの応力の機械的伝達は不可能となる。この系は単純に不安定となる。
本発明のポリロタキサンでは、官能基(A)と官能基(B)とを結合させることによって、貫通された環状分子の少なくとも2つが架橋される。すなわち、有機改質された無機ハイブリッド材料(図17)又は表面改質された粒子(図18)を介して架橋が行われる。粒子の表面改質自体が、有機改質された無機ハイブリッド材料であってもよい(図19)。
本明細書では、官能基(A)及び官能基(B)は、架橋剤により互いに結合されていることが好ましい。このように、環状分子の架橋が架橋剤を介して行われることも、環状分子の架橋が有機改質された無機ハイブリッド材料又は表面改質された無機粒子によって行われることも両方とも可能である。
純粋にポリロタキサンを基礎とするスライドリングゲルの自己修復挙動は、実質的に、貫通されたシクロデキストリンが充填されて規則構造を有する相領域を形成する可能性によって決定される。この場合に、自己修復温度は、シクロデキストリン上の有機側基の長さに影響される一方で、その内側のポリマー主鎖が十分な可撓性を有することのみを必要とする。有機改質された無機ハイブリッド材料の特定の構造又は無機粒子のサイズによって、上述の成分の濃度が低くても、環状分子の規則充填構造の形成を妨げることが可能である。架橋反応を制限し得る官能基を表面上に有する無機粒子を更に導入すると(図18及び図19)、例えば硬度及びUV吸収挙動等のセラミック特性をもたらすだけでなく、特に材料の緩和挙動、したがって自己修復挙動に更なる影響を与える更なる可能性がある。これは特に、表面改質された粒子が有機改質された無機ハイブリッド材料で改質されている場合に言える(図19)。それというのも、粒子を覆う表面改質は、それ自体が機械的特性及び緩和特性を有するより広範な独立した相に相当するからである。さらに、環状分子と比較した粒子の相対サイズ及び粒子の関連の空間充填のおかげで、環状分子間の明らかに密な充填構造は同様により困難となる。これは、例えば、得られた成形品の貯蔵弾性率の推移で明らかになる。したがって、この界面相の固有の可撓性及び変形性により、スライドリングゲルの特定の緩和特性を得ることが可能となり、得られたナノ構造化複合材料は更に技術的用途に関連する自己修復挙動を示す。
上記組成物は、官能基(B)を含む少なくとも1つの有機改質された無機ハイブリッド材料、又は表面上に官能基(B)を有する少なくとも1種類の表面改質された無機粒子を含む。
官能基(B)を含む有機改質された無機ハイブリッド材料は、少なくとも1つのガラス形成元素又はセラミック形成元素M、特に、元素の周期律表の第3族〜第5族及び/又は第12族〜第15族の元素M、好ましくは、Si、Al、B、Ge、Pb、Sn、Ti、Zr、V及びZn、特に、Si及びAl、最も好ましくはSi又はそれらの混合物の(重)縮合物を含む。(重)縮合物においては、部分的に、周期系の第1族及び第2族の元素(例えば、Na、K、Ca及びMg)並びに周期系の第5族〜第10族の元素(例えば、Mn、Cr、Fe及びNi)又はランタノイド(例えば、Ce)が存在してもよい。好ましい有機改質された無機ハイブリッド材料は、ポリオルガノシロキサンである。この目的で、ガラス形成元素又はセラミック形成元素、特にケイ素の加水分解物の使用が特に好ましい。
有機改質されたハイブリッド材料は、好ましくは、ゾル−ゲル法によって得られる。ゾル−ゲル法では、加水分解性化合物は通常、酸性触媒又は塩基性触媒を用いて又は用いずに水で加水分解され、任意に少なくとも部分的に縮合される。加水分解反応及び/又は縮合反応により、ヒドロキシル基、オキソ基及び/又はオキソ橋架けを有する化合物又は縮合物の形成がもたらされ、これらは前駆体として機能する。化学量論的量の水を使用することも、より少量又はより多量の水を使用することもできる。形成するゾルは、適切なパラメータ、例えば縮合度、溶剤又はpHによって、所望の粘度又は所望の縮合物サイズに調整され得る。ゾル−ゲル法の更なる詳細は、例えば、C.J. Brinker, G.W. Scherer: "Sol-Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol-Gel-Processing", Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990)に記載されている。
好ましいゾル−ゲル法によれば、加水分解物又は(重)縮合物は、有機改質された無機ハイブリッド材料の製造のために少なくとも部分的に官能基(B)又はその前駆体を含む非加水分解性有機置換基を更に有する上述のガラス形成元素又はセラミック形成元素の加水分解性化合物から加水分解及び/又は縮合によって得られる。無機ゾルは、本明細書では、特に一般式MX(式中、Mは上記定義のガラス形成元素又はセラミック形成元素であり、Xは以下の式(I)に定義される通りであり、ここで、2つの基Xは1つのオキソ基によって置き換えられてもよく、nは元素の原子価に相当し、通常は3又は4である)の加水分解性化合物からゾル−ゲル法によって形成される。当該化合物は、好ましくは加水分解性Si化合物、特に以下の式(I)の加水分解性Si化合物である。
使用することができるSi以外の元素Mの加水分解性化合物の例は、Al(OCH、Al(OC、Al(O−n−C、Al(O−i−C、Al(O−n−C、Al(O−sec.−C、AlCl、AlCl(OH)、Al(OCOC、TiCl、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(OC、Ti(2−エチルヘキソキシ)、ZrCl、Zr(OC、Zr(O−n−C、Zr(O−i−C、Zr(OC、ZrOCl、Zr(2−エチルヘキソキシ)、そしてまた錯形成基、例えばβ−ジケトン及び(メタ)アクリロイル基を有するZr化合物、ナトリウムメトキシド、酢酸カリウム、ホウ酸、BCl、B(OCH、B(OC、SnCl、Sn(OCH、Sn(OC、VOCl及びVO(OCHである。
好ましいケイ素に関する以下の所見は、しかるべき変更を加えた上で他の元素Mについても当てはまる。特に好ましくは、ゾル又は有機改質された無機ハイブリッド材料は、1つ以上の加水分解性及び縮合性シランから得られ、ここで、少なくとも1つのシランは、官能基(B)又はその前駆体を含む非加水分解性有機基を有する。以下の一般式(I)及び/又は(II):
SiX(4−a) (I)
(式中、Rは、同一であるか又は異なって、任意に官能基を有する非加水分解性基を表し、Xは、それぞれの場合に同一であるか又は異なって、加水分解性基又はヒドロキシル基を示し、aは、1、2又は3、好ましくは2又は3、特に3の値を有する)を有する1つ以上のシランを使用することが特に好ましい。
任意に、式(II):
SiX (II)
(式中、Xは、上記定義を有する)のシランを同様に使用することも可能である。
上記の式において、加水分解性基Xは、例えば、水素又はハロゲン(F、C1、Br又はI)、アルコキシ(好ましくは、C1〜6アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ及びブトキシ)、アリールオキシ(好ましくは、C6〜10アリールオキシ、例えばフェノキシ)、アシルオキシ(好ましくは、C1〜6アシルオキシ、例えばアセトキシ又はプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくは、C2〜7アルキルカルボニル、例えばアセチル)、アミノ、1つ以上のアルキル基中に、好ましくは1個〜12個、特に1個〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。好ましい加水分解性基は、C1〜4アルコキシ基、特にメトキシ及びエトキシである。
非加水分解性基Rは、例えば、アルキル(好ましくは、C1〜6アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル、ペンチル、ヘキシル又はシクロヘキシル)、アルケニル(好ましくは、C2〜6アルケニル、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びブテニル)、アルキニル(好ましくは、C2〜6アルキニル、例えばアセチレニル及びプロパルギル)及びアリール(好ましくは、C6〜10アリール、例えばフェニル及びナフチル)である。
上記の基R及びXは、任意に1つ以上の慣用の置換基、例えばハロゲン基、エーテル基、リン酸基、スルホン酸基、シアノ基、アミド基、メルカプト基、チオエーテル基又はアルコキシ基を官能基として有し得る。
基Rは、架橋を可能にする官能基を含み得る。基Rの官能基の具体的な例は、エポキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、シアノ基、イソシアノ基、チオール基、アルデヒド基及びアルキルカルボニル基、又はそれらの前駆体である。これらの基は、好ましくは、酸素原子又は硫黄原子又は−NH−基によって中断されていてもよいアルキレン橋架け基、アルケニレン橋架け基又はアリーレン橋架け基を介してケイ素原子に結合される。上記の橋架け基は、例えば、上記のアルキル基、アルケニル基又はアリール基から誘導される。基Rの橋架け基は、好ましくは1個〜18個、特に1個〜8個の炭素原子を含む。
使用される少なくとも1つのシランの少なくとも1つの基Rは、少なくとも1つの官能基(B)を含む。好ましくは、この基は、架橋を可能にする基であり、好ましくは、これらは、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体である。
本発明の1つの実施の形態では、上記組成物は、表面上に官能基(B)を有する少なくとも1種類の表面改質された無機粒子を含む。
粒子には、事実上あらゆるセラミック系及びガラス系が適しているが、任意に、金属、半導体及び慣用のフィラーも適している。セラミック粒子が好ましい。酸化物、窒化物、炭化物、炭窒化物、ケイ化物又はホウ化物がしばしば使用される。異なる粒子の混合物を使用することもできる。粒子は表面上で改質される。粒子は、例えば金属合金、半金属(例えば、B、Si及びGe)化合物又は金属化合物、特に金属カルコゲニド、より好ましくは酸化物及び硫化物、窒化物、炭化物、ケイ化物及びホウ化物を含む金属の粒子である。1種類の粒子又は混合物を使用することが可能である。
元素B、Si、Al、Ti、Zr、Y、V、Cr、Cd、Mn、Fe、Cu、Zn、In、Nb、Ce、Ta、Mo又はWの酸化物、炭化物、窒化物、カルコゲニドが好ましい。
例は、ZnO、CdO、SiO、GeO、TiO、ZrO、CeO、SnO、Al(例えば、Amperit、ベーマイト、AlO(OH)、水酸化アルミニウムとしても)、B、In、La、Fe(例えば、ヘマタイト)、Fe、CuO、CuO、Ta、Nb、V、MoO又はWO等の(任意に水和した)酸化物、硫化物(例えば、CdS、ZnS、PbS及びAgS)、セレン化物(例えば、GaSe、CdSe及びZnSe)及びテルル化物(例えば、ZnTe又はCdTe)等の更なるカルコゲニド、AgCl、AgBr、AgI、CuCl、CuBr、CdI及びPbI等のハロゲン化物、CdC又はSiC等の炭化物、AlAs、GaAs及びGeAs等のヒ化物、InSb等のアンチモン化物、BN、AlN、Si及びTi等の窒化物、GaP、InP、Zn及びCd等のリン化物、リン酸塩、フィロケイ酸塩等の比較的複雑なケイ酸塩を含むケイ酸塩、タルク、ジルコン酸塩、アルミン酸塩、スズ酸塩、並びに対応する混合酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アンチモンスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、スピネル、フェライト、又はBaTiO及びPbTiO等のペロブスカイト構造を有する混合酸化物)である。さらに、対応する表面改質を有する限りは、慣用の顔料及び充填材、例えば黒鉛、バライト及び石膏等の硫酸塩、カルサイト、ドロマイト及び白亜等の炭酸塩、硫化亜鉛又はリトポン等の硫化物、ガラス、そしてまたシリカ、クリストバライト、タルク、カオリン及び雲母等の酸化物及びケイ酸塩も適している。
粒子のサイズは特に限定されない。1nmから1000nmの間の一次粒子サイズの粒子が適切に使用される(少なくとも100個の粒子の無作為標本でTEMによって測定)。500nm未満、好ましくは300nm未満の一次粒子サイズが好ましい。1nmから150nmの間の、好ましくは5nmから50nmの間の一次粒子サイズが特に好ましい。好ましくは、これらの値は、粒子の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%に当てはまる(少なくとも100個の粒子の無作為標本でTEMによって測定)。
使用される粒子は、好ましくは完全に再分散可能であり、すなわち、それらの粒子は凝集物を形成しない。
粒子は表面改質されている。粒子表面の改質は、本出願人によって、例えば国際公開第93/21127号又は国際公開第96/31572号においてナノスケールの固体粒子について記載されたような既知の方法である。表面改質された粒子を製造することができる原則的に2つの異なる方法があり、1つ目は、既に製造された粒子を改質することによる方法であり、2つ目は、対応する官能部を有する1つ以上の化合物を使用して粒子を製造することによる方法である。
改質剤を介して、粒子の表面上に官能基を結合させることが可能である。例は、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基、チオール基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基又はアミノ基等の、ハイブリッド系に関して上述した官能基である。
有機酸又は無機酸に加えて、適切な改質剤には、粒子の表面上に存在する基と反応及び/又は(少なくとも)相互作用することができる少なくとも1つの非加水分解性基を有する低分子量の有機化合物又は低分子量の加水分解性シランが含まれる。例えば、表面基として残余原子価の形で、例えば金属酸化物の場合には、ヒドロキシル基及びオキシ基、又は例えば金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基等の反応性基が粒子上に位置している。
例えば、任意に溶剤中及び任意に触媒の存在下で、粒子を以下に説明される改質剤と混合することによって、粒子を改質することができる。当然ながら、温度、割合、反応時間等のような適切な条件は、それぞれの特定の反応物及び所望の被覆度(degree of coverage)に依存する。
改質剤は、例えば、粒子の表面に共有結合及びイオン結合(塩様)又は配位結合のどちらも形成し得るが、一方で、純粋な相互作用には、例として、双極子−双極子相互作用、水素結合及びファンデルワールス相互作用が含まれる。共有結合、イオン結合及び/又は配位結合、好ましくは共有結合の形成が好ましい。配位結合は錯体の形成であると理解される。表面改質剤と粒子との間で、例えば、ブレンステッド型又はルイス型の酸/塩基反応、錯体形成又はエステル化が起こり得る。
粒子への結合のための表面改質剤の適切な官能基の例は、カルボン酸基、無水物基、酸アミド基、(第一級、第二級、第三級及び第四級)アミノ基、SiOH基、シランの加水分解性基、及びC−H−酸性部、例えばβ−ジカルボニル化合物である。これらの基の2つ以上が1つの分子中に同時に存在することも可能である(ベタイン、アミノ酸、EDTA等)。
表面改質に使用される化合物の例は、任意に(例えば、ヒドロキシルにより)置換された、1個〜24個の炭素原子を有し、エーテル基を含んでいてもよい飽和又は不飽和のモノカルボン酸及びポリカルボン酸(例えば、トリオキサデカン酸)、並びに更にはそれらの無水物、エステル(好ましくは、C〜Cアルキルエステル)及びアミド、例えばメチルメタクリレートである。
他の適切な表面改質剤の例は、式NR4+(式中、R〜Rは、任意に互いに異なり、好ましくは1個〜12個、特に1個〜8個の炭素原子を有する脂肪族基、芳香族基又は環状脂肪族基、例えば1個〜12個、特に1個〜8個、非常に好ましくは1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル及び1−プロピル、ブチル又はヘキシル)であり、Xは、有機アニオン又は無機アニオン、例えば酢酸イオン、OH、Cl、Br又はIである)の第四級アンモニウム塩、モノアミン及びポリアミン、特に一般式R3−nNH(式中、n=0、1又は2であり、基Rは、互いに独立して、1個〜12個、特に1個〜8個、非常に好ましくは1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピル、ブチル又はヘキシル)である)のモノアミン、及びエチレンポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)、アミノ酸、イミン、4個〜12個、特に5個〜8個の炭素原子を有するβ−ジカルボニル化合物、例えばアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸及びアセト酢酸のC〜Cアルキルエステル、例えばエチルアセトアセテート及びシランである。
改質は、好ましくは非加水分解性基を有する加水分解性シランを使用して行われる。加水分解性シランによるこの表面改質は、SiO又はCeO等の酸化物粒子に特に有用である。例は、一般式(I)のシランである。
重合性/重縮合性表面基を有するナノスケールの無機固体粒子のin situでの製造については、国際公開第98/51747号(独国特許出願公開第19746885号)を参照することができる。
上述の粒子を、本発明の有機改質された無機ハイブリッド材料で改質することも可能である。
成分b)の割合は、それぞれの場合に溶剤を含まない成分a)、成分b)及び成分c)の量に対して、すなわち組成物の固体含有量に基づき、好ましくは50重量%まで、好ましくは1重量%〜40重量%、好ましくは2重量%〜30重量%である。この場合に、顔料等の溶剤以外に存在するあらゆる更なる添加剤が固体含有量に含まれる。
1つの好ましい実施の形態では、有機改質された無機ハイブリッド材料の割合は、それぞれの場合に組成物の固体含有量に基づき、1重量%〜20重量%、より好ましくは3重量%〜10重量%、特に5重量%である。
別の好ましい実施の形態では、改質された粒子の割合は、1重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%、特に10重量%である。
両方の割合を互いに組み合わせることも可能である。
ポリロタキサンの割合は、好ましくは、組成物の固体含有量に基づき、45重量%超、好ましくは50重量%超、特に60重量%超である。
上記組成物は、好ましくは、1種以上の溶剤中の分散液の形で存在する。この場合の総固体含有量は、好ましくは5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%である。
1つの好ましい実施の形態では、架橋剤含有量は0.001重量%〜1重量%である。
使用することができる溶剤は、全ての適切な溶剤、好ましくは有機溶剤である。例は、酢酸ブチル、酢酸エチル又は1−メトキシ−2−プロピルアセテート等のエステル、アセトン、メチルイソブチルケトン又はメチルエチルケトン等のケトン、イソプロパノール等のアルコール、ブチルグリコール、メトキシプロパノール、テトラヒドロフラン等のエーテル、(アルキル)芳香族化合物、例えば、キシレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼン又はトリエチルベンゼン、プロピルベンゼン又はイソプロピルベンゼン、エチルメチルベンゼン、脂肪族炭化水素、例えばホワイトスピリット、テルペン炭化水素、例えばジペンテン、及びジクロロメタン又はクロロホルム等のハロゲン化炭化水素である。
上記組成物は、官能基(A)及び/又は官能基(B)と結合するために適した更なる疎水性化合物を更に含んでいてもよい。結果として、一方で、得られる材料の疎水性特性、例えば接触角に影響を与えることが可能である。他方で、架橋度を制御することも可能である。それというのも、これらの官能基(A)及び/又は官能基(B)は、もはや架橋のために利用することができないからである。少なくとも1つの官能基(A)及び/又は官能基(B)と反応することができる少なくとも1つの官能基を含む親水性化合物が好ましい。
そのような化合物は、好ましくは、存在する官能基(A)及び/又は官能基(B)に応じて、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体から選択される官能基、そしてまた環状及び/又は分岐状であってもよいC〜C10アルキル基を含む。そのような化合物の例は、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、無水酢酸及び塩化アセチルである。
本発明は更に、本発明の組成物を硬化させることにより得られる自己修復性複合材料に関する。硬化は、好ましくは加熱及び/又は放射線によって、好ましくは加熱によって実現される。
本発明は更に、本発明の組成物の準備することと、本発明の組成物を硬化させることとを含む、自己修復性複合材料の製造方法に関する。
上記の指示がない限り、追加の架橋剤の不存在下で、80℃から150℃の間、好ましくは100℃から130℃の間、より好ましくは120℃の温度で硬化させることが好ましい。硬化は、好ましくは5分間〜24時間、好ましくは1時間〜10時間にわたって行われる。
本発明は更に、自己修復性複合材料でコーティングされた表面に関する。このために、本発明の組成物を表面に適用して、硬化させる。表面は限定されず、例えば、金属、ガラス、セラミック、木材、コーティング、プラスチックであり得る。上記組成物は、浸漬、吹き付け、スピンコーティング、ナイフコーティング又は延展により適用され得る。このために、上記組成物は典型的には、水又は有機溶剤中の分散液又は溶液として使用される。
上記組成物は、例えば、粉末コーティング材料の成分として、粉末コーティングによって適用することもできる。
上記組成物又はそれから得られる生成物を、電着塗装用の電着コーティング材料の成分として使用することも可能である。
この目的で、添加剤及び/又は溶剤に関して組成を適合させる必要がある場合がある。アミノ基又はカルボン酸基等の対応する官能基が1つ以上の成分に存在する必要がある場合もある。
本発明は更に、本発明の自己修復性複合材料から作製された成形品に関する。この目的で、本発明の材料を型へと導入して、硬化させることができる。あるいは、多段階作業で、上記組成物の複数の層を適用して乾燥させた後にのみ、硬化させることもできる。
「自己修復」とは、人為作用なしに機械的曝露による損傷を修復する材料の能力を指す。これは、例えば、塗料及び接着剤のために非常に興味深いものである。そのような塗料及び接着剤は、例えば、洗車機又は気候による軽微な損傷を排除するために、例えば自動車部門で塗装において使用することができる。自己修復のために、複合材料を、特定の時間にわたって特定の温度に、好ましくは硬化用の温度を下回る温度へと加熱する必要がある場合があり、60℃〜100℃の温度が好ましい。
更なる用途は、フィルム、接着剤、例えば3D印刷で製造された成形品、フィルムコーティング、錆に対する保護コーティングとしての塗装等である。
用途に応じて、上記組成物は、溶剤、湿潤助剤、顔料、効果顔料、フレーク、マトリックス材料等の他の物質を含み得る。
更なる詳細及び特徴は、従属請求項に関連する好ましい実施例の以下の説明から明らかになる。この詳細な説明では、それぞれの特徴は、単独で又は互いに複数組み合わせて実現され得る。上記課題を解決するための可能性は、実施例に限定されない。
実施例は、図面で図示されている。個々の図における同じ参照符号は、同一の要素若しくは機能的に同一の要素又はそれらの機能の点で互いに対応する要素を示す。図面は、具体的には以下を示している。
MPS加水分解物(MPS:メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を有する試料の赤外スペクトル(FT−IR)(上部4000cm−1〜600cm−1、下部2000cm−1〜400cm−1)を示す図である。 CeO/MPS改質を有する試料の赤外スペクトル(FT−IR)(上部4000cm−1〜600cm−1、下部2000cm−1〜400cm−1)を示す図である。 SiO/GPTES改質を有する試料の赤外スペクトル(FT−IR)(上部4000cm−1〜400cm−1、下部2000cm−1〜400cm−1)を示す図である。 MPS加水分解物を有する試料の示差走査熱量測定(DSC、TOPEMモード)(上部:可逆熱流、下部:非可逆熱流)を示す図である。 CeO/MPS改質を有する試料の示差走査熱量測定(DSC)(上部:可逆熱流、下部:非可逆熱流)を示す図である。 SiO/GPTES改質を有する試料の示差走査熱量測定(DSC)(上部:可逆熱流、下部:非可逆熱流)を示す図である。 種々のレベルのSiO/GPTES及びCeO/MPSを有するPRコーティングについてのT(最大tanδシグナル、上部)及びTでの減衰の最大値(tanδ max、下部)を示す図である。 0%のSiOを有する試料についてのDE分光法(上部:貯蔵弾性率Eps’、下部:損失弾性率Eps’’)を示す図である。 5%のSiO/GPTES改質を有する試料についてのDE分光法(上部:貯蔵弾性率Eps’、下部:損失弾性率Eps’’)を示す図である。 30%のSiO/GPTES改質を有する試料についてのDE分光法(上部:貯蔵弾性率Eps’、下部:損失弾性率Eps’’)を示す図である。 5%のMPS加水分解物を有する試料についてのDE分光法(上部:貯蔵弾性率Eps’、下部:損失弾性率Eps’’)を示す図である。 透明性及び耐候安定性に関するサンテストの結果(重量%での量、フィルム厚さ:1mm)を示す図である。 MPS加水分解物で改質されたPRについての微小硬度の測定結果(HM:マルテンス硬度、HUpl:塑性変形に対する耐性)を示す図である。 CeO/MPS加水分解物で改質されたPRについての微小硬度の測定結果を示す図である。 SiO/GPTESで改質されたPRについての微小硬度の測定結果を示す図である。 純粋にポリマーをベースとするスライドリングゲルの概略図である。 ポリマー及び(ヘテロ)ポリシロキサンからのコポリマーとしての本発明のスライドリングゲルの概略図である。 スライドリングゲルをセラミック粒子に結合させることにより得られる本発明の複合材料の概略図である。 スライドリングゲルを、ポリオルガノシロキサンで表面改質されたセラミック粒子に結合させることにより得られる本発明の複合材料の概略図である。
表9は、組成物の固体含有量の割合としての成分b)の割合を示す。これは、硬化した組成物中の量に相当する。試料の表示のために、図面では、成分b)の目標固体含有量を使用した。
「PR−」が付いている試料の表示は、コーティングを指し、「S−」が付いていないものは、関連の塗料を指す。図面において、「PR−S−」は、硬化したコーティングを指し、「S−」を有しない表示「PR−」は、関連の塗料を指す。
実施例1:2成分系ポリロタキサンの製造
94.43gのRAMEB水溶液(RAMEB:部分的メチル化β−シクロデキストリン、Wacker Chemie社)(50重量%、36mmol)を、1.35ml(1.12g、10.8mmol)のスチレン(蒸留済み)及び5mlのメタノール(合成グレード)と混合する。次いで窒素を1時間にわたり導入する。0.140gの0.43mmolのラジカル開始剤VA044(2,2’−アゾビス[2−イミダゾリン−2−イル]プロパン)を1mlの蒸留水で溶解させ、同様に窒素で5分間脱気する。1時間後に系を閉じる。反応混合物を、8.2ml(4.9g、72mmol)の2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、0.042mlの四塩化炭素連鎖移動剤(ポリマー鎖に対して0.1mol%、5分間脱気済み)及び開始剤VA044と混合する。引き続き、温度を38℃に調整し、反応混合物を更に48時間撹拌した。反応の完了後に、ポリロタキサン−水混合物を10容量%のEtOHを含む冷水に添加し、20分間窒素でフラッシュする。濾過後に、この手順を更に2回繰り返す。引き続き、沈殿したポリロタキサンを80℃の真空乾燥キャビネット内で3日間乾燥させ、クロロホルム中に溶解させて、クロロホルムの濃縮後に、THFを添加し、生成物を引き続き減圧下で乾燥させた。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分析により、M=80000g/molの平均分子量が得られる。
実施例2:3成分系ポリロタキサンの製造(PR−bru008a/PR−bru008b
94.43gのRAMEB水溶液(RAMEB:部分的メチル化β−シクロデキストリン、Wacker Chemie社)(50重量%、36mmol)を、0.34ml(0.375g、3.6mmol)のスチレン(蒸留済み)及び5mlのメタノール(合成グレード)と混合する。次いで窒素を1時間にわたり導入する。0.140gの0.43mmolのラジカル開始剤VA044(2,2’−アゾビス[2−イミダゾリン−2−イル]プロパン)を1mlの蒸留水で溶解させ、同様に窒素で5分間脱気する。1時間後、システムを閉じる。反応混合物を、8.2ml(4.9g、72mmol)の2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、6.52ml(6.20g、72mmol)のメチルアクリレート、0.036mlのドデカンチオール連鎖移動剤(ポリマー鎖に対して0.1mol%、5分間脱気済み)及び開始剤VA044と混合する。引き続き、温度を38℃に調整し、反応混合物を更に48時間撹拌した。反応の完了後に、ポリロタキサン−水混合物を10容量%のEtOHを含む冷水に添加し、20分間窒素でフラッシュする。濾過後に、この手順を更に2回繰り返す。引き続き、沈殿したポリロタキサンを80℃の真空乾燥キャビネット内で3日間乾燥させ、クロロホルム中に溶解させて、クロロホルムの濃縮後に、THFを添加し、生成物を引き続き減圧下で乾燥させた。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分析により、M=26000g/molの平均分子量が得られる(モル分率 0.012のスチレン、0.004のシクロデキストリン、0.514のイソプレン、0.469のメタクリレート)。
基礎ポリロタキサンPR−bru008:PR−bru008a/PR−bru008bと同様であるが、0.012mlのドデカンチオール連鎖移動剤(ポリマー鎖に対して0.033mol%)を用いる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分析により、M=57000g/molの平均分子量が得られる。
室温でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリマーのモル質量及び分散度を測定した。PSS社(Polymer Standards Service社、ドイツ、マインツ(PSS社))製のSDV10Å及び10Åの2つのカラムを用いて分離を行った。屈折率検出器(Shodex RI−101)を使用して記録を行った。移動相はテトラヒドロフラン(THF)であり、Viscotek VE1121 GPCポンプを用いて流量を1ml/分に維持した。PSS社製の幾つかのポリスチレン標準(1090000g/molから682g/molまで)を使用してGPC検量線を求めた。
得られた試料について測定された貫通率は以下の通りであった:
PR_bru008: 1.57%
PR_bru008a: 3.42%
PR_bru008b: 3.73%
実施例3:エポキシシラン改質されたSiO粒子(SiO/GPTES)の製造
2.5ml(3.085gのSiO)のMIBK−ST(日産化学株式会社、オルガノシリカゾル(商標))を1.61mlのGPTESと混合し、40℃で4日間撹拌した。得られた分散液を、更なる後処理をせずに複合材の製造のために使用した。分散液の固体含有量は33.5重量%である。使用したSiO粒子はd90<15nmのサイズ分布を有する。粒子の大部分は10nm〜15nmの直径を有する。
実施例4:メルカプトシラン加水分解物(MPS加水分解物)の製造
5.8911gの3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)を0.3375gの蒸留水と混合する。最初に2相のエマルジョンを不活性ガス下にて60℃で23時間撹拌したところ、透明な混合物になった。真空乾燥キャビネット内にて100℃で溶剤を除去した後の得られた混合物の固体含有量は、重量測定により25重量%であると測定された。
実施例5:メルカプトシラン改質されたCeO粒子(CeO/MPS)の製造
0.3398gの20重量%のCeO水分散液(Sigma-Aldrich社)を1.974gの3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)と混合した。最初に2相のエマルジョンは、不活性ガス下にて60℃で17時間撹拌した後に、透明な分散液になった。真空乾燥キャビネット内にて100℃で溶剤を除去した後の得られた分散液の固体含有量は、重量測定により81.3重量%であると測定された。使用したCeO粒子は30nm〜50nmの粒子サイズを有する。
コーティング材料
実施例6:充填材を含まない架橋ポリマー:PR−S−171214−bru−1(PR−bru008;コーティング)/PR−S−171204−bru−1(PR−bru008a)/PR−S−180111−bru−1(PR−bru008b)/PR−171115−ali−1(PR−bru008;フィルム)
1.3gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008/PR−bru008a/PR−bru008b)を0.613gのMPA(1−メトキシ−2−プロピルアセテート)で希釈する。5分間の撹拌後に、0.075gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加し、更に5分間混合する。得られた混合物は、20重量%の固体含有量及び1.99gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例7:1%SiO/GPTESを含むPR−S−171121−bru−1 PR
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を2.382gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの0.051gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.2871gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び7.72gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例8:PR−S−171121−bru−2 5%SiO/GPTES
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を2.484gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの0.255gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.2871gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.03gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例9:PR−S−171127−bru−1 10%SiO/GPTES
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を2.611gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの0.510gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.2871gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.41gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例10:PR−S−171127−bru−2 20%SiO/GPTES
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を2.866gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの1.019gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.2871gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び9.17gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例11:PR−S−171127−bru−3 30%SiO/GPTES
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を3.121gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの1.529gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.2871gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び9.94gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
図3は、実施例6、実施例7、実施例9、実施例10及び実施例11の塗料のIRスペクトルを示している。1050cm−1付近で、MPS加水分解物のレベルの増加に伴うSi−O−Si吸収の増加が明らかである。
図6は、実施例6、実施例7、実施例9、実施例10及び実施例11の試料のDSC測定の結果を示している。
実施例12:PR−S−171204−bru−2 1%のMPS加水分解物
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008a)を2.282gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例4からの0.062gのMPS加水分解物を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.467gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び7.81gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例13:PR−S−171204−bru−3 5%のMPS加水分解物
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008a)を2.344gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例4からの0.309gのMPS加水分解物を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.467gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.12gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例14:PR−S−171213−bru−1 10%のMPS加水分解物
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008a)を2.421gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例4からの0.619gのMPS加水分解物を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.467gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.51gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例15:PR−S−171213−bru−2 20%のMPS加水分解物
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008a)を2.576gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例4からの1.237gのMPS加水分解物を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.467gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び9.28gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例16:PR−S−171213−bru−3 30%のMPS加水分解物
5gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008a)を2.731gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例4からの1.856gのMPS加水分解物を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.467gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び10.05gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
図1は、実施例6、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15及び実施例16の塗料のIRスペクトルを示している。1050cm−1付近で、MPS加水分解物のレベルの増加に伴うSi−O−Si吸収の増加が明らかである。
図4は、実施例6、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15及び実施例16の試料のDSC測定の結果を示している。
実施例17:PR−S−180111−bru−2 1%CeO/MPS
5.003gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008b)を2.269gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例5からの0.0196gの官能化CeO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.574gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び7.87gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例18:PR−S−180111−bru−3 5%CeO/MPS
5.000gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008b)を2.504gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例5からの0.0998gの官能化CeO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.575gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.18gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例19:PR−S−180118−bru−1 10%CeO/MPS
4.808gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008b)を2.678gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例5からの0.182gの官能化CeO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.549gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.22gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例20:PR−S−180118−bru−2 20%CeO/MPS
4.397gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008b)を2.982gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例5からの0.338gの官能化CeO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.505gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.22gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例21:PR−S−180118−bru−3 30%CeO/MPS
4.004gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008b)を3.179gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例5からの0.461gの官能化CeO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.458gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び8.10gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.8mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
図2は、実施例6、実施例17、実施例18、実施例19、実施例20及び実施例21の塗料のIRスペクトルを示している。1050cm−1付近で、MPS加水分解物のレベルの増加に伴うSi−O−Si吸収の増加が明らかである。
図5は、実施例6、実施例17、実施例18、実施例19、実施例20及び実施例21の試料のDSC測定の結果を示している。
実施例22:CDに疎水化を有するPR−S−180102−bru−1
1.1gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR_bru008)を0.024gのヘキシルイソシアネートのストック溶液(MPA中10重量%)と混合し、窒素下にて60℃で22時間撹拌した後に、0.52gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、0.032gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加し、更に5分間混合する。得られた混合物は20重量%の固体含有量及び1.67gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.7mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例23:CDに疎水化を有するPR−S−180106−bru−1+10%SiO/GPTES
1.01gのポリロタキサン基礎塗料(MPA中30重量%のPR−bru008)を0.0026gのヘキシルイソシアネートのストック溶液(MPA中10重量%)と混合し、窒素下にて60℃で22時間撹拌した後に、0.52gのMPAで希釈する。5分間の撹拌後に、実施例3からの0.104gの官能化SiO粒子を添加し、その混合物を30分間撹拌する。0.029gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、得られた混合物は20重量%の固体含有量及び1.69gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.7mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、その塗料を120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
成形品
実施例24:PR−171127−/PR−171121−x%のSiO/GPTESの成形品の製造
PTFE鋳造型において25mm×25mm×1mm(DE分光法用)及び20mm×10mm×1mm(DMTA測定用;図8、図9及び図10)のサイズを有する成形品を製造する。鋳造型をそれぞれ実施例6〜実施例11からの混合物で気泡が入らないよう慎重に充填し、真空乾燥キャビネット内にて60℃で300mbar下において架橋反応を開始させずに1時間にわたり溶剤を除去する。この手順を、溶剤不含の成形品が約1mmの厚さに達するまで、合計10回繰り返す。その後に、層状構造物全体を真空乾燥キャビネット内にて60℃で100mbarにおいて12時間乾燥させて、残留溶剤を除去する。引き続き、鋳造型内での混合物の最終硬化を120℃で30時間かけて行う。得られた成形品は透明であり、わずかに黄色がかっている。
実施例25:PR−171204−/PR−171213−x%のMPS加水分解物の成形品の製造
PTFE鋳造型において25mm×25mm×1mm(DE分光法用)及び20mm×10mm×1mm(DMTA測定用;図11)のサイズを有する成形品を製造する。鋳造型をそれぞれ実施例12〜実施例16からの混合物で気泡が入らないよう慎重に充填し、真空乾燥キャビネット内にて60℃で300mbar下において架橋反応を開始させずに1時間にわたり溶剤を除去する。この手順を、溶剤不含の成形品が約1mmの厚さに達するまで、合計10回繰り返す。その後に、層状構造物全体を真空乾燥キャビネット内にて60℃で100mbarにおいて12時間乾燥させて、残留溶剤を除去する。引き続き、鋳造型内での混合物の最終硬化を120℃で30時間かけて行う。得られた成形品は透明であり、わずかに黄色がかっている。
実施例26:PR−180111−/PR−180118−x%のCeO/MPSの成形品の製造
PTFE鋳造型において25mm×25mm×1mm(DE分光法用)及び20mm×10mm×1mm(DMTA測定用)のサイズを有する成形品を製造する。鋳造型をそれぞれ実施例17〜実施例21からの混合物で気泡が入らないよう慎重に充填し、真空乾燥キャビネット内にて60℃で300mbar下において架橋反応を開始させずに1時間にわたり溶剤を除去する。この手順を、溶剤不含の成形品が約1mmの厚さに達するまで、合計10回繰り返す。その後に、層状構造物全体を真空乾燥キャビネット内にて60℃で100mbarにおいて12時間乾燥させて、残留溶剤を除去する。引き続き、鋳造型内での混合物の最終硬化を120℃で30時間かけて行う。得られた成形品は透明であり、わずかに黄色がかっている。
実施例27:CDに疎水化を有するPR−S−180124−bru−1(2成分系)
0.104gのPR_bru010を0.412gのMPA及び0.821gのクロロベンゼン中に溶解させ、その溶液を0.308gのヘキシルイソシアネートのストック溶液(MPA中10重量%)と混合し、窒素下にて120℃で22時間撹拌した。高真空下で溶剤を除去した。残留物を0.329gのMPA中に溶解させ、その溶液を5分間撹拌した。0.142gのDesmodur N 3900架橋剤のストック溶液(MPA中10重量%のDesmodur N 3900)を添加した後に、再び5分間混合を行った。得られた混合物は、20重量%の固体含有量及び0.57gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.25mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、120℃のオーブン内で3時間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
実施例28:CDに疎水化を有すると共にメチルアクリレートを有するPR−S−180206_bru−1(3成分系)
0.1gのPR_bru008bを2.45gのピリジン(無水)中に溶解させ、0.0032gのメタクリル酸無水物と混合し、不活性ガス下にて60℃で24時間撹拌した。蒸留を介して溶剤を除去した。残留物を0.394gのMPAで溶解させた。5分間の撹拌後に、架橋のために0.177gのカンファーキノン及び0.206gの4−ジメチルアミノ安息香酸エチルを添加し(使用されるメタクリル酸に対して50mol%)、5分間混合を続ける。得られた混合物は、20重量%の固体含有量及び0.51gの総質量を有する。引き続き、それぞれの場合に0.20mlの塗料を、黒色塗装されたステンレス鋼板又はエタノールで清浄化したステンレス鋼基材にスピンコーティングによって適用し、水銀蒸気ランプを用いて2分間硬化させる。しっかりと付着した透明なコーティングが形成される。
自己修復性の時間−温度依存性
このために、種々の温度で、引っ掻き傷が消失(約0.8μm〜1.2μmの引っ掻き傷の深さ(50gでの引掻試験後))するまでの時間(t)を測定した。
表1は、MPS加水分解物で改質されたPRについての結果(黒色塗装上での測定)を示す。
表2は、CeO/MPS加水分解物で改質されたPRについての結果(黒色塗装上での測定)を示す。
表3は、SiO/GPTES加水分解物で改質されたPRについての結果(黒色塗装上での測定)を示す。
表4は、疎水化された系についての結果を示す。
成分b)の添加は、材料の自己修復能力を制限せず、むしろ部分的にそれを向上させることが明らかになる。これは、図7で測定された値からも明らかである。
表5は、ポリマーマトリックスに疎水化を有する及び有しないSiO/GPTESで改質されたPRについてのHOに対する接触角の測定(ステンレス鋼上での測定)の結果を示している。
試料の微小硬度を20℃で測定した(押し込み深さ:1μm、HM:マルテンス硬度、Ered:弾性率の低下、HUpl:塑性硬度(=塑性変形に対する耐性))。表6、表7及び表8は、MPS加水分解物で改質されたPR(ステンレス鋼上での測定、表6、図13)、CeO/MPS加水分解物で改質されたPR(ステンレス鋼上での測定、表7、図14)及びSiO/GPTESで改質されたPR(ステンレス鋼上での測定、表8、図15)の結果を示している。
図7は、種々のレベルのSiO/GPTES及びCeO/MPSを有するコーティングについてのT測定(最大tanδシグナル、上部)及びTでの減衰の最大値(tanδ max、下部)を示す。
図8、図9、図10及び図11は、0%のSiO(図8、図9及び図10)の含有量を増加させた場合の、そしてまた5%のMPS加水分解物(図11)の含有量を有する試料についてのDE分光法を示している。
図12は、UV耐候性の結果を示す。成分b)を含む試料は非常に優れた安定性を示した。この場合、MOxは成分b)の割合を表す。
Figure 2021519368
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引用文献
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WO2001038408A2
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Claims (11)

  1. 自己修復性複合材料のための組成物であって、
    a)コポリマーとそこに貫通された環状分子とを含む少なくとも1つのポリロタキサンと、ここで、少なくとも1つの環状分子は少なくとも1つの官能基(A)を有し、
    b)官能基(B)を含む少なくとも1つの有機改質された無機ハイブリッド材料、又は表面上に官能基(B)を有する少なくとも1種類の表面改質された無機粒子と、
    を含み、前記貫通された環状分子の少なくとも2つは、前記官能基(A)と前記官能基(B)との結合によって架橋され得る、組成物。
  2. 前記環状分子は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記有機改質された無機ハイブリッド材料は、ポリオルガノシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記組成物は、前記官能基(A)及び前記官能基(B)の両方と結合して、これらを互いに共に架橋させるのに適した、少なくとも2つの官能基を含む架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記無機粒子は、セラミック粒子であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記官能基(A)は、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記官能基(B)は、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、無水物基、イソシアネート基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、イソシアノ基、アクリレート基、メタクリレート基、アルデヒド基、又はそれらの前駆体から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を準備して、硬化させることを特徴とする、複合材料の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を硬化させることによって得られる複合材料。
  10. 請求項9に記載の複合材料を含む自己修復性表面。
  11. 請求項9に記載の複合材料を含む成形品。
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