JP7436273B2 - モータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のワイパー装置等に用いられるモータ装置に関するものである。
車両のワイパー装置等に用いられるモータ装置として、コイルが巻回されたステータの径方向内側にロータが配置されたものがある。この種のモータ装置では、ロータコアの外周に複数の永久磁石が保持されたロータが用いられ、回転軸がロータコアの軸芯部に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のモータ装置は、ロータコアが複数の鋼板(磁性鋼板)を軸方向に積層して構成されている。ロータコアの軸芯部には軸芯孔が形成され、その軸芯孔に回転軸が圧入固定されている。
また、このモータ装置は、減速機付きのモータ装置であり、ステータとロータを収容するケーシングの内部には減速機構も収容されている。減速機構は、入力回転体であるウォーム軸と、出力回転体であるウォームホイールと、を有し、ウォーム軸がロータ側の回転軸と同軸に連結されている。ウォーム軸の軸方向の両側部分は、軸受を介してケーシングに回転可能に支持されている。
また、このモータ装置では、ロータコアの軸芯部に固定される回転軸は、片持ち状態で減速機構側の軸受を介してケーシングに支持されている。
特開2017-163731号公報
特許文献1に記載のモータ装置は、回転軸が、ロータコアを軸方向の一端側から他端側に貫通するようにして、ロータコアに嵌合固定されている。このため、モータ出力を増大するためにロータコアの鋼板数を増加しようとすると、ロータの重心がロータコア側に偏り、ロータの振れ回りの影響が大きくなる。また、回転軸の軸長が長くなるため、その分モータ装置の重量が増大してしまう。
そこで本発明は、ロータの振れ回りを抑制しつつ、出力の向上と軽量化を図ることができるモータ装置を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係るモータ装置は、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るモータ装置は、回転軸の軸方向に沿って積層された複数の鋼板からなるロータコアと、一端部が前記ロータコアに固定され、他端部が前記ロータコアから前記軸方向に突出した前記回転軸と、を有するロータと、前記ロータを回転させる回転磁界を形成するステータと、前記ステータ、及び、前記ロータを収容したケーシングと、前記回転軸の前記他端部に装着され、前記ロータコア側を自由端として前記ロータを前記ケーシングに片持ち状態で支持した軸受と、を備え、前記軸方向において、前記回転軸の前記一端部側を第1方向とし、前記回転軸の前記他端部側を第2方向としたときに、前記回転軸の前記第1方向を向く端面が、前記ロータコアにおける前記第1方向を向く端面よりも前記第2方向側で、かつ、前記ロータコアの前記軸方向の中間位置よりも前記第1方向側に配置され、前記ロータコアは、前記回転軸が挿入された状態で固定された軸芯孔を有する略筒状のコア本体部と、前記コア本体部の外周から放射方向に突出する複数の突極と、を有し、前記ロータは、隣接する複数の前記突極の間に配置される永久磁石と、前記ロータコア、及び、前記永久磁石の外側を覆うマグネットカバーと、をさらに備え、前記マグネットカバーは、前記ロータコア、及び、前記永久磁石の径方向外側を覆う周壁部と、前記周壁部の前記軸方向の端部から径方向内側に屈曲したフランジ部と、を有し、前記ロータは、前記ロータコアの前記軸方向の端面と前記フランジ部の間に配置されて、前記ロータコアの前記軸方向の端面と前記フランジ部とに当接する荷重受けブロックをさらに備え、前記荷重受けブロックは、前記コア本体部の軸方向の端面に重ねて配置される環状部と、前記環状部の外周面から放射方向に突出して各前記突極の軸方向の端面に重ねて配置される複数の脚部と、を有することを特徴とする。
上述のモータ装置は、回転軸の第1方向を向く端面が、ロータコアにおける第1方向を向く端面よりも第2方向側(軸受を介してケーシングに支持される側)に配置されている。このため、ロータコアの鋼板の積層数を増加してモータ装置の出力の増大を図る場合であっても、回転軸の軸長を増加せずにモータ装置の出力を増大させることができる。
また、上述のモータ装置は、回転軸の第1方向を向く端面が、ロータコアの軸方向の中間位置よりも第1方向側に配置されている。このため、ロータが重量物であるロータコアの重心位置で回転軸に支持されることになる。
したがって、上述のモータ装置は、ロータから突出した回転軸の軸方向の端部が軸受を介してケーシングに片持ち支持される構造でありながら、ロータの振れ回りを抑制しつつ、出力の向上と軽量化を図ることができる。
実施形態のモータ装置の斜視図である。 実施形態のモータ装置の図1のII-II線に沿う断面図である。 実施形態のロータの縦断面図である。 実施形態のロータの斜視図である。 実施形態のロータの分解斜視図である。 マグネットカバーを取り去った実施形態のロータの斜視図である。 マグネットカバーを取り去った実施形態のロータの平面図である。 実施形態の荷重受けブロックの斜視図である。 実施形態のロータの図3のIXでの拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(モータ装置)
図1は車両に用いられるモータ装置1の斜視図である。図2は、モータ装置1の図1のII-II線に沿う断面図である。
モータ装置1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。図1,図2に示すように、モータ装置1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に「軸方向」と言う場合は、モータ2の回転軸31の回転軸線方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」と言う場合は、回転軸31の周方向を意味するものとする。また、単に「径方向」と言う場合は、回転軸31の径方向を意味するものとする。さらに、「軸方向」において、回転軸31の一端部側(図2,図3において矢印がD1を指す側)を「第1方向」と言い、回転軸31の他端部側(図2,図3において矢印がD2を指す側)を「第2方向」と言う。
(モータ)
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。本実施形態のモータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
(モータケース)
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7は、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔が形成されている。なお、本実施形態では、モータケース5とギヤケース40がモータ装置1のケーシングを構成している。
また、第1モータケース6と第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。モータケース5の内部空間には、ステータ8とロータ9が配置されている。ステータ8は、第1モータケース6の内周面に形成された段差部に圧入固定されている。
(ステータ)
ステータ8は、積層した鋼板(電磁鋼板)から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有している。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
(ロータ)
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、回転軸31と、内周部に回転軸31が圧入固定される略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つの永久磁石33(図3,図5,図6等参照。)と、を備えている。本実施形態では、回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。しかし、ウォーム軸44は、これに限るものではなく、回転軸31と別体に形成され、回転軸31の端部に連結されるものであっても良い。回転軸31とウォーム軸44は、ギヤケース40(ケーシング)に軸受46,47を介して回転自在に支持されている。回転軸31とウォーム軸44は、回転軸線(軸心C)回りに回転する。なお、永久磁石33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、永久磁石33は、これに限るものではなく、ネオジムボンド磁石やネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
ロータ9の詳細構造については後に説明する。
(減速部)
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納された減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔とギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
ギヤケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであり、内周側に不図示の滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部内側には、不図示のOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
ギヤ収容部42に収容された減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギヤケース40に回転可能に支持されている。なお、ウォーム軸44はモータ2の回転軸31と同軸に、かつ、一体に設けられている。ウォームホイール45には、減速機構41の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(モータ2の回転軸31)の回転軸線(軸心C)と略直交するように配置されている。出力軸48は、ギヤケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
また、ウォームホイール45には、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、後述するコントローラ4に設けられた磁気検出素子61によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子61によって検出される。
(コントローラ)
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有している。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー63によって閉塞されている。
コントローラ基板62には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。また、コントローラ基板62には、カバー63に設けられたコネクタ11(図1参照。)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
(ロータの詳細構造)
図3は、ロータ9の縦断面図であり、図4は、ロータ9の斜視図である。また、図5は、ロータ9の分解斜視図である。
これらの図に示すように、ロータ9は、回転軸31とともに回転軸線(軸心C)回りに回転可能なロータコア32と、一端部がロータコア32に固定され他端部がロータコア32から軸方向に突出した回転軸31と、ロータコア32の外周部に配置された4つの永久磁石33と、ロータコア32の軸方向の一端側と他端側にそれぞれ配置される一対の荷重受けブロック70と、ロータコア32及び永久磁石33と一対の荷重受けブロック70を軸方向及び径方向の外側から覆う金属製のマグネットカバー71と、を備えている。
図6は、マグネットカバー71を取り去ったロータ9の斜視図であり、図7は、マグネットカバー71を取り去ったロータ9の平面図である。
ロータコア32は、略同形状の複数の鋼板(電磁鋼板)が軸方向に積層されて構成されている。ロータコア32は、略円筒状のコア本体部32Aと、コア本体部32Aの外周から放射方向に突出する4つの突極32Bと、を有している。
4つの突極32Bは、コア本体部32Aの外周から周方向等間隔に突出している。本実施形態では、コア本体部32Aの外周面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした略円形形状に形成されている。各突極32Bのうちの、ロータコア32の円周方向に臨む側面は、平坦面によって構成されている。ロータコア32の円周方向で隣接する突極32B間には、永久磁石33が組付けられる。
本実施形態では、永久磁石33は軸方向視で略円弧状に形成されている。ただし、永久磁石33の内周側はロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした略円弧形状(コア本体部32Aの外周面とほぼ合致する略円弧形状)に形成されているが、永久磁石33の外周側は、内周側よりも曲率半径の小さい円弧形状に形成されている。ロータコア32の各突極32Bは、ロータ9の軸心C(回転軸線)から径方向外側の端部までの距離が、ロータ9の軸心C(回転軸線)から永久磁石33の外周面の最大膨出部までの距離とほぼ同じになるように形成されている。
各永久磁石33の軸方向の長さは、図3に示すように、ロータコア32の軸方向長さよりも長くなるように形成されている。本実施形態の場合、各永久磁石33は、ロータコア32に組付けられた状態において、突極32Bに対して軸方向の一端側と他端側にほぼ同長さだけ突出するように設定されている。
また、ロータコア32の内周面には、図5に示すように、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした4つ円弧面72と、隣接する円弧面72の間から径方向外側に向かって延びる逃げ溝73が形成されている。各逃げ溝73は、径方向外側に向かって同長さ延び、延び方向の端部は、円弧状の係合部73aとされている。各逃げ溝73の係合部73aには、後述する荷重受けブロック70の係止爪74(コア規制部)が嵌入される。また、ロータコア32の内周の4つの円弧面72には、モータ2の回転軸31が圧入固定される。
なお、ロータコア32の内周の4つの円弧面72は、回転軸31が嵌合される(挿入状態で固定される)軸芯孔69を構成している。
マグネットカバー71は、円筒状の周壁部71aと、周壁部71aの軸方向の一端部と他端部からそれぞれ径方向内側に屈曲して延びる一対のフランジ部71b,71cと、を有している。周壁部71aの内側には、ロータコア32及び永久磁石33が一対の荷重受けブロック70とともに配置される。一対のフランジ部71b,71cの少なくとも一方は、周壁部71aの端部をかしめによって塑性変形させたかしめフランジとされている。以下では、一方のフランジ部71cは予め曲げ形成され、他方のフランジ部71bは、ロータコア32等の装填後にかしめによって形成されるものとして説明する。
図8は、荷重受けブロック70の斜視図である。図8(A)は、荷重受けブロック70を第1方向から見た図であり、図8(B)は、荷重受けブロック70を第2方向から見た図である。ロータコア32の第1方向側と第2方向側に配置される各荷重受けブロック70は同形状であり、両者は表裏を反転させた状態でロータコア32に組付けられている。
荷重受けブロック70は、ロータコア32のコア本体部32Aの軸方向の端面に重ねて配置される環状部70Aと、環状部70Aの外周面から放射方向に突出して、ロータコア32の各突極32Bの軸方向の端面に重ねて配置される4つの脚部70Bと、環状部70A及び脚部70Bの軸方向外側に一体に連結されて、環状部70Aから径方向外側に張り出す孔開き円板状の端部壁70Cと、を有している。4つの脚部70Bは、環状部70Aの外周上に等間隔に突出している。荷重受けブロック70は、例えば、硬質樹脂によって形成されている。荷重受けブロック70は、軸方向視でロータコア32とほぼ重なる形状に形成されている。環状部70Aは、ロータコア32のコア本体部32Aの軸方向の端面に重ねて配置される。
各荷重受けブロック70は、ロータコア32の軸方向の端面に重ねて配置され、径方向外側領域がロータコア32の端面とマグネットカバー71のフランジ部71b,71cとの間に配置される。本実施形態では、図3中の上方側のフランジ部71bがかしめフランジとなり、フランジ部71bのかしめ作業時に、かしめ荷重がフランジ部71bを通して上方の荷重受けブロック70の脚部70Bによって受け止められる。
荷重受けブロック70の4つの脚部70Bは、ロータコア32の各突極32Bの軸方向の端面に重ねて配置される。端部壁70Cは、ロータコア32の軸心Cから脚部70Bの先端部までの長さとほぼ同寸法の半径の円板形状(孔開き円板形状)に形成されている。端部壁70Cは、円周方向で隣接する脚部70Bの間の空間を脚部70Bの軸方向外側位置で閉塞する。
荷重受けブロック70の環状部70Aの内周縁部のうちの、各脚部70Bの延長上位置には、軸方向に略沿ってロータコア32側に向かって突出する係止爪74が一体に形成されている。係止爪74は、断面が略半円状に形成され、荷重受けブロック70がロータコア32の端面に組付けられたときに、ロータコア32の内周の逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されるようになっている。荷重受けブロック70は、各係止爪74が対応する逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されることにより、ロータコア32との径方向の相対変位を規制される。
また、荷重受けブロック70の各脚部70Bの基部寄りの側面には、一対の圧入突起76が形成されている。各圧入突起76は、軸方向に沿って延び、かつ、ロータコア32に近接する側に向かって膨出高さが次第に低くなるように形成されている。
外周部に永久磁石33が配置されたロータコア32に対し、荷重受けブロック70が組付けられると、荷重受けブロック70の隣接する脚部70B間に各永久磁石33の端部が挿入配置される。このとき、永久磁石33の当接面は圧入突起76に当接する。これにより、永久磁石33の周方向の変位が規制される。
端部壁70C上の隣接する各脚部70Bの間の位置には、円形状の確認孔57が形成されている。確認孔57は、荷重受けブロック70が、永久磁石33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71内に組付けられたときに、各永久磁石33の位置をロータ9の外部から目視確認し得るように各永久磁石33の軸方向の端面と対向する位置に形成されている。本実施形態の場合、確認孔57は、各永久磁石33と一対一で対応するように4つ設けられている。
本実施形態のロータ9の場合、荷重受けブロック70の軸方向外側の端部が略円板状の端部壁70Cによって覆われている。このため、荷重受けブロック70が、永久磁石33を保持したロータコア32とともにマグネットカバー71に挿入され、その状態でマグネットカバー71の端部(フランジ部71b,71c)がかしめられると、マグネットカバー71の端部は、端部壁70Cの外周の全域を覆うように当該端部壁70Cにかしめ固定される。
荷重受けブロック70の端部壁70Cは、マグネットカバー71の端部がかしめられたときに、端部壁70Cの外周全域に均一にかしめ荷重が作用するように軸方向外側の面が平坦に形成されている(図8(A)参照)。これに対し、端部壁70Cの軸方向内側の面には、図8(B)に示すように放射方向に延びる複数の補強リブ58が突設されている。
また、荷重受けブロック70の環状部70Aには、端部壁70Cからの突出高さの低い凹部59が複数個所に形成されている。各凹部59は、環状部70Aのうちの、円周方向で隣り合う各脚部70Bの基端部間に配置されている。
また、荷重受けブロック70は、マグネットカバー71内に組付けられたときに、図8(B)にドットを入れて示した部分(環状部70Aの軸方向内側の端面のうちの凹部59を除く領域と、各脚部70Bの軸方向内側の端面)が、ロータコア32のコア本体部32Aと突極32Bの軸方向の端面に当接する。
本実施形態では、荷重受けブロック70の軸方向内側に突出する領域が、凹部59を挟んで周方向で4つのブロックに分離されている。このため、各ブロックの端面をロータコア32の軸方向の端面に正確に当接させるための成形型の調整を容易に行うことができる。
図9は、図3に示すロータ9のIX部の拡大断面図である。
同図に示すように、荷重受けブロック70の端部壁70Cのうちの軸方向外側の端部には、外径が他の部位(以下、「一般部70Ca」と呼ぶ)よりも若干小さい小径部70Cbが形成されている。一般部70Caと小径部70Cbの間は、一般部70Caから小径部70Cbに向かって先細り状に傾斜した傾斜面70Ccによって接続されている。一般部70Caと傾斜面70Ccの間は、鈍角をなす角部64aによって構成されている。また、小径部70Cbの軸方向外側の端部(端部壁70Cの軸方向外側の端部)は、円弧状の曲面部64bによって構成されている。
端部壁70Cの外周の上記の角部64aと曲面部64bとは、マグネットカバー71の軸方向の端部(フランジ部71b)を荷重受けブロック70に対してかしめる際に、二つのかしめ起点となる。つまり、角部64aは、マグネットカバー71の軸方向の端部にかしめ荷重が加えられたときに、最初のかしめ起点(第1のかしめ起点)となり、曲面部64bは、マグネットカバー71の軸方向の端部にかしめ荷重が加えられたときに、次のかしめ起点(第2のかしめ起点)となる。
したがって、のこの構成を採用した場合には、マグネットカバー71の軸方向の端部のかしめ時に、マグネットカバー71から荷重受けブロック70に作用する応力を緩和し、荷重受けブロック70の劣化や損傷を防ぐことができる。
(ロータの組付け)
ロータ9の組付けに際しては、最初に、ロータコア32の外周部に永久磁石33を配置し、その状態でロータコア32の軸方向の各端面に荷重受けブロック70を仮組みし、その状態でそのアッセンブリをマグネットカバー71内に挿入する。このとき、マグネットカバー71の一方のフランジ部71cは予め屈曲させて形成されている。
次に、この状態からマグネットカバー71の軸方向の他方(第2方向側)の端縁にかしめを行い、塑性変形によってフランジ部71b(かしめフランジ)を形成するとともに、フランジ部71bを荷重受けブロック70の各脚部70Bの端面に圧接させる。この結果、ロータコア32と永久磁石33は、荷重受けブロック70とともにマグネットカバー71の内部に固定される。
(ロータと回転軸)
上述のように構成されたロータ9は、ロータコア32の軸芯孔69に回転軸31のウォーム軸44側と逆側の端部(一端部)が嵌合され、それによって回転軸31と一体に固定される。回転軸31は、ウォーム軸44側の端部(他端部)がロータコア32から第2方向に突出した状態で、ロータコア32に固定される。回転軸31は、他端部に装着された軸受46,47によりギヤケース40に固定される。これにより、ロータ9は、回転軸31の他端部側(第2方向側)を固定端、ロータコア32側(第1方向側)を自由端として、ギヤケース40に片持ち固定される。回転軸31は、ロータコア32を軸方向に完全に貫通せず、第1方向を向く端面31e(以下、「回転軸端面31e」と言う)が軸芯孔69内の所定の位置で停止した状態で固定されている。
具体的には、回転軸31は、図3に示すように回転軸端面31eがロータコア32における第1方向を向く端面(以下、「ロータコア端面32s」と言う)よりも第2方向側で、かつ、ロータコア32の軸方向の中間位置P(積層方向の中間位置)よりも第1方向側に配置されている。
(実施形態の効果)
本実施形態のモータ装置1は、回転軸31の第1方向を向く回転軸端面31eが、ロータコア32の第1方向を向くロータコア端面32sよりも第2方向側に配置されている。このため、ロータコア32の鋼板の積層数を増加してモータ出力を増大させる場合であっても、回転軸31の軸長を増加せずにモータ出力を増大させることができ、その分、軽量化を図ることができる。
さらに、本実施形態のモータ装置1では、回転軸端面31eが、ロータコア32の軸方向(積層方向)の中間位置Pよりも第1方向側(減速部3と逆側位置)に配置されている。このため、ロータ9は、重量物であるロータコア32の重心位置が必ず回転軸31に固定されることになる。
したがって、本実施形態のモータ装置1は、ロータコア32から突出した回転軸31の軸方向の他端部が軸受46,47を介してケーシング(ギヤケース40)に片持ち支持される構造でありながら、ロータ9の振れ回りを抑制しつつ、出力の向上と軽量化を図ることができる。
なお、回転軸31の回転軸端面31eとロータコア32の位置関係が上記の関係を満たしていれば、ロータコア32の鋼板の積層数の異なる(モータ出力の異なる)複数種類のモータ装置で共通の回転軸31を使用することができる。この場合、生産現場での生産効率を高めることができる。
また、本実施形態のモータ装置1は、回転軸31に設けられたウォーム軸44と、ウォーム軸44と噛合するウォームホイール45を備えた減速機構41がケーシング(ギヤケース40)内に収容され、ウォーム軸44の軸方向に沿う両端部が軸受46,47を介してケーシング(ギヤケース40)に支持されている。モータ2の回転軸31にウォーム軸44が設けられた構造の場合、動力の出力時にウォームホイール45からウォーム軸44に、ウォーム軸44を傾動させるような反力が生じる。しかし、本実施形態のモータ装置1では、ロータ9が重量物であるロータコア32の重心位置で回転軸31に支持されているため、モータ2の回転軸31におけるロータ9の振れ回りをより少なくすることができる。
また、本実施形態のモータ装置1は、ロータコア32が、回転軸31が挿入された状態で固定された軸芯孔69を有するコア本体部32Aと、コア本体部32Aの外周から放射方向に突出する複数の突極32Bと、を有し、ロータ9が、隣接する突極32Bの間に配置される永久磁石33と、ロータコア32と永久磁石33の外側を覆うマグネットカバー71を備えている。そして、マグネットカバー71は、ロータコア32と永久磁石33の径方向外側を覆う周壁部71aと、周壁部71aの軸方向の端部から径方向内側に屈曲したフランジ部71b,71cを有する。このため、本実施形態のモータ装置1では、軸方向に積層されたロータコア32の複数の鋼板が、永久磁石33とともにマグネットカバー71によって覆われることになる。したがって、本実施形態のモータ装置1を採用した場合には、ロータコア32の複数の鋼板のうちの一部に、回転軸31に直接固定されないものがあっても、その鋼板の位置ずれをマグネットカバー71によって抑制することができる。
さらに、本実施形態のモータ装置1は、ロータコア32の軸方向の端面と、マグネットカバー71のフランジ部71b,71cとの間に荷重受けブロック70が配置され、ロータコア32の軸方向の端面とフランジ部71b,71cが荷重受けブロック70に当接する構造とされている。このため、ロータ9の製造時に、マグネットカバー71の周壁部71aの内側にロータコア32と永久磁石33をセットして、マグネットカバー71のフランジ部71b,71cをかしめる際に、かしめ荷重を荷重受けブロック70によって受け止めることができる。この結果、マグネットカバー71内の永久磁石33に直接かしめ荷重が作用しなくなり、ロータ9の製造時における永久磁石33の損傷や劣化を未然に防止することが可能になる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
1…モータ装置
5…モータケース(ケーシング)
8…ステータ
9…ロータ
31…回転軸
32…ロータコア
32A…コア本体部
32B…突極
33…永久磁石
40…ギヤケース(ケーシング)
41…減速機構
44…ウォーム軸
45…ウォームホイール
46,47…軸受
69…軸芯孔
70…荷重受けブロック
70A…環状部
70B…脚部
70C…端部壁
71…マグネットカバー
71a…周壁部
71b,71c…フランジ部

Claims (4)

  1. 回転軸の軸方向に沿って積層された複数の鋼板からなるロータコアと、一端部が前記ロータコアに固定され、他端部が前記ロータコアから前記軸方向に突出した前記回転軸と、を有するロータと、
    前記ロータを回転させる回転磁界を形成するステータと、
    前記ステータ、及び、前記ロータを収容したケーシングと、
    前記回転軸の前記他端部に装着され、前記ロータコア側を自由端として前記ロータを前記ケーシングに片持ち状態で支持した軸受と、
    を備え、
    前記軸方向において、前記回転軸の前記一端部側を第1方向とし、前記回転軸の前記他端部側を第2方向としたときに、
    前記回転軸の前記第1方向を向く端面が、前記ロータコアにおける前記第1方向を向く端面よりも前記第2方向側で、かつ、前記ロータコアの前記軸方向の中間位置よりも前記第1方向側に配置され
    前記ロータコアは、
    前記回転軸が挿入された状態で固定された軸芯孔を有する略筒状のコア本体部と、
    前記コア本体部の外周から放射方向に突出する複数の突極と、を有し、
    前記ロータは、
    隣接する複数の前記突極の間に配置される永久磁石と、
    前記ロータコア、及び、前記永久磁石の外側を覆うマグネットカバーと、をさらに備え、
    前記マグネットカバーは、
    前記ロータコア、及び、前記永久磁石の径方向外側を覆う周壁部と、
    前記周壁部の前記軸方向の端部から径方向内側に屈曲したフランジ部と、を有し、
    前記ロータは、前記ロータコアの前記軸方向の端面と前記フランジ部の間に配置されて、前記ロータコアの前記軸方向の端面と前記フランジ部とに当接する荷重受けブロックをさらに備え、
    前記荷重受けブロックは、前記コア本体部の軸方向の端面に重ねて配置される環状部と、前記環状部の外周面から放射方向に突出して各前記突極の軸方向の端面に重ねて配置される複数の脚部と、を有することを特徴とするモータ装置。
  2. 請求項1に記載のモータ装置において、
    前記永久磁石の軸方向の両端面は、前記ロータコアの同側の端面よりも外側に配置されていることを特徴とするモータ装置。
  3. 請求項2に記載のモータ装置において、
    前記荷重受けブロックは、前記環状部及び前記脚部の軸方向外側に一体に連結されて、周方向で隣接する前記脚部の間の空間を前記永久磁石の軸方向の端面の外側位置で閉塞する端部壁をさらに備えていることを特徴とするモータ装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ装置において、
    前記ケーシングの内部には、前記回転軸の回転を減速して外部に出力する減速機構が収容され、
    前記減速機構は、
    前記回転軸に設けられたウォーム軸と、
    前記ウォーム軸に噛合されるウォームホイールと、を備え、
    前記ウォーム軸の前記軸方向に沿う両側部が前記軸受を介して前記ケーシングに支持されていることを特徴とするモータ装置。
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