JP2021181530A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤに使用したときに、操縦安定性や耐久性を良好に維持しながら、転がり抵抗を低減することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物を提供する。【解決手段】天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム10質量%〜35質量%とを含むゴム成分100質量部に対して、CTAB吸着比表面積が60m2/g未満であるカーボンブラック35質量部〜60質量部と、CTAB吸着比表面積が180m2/g未満であるシリカ3質量部〜30質量部とを配合し、20℃における硬度を60〜65、100℃における100%伸長時の引張応力(M100)を2.0MPa〜4.0MPa、100℃における引張強さTB〔単位:MPa〕と100℃における破断伸びEB〔単位:%〕との積(TB×EB)を2000以上に設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、主にタイヤのアンダートレッド部に用いることを意図したタイヤ用ゴム組成物に関する。
近年、環境保全意識の高まりから、タイヤの転がり抵抗を小さくして走行時の燃費性能を向上することが求められている。そして、燃費性能の向上には、タイヤの各部を構成するゴム組成物(例えば、トレッド部を構成するゴム組成物)の発熱を抑制することが有効であることが知られている。例えば、特許文献1のタイヤのように、トレッド部が、踏面を形成するキャップトレッドと、その内側に配置されるベーストレッド(アンダートレッド)で構成される場合、アンダートレッドに発熱の低いゴム組成物を使用して燃費性能の改善を図ることが提案されている。このようにアンダートレッドが低発熱である場合、更にアンダートレッドのゴムゲージを厚くすることは、燃費性能の向上に有効である。
一方で、ゴム組成物の発熱性を小さくする方法、具体的には、発熱性の指標となるゴム物性(例えば、動的粘弾性測定による60℃におけるtanδ)を小さくする方法として、カーボンブラック等の充填材の配合量を少なくしたり、カーボンブラックの粒径を大きくすることが知られている。或いは、シリカを配合することも発熱性の低減に有効であることが知られている。しかしながら、これらの方法で低発熱化を図ると、ゴム硬度や耐疲労性が十分に得られなくなる虞があり、タイヤに使用したとき(特に、アンダートレッド部に用いたとき)に、操縦安定性や耐久性への影響が懸念される。そのため、アンダートレッドによって燃費性能の向上(低発熱化)を図るにあたって、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を良好に維持する対策が求められている。
特許6025494号公報
本発明の目的は、タイヤに使用したときに、操縦安定性や耐久性を良好に維持しながら、転がり抵抗を低減することを可能にしたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム10質量%〜35質量%とを含むゴム成分100質量部に対して、CTAB吸着比表面積が60m2 /g未満であるカーボンブラック35質量部〜60質量部と、CTAB吸着比表面積が180m2 /g未満であるシリカ3質量部〜30質量部とが配合されたタイヤ用ゴム組成物であって、20℃における硬度が60〜65、100℃における100%伸長時の引張応力(M100)が2.0MPa〜4.0MPa、100℃における引張強さTB〔単位:MPa〕と100℃における破断伸びEB〔単位:%〕との積(TB×EB)が2000以上であることを特徴とする。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分として天然ゴムに加えて末端変性ブタジエンゴムを併用し、且つ、充填材として粒径の大きいカーボンブラックとシリカを適度な量ずつ配合しているので、タイヤに使用した際に、転がり抵抗を低減しながら、操縦安定性や耐久性を向上することができる。また、ゴム物性として、硬度、引張応力(M100)、引張強さTBと破断伸びEBとの積(TB×EB)が上述のように設定されていることによっても、タイヤに使用した際に、転がり抵抗を低減しながら、操縦安定性や耐久性を向上することができる。特に、末端変性ブタジエンゴムを用いているので、粒径の大きいカーボンブラックやシリカによって低発熱化を図る際に、ゴムの硬度が低下して操縦安定性や耐久性が低下することを防止することができる。また、上述の配合にすることで、上述のゴム物性が達成しやすくなり、操縦安定性や耐久性を良好に維持することが可能になる。これらの協働によって、前述の性能をバランスよく改善することができる。
尚、本発明において、「硬度」とは、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃で測定したゴム組成物の硬度である。「100℃における100%伸長時の引張応力(M100)」とは、JIS K6251に準拠して3号型ダンベル試験片を用い、引張速度500mm/分、温度100℃の条件で測定した値である。「100℃における引張強さTB」とは、JIS K6251に準拠して、温度100℃の条件で測定した値〔単位:MPa〕である。「100℃における破断伸びEB」とは、JIS K6251に準拠して、温度100℃の条件で測定した値〔単位:%〕である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、末端変性ブタジエンゴムの末端の官能基が水酸基、アミノ基、アミド基、アルコキシル基、エポキシ基、シロキサン結合基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これによりカーボンブラックとの親和性が高まり、カーボンブラックの分散性がより改善されるので、より効果的に、発熱性を低く維持しながらゴム硬度や耐久性を高めることができ、これら性能をバランスよく両立するには有利になる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、末端変性ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であることが好ましい。このように分子量分布を狭くすることで、ゴム物性がより良好になり、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を向上するには有利になる。尚、本発明において、「重量平均分子量Mw」と「数平均分子量Mn」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
上述の本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部を備え、トレッド部の踏面を構成するキャップトレッドとその内周側に配置されるアンダートレッドとを有するタイヤにおけるアンダートレッドトレッドに好適に用いることができる。本発明のタイヤ用ゴム組成物をアンダートレッドに用いたタイヤ(以下、本発明のタイヤという)は、本発明のタイヤ用ゴム組成物の上述の特性によって、低転がり抵抗性と操縦安定性と耐久性とを高度に両立することができる。尚、本発明のタイヤ用ゴム組成物を適用するタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。空気入りタイヤの場合は、その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体を充填することができる。
本発明のタイヤは、トレッド部に形成された周方向溝の溝下における溝下ゲージGTが2.5mm以下であり、且つ、周方向溝の溝下におけるキャップトレッドのゴムゲージGCと前記アンダートレッドのゴムゲージGUとの比GU/GCが0.3〜0.8であることが好ましい。これにより、溝下位置におけるトレッド部、キャップトレッド、アンダートレッドのバランスが良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性(特に、グルーブクラックに対する耐久性)を向上するには有利になる。
本発明のタイヤでは、ゴム成分100質量部に対してアミン系老化防止剤が1.0質量部〜4.0質量部配合されていることが好ましい。このとき周方向溝の溝下位置のキャップトレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Aが0.8質量%超2.0質量%未満であり、周方向溝の溝下位置のアンダートレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Bが0.7質量%超1.5質量%未満であり、且つ、含有量Aと含有量Bとの比B/Aが0.6以上1.2以下であることが好ましい。これにより、アンダートレッドの物性(特に、溝下位置における物性)が良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性(特に、グルーブクラックに対する耐久性)を向上するには有利になる。
尚、本発明において、アミン系老化防止剤の含有量は、未走行の新品タイヤにおける測定値であり、例えば、以下に示すように、JIS K6229およびJIS K0114に準拠したガスクロマトグラフィーによって測定することができる。即ち、未走行の新品タイヤを解体し、周方向溝の溝下位置のキャップトレッドとアンダートレッドをそれぞれ薄くスライスした後に、1mm角、長さ30mm程度の試験片に裁断し、アセトンを用いて8時間抽出を行い、得られた濾液を室温に戻してガスクロマトグラフ測定試料とする。また、測定対象のアミン系老化防止剤を100ppm〜1000ppmの範囲で4点濃度を振った溶液(標準試料)を作成する。そして、得られたガスクロマトグラフ測定試料の面積を求めて、検量線によりガスクロマトグラフ測定試料中のアミン系老化防止剤の含有量を算出する。
本発明のタイヤを製造する際には、上述のタイヤ用ゴム組成物の混練り時の放出温度が120℃〜165℃であることが好ましい。また、加硫温度が145℃〜170℃であることが好ましい。このように温度条件を設定することで、アンダートレッドの物性が更に良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性を向上するには有利になる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8(ベルト層7の全幅を覆うフルカバー8aとベルト層7の端部を局所的に覆うエッジカバー8bの2層)が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはトレッドゴム層11が配され、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層12が配され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層13が配されている。トレッドゴム層11は、物性の異なる2種類のゴム層(トレッド部1の踏面を構成するキャップトレッド11Cと、その内周側に配置されたアンダートレッド11U)をタイヤ径方向に積層した構造を有する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、主として、このようなタイヤのアンダートレッド11Uに用いられるものである。そのため、本発明が適用されるタイヤは、トレッド部1(トレッドゴム層11)がキャップトレッド11Cとアンダートレッド11Uとで構成されていれば、他の部位の基本構造は上述の構造に限定されるものではない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物において、ゴム成分はジエン系ゴムであり、天然ゴムと末端変性ブタジエンゴムとを必ず含む。また、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、任意で、イソプレンゴム、末端変性していないブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴムを含んでいても良い。これら任意で配合されるジエン系ゴムは、単独または任意のブレンドとして使用することができる。
天然ゴムとしては、タイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。天然ゴムを配合することで、タイヤ用ゴム組成物として充分なゴム強度を得ることができる。ジエン系ゴム全体を100質量%としたとき、天然ゴムの配合量は50質量%以上、好ましくは60質量%〜80質量%、より好ましくは80質量%〜90質量%である。但し、任意成分としてイソプレンゴムを併用する場合については、天然ゴムとイソプレンゴムの合計が好ましくは60質量%〜80質量%、より好ましくは80質量%〜90質量%であるとよい。天然ゴムの配合量が50質量%未満であるとゴム強度を十分に確保することができない。
末端変性ブタジエンゴムは、分子鎖の片末端または両末端が官能基を有する有機化合物で変性されたブタジエンゴムである。このような末端変性ブタジエンゴムを配合することにより、後述のカーボンブラックとの親和性を高くし分散性を改善するため、発熱性を低く維持しながら、カーボンブラックの作用効果を一層向上して、ゴム硬度を高めることができる。分子鎖の末端を変性する官能基としては、例えばアルコキシシリル基、ヒドロキシル基(水酸基)、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、アルコキシル基、エポキシ基、アミド基、チオール基、エーテル基、シロキサン結合基を挙げることができる。なかでもヒドロキシル基(水酸基)、アミノ基、アミド基、アルコキシル基、エポキシ基、シロキサン結合基から選ばれる少なくとも一つであるとよい。ここで、シロキサン結合基は、−O−Si−O−構造を有する官能基とする。
ジエン系ゴム全体を100質量%としたとき、末端変性ブタジエンゴムの配合量は、10質量%〜35質量%、好ましくは15質量%〜30質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%である。末端変性ブタジエンゴムの配合量が10質量%未満であると低燃費性が悪化する。末端変性ブタジエンゴムの配合量が35質量%を超えるとゴム強度が低下する。
末端変性ブタジエンゴムの分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.1〜1.6である。このように、末端変性ブタジエンゴムとして分子量分布が狭いものを用いることで、ゴム物性がより良好になり、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を効果的に向上することができる。末端変性ブタジエンゴムの分子量分布(Mw/Mn)が2.0を超えるとヒステリシスロスが大きくなってゴムの発熱性が大きくなると共に、耐コンプレッションセット性が低下する。
本発明で使用する末端変性ブタジエンゴムのガラス転移温度Tgは好ましくは−85℃以下、より好ましくは−90℃〜−100℃であるとよい。このようにガラス転移温度Tgを設定することで、発熱性を効果的に低減することができる。ガラス転移温度Tgが−80℃を超えると発熱性を低減する効果が充分に得られなくなる。尚、天然ゴムのガラス転移温度Tgは特に限定されないが、例えば−70℃〜−80℃に設定することができる。
本発明で使用する末端変性ブタジエンゴムは、ビニル含有量が好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.1質量%〜15質量%である。末端変性ブタジエンゴムのビニル含有量が0.1質量%未満であると、カーボンブラックとの親和性が不足し発熱を充分に低減することが難しくなる。末端変性ブタジエンゴムのビニル含有量が20質量%を超えると、ゴム組成物のガラス転移温度Tgが上昇し、転がり抵抗および耐摩耗性を十分に改良することができない。尚、末端変性ブタジエンゴムのビニル単位含有量は赤外分光分析(ハンプトン法)により測定するものとする。末端変性ブタジエンゴムにおけるビニル単位含有量の増減は、触媒等、通常の方法で適宜調製することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックが必ず配合される。カーボンブラックを配合することでゴム組成物の強度を高めることができる。特に、本発明で使用するカーボンブラックは、CTAB吸着比表面積が60m2 /g未満、好ましくは20m2 /g〜55m2 /g、より好ましくは25m2 /g〜50m2 /gである。このように粒径が大きいカーボンブラックを上述の変性ブタジエンゴムと組み合わせて配合することで、発熱性を低く維持しながら、ゴム硬度を効果的に高めることができる。カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が60m2 /g以上であると発熱性が悪化する。尚、カーボンブラックのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794に準拠して測定するものとする。
カーボンブラックの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、35質量部〜60質量部、好ましくは35質量部〜55質量部、より好ましくは35質量部〜50質量部である。カーボンブラックの配合量が35質量部未満であると硬度が低下する。カーボンブラックの配合量が60質量部を超えると、発熱性が悪化する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、充填剤としてカーボンブラックの他にシリカが必ず配合される。カーボンブラックの他にシリカを配合することで、発熱性を低く抑えながらゴム組成物の強度を高めることができる。特に、本発明で使用するシリカは、CTAB吸着比表面積が180m2 /g未満、好ましくは90m2 /g〜180m2 /g、より好ましくは160m2 /g〜180m2 /gである。このように粒径が大きいシリカを上述の変性ブタジエンゴムと組み合わせて配合することで、発熱性を低く維持しながら、ゴム硬度を効果的に高めることができる。シリカのCTAB吸着比表面積が180m2 /g以上であると発熱性が悪化する。尚、シリカのCTAB吸着比表面積は、ISO 5794に準拠して測定するものとする。
シリカの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、3質量部〜30質量部、好ましくは4質量部〜28質量部、より好ましくは4質量部〜25質量部である。シリカの配合量が3質量部未満であると、シリカが微量すぎるためシリカに起因する効果が十分に見込めなくなる。シリカの配合量が30質量部を超えると、発熱性が悪化する。
上記のようにカーボンブラックとシリカを併用するにあたって、充填材の総配合量(カーボンブラックとシリカの合計量)は好ましくは70質量部以下、より好ましくは40質量部〜60質量部にするとよい。このように充填材の総配合量を低く抑えることで、発熱性を向上するには有利になる。充填材の総配合量が75質量部を超えると発熱性が悪化する虞がある。更に、カーボンブラックに対するシリカの重量比率を好ましくは0.03〜0.5、より好ましくは0.08〜0.3に設定するとよい。このように重量比率を設定することで、カーボンブラックとシリカのバランスが良好になり、発熱性を低く維持しながら、ゴム硬度を向上するには有利になる。この重量比率が上記範囲から外れると、発熱性を低く維持しながらゴム硬度を高める効果が得られない。特に、シリカの重量比率が過多であると発熱性が悪化する虞がある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラック以外の他の無機充填剤を配合することができる。他の無機充填剤としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、水酸化アルミニウム等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられる材料を例示することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物では、上述のシリカを配合するにあたって、シランカップリング剤を併用してもよい。シランカップリング剤を配合することにより、ジエン系ゴムに対するシリカの分散性を向上することができる。シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカの重量に対し、好ましくは15質量%以下、より好ましくは3質量%〜12質量%にするとよい。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えるとシランカップリング剤同士が縮合し、ゴム組成物における所望の硬度や強度を得ることができない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、アミン系老化防止剤および/またはワックスを配合することが好ましい。これらを配合することで、耐クラック性や加工性を向上することができる。アミン系老化防止剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは1.0質量部〜4.0質量部、より好ましくは1.5質量部〜3.5質量部である。ワックスの配合量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは0質量部超2.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上2.0質量部以下である。アミン系老化防止剤とワックスとは、それぞれ単独で配合してもよく、併用してもよい。アミン系老化防止剤の配合量が1.0質量部未満であると、耐クラック性や加工性を向上する効果が見込めなくなり、特に耐クラック性が低下する。アミン系老化防止剤の配合量が4.0質量部を超えると加工性が低下する。ワックスの配合量が2.0質量部を超えると加工性が低下する。
アミン系老化防止剤としては、N−フェニルN’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体等を例示することができ、特に、N−フェニルN’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミンを好適に用いることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物がアミン系老化防止剤を含み、タイヤのアンダートレッドに使用される場合、周方向溝の溝下位置のキャップトレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Aが好ましくは0.8質量%超2.0質量%未満であり、周方向溝の溝下位置のアンダートレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Bが好ましくは0.7質量%超1.5質量%未満であり、且つ、含有量Aと含有量Bとの比B/Aが好ましくは0.6以上1.2以下、より好ましくは0.7〜1.2、更に好ましくは0.8〜1.2であるとよい。これにより、アンダートレッドの物性(特に、溝下位置における物性)が良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性(特に、グルーブクラックに対する耐久性)を向上するには有利になる。比B/Aが0.6未満であると、溝底における老化防止剤が減少するため耐久性(耐グルーブクラック性)が低下する虞がある。比B/Aが1.2を超えるとベルトの耐水接着性が低下する虞がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、二次老化防止剤として、アミン−ケトン系老化防止剤を併用することもできる。アミン−ケトン系老化防止剤としては、例えば2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を例示することができる。アミン−ケトン系老化防止剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは0.3質量部〜3質量部、より好ましくは0.5質量部〜2質量部であるとよい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は主としてアンダートレッドに用いられるものであるので、タイヤに使用する場合に併用されるキャップトレッドを構成するゴム組成物の配合については特に限定されない。但し、上記のように、アンダートレッドとキャップトレッドとの関係において、キャップトレッドを構成するゴム組成物はアミン系老化防止剤を含むことが好ましく、また、上述の含有量Bが上記範囲であるとよい。これに加えて、キャップトレッドを構成するゴム組成物は、アミン系老化防止剤と共にワックスを含んでいるとよく、ワックスの配合量はキャップトレッドを構成するゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して好ましくは1質量部〜4質量部であるとよい。また、キャップトレッドを構成するゴム組成物におけるアミン系老化防止剤の配合量はワックスの配合量の好ましくは0.8倍〜1.5倍であるとよい。キャップトレッドを構成するゴム組成物においてワックスの配合量が少ないと耐候性が低下し、ワックスの配合量が多いと外観が悪化する虞がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物では、硫黄が、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは2.5質量部〜5.0質量部、より好ましくは3.0質量部〜4.5質量部配合されているとよい。尚、硫黄の配合量はオイル分を除いた純硫黄量である。このように硫黄を配合することで、加硫後のゴム物性を良好にすることができる。硫黄の配合量が3.0質量部よりも少ないと、所望の硬さが得られない虞がある。硫黄の配合量が4.5質量部よりも多いと、耐疲労性が悪化する虞がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記以外の他の配合剤を添加することができる。他の配合剤としては、カーボンブラックおよびシリカ以外の他の補強性充填剤、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、アミン系およびアミン−ケトン系以外の老化防止剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など、一般的に空気入りタイヤに使用される各種配合剤を例示することができる。これら配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。また混練機としは、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述の混練機を用いて、一般的な製造方法で製造することができる。但し、混練り時の放出温度については好ましくは120℃〜165℃、より好ましくは130℃〜160℃、更に好ましくは135℃〜155℃であるとよい。放出温度が高いと、特にアミン系老化防止剤を用いた場合には、アミン系老化防止剤が熱により失活して、最終的に得られるゴム組成物におけるアミン系老化防止剤の含有量が減少することが懸念される。アミン系老化防止剤を使用する場合には、アミン系老化防止剤の含有量を確保するために、加硫剤を投入せずに複数回の混合ステップを行い、その最終ステップにおいてアミン系老化防止剤を配合することが好ましい。
本発明のタイヤ用ゴム組成物をタイヤに用いる場合、タイヤは一般的な製造方法で製造することができる。但し、加硫温度については好ましくは145℃〜170℃、より好ましくは150℃〜160℃であるとよい。このように温度条件を設定することで、タイヤ中において本発明のタイヤ用ゴム組成物の物性が良好に確保できるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性を向上するには有利になる。
このような配合からなる本発明のタイヤ用ゴム組成物の20℃における硬度は60〜65、好ましくは62〜65である。また、本発明のタイヤ用ゴム組成物の100℃における100%伸長時の引張応力(M100)は2.0MPa〜4.0MPa、好ましくは2.3MPa〜3.5MPaである。更に、本発明のタイヤ用ゴム組成物の100℃における引張強さTB〔単位:MPa〕と100℃における破断伸びEB〔単位:%〕との積(TB×EB)は2000以上、好ましくは2200〜5500である。本発明のタイヤ用ゴム組成物はこのような物性を有するため、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を向上することができる。硬度が60未満であると、タイヤにした時の操縦安定性が悪化する。硬度が65を超えると、転がり抵抗を低減することができない。引張応力(M100)が2.0MPa未満であると、タイヤにした時の操縦安定性が悪化する。引張応力(M100)が4.0MPaを超えると、転がり抵抗を低減することができない。積(TB×EB)が2000未満であると、高速耐久性が低下する。尚、これら硬度、引張応力(M100)、および積(TB×EB)は、上述の配合のみで決定されるものではなく、例えば混練条件や混練方法によっても調整可能な物性である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、上述の物性に加えて、更に60℃における損失正接(tanδ(60℃))が、好ましくは0.07以下、より好ましくは0.02〜0.06であるとよい。このようにtanδ(60℃)を設定することで、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を向上するには有利になる。tanδ(60℃)が0.07を超えると、転がり抵抗を十分に低減することが難しくなる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上述の配合や物性により、転がり抵抗を低減しながら、タイヤにした時の操縦安定性や耐久性を向上することができる。具体的には、ゴム成分として天然ゴムに加えて末端変性ブタジエンゴムを併用し、且つ、充填材として粒径の大きいカーボンブラックとシリカを適度な量ずつ配合しているので、タイヤに使用した際に、転がり抵抗を低減しながら、操縦安定性や耐久性を向上することができる。また、ゴム物性として、硬度、引張応力(M100)、引張強さTBと破断伸びEBとの積(TB×EB)が上述のように設定されていることによっても、タイヤに使用した際に、転がり抵抗を低減しながら、操縦安定性や耐久性を向上することができる。特に、末端変性ブタジエンゴムを用いているので、粒径の大きいカーボンブラックやシリカによって低発熱化を図る際に、ゴムの硬度が低下して操縦安定性や耐久性が低下することを防止することができる。また、上述の配合にすることで、上述のゴム物性が達成しやすくなり、操縦安定性や耐久性を良好に維持することが可能になる。これらの協働によって、前述の性能をバランスよく改善することができる。そのため、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤのアンダートレッド11Uに用いることが好ましく、本発明のタイヤ用ゴム組成物をアンダートレッド11Uに用いたタイヤは、操縦安定性や耐久性を良好に維持しながら、燃費性能を向上することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物をアンダートレッド11Uに用いたタイヤ(以下、本発明のタイヤという)は、図1に示すように、トレッド部1にタイヤ周方向に沿って延在する周方向溝20を備えているとよい。このとき、周方向溝20の溝下における溝下ゲージ(タイヤ子午線断面において、周方向溝の溝底のタイヤ径方向内側にあるトレッドゴム層11の厚さであり、後述のゴムゲージGUとGCの合計)をGT、周方向溝の溝下におけるキャップトレッド11Cのゴムゲージ(タイヤ子午線断面において、周方向溝の溝底のタイヤ径方向内側にあるキャップトレッド11Cの厚さ)をGC、周方向溝の溝下におけるアンダートレッド11Uのゴムゲージ(タイヤ子午線断面において、周方向溝の溝底のタイヤ径方向内側にあるアンダートレッド11Uの厚さ)をGUとしたとき、溝下ゲージGTが好ましくは2.5mm以下、より好ましくは1.5mm〜2.3mm、更に好ましくは1.5mm〜2.0mmであり、且つ、比GU/GCが好ましくは0.3〜0.8、より好ましくは0.4〜0.7、更に好ましくは0.5〜0.7であるとよい。このようにゴムゲージを設定することで、溝下位置におけるトレッドゴム層11とキャップトレッド11Cやアンダートレッド11Uのバランスが良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性(特に、グルーブクラックに対する耐久性)を向上するには有利になる。尚、GT、GU、GCはいずれも、ベルト層7のタイヤ外周側の表面に垂直に測定した各ゴム層(各ゴム)の厚さである。
このとき、更に、タイヤ子午線断面におけるアンダートレッドの断面積が、タイヤ子午線断面におけるトレッドゴム層11の断面積(アンダートレッド11Uの断面積とキャップトレッド11Cの断面積の和)の好ましくは0.15倍〜0.40倍、より好ましくは0.20倍〜0.35倍であるとよい。これにより、トレッドゴム層11とキャップトレッド11Cやアンダートレッド11Uのバランスが良好になるので、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性と耐久性(特に、グルーブクラックに対する耐久性)を向上するには有利になる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが245/45ZR18であり、図1に示す基本構造を有し、アンダートレッドを構成するゴム組成物の配合、物性、放出温度と、タイヤの構造(溝下ゲージGT、GU、GC)および加硫温度と、未走行のタイヤにおけるアミン系老化防止剤の含有量A,Bおよび比B/Aが表1〜3のように設定された標準例1、比較例1〜7、実施例1〜13のタイヤを製造した。
尚、各例では、表1〜3に示すように、ゴム組成物の物性として、硬度、100℃における100%伸長時の引張応力(以下、「M100(100℃)」)、100℃における引張強さTB(以下、「TB(100℃)」)、100℃における破断伸びEB(以下、「EB(100℃)」)、積TB×EBを設定した。硬度は、JIS K6253に準拠して、デュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。M300(100℃)は、JIS K6251に準拠して3号型ダンベル試験片を用い、引張速度500mm/分、温度100℃の条件で測定した(単位:MPa)。TB(100℃)は、JIS K6251に準拠して、温度100℃の条件で測定した(単位:MPa)。EB(100℃)は、JIS K6251に準拠して、温度100℃の条件で測定した(単位:%)。
未走行のタイヤにおけるアミン系老化防止剤の含有量A,Bとは、周方向溝の溝下位置のキャップトレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Aと、周方向溝の溝下位置のアンダートレッドにおけるアミン系老化防止剤の含有量Bであり、それぞれJIS K6229およびJIS K0114に準拠したガスクロマトグラフィーによって測定した。具体的には、各例のタイヤ(未走行の新品タイヤ)を解体し、周方向溝の溝下位置のキャップトレッドとアンダートレッドをそれぞれ薄くスライスした後に、1mm角、長さ30mm程度の試験片に裁断し、アセトンを用いて8時間抽出を行い、得られた濾液を室温に戻してガスクロマトグラフ測定試料とし、測定対象のアミン系老化防止剤を100ppm〜1000ppmの範囲で4点濃度を振った溶液(標準試料)を作成し、得られたガスクロマトグラフ測定試料の面積を求めて、検量線によりガスクロマトグラフ測定試料中のアミン系老化防止剤の含有量を算出した。
表1〜3におけるゴム組成物の配合について、老化防止剤に関しては、配合量〔質量部〕だけでなく、ゴム組成物の重量(各材料の配合量の総和)に対する割合〔質量%〕を併記した(表中の「割合」の欄)。
得られたゴム組成物について、下記に示す方法により、操縦安定性、転がり抵抗、高速耐久性、耐グルーブクラック性の評価を行った。
操縦安定性
各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて、空気圧を240kPaとし、排気量2000ccの試験車両に装着し、舗装路面からなるテストコースにて、操縦安定性についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、標準例1の結果を3点(基準)とする5段階で評価した。この点数が大きいほど操縦安定性が優れていることを意味する。
転がり抵抗
各試験タイヤを18×7Jのホイールに組み付けて、室内ドラム試験機(ドラム径:1707.6mm)を用いて、ISO28580に準拠し、空気圧210kPa、荷重4.82kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、標準例1の測定値を100とする指数で示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が低いことを意味する。
高速耐久性
各試験タイヤを18×7Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとし、室内ドラム試験機(ドラム径:1707mm)を用いて、JIS D4230に準拠して高速耐久性試験を実施した後、引き続き1時間毎に8km/hずつ速度を増加させ、タイヤに故障が生じるまでの走行距離を測定した。評価結果は、標準例1の測定値を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど高速耐久性に優れることを意味する。
耐グルーブクラック性
各試験タイヤを18×7Jのホイールに組み付けて、空気圧を230kPaとし、温度50℃、オゾン濃度100phmの条件で24時間の曝露試験を行い、試験後に溝底に発生したクラックの数を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用いて、標準例1を100とする指数で示した。この指数値が大きいほどクラック数が少なく耐グルーブクラック性に優れることを意味する。
Figure 2021181530
Figure 2021181530
Figure 2021181530
表1〜3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、TSR20
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR1220
・変性BR1:末端変性ブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR1250H(官能基:N‐メチルピロリドン基、分子量分布Mw/Mn=1.1)
・変性BR2:下記の方法で合成した末端変性ブタジエンゴム(官能基:ポリオルガノシロキサン基)
・変性BR3:末端変性ブタジエンゴム、JSR社製 BR54(官能基:シラノール基、分子量分布Mw/Mn=2.5)
・IR:イソプレンゴム、日本ゼオン社製 Nipol IR2200
・CB1:カーボンブラック、東海カーボン社製 シースト3(CTAB吸着比表面積:82m2 /g)
・CB2:カーボンブラック、東海カーボン社製 シーストF(CTAB吸着比表面積:47m2 /g)
・シリカ1:Evonick Japan社製 Ultrasil VN3(CTAB吸着比表面積:175m2 /g)
・シリカ2:Solvay Japan社製 Zeosil premium 200MP(CTAB吸着比表面積:200m2 /g)
・シランカップリング剤:Evonick Japan社製 Si69
・タッキファイヤー:日立化成社製 ヒタノール1502Z
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・老化防止剤:アミン系老化防止剤、フレキシス社製 サントフレックス6PPD
・ステアリン酸:新日理化社製 ステアリン酸50S
・硫黄:不溶性硫黄、四国化成工業社製 ミュークロンOT‐20
・加硫促進剤:三新化学工業社製 NS‐G
変性BR2の合成方法
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン5670g、1,3‐ブタジエン700gおよび、テトラメチルエチレンジアミン0.17mmolを仕込んだ後、シクロヘキサンと1,3‐ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の中和に必要な量のn‐ブチルリチウムを添加し、更に、重合反応に用いる分のn−ブチルリチウムを8.33mmol加えて、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後に、1,3‐ブタジエン300gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は80℃であった。連続添加終了後、更に15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、少量の重合溶液をサンプリングした。サンプリングした少量の重合溶液は、過剰のメタノールを添加して反応停止した後、風乾して、重合体を取得し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の試料とした。その試料を用いて、重合体(活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に該当)のピークトップ分子量および分子量分布を測定したところ、それぞれ、「23万」および「1.04」であった。
前述の少量の重合溶液をサンプリングした直後、重合溶液に、1,6‐ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.288mmol(重合に使用したn‐ブチルリチウムの0.0345倍モルに相当)を40重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。更に、その後、ポリオルガノシロキサンA0.0382mmol(重合に使用したn‐ブチルリチウムの0.00459倍モルに相当)を20重量%キシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn‐ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加した。これにより、変性ブタジエンゴムを含有する溶液を得た。この溶液に、ゴム成分100部あたり、老化防止剤として2,4‐ビス(n‐オクチルチオメチル)‐6‐メチルフェノール0.2部を添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性ブタジエンゴム(変性BR2)を得た。この変性ブタジエンゴム(変性BR2)について、重量平均分子量、分子量分布、カップリング率、ビニル結合含有量、および、ムーニー粘度を測定したところ、それぞれ、「51万」、「1.46」、「28%」、「11質量%」および「46」であった。
表1〜3から明らかなように、実施例1〜13のタイヤは、標準例1に対して、転がり抵抗を低減しながら操縦安定性、耐久性(高速耐久性、耐グルーブクラック性)を向上し、これら性能をバランスよく両立した。
一方、比較例1のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物に配合されるカーボンブラックのCTAB吸着比表面積が大きいため、転がり抵抗が悪化した。比較例2のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物に配合されるシリカのCTAB吸着比表面積が大きいため、耐久性(耐グルーブクラック性)が低下した。比較例3のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量が少なく、また硬度が小さいため、操縦安定性が低下した。比較例4のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量が多く、また硬度が大きいため、転がり抵抗と高速耐久性が悪化した。比較例5のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物における末端変性ブタジエンゴムの配合量が少ないため、転がり抵抗が悪化した。比較例6のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物における末端変性ブタジエンゴムの配合量が多く、また、積TB×EBが小さいため、耐久性(高速耐久性、耐グルーブクラック性)が悪化した。比較例7のタイヤは、アンダートレッドを構成するゴム組成物における積TB×EBが小さいため、高速耐久性が低下した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
11 トレッドゴム層
11C キャップトレッド
11U アンダートレッド
12 サイドゴム層
13 リムクッションゴム層
20 周方向溝
CL タイヤ赤道

Claims (9)

  1. 天然ゴム50質量%以上と末端変性ブタジエンゴム10質量%〜35質量%とを含むゴム成分100質量部に対して、CTAB吸着比表面積が60m2 /g未満であるカーボンブラック35質量部〜60質量部と、CTAB吸着比表面積が180m2 /g未満であるシリカ3質量部〜30質量部とが配合されたタイヤ用ゴム組成物であって、
    20℃における硬度が60〜65、100℃における100%伸長時の引張応力(M100)が2.0MPa〜4.0MPa、100℃における引張強さTB〔単位:MPa〕と100℃における破断伸びEB〔単位:%〕との積(TB×EB)が2000以上であることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記末端変性ブタジエンゴムの末端の官能基が水酸基、アミノ基、アミド基、アルコキシル基、エポキシ基、シロキサン結合基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記末端変性ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部を備え、前記トレッド部の踏面を構成するキャップトレッドとその内周側に配置されるアンダートレッドとを有するタイヤであって、前記アンダートレッドが請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物で構成されたことを特徴とするタイヤ。
  5. 前記トレッド部に形成された周方向溝の溝下における溝下ゲージGTが2.5mm以下であり、且つ、前記周方向溝の溝下における前記キャップトレッドのゴムゲージGCと前記アンダートレッドのゴムゲージGUとの比GU/GCが0.3〜0.8であることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記ゴム成分100質量部に対してアミン系老化防止剤が1.0質量部〜4.0質量部配合されたことを特徴とする請求項4または5に記載のタイヤ。
  7. 前記周方向溝の溝下位置の前記キャップトレッドにおける前記アミン系老化防止剤の含有量Aが0.8質量%超2.0質量%未満であり、前記周方向溝の溝下位置の前記アンダートレッドにおける前記アミン系老化防止剤の含有量Bが0.7質量%超1.5質量%未満であり、且つ、前記含有量Aと前記含有量Bとの比B/Aが0.6以上1.2以下であることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載のタイヤの製造方法であって、前記タイヤ用ゴム組成物の混練り時の放出温度が120℃〜165℃であることを特徴とするタイヤの製造方法。
  9. 請求項4〜8のいずれかに記載のタイヤの製造方法であって、加硫温度が145℃〜170℃であることを特徴とするタイヤの製造方法。
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