JP7368530B2 - ミュゲ香気を有する組成物 - Google Patents

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Description

発明の属する技術分野
本発明は、香料の分野に関する。より詳細には、本発明は、付香成分として、式(I)および(II)のフェニルプロパナール誘導体を含む組成物、ならびにかかる組成物を含む組成物および消費者製品に関する。本発明の組成物を得るための方法も、本発明の一部である。
発明の背景
香料産業の主要成分の1つは、Lyral(登録商標)(4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;製造元:International Flavors&Fragrances、米国)である。しかしながら、Lilial(登録商標)(2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(Givaudan-Roure SA、ベルニエ、スイスの商標)により付与されたノートとは異なる、このフローラルな、スズランの香気ノートであると評価される、前記成分の使用は、これがアレルゲンとして記載されているため制限されている。
そのため、Lyral(登録商標)の代替品として使用され得る新規な付香成分を開発する必要がある。
本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物およびLyral(登録商標)に非常に近い特徴的な香気を有する少なくとも1種の式(II)の化合物を含む組成物を提供する。
本発明者らの知る限りでは、式(I)の化合物および式(II)の化合物の密接に関連した構造類似体について、付香成分として文献に報告されているものは1種のみである。実際に、3-(4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フェニル)ブタナールは、米国特許第4491537号明細書(US 4491537)において、グリーン、ウッディ、モモのような芳香、すなわち本発明の化合物とは全く異なる官能的プロファイルを有するものとして報告されている。
別の類似体、3-(3-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)フェニル)-2-メチルプロパナールは、その官能的性質を特定することなく国際公開第2014207205号(WO 2014207205)に開示されている。前記化合物は、付香成分2-メチル-3-(3-(3-メチルブタ-3-エン-1-イル)フェニル)プロパナールに対する中間体として使用されている。
双方の先行技術文献では、式(I)の化合物と式(II)の化合物とを含む組成物の官能的性質、または前記化合物の香料分野におけるいかなる使用について報告も示唆もされていない。
米国特許第4491537号明細書 国際公開第2014207205号
発明の概要
本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み、Lyral(登録商標)代替品として使用することができる組成物に関する。
そのため、本発明の第1の対象は、
a)式
Figure 0007368530000001
[式中、Rは、水素原子またはC1~2アルキル基を表し;かつRは、式-CHC(Me)OHの基を表し;前記Rは、1位に対して、芳香環のメタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物;および
b)式
Figure 0007368530000002
[式中、RおよびRは、式(I)で規定されたのと同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物を含む、組成物である。
本発明の第2の対象は、上記で規定された、式(I)の化合物と式(II)の化合物とを含む、組成物の付香成分としての使用である。
本発明の第3の対象は、
i)上記で規定された、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む、少なくとも1種の組成物;
ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分;および
iii)任意で、少なくとも1種の香料補助剤
を含む、付香組成物である。
本発明の別の対象は、上記で規定された、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む少なくとも1種の組成物または上記で規定された付香組成物を含む、着香消費者製品である。
本発明の別の対象は、式
Figure 0007368530000003
[式中、RおよびRは、上記で規定されたのと同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される化合物のヒドロホルミル化の工程を含む上記で規定された組成物の製造方法である。
本発明の別の対象は、式
Figure 0007368530000004
[式中、RおよびRは、上記で規定されたのと同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基またはその混合物である]で示される化合物である。
本発明の最後の対象は、付香組成物または着香物品の香気特性を付与、強化、改善または改変する方法であって、有効量の上記で規定された少なくとも1種の組成物を前記組成物または物品に添加することを含む方法である。
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の全重量に対する重量パーセントを表すことを意味する。
驚くべきことに、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む、組成物が、特に評価されているLyral(登録商標)の方向にスズランのツイストとともに非常に興味深い香気ノートを示すことがここで発見された。この組成物も、決して開示されていない。
本発明の第1の対象は、
a)式
Figure 0007368530000005
[式中、Rは、水素原子またはC1~2アルキル基を表し;かつRは、式-CHC(Me)OHの基を表し;前記Rは、1位に対して、芳香環のメタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物;および
b)式
Figure 0007368530000006
[式中、RおよびRは、式(I)で規定されたのと同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物を含む、組成物である。例えば、Lyral(登録商標)の方向にスズラン調の香気ノートを付与するために、前記組成物は、付香成分として使用され得る。
明確にするために、「RおよびRは、式(I)におけるのと同じ意味を有する」との表現または類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、本発明の組成物は、式(I)および(II)の化合物を含み、ここで、式(I)の化合物のR基は、式(II)の化合物のR基と同一であり、式(I)の化合物のR基は、式(II)の化合物のR基と同一であることを意味する。換言すれば、式(I)の化合物の置換基は、式(II)の化合物の置換基と同一である。
明確にするために、「組成物」との表現または類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、少なくとも2種の異なる化合物(立体異性体ではない)が存在することを意味する。上記の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、0.5w/w%~60w/w%の間に含まれる量の少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくとも40w/w%の量の少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、0.5w/w%~49w/w%の間に含まれる量の少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくとも50w/w%の少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、1w/w%~30w/w%の間に含まれる量の少なくとも1種の式(I)の化合物と、少なくとも70w/w%の少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み得る。さらにより好ましくは、本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、1w/w%~15w/w%の間に含まれる量の式(I)の化合物と、少なくとも85w/w%の量の式(II)の化合物とを含み得る。
明確にするために、「その異性体のいずれか1つまたはその混合物」との表現、または類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、本発明の化合物が、純粋なエナンチオマー(キラルの場合)またはエナンチオマーの混合物;純粋な位置異性体または位置異性体の混合物;またはその混合物であり得ることを意味する。
明確にするために、「純粋な位置異性体または位置異性体の混合物」との表現または類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、化合物(I)のR基が、1位に対して、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物であり得、かつ化合物(II)のR基が、1位に対して、オルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物であり得ることを意味する。例えば、本発明の組成物は、例えば、Rが1位に対して芳香環のパラ置換基である、純粋な位置異性体である化合物を含み得るか;例えば、Rが1位に対して芳香環のパラ置換基である化合物と、Rが1位に対して芳香環のメタ置換基である化合物とを含む2つの位置異性体の混合物を含み得る。換言すれば、式(I)の化合物は、式(I’’)(すなわち、Rは、1位に対して、芳香環のメタ置換基である)のもの、または式(I’’’)(すなわち、Rは、1位に対して、芳香環のパラ置換基である)のものまたはその混合物であり得、かつ式(II)の化合物は、式(II’)(すなわち、Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基である)のもの、式(II’’)(すなわち、Rは、1位に対して、芳香環のメタ置換基である)のもの、式(II’’’)(すなわち、Rは、1位に対して、芳香環のパラ置換基である)のものまたはその混合物であり得る。式(I’’)または(I’’’)の各化合物は、式(I)の化合物の1種の位置異性体を表し、かつ式(II’)、(II’’)または(II’’’)の各化合物は、式(II)の化合物の1種の位置異性体を表す。式(II’)の化合物は、オルト位置異性体とも呼ばれ得る。式(I’’)および(II’’)の化合物は、メタ位置異性体とも呼ばれ得る。そして式(I’’’)および(II’’’)の化合物は、パラ位置異性体とも呼ばれ得る。
Figure 0007368530000007
上記の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、R基が1位に対してパラおよび/またはメタ置換基である少なくとも1種の式(I)の化合物と、R基が1位に対してパラおよび/またはメタ置換基である少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種の式(I)の化合物と、同じ位置異性体である少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み、例えば、組成物は、少なくとも1種の式(I)のパラ位置異性体(式(I’’’)の化合物)と、少なくとも1種の式(II)のパラ位置異性体(式(II’’’)の化合物)とを含む。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、5w/w%未満のメタ位置異性体;すなわち、式(II’’)の化合物および式(I’’)の化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、2w/w%未満のメタ位置異性体、すなわち、式(II’’)の化合物および式(I’’)の化合物を含む。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、
- 最大20w/w%の式(II’)の化合物;
- 最大45w/w%の式(II’’)の化合物;
- 最大25w/w%の式(I’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
好ましくは、本発明の組成物は、
- 最大20w/w%の式(II’)の化合物;
- 最大10w/w%の式(II’’)の化合物;
- 最大15w/w%の式(I’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
好ましくは、本発明の組成物は、
- 最大20w/w%の式(II’)の化合物;
- 最大2w/w%の式(II’’)の化合物;
- 最大5w/w%の式(I’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
好ましくは、本発明の組成物は、
- 最大10w/w%の式(II’)の化合物;
- 最大2w/w%の式(II’’)の化合物;
- 最大1w/w%の式(I’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
好ましくは、本発明の組成物は、
- 最大5w/w%の式(II’)の化合物;
- 最大2w/w%の式(II’’)の化合物;
- 最大1w/w%の式(I’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
好ましくは、本発明の組成物は、
- 最大2w/w%の式(II’’)の化合物;
- 25~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 0.5~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 50~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 1~49w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 70~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 1~30w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 80~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 1~20w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 90~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 1~10w/w%の式(I’’’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、
- 80~99w/w%の式(II’’’)の化合物;
- 1~20w/w%の式(I’’’)の化合物および式(II’)の化合物
を含み、
ここで、パーセンテージは、前記組成物の全重量に対して重量対重量の基準で表される。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、式(I)の位置異性体を1種のみおよび式(II)の位置異性体を1種のみ含み得る(ここで、式(I)の位置異性体は、式(II)の同じ位置異性体である);例えば、R基が1位に対してメタ置換基である化合物を含む組成物(式(I’’)および(II’’)の化合物を含む組成物)、またはR基が1位に対してパラ置換基である化合物を含む組成物(式(I’’’)および(II’’’)の化合物を含む組成物)を含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、R基が1位に対してパラ置換基である化合物を含む。
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、前記化合物(I)は、式
Figure 0007368530000008
[式中、Rは、上記で規定されたのと同じ意味を有する]
で示される化合物の、その立体異性体のいずれか1つまたはその混合物の形である。
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、前記化合物(II)は、式
Figure 0007368530000009
[式中、Rは、上記で規定されたのと同じ意味を有する]
で示される化合物である。
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、式(I)または(II)の前記化合物は、C13~C15、さらにはC13~C14の化合物である。
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、前記発明の組成物は、Rが水素原子またはC1~2アルキル基を表す化合物を含む。好ましくは、Rは、水素原子またはメチル基を表す。最も好ましくは、Rは、水素原子を表す。
本発明者らの知る限り、本明細書において上記で報告されたような組成物は、新規であり、したがって本発明の対象でもある。
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、本発明の組成物は、3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールおよび2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールを含む。特に、50w/w%~99w/w%の間に含まれる量の3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールと、0.5w/w%~49w/w%の間に含まれる量の2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールとを含む組成物が挙げられる。本発明の組成物の特別な例として、約80.1w/w%の3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールおよび19.3w/w%の2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールを含む組成物を、非限定的な例として、挙げることができる。前記組成物は、Lyral(登録商標)(4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド;製造元:International Flavors & Fragrances、米国)に非常に近い全体的な嗅覚的特徴を有することによって特性決定される;すなわち、本発明の組成物は、Lyral(登録商標)の非常に典型的な「ウェット」効果と関連した、スズランの、ヒドロキシシトロネラルの香気ノートを有する。本発明の組成物は、Lyral(登録商標)の香気を付与するために使用され得る。換言すれば、Lyral(登録商標)は、現在、アレルギーのために使用が制限されているので、当業界で高い評価を得ているこの成分の嗅覚代替品として本発明の組成物が使用され得る。事実、前記組成物をLyral(登録商標)と比較すると、本発明の組成物は、より直接的で強力である(したがって、従来技術の化合物と比較してさらに低いレベルの投与量を可能にする)だけでなく、改善された放射輝度をも有し、さらに(Lyral(登録商標)の多くの代替品とは反対に)Lyral(登録商標)の固有の「ウェット」効果も提供する。
本発明の化合物の別の例として、上記のものに類似した香気を有する、約75.2w/w%の3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール、22.2w/w%の2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール、約1.3w/w%の3-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールおよび約0.4w/w%の2-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールを含む組成物を挙げることができる。
上記のように、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む組成物の付香成分としての使用に関する。換言すれば、本発明は、付香組成物または着香物品の香気特性を付与、強化、改善または改変する方法であって、前記組成物または物品に有効量の少なくとも1種の本発明の組成物を添加することを含む方法に関する。「組成物の使用」とは、本明細書では、香料産業において有利に使用され得る、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む組成物を含有する任意の組成物の使用のことであると理解されるべきである。
特に、前記方法または使用は、付香組成物中のLyral(登録商標)を置き換えるための方法を対象とし得る。または同様に、付香組成物または着香物品のフローラルな、スズランの、ヒドロキシシトロネラルの香気ノートを付与、強化、改善または改変することも対象とし得る。
実際に付香成分として有利に使用され得る、前記組成物も、本発明の対象である。
したがって、本発明の別の対象は、
i)付香成分として、少なくとも1種の式(I)の化合物および少なくとも1種の式(II)の化合物を含む、少なくとも1種の本発明の組成物;
ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分;および
iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む付香組成物である。
「香料担体」とは、香料の観点から実質的に中立である、すなわち付香成分の官能特性を有意に変えない材料を意味する。前記担体は、液体または固体であり得る。
液体担体として、非限定的な例として、乳化系、すなわち溶媒および界面活性剤系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶剤の性質および種類の詳細な説明を、網羅することはできない。しかしながら、非限定的な例として、最も一般的に使用される、ブチレンまたはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチル、またはその混合物などの溶媒を挙げることができる。香料担体および香料ベースの両方を含む組成物の場合、上記で指定したもの以外の他の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば、Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)として知られるもの、または商標名Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)として知られているものなどのグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、または商標名Cremophor(登録商標)RH40(製造元:BASF)の下に知られているものなどの硬化ヒマシ油であってもよい。
固体担体は、付香組成物または付香組成物のいくつかの要素が化学的または物理的に結合され得る材料を示すことが意味されている。一般的に、このような固体担体は、組成物を安定させるために、あるいは組成物またはいくつかの成分の蒸発速度を制御するために使用される。固体担体の使用は、当該技術分野で現在使用されており、当業者は、所望の効果を達成する方法を知っている。しかしながら、固体担体の非限定的な例として、吸収性ガムまたはポリマーまたは無機材料、例えば多孔質ポリマー、シクロデキストリン、木質材料、有機または無機ゲル、粘土、石膏タルクまたはゼオライトを挙げることができる。
固体担体の他の非限定的な例として、封入材料を挙げることができる。かかる材料の例は、壁形成材料および可塑化材料、例えば、単糖類、二糖類もしくは三糖類、天然もしくは加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質もしくはペクチン、またはさらに、H. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996などの参考文献に引用される材料を含み得る。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、例えば、噴霧乾燥、アグロメレーションまたはさらに押し出しなどの技術を使用することによって実施され得るか、またはコアセルベーションおよび複雑なコアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
固体担体の非限定的な例として、任意に高分子安定剤またはカチオン性コポリマーの存在下で、重合、界面重合、コアセルベーションまたはそれらの全て(前記技術の全ては、先行技術に記載されている)によって誘発される相分離プロセスのような技術を用いる、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレアもしくはポリウレタンタイプの樹脂またはその混合物(前記樹脂の全ては当業者に周知である)を有するコア-シェルカプセルを挙げることができる。
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサル、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびその混合物)と、アミン、例えば、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、ならびにその混合物との重縮合によって製造され得る。また、商標Urac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)の下で市販されているものなどの予備成形樹脂アルキロレート化ポリアミンが使用され得る。
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ポリイソシアネートとの重縮合によって製造されたもの、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートの三量体、またはヘキサメチレンジイソシアネートの二量体、またはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体(Takenate(登録商標)の商品名で知られている、製造元:Mitsui Chemicals)、その中でも、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体およびヘキサメチレンジイソシアネートの二量体との重縮合によって製造されたものである。
アミノ樹脂、すなわちメラミンベースの樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関する重要な文献のいくつかは、K. Dietrichらにより刊行されたActa Polymerica, 1989年, 第40巻, 243頁, 325頁および683頁、ならびに1990年, 第41巻, 91頁のような論文に含まれる。かかる論文には、すでに、特許文献にもさらに詳細に例示されている従来技術の方法に従って、かかるコア-シェルマイクロカプセルの製造に影響を与える様々なパラメーターが記載されている。Wiggins Teape Group Limitedの米国特許第4,396,670号明細書(US 4,396,670)は、後者の適切な初期の例である。それ以来、他の多くの著者がこの分野の文献を充実させてきたため、本明細書に公開されているすべての開発を網羅することは不可能であるが、カプセル化技術に関する一般的な知識は非常に重要である。このようなマイクロカプセルの適切な使用を開示する最近の刊行物は、例えば、H. Y. Leeらの論文、Journal of Microencapsulation, 2002年, 第19巻, 559~569頁、国際特許公報の国際公開第01/41915号(WO 01/41915)またはS. Boneらの論文、Chimia, 2011年, 第65巻, 177~181頁によって表されている。
本明細書で意味する「香料ベース」とは、少なくとも1種の付香補助成分を含む組成物である。
前記付香補助成分は、式(I)および(II)のものではない。さらに、「付香補助成分」とは、本明細書では、付香調製物または快楽効果を付与するための組成物に使用される化合物を意味する。換言すれば、付香するものと見なされるべき、このような補助成分は、組成物の香気を肯定的または心地良い方法で付与または改変することができ、単に香気を有するものではないと当業者によって認識されなければならない。
ベース中に存在する付香補助成分の性質および種類は、本明細書でより詳細な説明を保証するものではなく(いずれの場合も網羅的ではないであろう)、当業者は、彼らの一般的知識に基づいて、かつ意図された使用または用途および望ましい官能的効果に従ってそれらを選択することが可能である。一般的に、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または硫黄複素環式化合物および精油などの様々な化学クラスに属し、かつ天然もしくは合成由来のものまたはさらにプロ香料(pro-perfume)(すなわち、分解時に付香成分を遊離する化合物)であり得る。プロ香料の例は、A. Herrmannによって刊行された論文、Angewandte Chemie International Edition, 2007年, 第46巻, 5836~5863頁または類似の種類の最新の論文、ならびにこの分野の豊富な特許文献などの文献に記載されている。
特に、以下のような香料配合でよく使用されている付香補助成分を挙げることができる:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナールおよび/またはノネナール;
- 芳香ハーブ成分:ユーカリ油、樟脳、ユーカリプトール、メントールおよび/またはアルファピネン;
- バルサミコ成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- 柑橘系成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジオイル、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-P-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-P-メンタジエン;
- フローラル成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、βイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、P-メンテン-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスメチルジヒドロジャスモネート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-P-メンタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、4-フェニル-2-ブタノン、酢酸イソノニル、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、イソ酪酸ベルジルおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー成分:ガンマウンデカラクトン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、酢酸ヘキシル、エチル2-メチルブタノエート、ガンマノナラクトン、アリルヘプタノエート、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートおよび/またはジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、ペンタデセノリド、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-[G]イソクロメン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエートおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディ成分:1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチョリ油、パチョリ油のテルペン画分、(1’R、E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/または酢酸イソボルニル;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシー、またはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、クローブオイル、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナールおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
特に、フローラルノートを有する、以下の付香補助成分を挙げることができる:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、高シスメチルジヒドロジャスモネート、テトラヒドロリナロール。
本発明による香料ベースは、上記の付香補助成分に限定されず、これらの補助成分の他の多くは、いずれの場合も、S. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、もしくはその最新版、または類似の性質の他の論文、ならびに香料分野の豊富な特許文献などの参照テキストに列記されている。当然のことながら、前記補助成分は、制御された方法で様々な種類の付香化合物を放出することが知られている化合物でもあり得ることも理解される。
「付香補助成分」とは、本明細書では、色、特定の耐光性、化学的安定性等の付加的に追加される利点を付与することができる成分を意味する。付香組成物に一般的に使用される補助剤の性質および種類の詳細な説明は、網羅することができないが、上記の成分は、当業者によく知られていることは言及されなければならない。特定の非限定的な例として、以下のものを挙げることができる:増粘剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定剤(例えば、防腐剤、酸化防止剤、熱/光および/または緩衝剤またはキレート剤、例えば、BHT)、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、保存料(例えば、抗菌剤または抗微生物剤または抗真菌剤または抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、防虫剤、軟膏、ビタミン、およびその混合物を挙げることができる。
当業者は、付香組成物の上記の成分を混合することによって、当技術分野の標準的な知識を単純に適用することによって、ならびに試行錯誤法によって、所望の効果に最適な配合物を完全に設計することが可能であることが理解される。
少なくとも1種の式(I)の化合物および少なくとも1種の式(II)の化合物および少なくとも1種の香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態、ならびに少なくとも1種の式(I)の化合物および少なくとも1種の式(II)の化合物、少なくとも1種の香料担体、少なくとも1種の香料ベース、および任意に、少なくとも1種の香料補助剤を含む付香組成物からなる。
特定の実施形態によれば、上記の付香組成物は、2種以上の式(I)の化合物および2種以上の式(II)の化合物を含み、調香者が本発明の様々な化合物の香調を有するアコードまたは香料を調製することを可能にし、したがって創造を目的とした新しい構造単位を創出することができる。
明確にするために、化学合成から直接生じるあらゆる混合物、例えば、本発明の組成物が出発、中間または最終生成物として含まれるであろう、適切な精製を伴わない反応媒体は、前記混合物が本発明の組成物を、適切な香料の形で提供しない限り、本発明による付香組成物と見なすことはできないことも理解されている。
本発明の対象組成物はまた、現代香料のすべての分野、すなわち、微細な香料または機能的香料において有利に使用されて、前記本発明の組成物が添加される消費者製品の香気を積極的に付与または改変することができる。したがって、本発明の別の対象は、上記で定義したように、付香成分として少なくとも1種の式(I)の化合物および少なくとも1種の式(II)の化合物を含む少なくとも1種の組成物を含む、着香消費者製品からなる。
発明の組成物は、それ自体として、または本発明の付香組成物の一部として添加され得る。
明確にするために、「着香消費者製品」は、それが適用される表面または空間(例えば、皮膚、髪の毛、テキスタイル、または家庭用表面)に少なくとも快適な付香効果をもたらす消費者製品を指すことを意味する。換言すれば、本発明による着香消費者製品は、所望の消費者製品に対応する機能的配合物、ならびに任意に追加される有益剤および嗅覚的有効量の少なくとも1種の本発明の組成物を含む着香消費者製品である。明確にするために、前記着香消費者製品は、非食用製品である。
着香消費者製品の成分の性質および種類は、本明細書でより詳細な説明を保証するものではなく(いずれの場合も網羅的ではないであろう)、当業者は、彼らの一般的知識に基づいて、かつ前記製品の性質および所望の効果に従ってそれらを選択することができる。
適切な着香消費者製品の非限定的な例としては、香料、例えば、ファインパフューム(fine perfume)、スプラッシュまたはオードパルファム、コロンまたはシェーブまたはアフターシェーブローション;布地ケア製品、例えば、液体または固体洗剤、布地柔軟剤、液体または固体香料ブースター、布地リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品;ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えば、シャンプー、着色調製物またはヘアスプレー、カラーケア製品、整髪製品、デンタルケア製品)、消毒剤、インティメイトケア製品;化粧品調製物(例えば、スキンクリームまたはローション、バニシングクリームまたは消臭剤または制汗剤(例えば、スプレーまたはロールオン)、脱毛剤、日焼けまたは日焼け止めまたは日焼け後製品、ネイル製品、スキンクレンジング、化粧品);またはスキンケア製品(例えば、石鹸、シャワーもしくはバスムース、オイルまたはジェル、または衛生製品もしくはフット/ハンドケア製品);エアケア製品、例えば、家庭用スペース(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴または車)および/または公共のスペース(ホール、ホテル、ショッピングモール等)で使用され得るエアーフレッシュナーまたは「すぐに使える」粉末状エアーフレッシュナー;または家庭用ケア製品、例えば、カビ取り剤、ファニッシャケア、ワイプ、食器用洗剤または硬質表面(例えば、床、浴室、衛生用または窓用)洗剤;レザーケア製品;カーケア製品、例えば、ポリッシュ、ワックスまたはプラスチッククリーナーが挙げられる。
上記の着香消費者製品の中には、本発明の組成物に対して攻撃的な媒体を表すものもあり、例えば、カプセル化またはこれを、酵素、光、熱またはpHの変化などの適切な外部刺激に対して本発明の組成物を放出させるのに適した別の化学物質に化学的に結合させることによって、後者を早期分解から保護する必要があり得る。
本発明による組成物を様々な前述の製品または組成物に組み込むことができる割合は、広い範囲の値内で変化する。これらの値は、本発明による組成物が、当該技術分野でよく使用されている付香補助成分、溶媒または添加剤と混合される場合、付香されるべき物品の性質および所望の官能的効果ならびに所与のベース中の補助成分の性質に依存する。
例えば、付香組成物の場合、典型的な濃度は、それらが組み込まれている組成物の重量を基準として、組成物の0.01重量%、またはさらに1~15重量%、またはさらに25重量%、またはそれ以上のオーダーである。着香消費者製品の場合、典型的な濃度は、それらが組み込まれている消費者製品の重量を基準として、本発明の組成物の0.01~1重量%、またはさらに2重量%、またはさらにそれ以上のオーダーである。
この組成物を付香消費者製品に組み込む場合、これらの濃度よりも低い濃度、例えば、0.01~1重量%、またはさらに2重量%のオーダーの濃度を使用することができ、パーセンテージは、物品の重量に対するものである。
本発明の別の対象は、式(V)の化合物のヒドロホルミル化によって得ることができる、上記で規定された、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む組成物の製造方法である。そのため、本発明の別の対象は、式
Figure 0007368530000010
[式中、RおよびRは、上記と同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その位置異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の化合物を、ヒドロホルミル化する工程を含む、前記組成物の製造方法である。
明確にするために、「ヒドロホルミル化」との表現または類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、反応が、金属触媒、例えば、ロジウム錯体、コバルト錯体またはプラチナ錯体、好ましくはロジウム錯体、一酸化炭素、水素、および任意でリン原子を含むものなどの配位子の存在下で行われることを意味する。スチレン誘導体のヒドロホルミル化、特に得られた分枝鎖状および直鎖状の誘導体の比率に対して使用される触媒および配位子の効果は、従来技術において大部分報告されている。そのため、当業者は、所望の量の各化合物を有する組成物を得るために最良の条件(すなわち、式(I)の化合物は分枝鎖状の誘導体であり、かつ式(II)の化合物は直鎖状の誘導体である)を設定することができるであろう。非限定的な例として、ヒドロホルミル化は、Applied Organometallic Chemistry 2013 474~478頁に報告されている条件下で行うことができ、ここで、前記方法は、ロジウム錯体、特に[Rh(acac)(CO)]、および一座または二座ホスファイト配位子、例えば、2,2’-ビス((ジ(1H-ピロール-1-イル)ホスファニル)オキシ)-1,1’-ビナフタレン、1,1’-((ナフタレン-2-イルオキシ)ホスファンジイル)ビス(1H-ピロール)または2,2’-ビス((ジ(1H-ピロール-1-イル)ホスファニル)オキシ)-1,1’-ビフェニルの存在下で行われる。配位子の別の非限定的な例としては、(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)、2,2’-ビス((ジ(1H-ピロール-1-イル)ホスファニル)オキシ)-5,5’,6,6’,7,7’,8,8’-オクタヒドロ-1,1’-ビナフタレン、1,1’,1’’,1’’’-(((2,7-ジ-tert-ブチル-9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ホスファントリイル))テトラキス(1H-ピロール)および4,6-ビス(ジフェニルホスファニル)-10H-フェノキサジンを含む群から選択されるホスフィンが挙げられる。
ホスフィンは、本発明の方法の反応媒体に広範囲の濃度で添加され得る。非限定的な例として、基質の量に対して、約0.01モル%~約50モル%の範囲の値、好ましくは基質の量に対して、0.05モル%~約50モル%の範囲の値、好ましくは基質の量に対して、約0.1モル%~約15モル%の範囲の値をホスフィン濃度値として挙げることができる。配位子の最適濃度は、当業者が知っているように、配位子の性質、基質の性質、金属錯体の性質、反応温度ならびに所望の反応時間に依存するであろう。
本発明で使用され得るロジウム錯体としては、Rh(acac)(CO)、三塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、[Rh(OAc)(COD)]、Rh(CO)12、Rh(CO)16、HRh(CO)(PPh、Rh(C(acac)、[Rh(Cl)(COD)]、[Rh(Cl)(COE)、[Rh(OAc)(CO)(式中、acacはアセチルアセトネート基、Acはアセチル基、CODは1,5-シクロオクタジエン基、COEはシクロオクテン基、Phはフェニル基を表す)が挙げられるが、これらに限定されない。前記錯体は、本発明の方法の反応媒体に広範囲の濃度で添加され得る。非限定的な例として、基質の量に対して、約0.005モル%~約5モル%の範囲の値、好ましくは基質の量に対して、0.01モル%~約5モル%の範囲の値を錯体濃度値として挙げることができる。好ましくは、錯体濃度は、0.05モル%~2モル%の間に含まれるであろう。錯体の最適濃度は、当業者が知っているように、錯体の性質、基質の性質、配位子の性質、反応温度ならびに所望の反応時間に依存するであろう。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、一酸化炭素および水素ガスは、当業者に公知の方法によってインサイチュで、例えば、ギ酸メチル、ギ酸、またはホルムアルデヒドから発生し得る。CO/Hガス体積比は、2/1~1/5の間、好ましくは1/1~1/5の間、または好ましくは2/1~1/2の間、好ましくは1.5/1~1/1.5の間に含まれ、より好ましくは、この比は1/1である。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、式(V)の化合物のR基は、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基であり得る;すなわち、式(V)の化合物は、式(V’)、(V’’)または(V’’’)のものであり得る。好ましくは、式(V)の化合物は、化合物(V’’’)である。
Figure 0007368530000011
上記の実施形態のいずれか1つによれば、式(V)の化合物は、位置異性体の混合物;すなわち、R基が1位に対してオルト置換基である化合物(式(V’)の化合物)、R基が1位に対してメタ置換基である化合物(式(V’’の化合物)およびR基が1位に対してパラ置換基である化合物(式(V’’’)の化合物)を含む混合物を含む組成物の形であり得る。
好ましくは、前記組成物は、R基が1位に対してパラ置換基である少なくとも1種の化合物を含む。
好ましくは、前記混合物は、
- 最大40重量%の式(V’)の化合物;
- 最大50重量%の式(V’’)の化合物;および
- 少なくとも50重量%の式(V’’’)の化合物
を含む。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 最大20重量%の式(V’)の化合物;
- 最大10重量%の式(V’’)の化合物;および
- 少なくとも70重量%の式(V’’’)の化合物
を含む。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 最大5重量%の式(V’)の化合物;
- 最大5重量%の式(V’’)の化合物;および
- 少なくとも90重量%の式(V’’’)の化合物
を含む。
さらにより好ましくは、前記混合物は、
- 最大2重量%の式(V’)の化合物;
- 最大3重量%の式(V’’)の化合物;および
- 少なくとも95重量%の式(V’’’)の化合物
を含む。
好ましい実施形態によれば、式(V)の化合物のR基は、1位に対して芳香環のメタ置換基および/またはパラ置換基である;すなわち、式(V)の化合物は、式(V’’)および/または(V’’’)のものであり得る。好ましくは、式(V)の化合物のR基は、1位に対して芳香環のパラ置換基である;すなわち、式(V)の化合物は、式(V’’’)のものである。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、式(V)の化合物は、式
Figure 0007368530000012
[式中、Rは上記で規定されたのと同じ意味を有する]
で示される化合物である。
上記の実施形態のいずれか1つによれば、式(V)の化合物は、文献に報告されている方法または当該技術分野において公知の標準的な方法に従って;例えば、アセトン上の市販のクロロメチルビニルベンゼンから得られたグリニャール試薬の添加によって製造され得る。
反応は、溶媒の存在下または不在下で行われ得る。溶媒が実用上の理由で必要とされるかまたは使用される場合、任意の溶媒流が、このような反応タイプにおいて本発明の目的のために使用され得る。非限定的な例としては、C6~12芳香族溶媒、例えば、トルエン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、クメンまたはプソイドクメン、またはそれらの混合物、酢酸エチルまたはエーテル系溶媒、例えば、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物が挙げられる。溶媒の選択は、基質および/または触媒の性質に依存し、当業者は、反応を最適化するためにそれぞれの場合に最も適した溶媒をうまく選択することができる。
ヒドロホルミル化反応は、50℃~150℃の間、より好ましくは80℃~130℃の間、またはさらに90℃~110℃の間の範囲の温度で実施され得る。当然ながら、当業者は、出発および最終生成物の融点および沸点、ならびに所望の反応時間または転化率に従って好ましい温度を選択することもできる。
反応は、1バール~50バールの間、好ましくは5バール~20バールの間の範囲、より好ましくは5バール~15バールの間の範囲のCO/H圧力で実施され得る。当然ながら、当業者は、触媒添加量および溶媒中の基質の希釈度に応じて圧力を調整することが十分可能である。
本発明の組成物は、使用される出発材料の品質に応じて、すなわち、(V’)、(V’’)、(V’’’)またはそれらの混合物を使用するか否かによって、オルト生成物、パラ生成物またはメタ生成物などの様々な位置異性体を含み得ることが理解される。
本発明の別の態様は、式
Figure 0007368530000013
[式中、Rは、水素原子またはC1~2アルキル基を表し;かつRは、式-CHC(Me)OHの基を表し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基またはそれらの混合物である]で示される、その位置異性体のいずれか1つまたはそれらの混合物の形の中間生成物に関する。
実施例
ここで、以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明し、その際、略語は当該技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏度(℃)で示し;NMRスペクトルデータは、Hおよび13Cについて400MHzまたは500MHzの装置を用いてCDCl(特に明記しない限り)で記録し、化学シフトδは標準としてのTMSに関してppmで示し、結合定数JはHzで表す。
実施例1
本発明の組成物の合成
a)2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オールの調製
2-メチルテトラヒドロフラン(47g)中の1-(クロロメチル)-4-ビニルベンゼン(5.06g、33ミリモル)を2-メチルテトラヒドロフラン(3g)中のMg(0.84g、34.6ミリモル)に40℃で加えて、グリニャール試薬を形成する。反応混合物を、0℃に冷却し、無水アセトン(2.88g、49.6ミリモル)を1時間かけて加えた。反応混合物をNHCl(25g、30%の水溶液)でクエンチし、相を分離した。有機相を水で洗い(3回)、蒸発させて粗2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(5.38g)を得、これを蒸留により精製した(3.8g、収率65%)。
Figure 0007368530000014
b)インサイチュで生成したロジウム錯体を用いた2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オールの接触ヒドロホルミル化:
典型的な実験手順は以下の通りである:
アルゴン下で、60ml s/sのオートクレーブに、2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(1.76g、10ミリモル)、第1表の配位子(13.8mg、0.024ミリモル、0.24モル%)、Rh(CO)(acac)のトルエン溶液(0.01Mで1ml、0.01ミリモル、0.1モル%)およびトルエン(11ml)を連続的に装入した。オートクレーブを閉じ、パージし、合成ガス(H/CO、1/1)を用いて10バールで加圧し、溶液を撹拌し、100℃で16時間にわたり加熱し、直鎖状アルデヒドとしての3-(4-(2-ヒドロキシ-2-(メチルプロピル)フェニル)プロパナールと分枝鎖状アルデヒドとしての2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナールとの混合物を得た。これらの条件下で、第1表に報告されている複数のリン含有配位子を試験した。結果を第2表に報告する。
Figure 0007368530000015
Figure 0007368530000016
Conv.:16時間後のスチレン系出発材料から対応するアルデヒドの合計への転化率(%、GCで分析)
反応条件:H/CO(10バール)、100℃、トルエン(1M)。
Lin.:GC(DB-1)により測定される3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(直鎖状アルデヒド)の量(%)。
Bran.:GC(DB-1)により測定される3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(分枝鎖状アルデヒド)の量(%)。
Sat.:GC(DB-1)により測定される1-(4-エチルフェニル)-2-メチルプロパン-2-オール(飽和出発材料)の量(%)。
[a]:出発スチレン材料は、パラ異性体(98.3%)とメタ異性体(1.7%)との混合物であった。
[b]:配位子の量は0.5モル%であった。
[c]:メタ直鎖状および分枝鎖状の異性体もGCにより存在した:それぞれ1.1%および0.4%(すなわち3-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールおよび2-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナール。
[d]:R-エナンチオマーを用いた。
[e]:出発スチレン材料は、パラ異性体(97.9%)、メタ異性体(1.6%)およびオルト異性体(0.5%)の混合物であった。
[f]:反応はH/CO(1/1)20バールで行われる。
[g]:メタ直鎖状および分枝鎖状の異性体もGCにより存在した:それぞれ1.2%および0.2%。
[h]:出発スチレン材料は、パラ異性体(97.6%)、メタ異性体(2.1%)の混合物であった。
[i]:メタ直鎖状および分枝鎖状の異性体もGCにより存在した:それぞれ1.6%および0.3%。
実施例2
本発明の組成物の合成
アルゴン下で、100ml s/sのオートクレーブに、メタ異性体(GCにより1.7%)を含有する2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(15.04g、85ミリモル、GCにより98.3%)、R-L4(12.6mg、0.021ミリモル、0.024モル%)、Rh(CO)(acac)のトルエン溶液(0.0079Mで1ml、0.0079ミリモル、0.0093モル)およびトルエン(27ml)を連続的に装入した。オートクレーブを閉じ、パージし、合成ガス(H/CO、1/1)を用いて20バールで加圧し、溶液を撹拌し、100℃で16時間にわたり加熱し、3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより74.5%)、3-(3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより1.3%)、2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより21.4%)、2-(3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより0.3%)、2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(GCにより0.6%)および1-(4-エチルフェニル)-2-メチルプロパン-2-オール(GCにより0.6%)の混合物を得た。真空下での濃縮および短経路蒸留(沸点:130℃/0.2ミリバール)により、以下の組成を有する直鎖状および分枝鎖状のアルデヒドの混合物(15.81g、77ミリモル、収率90%)を得た:(3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより75.2%)、3-(3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより1.3%)、2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより22.2%)、2-(3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナール(GCにより0.4%)、2-メチル-1-(4-ビニルフェニル)プロパン-2-オール(GCにより0.4%)および1-(4-エチルフェニル)-2-メチルプロパン-2-オール(GCにより0.5%)。
実施例3
付香組成物の調製
女性用香水を、以下の成分を混ぜ合わせて調製した:
Figure 0007368530000017
Figure 0007368530000018
実施例3で得られた800重量部の本発明の組成物を、ジプロピレングリコール800重量部に置き換えて、上記組成物に添加することで、上記組成物にしっとり効果を備えたフローラル-ミュゲノートを与えつつ、フレッシュでやわらかな印象を付与した。本発明の組成物は、特に、組成物のオゾン、ウォータリーおよびサリチレートのノートによく調和していた。本発明の組成物を、上記組成物に添加することの効果は、本発明の組成物の代わりにLyral(登録商標)を添加することによってもたらされる効果に非常に近かった。
実施例4
付香組成物の調製
男性用香水を、以下の成分を混ぜ合わせて調製した:
Figure 0007368530000019
Figure 0007368530000020
実施例4で得られた800重量部の本発明の組成物を、ジプロピレングリコール800重量部に置き換えて、上記組成物に添加することで、上記組成物にしっとり効果を備えたフローラル-ミュゲノートを与えつつ、フレッシュでやわらかな印象を付与した。本発明の組成物は、特に、組成物のオゾン、ウォータリー、サリチレートおよびオークモスのノートによく調和していた。本発明の組成物を、上記組成物に添加することの効果は、本発明の組成物の代わりにLyral(登録商標)を添加することによってもたらされる効果に非常に近かった。
実施例5
本発明の組成物を含む香料の調製
香料の全重量に対して5~15重量%の実施例3または4の本発明の組成物を、穏やかに振盪しながらエタノールに添加することによって香料を調製した。

Claims (12)

  1. a)式
    Figure 0007368530000021
    [式中、Rは、水素原子またはC1~2アルキル基を表し;かつRは、式-CHC(Me)OHの基を表し;前記Rは、1位に対して、芳香環のメタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物;および
    b)式
    Figure 0007368530000022
    [式中、RおよびRは、式(I)で規定されたのと同じ意味を有し;前記Rは、1位に対して、芳香環のオルト置換基、メタ置換基、パラ置換基またはその混合物である]で示される、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形の、少なくとも1種の化合物を含む、組成物。
  2. 前記式(I)の化合物が、式
    Figure 0007368530000023
    [式中、Rは、請求項1で規定されたのと同じ意味を有する]の、その異性体のいずれか1つまたはその混合物の形のものであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
  3. 前記式(II)の化合物が、式
    Figure 0007368530000024
    [式中、Rは、請求項1で規定されたのと同じ意味を有する]のものであることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
  4. が水素原子であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記組成物が、2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナールおよび3-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル)プロパナールを含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記組成物が、組成物の重量に対して、50w/w%~99w/w%の間に含まれる量の3-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールと、0.5w/w%~49w/w%の間に含まれる量の2-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニル]プロパナールとを含むことを特徴とする、請求項5記載の組成物。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項で規定された組成物の付香成分としての使用。
  8. 付香組成物であって、
    i)請求項1から6までのいずれか1項で規定された少なくとも1種の組成物;
    ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1種の成分;および
    iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
    を含む、付香組成物。
  9. 請求項1から6までのいずれか1項で規定された少なくとも1種の組成物または請求項8で規定された付香組成物を含む着香消費者製品。
  10. 前記着香消費者製品が、香料、布地ケア製品、ボディケア製品、化粧品調製物、スキンケア製品、エアケア製品または家庭用ケア製品であることを特徴とする、請求項9記載の着香消費者製品。
  11. 前記着香消費者製品が、ファインパフューム、スプラッシュまたはオードパルファム、コロン、シェーブまたはアフターシェーブローション、液体または固体洗剤、布地柔軟剤、布地リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品、シャンプー、着色調製物、カラーケア製品、整髪製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、消臭剤または制汗剤、脱毛剤、日焼けまたは日焼け止め製品、ネイル製品、スキンクレンジング、化粧品、着香石鹸、シャワーもしくはバスムース、オイルまたはジェル、またはフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアーフレッシュナー、「すぐに使える」粉末エアーフレッシュナー、カビ取り剤、ファニッシャケア、ワイプ、食器用洗剤または硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品であることを特徴とする、請求項10記載の着香消費者製品。
  12. 付香組成物または着香物品の香気特性を付与、強化、改善または改変する方法であって、有効量の少なくとも1種の請求項1から6までのいずれか1項で規定された組成物を、前記組成物または物品に添加することを含む、方法。
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