JP2023060598A - ロータ、及び、モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】マグネットカバーから永久磁石への押し付け荷重の集中を抑制しつつ、コギングトルクを低減することができるロータ、及び、モータを提供する。【解決手段】ロータは、ロータコア32と、永久磁石33と、マグネットカバー71と、を備える。ロータコア32は、コア本体部32Aと複数の突極32Bを有する。永久磁石33は、突極32Bの間に配置される。マグネットカバー71は、ロータコア32と永久磁石33の外側を覆う。永久磁石33は、マグネットカバー71の内周面に臨む磁石外側面33cの周方向の両側領域に、周方向の中央領域から外側に向かってステータの内周面との離間距離が漸増する漸離間部を有する。磁石外側面33cとマグネットカバー71には、磁石外側面33cの二つの漸離間部の間において、相互に当接しない少なくとも一つ非当接部と、非当接部の周方向の両側で相互に当接する複数の当接部が設けられる。【選択図】図6

Description

本発明は、ロータ、及び、モータに関するものである。
車両のワイパー装置等に用いられるモータとして、永久磁石がロータ側に設けられたものがある。この種のモータで用いられるロータの永久磁石の配置方式としては、ロータコアの外周部に永久磁石を配置したもの(SPM:Surface Permanent Magnet)が知られている。
この方式を採用したロータとして、ロータコアが、略円筒状のコア本体部と、コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を備え、円周方向で隣接する各突極の間に永久磁石が配置されたもの(所謂インセット型のロータ)がある。
この種のロータの突極は、突出方向が径方向の外側に向くため、ステータのコイルによる鎖交磁束が流れ易くなる。また、突極は、鎖交磁束の磁路の磁気抵抗(リラクタンストルク)を小さくするようにロータコアを回転させる、リラクタンストルクを発生させる。
さらに、この種のロータとして、ロータコアと複数の永久磁石が略円筒状のマグネットカバーの内部に収容され、ロータコアと複数の永久磁石の外側がマグネットカバーによって覆われたものが知られている。このロータでは、ロータコアの隣接する突極間に配置された永久磁石の外周側がマグネットカバーの周壁によって押さえ込まれ、それによって永久磁石がロータコアに位置固定されている。一方、ロータの外周側に配置されるステータには、径方向内に向かって突出する複数のティースが設けられ、各ティースにコイルが巻回されている。各ティースの先端部は、ロータの外周面に対し、微少な隙間を挟んで対向している。各コイルで形成される鎖交磁束は、ロータ側の永久磁石によって形成される磁束との間で磁気的な吸引・反発力を生じさせるとともに、ロータに上述のリラクタンストルクを生じさせる。
ロータコアの突極間に配置される永久磁石は、ロータの回転時に、ステータ側のティースの先端部を横切る際にティースに作用する磁束密度を急激に変化させる。この磁束密度の急激な変化は、ロータの回転時におけるコギングトルクの発生原因となる。この対策として、永久磁石の外面形状を工夫し、ロータの回転時における磁束密度の急激な変化を抑制できるようにしたロータが案出されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のロータは、ステータコアの突極間に配置される永久磁石の外周側の円弧面(以下、「外周面」という。)を、複数の突極の先端部を通る仮想円の曲率半径よりも小さい曲率半径の円弧面とし、永久磁石の外周面の周方向の中央部がステータの内周面に最も近接するように設定されている。永久磁石の外周面とステータの内周面の間の離間距離は、周方向の中央部から外側に向かって漸増している。このため、ロータの回転時にステータ側のティースに作用する磁束密度の変化が緩やかになり、コギングトルクが抑制される。
特開2020-99121号公報
しかし、特許文献1に記載のロータは、永久磁石の外周面の周方向の中央部が外周面の他の部分に比較してロータコアの径方向外側に膨出している。このため、永久磁石がステータコアとともにマグネットカバーの円筒部内に組付けられると、永久磁石の外周面の周方向の中央位置にマグネットカバーからの押し付け荷重が集中し、その集中荷重によって永久磁石に劣化や損傷が生じることが懸念される。
そこで本発明は、マグネットカバーから永久磁石への押し付け荷重の集中を抑制しつつ、コギングトルクを低減することができるロータ、及び、モータを提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係るロータは、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るロータは、環状のステータの内周部に回転可能に配置されるロータであって、略円環状のコア本体部、及び当該コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有するロータコアと、前記ロータコアの周方向で隣接する各前記突極の間に配置される永久磁石と、前記ロータコアと前記永久磁石の外側を覆うマグネットカバーと、を備え、前記永久磁石は、前記マグネットカバーの内周面に臨む磁石外側面の周方向の両側領域に、周方向の中央領域から外側に向かって前記ステータの内周面との離間距離が漸増する漸離間部を有し、前記磁石外側面と前記マグネットカバーには、前記磁石外側面の二つの漸離間部の間において、相互に当接しない少なくとも一つ非当接部と、当該非当接部の周方向の両側で相互に当接する複数の当接部が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るロータでは、永久磁石の磁石外側面の周方向の両側領域に漸離間部が設けられているため、ロータの回転時に永久磁石がステータ側のティースを横切る際の磁束密度の急激な変化が抑制される。さらに、本発明に係るロータでは、永久磁石の磁石外側面とマグネットカバーに、二つの漸離間部の間において、相互に当接する複数の当接部が設けられているため、マグネットカバーから永久磁石に作用する押し付け荷重が複数の当接部によって分散される。したがって、本発明に係るロータを採用した場合には、マグネットカバーから永久磁石への押し付け荷重の集中を抑制しつつ、コギングトルクを低減することができる。
実施形態のモータユニットの斜視図である。 実施形態のモータユニットの図1のII-II線に沿う断面図である。 実施形態のロータの斜視図である。 図3のIV-IV線に沿う断面図である。 実施形態のロータの分解斜視図である。 図4のVI-VI線に沿う断面図である。 図6のVII部の拡大図である。 他の実施形態1の図7に対応する断面図である。 他の実施形態2の図7に対応する断面図である。 他の実施形態3の図7に対応する断面図である。 他の実施形態4の図7に対応する断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態においては、同一部分に共通符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
(モータユニット)
図1は車両に用いられるモータユニット1の斜視図である。図2は、モータユニット1の図1のII-II線に沿う断面図である。
モータユニット1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。図1,図2に示すように、モータユニット1は、モータ2と、モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、モータ2の回転軸31の回転軸線方向に沿う方向を意味し、単に「周方向」という場合は、回転軸31の周方向を意味するものとする。また、単に「径方向」という場合は、回転軸31の径方向を意味するものとする。
(モータ)
モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。本実施形態のモータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
(モータケース)
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7は、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔が形成されている。
また、第1モータケース6と第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。モータケース5の内部空間には、ステータ8とロータ9が配置されている。ステータ8は、モータケース5の内周面に固定されている。
(ステータ)
ステータ8は、積層した電磁鋼板等から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、6つ)のティース22と、を有する。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、内周部に回転軸31が圧入固定される略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に組付けられた4つの永久磁石33(図4,図5参照)と、を備えている。本実施形態では、回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。回転軸31とウォーム軸44は、モータケース5とギヤケース40とに回転自在に支持されている。回転軸31とウォーム軸44は、回転軸線(軸心C)回りに回転する。なお、永久磁石33としては、例えば、フェライト磁石が用いられる。しかしながら、永久磁石33は、これに限るものではなく、ネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
ロータ9の詳細構造については後に説明する。
(減速部)
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体形成されている箇所に、第1モータケース6の貫通孔とギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
ギヤケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであり、内周側に不図示の滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部内側には、不図示のOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギヤケース40に回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、モータ2の出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(モータ2の回転軸31)の回転軸線(軸心C)と略直交するように配置されている。出力軸48は、ギヤケース40の軸受ボス49を介して外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
また、ウォームホイール45には、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、後述するコントローラ4に設けられた磁気検出素子61によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子61によって検出される。
(コントローラ)
コントローラ4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62を有する。コントローラ基板62は、磁気検出素子61がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー63によって閉塞されている。
コントローラ基板62には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。また、コントローラ基板62には、カバー63に設けられたコネクタ11(図1参照。)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
(ロータの詳細構造)
図3は、本実施形態のロータ9の斜視図であり、図4は、ロータ9の図3のIV-IV線に沿う断面図である。また、図5は、ロータ9の分解斜視図であり、図6は、ロータ9の図4のVI-VI線に沿う断面図である。
これらの図に示すように、ロータ9は、回転軸31(図2参照)とともに回転軸線(軸心C)回りに回転可能なロータコア32と、ロータコア32の外周部に配置された4つの永久磁石33と、ロータコア32の軸方向の一端側と他端側にそれぞれ配置される一対の荷重受けブロック70と、ロータコア32及び永久磁石33を一対の荷重受けブロック70とともに軸方向及び径方向の外側から覆う金属製のマグネットカバー71と、を備えている。
ロータコア32は、略円筒状のコア本体部32Aと、コア本体部32Aの外周面から放射方向に突出する4つの突極32Bと、を有する。ロータコア32は、例えば、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されている。なお、ロータコア32の構成は、この構成に限定されない。ロータコア32は、例えば、軟磁性粉を加圧成形して形成するようにしても良い。
コア本体部32Aの外周の円弧面は、ロータ9の軸心C(回転軸線)に対して円弧中心が径方向外側に偏心し、かつ、径方向外側の最大膨出部(軸心Cから径方向外側に最も離間した部分)を通る仮想円の曲率変形よりも小さい曲率半径となる円弧形状とされている。
4つの突極32Bは、コア本体部32Aの外周から放射状に等間隔に突出し、かつ、その突出部分が軸方向に延在している。各突極32Bのうちの、ロータコア32の円周方向に臨む側面は、平坦面によって構成されている。ロータコア32の円周方向で隣接する各突極32Bの間には、永久磁石33が配置されている。各突極32Bは、ロータ9の軸心C(回転軸線)から径方向外側の端部までの距離が、ロータ9の軸心C(回転軸線)から永久磁石33の後述する最大外径部65(図6,図7参照)までの距離とほぼ同じになるように形成されている。
また、コア本体部32Aの内周面には、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とした4つ円弧面と、隣接する円弧面の間から径方向外側に向かって延びる逃げ溝73が形成されている。各逃げ溝73は、径方向外側に向かって同長さ延び、延び方向の端部は、円弧状の係合部73aとされている。各逃げ溝73の係合部73aには、後述する荷重受けブロック70の係止爪74が嵌入される。また、ロータコア32の内周の4つの円弧面には、モータ2の回転軸31が圧入固定される。
永久磁石33は軸方向視で概略円弧状に形成されている。永久磁石33の周方向(円弧方向)の両端部には、突極32Bの平坦な側面と対向する平坦な側端面33aと、側端面33aの径方向外側の端部から突極32Bと離間する方向に傾斜して延びる傾斜面33bと、が設けられている。永久磁石33は、永久磁石33がロータコア32に組付けられたときに、周方向の両側の側端面33aと傾斜面33bがロータコア32の突極32Bの側面から離間するように形成されている。
永久磁石33の径方向外側には、周方向の両側の傾斜面33bの径方向外側の端部同士を接続する磁石外側面33cが設けられている。また、永久磁石33の径方向内側には、周方向の両側の側端面33aの径方向内側の端部同士を接続する磁石内側面33dが設けられている。
永久磁石33の磁石外側面33cと磁石内側面33dの詳細構造については後に詳述する。
各永久磁石33の軸方向の長さは、ロータコア32の突極32Bの軸方向長さよりも長く設定されている。各永久磁石33は、ロータコア32に組付けられた状態において、突極32Bに対して軸方向の一端側と他端側にほぼ同長さだけ突出するように設定されている。
マグネットカバー71は、図3~図5に示すように、円筒状の周壁71aと、周壁71aの軸方向の一端部と他端部からそれぞれ径方向内側に屈曲して延びる一対のフランジ部71b,71cと、を有する。周壁71aの内側には、ロータコア32及び永久磁石33が一対の荷重受けブロック70とともに収容される。一対のフランジ部71b,71cの少なくとも一方は、周壁71aの内側に、ロータコア32及び永久磁石33を一対の荷重受けブロック70とともに配置した状態で、かしめによって塑性変形させられる、かしめフランジとされている。
本実施形態では、一方のフランジ部71bが予め径方向内側に屈曲させて形成され、マグネットカバー71の内部にロータコア32及び永久磁石33が一対の荷重受けブロック70とともに収容された後に、他方のフランジ部71cがかしめられる。
ロータコア32の軸方向の一端側と他端側に配置される一対の荷重受けブロック70は同形状とされている。一対の荷重受けブロック70は、上下を反転させた状態でロータコア32に組付けられる。
荷重受けブロック70は、ロータコア32のコア本体部32Aの軸方向の端面に重ねて配置される環状部70Aと、環状部70Aの外周面から放射方向に突出して、ロータコア32の各突極32Bの軸方向の端面に重ねて配置される4つの脚部70Bと、を有する。4つの脚部70Bは、環状部70Aの外周上に等間隔に突出している。荷重受けブロック70は、例えば、硬質樹脂によって形成されている。荷重受けブロック70は、軸方向視でロータコア32とほぼ重なる形状に形成されている。
荷重受けブロック70の環状部70Aの内周縁部のうちの、各脚部70Bの径方向内側の延長上位置には、軸方向に略沿ってロータコア32側に向かって突出する係止爪74が一体に形成されている。係止爪74は、断面が略半円状に形成され、荷重受けブロック70がロータコア32の端面に組付けられたときに、ロータコア32の内周の逃げ溝73(係合部73a)に嵌合される。荷重受けブロック70は、各係止爪74が対応する逃げ溝73(係合部73a)に嵌合されることにより、ロータコア32との径方向、及び周方向の相対変位を規制される。
一対の荷重受けブロック70は、突極32B間に永久磁石33を配置したロータコア32の軸方向の一端側と他端側に組付けられ、その状態でロータコア32とともにマグネットカバー71の周壁71a内に圧入状態で収容される。そして、その後にマグネットカバー71の端部のフランジ部71cがかしめられることにより、一対の荷重受けブロック70がロータコア32とともにマグネットカバー71にかしめ固定される。このとき、フランジ部71cから軸方向に加えられるかしめ荷重は、荷重受けブロック70を介してロータコア32に伝達され、永久磁石には直接作用しない。したがって、フランジ部71cのかしめに伴う永久磁石33の劣化や損傷は抑制される。
(永久磁石の詳細構造)
図7は、ロータ9の図6のVII部を拡大して示した図である。
図7に示すように、永久磁石33の磁石外側面33cは、周方向の中央領域A1に平坦面66が設けられ、周方向両側の外側領域A2に円弧面67が設けられている。各外側領域A2の円弧面67は、永久磁石33がロータコア32に組付けられた状態において、円弧中心がロータ9の軸心C(回転軸線)に対して径方向外側に偏心し、かつ、ロータコア32の4つの突極32Bの先端部を通る仮想円の曲率半径よりも小さい曲率半径となる円弧形状とされている。一方、永久磁石がロータコア32とともに収容されるマグネットカバー71の内周面(周壁71aの内周面)は、ロータ9の軸心C(回転軸線)を中心とする真円形状とされている。
永久磁石33は、ロータコア32の隣接する突極32B間に配置された状態において、磁石外側面33cの中央領域A1の平坦面66と外側領域A2の各円弧面67の間の境界部が最大外径部65とされている。最大外径部65は、ロータコア32の径方向の中心位置(軸心C)からの長さが最大となる部位である。したがって、永久磁石33は、ロータコア32とともにマグネットカバー71の内周面(周壁71aの内周面)に圧入されると、磁石外側面33cの二つの最大外径部65でマグネットカバー71の内周面に当接し、平坦面66ではマグネットカバー71の内周面に当接しなくなる。
本実施形態では、平坦面66と、それに対向するマグネットカバー71の内周部が非当接部とされ、各最大外径部65と、それに対抗するマグネットカバー71の内周部が当接部とされている。また、平坦面66は、ロータコア32の径方向の中心位置からの長さが最大外径部65よりも短い小外径部を構成している。
また、磁石外側面33cの外側領域A2の円弧面67は、永久磁石33がロータコア32とともにマグネットカバー71の内周面に圧入されると、最大外径部65(周方向の中央領域)から周方向の外側に向かってマグネットカバー71の内周面との離間距離が漸増する。このため、ロータ9がステータ8(図2参照)の内周部に同軸に配置されると、磁石外側面33cの各円弧面67は、ステータ8の内周面との離間距離も最大外径部65(周方向の中央領域)から周方向の外側に向かって漸増する。
本実施形態では、磁石外側面33cの外側領域A2の円弧面67が漸離間部を構成している。ステータ8の内周面との離間距離が周方向の外側に向かって漸増する円弧面67は、ロータ9の回転時にステータ8側のティース22(図2参照)に作用する磁束密度の変化を緩やかし、それによってモータ2のコギングトルクを抑制する。
また、永久磁石33の磁石内側面33dは、コア本体部32Aの外周面の外径よりも内径の大きい円弧面によって構成されている。つまり、磁石内側面33dの円弧の曲率半径は、コア本体部32Aの外周面の円弧の曲率変形よりも大きく設定されており、磁石内側面33dは、周方向の中央領域においてコア本体部32Aの外周面に当接する。したがって、マグネットカバー71から永久磁石33に入力された押し付け荷重は、磁石内側面33dの周方向の中央領域を通してコア本体部32Aの外周面に伝達される。
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態のロータ9は、永久磁石33の磁石外側面33cの周方向両側の外側領域A2に、周方向の中央領域A1から外側に向かってステータ8の内周面との離間距離が漸増するように円弧面67が設けられている。このため、本実施形態のロータ9では、ロータ9の回転時に永久磁石33がステータ8側のティース22を横切る際に、磁束密度が急激に変化するのを抑制することができる。
また、本実施形態のロータ9は、永久磁石33の磁石外側面33c上の二つの円弧面67の周方向内側位置に、マグネットカバー71との当接部である最大外径部65が設けられ、二つの最大外径部65の間に小外径部(平坦面66)が設けられている。このため、本実施形態のロータ9では、マグネットカバー71からの押し付け荷重を複数個所に分散して永久磁石33に伝達することができる。このため、マグネットカバー71からの押し付け荷重の集中を抑制し、永久磁石33の劣化や損傷を未然に防止することができる。
したがって、本実施形態のロータ9を採用した場合には、マグネットカバー71から永久磁石33への押し付け荷重の集中を抑制しつつ、コギングトルクを低減することが可能になる。
よって、本実施形態のロータ9を採用することにより、永久磁石33の劣化や破損を防止でき、かつロータ9を使用するモータ2の性能を向上させることができる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
また、本実施形態のロータ9は、軸方向視にて、磁石外側面33cの二つの最大外径部65(円弧面67の周方向内側の端部)を直線的に結ぶように、小外径部として平坦面66が設けられている。このため、本構成を採用した場合には、簡単な構成により、磁石外側面33cに、二つの漸離間部(円弧面67)と一つの小外径部(平坦面66)を形成し、かつ各漸離間部(円弧面67)と小外径部(平坦面66)の境界部に最大外径部65を配置することができる。
また、本実施形態のロータ9は、永久磁石33の磁石内側面33dがコア本体部32Aの外径よりも内径の大きい円弧面によって構成され、磁石内側面33dの周方向の中央領域がコア本体部32Aの外周面に当接している。このため、磁石内側面33dの周方向の中央部とコア本体部32Aの外周面の間には、磁束の流れを妨げる空気層が形成されなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、磁石内側面33dの中央領域とコア本体部の間の磁束の流れがスムーズになり、ロータ9の磁気特性が良好になる。
(他の実施形態1)
図8は、他の実施形態1の上記の実施形態の図7に対応する断面図である。
本実施形態のロータ109は、永久磁石133の磁石外側面133cの形状のみが上記の実施形態と異なっている。磁石外側面133cは、周方向の外側領域A2に上記の実施形態と同様の円弧面67が設けられている。一方、周方向の中央領域A1は、マグネットカバー71の内周面よりも曲率半径の大きい径方向外側に凸の円弧面68によって構成されている。周方向の両側の各円弧面67と中央の円弧面68の境界部は最大外径部65とされている。
なお、本実施形態では、中央の円弧面68が小外径部を構成している。
本実施形態のロータ109は、基本構成は上記の実施形態とほぼ同様であるため、上記の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。ただし、本実施形態のロータ109は、最大外径部65の周方向内側に滑らかに円弧面68が連続しているため、最大外径部65の近傍にエッジ部分ができない。このため、マグネットカバー71からの押し付け荷重の入力時にエッジ部分に応力が集中することがなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、永久磁石33の劣化や損傷をより有利に防止することができる。
さらに、本実施形態のロータ109では、漸離間部である磁石外側面33cの円弧面67に連続するように中央領域A1に小外径部である円弧面68が形成されているため、ロータ9の回転時に、永久磁石133がステータ側8のティース22(図2参照)の先端部を横切る際に生じる磁束密度の変化をより緩やかにすることができる。したがって、本構成を採用した場合には、コギングトルクをより抑制することができる。
(他の実施形態2)
図9は、他の実施形態2の上記の実施形態の図7に対応する断面図である。
本実施形態のロータ209は、永久磁石233の磁石外側面233cの形状のみが上記の実施形態と異なっている。磁石外側面233cは、周方向の外側領域A2に上記の実施形態と同様の円弧面67が設けられている。周方向の中央領域A1は、径方向内側に凹状に窪む円弧面69によって構成されている。周方向の両側の各円弧面67と中央の円弧面69の境界部は最大外径部65とされている。
なお、本実施形態では、中央の円弧面69が小外径部を構成している。
本実施形態のロータ209は、基本構成は上記の実施形態とほぼ同様であるため、上記の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。ただし、本実施形態のロータ209は、磁石外側面233cの小外径部が径方向内側に窪む円弧面69によって形成されているため、上記の実施形態と同様に、マグネットカバー71からの押し付け荷重に起因した永久磁石233の劣化や損傷を防止しつつ、永久磁石333のさらなる小型・軽量化を図ることができる。
(他の実施形態3)
図10は、他の実施形態3の上記の実施形態の図7に対応する断面図である。
本実施形態のロータ309は、永久磁石333の磁石内側面333dの形状のみが上記の実施形態と異なっている。磁石内側面333dは、ロータコア32のコア本体部32Aの外周面の円弧よりも曲率半径の小さい円弧形状に形成されている。これにより、磁石内側面333dは周方向に離間した二つの当接部75において、コア本体部32Aの外周面に当接している。二つの当接部75は、磁石内側面333dのうちの、周方向の中央位置を中心とした対称位置に配置される。
本実施形態のロータ309は、基本構成は上記の実施形態とほぼ同様であるため、上記の実施形態とほぼ同様の基本的な効果を得ることができる。ただし、本実施形態のロータ309は、磁石内側面333dが周方向に離間した二つの当接部75でコア本体部32Aの外周面に当接しているため、磁石内側面333dとコア本体部32Aの外周面の間に作用する押し付け荷重を複数個所に分散させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、永久磁石333とコア本体部32Aの外周面の間に作用する押し付け荷重が一箇所に集中するのを抑制し、永久磁石333の劣化や損傷をより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態のロータ309では、磁石内側面333dの周方向に離間した二つの当接部75でコア本体部32Aの外周面に当接するため、永久磁石333がコア本体32Bに安定姿勢で支持されることになる。このため、ロータ309の作動時における永久磁石333の位置ずれを抑制することができる。したがって、本構成を採用した場合には、永久磁石333のガタつきに伴う騒音の発生を抑制することができるとともに、永久磁石333によるロータ309の磁気性能を安定させることができる。
(他の実施形態4)
図11は、他の実施形態4の上記の実施形態の図7に対応する断面図である。
本実施形態のロータ409は、周方向の中央領域に非当接部を形成するための構成がマグネットカバー471の周壁471a側に設けられている。永久磁石433の磁石外側面433cは、全体が一様な円弧面67によって形成されている。磁石外側面433cの円弧面67は、永久磁石433がロータコア32に組付けられた状態において、ロータ409の軸心(回転軸線)に対して円弧中心が径方向外側に偏心し、かつ、ロータコア32の4つの突極32Bの先端部を通る仮想円の曲率半径よりも小さい曲率半径となる円弧形状とされている。
なお、本実施形態では、磁石外側面33cの円弧面67のうちの、周方向の両側の外側領域が漸離間部を構成している。
これに対し、マグネットカバー471には、磁石外側面433cの各漸離間部(外側領域)の周方向内側位置で磁石外側面433cと当接する二つのカバー側当接部91と、二つのカバー側当接部91の間において内周面の一部が径方向外側に膨出する膨出部90と、が設けられている。
本実施形態では、二つのカバー側当接部91がマグネットカバー471における当接部を構成し、膨出部90がマグネットカバー471における非当接部を構成している。
本実施形態のロータ409は、永久磁石433の磁石外側面433cの周方向の両側領域に、周方向の中央領域から外側に向かってステータの内周面との離間距離が漸増するように円弧面67が設けられている。このため、本実施形態の場合も、ロータ9の回転時に永久磁石33がステータ8側のティース22を横切る際の磁束密度の急激な変化を抑制することができる。
また、本実施形態のロータ409は、マグネットカバー471に、磁石外側面433cと当接する二つのカバー側当接部91と、二つのカバー側当接部91の間において内周面の一部が径方向外側に膨出する膨出部90が設けられている。そして、膨出部90と磁石外側面433cの間が非当接部とされている。このため、本実施形態の場合も、マグネットカバー471からの押し付け荷重を複数個所に分散して永久磁石433に伝達することができる。したがって、マグネットカバー471からの押し付け荷重の集中を抑制し、永久磁石433の劣化や損傷を未然に防止することができる。よって、本実施形態のロータ409を採用した場合も、マグネットカバー471から永久磁石433への押し付け荷重の集中を抑制しつつ、コギングトルクを低減することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
上記の実施形態では、永久磁石の磁石外側面とマグネットカバーの間に、相互に当接しない一つの非当接部と、その非当接部の両側に配置される二つの当接部が配置されているが、非当接部を二つ以上とし、各非当接部の両側に夫々当接部を配置するようにしても良い。
また、上記の実施形態では、永久磁石の磁石外側面の周方向の外側領域が一定外径の円弧面によって構成されているが、漸離間部は磁石外側面の周方向の中央領域から外側に向かってステータの内周面との離間距離が漸増する形状であれば、一定外径でない曲面によって構成するようにしても良い。
1…モータユニット、2…モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7…目標、7a…開口部、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、11…コネクタ、16…外フランジ部、17…外フランジ部、20…ステータコア、21…コア本体部、22…ティース、23…インシュレータ、24…コイル、31…回転軸、32…ロータコア、32A…コア本体部、32B…突極、33…永久磁石、33a…側端面、33b 傾斜面、33c…磁石外側面、33d…磁石内側面、40…ギヤケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギヤ収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46…軸受、47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、52…リブ、61…磁気検出素子、62…コントローラ基板、63…カバー、65…最大外径部、66…平坦面、67…円弧面、68…円弧面、69…円弧面、70…荷重受けブロック、70A…環状部、70B…脚部、71…マグネットカバー、71a…周壁、71b…フランジ部、71c…フランジ部、73…溝、73a…係合部、74…係止爪、75…当接部、90…膨出部、91…カバー側当接部、109…ロータ、133…永久磁石、133c…磁石外側面、209…ロータ、233…永久磁石、233c…磁石外側面、309…ロータ、333…永久磁石、333d…磁石内側面、409…ロータ、433…永久磁石、433c…磁石外側面、471…マグネットカバー、471a…周壁、A1…中央領域、A2…外側領域、C…軸心

Claims (8)

  1. 環状のステータの内周部に回転可能に配置されるロータであって、
    略円環状のコア本体部、及び当該コア本体部の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有するロータコアと、
    前記ロータコアの周方向で隣接する各前記突極の間に配置される永久磁石と、
    前記ロータコアと前記永久磁石の外側を覆うマグネットカバーと、を備え、
    前記永久磁石は、前記マグネットカバーの内周面に臨む磁石外側面の周方向の両側領域に、周方向の中央領域から外側に向かって前記ステータの内周面との離間距離が漸増する漸離間部を有し、
    前記磁石外側面と前記マグネットカバーには、前記磁石外側面の二つの漸離間部の間において、相互に当接しない少なくとも一つ非当接部と、当該非当接部の周方向の両側で相互に当接する複数の当接部が設けられていることを特徴とするロータ。
  2. 前記磁石外側面の各前記漸離間部の周方向内側位置には、前記ロータコアの径方向の中心位置からの長さが最大となる最大外径部が設けられ、
    前記磁石外側面の二つの前記最大外径部の間には、前記ロータコアの径方向の中心位置からの長さが当該最大外径部よりも短い小外径部が設けられ、
    二つの前記最大外径部が前記磁石外側面における前記当接部を構成し、前記小外径部が前記磁石外側面における前記非当接部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  3. 前記小外径部は、軸方向視にて二つの前記最大外径部を直線状に結ぶ平坦面によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
  4. 前記小外径部は、前記マグネットカバーの内周面よりも曲率半径の大きい径方向外側に凸の円弧面によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
  5. 前記小外径部は、径方向内側に凹状に窪む円弧面によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
  6. 前記マグネットカバーには、前記磁石外側面の各漸離間部の周方向内側位置で当該磁石外側面と当接する二つのカバー側当接部と、当該二つのカバー側当接部の間において内周面の一部が径方向外側に膨出する膨出部と、が設けられ、
    前記カバー側当接部が前記マグネットカバーにおける前記当接部を構成し、前記膨出部が前記マグネットカバーにおける前記非当接部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
  7. 前記永久磁石の前記コア本体部の外周面に臨む磁石内側面は、前記コア本体部の外周面の外径よりも内径の大きい円弧面によって構成され、前記磁石内側面の周方向の中央領域が前記コア本体部の外周面に当接していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のロータと、
    前記ロータの外周側に配置されて、磁界を発生するステータと、を備えていることを特徴とするモータ。
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