JP2016094561A - 加硫ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents

加硫ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性能および低燃費性能をバランス良く改善できる加硫ゴム組成物の製造方法、耐摩耗性能および低燃費性能に優れた加硫ゴム組成物ならびにこれをトレッドの構成に用いたタイヤを提供すること。【解決手段】ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)とを有し、BR相とIR相とは互いに非相溶であり、加硫後におけるBR相中のシリカの存在率αが0.3≦α≦0.7(式1)を満たし、ブタジエンゴムの割合βが0.4≦β≦0.8(式2)を満たす加硫ゴム組成物、およびその加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、加硫ゴム組成物および該加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤに関する。
従来、タイヤの転がり抵抗を低減する(低燃費性を改善する)ことにより、車の低燃費化が行われてきた。タイヤの転がり抵抗は、タイヤ部材に使用されるゴムの低発熱性に大きく左右されるため、ゴムの低発熱性を実現するための開発が盛んにおこなわれ、さらには、低燃費化に適応した配合が種々検討されている。特に充填剤においては、従来のカーボンブラックだけでなく、低燃費性に有利なシリカを用いる場合が多くなっている。
一方、低燃費性能、低温性能、氷雪上性能、耐摩耗性能など様々なタイヤ性能をバランスよく向上させる方法として、複数のポリマー(ゴム)成分を配合する方法(ポリマーブレンド)が古くから行われてきた。具体的には、タイヤにおけるゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)に代表されるいくつかのポリマー成分をブレンドすることが主流になってきている。これは、各ポリマー成分の特徴を活かして、単一のポリマー成分ではできない加硫ゴム組成物の物性を引き出す手段である。
このポリマーブレンドにおいては、加硫された後の各ゴム成分の相構造(モルホロジー)および各ゴム相へのシリカなどの充填剤の分配具合(シリカの偏在度合)が、物性を決定する重要な因子となる。モルホロジーや充填剤偏在のコントロールを決定する要素は非常に複雑で、これまでタイヤ物性をバランス良く発現するための検討が多くなされてきたが、いずれも改良の余地がある。
例えば、特許文献1には、スチレンブタジエンゴムを含むタイヤトレッド用ゴム組成物の海島マトリクスの島相粒径とシリカ分配を規定した技術が開示されている。しかしながら、そのモルホロジーを実現できる具体的な方法については、シリカマスターバッチを用いて混練時間やローターの回転トルクにより調整したと記載されているのみであり、このような方法では、混練、加硫条件に大きくモルホロジーが左右され、安定したモルホロジーコントロールは困難であった。また、実施例において開示されているゴム成分も比較的極性の近いスチレンブタジエンゴム同士のものであり、ブタジエンゴムと天然ゴムとのように極性、即ちシリカとの親和性が大きく異なるゴム成分同士のブレンドにおいては適用できない技術であることは明らかである。
特許文献2には、天然ゴムおよびブタジエンゴムを含む配合系のモルホロジーとシリカ偏在をコントロールする技術が開示されているが、島相への偏在を開示しているのみであり、シリカ偏在が不利なブタジエンゴムへのシリカ偏在コントロールに対しては記載がない。
天然ゴムは機械的強度に優れる等の、タイヤ、特にサイドウォール用ゴム組成物においては重要なゴム成分であるが、ブタジエンゴムと配合した場合、シリカの偏在を招きやすく、シリカ分配状況をコントロールして配合を組み立てる必要があるが、従来は十分なモルホロジー、シリカ分配状況の確認が行われておらず、物性発現が十分でない配合となっている場合があった。
さらに、近年では、低燃費性向上を狙って、天然ゴムにシリカと親和性を高めるような変性を行う傾向もあり、天然ゴムへのシリカ偏在の可能性がますます顕著になっている。
また、近年、耐摩耗性や低温グリップ特性に優れたシス含有量の高いハイシスブタジエンゴムを配合することが多くなってきたが、ジエン系ゴムの中でも、ハイシスブタジエンゴムは、特にシリカとの親和性が低く、天然ゴムとの配合系では、ハイシスブタジエンゴム相にはほとんどシリカが取り込まれない傾向にある。したがって、従来のハイシスブタジエンゴム配合系では、モルホロジーやシリカ分配の状況が確認されないまま、十分な物性が発現しないような配合となっている場合があった。
特に、サイドウォール用ゴム組成物においては、耐屈曲亀裂成長性のようなサイドウォールに求められる性能を有するブタジエンゴムを連続相としてゴム組成物を構成することが重要であり、耐摩耗性能への寄与の大きい連続相ゴム成分にシリカ偏在コントロールを行う技術が必須である。
また、各ゴム相へのシリカの分配度合について、実際のタイヤ物性を正確に反映した測定結果で規定されたものはなく、更なる検討が必要であった。
特開2006−089636号公報 特開2006−348222号公報
そこで、本発明は、耐摩耗性能および低燃費性能をバランス良く改善できる加硫ゴム組成物、およびこれを用いたタイヤ部材を有するタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、
[1]ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)とを有し、
BR相とIR相とは互いに非相溶であり、
加硫後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、かつ
ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす加硫ゴム組成物、
0.3≦α≦0.7 (好ましくは0.5≦α≦0.6) (式1)
0.4≦β≦0.8 (好ましくは0.5≦β≦0.7) (式2)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+IR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量)である。)
[2]ブタジエンゴムの割合βに対するシリカの存在率γが下記式3を満たし、
系全体のシリカの分散率δが下記式4を満たす上記[1]記載の加硫ゴム組成物、
0.6≦γ≦1.4 (好ましくは0.8≦γ≦1.2) (式3)
δ≦0.8 (好ましくはδ≦0.6) (式4)
(ここで、γ=α/βであり、δ=シリカ間距離標準偏差/シリカ間平均距離である。)
[3]ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを15〜120質量部、好ましくは50〜100質量部含有する上記[1]または[2]記載の加硫ゴム組成物、
[4]上記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上、好ましくは95%以上のブタジエンゴムである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
[5]ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを15〜120質量部、好ましくは30〜100質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上のシリカを含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
[6]ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、軟化剤を15〜80質量部、好ましくは20〜70質量部含有する上記[1]〜[5]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、および
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ
に関する。
本発明によれば、ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)を有する非相溶系において、BR相中のシリカの存在率αおよびブタジエンゴムの割合βが所定の範囲内である加硫ゴム組成物であるので、低燃費性および耐摩耗性がバランス良く改善されたタイヤを提供することができる。
シリカの分散が良好な加硫ゴム組成物(a)およびシリカが偏在している加硫ゴム組成物(b)の断面のSEM写真を示す図である。
本発明の加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)とを有し、BR相とIR相とは互いに非相溶であり、加硫後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、かつブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす。
0.3≦α≦0.7 (式1)
0.4≦β≦0.8 (式2)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+IR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量)であり、加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量および加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量は、それぞれ加硫ゴム組成物を製造する際に含有させた各ゴムの含有量に相当する。)
加硫ゴム組成物におけるゴム成分中のシリカの分散状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。例えば、本発明の一実施態様であるシリカの分散が良好な例では、図1の(a)にみられるように、ブタジエンゴムを含む相(BR相)1が海相を形成し、イソプレン系ゴム(天然ゴム)を含む相(IR相)2が島相を形成しており、シリカ3はBR相1およびIR相2の両方に分散している。一方、本発明の態様とは異なるシリカが片方の相に偏在している例では、図1の(b)にみられるように、図1の(a)と同様、BR相1が海相を形成し、IR相2が島相を形成しているが、シリカ3はIR相2に偏在しており、両相に分散していない。
本発明の加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)とを有し、BR相とIR相とは互いに非相溶である。ここで、本明細書において「非相溶」とは、例えば加硫ゴム組成物の断面における、非連続相の平均円相当半径が100nm以上であることを意味し、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像により容易に評価することができる。
また、本発明の加硫ゴム組成物は、BR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たすことにより、耐摩耗性能および燃費性能が向上する。本明細書において、「BR相中のシリカの存在率α」は、加硫後における、加硫ゴム組成物中の全シリカ量のうちどのくらいがBR相に存在しているかを示す指標である。
0.3≦α≦0.7 (式1)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+IR相中のシリカ量)である。)
具体的には、例えば、加硫ゴム組成物を面出しし、サンプルとする。1つのサンプルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真について、互いに重複しない2μm×2μmの領域を10ヵ所選択する。各領域で、単位面積当たりのシリカ面積と、単位面積中のBR相におけるシリカ面積を測定し、BR相のシリカ存在率を算出する。10ヵ所のシリカ存在率の最大値と最小値との差が10%以内であることを確認できれば、その10ヵ所のシリカ存在率の平均をαとする。
BR相中のシリカの存在率αは、0.3以上であり、0.5以上が好ましい。BR相中のシリカの存在率αが0.3未満の場合、耐摩耗性能や燃費性能の向上が期待できず、むしろ低下する傾向がある。また、BR相中のシリカの存在率αは、0.7以下であり、0.6以下が好ましい。BR相中のシリカの存在率αが0.7を超えると、特に耐摩耗性能の向上が期待できず、むしろ低下する傾向がある。
本発明の加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たすものである。
0.4≦β≦0.8 (式2)
(ここで、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量)であり、加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量および加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量は、それぞれ加硫ゴム組成物を製造する際に含有させた各ゴムの含有量に相当する。)
ブタジエンゴムの割合βは、0.4以上であり、0.5以上が好ましい。ブタジエンゴムの割合βが0.4未満の場合、得られる燃費性能の向上が期待できない傾向がある。また、ブタジエンゴムの割合βは、0.8以下であり、0.7以下が好ましい。ブタジエンゴムの割合βが0.8を超える場合、イソプレン系ゴムの含有量が少なくなり、十分な破壊強度および耐摩耗性を得ることができない傾向がある。
さらに、本発明の加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムの割合βに対するシリカの存在率γが下記式3を満たすことが好ましい。
0.6≦γ≦1.4 (式3)
(ここで、γ=α/βである。)
本明細書において、「シリカの存在率γ」は、ブタジエンゴムの割合βに対するBR中のシリカ存在率である。理想的にシリカがBR相に分配されている場合、シリカの存在率γは1となる。
ブタジエンゴムの割合βに対するシリカ存在率γは、0.6以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。ブタジエンゴムの割合βに対するシリカ存在率γを0.6以上とすることにより、耐摩耗性能や燃費性能が向上する傾向がある。ブタジエンゴムの割合βに対するシリカ存在率γは、1.4以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。ブタジエンゴムの割合βに対するシリカ存在率γを1.4以下とすることにより、耐摩耗性能や燃費性能が向上する傾向がある。
本発明の加硫ゴム組成物は、系全体のシリカの分散率δが下記式4を満たすことが好ましい。
δ≦0.8 (式4)
(ここで、δ=シリカ間距離標準偏差/シリカ間平均距離である。)
本明細書において、「シリカ間平均距離」は、シリカ凝集体の隣接壁面間距離である。シリカ凝集体を画像いっぱいに膨張させて、疑似ボロノイ多角形を作製し、疑似ボロノイ多角形が隣接している粒子の粒子間距離を測定する。粒子間距離は、互いの粒子が最も接近した点と点の距離を求めることにより得ることができる。例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を用い、(株)ニレコのLUZEX(登録商標)APなどの市販のプログラムにより容易に算出することができる。
系全体のシリカの分散率δは、0.8以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。系全体のシリカの分散率δを0.8以下とすることにより、計全体にシリカが分散し、物性が向上する傾向がある。シリカの分散率δは、0になることが最も好ましい。
本発明において使用するBRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)などを使用できる。なかでも、ハイシス未変性BR、ハイシス変性BR、ローシス未変性BRおよびローシス変性BRからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ハイシス未変性BRを用いることがより好ましい。
ハイシスBRとしては、例えば、JSR(株)製のBR730、BR51、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR710などがあげられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4−結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性を向上させることができる。ローシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1250などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性BRとしては、特に限定されるものではないが、BRにアルコキシル基を変性基として有する変性BR、などが好ましく、なかでもハイシス変性BRがより好ましい。
本発明において使用するイソプレン系ゴムは特に限定されるものではなく、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20などの天然ゴムが挙げられる。また、本発明のイソプレン系ゴムとしては、改質天然ゴム、変性天然ゴム、合成イソプレンゴム、変性合成イソプレンゴムが含まれるものとする。
シリカは、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)や、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、70m2/g以上が好ましく、140m2/g以上がより好ましい。シリカのN2SAを70m2/g以上とすることにより、十分な補強性が得られ、破壊強度、耐摩耗性能を良好なものとすることができる。また、シリカのN2SAは、220m2/g以下が好ましく、200m2/g以下がより好ましい。シリカのN2SAを220m2/g以下とすることにより、シリカの分散が容易になり、加工性を良好にすることができる。ここで、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。シリカの合計含有量を15質量部以上とすることにより、耐摩耗性および破壊特性、低燃費性が良好となる傾向がある。また、シリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。シリカの合計含有量を120質量部以下とすることにより、加工性、作業性が向上し、シリカ増量による低温特性の低下を防ぐ傾向がある。
本発明の加硫ゴム組成物は、上記材料以外に、必要に応じて、IRおよびBR以外のゴム成分や、シランカップリング剤、カーボンブラックなどのフィラー、オイルなどの軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、加硫剤、加硫促進剤、その他タイヤ工業において一般的に用いられている各種材料を含有することが好ましい。
その他のゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム、エチレンプロピレンゴムなどがあげられる。
本発明の加硫ゴム組成物の全ゴム成分中のブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとの合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとの合計含有量が多いほど、低温特性に優れており、必要な氷上性能を発揮することができるため、またα、βおよびγの規定範囲と機能発揮との相関が高いためゴム成分としてはブタジエンゴムおよびイソプレン系ゴムのみからなるゴム成分を使用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を併用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シリカとの反応性が良好であるという点から、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが特に好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を3質量部以上とすることにより、破壊強度を良好なものとすることができる。また、該シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を12質量部以下とすることにより、コストの増加に見合った効果を得ることができる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、これらのカーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、低温特性と摩耗性能をバランスよく向上させることができるという理由から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、十分な補強性および耐摩耗性が得られる点から、70m2/g以上が好ましく、90m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという点から、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。なお、N2SAは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に準じて測定することができる。
カーボンブラックを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、5質量部以上が好ましい。カーボンブラックの含有量を1質量部以上とすることにより、十分な補強性が得られる傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は105質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量を105質量部以下とすることにより、加工性が良好となり、発熱が抑えられ、耐摩耗性を向上することができる。
オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロセスオイル、植物油脂またはその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、ヤシ油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油などがあげられる。なかでも、プロセスオイル、特にパラフィン系プロセスオイルを用いることが好ましい。
オイルを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。オイルの含有量を15質量部以上とすることにより、スタッドレスタイヤとする場合に必要な氷上性能を発揮する傾向、がある。また、オイルの含有量は80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。オイルの含有量を80質量部以下とすることにより、加工性の悪化、耐摩耗性の低下、老化物性の低下を防ぐ傾向がある。
本発明に用いられる老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤を適宜選択して配合することができ、これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐オゾン性を顕著に改善できる、効果が長持ちするという理由からアミン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
老化防止剤を含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を0.5質量部以上とすることにより、十分な耐オゾン性を得ることができる傾向がある。また、老化防止剤の含有量は、8質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を8質量部以下とすることにより、変色を抑制することができ、ブリードを抑制することができる傾向がある。
ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛はいずれも、ゴム工業において一般的に用いられるものを好適に用いることができる。
加硫剤は特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができるが、硫黄原子を含むものが好ましく、粉末硫黄が特に好ましく用いられる。
加硫促進剤も特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができる。
本発明の加硫ゴム組成物は、イソプレン系ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを15〜120質量部、そして軟化剤を15〜80質量部含有することが好ましい。
フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。フィラーの含有量を15質量部以上とすることにより、耐摩耗性および破壊特性、低燃費性が良好となる傾向がある。また、フィラーの含有量は120質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。フィラーの含有量を120質量部以下とすることにより、加工性、作業性が向上し、フィラー増量による低温特性の低下を防ぐ傾向がある。フィラーには、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウムなどが含まれ、全フィラー量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上のシリカを配合することが好ましい。
軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。軟化剤の含有量を15質量部以上とすることにより、スタッドレスタイヤに必要な氷上性能を発揮する傾向がある。また、軟化剤の含有量は、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。軟化剤の含有量を80質量部以下とすることにより、加工性の悪化、耐摩耗性の低下、老化物性の低下を防ぐ傾向がある。軟化剤には、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、テルペン系樹脂などが含まれる。
本発明の加硫ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
また、本発明の加硫ゴム組成物を製造する際の混練り工程は、使用するゴムの種類などに応じて、全てのゴム成分とシリカを一度に混練りすることにより行なう方法、ブタジエンゴムをシリカと混練りした混練物にイソプレン系ゴムを加えて混練を行う方法、各ゴム成分とシリカとのマスターバッチをそれぞれ用意したうえで混練を行う方法など、適宜選択して行うことができる。
本発明の加硫ゴム組成物は、タイヤの各部材、例えばトレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業製品などにも用いることができる。なかでも、低燃費性および耐摩耗性能に優れることから、トレッドに好適に使用されるものであり、さらにトレッドがキャップトレッドとベーストレッドとからなる2層構造のトレッドである場合はキャップトレッドに好適に使用されるものである。
本発明のタイヤは、本発明の加硫ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、本発明の加硫ゴム組成物の未加硫段階でゴム組成物をタイヤのトレッドの形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合せ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱および加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜3
加硫ゴム組成物の指標α、β、γ、δが表1に示す値を有する各加硫ゴム組成物について、下記試験により、耐摩耗性能、低燃費性能の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。なお、α、δ、耐摩耗性能、低燃費性能の測定および評価は、加硫ゴム組成物を室温で保管し、加硫完了から200時間後(約1週間後)のものについて行った。βは、加硫ゴム組成物を製造する際に含有させたブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとの含有量(質量)の和に対するブタジエンゴムの含有量(質量)に相当し、γはα/βである。
<耐摩耗性能>
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、付加荷重3.0kg、落砂量15g/分でスリップ率20%にて摩耗量を測定し、それらの摩耗量の逆数をとった。そして、比較例1の摩耗量の逆数を100とし、その他の摩耗量の逆数を指数で表した。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
<低燃費性能>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mmまたは2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃でtanδを測定し、下記計算式により、各配合のtanδを指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性能指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<モルホロジーの評価およびシリカ偏在の評価>
加硫ゴム組成物を面出しし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。各相のモルホロジーは、コントラストの比較により確認することが可能であった。その結果、実施例1〜4および比較例1〜3の加硫ゴム組成物においては、ブタジエンゴムを含む相(BR相)とイソプレン系ゴムを含む相(IR相)とは互いに非相溶であることが確認された。BR相が海相を形成し、IR相が島相を形成していた。
シリカは粒状の形態として観察可能である。1つのサンプルのSEM写真について、互いに重複しない2μm×2μmの領域を10ヵ所選択した。各領域で、各相の単位面積あたりのシリカ面積を測定し、BR相のシリカ存在率を算出した。10ヵ所の値の最大値と最小値との差が、10%以内であることを確認し、10ヵ所の平均をαとした。
<シリカ分散率の評価>
SEM観察画像を、ゴム部分とシリカ部分との2値化像に変換し、ニレコ(株)製自動画像処理解析システムLUZEX(登録商標)APを用いて、最近接のシリカ凝集体間平均距離と、標準偏差を算出し、δを求めた。
表1の結果より、ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)を有する非相溶系において、BR相中のシリカの存在率αおよびブタジエンゴムの割合βが所定の範囲内である加硫ゴム組成物とすることにより、耐摩耗性能および低燃費性能をバランス良く改善できることがわかる。
以下、製造参考例1〜4および製造比較参考例1〜3において用いた各種材料をまとめて示す。なお、製造参考例1〜4および製造比較参考例1〜3により得られる加硫ゴム組成物は、上記実施例1〜4および比較例1〜3の加硫ゴム組成物にそれぞれ対応する。
ブタジエンゴム(BR1):JSR(株)製のBR730(未変性、シス1,4−含有率95%)
ブタジエンゴム(BR2):宇部興産(株)製のBR150B(未変性、シス1,4−含有率98%)
ブタジエンゴム(BR3):下記合成例1で作製したもの
イソプレン系ゴム(IR):天然ゴム(NR)(RSS#3)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAF、N2SA:114m2/g、平均粒子径:23nm)
シリカ:エボニック・デグザ(Evonik Degussa)社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニック・デグザ社製のSi266
ミネラルオイル:出光興産(株)製のPS−32(パラフィン系プロセスオイル)
ステアリン酸:日油(株)製の「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエースワックス
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
合成例1:変性共役ジエン系重合体の製造
(1)共役ジエン系重合体の合成
あらかじめ、0.18ミリモルのバーサチック酸ネオジムを含有するシクロヘキサン溶液、3.6ミリモルのメチルアルモキサンを含有するトルエン溶液、6.7ミリモルの水素化ジイソブチルアルミニウムを含有するトルエン溶液、および、0.36ミリモルのトリメチルシリルアイオダイドを含有するトルエン溶液と1,3−ブタジエン0.90ミリモルを30℃で60分間反応熟成させて得られる触媒組成物(ヨウ素原子/ランタノイド含有化合物(モル比)=2.0)を得た。続いて、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300gを窒素置換された5Lオートクレーブに投入した。そして、上記触媒組成物を上記オートクレーブに投入し、30℃で2時間、重合反応させて、重合体溶液を得た。なお、投入した1,3−ブタジエンゴムの反応転化率は、ほぼ100%であった。
ここで、共役ジエン系重合体(以下、「重合体」とも称する。)、すなわち、変性前のものの各種物性値を測定するため、上記重合体溶液から200gの重合体溶液を抜き取り、この重合体溶液に2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を重合体とした。
重合体について、以下に示す測定方法によって各種物性値を測定したところ、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が12であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.6であり、シス−1,4−結合量が99.2質量%であり、1,2−ビニル結合量が0.21質量%であった。
[ムーニー粘度(ML1+4(100℃))]
JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(商品名;HLC−8120GPC、東ソー社製)を使用し、検知器として、示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した。
カラム ;商品名「GMHHXL」、(東ソー社製)2本、
カラム温度 ;40℃、
移動相 ;テトラヒドロフラン、
流速 ;1.0ml/分、
サンプル濃度;10mg/20ml
[シス−1,4−結合量、1,2−ビニル結合量]
シス−1,4−結合の含量、および1,2−ビニル結合の含量は、1H−NMR分析および13C−NMR分析により測定を行った。NMR分析には、日本電子社製の商品名「EX−270」を使用した。具体的には、1H−NMR分析としては、5.30〜5.50ppm(1,4−結合)、および4.80−5.01ppm(1,2−結合)におけるシグナル強度から、重合体中の1,4−結合と1,2−結合の比を算出した。さらに、13C−NMR分析としては、27.5ppm(シス−1,4−結合)、および32.8ppm(トランス−1,4−結合)におけるシグナル強度から、重合体中のシス−1,4−結合とトランス−1,4−結合の比を算出した。これらの算出した値の比率を算出し、シス−1,4−結合量(質量%)および1,2−ビニル結合量(質量%)とした。
(2)変性共役ジエン系重合体の合成
変性共役ジエン系重合体(以下、「変性重合体」とも称する。)を得るために、合成例1の共役ジエン系重合体の重合体溶液に次の処理を行った。温度30℃に保持した重合体溶液に、1.71ミリモルの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間反応させて反応溶液を得た。それから、この反応溶液に1.71ミリモルの3−アミノプロピルトリエトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。続いて、この反応溶液に1.28ミリモルのテトライソプロピルチタネートを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。その後、重合反応を停止させるため、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加して、この溶液を変性重合体溶液とした。収量は2.5kgであった。続いて、この変性重合体溶液に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lを添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応させた。その後、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を変性重合体とした。
変性重合体については、以下に示す測定方法によって各種物性値を測定したところ(ただし、分子量分布(Mw/Mn)の測定は、上記重合体と同様の条件で行った。)、ムーニー粘度(ML1+4(125℃))が46であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.4であり、コールドフロー値が0.3mg/分であり、経時安定性が2であり、ガラス転移温度が−106℃であった。
[ムーニー粘度(ML1+4(125℃))]
JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度125℃の条件で測定した。
[コールドフロー値]
圧力3.5lb/in2、温度50℃で重合体を1/4インチオリフィスに通して押し出すことにより測定した。定常状態にするため、10分間放置後、押し出し速度を測定し、その測定値を毎分のミリグラム数(mg/分)で表示した。
[経時安定性]
90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4(125℃))を測定し、下記式により算出した値である。なお、値が小さいほど経時安定性が良好である。
式:[90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4(125℃))]−[合成直後に測定したムーニー粘度(ML1+4(125℃))]
[ガラス転移温度]
ガラス転移温度は、JIS K 7121に準じて、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、ガラス転移開始温度として求めた。
製造参考例1〜3および比較製造参考例1〜3
表2の工程(I)に示す配合処方にしたがい、ゴム成分、シリカおよびその他の材料を入れ、1.7Lのバンバリーミキサーを用いて排出温度150℃で3分間混練りすることにより混練物を得た。次に、得られた混練物と、表2の工程(II)に示す配合処方にしたがい、その他の材料を添加し、排出温度150℃で2分間混練りし、混練物を得た。得られた混練物に、表2の工程(III)の配合処方にしたがい硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて150℃で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。なお、製造参考例1については、工程(I)で表2の各列に記載した配合処方の混練物をそれぞれ得、それら両混練物を工程(II)に用いた。
得られた各未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
1 BR相
2 IR相
3 シリカ
4 カーボンブラック

Claims (7)

  1. ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、イソプレン系ゴムおよびシリカを含む相(IR相)とを有し、
    BR相とIR相とは互いに非相溶であり、
    加硫後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、かつ
    ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす加硫ゴム組成物。
    0.3≦α≦0.7 (式1)
    0.4≦β≦0.8 (式2)
    (ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+IR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中のイソプレン系ゴムの質量)である。)
  2. ブタジエンゴムの割合βに対するシリカの存在率γが下記式3を満たし、
    系全体のシリカの分散率δが下記式4を満たす請求項1記載の加硫ゴム組成物。
    0.6≦γ≦1.4 (式3)
    δ≦0.8 (式4)
    (ここで、γ=α/βであり、δ=シリカ間距離標準偏差/シリカ間平均距離である。)
  3. ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含有する請求項1または2記載の加硫ゴム組成物。
  4. 前記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上のブタジエンゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の加硫ゴム組成物。
  5. ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを15〜120質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上のシリカを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の加硫ゴム組成物。
  6. ブタジエンゴムとイソプレン系ゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、軟化剤を15〜80質量部含有する請求項1〜5のいずれかに記載の加硫ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ。
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