JP7464505B2 - ロータ、モータ、及びロータの組立方法 - Google Patents

ロータ、モータ、及びロータの組立方法 Download PDF

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Description

本発明は、ロータ、モータ、及びロータの組立方法に関する。
一般に、モータは、コイルが巻回されたティースを有するステータと、ステータの径方向内側に回転自在に設けられたロータと、を備える。ロータは、シャフトと、このシャフトに固定される略円柱状のロータコアと、ロータコアに設けられたマグネットと、を有する。そして、コイルに通電することによりステータに形成された鎖交磁束とロータコアに設けられたマグネットとの間に磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータが継続的に回転する。
ここで、ロータにマグネットを配置する方法の1つに、ロータコアの外周面にマグネットを組み付けるSPM(Surface Permanent Magnet)形がある。この種のSPM形のモータでは、異物等によりマグネットが損傷してしまうことを防止するために、ロータコアにマグネットの外表面全体を覆うマグネットカバーが設けられている。
マグネットカバーは、マグネットの径方向外側の外周面を覆う筒状部(外周面カバー)と、筒状部の軸方向一端から径方向内側に向かって張り出す内フランジ部(端面カバー)と、を有する。また、マグネットの角部との接触を回避するために、筒状部と内フランジ部との連結部に、軸方向外側に張り出す張り出し部が形成されている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このようなマグネットカバーにより、ロータコアの外周面にマグネットを保持している。マグネットカバーは、例えば圧入方式により、ロータコア及びマグネットに固定されている。
また、マグネットカバーの肉厚は、マグネットとステータとの間のクリアランスの大きさと関係している。すなわち、マグネットカバーの肉厚が厚くなると、結果的にマグネットとステータとの間のクリアランスが大きくなる。マグネットの磁束はロータの回転力に寄与するので、クリアランスはできる限り小さいことが望ましい。つまり、マグネットカバーの肉厚は、薄肉であることが望ましい。
特開2019-187167号公報
しかしながら、マグネットカバーの肉厚を薄肉化すると、この分マグネットカバーが変形しやすくなってしまう。このような構成のもと、例えば圧入方式によりマグネットカバーを組み付ける場合、例えば治具等を用いて張り出し部を押圧すると、張り出し部が押し潰されるように変形してしまう可能性があった。さらに、張り出し部の変形に伴い、筒状部が径方向外側に押し広げられてしまう可能性があった。このような場合、マグネットカバーにより適正にマグネットを保持できなくなる可能性があった。
そこで、本発明は、マグネットカバーの変形を抑制できるロータ、モータ、及びロータの組立方法を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明に係るロータは、回転軸線回りに回転するシャフトと、前記シャフトを保持するシャフト保持孔を有し、前記回転軸線を径方向中心として回転するロータコアと、前記ロータコアの外周面に配置されたマグネットと、前記マグネットの周囲を覆う金属製のマグネットカバーと、を備え、前記マグネットカバーは、前記マグネットの径方向外側の外周面を覆う筒状部と、前記筒状部における前記回転軸線方向の一端から前記回転軸線方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように設けられるとともに、前記筒状部の全周に渡って設けられた張り出し部と、を有し、前記張り出し部は焼入れされており、前記筒状部よりも変形しにくい強度で形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、薄肉化されたマグネットカバーの変形を抑制できる。
本発明の実施形態におけるモータユニットの斜視図。 図1のII-II線に沿う断面図。 本発明の実施形態におけるロータの斜視図。 図3のIV-IV線に沿う断面図。 本発明の実施形態におけるロータの分解斜視図。 本発明の実施形態におけるマグネットカバーを取り去ったロータの斜視図。 本発明の実施形態におけるマグネットカバーを取り去ったロータを軸方向からみた平面図。 本発明の実施形態におけるロータコアを軸方向からみた平面図。 本発明の実施形態における荷重受けブロックの斜視図であり、(A)は、荷重受けブロックを軸方向の一端側から見た図を示し、(B)は、荷重受けブロックを軸方向の他端側から見た図を示す。 本発明の実施形態におけるマグネットカバーの組み付け方法を示す説明図であり、(A)から(C)は各工程を示す。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<モータユニット>
図1は、モータユニット1の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
モータユニット1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。
図1、図2に示すように、モータユニット1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、モータ2のシャフト31の回転軸線方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」という場合は、シャフト31の周方向を意味するものとする。また、単に「径方向」という場合は、シャフト31の径方向を意味するものとする。
<モータ>
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
<モータケース>
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7とは、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギアケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、モータ2のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
第1モータケース6及び第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。この内部空間に、ステータ8及びロータ9が配置されている。ステータ8は、モータケース5の内周面に固定されている。
<ステータ>
ステータ8は、積層した電磁鋼板等からなるステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有している。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9の回転に寄与する鎖交磁束を形成する。
<減速部>
減速部3は、モータケース5と一体化されたギアケース40と、ギアケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギアケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギアケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギアケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギア収容部42を有する。また、ギアケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔10aとギア収容部42を連通する開口部43が形成されている。
ギアケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突出形成されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであり、内周側に図示しない滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部には、内周面に、図示しないOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
ギア収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ロータ9のシャフト31と一体に形成されたウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギアケース40に回転軸線(軸心C)回りに回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、モータ2の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(モータ2のシャフト31)の回転軸線(軸心C)と略直交するように配置されている。出力軸48は、ギアケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
また、ウォームホイール45には、図示しないセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、コントローラ4に設けられた後述の磁気検出素子61によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子61によって検出される。
<コントローラ>
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有している。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギアケース40の開口部40a内に配置されている。ギアケース40の開口部40aは、カバー63によって閉塞されている。
コントローラ基板62には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。また、コントローラ基板62には、カバー63に設けられたコネクタ11(図1参照。)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(図示しない)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
<ロータ>
図3は、ロータ9の斜視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図5は、ロータ9の分解斜視図である。図6は、マグネットカバー71を取り去ったロータ9の斜視図である。図7は、マグネットカバー71を取り去ったロータ9を軸方向からみた平面図である。図8は、ロータコア32を軸方向からみた平面図である。図8には、マグネット33の一部も示している。
図2から図8に示すように、ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、内周部にシャフト31が圧入固定され、シャフト31とともに回転軸線(軸心C)回りに回転する略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つのマグネット33と、ロータコア32の軸方向両端にそれぞれ配置される一対の荷重受けブロック70と、ロータコア32及びマグネット33を一対の荷重受けブロック70とともに軸方向及び径方向外側から覆う金属製のマグネットカバー71と、を備えている。シャフト31は、減速部3のウォーム軸44と一体に形成されている。
ロータコア32は、略円筒状のコア本体部32Aと、コア本体部32Aの外周面から放射方向に突出する4つの突極32Bと、を有している。ロータコア32は、例えば、軟磁性粉を加圧成形したり、複数の電磁鋼板を軸方向に積層したりして形成されている。
ロータコア32には、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心としたシャフト保持孔72が形成されている。シャフト保持孔72に、シャフト31が圧入固定されて保持される。
シャフト保持孔72の内周面には、径方向外側に向かって延びる4つの逃げ溝73が形成されている。各逃げ溝73は、周方向に等間隔で配置されている。各逃げ溝73は、軸方向からみて径方向外側に向かって延びるように形成されており、シャフト保持孔72の径方向内側と連通されている。各逃げ溝73は、ロータコア32の軸方向全体に渡って形成されている。各逃げ溝73の径方向外側の端部は、円弧状の係合部73aとされている。係合部73aには、後述する荷重受けブロック70の係止爪74(コア規制部)が嵌入される。
4つの突極32Bは、コア本体部32Aの外周上に等間隔に突出し、かつ軸方向に延びている。コア本体部32Aの外周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした略円形状に形成されている。各突極32Bの周方向の側面は、平坦に形成されている。ロータコア32の周方向で隣接する突極32B間には、マグネット33が組付けられる。
マグネット33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、マグネット33は、これに限るものではなく、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
マグネット33は、軸方向からみて略円弧状に形成されている。マグネット33の内周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした略円弧形状(コア本体部32Aの外周面とほぼ合致する略円弧形状)に形成されている。これに対し、マグネット33の外周面は、内周面よりも曲率半径の小さい円弧形状に形成されている。ロータ9の軸心C(回転軸線)からマグネット33の外周面の最大膨出部33c(マグネット33の周方向中央、図5参照)までの距離とロータ9の軸心C(回転軸線)から各突極32Bの径方向外側の端部までの距離とは、ほぼ同じである。
各マグネット33の軸方向の長さは、ロータコア32の突極32Bの軸方向長さよりも長くなるように形成されている。各マグネット33は、ロータコア32に組付けられた状態において、突極32Bに対して軸方向の一端側と他端側にほぼ同じ長さだけ突出するように配置される。
マグネット33の円弧方向の両端部には、突極32Bの平坦な側面と当接する当接面33aと、当接面33aの径方向外側の端部から突極32Bと離間する方向に傾斜して延びる傾斜面33bと、が設けられている。
マグネットカバー71は、ロータコア32及びマグネット33の外周面を覆う筒状部71aと、筒状部71aの軸方向一端(図4における上端)に一体成形された張り出し部71bと、張り出し部71bの径方向内側端に一体成形された内フランジ部71cと、筒状部71aの軸方向他端(図4における下端)に一体成形されたかしめ部71dと、を備えている。
張り出し部71bは、筒状部71aの軸方向一端から軸方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように形成されている。張り出し部71bは、筒状部71aの全周に渡って形成されている。
張り出し部71bの折り返された径方向内側端から内フランジ部71cが延出されている。内フランジ部71cの延出方向は、径方向に沿っている。
かしめ部71dは、筒状部71aの内側にロータコア32及びマグネット33を一対の荷重受けブロック70とともに配置した状態で、かしめによって塑性変形させられることで形成される。マグネットカバー71の組み付け方法の詳細は後述するとし、この組み付け方法の説明以外では、マグネットカバー71のかしめ部71dは、かしめられたものとして説明する。
ここで、張り出し部71bは、筒状部71a、内フランジ部71c及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成されている。張り出し部71bの強度を高める方法としては、例えば張り出し部71bに高周波焼入れを施すことにより硬化させる方法が挙げられる。このような方法を採用することで、張り出し部71bのみを他の部位と比較して変形しにくい強度とすることができる。
なお、変形とは塑性変形や弾性変形をいうものとする。また、マグネットカバー71の肉厚はできる限り薄肉に形成することが望ましい。マグネットカバー71の肉厚は、ロータ9とステータ8との間のクリアランス(隙間)の大きさに比例するからである。
図9は、荷重受けブロック70の斜視図であり、(A)は、荷重受けブロック70を軸方向の一端側から見た図を示し、(B)は、荷重受けブロック70を軸方向の他端側から見た図を示す。
図5、図6、図9(A)、図9(B)に示すように、ロータコア32の軸方向両端にそれぞれ配置される一対の荷重受けブロック70は同一構成である。両者は、上下を反転させた状態でロータコア32に組付けられている。
荷重受けブロック70は、ロータコア32のコア本体部32Aの軸方向端面に重ねて配置される環状部70Aと、環状部70Aの外周面から放射方向に突出してロータコア32の各突極32Bの軸方向の端面に重ねて配置される4つの脚部70Bと、環状部70A及び脚部70Bの軸方向外側に一体に連結されて、環状部70Aから径方向外側に張り出す孔開き円板状の端部壁70Cと、を有している。
荷重受けブロック70は、例えば、硬質樹脂によって形成されている。荷重受けブロック70は、軸方向視でロータコア32とほぼ重なる形状に形成されている。各荷重受けブロック70は、ロータコア32の軸方向端面に重ねて配置され、径方向外側領域の一部がロータコア32の端面とマグネットカバー71の内フランジ部71c及びかしめ部71dとの間に配置される。かしめ部71d側の荷重受けブロック70は、かしめ部71dのかしめ作業時におけるかしめ荷重を受ける。
環状部70Aの内周縁部には、4つの係止爪74が周方向に等間隔で一体成形されている。係止爪74は、軸方向に沿ってロータコア32側に向かって突出している。係止爪74は、断面が略半円状に形成されている。係止爪74は、荷重受けブロック70がロータコア32の端面に組付けられたときに、ロータコア32の内周の逃げ溝73(係合部73a)に嵌合される。荷重受けブロック70は、各係止爪74が対応する逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されることにより、ロータコア32との径方向の相対変位を規制される。
4つの脚部70Bは、環状部70Aの外周上の係止爪74に対応する位置から径方向外側に向かって突出形成されている。各脚部70Bの軸方向の厚みは、ロータコア32の突極32Bからのマグネット33の突出長さよりも厚くなるように設定されている。したがって、荷重受けブロック70の内フランジ部71c(かしめフランジ)との当接部は、軸方向に関して、マグネット33の軸方向の端部よりも外側位置に配置されている。また、各脚部70Bは、径方向に関して、ロータコア32の対応する突極32Bの径方向の端部と等しい径方向位置まで延びている。
なお、脚部70Bは、必ずしも、ロータコア32の対応する突極32Bの径方向の端部と等しい径方向位置まで延びている必要はない。しかしながら、少なくとも突極32Bのうち、マグネット33との当接領域a1(当接面33aと接する領域、図8参照)よりも径方向外側位置まで延びていることが望ましい。
各脚部70Bの基部寄りの側面には、一対の圧入突起76が形成されている。各圧入突起76は、軸方向に沿って延び、かつロータコア32に近接する側に向かって膨出高さが次第に低くなるように形成されている。
外周部にマグネット33が配置されたロータコア32に対し、荷重受けブロック70が組付けられると、荷重受けブロック70の隣接する脚部70B間に各マグネット33の端部が挿入配置される。このとき、マグネット33の当接面33aは圧入突起76に当接する。これにより、マグネット33の周方向の変位が規制される。
端部壁70Cは、ロータコア32の軸心Cから脚部70Bの先端部までの長さとほぼ同寸法の半径の円板形状(孔開き円板形状)に形成されている。端部壁70Cは、円周方向で隣接する脚部70Bの間の空間を脚部70Bの軸方向外側位置で閉塞している。
端部壁70C上の隣接する各脚部70Bの間の位置には、円形状の確認孔57が形成されている。確認孔57は、各マグネット33の軸方向の端面と対向する位置に形成されている。これにより、マグネット33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71内に荷重受けブロック70が組付けられたときに、各マグネット33の位置をロータコア32の外部から目視確認できる。確認孔57は、各マグネット33と一対一で対応するように4つ設けられている。
また、端部壁70Cは、軸方向外側の面が平坦に形成されている。これに対し、端部壁70Cの軸方向内側の面には、図9(B)に示すように放射方向に延びる複数の補強リブ58が突設されている。補強リブ58は、端部壁70Cの軸方向内側の面の周方向で隣接する各脚部70Bの間に二つずつ配置されている。
補強リブ58は、荷重受けブロック70を樹脂によって型成形したときに、端部壁70Cの周域に凹みや波うち等の変形が生じるのを抑制する機能を有するとともに、端部壁70Cの機械的強度を高める機能を有する。また、補強リブ58は、荷重受けブロック70が、マグネット33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71内に組付けられたときに、マグネット33の軸方向の端面と対向する。補強リブ58は、マグネット33に軸方向に過大な荷重が作用したときに、マグネット33の端面に当接することにより、マグネット33の軸方向の変位を規制する。
また、荷重受けブロック70の環状部70Aには、端部壁70Cからの突出高さの低い凹部59が複数個所に形成されている。各凹部59は、環状部70Aのうち、円周方向で隣り合う各脚部70Bの基端部間に配置されている。
ここで、荷重受けブロック70は、マグネットカバー71内に組付けられたときに、図29(B)にドットを入れて示した部分(環状部70Aの軸方向内側の端面のうちの凹部59を除く領域と、各脚部70Bの軸方向内側の端面)が、ロータコア32のコア本体部32Aと突極32Bの軸方向の端面に当接する。すなわち、荷重受けブロック70の軸方向内側に突出する領域が、凹部59を挟んで周方向で4つのブロックに分離されている。このため、各ブロックの端面をロータコア32の軸方向の端面に正確に当接させるための成形型の調整を容易に行うことができる。
<マグネットカバーの組み付け方法>
次に、図10に基づいて、マグネットカバー71の組み付け方法について説明する。
図10は、マグネットカバー71の組み付け方法を示す説明図であり、(A)から(C)は各工程を示す。
まず、マグネットカバー71を組み付ける前に、予めロータコア32の外周部にマグネット33を配置し、この状態でロータコア32の軸方向の各端面に荷重受けブロック70を仮組みする。以下の説明では、この仮組み状態を予備アッセンブリ79と称する。
この予備アッセンブリ79の状態で、図10(A)に示すように、ロータコア32の軸方向一端側にマグネットカバー71を、ロータコア32側にかしめ部71dを向けて配置する。このとき、かしめ部71dはかしめられておらず、張り出し部71bとは反対側(ロータコア32側)に向かうに従って開口面積が大きくなるように末広がり状に形成されている。このように形成されたマグネットカバー71の開口部77を、ロータコア32側に向けて配置する(カバー配置工程)。この状態で、張り出し部71bの上からこの張り出し部71bを治具80によって押圧する。
そして、図10(B)に示すように、治具80によって張り出し部71bを押圧しながら予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を嵌め合わせるように押し込む(カバー押し込み工程)。このとき、かしめ部71dが末広がり状に形成されているので、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を容易に嵌め合わせることができる。
マグネットカバー71は、荷重受けブロック70の端部壁70Cに内フランジ部71cが当接されるまで押し込まれる。張り出し部71bは、筒状部71aの軸方向一端から軸方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように形成されているので、マグネットカバー71の角が荷重受けブロック70の外周縁(端部壁70Cの外周縁、脚部70Bの径方向外側の角部)に干渉することを防止できる。このため、荷重受けブロック70の端部壁70Cに内フランジ部71cを確実に当接できる。
ここで、張り出し部71bは、筒状部71a、内フランジ部71c及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成されている。このため、治具80によって荷重受けブロック70の端部壁70Cに内フランジ部71cが当接されるまで押し込まれた場合であっても張り出し部71bが圧し潰されるようなことはなく、それによって筒状部71aが径方向外側に向かって押し広げられるようなこともない。
張り出し部71bの上端部には、この上端部の上から治具80が押圧されるので、治具80によって押圧されてなる押圧痕78が形成される。押圧痕78は、張り出し部71bのほぼ全周に渡って形成され、軸方向からみて円状である。
また、張り出し部71bの折り返された径方向内側端から内フランジ部71cが延出されている。このため、荷重受けブロック70の端部壁70Cに当接するまでマグネットカバー71が押し込まれた際、端部壁70Cに例えば張り出し部71bの径方向内側端のエッジが突き当たって端部壁70Cが損傷することがない。
予備アッセンブリ79にマグネットカバー71が完全に押し込まれた後、図10(C)に示すように、かしめ部71dを径方向内側に折り込むようにかしめる(図10(C)における矢印Y参照)。かしめ部71dを塑性変形させることにより、ロータコア32とマグネット33は、荷重受けブロック70とともにマグネットカバー71の内部に固定される。
ここで、荷重受けブロック70の軸方向外側の端部が略円板状の端部壁70Cによって覆われている。このため、荷重受けブロック70が、マグネット33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71に挿入され、その状態でマグネットカバー71かしめ部71dがかしめられると、マグネットカバー71の端部は、端部壁70Cの外周の全域を覆うように当該端部壁70Cにかしめ固定される。
また、荷重受けブロック70の端部壁70Cは、軸方向外側の面が平坦に形成されているので、かしめ部71dがかしめられたときに、端部壁70Cの外周全域に均一にかしめ荷重が作用する。
さらに、荷重受けブロック70の補強リブ58は、マグネットカバー71の端部のかしめ時に、かしめ荷重によって荷重受けブロック70の端部壁70Cの外周縁部が変形するのを抑制する。
このように、上述のマグネットカバー71は、筒状部71a、内フランジ部71c及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成された張り出し部71bを有している。この張り出し部71bを治具80によって押圧することで、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を組み付けている。このため、マグネットカバー71をできる限り薄肉に形成した場合であっても、マグネットカバー71の組み付け時に、治具80によるマグネットカバー71の変形を抑制できる。
張り出し部71bは、筒状部71aの軸方向一端から軸方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように形成されているので、マグネットカバー71の角が荷重受けブロック70の外周縁(端部壁70Cの外周縁、脚部70Bの径方向外側の角部)に干渉することを防止できる。このため、荷重受けブロック70の端部壁70Cに内フランジ部71cを確実に当接できる。
張り出し部71bの機械的強度を高めるために、張り出し部71bに例えば高周波焼入れを施している。このように構成することで、容易にマグネットカバー71の一部(例えば、張り出し部71b)のみを、他の部位(例えば、筒状部71a、内フランジ部71c及びかしめ部71d)と比較して機械的強度を高めることができる。
張り出し部71bの折り返された径方向内側端から内フランジ部71cが延出されている。このため、荷重受けブロック70の端部壁70Cに当接するまでマグネットカバー71が押し込まれた際、端部壁70Cに例えば張り出し部71bの径方向内側端のエッジが突き当たって端部壁70Cが損傷してしまうことを防止できる。
また、ロータコア32の軸方向両端に、一対の荷重受けブロック70が設けられている。荷重受けブロック70は、ロータコア32と張り出し部71bとの間に設けられた形になる。このように構成することで、例えばかしめ部71dをかしめる際にかかる荷重がロータコア32やマグネット33に直接作用しにくくなる。荷重受けブロック70が、例えばかしめ部71dをかしめる際にかかる荷重を受けるので、かしめによる荷重によってロータコア32やマグネット33が損傷してしまうことを防止できる。
マグネットカバー71を組み付けるにあたって、ロータコア32の軸方向一端側にマグネットカバー71の開口部77を向けて配置している(カバー配置工程)。この状態で、張り出し部71bの上からこの張り出し部71bを治具80によって押圧することで、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を嵌め合わせるように押し込んでいる(カバー押し込み工程)。このようなロータ組立方法とすることで、マグネットカバー71の変形を確実に抑制できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、マグネットカバー71の張り出し部71bのみを筒状部71a、内フランジ部71c及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、張り出し部71bに加えて内フランジ部71cを、筒状部71a及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成してもよい。この場合、予備アッセンブリ79にマグネットカバー71を組み付けるにあたって、治具80によって張り出し部71b又は内フランジ部71cのいずれかを押圧すればよい。このように構成することで、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
上述の実施形態では、張り出し部71bの機械的強度を高めるために、張り出し部71bに例えば高周波焼入れを施す場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、張り出し部71bを筒状部71a及びかしめ部71dよりも変形しにくい強度で形成できればよく、さまざまな方法を採用できる。例えば、筒状部71aよりも高い強度の材料を用いて張り出し部71bを形成し、この張り出し部71bを溶接等によって筒状部71aに接合するようにしてもよい。
1…モータユニット、2…モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a,7a…開口部、7…第2モータケース、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、10a…貫通孔、11…コネクタ、16,17…外フランジ部、20…ステータコア、21…コア本体部、22…ティース、23…インシュレータ、24…コイル、31…シャフト、32…ロータコア、32A…コア本体部、32B…突極、33…マグネット、33a…当接面、33b…傾斜面、33c…最大膨出部、40…ギアケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギア収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46,47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、52…リブ、57…確認孔、58…補強リブ、59…凹部、61…磁気検出素子、62…コントローラ基板、63…カバー、70…荷重受けブロック、70A…環状部、70B…脚部、70C…端部壁、71…マグネットカバー、71a…筒状部、71b…張り出し部、71c…内フランジ部、71d…かしめ部、72…シャフト保持孔、73…溝、73a…係合部、74…係止爪、76…圧入突起、77…開口部、78…押圧痕、79…予備アッセンブリ、80…治具

Claims (7)

  1. 回転軸線回りに回転するシャフトと、
    前記シャフトを保持するシャフト保持孔を有し、前記回転軸線を径方向中心として回転するロータコアと、
    前記ロータコアの外周面に配置されたマグネットと、
    前記マグネットの周囲を覆う金属製のマグネットカバーと、を備え、
    前記マグネットカバーは、
    前記マグネットの径方向外側の外周面を覆う筒状部と、
    前記筒状部における前記回転軸線方向の一端から前記回転軸線方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように設けられるとともに、前記筒状部の全周に渡って設けられた張り出し部と、
    を有し、
    前記張り出し部は焼入れされており、前記筒状部よりも変形しにくい強度で形成されていることを特徴とするロータ。
  2. 前記張り出し部の径方向内側端から径方向内側に向かって延出された内フランジ部を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のロータ。
  3. 請求項1又は請求項に記載のロータにおいて、
    前記ロータコアの前記回転軸線の一端と前記張り出し部との間に設けられ、前記ロータコアと前記張り出し部とに当接する荷重受けブロックを備えることを特徴とするロータ。
  4. 前記張り出し部は、前記回転軸線方向の外側から治具に押圧されてなる治具押圧痕を有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のロータ。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のロータと、
    前記ロータの径方向外側に設けられ、前記ロータの回転に寄与する鎖交磁束を形成するステータと、
    を備えることを特徴とするモータ。
  6. 回転軸線回りに回転するシャフトと、
    前記シャフトを保持するシャフト保持孔を有し、前記回転軸線を径方向中心として回転するロータコアと、
    前記ロータコアの外周面に配置されたマグネットと、
    前記マグネットの周囲を覆う金属製のマグネットカバーと、を備え、
    前記マグネットカバーは、
    前記マグネットの径方向外側の外周面を覆う筒状部と、
    前記筒状部における前記回転軸線方向の一端から前記回転軸線方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように設けられるとともに、前記筒状部の全周に渡って設けられた張り出し部と、
    前記張り出し部の径方向内側端から径方向内側に向かって延出された内フランジ部と、
    を有し、
    少なくとも前記張り出し部は、焼入れして前記筒状部よりも変形しにくい強度で形成されているロータの組立方法であって、
    前記ロータコアの前記回転軸線方向の外側に、前記マグネットカバーを前記張り出し部とは反対側の開口を向けて配置するカバー配置工程と、
    前記張り出し部を治具により押圧しながら前記マグネットの前記外周面に前記筒状部を差し込むカバー押し込み工程と、
    を有する
    ことを特徴とするロータの組立方法。
  7. 回転軸線回りに回転するシャフトと、
    前記シャフトを保持するシャフト保持孔を有し、前記回転軸線を径方向中心として回転するロータコアと、
    前記ロータコアの外周面に配置されたマグネットと、
    前記マグネットの周囲を覆う金属製のマグネットカバーと、を備え、
    前記マグネットカバーは、
    前記マグネットの径方向外側の外周面を覆う筒状部と、
    前記筒状部における前記回転軸線方向の一端から前記回転軸線方向外側に向かって凸となるように、かつ径方向内側に向かって折り返すように設けられるとともに、前記筒状部の全周に渡って設けられた張り出し部と、
    前記張り出し部の径方向内側端から径方向内側に向かって延出された内フランジ部と、
    を有し、
    前記張り出し部及び前記内フランジ部は、焼入れして前記筒状部よりも変形しにくい強度で形成されている
    ロータの組立方法であって、
    前記ロータコアの前記回転軸線方向の外側に、前記マグネットカバーを前記張り出し部とは反対側の開口を向けて配置するカバー配置工程と、
    前記張り出し部及び前記内フランジ部のいずれかを治具により押圧しながら前記マグネットの前記外周面に前記筒状部を差し込むカバー押し込み工程と、を有する
    ことを特徴とするロータの組立方法。
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