JP2021511395A - リリー・オブ・ザ・バレーの匂い物質 - Google Patents

リリー・オブ・ザ・バレーの匂い物質 Download PDF

Info

Publication number
JP2021511395A
JP2021511395A JP2020522992A JP2020522992A JP2021511395A JP 2021511395 A JP2021511395 A JP 2021511395A JP 2020522992 A JP2020522992 A JP 2020522992A JP 2020522992 A JP2020522992 A JP 2020522992A JP 2021511395 A JP2021511395 A JP 2021511395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenyl
propanal
perfume
group
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020522992A
Other languages
English (en)
Inventor
クロン ジュリアン
クロン ジュリアン
オドン ジル
オドン ジル
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Firmenich SA
Original Assignee
Firmenich SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Firmenich SA filed Critical Firmenich SA
Publication of JP2021511395A publication Critical patent/JP2021511395A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11BPRODUCING, e.g. BY PRESSING RAW MATERIALS OR BY EXTRACTION FROM WASTE MATERIALS, REFINING OR PRESERVING FATS, FATTY SUBSTANCES, e.g. LANOLIN, FATTY OILS OR WAXES; ESSENTIAL OILS; PERFUMES
    • C11B9/00Essential oils; Perfumes
    • C11B9/0061Essential oils; Perfumes compounds containing a six-membered aromatic ring not condensed with another ring
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/33Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds containing oxygen
    • A61K8/34Alcohols
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C47/00Compounds having —CHO groups
    • C07C47/20Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C47/26Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms containing hydroxy groups
    • C07C47/267Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms containing hydroxy groups containing rings other than six-membered aromatic rings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C47/00Compounds having —CHO groups
    • C07C47/20Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C47/26Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms containing hydroxy groups
    • C07C47/27Unsaturated compounds having —CHO groups bound to acyclic carbon atoms containing hydroxy groups containing six-membered aromatic rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

本発明は、賦香成分としての、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式(I)[式中、R1が炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCHO基を表し、あるいはR1が水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCH(R6)CHO基を表し;各R2、R3、R4、R5、およびR6は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し;あるいはR3とR4とは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し;−C(R3)(R4)−CH(R5)−OH基は、1位に対し、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはそれらの混合体である]の化合物の使用に関する。さらに、賦香組成物の一部または賦香された消費者製品の一部としての式(I)の化合物も、本発明の一部である。

Description

本発明は、香料の分野に関する。より具体的には、本発明は、以下で定義する式(I)の化合物の、特にLyral(登録商標)タイプの匂いノートを与えるための賦香成分としての使用に関する。さらに、本明細書に記載されている内容により、本発明は、賦香組成物の一部または賦香消費者製品の一部としての式(I)の化合物を含む。
発明の背景
香料業界における主要な成分の一つは、フローラルの印象、特にリリー・オブ・ザ・バレー(スズラン)の匂いを付与する成分である。このノートは非常に重用されており、多数の賦香された消費者製品に使用されている。Lilial(登録商標)(2−メチル−3−[4−(2−メチル−2−プロパニル)フェニル]プロパナール、スイス国ヴェルニエのGivaudan−Roure SAの商標)およびLyral(登録商標)(4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、米国International Flavors&Fragrances社製)は、いずれもこの目的のために一般的に用いられている成分である。Lilial(登録商標)は、リリー・オブ・ザ・バレーおよびウォータリーのふくみをもつが、Lyral(登録商標)は、Lilial(登録商標)のノートとはかなり違ったフローラルの、リリー・オブ・ザ・バレーの、ヒドロキシシトロネラールの匂いノートを付与する。しかし、どちらの成分も、さまざまな理由から制限されている。
そこで、Lilial(登録商標)またはLyral(登録商標)の代替物として使用できる、リリー・オブ・バレーを付与する新規の賦香成分を開発する需要がある。
開発されているすべてのヒドロキシアルデヒドのLyral(登録商標)代替物は、Lyral(登録商標)中に存在する第3級アルコール官能基を維持している。
本発明者らが知る限りでは、本発明は、Lyral(登録商標)の代わりに使用することができる一方で、典型的な第3級アルコール官能基を含まない賦香ヒドロキシアルデヒド化合物を、初めて開示するものである。良好なバランスのとれたフローラルの、リリー・オブ・ザ・バレーの、ヒドロキシシトロネラールの匂いノートを有すること、およびその全体的な嗅覚特徴が、非常によく知られている成分であるLyralを強く思わせることを特徴とする賦香成分として、式(I)の化合物に唯一近い構造的類似体が、国際公開第2017009175号に報告されている。前述の類似体、3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールは、Lyral(登録商標)と同じく第3級アルコールを含み、すなわち本発明の化合物とはまったく別の化学構造をもつ。
この従来技術の文書は、式(I)の化合物のどの感覚刺激特性も、あるいは香料分野における該化合物の使用も、報告または示唆していない。
発明の概要
本発明は、Lyral(登録商標)方向のフローラル−ミュゲノートを付与するのに用いることができる式(I)の化合物に関する。
そこで、本発明の第1の対象は、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
Figure 2021511395
[式中、
が炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCHO基を表し、あるいはRが水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCH(R)CHO基を表し;
各R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し;あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し;
−C(R)(R)−CH(R)−OH基は、1位に対し、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはそれらの混合体である]
の化合物である。
本発明の第2の対象は、賦香組成物または賦香された物品の匂い特性を、与える、増強する、改善する、または変調する方法であって、該方法は、該組成物または物品に、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物を有効量で添加することを含む。
本発明の第3の対象は、上記で定義した式(I)の化合物であって、ただし、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、および3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナールが除外される。
本発明の別の対象は、
i)上記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物;
ii)香料担体および香料ベースからなる群より選択される少なくとも1つの成分;および
iii)任意選択により、少なくとも1つの香料アジュバント
を含む、賦香組成物である。
本発明の最後の対象は、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物、または上記で定義した組成物を含む、賦香された消費者製品である。
発明の詳細な説明
驚くべきことに、第1級または第2級アルコール官能基をもつ式(I)の化合物が、Lyral(登録商標)の全体的な嗅覚特徴にかなり近い、非常に興味深いリリー・オブ・ザ・バレータイプの匂いノートを付与すること、またそのうえ、特に重用されているパウダリーなふくみも与えることが発見された。両ノートの組み合わせは極めて珍しい。
驚くべきことに、立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合体の形態の、式
Figure 2021511395
の化合物[式中、
が炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCHO基を表し、あるいはRが水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCH(R)CHO基を表し;
各R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し;あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し;
−C(R)(R)−CH(R)−OH基は、1位に対し、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはそれらの混合体である]
を、たとえばlyral(登録商標)タイプの匂いノートに加えてパウダリーノートも付与するための賦香成分として用いることができる。
明瞭さを期して、「その立体異性体のいずれか1つ」という表現、または同様の表現は、当業者により理解される通常の意味を有し、すなわち本発明の化合物は、純粋な鏡像体(キラルの場合)、鏡像体の混合体、純粋なジアステレオマー、ジアステレオイソマーの混合体;またはそれらの混合体であってもよい。
明瞭さを期して、「−C(R)(R)−CH(R)−OH基は、1位に対し、芳香環のオルト、メタ、パラ置換基またはそれらの混合体である」という表現は、式(I)の化合物が純粋な位置異性体の形態であってもよいこと;たとえば−C(R)(R)−CH(R)−OH基は1位に対し芳香環のパラ置換基であり、あるいは式(I)の化合物は位置異性体の混合体の形態の場合もあること;たとえば混合体は、−C(R)(R)−CH(R)−OH基が1位に対し芳香環のパラ置換基である式(I)の化合物、および−C(R)(R)−CH(R)−OH基が1位に対し芳香環のメタ置換基である式(I)の化合物を含むことを指している。式(I)の化合物が位置異性体の混合物の形態である場合、X、R、R、R、R、R、およびRは各位置異性体の同じ意味を有する。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、該化合物(I)は炭素数11〜18の化合物であり、好ましくは炭素数は11〜15である。
上記の実施形態のいずれか1つでは、−C(R)(R)−CH(R)−OH基は、1位に対し、芳香環のメタ置換基またはパラ置換基であってもよい。
上記の実施形態のいずれか1つでは、賦香成分として用いられる化合物は、立体異性体のいずれか1つまたはそれらの混合体の形態の、式
Figure 2021511395
の化合物であり、式中、X、R、R、R、R、R、およびRは、上記と同じ意味を有する。
上記の実施形態のいずれか1つでは、賦香成分として用いられる化合物は、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
Figure 2021511395
の化合物であり、式中、R、R、R、R、R、およびRは、上記と同じ意味を有する。
上記の実施形態のいずれか1つでは、賦香成分として用いられる化合物は、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
Figure 2021511395
の化合物であり、式中、R、R、R、R、R、およびRは、上記と同じ意味を有する。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、R、R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子またはメチル基であってよく;あるいはRとRとは、互いに結合してエタンジイル基を表す。具体的には、該R、R、R、R、R、およびRの1つまたは2つが水素原子を表してもよく、他は水素原子またはメチル基を表してもよい。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、XがCHO基を表す場合、Rは炭素数1〜2のアルキル基であってもよく、あるいはXがCH(R)CHO基Rを表す場合、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であってもよく、Rは上記で定義したのと同じ意味を有する。好ましくは、XがCHO基を表す場合、Rはメチル基であってもよく、あるいはXがCH(R)CHO基を表す場合、Rは水素原子またはメチル基であってもよい。より好ましくは、XがCHO基を表す場合、Rはメチル基であってもよく、あるいはXがCH(R)CHO基を表す場合、Rは水素原子であってもよい。より好ましくは、Rは、水素原子であってもよく、XはCH(R)CHO基を表す。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であてもよい。好ましくは、Rは水素原子またはメチル基であってもよい。より好ましくは、Rは水素原子であってもよい。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であってもよい。好ましくは、Rは水素原子またはメチル基であってもよい。より好ましくは、Rは水素原子であってもよい。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、Rは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であってもよい。好ましくは、Rは水素原子またはメチル基であってもよい。より好ましくは、Rは水素原子であってもよい。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、RおよびRは水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であってよく;あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し得る。好ましくは、RおよびRは、水素原子またはメチル基であってよく;あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し得る。好ましくは、Rはメチル基であってもよく、Rは水素原子またはメチル基であってもよい;あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し得る。好ましくは、RおよびRはメチル基を表し得、あるいはRとRとは、互いに結合すると、エタンジイル基を表し得る。より好ましくは、RおよびRはメチル基を表し得る。
本発明の上記の実施形態のいずれか1つでは、式(I)の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(3−ヒドロキシ−2−メチルブタン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナール、および3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル)プロパナールからなる群より選択することができる。好ましくは、本発明の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナール、および3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル)プロパナールからなる群より選択することができる。より好ましくは、本発明の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、および3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナールからなる群より選択することができる。より好ましくは、本発明の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、および3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナールであってもよい。より好ましくは、本発明の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナールであってもよい。
発明者らが知る限りでは、本明細書で上記報告した式(I)の化合物は新規であり、したがって本発明の対象でもあるが、ただし、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、および3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナールは除外される。
式(I)の化合物の具体例として、また非限定的な例として、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナールを挙げることができ、これはフローラルなリリー・オブ・ザ・バレーの匂いノートを有すること、および全体的な嗅覚特徴が、非常によく知られている成分、Lyral(登録商標)(4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;米国International Flavors&Fragrances社製)を強く思わせることを特徴とする。この著しい類似は、当業界にとっては非常に興味深いものである。というのは、今やLyral(登録商標)はアレルゲンとなることから使用が限られており、当業界では現在もこの成分の嗅覚的代替物が待たれるためである。また、該成分は、特にムスキーノートと良好に混ざり合うパウダリーかつクリーミーなノートも有する。
本発明の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナールである。
本発明の化合物の匂いを従来技術の化合物、3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールの匂いと比べると、本発明の化合物もLyral(登録商標)タイプのリリー・オブ・ザ・バレーの匂いノートを有するが、パウダリーノートをもつことで区別される。従来技術の化合物と異なり、本発明の化合物は、サリチル酸エステル(salicate)およびムスキーノートと非常によく調和する。本発明の化合物は、Lyral(登録商標)代替物として使用できる一方で、パウダリー/クリーミーノートにより組成物のムスクノートをブーストする。こうした違いによって、本発明の化合物と従来技術の化合物とはそれぞれLyral(登録商標)代替物として適しているが、使い道は別々であり、すなわち異なる感覚刺激的印象を付与することになる。
上述したように、本発明は、賦香成分としての式(I)の化合物の使用に関する。換言すると、本発明は、賦香組成物の、または賦香された物品の、または表面の匂い特性を、与える、増強する、改善する、または変調する方法またはプロセスに関し、該方法は、該組成物または物品に、少なくとも1つの式(I)の化合物を有効量で添加して、たとえばその典型的なノートを付与することを含む。最終的な快香効果は本発明の化合物の厳密な用量および感覚刺激特性に左右されることにはなるが、いずれにせよ本発明の化合物の添加により、用量次第でその典型的なタッチをノート、タッチ、またはアスペクトの形態で最終製品に付与することになると理解される。
本明細書では「式(I)の化合物の使用」は、化合物(I)を含有するあらゆる組成物の使用も含むことを理解すべきであり、香料業界で有利に用いることができる。
該組成物は、実は賦香成分として有利に用いることができ、本発明の対象でもある。
したがって、本発明の別の対象は、
i)賦香成分として、上記で定義した本発明の化合物の少なくとも1つ;
ii)香料担体および香料ベースからなる群より選択される少なくとも1つの成分;および
iii)任意選択により、少なくとも1つの香料アジュバント
を含む、賦香組成物である。
本明細書では、「香料担体」とは、特に香料の観点から中性の、すなわち賦香成分の感覚刺激特性を大きく変えない物質を意味する。該担体は、液体でも固体でもよい。
液体担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料業界で一般に用いられる溶媒を挙げることができる。香料業界で一般に用いられる溶媒の特性および種類の詳細な説明を網羅することはできない。しかし、非限定的な例として、ブチレンもしくはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3−プロパントリイルトリアセタート、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル 1,3−ジアセチルオキシプロパン−2−イルアセタート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノ、クエン酸トリエチル、またはそれらの混合物などの最も一般的に用いられている溶媒を挙げることができる。香料担体と香料ベースの両方を含む組成物では、前記以外の好適な香料担体として、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンもしくは他のテルペン、商標Isopar(登録商標)(Exxon Chemical社製)として公知のものなどのイソパラフィン、または商標Dowanol(登録商標)(Dow Chemical Company社製)として公知のものなどのグリコールエーテルおよびグリコールエステル、または商標Cremophor(登録商標)RH 40(BASF社製)として公知のものなどの水素化ひまし油でもよい。
固体担体は、賦香組成物または賦香組成物の何らかの要素が化学的または物理的に結合することができる物質を指すものとする。一般に、そのような固体担体は、組成物を安定化させるため、または組成物もしくは一部の成分の蒸発速度を制御するために用いられる。当技術分野では固体担体が現在使用されており、当業者には、いかにして所望の効果に達するかが公知である。しかし固体担体の非限定的な例として、吸収性の粘着物、またはポリマー、または無機物、たとえば多孔性ポリマー、シクロデキストリン、木製材料、有機もしくは無機ゲル、クレイ、石膏、タルク、またはゼオライトを挙げることができる。
固体担体の他の非限定的な例としては、封入材を挙げることができる。そのような材料の例としては、壁形成および可塑性材料を挙げることができ、たとえば、モノサッカライド、ジサッカライド、もしくはトリサッカライド、天然または化工デンプン、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチンを挙げることができ、またはH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs− und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996などの参考書に記載の材料もある。封入は当業者にとっては周知のプロセスであり、たとえば噴霧乾燥、凝集、または押出などの技法を用いて実施することができ、あるいはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション法などの被覆封入からなる。
固体担体の非限定的な例として、特に、任意選択により高分子安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で重合、界面重合、コアセルベーション、またはこれら全部(これらの技法はすべて従来技術で説明されている)により誘発される相分離プロセスのような技法を用いるアミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア、もしくはポリウレタンタイプの樹脂、またはそれらの混合物(これらの樹脂はすべて当業者には周知である)のコア−シェルカプセルを挙げることができる。
樹脂は、アルデヒド(たとえばホルムアルデヒド、2,2−ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸、またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)と、アミン、たとえばウレア、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、ならびにそれらの混合物との重縮合により製造することができる。あるいは、既製の樹脂アルキル化(alkylolated)ポリアミン、たとえば商標Urac(登録商標)(Cytec Technology Corp.製)、Cy mel(登録商標)(Cytec Technology Corp.製)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(BASF社製)などの市販されているものを用いてもよい。
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアナートの三量体、イソホロンジイソシアナートもしくはキシリレンジイソシアナートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアナートのビウレット、またはトリメチロールプロパンが付加されたキシリレンジイソシアナートの三量体(商品名Takenate(登録商標)として公知、Mitsui Chemicals社製)、特にトリメチロールプロパンが付加されたキシリレンジイソシアナートの三量体およびヘキサメチレンジイソシアナートのビウレットのような、ポリイソシアナートとの重縮合により製造される樹脂である。
アミノ樹脂すなわちメラミン系樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料封入に関する重要な文献の一部には、K. Dietrich et al.が発表したActa Polymerica, 1989, vol. 40, p. 243, 325, 683ならびに1990, vol. 41, p. 91などの代表的な論文が含まれる。そのような論文には、そのようなコア−シェルマイクロカプセルの従来技術の方法による製造に影響するさまざまなパラメーターがすでに記載されており、それらは特許文献でさらに詳述され、かつ例示されてもいる。そうした特許文献の初期の関連特許の一例が、Wiggins Teape Group Limitedの米国特許第4,396,670号明細書である。以来、他の多くの著者によりこの分野の文献が増え、本明細書ですべての発表結果を網羅することは不可能であるが、封入技術の一般知識は極めて重要である。そのようなマイクロカプセルの好適な使用を開示しているより最近の関連出版物の代表的なものに、たとえばH.Y.Lee et al. Journal of Microencapsulation, 2002, vol. 19, p. 559−569の論文、国際公開第01/41915号、またはS. Bone et al. Chimia, 2011, vol. 65, p. 177−181の論文などがある。
本明細書では、「香料ベース」とは少なくとも1つの賦香共成分を含む組成物を意味する。
該賦香共成分は、式(I)のものではない。さらに、本明細書では「賦香共成分」は賦香調製物または組成物に快香効果を付与するのに用いられる化合物を意味する。換言すると、そのような共成分は、賦香成分とみなされるためには、単に匂いを有するだけでなく、いい匂いまたは心地よい匂いを組成物に付与することができるか、そのように変調することができると当業者によって認識されなくてはならない。
ベース中に存在する賦香共成分の特性および種類については、本明細書ではさらに詳しい説明はせず、いずれにせよ網羅できるものではないが、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また所期の使用または用途および所望の感覚刺激効果に基づき、選択することができる。おおまかに言えば、これらの賦香共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセタート、ニトリル、テルペノイド、窒素または硫黄含有ヘテロ環化合物、およびエッセンシャルオイルといったさまざまな化学種のクラスに属し、該賦香共成分は、天然由来でも合成でもよい。
特に、類似の嗅覚ノートを有することで知られる次のような賦香共成分を挙げることができる。
特に、芳香物配合物において一般的に用いられる次のような賦香共成分を挙げることができる。
−アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2−メチル−ウンデカナール、10−ウンデセナール、オクタナール、および/またはノネナール;
−アロマティックハーブ成分:ユーカリオイル、ショウノウ、ユーカリプトール、メンソール、および/またはアルファ−ピネン;
−バルサミック成分:クマリン、エチルバニリン、および/またはバニリン;
−シトラス成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジオイル、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1−P−メンテン−8−イルアセタート、および/または1,4(8)−P−メンタジエン;
−フローラル成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロオール、シトロネロール、フェニルエタノール、3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ−2−イソブチル−4−メチル−4(2H)−ピラノール、ベータイオノン、メチル2−(メチルアミノ)ベンゾアート、(E)−3−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、サリチル酸ヘキシル、3,7−ジメチル−1,6−ノナジエン−3−オール、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、P−メンタ−1−エン−8−オール、4−(1,1−ジメチルエチル)−1−シクロヘキシルアセタート、1,1−ジメチル−2−フェニルエチルアセタート、4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3−メチル−5−フェニル−1−ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロオール、シス−7−P−メンタノール、プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロパノアート、2−メトキシナフタレン、2,2,2−トリクロロ−1−フェニルエチルアセタート、4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、4−フェニル−2−ブタノン、酢酸イソノニル、4−(1,1−ジメチルエチル)−1−シクロヘキシルアセタート、イソ酪酸ベルジル、および/またはメチルイオノン異性体の混合体;
−フルーティー成分:ガンマウンデカラクトン、4−デカノリド、エチル2−メチル−ペンタノアート、酢酸ヘキシル、エチル2−メチルブタノアート、ガンマノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2−フェノキシエチルイソブチラート、エチル2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−アセタート、および/またはジエチル1,4−シクロヘキサンジカルボキシラート;
−グリーン成分:2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、2−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセタート、酢酸スチラリル、アリル(2−メチルブトキシ)アセタート、4−メチル−3−デセン−5−オール、ジフェニルエーテル、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、および/または1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;
−ムスク成分:1,4−ジオキサ−5,17−シクロヘプタデカンジオン、ペンタデセノリド、3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−g−2−ベンゾピラン、(1S,1´R)−2−[1−(3´,3´−ジメチル−1´−シクロヘキシル)エトキシ]−2−メチルプロピルプロパノアート、ペンタデカノリド、および/または(1S,1´R)−[1−(3´,3´−ジメチル−1´−シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノアート;
−ウッディ成分:1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン、パチュリオイル、パチュリオイルのテルペン部、(1´R,E)−2−エチル−4−(2´,2´,3´−トリメチル−3´−シクロペンテン−1´−イル)−2−ブテン−1−オール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、メチルセドリルケトン、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール、1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタン−1−オン、および/または酢酸イソボルニル;
−他の成分(たとえばアンバー、パウダリースパイシー、またはウォータリー):ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フランおよびそのいずれかの立体異性体、ヘリオトロピン、アニス系アルデヒド、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、クローブオイル、3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール、および/または3−(3−イソプロピル−1−フェニル)ブタナール。
本発明の香料ベースは、上述の賦香共成分に限らなくてもよく、ともかく、こうした共成分のその他多くが、S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, (米), 1969, Montclair, New Jerseyという書籍もしくはその最新版、または同様の書籍などの参考書、ならびに香料分野の豊富な特許文献などに載っている。また、それらの共成分は、さまざまな種類の賦香化合物を制御下で放出することが知られる化合物であってもよいことを理解されたい。
本明細書では、「香料アジュバント」とは、色、特定の耐光性、化学的安定性その他などの追加で付加される恩恵を付与することができる成分を意味する。賦香組成物に一般に用いられるアジュバントの特性および種類の詳しい説明は網羅できるものではないが、そのような成分は当業者には周知であることを述べておかねばならない。非限定的な具体例としては、次のものを挙げることができる:粘性剤(たとえば界面活性剤、増粘剤、ゲル化、および/またはレオロジー変調剤)、安定剤(たとえば保存料、抗酸化剤、熱/光、および/またはバッファーまたはキレート剤、たとえばBHT)、着色剤(たとえば染料、および/または顔料)、保存料(たとえば抗菌剤、または抗微生物剤、または抗真菌剤、または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、防虫剤、軟膏、ビタミン、およびそれらの混合物。
なお、当業者であれば、単に当技術分野の標準的な知識を使って、また試行錯誤的な手法により、上述の賦香組成物の構成要素を混合することにより、所望の効果を得るための最適な配合物を完璧に設計することができることを理解されたい。
少なくとも1つの式(I)の化合物および少なくとも1つの香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態、ならびに少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料担体、少なくとも1つの香料ベース、および任意選択により少なくとも1つの香料アジュバントを含む賦香組成物からなる。
特定の実施形態では、上述の組成物は、式(I)の化合物を2つ以上含み、調香師が本発明のさまざまな化合物の香調をもつアコードまたは芳香物を製造することを可能にし、したがって創香のための新たな基本要素となる。
明瞭さを期して、化学合成から直に得られるあらゆる混合物、たとえば本発明の化合物が出発物質、中間物質、または最終産物として含まれる一方で、適切に精製されていない反応媒体物は、本発明の化合物が香料として好適な形態で得られないかぎり、そのような混合物は本発明の賦香組成物とみなされないことも理解されたい。したがって、未精製の反応混合物は一般に、特に断りがないかぎり、本発明から除外される。
式(I)の化合物はまた、現代のあらゆる香料分野、すなわち芳香香料でも機能香料でも、該化合物(I)が添加される消費者製品にいい匂いを付与するか、匂いを変調するのに有利に用いることができる。したがって、本発明の別の対象は、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物を賦香成分として含む、賦香された消費者製品からなる。
式(I)の化合物は、そのままで、または本発明の賦香組成物の一部として、添加することができる。
明瞭さを期して、「賦香された消費者製品」とは、それが使用される表面または空間(たとえば皮膚、髪、布、または家の表面)に、少なくとも心地よい賦香効果を送達する消費者製品を指すものとする。換言すると、本発明の賦香された消費者製品は、所望の消費者製品に対応する機能配合物および任意選択により追加の利点のある薬剤、および嗅覚的有効量の本発明の少なくとも1つの化合物を含む、賦香された消費者製品である。明瞭さを期して、該賦香された消費者製品は、食用の製品ではない。
賦香された消費者製品の構成要素の特性および種類については、本明細書ではさらに詳しい説明はしないし、いずれにせよ網羅できるものではないが、当業者であれば、自身の一般知識に基づき、また該製品の特性および所望の効果に応じて選択することができる。
好適な賦香された消費者製品の非限定的な例としては、芳香物、たとえばファインパフューム、スプラッシュもしくはオードパルファム、コロンもしくはシェーブローションもしくはアフターシェーブローション;布類ケア製品、たとえば液体もしくは固形洗剤、衣類柔軟剤、液体もしくは固形芳香剤、布類リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品;ボディケア製品、たとえばヘアケア製品(たとえばシャンプー、カラーリング剤もしくはヘアスプレー、カラーケア製品、整髪剤、デンタルケア製品)、殺菌剤、デリケートゾーンケア製品;化粧品(たとえばスキンクリームもしくはローション、バニシングクリーム、またはデオドラントもしくは制汗剤(たとえばスプレーまたはロールオン)、脱毛剤、日焼けもしくはサンケアもしくはアフターサン製品、ネイル製品、皮膚用クレンジング剤、メーキャップ品);またはスキンケア製品(たとえば石鹸、シャワーもしくはバス用ムース、オイルもしくはジェル、または衛生製品もしくは足/手ケア製品);家庭の空間(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴、または車)、および/または公共の空間(ホール、ホテル、モール、その他)で使えるエアケア製品、たとえばエアフレッシュナーまたは「すぐに使える」粉末状エアフレッシュナー;またはホームケア製品、たとえば除黴剤、家具ケア製品、拭き取り製品、食器用洗剤もしくは硬面用(たとえば床、浴室、トイレ、または窓掃除用)洗剤;皮革ケア製品;カーケア製品、たとえばポリッシュ、ワックス、またはプラスチッククリーナーが挙げられる。
上述の賦香された消費者製品の一部は、本発明の化合物にとってアグレッシブな媒体となり得るので、本発明の化合物が早期に分解してしまわないように、たとえば封入によって、または好適な外的刺激、たとえば酵素、光、熱、もしくはpHの変化により本発明の成分を放出するのに適した別の化学物質と結合させるなどして、保護する必要があってもよい。
上述のさまざまな製品または組成物に式(I)の化合物を組み入れる割合は、広い範囲の多様な値をとる。これらの値は、賦香される物品の特性、および所望の感覚刺激効果、ならびに本発明の化合物が当技術分野で一般に用いられる賦香共成分、溶媒、または添加剤と混合される場合は所与のベース中の共成分の特性に左右される。
たとえば、賦香組成物の場合、式(I)の化合物の典型的な濃度は、それらが組み入れられる組成物の重量に対し、およそ0.001〜10重量%、またはそれ以上となる。賦香された消費者製品の場合、式(I)の化合物の典型的な濃度は、それらが組み入れられる消費者製品の重量に対し、およそ0.0001〜2重量%、好ましくはおよそ0.0001〜1重量%、またはそれ以上となる。
式(I)の化合物は、以下に記載の方法により製造することができる。
実施例
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。ここで、略号は当技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で表示する;NMRスペクトルデータは、500MHzのマシンで、(特に断りがない限り)CDCl中、Hおよび13Cについて記録したものであり、化学シフトδはTMSを標準としてppmで表示し、結合定数JはHzで表す。
実施例1
式(I)の化合物の合成
・3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール
ステップ1:2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン−1−オール:
0℃の水素化アルミニウムリチウム(2.95g、78mmol、2当量)のTHF(70mL)懸濁液に、メチル2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパノアート(10g、39mmol、1当量)のTHF(60mL)溶液を滴下して添加した。反応物を0℃で1時間撹拌した後、3mLの水、9mLの5%水酸化ナトリウム溶液、そして3mLの水で順にクエンチした。それを、溶出剤としてエーテルを用いてセライトパッドでろ過した。溶媒を蒸発させて、バルブ・ツー・バルブ蒸留(2〜4mbar、130℃)により残渣を精製して、2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン−1−オールを得た(8.27g、93%収率)。
Figure 2021511395
ステップ2:3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール:
2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン−1−オール(5.0g、21.8mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(5.5mL、24.0mmol、1.1当量)とのDMF(44mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。アリルアルコール(1.63mL、24.0mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(125mg、0.22mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(221mg、0.66mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣(直鎖/分枝生成物のGC比:5.6:1)をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt7:3〜65:35)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.35mbar、140〜145℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(2.57g、57%収率)。
Figure 2021511395
マイナーな異性体:2−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール
Figure 2021511395
・3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)−2−メチルプロパナール
2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン−1−オール(2.0g、8.73mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(2.2mL、9.60mmol、1.1当量)とのDMF(17mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。メタリルアルコール(0.81mL、9.60mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(50mg、0.087mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(88mg、0.26mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt7:3)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.35mbar、145〜150℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(1.49g、77%収率)。
Figure 2021511395
・3−(4−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール
ステップ1:エチル2−(4−ブロモフェニル)プロパノアート:
−78℃のエチル2−(4−ブロモフェニル)アセタート(17.1g、70mmol、1当量)のTHF(235mL)溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M、77mL、77mmol、1.1当量)溶液を滴下して添加した。−78℃で15分間撹拌した後、ヨードメタン(5.5mL、88mmol、1.25当量)を滴下して添加した。反応物を−78℃で1時間30分間撹拌した後、塩化アンモニウムの飽和溶液でクエンチした。それをエーテルを用いて3回抽出し、有機抽出物を合して硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt98:2)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(2〜3mbar、140℃)により精製して、所望のエステルを油状物として得た(9.72g、54%収率)。
ステップ2:2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1−オール:
0℃の水素化アルミニウムリチウム(1.42g、37mmol、2当量)のTHF(31mL)懸濁液に、エチル2−(4−ブロモフェニル)プロパノアート(4.8g、19mmol、1当量)のTHF(31mL)溶液を滴下して添加した。反応物を室温で2時間撹拌した後、0℃まで冷却し、1.4mLの水、4.2mLの5%NaOH溶液、および1.4mLの水で順にクエンチした。それを、溶出剤としてエーテルを用いてセライトパッドでろ過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をそのまま次のステップに用いた。
ステップ3:3−(4−(1−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール:
2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1−オール(3.78g、17.6mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(4.42mL、19.3mmol、1.1当量)とのDMF(35mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。アリルアルコール(1.31mL、19.3mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(101mg、0.18mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(178mg、0.53mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣(直鎖/分枝生成物のGC比:5.6:1)をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt6:4)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.35mbar、140〜145℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(1.92g、57%収率)。
Figure 2021511395
・3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール
ステップ1:1−(4−ブロモフェニル)プロパン−2−オール:
0℃の水素化アルミニウムリチウム(891mg、23.5mmol、1当量)のTHF(30mL)懸濁液に、1−(4−ブロモフェニル)プロパン−2−オン(5.00g、23.5mmol、1当量)のTHF(17mL)溶液を滴下して添加した。反応物を0℃で1時間撹拌した後、0.9mLの水、2.7mLの5%水酸化ナトリウム溶液、および0.9mLの水で順にクエンチした。それを、溶出剤としてエーテルを用いてセライトパッドでろ過した。溶媒を蒸発させ、残渣をバルブ・ツー・バルブ蒸留(2〜4mbar、130℃)により精製して、2−(4−ブロモフェニル)−2−メチルプロパン−1−オールを得た(4.91g、97%収率)。
Figure 2021511395
ステップ2:3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール:
1−(4−ブロモフェニル)プロパン−2−オール(3.0g、13.9mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(3.5mL、15.3mmol、1.1当量)とのDMF(28mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。アリルアルコール(1.04mL、15.3mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(80mg、0.14mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(141mg、0.42mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣(直鎖/分枝生成物のGC比:5.6:1)をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt65:35)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.35mbar、140〜145℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(1.39g、52%収率)。
Figure 2021511395
・3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナール
ステップ1:3−(4−ブロモフェニル)ブタン−2−オール:
−78℃の1,4−ジブロモベンゼン(15.0g、63.6mmol、1当量)のTHF(212mL)溶液に、n−BuLi(2.45M、26.0mL、63.6mmol、1当量)を滴下して添加した。−78℃で30分間撹拌した後、2,3−ジメチルオキシラン(6.84mL、76mmol、1.2当量)を滴下して添加した。−78℃で30分間撹拌した後、三フッ化エーテル酸ホウ素(9.67mL、76mmol、1.2当量)を滴下して添加した。反応物を−78℃で2時間撹拌した後、酒石酸Na/Kの10%w/w溶液でクエンチし、混合物を一晩かけて室温になるまで放置した。エーテルを用いて3回抽出し、有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をバルブ・ツー・バルブ蒸留(125〜130℃、2〜4mbar)により精製して、3−(4−ブロモフェニル)ブタン−2−オールを油状物として得た(2.85g、20%収率)。
ステップ2:3−(4−(3−ヒドロキシブタン−2−イル)フェニル)プロパナール:
3−(4−ブロモフェニル)ブタン−2−オール(2.79g、12.2mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(3.07mL、13.4mmol、1.1当量)とのDMF(24mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。アリルアルコール(0.91mL、13.4mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(70mg、0.12mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(123mg、0.36mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣(直鎖/分枝生成物のGC比:5.3:1)をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt65:35)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.35mbar、140〜145℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(691mg、27%収率)。
Figure 2021511395
・3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル)プロパナール
ステップ1:メチル2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)アセタート:
2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)酢酸(10.0g、43.7mmol、1当量)と、アセトン(87mL)中の炭酸カリウム(9.05g、65.5mmol、1.5当量)との混合物に、ヨードメタン(5.46mL、87mmol、2当量)を添加し、反応物を室温で4日間撹拌した。アセトンを蒸発させ、塩化アンモニウムの飽和溶液を添加し、エーテルを用いて3回抽出した。有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をバルブ・ツー・バルブ蒸留(130〜135℃、2〜4mbar)により精製して、メチル2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)アセタートを油状物として得た(9.24g、87%収率)。
ステップ2:メチル2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−2−メチルプロパノアート:
−78℃のメチル2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)アセタート(9.19g、37.8mmol、1当量)のTHF(126mL)溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M、95mL、95mmol、2.3当量)溶液を滴下して添加した。−78℃で15分間撹拌した後、ヨウ化メチル(7.09mL、113mL、3当量)を滴下して添加した。反応物を−78℃で1時間30分撹拌した後、塩化アンモニウムの飽和溶液でクエンチした。それを、エーテルを用いて3回抽出し、有機抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt98:2)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(2〜3mbar、140℃)により精製して、所望のエステルを油状物として得た(9.10g、89%収率)。
ステップ3:2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オール:
0℃の水素化アルミニウムリチウム(2.53g、66.8mmol、2当量)のTHF(60mL)懸濁液に、メチル2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−2−メチルプロパノアート(9.05g、33.4mmol、1当量)のTHF(51mL)溶液を滴下して添加した。室温で2時間撹拌した後、反応物を0℃まで冷却し、2.5mLの水、7.5mLの5%NaOH溶液、および2.5mLの水で順にクエンチした。それを、溶出剤としてエーテルを用いてセライトパッドでろ過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をそのまま次のステップに用いた。
ステップ4:3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)−2−メチルフェニル)プロパナール:
2−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オール(7.49g、27.1mmol、1当量)とN−シクロヘキシル−N−メチルアミンシクロヘキサンアミン(6.83mL、29.8mmol、1.1当量)とのDMF(54mL)溶液を脱気し、アルゴン雰囲気下で20分間撹拌した。アリルアルコール(2.03mL、29.8mmol、1.1当量)およびビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(156mg、0.27mmol、0.01当量)を添加してから、2−(tert−ブチルホスフィノ)−1−フェニル−1H−インドール(274mg、0.81mmol、0.03当量)を添加し、反応物を100℃まで1時間加熱した。室温まで冷却後、エーテルで希釈し、水で3回洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣(直鎖/分枝生成物のGC比:25:1)をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt65:35)およびバルブ・ツー・バルブ蒸留(0.15mbar、140〜145℃)により精製して、所望のアルデヒドを油状物として得た(3.56mg、60%収率)。
Figure 2021511395
実施例2
賦香組成物の製造
女性用香料を、以下の成分を混合することにより製造した:
Figure 2021511395
Figure 2021511395
実施例1で得られた3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール800重量部を、ジプロピレングリコール800重量部の代わりに上述の組成物に添加すると、該組成物にLyral(登録商標)方向のフローラルミュゲノートが付与され、そのうえ、よりクリーミーでパウダリーなアスペクトが与えられた。
本発明の化合物の代わりに、同量の3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールでジプロピレングリコール800重量部を置き換えた場合、組成物は、3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールの代わりにLyral(登録商標)が添加された場合と非常に近い、顕著なラジアンス、およびフローラルのしっとりとしたツイストに伴うボリュームを得た。
Lyral(登録商標)および3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールは、賦香組成物のオゾン、ウォータリー、およびサリチル酸エステルのノートとよく混ざり合うが、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナールは、サリチル酸エステルおよびムスキーのノートと特によく混ざり合う。
実施例3
賦香組成物の製造
男性用香料を、以下の成分を混合することにより製造した:
Figure 2021511395
Figure 2021511395
実施例1で得られた3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール800重量部をジプロピレングリコール800重量部の代わりに上述の組成物に添加すると、該組成物にLyral(登録商標)方向のフローラルミュゲノートが付与され、そのうえ、よりクリーミーでパウダリーなアスペクトが与えられた。
本発明の化合物の代わりに、同量の3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールでジプロピレングリコール800重量部を置き換えた場合、組成物は、3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールの代わりにLyral(登録商標)が添加された場合と非常に近い、顕著なラジアンス、およびフローラルのしっとりとしたツイストに伴うボリュームを得た。
Lyral(登録商標)および3−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル]プロパナールは、賦香組成物のオゾン、ウォータリー、サリチル酸エステル、およびオークモスのノートとよく混ざり合うが、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナールは、サリチル酸エステルおよびムスキーのノートと特によく混ざり合う。
実施例4
本発明の組成物を含む香料の製造
香料の総重量に対し、5〜15重量%の実施例2または3の本発明の組成物を静かに振とうしながらエタノールに添加することにより、香料を製造した。

Claims (15)

  1. 賦香成分としての、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式(I)
    Figure 2021511395
    [式中、
    が炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCHO基を表し、あるいはRが水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表す場合、XはCH(R)CHO基を表し;
    各R、R、R、R、およびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を表し;あるいはRとRとは、互いに結合してエタンジイル基を表し;
    −C(R)(R)−CH(R)−OH基は、1位に対し、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはそれらの混合体である]
    の化合物の使用。
  2. −C(R)(R)−CH(R)−OH基が、1位に対し、芳香環のメタ置換基またはパラ置換基であることを特徴とする、請求項1記載の使用。
  3. 化合物(I)が、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
    Figure 2021511395
    [式中、X、R、R、R、R、R、およびRは、請求項1で定められたのと同じ意味を有する]
    の化合物であることを特徴とする、請求項1から2までのいずれか1項記載の使用。
  4. XがCHO基を表す場合、Rはメチル基であり、あるいはXがCH(R)CHO基を表す場合、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは請求項1で定められたのと同じ意味を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
  5. 前記化合物(I)が、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
    Figure 2021511395
    [式中、R、R、R、R、R、およびRは、上記と同じ意味を有する]
    の化合物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
  6. 、R、およびRが、水素原子またはメチル基であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
  7. がメチル基であって、Rが水素原子またはメチル基であってもよいか、RとRとは、互いに結合してエタンジイル基を表すことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
  8. 前記化合物(I)が、立体異性体のいずれか1つ、またはそれらの混合物の形態の、式
    Figure 2021511395
    [式中、R、R、R、およびRは、上記と同じ意味を有する]
    の化合物であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
  9. 、R、R、およびRが、互いに独立して、水素原子を表すことを特徴とする、請求項8記載の使用。
  10. 賦香組成物または賦香された物品の匂い特性を、与える、増強する、改善する、または変調する方法であって、前記組成物または物品に、請求項1から9までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物を、有効量で添加することを含む、方法。
  11. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の式(I)の化合物であって、ただし、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(3−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)プロパナール、3−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(3−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)プロパナール、3−(2−(1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナール、3−(2−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)プロパナール、3−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ブタナール、および3−(4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)ブタナールは除外される、化合物。
  12. i)請求項1から9までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物;
    ii)香料担体および香料ベースからなる群より選択される少なくとも1つの成分;および
    iv)任意選択により、少なくとも1つの香料アジュバント
    を含む、賦香組成物。
  13. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の少なくとも1つの式(I)の化合物、または請求項12に記載の組成物を含む、賦香された消費者製品。
  14. 前記香料消費者製品が、芳香物、布類ケア製品、ボディケア製品、化粧品、スキンケア製品、エアケア製品、またはホームケア製品であることを特徴とする、請求項13記載の賦香された消費者製品。
  15. 前記香料消費者製品が、ファインパフューム、スプラッシュもしくはオードパルファム、コロン、シェーブローションもしくはアフターシェーブローション、液体もしくは固形洗剤、衣類柔軟剤、布類リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品、シャンプー、カラーリング剤、カラーケア製品、整髪剤、デンタルケア製品、殺菌剤、デリケートゾーンケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラントもしくは制汗剤、脱毛剤、日焼けもしくはサンケア製品、ネイル製品、皮膚用クレンジング剤、メーキャップ品、芳香石鹸、シャワーもしくはバス用ムース、オイルもしくはジェル、足/手ケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使える」粉末状、エアフレッシュナー、除黴剤、家具ケア製品、拭き取り製品、食器用洗剤もしくは硬面用洗剤、皮革ケア製品、カーケア製品であることを特徴とする、請求項14記載の賦香された消費者製品。
JP2020522992A 2018-01-19 2019-01-17 リリー・オブ・ザ・バレーの匂い物質 Pending JP2021511395A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18152452 2018-01-19
EP18152452.1 2018-01-19
PCT/EP2019/051112 WO2019141761A1 (en) 2018-01-19 2019-01-17 Lily of the valley odorant

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021511395A true JP2021511395A (ja) 2021-05-06

Family

ID=61188592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020522992A Pending JP2021511395A (ja) 2018-01-19 2019-01-17 リリー・オブ・ザ・バレーの匂い物質

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10980722B2 (ja)
EP (1) EP3681987B8 (ja)
JP (1) JP2021511395A (ja)
CN (1) CN111295438A (ja)
ES (1) ES2882078T3 (ja)
WO (1) WO2019141761A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4229165A1 (en) * 2020-12-18 2023-08-23 Firmenich SA A synergistic perfuming composition

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4396670A (en) 1980-04-08 1983-08-02 The Wiggins Teape Group Limited Process for the production of microcapsules
FR2801811B1 (fr) 1999-12-06 2002-05-03 Gerard Habar Procede de fabrication de microcapsules portant des charges cationiques
WO2016074719A1 (en) 2014-11-12 2016-05-19 Givaudan Sa Improvements in or relating to organic compounds
MX2017013930A (es) 2015-07-14 2018-01-15 Firmenich & Cie Compuesto que tiene olor de lirio del valle.
WO2018134221A1 (en) * 2017-01-18 2018-07-26 Firmenich Sa Composition having a muguet odor
US10526562B2 (en) * 2017-01-18 2020-01-07 Firmenich Sa Composition having a muguet odor

Also Published As

Publication number Publication date
EP3681987B1 (en) 2021-06-09
ES2882078T3 (es) 2021-12-01
EP3681987B8 (en) 2021-08-11
EP3681987A1 (en) 2020-07-22
WO2019141761A1 (en) 2019-07-25
US20200337962A1 (en) 2020-10-29
CN111295438A (zh) 2020-06-16
US10980722B2 (en) 2021-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6763017B2 (ja) グリーン、スズランの付香成分
JP6785835B2 (ja) ミュゲの香りを有する化合物
JP7368530B2 (ja) ミュゲ香気を有する組成物
CN110418780B (zh) 作为加香成分的环己烯衍生物
CN110225964B (zh) 具有铃兰气味的组合物
JP6713484B2 (ja) オスマンサス匂い物質
JP2021517176A (ja) アルデヒド系匂い物質
JP2021511395A (ja) リリー・オブ・ザ・バレーの匂い物質
JP2020527539A (ja) シクラメンにおい物質
JP6768063B2 (ja) ベチバー着香剤
JP6643338B2 (ja) ローズの香りを有する脂肪族ニトリル
JP6945640B2 (ja) ベチバーの匂い物質
JP2018531308A6 (ja) ベチバー着香剤
JP2021528505A (ja) 賦香成分としてのシクロヘキセンプロパナール誘導体
JP5227310B2 (ja) 芳香成分としての1−オキサスピロ(4,5)デセ−3−エン誘導体
JP2021504299A (ja) アンバー調着臭剤
CN110461808B (zh) 香根草气味剂
US10519397B2 (en) Powerful woody powdery odorant
JP2023523518A (ja) 匂い化合物
JP2021528504A (ja) 芳香成分としてのシクロヘキセンプロパナール誘導体
JP2022503530A (ja) 付香成分としての環状オキシエーテル化合物
JP2020517617A (ja) 多環オレフィンによるアルデヒドのアルファアルキル化