JP2021182834A - ロータ、モータ、及び、ロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明に係るロータは、ステータの磁界を受けて回転するロータであって、回転軸と、前記回転軸が同軸に固定されたロータコアと、前記ロータコアの外周部に配置された複数の永久磁石と、前記ロータコアと複数の前記永久磁石の外側を覆い、前記回転軸の回転軸線に沿う軸方向の端部に径方向内側に屈曲したフランジ部を有する略筒状のマグネットカバーと、前記ロータコアの軸方向の端面と前記フランジ部の間に配置されて、前記フランジ部と前記ロータコアに当接する荷重受けブロックと、を備え、前記荷重受けブロックの径方向外側の縁部には、前記フランジ部の方向に膨出して前記フランジ部の径方向外側の縁部と当接する膨出部が配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係るロータは、荷重受けブロックの径方向外側の縁部に、フランジ部の方向に膨出してフランジ部の径方向外側の縁部と当接する膨出部が配置されているため、マグネットカバーの組付け時に、マグネットカバーのフランジ部の径方向外側の縁部に加えられた荷重を膨出部によって受け止めることができる。このため、マグネットカバーの組付け時に、フランジ部が径方向外側から内側に向かって荷重受けブロックの端面の方向に傾斜し、その状態でフランジ部に荷重受けブロック方向の押し付け荷重が入力されても、フランジ部の径方向内側の端部が大きな力で荷重受けブロックに押し付けられるのを回避することができる。したがって、本発明に係るロータを採用した場合には、マグネットカバーの組付け時に、荷重受けブロックの損傷や摩耗粉の発生を抑制することができる。
図1は、車両に用いられる駆動装置1の斜視図である。図2は、駆動装置1の図1のII−II線に沿う断面図である。
駆動装置1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。図1,図2に示すように、駆動装置1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に「軸方向」と言う場合は、モータ2の回転軸31の回転軸線Cの方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」と言う場合は、回転軸31の周方向を意味するものとする。また、単に「径方向」と言う場合は、回転軸31の径方向を意味するものとする。
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。本実施形態のモータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7は、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔が形成されている。なお、本実施形態では、モータケース5とギヤケース40が駆動装置1のケーシングを構成している。
ステータ8は、積層した鋼板(電磁鋼板)から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有している。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、回転軸31と、回転軸31が同軸に固定される略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つの永久磁石33(図4,図5等参照。)と、を備えている。回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。回転軸31とウォーム軸44は、ギヤケース40(ケーシング)に軸受46,47を介して回転自在に支持されている。なお、永久磁石33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、永久磁石33は、これに限るものではなく、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
ロータ9の詳細構造については後に説明する。
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納された減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bは、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔とギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有している。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー63によって閉塞されている。
図3は、ロータ9の斜視図であり、図4は、ロータ9の図3のIV−IV線に沿う断面図である。また、図5は、ロータ9の分解斜視図であり、図6は、後述するマグネットカバー71を取り去ったロータ9を、後述する荷重受けブロック70Bの側から見た平面図である。
ロータ9は、回転軸31(図3〜図6では図示省略)と、回転軸31が同軸に固定されたロータコア32と、ロータコア32の外周部に配置された4つの永久磁石33と、ロータコア32の軸方向の一端側と他端側にそれぞれ配置された一対の荷重受けブロック70A,70Bと、ロータコア32及び永久磁石33と一対の荷重受けブロック70A,70Bを軸方向及び径方向の外側から覆う金属製のマグネットカバー71と、を備えている。
周壁部71aの内側には、永久磁石33を保持したロータコア32が一対の荷重受けブロック70A,70Bとともに配置される。永久磁石33を保持したロータコア32は、軸方向の一端側と他端側に荷重受けブロック70A,70Bをそれぞれ組付けた状態で、周壁部71aの内側に圧入される。このとき、周壁部71aの一端側のフランジ部71bは、周壁部71aの一端側に予め曲げ形成されている。周壁部71aの他端側のフランジ部71cは、周壁部71aの内側にロータコア32と荷重受けブロック70A,70Bが圧入された後にかしめによって造形される。
一方の荷重受けブロック70Aと他方の荷重受けブロック70Bはほぼ同様の構造とされているが、一方の荷重受けブロック70Aにのみ後述の膨出部90が形成されている。
荷重受けブロック70Aの端部壁70cの外周縁部(径方向外側の縁部)には、軸方向外側に(フランジ部71bの方向に)膨出する膨出部90が形成されている。膨出部90は、荷重受けブロック70Aの径方向に沿う断面が角部を持たない山型の断面形状に形成されている。より具体的には、膨出部90の径方向に沿う断面は、軸方向外側に最も突出する頂部pを挟んで径方向外側と内側に円弧状に延びる円弧部90aと、円弧部90aの端部から径方向内側に向かって軸方向内側に傾斜して延びる傾斜部90bと、を有している。膨出部90は、上記の断面形状が端部壁70cの外周に沿って環状に連続している。本実施形態の膨出部90は、軸方向の膨出高さと径方向内側への膨出幅が端部壁の周域において一定とされている。
なお、フランジ部71bの径方向の延出長さと膨出部90の大きさは、押さえ治具91によるフランジ部71bの塑性変形が完了したときに、フランジ部71bの径方向内側の端部71b−2が平坦部92に対して離間するように設定されている。
ロータ9の製造時(組立時)には、最初に、ロータコア32の外周部に永久磁石33を配置し、その状態でロータコア32の軸方向の一端側と他端側とに荷重受けブロック70A,70Bを組付ける。
次に、そのアッセンブリをマグネットカバー71の周壁部71aに圧入する。このとき、マグネットカバー71の一方のフランジ部71bは、周壁部71aに対して略直角となるように予め屈曲させておく。
この後、マグネットカバー71のフランジ部71bの径方向外側の縁部71b−1を、押さえ治具91によって膨出部90の方向に押圧する。これにより、フランジ部71bは、膨出部90の断面形状に沿うように塑性変形する。
次に、マグネットカバー71の軸方向の他方の端縁にかしめ治具によってかしめを行い、塑性変形によってフランジ部71cを造形するとともに、フランジ部71cを荷重受けブロック70Bの端部壁70cの端面に圧接させる。この結果、ロータコア32と永久磁石33は、荷重受けブロック70A,70Bとともにマグネットカバー71の内部に固定される。
本実施形態のロータ9は、ロータコア32の軸方向の各端面とマグネットカバー71のフランジ部71b,71cの間に荷重受けブロック70A,70Bが配置されている。このため、ロータ9の製造時に、マグネットカバー71のフランジ部71b,71cをかしめる際に、大きな荷重が永久磁石33に直接入力されて、永久磁石33に損傷や劣化が生じるのを未然に防止することができる。
よって、本実施形態のロータ9を採用した場合には、マグネットカバー71の組付け時に、荷重受けブロック70Aに損傷や劣化が生じたり、摩耗粉が発生したりするのを抑制することができる。
つづいて、第2実施形態のロータの詳細構造について説明する。
図10は、ロータ109の分解斜視図であり、図11は、一方の荷重受けブロック170Aの側面図である。また、図12は、図10のXII−XII線に沿う断面図であり、図13は、図10のXIII−XIII線に沿う断面図である。なお、図10では、一方の荷重受けブロック170Aとマグネットカバー71のみが示され、ロータ109の他の構成部品は図示が省略されている。
本実施形態のロータ109は、基本的な構成は第1実施形態とほぼ同様であるが、荷重受けブロック170Aの膨出部190の構成が第1実施形態のものと異なっている。第1実施形態の荷重受けブロック(70A)では、膨出部(90)の軸方向の膨出高さと、膨出部(90)の径方向内側への膨出幅が端部壁(70c)の周域において一定とされている。これに対し、本実施形態の荷重受けブロック170Aは、膨出部190の軸方向の膨出高さと、膨出部190の径方向内側への膨出幅が端部壁70cの周域において変化している。
本実施形態のロータ109は、第1実施形態とほぼ同様の基本構成を備えているため、前述した第1実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
したがって、本実施形態のロータ109を採用した場合には、ロータ109の組付け時に、端部壁70cのうちの軸方向の肉厚の薄い領域A2(脚部70bと軸方向で重ならない領域)に大きな押圧荷重が作用しなくなるため、荷重受けブロック170Aの損傷や劣化をより少なくすることができる。
したがって、本実施形態のロータ109を採用した場合には、ロータ109の組付け時に、端部壁70cのうちの軸方向の肉厚の薄い領域A2に大きな押圧荷重が作用するのをより確実に抑制することができ、しかも、押さえ治具91からの入力荷重を軸方向の肉厚の厚い脚部70bの広い範囲で受け止めることができる。よって、本構成を採用した場合には、荷重受けブロック170Aの損傷や劣化をさらに少なくすることができる。
Claims (7)
- ステータの磁界を受けて回転するロータであって、
回転軸と、
前記回転軸が同軸に固定されたロータコアと、
前記ロータコアの外周部に配置された複数の永久磁石と、
前記ロータコアと複数の前記永久磁石の外側を覆い、前記回転軸の回転軸線に沿う軸方向の端部に径方向内側に屈曲したフランジ部を有する略筒状のマグネットカバーと、
前記ロータコアの軸方向の端面と前記フランジ部の間に配置されて、前記フランジ部と前記ロータコアに当接する荷重受けブロックと、を備え、
前記荷重受けブロックの径方向外側の縁部には、前記フランジ部の方向に膨出して前記フランジ部の径方向外側の縁部と当接する膨出部が配置されていることを特徴とするロータ。 - 前記膨出部は、前記荷重受けブロックの径方向に沿う断面が角部を持たない山型の断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
- 前記荷重受けブロックは、
前記回転軸の回転軸線を中心とした放射方向に延び、前記ロータコアの軸方向の端面に当接する複数の脚部と、
複数の前記脚部の前記ロータコアと逆側の軸方向の端部に連結された略円板状の端部壁と、を有し、
前記膨出部は、前記端部壁の外周に沿って環状に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロータ。 - 前記膨出部は、前記端部壁の周方向において前記脚部と軸方向で重なる領域が前記脚部と軸方向で重ならない領域よりも軸方向の膨出高さが高く形成されていることを特徴とする請求項3に記載のロータ。
- 前記膨出部は、前記端部壁の周方向において前記脚部と軸方向で重なる領域が前記脚部と軸方向で重ならない領域よりも径方向内側への膨出幅が広く設定されていることを特徴とする請求項4に記載のロータ。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータと、
前記ロータの外周側に配置されて、磁界を発生するステータと、を備えていることを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のロータの製造方法であって、
前記ロータコアの外周部に複数の前記永久磁石を配置するとともに、前記ロータコアの軸方向の端部に前記荷重受けブロックを組付ける工程と、
前記荷重受けブロック、前記ロータコア、及び、複数の前記永久磁石をマグネットカバーの周壁部内に圧入する工程と、
前記フランジ部の径方向外側の縁部を前記荷重受けブロックの前記膨出部の方向に押圧する工程と、
を有ることを特徴とするロータの製造方法。
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