JP7437565B2 - ロータ及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ロータ及びモータに関する。
本願は、2021年3月9日に、日本に出願された特願2021-037408号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
複数のマグネットを備えたモータのロータとして、外周面に複数の突極を有するロータコアを備えたものがある。複数の突極は、周方向に間隔をあけて形成される。複数の突極は、ロータコアの外周面から径方向外側に突出している。複数のマグネットは、周方向で隣り合う突極の間で、かつロータコアの外周面にそれぞれ固定されている。
ロータは、ロータコアの軸方向両側からマグネットの位置決めを行うホルダを備える場合がある。ロータは、マグネットを保護するために、ロータコア及びマグネットの外周面を覆う薄板円筒状のマグネットカバーを備える場合がある。この場合、ロータコアの軸方向の一端側からマグネットの外周面にマグネットカバーを圧入する。この後、マグネットカバーの軸方向の端部を全周にわたって径方向内側に折り返してかしめることにより、ロータコアにマグネットカバーを組み付ける。
日本国特許第5776652号公報
ところで、マグネットに対してマグネットカバーを圧入により組み付けている。この圧入作業の際、マグネットに対してマグネットカバーが圧入されている。このため、この圧入された箇所が径方向外側に引っ張られて径方向外側に膨らむ場合があった。この変形に引きずられるようにして、マグネットカバーのうちの突極と径方向で対向する箇所(以下、マグネットカバーの突極対向箇所という)が径方向内側に縮むように変形する場合があった。
この結果、マグネットカバーと突極とが当接する場合があった。このとき、マグネットカバーの突極対向箇所における圧入荷重が大きくなり、マグネットカバーが変形または破損する可能性があった。マグネットホルダは、マグネットカバーの圧入時に治具と突き当てとなる。このため、マグネットカバーの圧入荷重が過剰になると、負荷により破損するおそれがあった。
そこで、本発明は、マグネットカバーの圧入荷重の増大を抑制し、マグネットカバー及びマグネットホルダが変形、破損することを防止することができるロータ及びモータを提供する。
上記の課題を解決するために、本発明に係るロータは、回転軸と一体に回転するロータコアと、前記ロータコアの外周面に配置された複数のマグネットと、前記ロータコア及び複数の前記マグネットの外側を覆うとともに、前記マグネットが圧入されて、軸方向の端部に形成され径方向内側に屈曲したフランジ部を有する筒状のマグネットカバーと、前記ロータコアの軸方向の端面と前記フランジ部との間に配置されて、前記ロータコアと前記フランジ部とに当接するホルダと、を備え、前記ロータコアは、前記回転軸に嵌合固定される筒状のコア本体部と、前記コア本体部から径方向外側に突出し、周方向で隣り合う各前記マグネットの間に配置された複数の突極と、を有し、前記ホルダは、前記コア本体部の軸方向の端面に重ねて配置された環状部と、前記環状部から径方向外側に突出し、前記突極の軸方向の端面に重ねて配置された脚部と、を有し、前記脚部の径方向外側の端部、及び前記マグネットカバーにおける前記脚部の径方向外側の端部と径方向で対向する箇所の少なくともいずれか一方に、前記脚部に対して前記マグネットカバーを圧入とする圧入リブが設けられている。
本発明によれば、マグネットカバーの圧入荷重の増大を抑制し、マグネットカバー及びマグネットホルダが変形、破損することを防止することができるロータ及びモータを提供できる。
第1実施形態のモータユニットの斜視図である。 第1実施形態のモータユニットの図1のII-II線に沿う断面図である。 第1実施形態のロータの斜視図である。 第1実施形態のロータの図3のIV-IV線に沿う断面図である。 第1実施形態のロータの図4におけるV部の拡大断面図である。 第1実施形態のロータの分解斜視図である。 マグネットカバーを取り去った第1実施形態のロータの斜視図である。 第1実施形態のホルダを軸方向の他端側から見た斜視図である。 第1実施形態のホルダを軸方向の一端側から見た斜視図である。 第1実施形態のマグネットカバーの組み付け方法を示す工程説明図である。 第1実施形態のマグネットカバーの組み付け方法を示す工程説明図である。 第1実施形態のマグネットカバーの組み付け方法を示す工程説明図である。 第1実施形態の圧入リブによるマグネットカバーの変形抑制を示す図である。 第1実施形態の圧入リブによる圧入荷重のバラつきを抑制する効果を示すグラフである。 第2実施形態のロータの断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1から図11に基づいて説明する。
(モータユニット)
図1は、モータユニット1の斜視図である。図2は、モータユニット1の図1のII-II線に沿う断面図である。
モータユニット1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。図1、図2に示すように、モータユニット1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、モータ2の回転軸31の回転軸線方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」という場合は、回転軸31の周方向を意味するものとする。単に「径方向」という場合は、回転軸31の径方向を意味するものとする。
(モータ)
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。第1実施形態のモータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
(モータケース)
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7とは、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向中央には、モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
第1モータケース6及び第2モータケース7の各開口部6a、7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16、17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16、17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。モータケース5の内部空間に、ステータ8とロータ9とが配置されている。ステータ8は、モータケース5の内周面に固定されている。
(ステータ)
ステータ8は、積層した電磁鋼板等から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のステータコア本体部21と、ステータコア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有している。ステータコア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を発生する。
(ロータ)
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、内周部に回転軸31が圧入固定される筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つのマグネット33(図6参照)と、を備えている。第1実施形態では、回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。回転軸31とウォーム軸44は、モータケース5とギヤケース40とに回転自在に支持されている。回転軸31とウォーム軸44は、回転軸線(軸心C)回りに回転する。マグネット33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、マグネット33は、これに限るものではなく、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
ロータ9の詳細構造については後に説明する。
(減速部)
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔10aとギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
ギヤケース40の底壁40cには、円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものである。軸受ボス49は、内周側に不図示の滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部内側には、不図示のOリングが装着されている。軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46、47を介してギヤケース40に回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、モータ2の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(モータ2の回転軸31)の回転軸線(軸心C)と直交するように配置されている。出力軸48は、ギヤケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
ウォームホイール45には、不図示のセンサマグネットが設けられている。センサマグネットは、後述するコントローラ4に設けられた磁気検出素子61によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子61によって検出される。
(コントローラ)
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有している。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー63によって閉塞されている。
コントローラ基板62には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。コントローラ基板62には、カバー63に設けられたコネクタ11(図1参照)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
(ロータの詳細構造)
図3は、ロータ9の斜視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、ロータ9の図4におけるV部の拡大断面図である。図6は、ロータ9の分解斜視図である。図7は、マグネットカバー71を取り去ったロータ9の斜視図である。
図3から図7に示すように、ロータ9は、回転軸31(図2参照)と一体に回転軸線(軸心C)回りに回転するロータコア32と、ロータコア32の外周面に配置された4つのマグネット33と、ロータコア32の軸方向の一端側と他端側とにそれぞれ配置される一対のホルダ70と、ロータコア32及びマグネット33の外側を一対のホルダ70とともに軸方向及び径方向外側から覆う金属製で円筒状のマグネットカバー71と、を備えている。
ロータコア32は、円筒状のロータコア本体部32A(請求項のコア本体部に相当)と、ロータコア本体部32Aの外周面から径方向外側に放射状に突出する4つの突極32Bと、を有している。ロータコア32は、例えば、軟磁性粉を加圧成形したり、複数の電磁鋼板を軸方向に積層したりして形成されている。
ロータコア本体部32Aには、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした回転軸保持孔72が形成されている。回転軸保持孔72に、回転軸31が圧入固定されて保持される。これにより、ロータコア本体部32Aは、回転軸31に嵌合固定される。
回転軸保持孔72の内周面には、径方向外側に向かって延びる4つの逃げ溝73が形成されている。各逃げ溝73は、周方向に等間隔で配置されている。各逃げ溝73は、回転軸保持孔72の径方向内側と連通されている。各逃げ溝73は、ロータコア32の軸方向全体にわたって形成されている。各逃げ溝73の径方向外側の端部は、円弧状の係合部73aとされている。係合部73aには、後述するホルダ70の係止爪74が嵌入される。
4つの突極32Bは、ロータコア本体部32Aの外周上に等間隔に突出し、かつ軸方向に延びている。4つの突極32Bは、周方向で隣り合うマグネット33の間に配置されている。ロータコア本体部32Aの外周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした円形状に形成されている。各突極32Bの周方向の側面は、平坦に形成されている。突極32Bの径方向外側の側面32B1は、軸方向から見て径方向内側に凹むU字状に形成されている。ロータコア32の周方向で隣接する突極32B間に、マグネット33が組付けられる。
マグネット33は、軸方向からみて円弧状に形成されている。マグネット33の内周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした円弧形状(ロータコア本体部32Aの外周面とほぼ合致する円弧形状)に形成されている。これに対し、マグネット33の外周面は、内周面よりも曲率半径の小さい円弧形状に形成されている。言い換えれば、マグネット33の外周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)よりも径方向で外周面側に偏心した位置を中心とした円弧形状に形成されている。
すなわち、マグネット33は、いわゆる偏心マグネットである。このため、マグネット33の周方向中央部は、マグネット33の最大膨出部33cである。最大膨出部33cは、突極32Bの径方向外側の端部よりも僅かに径方向外側に位置している。最大膨出部33cは、マグネット33の外周面における周方向端部33dよりも径方向外側に位置している。周方向端部33dは、突極32Bの径方向外側端と径方向でほぼ同一位置か、又は若干径方向内側の位置にある。
各マグネット33の軸方向の長さは、ロータコア32の突極32Bの軸方向長さよりも長くなるように形成されている。各マグネット33は、ロータコア32に組付けられた状態において、突極32Bに対して軸方向の一端側が他端側よりも短く突出するように配置される。
マグネット33の円弧方向の両端部には、突極32Bの平坦な側面と当接する当接面33aと、当接面33aの径方向外側の端部から突極32Bと離間する方向に傾斜して延びる傾斜面33bと、が設けられている。マグネット33は、ロータコア32及び後述するホルダ70とともにマグネットカバー71に圧入されている。
後述する図10に示すように、ロータ9の軸心C(回転軸線)からロータコア本体部32Aの外周までの距離をL1、軸心Cからマグネット33の最大膨出部33cの外周面までの距離をL2としたとき、距離L2は、距離L1の1.5倍から2.0倍の範囲内に設定されている。ロータ9の軸心C(回転軸線)から突極32Bの径方向外側端までの距離をL3としたとき、L3はL1の1.5倍から2.0倍の範囲内に設定されている。但し、距離L2及び距離L3は、L2>L3を満たす。
これにより、マグネット33の体積を大きくすることができるので、有効磁束が大きくなりモータ2の出力を向上させることができる。マグネット33の径方向寸法を大きくすることにより、マグネット33にステータ8からの鎖交磁束が通りにくくなる。突極32Bの径方向外側端をステータ8の近くに配置することにより、突極32Bにステータ8からの鎖交磁束が通りやすくなる。このため、ステータ8の鎖交磁束により突極32Bを吸引するリラクタンストルクが大きくなる。よって、モータ2の出力を向上させることができる。
マグネットカバー71は、ロータコア32及びマグネット33の外周面を覆う筒状部71aと、筒状部71aの軸方向一端(図4における下端)に一体成形された張り出し部71bと、張り出し部71bの径方向内側端に一体成形された第1フランジ部71c(請求項のフランジ部に相当)と、筒状部71aの軸方向他端(図4における上端)に一体成形された第2フランジ部71d(請求項のフランジ部に相当)と、を備えている。
組み付け前の筒状部71aにおける内径寸法の公差の最大値は、ロータコア32に組み付けられた状態のマグネット33における外形寸法の公差の最小値以下に設定されている。これにより、マグネット33に対してマグネットカバー71を外挿すると、マグネット33に対してマグネットカバー71が圧入される。
張り出し部71bは、筒状部71aの軸方向一端から軸方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように形成されている。張り出し部71bは、筒状部71aの全周にわたって形成されている。
張り出し部71bの折り返された径方向内側端から第1フランジ部71cが径方向内側に向かって延出されている。第1フランジ部71cの延出方向は、径方向に沿っている。
第2フランジ部71dは、筒状部71aの内側にロータコア32及びマグネット33を一対のホルダ70とともに配置した状態で、かしめによって径方向内側に屈曲するように塑性変形させられることで形成される。マグネットカバー71の組み付け方法の詳細は後述するとし、この組み付け方法の説明以外では、マグネットカバー71の第2フランジ部71dは、かしめられたものとして説明する。
このようなマグネットカバー71の内側における軸方向両端部に、一対のホルダ70が配置されている。
(ホルダ)
図8Aは、ホルダ70を軸方向の他端側から見た斜視図である。図8Bは、ホルダ70を軸方向の一端側から見た斜視図である。
図6、図7、図8A、図8Bに示すように、ロータコア32の軸方向両端にそれぞれ配置される一対のホルダ70は同一構成である。両者は、上下を反転させた状態でロータコア32に組付けられている。
ホルダ70は、例えば、硬質樹脂によって形成されている。ホルダ70は、軸方向視でロータコア32とほぼ重なる形状に形成されている。ホルダ70は、ロータコア32のロータコア本体部32Aの軸方向端面に重ねて配置される環状部70Aと、環状部70Aの外周面から径方向外側に放射状に突出する4つの脚部70Bと、環状部70A及び脚部70Bにおける軸方向でロータコア32とは反対側の端部に設けられた基板70Cと、各脚部70Bの径方向外側の端部に一体形成された圧入リブ70Dと、を有している。
環状部70Aの内周縁部に、4つの係止爪74が周方向に等間隔で一体成形されている。係止爪74は、軸方向に沿ってロータコア32側に向かって突出している。係止爪74は、断面が半円状に形成されている。係止爪74は、ホルダ70がロータコア32の端面に組付けられたときに、ロータコア32の内周の逃げ溝73(係合部73a)に嵌合される。ホルダ70は、各係止爪74が対応する逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されることにより、ロータコア32との径方向の相対変位を規制される。
環状部70Aの軸方向内側の端面には、4つの凹部59が周方向に等間隔で形成されている。各凹部59は、周方向に沿って延びている。各凹部59は、周方向で隣り合う係止爪74の間に配置されている。
脚部70Bは、各ホルダ70に極数(マグネット33の個数)と同数となるように4つずつ設けられている。4つの脚部70Bは、環状部70Aの外周上の係止爪74に対応する位置から径方向外側に向かって突出形成されている。すなわち、4つの脚部70Bは、周方向で隣り合う各凹部59間に配置されている。4つの脚部70Bは、軸方向から見て十字状に配置されている。各脚部70Bの軸方向の厚みは、ロータコア32の突極32Bからのマグネット33の突出長さよりも厚くなるように設定されている。
各脚部70Bは、各突極32Bの軸方向の端面に重ねて配置されている。各脚部70Bは、径方向外側の端部と、ロータコア32の対応する突極32Bの径方向外側の端部とが軸方向から見て同一位置となるように形成されている。すなわち、脚部70Bの径方向外側の端部は、マグネット33の最大膨出部33cよりも僅かに径方向内側に位置するとともに、マグネット33の外周面における周方向端部33dと径方向で同一位置にある。
脚部70Bの軸方向内側の端面は、環状部70Aの軸方向内側の端面と同一平面上にある。以下、環状部70A及び脚部70Bの軸方向内側の端面をまとめて当接面86とする。当接面86は、ロータコア32のロータコア本体部32Aと突極32Bの軸方向の端面に当接する。当接面86は、凹部59を挟んで周方向で4つのブロックに分離されている。
各脚部70Bの周方向に面する両側面には、一対の圧入突起76がそれぞれ形成されている。各圧入突起76は、軸方向に沿って延び、かつロータコア32に近接する側に向かうに従って膨出高さが漸次低くなるように形成されている。
外周部にマグネット33が配置されたロータコア32に対し、ホルダ70が組付けられると、ホルダ70の周方向で隣接する脚部70B間に各マグネット33の端部が挿入される。このとき、マグネット33の当接面33aは圧入突起76に当接する。これにより、マグネット33の周方向の変位が規制される。
基板70Cは、周方向で隣接する脚部70Bの間の空間を脚部70Bの軸方向外側位置で閉塞している。これにより、基板70Cは、マグネット33の軸方向の端面に重ねて配置される。基板70Cの外形状は、軸方向から見て円形状である。基板70Cの半径は、ロータコア32の軸心Cから脚部70Bの径方向外側の端部までの長さと殆ど同寸法である。一対のホルダ70がロータコア32に組み付けられた状態において、一対の基板70C同士の軸方向の離間距離は、マグネット33の軸方向の長さよりも長い。基板70Cの外周面には、丸面取り部75が全周にわたって形成されている。丸面取り部75は、軸方向外側に凸となるように形成されている。
基板70C上の周方向で隣接する各脚部70Bの間の位置には、円形状の確認孔57が形成されている。確認孔57は、各マグネット33の軸方向の端面と対向する位置に形成されている。これにより、マグネット33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71内にホルダ70が組付けられたときに、各マグネット33の位置をロータコア32の外部から目視確認できる。確認孔57は、各マグネット33と一対一で対応するように4つ設けられている。
基板70Cの軸方向外側の面は、平坦に形成されている。これに対し、図8Bに示すように、基板70Cの軸方向内側の面には、放射状に延びる複数の補強リブ58が突設されている。補強リブ58は、基板70Cの軸方向内側の面の周方向で隣接する各脚部70Bの間に二つずつ配置されている。
補強リブ58は、ホルダ70を樹脂によって型成形したときに、熱ヒケ等によって基板70Cの周域に凹みや波うち等の変形が生じるのを抑制する機能を有する。補強リブ58は、基板70Cの機械的強度を高める機能を有する。補強リブ58は、マグネットカバー71内にホルダ70が、マグネット33を保持したロータコア32とともに組付けられたときに、マグネット33の軸方向の端面と対向する。補強リブ58は、マグネット33に対して軸方向に過大な荷重が作用したときに、マグネット33の端面に当接することにより、マグネット33の軸方向の変位を規制する。
圧入リブ70Dは、脚部70Bの径方向外側の端部及び基板70Cの外周面から径方向外側に突出している。このため、基板70Cの径方向外側の端部は、全周にわたって、圧入リブ70Dの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置することになる。圧入リブ70Dは、径方向からみた形状が脚部70Bの径方向外側端面の形状に対応するように形成されている。すなわち、圧入リブ70Dは、径方向からみて軸方向に長い長方形状に形成されている。
圧入リブ70Dの径方向からみた大きさは、脚部70Bの径方向外側端面の大きさよりも一回り小さい。より具体的には、圧入リブ70Dの軸方向の長さは、回転軸31を除いたロータ9(以下、ロータユニットという)の全体の軸方向の長さに対し、1~3割程度の長さに設定されている。より好ましくは、圧入リブ70Dの軸方向の長さは、ロータユニットの軸方向の長さに対して2割程度に設定されるとよい。圧入リブ70Dにおける軸方向外側の端部は、基板70Cの外周面に位置している。
圧入リブ70Dについてより詳述すると、圧入リブ70Dは、軸方向及び周方向のそれぞれから見て径方向外側に向かうに従い先細る台形状に形成されている。圧入リブ70Dの径方向外側の端面87は、軸方向から見て基板70Cの外周面に沿って湾曲する形状に形成されている。
圧入リブ70Dは、各脚部70Bに設けられているので、脚部70Bと同様に各ホルダに極数と同数となるように4つずつ設けられている。ホルダ70は2つ設けられているので、圧入リブ70Dは、全体として計8個設けられている。
上記のように、各脚部70Bは、径方向外側の端部と、対応する突極32Bの径方向外側の端部とが軸方向から見て同一位置となるように形成されている。すなわち、脚部70Bの径方向外側の端部は、マグネット33の最大膨出部33cよりも僅かに径方向内側に位置するとともに、マグネット33の外周面における周方向端部33dと径方向で同一位置にある。基板70Cの半径は、ロータコア32の軸心Cから脚部70Bの径方向外側の端部までの長さと殆ど同寸法である。
これに対し、圧入リブ70Dの径方向外側の端部は、突極32Bの径方向外側の端部、基板70Cの外周面、及びマグネット33の外周面における周方向端部33dよりも径方向外側に突出している。圧入リブ70Dは、マグネット33の最大膨出部33cと径方向でほぼ同一位置か、又は若干径方向外側の位置にある。
組み付け前のマグネットカバー71の筒状部71aにおける内径寸法の公差の最大値は、ロータコア32に組み付けられた状態の軸心Cと圧入リブ70Dの外周面における周方向端部33dとの距離の公差の最小値以下に設定されている。これにより、ホルダ70に対してマグネットカバー71を外挿すると、圧入リブ70Dによって、ホルダ70の脚部70Bに対してマグネットカバー71が圧入される。
ロータコア32にマグネットカバー71が組み付けられた状態(以下、マグネットカバー71の組み付け状態という)において、マグネットカバー71の筒状部71aの内周面は、圧入リブ70Dの外周面及びマグネット33の最大膨出部33cに当接している。ここで、本実施形態においてはマグネット33の体積を大きくしている。このため、ロータコア32に対してマグネット33がガタついてしまう可能性があった。そこで、マグネットカバー71がマグネット33の最大膨出部33cと当接するように組み付けることで、マグネット33のロータコア32に対するガタつきを効果的に抑制することができる。
(マグネットカバーの組み付け方法)
次に、図9Aから図9Cに基づいて、マグネットカバー71の組み付け方法について説明する。
図9A、図9B、図9Cは、マグネットカバー71の組み付け方法を示す工程説明図である。
(カバー配置工程)
まず、マグネットカバー71を組み付ける前に、予めロータコア32の外周部にマグネット33を配置する。この状態でロータコア32の軸方向の各端面にホルダ70を仮組みする。以下の説明では、この仮組み状態を予備アッセンブリ79という。
図9Aに示すように、予備アッセンブリ79の状態で、ロータコア32の軸方向一端側にマグネットカバー71を、ロータコア32側に第2フランジ部71dを向けて配置する(カバー配置工程)。このとき、第2フランジ部71dは、かしめられていない。第2フランジ部71dは、張り出し部71bとは反対側(ロータコア32側)に向かうに従って開口面積が漸次大きくなるように末広がり状に形成されている。この状態で、張り出し部71bの上から張り出し部71bを第1治具80によって押圧する。
(カバー押し込み工程)
続いて、図9Bに示すように、第1治具80によって張り出し部71bを押圧しながら予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を嵌め合わせるように押し込む(カバー押し込み工程)。このとき、第2フランジ部71dが末広がり状に形成されている。このため、予備アッセンブリ79にスムーズにマグネットカバー71が嵌め込まれる。
カバー押し込み工程では、ホルダ70の基板70Cに第1フランジ部71cが当接されるまで、マグネットカバー71が押し込まれる。マグネット33(図7参照)及び圧入リブ70Dに対して圧入されながらマグネットカバー71が押し込まれる。このため、マグネット33は、マグネットカバー71の押し込み方向に引きずられる。マグネットカバー71の押し込みが完了したとき、第2フランジ部71d側のホルダ70の基板70Cにマグネット33の軸方向端部が押し付けられている。
(かしめ工程)
続いて、図9Cに示すように、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71が完全に押し込まれた後、第2治具81によって第2フランジ部71dを径方向内側に折り込むようにかしめる(かしめ工程)。
ここで、第2治具81は、円板状の治具本体部82と、治具本体部82の軸方向一方側の端面82aの外周縁から治具本体部82の板厚方向に延びる円筒状の押圧部83と、を有している。治具本体部82の外径は、マグネットカバー71の外径よりも僅かに大きい。押圧部83の内周面83aは、治具本体部82から離間する方向に向かうに従って漸次治具本体部82の径方向外側に位置する。内周面83aは、径方向断面視において、径方向外側に張り出す円弧状に形成されている。押圧部83の内周面83aは、軸方向で治具本体部82とは反対側の端部において、外周面83bと連続している。外周面83bは、治具本体部82の外周面と同一平面上にある。
このような第2治具81を用いて行うかしめ工程は、まず、マグネットカバー71を挟んで第1治具80とは軸後方で反対側に第2治具81を配置する。続いて、治具本体部82の中心軸とロータコア32の中心軸とが一致するように、かつ押圧部83をロータコア32側に向けた状態で、第2治具81を配置する。続いて、マグネットカバー71に向けて第2治具81を軸方向に押圧する。すると、押圧部83の内周面83aが第2フランジ部71dに当接される。さらに、第2治具81は、第2フランジ部71dを径方向内側に屈曲するようにかしめて塑性変形させる。
第2フランジ部71dは、径方向外側の箇所で、ホルダ70を軸方向外側から押さえこむ。これにより、ホルダ70に対して、マグネットカバー71が、第2フランジ部71dにおいてかしめ固定される。第2フランジ部71dが塑性変形されているので、マグネットカバー71の内部に、ロータコア32とマグネット33(図7参照)とがホルダ70とともに固定される。
このようにして、マグネットカバー71の組み付けが完了する。
上述した第1実施形態では、マグネットカバー71を、マグネット33への圧入嵌合に加えホルダ70の圧入リブ70Dに圧入嵌合するので、マグネットカバー71と突極32Bとが接触することを抑制し、マグネットカバー71を圧入する際の圧入荷重を低減できる。圧入荷重を低減することで、マグネットカバー71及びホルダ70、マグネット33の破損を防止することができる。さらに、圧入荷重を低減することで、圧入に起因するマグネットカバー71の径方向外側及び径方向内側への変形量を抑制できる。このため、ロータコア32に対してマグネットカバー71及びマグネット33をガタつき無く固定することができる。
これらに加え、圧入作業の際、マグネット33によってマグネットカバー71が径方向外側に引っ張られるのと同時に、圧入リブ70Dによってマグネットカバー71の突極対向箇所が径方向外側に引っ張られる。このため、マグネットカバー71の周方向全体で径方向内側に縮む変形が抑制され、マグネットカバー71の全体の変形を確実に抑制できる。これについて、以下に詳述する。
図10は、圧入リブ70Dによるマグネットカバー71の変形抑制を示す図である。図10は、ロータ9の軸方向断面図である。図10では、マグネット33に対して圧入されたマグネットカバー71の形状を二点鎖線及び一点鎖線で模式的に示している。二点鎖線は、圧入リブ70Dが設けられていない場合のマグネットカバー71の形状を示している。一点鎖線は、圧入リブ70Dが設けられている場合のマグネットカバー71の形状を示している。なお、図10ではマグネットカバー71の変形量を見やすくするために、マグネットカバー71の形状を誇張して記載している。実際は、二点鎖線のマグネットカバーは、マグネット33の最大膨出部33c及び突極32Bに当接しており、一点鎖線のマグネットカバーは、マグネット33の最大膨出部33c及び圧入リブ70Dに当接している。
図10に示すように、圧入リブ70Dが設けられていない場合、マグネットカバー71のマグネット対向箇所は径方向外側に引っ張られるように変形し、マグネットカバー71の突極対向箇所は径方向内側に縮むように変形する。これにより、マグネットカバー71によって各マグネット33の外周面における周方向端部33dが締め付けられ、周方向端部33dに偏荷重が発生する。
これに対し、第1実施形態のように圧入リブ70Dが設けられている場合では、圧入リブ70Dが設けられていない場合と比較して、圧入リブ70Dによってマグネットカバー71の突極対向箇所においても、径方向内側に縮む変形が抑制される。マグネットカバー71の突極対向箇所における変形抑制に引きずられ、マグネットカバー71のマグネット対向箇所において径方向外側に引っ張られる変形が抑制される。これにより、マグネットカバー71によりマグネット33の最大膨出部33cを保持する力を維持することができる。マグネットカバー71によって各マグネット33の外周面における周方向端部33dが締め付けられることが抑制される。したがって、周方向端部33dに偏荷重が発生することが抑制される。マグネット33の周方向端部33dを最大膨出部33c及び圧入リブ70Dよりも径方向内側に配置している。このため、マグネットカバー71とマグネット33の周方向端部33dとが当接しにくいようにできる。
ところで、マグネット33の製造公差によってマグネットカバー71の圧入荷重にバラつきが生じ、組み付けが不安定となっていた。これに対し、第1実施形態では、圧入リブ70Dでの圧入荷重がマグネット33での圧入荷重以上となるように、圧入リブ70Dが形成されている。これにより、マグネット33の製造公差による圧入荷重のバラつきをある程度無視できる。これについて、以下に詳述する。
図11は、縦軸をマグネットカバー71に付加される圧入荷重とし、横軸を圧入リブ70Dが設けられていない場合の結果T1及び圧入リブ70Dが設けられている場合の結果T2としたときの、圧入リブ70Dによる圧入荷重のバラつきを抑制する効果を示すグラフである。
図11に示すように、圧入リブ70Dが設けられている場合では、圧入リブ70Dが設けられていない場合と比較して圧入荷重の最小値が増加するとともに、圧入荷重の最大値が減少したことが確認されている。
圧入荷重の最小値が増加したのは、ホルダ70に圧入リブ70Dが設けられ、マグネット33に加えてホルダ70もマグネットカバー71に圧入されることに起因する。
圧入荷重の最大値が減少したのは、下記に詳述する突極32Bによるマグネットカバー71の引きずりが抑制されたことに起因する。
ホルダ70に圧入リブ70Dが設けられていない場合、マグネットカバー71の圧入時に、このマグネットカバー71の突極対向箇所が径方向内側に縮む。このため、マグネットカバー71の突極対向箇所と突極32Bとが接触することになる。すると、マグネットカバー71と突極32Bとの間の摩擦抵抗が大きくなり、より大きな圧入荷重が必要となる。このとき、マグネットカバー71の突極対向箇所と各突極32Bとの接触にばらつきが生じ、これがマグネットカバー71の圧入時に、引きずりによる偏荷重の発生に起因していた。特に、ロータコア32を複数の電磁鋼板の積層体により形成した場合、硬いうえに軸方向に沿って微少な凹凸がある。このため、樹脂製部材などに比べ摩擦抵抗が大きくなる。
これに対し、第1実施形態では、圧入リブ70Dによってマグネットカバー71がホルダ70と圧入嵌合される。これにより、圧入リブ70Dが設けられていない場合と比較して、径方向におけるマグネットカバー71と突極32Bとの間の距離が長くなる。この結果、マグネットカバー71は突極32Bと接触しにくくなる。仮に、マグネットカバー71の突極対向箇所が径方向内側に変形したとしても、マグネットカバー71と突極32Bとが強く接触してしまうことを抑制できる。これにより、マグネットカバー71と突極32Bとの間の摩擦抵抗が小さくなり、圧入荷重を低減することができる。したがって、マグネットカバー71の圧入時に、偏荷重が発生することを防止できる。よって、圧入荷重が過剰に大きくなりマグネットカバー71やホルダ70、マグネット33が変形又は破損することを防止し、マグネットカバー71の組み付けを安定化できる。
ところで、マグネットカバー71に対して突極32Bも圧入とすることで、ロータコア32に対するマグネットカバー71の固着強度を高め、マグネットカバー71のガタツキを抑制することも考えられる。しかしながら、このように構成すると、突極32Bが軸方向全体にわたって形成されている分、マグネットカバー71の圧入面積が大きくなる。このため、マグネットカバー71の圧入荷重が大きくなりすぎてしまう。
これに対し、第1実施形態では、ホルダ70に圧入リブ70Dを設け、突極32Bに代わって圧入リブ70Dを圧入とすることで、マグネットカバー71の変形を抑制している。圧入リブ70Dの軸方向の長さは、突極32Bに対して十分に短いので、突極32Bに対してマグネットカバー71を引きずる場合と比較して、マグネットカバー71の圧入荷重を小さくできる。
また、マグネットカバー71が圧入リブ70Dに圧入されているため、ホルダ70はマグネットカバー71に対し強固に固定されている。よって、かしめ作業によってホルダ70をマグネットカバー71やロータコア32、マグネット33に強固に固定する必要はなく、かしめ荷重を低減することができる。これについて、以下に詳述する。
すなわち、ホルダ70に圧入リブ70Dが設けられていない場合、ホルダ70をマグネットカバー71に対してガタつきなく固定するために、かしめ工程においてマグネットカバー71の第2フランジ部71dをホルダ70に対して強固にかしめることが考えられる。このとき、かしめ荷重が大きくなるため、マグネットカバー71の軸方向端部が径方向外側に膨らむように変形したり、座屈が生じたりするおそれがあった。
これに対し、第1実施形態では、カバー押し込み工程においてマグネットカバー71が圧入リブ70Dに圧入されているため、ホルダ70はマグネットカバー71によってガタつき無く固定される。このため、かしめ工程では第2フランジ部71dをホルダ70に引っ掛ける程度にかしめればよく、かしめ荷重を低減することができる。かしめ荷重を低減したことで、マグネットカバー71の変形を抑制することができる。かしめ荷重を低減すると、第2フランジ部71dの径方向内側の一部が基板70Cの丸面取り部75から軸方向外側に浮いた状態で組み付けられる(図5参照)。
上述のように、圧入荷重及びかしめ荷重を低減することで、圧入及びかしめに必要なエネルギーを削減できる。これにより、削減されたエネルギーを他の工程等に利用することができるので、世界全体のエネルギー効率の改善に寄与できる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
圧入リブ70Dの径方向外側の端部は、マグネット33の外周面よりも径方向外側に突出している。これにより、容易に圧入リブ70Dを形成できる。
ホルダ70は、マグネット33の軸方向の端面に重ねて配置された基板70Cを有している。これにより、基板70Cによってマグネット33の軸方向の移動を規制できる。この結果、マグネット33の位置を安定させることができる。さらに、基板70Cの径方向外側の端部は、全周にわたって、圧入リブ70Dの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置している。これにより、ホルダ70の周方向全体にマグネットカバー71が圧入されてしまうことを防止できる。このため、無駄にマグネットカバー71の圧入荷重が増大してしまうことを防止できる。マグネットカバー71の圧入時に、基板70Cはマグネットカバー71に接触しない。このため、基板70Cがマグネットカバー71の圧入を妨げることを防止できる。
モータ2は、上述したロータ9を備えている。このため、モータ2は、マグネットカバー71の変形量を抑制できる。ロータコア32に対して、マグネットカバー71及びマグネット33をガタつき無く固定することができる。
4つの脚部70Bは、軸方向から見て十字状に配置されている。これにより、脚部70Bの箇所は、基板70Cのみの箇所と比べて軸方向に肉厚となり、強度が向上する。したがって、脚部70Bは、圧入リブ70Dを介してマグネットカバー71からの圧入荷重を十分に受けることができ、マグネットカバー71の変形を良好に抑制できる。
基板70Cの軸方向内側の面には、複数の補強リブ58が突設されている。補強リブ58によって、マグネットカバー71の端部のかしめ時に、かしめ荷重によってホルダ70の基板70Cが変形するのを抑制できる。
ホルダ70の当接面86は、凹部59を挟んで周方向で4つのブロックに分離されている。これにより、当接面86における各ブロックの端面をロータコア32の軸方向の端面に正確に当接させるための成形型の調整を容易に行うことができる。
カバー押し込み工程において、第2フランジ部71dが末広がり状に形成されている。これにより、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を容易に嵌め合わせることができる。
張り出し部71bは、筒状部71aの軸方向一端から軸方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように形成されている。これにより、カバー押し込み工程において、マグネットカバー71の角がホルダ70の外周縁(基板70Cの丸面取り部75、圧入リブ70Dの軸方向外側の角部)に干渉することを防止できる。このため、ホルダ70の基板70Cに第1フランジ部71cを確実に当接できる。したがって、マグネットカバー71の組み付け精度を向上できる。
張り出し部71bの折り返された径方向内側端から第1フランジ部71cが延出されている。このため、カバー押し込み工程において、ホルダ70の基板70Cに当接するまでマグネットカバー71が押し込まれた際、基板70Cに例えば張り出し部71bの径方向内側端のエッジが突き当たって基板70Cが損傷することがない。
マグネット33は、ロータ9の軸心Cからマグネット33の最大膨出部33cの外周面までの距離L2が軸心Cからロータコア本体部32Aの外周までの距離L1の1.5倍から2.0倍の範囲内に設定されように形成されている。さらに、マグネット33は、ロータ9の軸心Cから突極32Bの径方向外側端までの距離L3が距離L1の1.5倍から2.0倍の範囲内に設定されるように形成されている。このため、マグネット33の体積を大きくすることができる。マグネット33の径方向の肉厚をできる限り厚くできる。この結果、マグネット33に、ステータによる鎖交磁束(磁界)が通りにくくなる。マグネット33に鎖交磁束が通らない分、ロータコア32の突極32Bに鎖交磁束が流れやすくなる。突極32Bの径方向外側端をステータ8の近くに配置することで、突極32Bにステータ8からの鎖交磁束を通りやすくすることができる。
本実施形態のように突極32Bを有するロータ9において、突極32Bは、鎖交磁束の磁路の磁気抵抗(リラクタンストルク)を小さくするようにロータコア32を回転させる、リラクタンストルクを発生させる。このため、突極32Bに鎖交磁束を流れやすくすることにより、リラクタンストルクをできる限り大きく発生させることができる。突極32をできる限り大きく形成することにより、突極32Bに鎖交磁束が流れやすくなる。このため、リラクタンストルクをできる限り大きく発生させることができる。よって、モータ2のモータ効率を高めることができる。
ところで、マグネット33の体積を大きくすることにより、マグネット33は、ロータコア32に対してガタついてしまう可能性がある。
ここで、マグネットカバー71の組み付け状態において、マネットカバー71の筒状部71aの内周面は、圧入リブ70Dの外周面及びマグネット33の最大膨出部33cに当接している。このため、マグネット33のロータコア32に対するガタつきを効果的に抑制することができる。
上述の第1実施形態では、ロータコア32に一対のホルダ70が組み付けられた状態において、一対の基板70C同士の軸方向の離間距離は、マグネット33の軸方向の長さよりも長いとしたが、これに限られない。一対の基板70C同士の軸方向の離間距離は、マグネット33の軸方向の長さと等しくてもよい。この場合、マグネットカバー71の内部に、ロータコア32、マグネット33及びホルダ70が組み付けられた状態において、マグネット33は、突極32Bに対して軸方向の一端側と他端側とにほぼ同じ長さだけ突出するように配置される。この場合、マグネット33は、一対の基板70Cの両方と当接する。
(第2実施形態)
続いて、図12に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を適宜省略する。
図12は、ロータ9の断面図である。図12は、ロータ9の径方向断面視である。
図12に示すように、第2実施形態と前述の第1実施形態との相違点は、マグネットカバー71の内側における軸方向の両端部のうち第2フランジ部71d側の端部にのみ、ホルダ70が配置されている点等にある。
ホルダ70は、ロータ9は、ホルダ70を1つのみ有している。このため、圧入リブ70Dは、極数と同数の4つ設けられていることになる。
マグネットカバー71の第1フランジ部71cは、マグネット33及びロータコア32に直接かしめられている。第1フランジ部71cは、マグネット33の軸方向端面、マグネット33の内周面及びロータコア32の軸方向端面に密着するように屈曲形成されている。
上述した第2実施形態では、マグネットカバー71の内側における軸方向の両端部のうち第2フランジ部71d側の端部にのみ、ホルダ70が配置されている。これにより、上述した第1実施形態の効果を発揮しつつ、ホルダ70がマグネットカバー71の内側における軸方向の両端部に設けられている場合と比較して、ロータ9を小型化及び軽量化できる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述の各実施形態では、圧入リブ70Dの軸方向外側の端部は、脚部70Bの径方向外側の端部に設けられているとしたが、これに限られない。圧入リブ70Dは、マグネットカバー71における脚部70Bの径方向外側の端部と径方向で対向する箇所に設けられていてもよい。圧入リブ70Dは、脚部70Bの径方向外側の端部、及びマグネットカバー71における脚部70Bの径方向外側の端部と径方向で対向する箇所、の両方に設けられていてもよい。
上述の各実施形態では、圧入リブ70Dの径方向外側の端部がマグネット33の最大膨出部33cと径方向でほぼ同一位置か、又は若干径方向外側の位置にあるとしたが、これに限られない。圧入リブ70Dの径方向外側の端部は、マグネット33の外周面における周方向端部33dよりも径方向外側に突出していればよく、最大膨出部33cよりも径方向内側又は径方向外側に位置していてもよい。
上述の各実施形態では、マグネット33は、偏心マグネットであるとしたが、これに限られない。マグネット33の外周面は、内周面と曲率半径が等しい円弧形状に形成されていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
上記のロータ及びモータによれば、突極へのマグネットカバーの圧入荷重を緩和しつつ、ロータコアに確実にマグネットカバーを組み付けることができる。
1…モータユニット、2…モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7a…開口部、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、10a…貫通孔、11…コネクタ、16…外フランジ部、17…外フランジ部、20…ステータコア、21…ステータコア本体部、22…ティース、23…インシュレータ、24…コイル、31…回転軸、32…ロータコア、32A…ロータコア本体部(コア本体部)、32B…突極、32B1…側面、33…マグネット、33a…当接面、33b…傾斜面、33c…最大膨出部、33d…周方向端部、40…ギヤケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギヤ収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46…軸受、47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、52…リブ、57…確認孔、58…補強リブ、59…凹部、61…磁気検出素子、62…コントローラ基板、63…カバー、70…ホルダ、70A…環状部、70B…脚部、70C…基板、70D…圧入リブ、71…マグネットカバー、71a…筒状部、71b…出し部、71c…第1フランジ部(フランジ部)、71d…第2フランジ部(フランジ部)、72…回転軸保持孔、73…溝、73a…係合部、74…係止爪、75…丸面取り部、76…圧入突起、79…予備アッセンブリ、80…第1治具、81…第2治具、82…治具本体部、82a…端面、83…押圧部、83a…内周面、83b…外周面、86…当接面、87…端面、C…軸心、T1…結果、T2…結果

Claims (7)

  1. 回転軸と一体に回転するロータコアと、
    前記ロータコアの外周面に配置された複数のマグネットと、
    前記ロータコア及び複数の前記マグネットの外側を覆うとともに、前記マグネットが圧入されて、軸方向の端部に形成され径方向内側に屈曲したフランジ部を有する筒状のマグネットカバーと、
    前記ロータコアの軸方向の端面と前記フランジ部との間に配置されて、前記ロータコアと前記フランジ部とに当接するホルダと、
    を備え、
    前記ロータコアは、
    前記回転軸に嵌合固定される筒状のコア本体部と、
    前記コア本体部から径方向外側に突出し、周方向で隣り合う各前記マグネットの間に配置された複数の突極と、
    を有し、
    前記ホルダは、
    前記コア本体部の軸方向の端面に重ねて配置された環状部と、
    前記環状部から径方向外側に突出し、前記突極の軸方向の端面に重ねて配置された脚部と、
    を有し、
    前記脚部の径方向外側の端部、及び前記マグネットカバーにおける前記脚部の径方向外側の端部と径方向で対向する箇所の少なくともいずれか一方に、前記脚部に対して前記マグネットカバーを圧入とする圧入リブが設けられている
    ロータ。
  2. 前記圧入リブは、前記脚部の径方向外側の端部に設けられており、
    前記圧入リブの径方向外側の端部は、前記マグネットの外周面における周方向端部よりも径方向外側に突出している
    請求項1に記載のロータ。
  3. 前記ホルダは、
    前記環状部及び前記脚部における軸方向で前記ロータコアとは反対側の端部に設けられるとともに、前記マグネットの軸方向の端面に重ねて配置された、軸方向から見て外形状が円形状の基板を有し、
    前記基板の径方向外側の端部は、全周にわたって、前記圧入リブの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する
    請求項2に記載のロータ。
  4. 前記マグネットカバーは、径方向において、前記圧入リブ及び前記マグネットの周方向中央部に当接している
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
  5. 前記マグネットは、軸方向からみて円弧状に形成されており、
    前記マグネットの外周面は、前記回転軸の回転軸線よりも前記マグネットの外周面側に偏心した位置を中心とした円弧形状に形成されている
    請求項4に記載のロータ。
  6. 軸方向からみて、前記回転軸の回転軸線から前記マグネットの周方向中央部の外周面までの距離は、前記回転軸の回転軸線から前記コア本体部の外周面までの距離の1.5~2.0倍の範囲内であり、
    軸方向からみて、前記回転軸の回転軸線から前記突極の径方向外側端までの距離は、前記回転軸の回転軸線から前記コア本体部の外周面までの距離の1.5~2.0倍の範囲内である
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータと、
    前記ロータよりも径方向外側に配置されて、磁界を発生するステータと、
    を備えるモータ。
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