JP2014145063A - タイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低燃費性、耐摩耗性及び氷雪上性能をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、ゴム成分100質量%中、BRが50〜70質量%、NRが30〜50質量%であり、BRを含む相(I)がNRを含む相(II)と独立して連続相を形成し、相(I)に含まれるシリカの量及び相(II)に含まれるシリカの量が一定の範囲内であるタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤに関する。
従来、タイヤの転がり抵抗を低減する(低燃費性を改善する)ことにより、車の低燃費化が行われてきた。タイヤの転がり抵抗は、タイヤ部材に使用されるゴムの低発熱性に大きく左右されるため、ゴムの低発熱性を実現するための開発が盛んに行われている。近年、車の低燃費化への要求はますます強くなってきており、低燃費化に適応した配合が種々検討されている。特に充填剤においては、従来のカーボンブラックだけでなく、低燃費性に有利なシリカを用いる場合が多くなっている。
しかしながら、シリカは表面に親水性シラノール基が存在するため、カーボンブラックに比べゴムとの親和性が低く、耐摩耗性や力学強度(引張強度や破断伸び)の点で劣る場合が多い。特に、タイヤ用で一般的に使用される天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴムは、シリカとの親和性が低く、充分な補強効果が得られない場合があった。
また、タイヤに求められる低燃費性以外の性能として、安全性の面から氷雪上でのグリップ性能や操縦安定性(以下、氷雪上性能ともいう)の向上が求められ、更に耐久性、経済性の面から優れた耐摩耗性、耐破壊強度が求められているが、これらの性能は低燃費性と背反傾向を示すため、低燃費性、氷雪上性能、耐摩耗性及び耐破壊強度の各性能を高次元でバランスよく改善することが要求されている。
上記のようなタイヤ物性をバランスよく改善する方法として、複数のポリマー(ゴム)成分を配合する方法(ポリマーブレンド法)が古くから行われており、タイヤ用ゴム組成物においては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)などのいくつかのポリマー成分をブレンドすることが主流になっている。これは、各ポリマー成分の特徴を活かして、単一のポリマー成分ではできないゴム物性を引き出す方法である。
このポリマーブレンド法においては、加硫された後の各ゴム相の構造(モルホロジー)、及び、各ゴム相へのシリカの分配度合(シリカの偏在度合)が、物性を決定する重要な因子となる。モルホロジーやシリカの分配度合を決定する要素は非常に複雑で、これまでタイヤ物性をバランス良く発現するための検討が多くなされてきたが、いずれも改良の余地があった。
例えば、特許文献1には、連続相及び1相以上の非連続相が海島構造を呈し、該非連続相の少なくとも1相に該白色充填剤が偏在しているゴム組成物が開示され、実施例では、NR、BR、エポキシ化天然ゴム(ENR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を使用した配合系が評価されているが、シリカとの親和性が低いBRを含む相が連続相となる場合において、シリカの分配度合をコントロールし、BRを含む相にシリカを適度に分配させることについては検討されていなかった。
NRは、優れた機械的強度が求められるタイヤ用ゴム組成物において重要なゴム成分であるが、BRとブレンドして配合した場合、NRを含む相へのシリカの偏在を招きやすく、シリカの分配度合をコントロールして配合を組み立てる必要がある。しかしながら、従来はモルホロジー、シリカの分配度合が充分に確認されておらず、タイヤ物性の発現が充分でない場合があった。
更に、近年では、低燃費性の更なる向上を目的として、シリカとの親和性が高い変性NRの使用が増加する傾向にあり、NRを含む相へのシリカ偏在がますます顕著になっていた。
また、近年では、耐摩耗性、氷雪上性能に優れたハイシスBRの使用が増加する傾向にあるが、ハイシスBRはジエン系ゴムの中でも特にシリカとの親和性が低いため、ハイシスBRとNRとをブレンドした配合系では、ハイシスBRを含む相にほとんどシリカが取り込まれず、タイヤ物性の発現が充分でない場合があった。
タイヤ用ゴム組成物において、耐摩耗性及び耐破壊強度を両立させるためには、耐摩耗性に優れるBRを連続相としながら、機械的強度に優れるNRを充分に配合することが必要である。しかしながら、NRは、BRと比較して連続相を形成しにくく、ゴム組成物中のNRの含有量が50質量%以下の場合、その傾向は特に顕著となり、所謂島相を形成するようになる。一般的に、島相に存在するゴム成分は、周囲を連続相のゴム成分に覆われているため、硬度が上昇してゴム弾性が低下する傾向にあり、島相に充填剤が偏在すると更にその傾向は強くなる。島相と連続相との硬度差が大きくなると、ゴム強度や耐摩耗性の低下が起こりやすくなる。NRは通常BRよりも硬度が大きく、NRを含む島相にシリカが偏在することで更に硬度差が生じることは望ましくない。従って、タイヤ物性発現に有用であるが極性が異なるBRとNRとをブレンドした配合系で、NR側へのシリカの偏在を抑制し、良好なゴム物性を発現するためのモルホロジーコントロール、シリカ分配の技術の開発が求められている。
しかしながら、これまで、複数のポリマー成分をブレンドしたタイヤ用ゴム組成物におけるモルホロジー形成については、相溶系(単相)の場合か、非相溶系(多相)の場合は連続相(海相)の中に粒子状の他成分の相(島相)が存在する海島構造しか検討されておらず、これまでとは異なる相構造について検討することが必要であった。
また、各ゴム相へのシリカの分配度合について、実際のタイヤ物性を正確に反映した測定結果で規定されたものはなく、更なる検討が必要であった。
特開2006−348222号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐摩耗性及び氷雪上性能をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、上記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量が50〜70質量%、天然ゴムの含有量が30〜50質量%であり、上記ブタジエンゴムを含む相(I)が上記天然ゴムを含む相(II)と独立して連続相を形成しており、上記ゴム成分100質量部に対する上記相(I)に含まれる上記シリカの量が下記式1を満たし、上記ゴム成分100質量部に対する上記相(II)に含まれる上記シリカの量が下記式2を満たすタイヤ用ゴム組成物に関する。
(式1)
α×(A×B)/100=C
A:ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量(質量%)
B:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
C:ゴム成分100質量部に対する相(I)に含まれるシリカの量(質量部)
α:0.2≦α≦1.0を満たす任意の数
(式2)
β×(D×E)/100=F
D:ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量(質量%)
E:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
F:ゴム成分100質量部に対する相(II)に含まれるシリカの量(質量部)
β:1.0≦β≦2.2を満たす任意の数
上記相(II)が上記相(I)と独立して連続相を形成していることが好ましい。
上記ブタジエンゴムのシス含量が80質量%以上であることが好ましい。
上記式1のC及び上記式2のFが電子顕微鏡及び/又は走査型プローブ顕微鏡を用いて定量化されたものであることが好ましい。
上記ゴム組成物は、重量平均分子量が1.0×10〜2.0×10のエポキシ化ジエン系ポリマーを含有することが好ましい。
上記エポキシ化ジエン系ポリマーがエポキシ化ポリブタジエンであることが好ましい。
上記エポキシ化ジエン系ポリマーのエポキシ化率が20質量%以下であることが好ましい。
本発明はまた、ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、上記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量が50〜70質量%、天然ゴムの含有量が30〜50質量%であり、上記ブタジエンゴムを含む相(I)と上記天然ゴムを含む相(II)とがそれぞれ独立して連続相を形成しているタイヤ用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤに関する。
本発明によれば、BRと、NRと、シリカとをそれぞれ所定量含有し、上記BRを含む相(I)が上記NRを含む相(II)と独立して連続相を形成しており、上記相(I)に含まれるシリカの量及び上記相(II)に含まれるシリカの量が一定の範囲内であるゴム組成物であるので、低燃費性、耐摩耗性及び氷雪上性能がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、上記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量が50〜70質量%、天然ゴムの含有量が30〜50質量%であり、上記ブタジエンゴムを含む相(I)が上記天然ゴムを含む相(II)と独立して連続相を形成しており、上記ゴム成分100質量部に対する上記相(I)に含まれる上記シリカの量が下記式1を満たし、上記ゴム成分100質量部に対する上記相(II)に含まれる上記シリカの量が下記式2を満たす。
(式1)
α×(A×B)/100=C
A:ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量(質量%)
B:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
C:ゴム成分100質量部に対する相(I)に含まれるシリカの量(質量部)
α:0.2≦α≦1.0を満たす任意の数
(式2)
β×(D×E)/100=F
D:ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量(質量%)
E:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
F:ゴム成分100質量部に対する相(II)に含まれるシリカの量(質量部)
β:1.0≦β≦2.2を満たす任意の数
一般に、ポリマーブレンド系における相状態(モルホロジー)は、完全相溶(単相)、海島相構造(多相)、連続相のない分断した島同士の相構造(多相)、共連続相構造(多相)、層状相構造(多相)の5つに分けられる。海島相構造とは、複数のゴム成分の一つが形成する一続きの相(連続相)の中に、他のゴム成分が粒子状(島状)に分散している相構造を言う。また、共連続相構造とは、複数成分のそれぞれが連続相を形成しながら互いに混じりあっている相構造を言う。また、層状相構造とは、それぞれの成分が連続相を形成するが、互いの成分が混じりあうことはなく独立している相構造を言う。
本発明者らが、種々のゴム成分、種々のモルホロジーを有する配合系で検討を行った結果、BRを含む相が、他のゴム成分を含む相と非相溶であり、他の相と独立して連続相を形成することにより、高い耐摩耗性を実現できるとともに、低燃費性についても改善できることを発見した。
BRは、含有量が70質量%以下であると連続相を形成しにくくなり、BRを含む相にシリカが偏在するとその傾向は更に顕著となるが、シリカの分配度合が式1及び式2を満たしていれば、連続相を形成することが判明した。これにより、良好な耐摩耗性が得られるモルホロジーと考えられるBRの連続相を維持しつつ、耐破壊強度に優れるNRを充分な量配合できることが判明した。
また、シリカの分配度合が式1及び式2を満たしていれば、各相の界面剥離を招きにくく、その結果、耐破壊強度に優れるゴム組成物を提供できることが判明した。
更には、NRを含む相(II)は、BRを含む連続相である相(I)によって周囲を覆われているため、通常であれば、硬度が上がり、耐摩耗性の低下を招きがちであるが、シリカの分配度合が式1及び式2を満たしていれば、良好な耐摩耗性を発現することが判明した。
相(II)は相(I)と非相溶で独立していればよく、島相を形成してもよいが、連続相を形成することが好ましい。相(II)が相(I)と独立して連続相を形成する(相(I)及び相(II)が共連続相を形成する)ことにより、これまでにない特異的な耐摩耗性、耐破壊強度が得られる。このような共連続相の形成については、BR及びNRのブレンド配合において、これまでに報告がないものである。
式1のシリカ偏在係数αの値は、0.2〜1.0、好ましくは0.3〜1.0、より好ましくは0.5〜1.0、更に好ましくは0.8〜1.0である。0.2未満であると、耐摩耗性、低燃費性が得られないおそれがあり、1.0を超えると、相(I)と相(II)との相分離構造が崩れ、耐破壊強度が低下するおそれがある。
式2のシリカ偏在係数βの値は、1.0〜2.2、好ましくは1.0〜1.9、より好ましくは1.0〜1.5、更に好ましくは1.0〜1.3以下である。1.0未満であると、相(I)と相(II)との相分離構造が崩れ、耐破壊強度が低下するおそれがあり、2.2を超えると、耐摩耗性、低燃費性が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、補強剤として、シリカを含有する。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。シリカの含有量は、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。150質量部を超えると、シリカの分散が困難になり、加工性が低下する傾向がある。
補強剤全体に対するシリカの含有率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。20質量%未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは100m/g以上、特に好ましくは150m/g以上である。40m/g未満では、加硫後の耐破壊強度が低下する傾向がある。シリカのNSAは、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下である。500m/gを超えると、低燃費性、加工性が低下する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
本発明のゴム組成物は、BRを含有する。BRは、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、50〜70質量%、好ましくは55〜70質量%である。70質量%を超えると、耐破壊強度が低下するおそれがあり、50質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
なお、BRの含有量には、後述する低分子量エポキシ化ポリブタジエンは含まない。
BRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2.0×10以上、より好ましくは4.0×10以上である。2.0×10未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。BRのMwは、好ましくは2.0×10以下である。2.0×10を超えると、加工性が低下する傾向がある。
BRのミクロ構造は特に限定されないが、シス含量の多い所謂ハイシスBRであることが耐摩耗性向上の観点より好ましい。BRのシス含量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上である。シス含量が向上するに従って、耐摩耗性を向上することができる。
ハイシスBRはNRとの親和性が低いため、ハイシスBR及びNRをブレンドすると、通常、相(I)と相(II)との界面強度が低下し、結果的にゴム組成物の耐摩耗性や耐破壊強度が低下する傾向がある。これに対し、本発明のゴム組成物は、シリカの分配度合が式1及び式2を満たすことにより、モルホロジーをコントロールして相(I)と相(II)との界面強度の低下を抑制することができるため、耐摩耗性や耐破壊強度に優れたゴム組成物を提供できる。
本発明のゴム組成物は、NRを含有する。NRは、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
NRは、変性されていることが低燃費性の観点より好ましい。変性NRとしては特に限定されず、エポキシ化NR(ENR)、グラフト変性NR、カップリングNRなどが挙げられるが、ENRが好ましい。本発明のゴム組成物がENRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のENRの含有量は、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは3〜10質量%である。また、ENRのエポキシ化率は、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
ゴム成分100質量%中、NRの含有量は、30〜50質量%、好ましくは30〜45質量%である。50質量%を超えると、耐破壊強度が低下するおそれがあり、30質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
なお、NRの含有量は、通常のNRと、ENRなどの変性NRとを合計した量である。
NRを含む相(II)は、BRを含む連続相である相(I)に周囲を覆われているため、通常は本来のNRよりも硬度が上昇し、ゴム組成物全体の物性が低下する傾向があるが、本発明のゴム組成物は、相(I)と相(II)とに適度にシリカが分配されることにより、相(II)の過剰な硬度上昇を抑制し、良好な物性を有するゴム組成物を提供できる。前述したように、NRを含む相(II)が連続相で、ゴム組成物全体として共連続相であれば、耐摩耗性、耐破壊強度の観点より更に好ましい。
相(I)、相(II)に含まれるシリカの量は、電子顕微鏡及び/又は走査型プローブ顕微鏡を用いて定量化されたものであることが好ましい。各相に含まれるシリカの量(シリカの分配度合)は、上記方法以外にも、バウンドラバー量、加硫前後のゴム組成物のTgの変化などによっても定量化することができるが、電子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡により定量化することで、実際のタイヤ物性を正確に反映した値が得られることが判明した。
一般に、ゴム成分とシリカのような極性充填剤との相互作用は、静電相互作用などによる弱い相互作用と化学結合形成に基づく強い相互作用との両方が合わさったものであり、これらの合計によってシリカ偏在率が決定されると考えられる。バウンドラバー量による定量化においては、強い相互作用の部分のみが計測され、また、計測される値は、ポリマーの分子量、ポリマー同士の相互作用にも影響される。Tgは、ポリマーの混練・加硫による分子鎖切断やポリマー同士の凝集によっても変化するため、シリカ偏在率を正確に反映するものではない。従って、上記のように電子顕微鏡及び/又は走査型プローブ顕微鏡を用いて定量化することにより、はじめて実際のタイヤ物性を正確に反映した値が得られたと考えられる。
更に、各相へのシリカの分配度合の測定は、ゴム組成物の加硫後、モルホロジー、シリカ分散状態が安定するまで静置した後、測定することが好ましい。シリカマスターバッチを用いてシリカの分配度合をコントロールすることも可能であるが、この場合、加硫後においてもモルホロジーやシリカ分配がより安定な状態に変化することが起こり得る。そのため、安定な状態でのモルホロジー、シリカ偏在率を測定するために、加硫後、2週間以上静置した後測定することが好ましく、1ヶ月以上静置した後測定することがより好ましい。このように安定化した後に測定することにより、本来のゴム組成物のモルホロジー、シリカ偏在率を把握することが可能となる。
本発明のゴム成分は、BR及びNR以外に他のゴム成分を含んでも良い。他のゴム成分としては特に制限は無いが、好ましい例としては、ジエン系ゴムが挙げられ、ジエン系ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。また、その主鎖及び末端が変性剤により変性されていてもかまわず、また一部が多官能型、例えば四塩化スズ、四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
本発明のゴム組成物は、重量平均分子量(Mw)が1.0×10〜2.0×10のエポキシ化ジエン系ポリマー(以下、低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーともいう)を含有することが好ましい。これにより、相(I)と相(II)との相分離構造を保ちながら、シリカとの親和性が低いBRを含む相(I)にシリカを適度に分配することができる。
低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、シリカの分配度合を充分にコントロールできない可能性がある。低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーの含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。30質量部を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。
低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーのMwは、1.0×10〜2.0×10であり、好ましくは2.0×10〜1.0×10、より好ましくは3.0×10〜5.0×10である。1.0×10未満であると耐摩耗性が劣る可能性があり、2.0×10を超えると加工性が劣る可能性がある。
低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーのエポキシ化率は特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。50質量%を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーのエポキシ化率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。0.1質量%未満であると、シリカの分配度合を充分にコントロールできない可能性がある。
低分子量エポキシ化ジエン系ポリマーとしては特に限定されないが、BRとの親和性の観点よりブタジエンユニットを有するポリマーであることが好ましく、エポキシ化ポリブタジエン(以下、低分子量エポキシ化ポリブタジエン(L−EBR)ともいう)であることがより好ましい。
L−EBRのシス量、トランス量、ビニル量などのミクロ構造は特に制限されないが、良好なゴム物性を発現するという観点から、ビニル量が1〜90質量%であることが好ましく、2〜80質量%であることがより好ましく、2〜50質量%であることが更に好ましい。1質量%未満であると、耐破壊強度が劣るおそれがあり、90質量%を超えると、耐摩耗性が劣るおそれがある。L−EBRのビニル量を上記の範囲に調整することで、BRを含む相(I)に適度なシリカを分配し、良好なゴム物性を実現できる。
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。0.5質量部未満であると、シリカを良好に分散させることが難しくなるおそれがある。シランカップリング剤の量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えるシランカップリング剤を配合しても、シリカの分散を向上させる効果が得られず、コストが不必要に増大する傾向がある。また、スコーチタイムが短くなり、混練りや押し出しでの加工性が低下する傾向がある。
シランカップリング剤としては、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。商品名としてはSi69、Si75、Si363(Degussa社製)やNXT、NXT−LV、NXT−ULV、NXT−Z(モメンティブ社製)などがある。これらのカップリング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。
本発明のゴム組成物は、補強剤として、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができるとともに、耐候性や、必要に応じて導電性を改善することもできる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは35m/g以上、更に好ましくは70m/g以上である。20m/g未満であると、充分な補強性や導電性を得ることが難しくなる傾向がある。カーボンブラックのNSAは、好ましくは1400m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは100m/g以下である。1400m/gを超えると、カーボンブラックを良好に分散させることが難しくなる傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、耐候性、耐摩耗性、補強性等を充分に改善できない傾向がある。カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。100質量部を超えると、分散性や加工性が悪化したり、硬度が上昇し過ぎたりする傾向がある。
本発明におけるゴム組成物は、上記成分の他に、タイヤ工業において一般的に使用されているオイル、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などの添加剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、トレッド、サイドウォールなどのタイヤ部材に使用することができ、特にスタッドレスタイヤのトレッド(キャップトレッド)に好適に使用することができる。
本発明のスタッドレスタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより本発明のスタッドレスタイヤが得られる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
まず、下記製造例1及び2に従って、重合体を合成した。重合体の物性は、以下に示す方法によって測定した。
<重合体中のミクロ構造(スチレン量、ブタジエンユニットのシス含量、トランス含量、ビニル含量)>
BRUKER社製AV400のNMR装置、データ解析ソフトTOP SPIN2.1を用いて測定した。
<重量平均分子量(Mw)>
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)を求めた。
(1)装置:東ソー社製HLC−8220
(2)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
<エポキシ化率の測定>
得られたエポキシ化ジエン系ゴムを重水素化クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴(NMR(BRUKER社製AV400のNMR装置、データ解析ソフトTOP SPIN2.1))分光分析により、エポキシ化されていないジエンユニット数とエポキシ化されたジエンユニット数の比を求め、以下の算出式を用いてエポキシ化率を算出した。
(エポキシ化率)=(ゴムの主鎖に含まれるエポキシの質量)/(ゴムの主鎖に含まれるジエンユニットの質量(エポキシ化されたユニットも含む))×100
以下に、製造例1〜2で用いた各種薬品について説明する。
シクロヘキサン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
n−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
イソプロパノール:関東化学(株)製
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール:住友化学(株)製
過酸化水素水:関東化学(株)製の30%過酸化水素水
氷酢酸:関東化学(株)製の99.7%酢酸
界面活性剤:花王(株)製のエマルゲン120
<過酢酸溶液の作成>
300ml三角フラスコに氷酢酸57gと過酸化水素水107gを加え、攪拌後、恒温槽で40℃に保ったまま24時間静置し、過酢酸溶液を得た。
製造例1:低分子量エポキシ化BR1(L−EBR1)の合成
内容積2リットルの攪拌装置付きステンレス製重合反応器を洗浄、乾燥後、乾燥窒素で置換した。ここに、シクロへキサン300g、1,3−ブタジエン50gを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)5.2mmolを含むn−ブチルリチウムヘキサン溶液を加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。その後、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させた。反応溶液に界面活性剤5gを含む水溶液100mlを加え、上記過酢酸溶液100mlを添加し、激しく攪拌下超音波を照射することにより、乳化条件下で0.5時間エポキシ化反応を行った。有機層を分離し、溶媒除去、減圧乾燥を行うことにより、L−EBR1を得た。L−EBR1を分析した結果、Mwは1.0×10、エポキシ化率は5質量%、ビニル量は26質量%、トランス量は42質量%、シス量は32質量%であった。
製造例2:低分子量エポキシ化BR2(L−EBR2)の合成
エポキシ化反応を1時間行った他は、製造例1と同様の手法により、L−EBR2を得た。L−EBR2を分析した結果、Mwは1.0×10、エポキシ化率は10質量%、ビニル量は26質量%、トランス量は42質量%、シス量は32質量%であった。
以下に実施例及び比較例で用いた各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS♯3
ENR:GUTHRIE POLYMER SDN BHD社製のENR25(エポキシ化率:25質量%、ML1+4(100℃):75)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(シス含量:97質量%、ML1+4(100℃):40、Mw:4.4×10、Mw/Mn:3.3)
L−EBR1、2:上記製造例1、2で合成
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(HAF、NSA:75m/g)
シリカ:Degussa社製のUltrasil VN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:Degussa社製のSi69
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
オイル:出光興産(株)製のミネラルオイルPW−380
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルファンアミド)
<実施例及び比較例>
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用スタッドレスタイヤについて、室温暗所で三ヶ月保管した後、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
<粘弾性試験:転がり抵抗>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃でtanδを測定し、下記計算式により、各配合のtanδを指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が低く、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
<耐摩耗性>
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、付加荷重3.0kg、落砂量15g/分でスリップ率20%にて加硫ゴム組成物の摩耗量を測定し、下記計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
<氷雪上性能>
試験用スタッドレスタイヤを用いて、下記の条件で氷雪上での実車性能を評価した。試験場所は、住友ゴム工業(株)の北海道名寄テストコースで行い、氷上気温は−2〜−6℃、雪上気温は−3〜−10℃であった。試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した氷上の停止距離を測定し、下記計算式により各配合の測定値(停止距離)を指数表示した。指数が大きいほど、氷雪上性能に優れることを示す。
(氷雪上性能指数)=(比較例1の停止距離)/(各配合の停止距離)×100
<モルホロジーの評価及びシリカ偏在の評価1>
(モルホロジーの評価)
ミクロトームを用いて加硫ゴム組成物の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。各相のモルホロジーはコントラストの比較により確認することが可能であり、シリカは粒状の形態として観察可能である。比較例2を除く配合では、BRはL−EBRと相溶して一つの相を形成し、NRとENRは相溶して一つの相を形成し、これら2相は互いに非相溶であることが確認された。比較例2では、相分離が生じておらず、単一相であることが確認された。
(シリカ偏在の評価1)
TEM観察の結果から、各相の単位面積あたりのシリカ面積を1サンプルについて十箇所測定し、これらの平均値を算出した。その値より、各相に含まれるシリカの量(式1のC、式2のF)を求め、各ゴム成分の含有量と、シリカの含有量とを用いて、式1の係数α、式2の係数βの値を求めた。
<シリカ偏在の評価2>
走査型プローブ顕微鏡(SPM)の位相モード測定により、各相の単位面積あたりのシリカ面積を1サンプルについて十箇所測定し、これらの平均値を算出した。その値より、各相に含まれるシリカの量(式1のC、式2のF)を求め、各ゴム成分の含有量と、シリカの含有量とを用いて、式1の係数α、式2の係数βの値を求めた。
<シリカ偏在係数α、βの決定>
シリカ偏在の評価1で求めたα、βの値とシリカ偏在の評価2で求めたα、βの値との差が10%以内であることを確認した後、これらの平均値を求め、表1に記載した。
Figure 2014145063
実施例は、比較例1と比較して、低燃費性、耐摩耗性及び氷雪上性能が同時に改善し、これらの性能が高次元でバランス良く得られた。

Claims (9)

  1. ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量が50〜70質量%、天然ゴムの含有量が30〜50質量%であり、
    前記ブタジエンゴムを含む相(I)が前記天然ゴムを含む相(II)と独立して連続相を形成しており、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記相(I)に含まれる前記シリカの量が下記式1を満たし、前記ゴム成分100質量部に対する前記相(II)に含まれる前記シリカの量が下記式2を満たすタイヤ用ゴム組成物。
    (式1)
    α×(A×B)/100=C
    A:ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量(質量%)
    B:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
    C:ゴム成分100質量部に対する相(I)に含まれるシリカの量(質量部)
    α:0.2≦α≦1.0を満たす任意の数
    (式2)
    β×(D×E)/100=F
    D:ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量(質量%)
    E:ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)
    F:ゴム成分100質量部に対する相(II)に含まれるシリカの量(質量部)
    β:1.0≦β≦2.2を満たす任意の数
  2. 前記相(II)が前記相(I)と独立して連続相を形成している請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ブタジエンゴムのシス含量が80質量%以上である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記式1のC及び前記式2のFが電子顕微鏡及び/又は走査型プローブ顕微鏡を用いて定量化されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 重量平均分子量が1.0×10〜2.0×10のエポキシ化ジエン系ポリマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記エポキシ化ジエン系ポリマーがエポキシ化ポリブタジエンである請求項5記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記エポキシ化ジエン系ポリマーのエポキシ化率が20質量%以下である請求項5又は6記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. ゴム成分100質量部に対してシリカを5〜150質量部含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、ブタジエンゴムの含有量が50〜70質量%、天然ゴムの含有量が30〜50質量%であり、
    前記ブタジエンゴムを含む相(I)と前記天然ゴムを含む相(II)とがそれぞれ独立して連続相を形成しているタイヤ用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤ。
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