JP2016094558A - 加硫ゴム組成物の製造方法、加硫ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ - Google Patents

加硫ゴム組成物の製造方法、加硫ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤ Download PDF

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【課題】氷上性能および耐摩耗性能をバランス良く改善できる加硫ゴム組成物の製造方法、氷上性能および耐摩耗性能に優れた加硫ゴム組成物ならびにこれをトレッドの構成に用いたスタッドレスタイヤを提供すること。【解決手段】(a)ブタジエンゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、(b)改質天然ゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、(c)(a)で得られたマスターバッチと(b)で得られたマスターバッチとを混練りする工程、および(d)(c)で得られた混練物を加硫する工程を含み、得られる加硫ゴム組成物が、互いに非相溶のBR相および改質NR相を有し、BR相中のシリカの存在率αが0.3≦α≦0.7(式1)を満たし、ブタジエンゴムの割合βが0.45≦β≦0.8(式2)を満たす加硫ゴム組成物の製造方法、所定の加硫ゴム組成物ならびにそれにより構成されたトレッドを有するスタッドレスタイヤ。【選択図】図1

Description

本発明は、加硫ゴム組成物の製造方法、加硫ゴム組成物およびそれを用いたスタッドレスタイヤに関する。
従来、氷雪路面走行用として、スパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着がなされてきたが、これによる粉塵問題等の環境問題への対応として、スタッドレスタイヤが開発されている。スタッドレスタイヤには、低温特性を向上させるべく、材料面および設計面での工夫がなされており、例えば低温特性に優れたジエン系ゴムに多量のミネラルオイルを配合したゴム組成物などが使用されているが、一般にミネラルオイルを増量すると、耐摩耗性が低下する。
氷雪路面では、一般路面に比べてタイヤの摩擦係数が著しく低下し、滑りやすくなるため、スタッドレスタイヤには、低温特性のみならず、氷雪上性能(氷雪上グリップ性能)と耐摩耗性能とをバランス良く備えることが求められる。しかしながら、氷雪上性能は耐摩耗性能と背反することが多く、両性能を同時に改善することは一般的に困難である。
氷雪上性能と耐摩耗性能とをバランスよく改善するために、シリカおよび軟化剤を多量に配合する技術が見出されている(特許文献1)が、バランスよく改善するという点については、いまだ改善の余地がある。
その他、低温性能、氷雪上性能、耐摩耗性能など様々なタイヤ性能をバランスよく向上させる方法として、複数のポリマー(ゴム)成分を配合する方法(ポリマーブレンド)が古くから行われてきた。具体的には、タイヤにおけるゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)に代表されるいくつかのポリマー成分をブレンドすることが主流になってきている。これは、各ポリマー成分の特徴を活かして、単一のポリマー成分ではできないゴム組成物の物性を引き出す手段である。
このポリマーブレンドにおいては、加硫された後の各ゴム成分の相構造(モルホロジー)および各ゴム相への充填剤の分配具合(偏在)が、物性を決定する重要な因子となる。モルホロジーや充填剤偏在のコントロールを決定する要素は非常に複雑で、これまでタイヤ物性をバランス良く発現するための検討が多くなされてきたが、いずれも改良の余地がある。
例えば、特許文献2には、スチレンブタジエンゴムを含むタイヤトレッド用ゴム組成物の海島マトリクスの島相粒径とシリカ分配を規定した技術が開示されている。しかしながら、そのモルホロジーを実現できる具体的な方法については、シリカマスターバッチを用いて混練時間やローターの回転トルクにより調整したと記載されているのみであり、このような方法では、混練、加硫条件に大きくモルホロジーが左右され、安定したモルホロジーコントロールは困難であった。また、実施例において開示されているゴム成分も比較的極性の近いスチレンブタジエンゴム同士のものであり、ブタジエンゴムと天然ゴムとのように極性、即ちシリカとの親和性が大きく異なるゴム成分同士のブレンドにおいては適用できない技術であることは明らかである。
特に、シリカマスターバッチを用いて、シリカ分散の相間分散コントロールを行った場合、一時的に所望のモルホロジーやシリカ分散が達成されたとしても、時間と共に変化する場合が多く、数カ月以上にわたる経時的に安定なモルホロジー形成は困難であった。
特許文献3には、天然ゴムおよびブタジエンゴムを含む配合系のモルホロジーとシリカ偏在をコントロールする技術が開示されているが、シリカ偏在が不利なブタジエンゴムが連続相になる場合に関するブタジエンゴム側へのシリカ偏在コントロールに対しては記載がない。
天然ゴムは機械的強度に優れるなどの、タイヤ、特にサイドウォール用ゴム組成物においては重要なゴム成分であるが、ブタジエンゴムと配合した場合、シリカの偏在を招きやすく、シリカ分配状況をコントロールして配合を組み立てる必要があるが、従来は十分なモルホロジー、シリカ分配状況の確認が行われておらず、物性発現が十分でない配合となっている場合があった。
さらに、近年は、低燃費性向上を狙って、天然ゴムにシリカと親和性を高めるような変性を行う傾向もあり、天然ゴムへのシリカ偏在の可能性がますます顕著になっている。
また、近年、耐摩耗性や低温グリップ特性に優れたシス含有量の高いハイシスブタジエンゴムを配合することが多くなってきたが、ジエン系ゴムの中でも、ハイシスブタジエンゴムは、特にシリカとの親和性が低く、天然ゴムとの配合系では、ハイシスブタジエンゴム相にはほとんどシリカが取り込まれない傾向にある。したがって、従来のハイシスブタジエンゴム配合系では、モルホロジーやシリカ分配の状況が確認されないまま、十分な物性が発現しないような配合となっている場合があった。
特に、サイドウォール用ゴム組成物においては、耐屈曲亀裂成長性のようなサイドウォールに求められる性能を有するブタジエンゴムを連続相としてゴム組成物を構成することが重要であり、耐摩耗性能への寄与の大きい連続相ゴム成分にシリカ偏在コントロールを行う技術が必須である。
さらに、天然ゴムはブタジエンゴムと比較すると連続相を形成しにくい傾向があり、さらに天然ゴムがゴム成分100部に対して50部以下の配合系であるとその傾向はさらに顕著となり、いわゆる島相を形成するようになる。一般に島相に存在するゴム成分は、周囲を連続相のゴム成分に固められているため、硬度が上昇してゴム弾性が低下する傾向にあり、充填剤が偏在するとさらにその傾向は強くなり、結果として連続相ゴム成分との硬度差が大きくなることにより、ゴム強度や耐摩耗性の低下を起こしやすくなる。天然ゴムは単独でもブタジエンゴムよりも硬度が大きい傾向にあり、シリカ偏在によってさらに硬度差ができることは、本来望ましくない。したがって、天然ゴム側にシリカを偏在させすぎない技術の開発は重要である。
タイヤ用ゴム組成物における複数のポリマー成分におけるモルホロジー形成については、相溶系(単相)であるか、非相溶の場合は連続相(海相)の中に粒子状の他成分の相(島相)が存在する海島相構造のものしか検討されていなかった。
このため、タイヤ物性発現に有用であるが、極性が異なるブタジエンゴムと天然ゴムとのブレンドを用いた系で、良好なゴム物性を発現するためのモルホロジーコントロール、シリカ分配の技術の開発が必要とされている。
特開2011−038057号公報 特開2006−089636号公報 特開2006−348222号公報
本発明は、氷上性能および耐摩耗性能をバランス良く改善できる加硫ゴム組成物の製造方法、氷上性能および耐摩耗性能に優れた加硫ゴム組成物ならびにこれをトレッドの構成に用いたスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、
[1](a)ブタジエンゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、
(b)改質天然ゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、
(c)(a)で得られたマスターバッチと(b)で得られたマスターバッチとを混練りする工程、および
(d)(c)で得られた混練物を加硫する工程
を含む加硫ゴム組成物の製造方法であって、
該改質天然ゴムが、天然ゴムの非ゴム成分を除去したのち、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜6に調整されたものであり、
該加硫ゴム組成物が、
ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、改質天然ゴムおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有し、
BR相と改質NR相とは互いに非相溶であり、
加硫工程の完了から100時間〜500時間後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、
ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす、加硫ゴム組成物の製造方法
0.3≦α≦0.7 (好ましくは0.5≦α≦0.6) (式1)
0.45≦β≦0.8 (好ましくは0.5≦β≦0.7) (式2)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)である。)、
[2]上記ブタジエンゴムおよびシリカを含むマスターバッチが、ブタジエンゴム100質量部に対して、シリカを40質量部以上、好ましくは50質量部以上、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下含有する上記[1]記載の製造方法、
[3]上記改質天然ゴムおよびシリカを含むマスターバッチが、改質天然ゴム100質量部に対して、シリカを15質量部以上、好ましくは30質量部以上、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下含有する上記[1]または[2]記載の製造方法、
[4]上記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上、好ましくは95%以上のブタジエンゴムである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、
[5]上記加硫ゴム組成物が、改質天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを25〜120質量部、好ましくは30〜70質量部、軟化剤を15〜80質量部、好ましくは20〜70質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上のシリカを含有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法、
[6]上記改質天然ゴムのゴム中のリン含有量が200ppm以下、好ましくは150ppm以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、
[7]上記改質天然ゴムのゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法、
[8]上記改質天然ゴムのpHが、上記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法、
[9]上記改質天然ゴムの80℃、18時間熱処理後の耐熱老化性指数(式3)が、75〜120%、好ましくは40〜75%、より好ましくは50〜70%、さらに好ましくは55〜65%である上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法、
耐熱老化性指数=熱処理後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100 (式3)
[10]ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、改質天然ゴムおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有する加硫ゴム組成物であって、
該改質天然ゴムが、天然ゴムの非ゴム成分を除去したのち、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜6に調整されたものであり、
BR相と改質NR相とは互いに非相溶であり、
加硫工程の完了から100時間〜500時間後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、
ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす、加硫ゴム組成物
0.3≦α≦0.7 (好ましくは0.5≦α≦0.6) (式1)
0.45≦β≦0.8 (好ましくは0.5≦β≦0.7) (式2)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)である。)、
[11]上記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上、好ましくは95%以上のブタジエンゴムである上記[10]記載の加硫ゴム組成物、
[12]改質天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを25〜120質量部、好ましくは30〜70質量部、軟化剤を15〜80質量部、好ましくは20〜70質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上のシリカを含有する上記[10]または[11]記載の加硫ゴム組成物、
[13]上記改質天然ゴムのゴム中のリン含有量が200ppm以下、好ましくは150ppm以下である上記[10]〜[12]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
[14]上記改質天然ゴムのゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である上記[10]〜[13]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
[15]上記改質天然ゴムのpHが、上記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である上記[10]〜[14]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
[16]上記改質天然ゴムの80℃、18時間熱処理後の耐熱老化性指数(式3)が、75〜120%、好ましくは40〜75%、より好ましくは50〜70%、さらに好ましくは55〜65%である上記[10]〜[15]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物、
耐熱老化性指数=熱処理後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100 (式3)
および
[17]上記[10]〜[16]のいずれかに記載の加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するスタッドレスタイヤ
に関する。
本発明によれば、改質天然ゴムおよびブタジエンゴムをそれぞれシリカを含むマスターバッチ化してから混練りすることにより、得られる加硫ゴム組成物の氷上性能および耐摩耗性能をバランス良く改善することができる。また、この加硫ゴム組成物をトレッドなどのタイヤ部材に使用することにより、これらの性能に優れたスタッドレスタイヤを提供することができる。
シリカの分散が良好な加硫ゴム組成物(a)およびシリカが偏在している加硫ゴム組成物(b)の断面のSEM写真を示す図である。
本発明では、ゴム中の非ゴム成分などを除去して高純度化するとともに、pHを2〜7に調整した改質天然ゴムを用いることにより、従来の天然ゴムに比べて、スタッドレスタイヤ物性発現に有用であるBRとのブレンドを用いた系で、良好なゴム物性を発現するためのモルホロジーコントロールおよびシリカ分配の技術が向上し、結果として氷上性能、耐摩耗性能のバランスを著しく改善できるゴム組成物が得られることを見出した。
本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物の製造方法は、(a)ブタジエンゴム(BR)およびシリカを含むマスターバッチ(BRマスターバッチ)を作製する工程、(b)所定の改質天然ゴム(改質NR)およびシリカを含むマスターバッチ(改質NRマスターバッチ)を作製する工程、(c)(a)で得られたBRマスターバッチと(b)で得られた改質NRマスターバッチとを混練りする工程、および(d)(c)で得られた混練物を加硫する工程を含み、得られる加硫ゴム組成物が、所定の性質を有するものである。このように改質NRを用い、各ゴム成分とシリカとを別々に混練りしたマスターバッチを用意して混練りすることにより、天然ゴムに偏在しやすいシリカを、ブタジエンゴムにも偏在させることができ、BR相中のシリカの存在率α、およびブタジエンゴムの割合βを所定の範囲内とする加硫ゴム組成物を容易に作製することができる。これにより、改質NRの優れた耐摩耗性能を損なうことなく、シリカによる氷上性能の改善を行うことができ、これらの性能がバランス良く得られる。
加硫ゴム組成物におけるゴム成分中のシリカの分散状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。例えば、シリカの分散が良好な例では、図1の(a)にみられるように、ブタジエンゴムを含む相(BR相)1が海相を形成し、イソプレン系ゴム(天然ゴム)を含む相(IR相)2が島相を形成しており、シリカ3はBR相1およびIR相2の両方に分散している。一方、シリカが片方の相に偏在している例では、図1の(b)にみられるように、図1の(a)と同様、BR相1が海相を形成し、IR相2が島相を形成しているが、シリカ3はIR相2に偏在しており、両相に分散していない。
(a)BRマスターバッチを作製する工程(X1練り工程)
BRマスターバッチの作製方法は、特に限定されるものではないが、BRおよびシリカを混練りすることにより作製することができる。混練方法としては、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。また、例えば、BRラテックスとシリカ水分散体を混合して得るウェットマスターバッチとして作製することもできる。
X1練り工程における混練温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、140℃以上がさらに好ましい。混練温度を80℃以上にすることで、シランカップリング剤とシリカの反応を十分に進ませ、シリカを良好に分散させることができ、雪氷上性能と耐摩耗性能をバランス良く改善させやすくなる。また、X1練り工程における混練温度は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。混練温度を200℃以下にすることで、ムーニー粘度の上昇を抑え、加工性を良好にすることができる傾向がある。また、排出温度は、130〜160℃を採用することができる。
X1練り工程の混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、シス1,4結合含有率が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)などを使用できる。なかでも、ハイシスBR、ローシスBRおよびローシス変性BRからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ハイシスBRを用いることがより好ましい。
ハイシスBRとしては、例えば、JSR(株)製のBR730、BR51、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR710などが挙げられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4−結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性を向上させることができる。ローシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1250などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
X1練り工程におけるシリカの配合量は、BR100質量部に対して、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましい。シリカの配合量を40質量部以上とすることで、シリカを分散した効果を十分に得られる傾向がある。また、X1練り工程におけるシリカの配合量は、BR100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。シリカの配合量を100質量部以下とすることで、シリカの分散が容易になり、加工性を良好にすることができる。
シリカは、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)や、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、70m2/g以上が好ましく、140m2/g以上がより好ましい。シリカのN2SAを70m2/g以上とすることにより、十分な補強性が得られ、破壊強度、耐摩耗性能を良好なものとすることができる。また、シリカのN2SAは、220m2/g以下が好ましく、200m2/g以下がより好ましい。シリカのN2SAを220m2/g以下とすることにより、シリカの分散が容易になり、加工性を良好にすることができる。ここで、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
X1練り工程には、シリカとともにシランカップリング剤を混練りすることが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を併用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シリカとの反応性が良好であるという点から、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが特に好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を3質量部以上とすることにより、破壊強度を良好なものとすることができる。また、シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を12質量部以下とすることにより、コストの増加に見合った効果を得ることができる。
(b)改質NRマスターバッチを作製する工程(X2練り工程)
改質NRマスターバッチは、改質NRおよびシリカを混練りすることにより作製することができる。混練方法や混練の条件は、上記X1練り工程と同様である。また、X1練り工程と同様、改質NRラテックスとシリカ水分散体を混合して得るウェットマスターバッチとして作製することもできる。
本発明において使用する改質NRは、天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、かつpHが2〜7に調整されたものである。天然ゴム中のタンパク質リン脂質などの非ゴム成分を除去して高純度化するとともに、ゴムのpHを適切な値にコントロールした改質天然ゴムであるため、低燃費性や、加工性が改善される一方、シリカとの親和性が低下する。したがって、改質NR側へのシリカなどの充填剤の偏在が改善され、ブタジエンゴム側へのシリカなどの充填剤の分配性が向上する。その結果、シリカなどの充填剤の分散性向上が実現し、耐摩耗性と、スタッドレスタイヤに求められる氷上性能とのバランスが向上する。また、改質NRは、高純度化の過程における非ゴム成分の除去やゴムが塩基性または強酸性となることで、ゴムの劣化が進行しやすくなるが、ゴムのpHを所定範囲に調整することで、保存中の分子量の低下が抑制されるため、良好な耐熱老化性が得られる。その結果、混練工程でのゴム物性の低下防止、シリカなどの充填剤のゴム成分全体への分散向上が実現し、低燃費性と、スタッドレスタイヤに求められる氷上性能とのバランスも向上する。
改質NRとしては、天然ゴムの非ゴム成分を除去した後、酸性化合物で処理して得られ、かつpHが2〜7に調整されたものであれば、特に限定されず、具体的には(1)ケン化天然ゴムラテックスを洗浄し、さらに酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴム、(2)脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄し、さらに酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7である改質天然ゴムなどが挙げられる。
このように、改質天然ゴムは、ケン化天然ゴムラテックスや脱蛋白天然ゴムラテックスを、蒸留水などで水洗し、さらに酸性化合物で処理する製法などにより調製することができるが、水洗に用いた蒸留水のpHに比べて、酸性化合物の処理により酸性側にシフトさせ、pHの値を下げることが重要である。通常、蒸留水のpHが7.00ということはなく、5〜6程度であるが、この場合は、酸性化合物の処理により、pHの値を5〜6よりも酸性側に低下させることが重要となる。具体的には、水洗に用いる水のpH値より、酸性化合物の処理でpHを0.2〜2程度低下させることが好ましい。
改質天然ゴムのpHは2以上であり、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。また、改質天然ゴムのpHは、7以下であり、6以下がより好ましい。改質天然ゴムのpHを2〜7に調整することより、耐熱老化性の低下が防止され、低燃費性、耐熱老化性および加工性の性能バランスを顕著に改善できる。なお、改質天然ゴムのpHは、ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定された値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。ここで、抽出については、超音波洗浄器などで1時間抽出してもゴム内部から完全に水溶性成分を抽出することはできないため、正確に内部のpHを知ることはできないが、本手法で抽出することにより、ゴムの実体を知ることが可能となる。
改質天然ゴムは、前記(1)または(2)など、各種方法により高純度化したものであり、例えば、改質天然ゴム中のリン含有量は、200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましい。改質天然ゴム中のリン含有量が200ppm以下であれば、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなるおそれがなく、tanδの上昇を抑え、低燃費性を改善できる傾向がある。なお、リン含有量は、ICP発光分析など、従来の方法で測定できる。リンは、天然ゴムに含まれるリン脂質に由来するものと考えられる。
改質天然ゴムは、人工の老化防止剤を含んでいる場合、アセトン中に室温(25℃)下で48時間浸漬した後の窒素含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。窒素含有量が0.15質量%以下であれば、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪くなるおそれがなく、低燃費性の改善効果が十分に得られる傾向がある。高純度化した天然ゴムは、天然ゴムが元々有しているといわれる天然の老化防止剤成分が除去されているため、長期の保存で劣化するおそれがある。そのため、人工の老化防止剤が添加されることがある。このため、その場合の窒素含有量は、上述の通りアセトン抽出によりゴム中の人工の老化防止剤を除去した後の測定値である。窒素含有量は、ケルダール法、微量窒素量計など、従来の方法で測定できる。窒素は、タンパク質やアミノ酸に由来するものである。
改質天然ゴムは、JIS K 6300:2001−1に準拠して測定したムーニー粘度ML1+4(130℃)が75以下であることが好ましく、40〜75がより好ましく、50〜70がさらに好ましく、55〜65が最も好ましい。ムーニー粘度が75以下であることにより、ゴム混練前に通常必要な素練りが不要となる。したがって、素練りする工程を経ずに作製された改質天然ゴムをゴム組成物の配合材料として好適に使用することができる。一方、ムーニー粘度が75を超えると、使用前に素練りが必要となり、設備の専有、電機や熱エネルギーロスなどが発生する傾向がある。
改質天然ゴムは、上記ムーニー粘度ML1+4(130℃)について、下記式で表される耐熱老化性指数が75〜120%のゴムであることが好ましい。
耐熱老化性指数(%)=80℃で18時間熱処理した後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100 (式3)
上記式3で示される耐熱老化性指数は、80〜115%がより好ましく、85〜110%がさらに好ましい。ゴムの耐熱老化性の評価として種々の方法が報告されているが、このムーニー粘度ML1+4(130℃)の80℃で18時間熱処理した前後の変化率で評価する方法を用いることで、タイヤ製造時やタイヤ使用時などの耐熱老化性を正確に評価できる。ここで、耐熱老化性指数が75〜120%の範囲内であれば、優れた耐熱老化性が得られ、また低燃費性、耐熱老化性の性能バランスを顕著に改善することができる。
上記(1)または(2)などの高純度化され、かつpHが2〜7に調整された改質天然ゴムは、(製法1)天然ゴムラテックスをケン化処理する工程1−1と、ケン化天然ゴムラテックスを洗浄する工程1−2と、酸性化合物で処理する工程1−3とを含む製造方法、(製法2)天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する工程2−1と、脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する工程2−2と、酸性化合物で処理する工程2−3とを含む製造方法などにより調製することができる。
[製法1]
(工程1−1)
工程1−1では、天然ゴムラテックスをケン化処理する。これにより、ゴム中のリン脂質やタンパク質が分解され、非ゴム成分が低減されたケン化天然ゴムラテックスが調製される。
天然ゴムラテックスは、へベア樹などの天然ゴムの樹木の樹液として採取され、ゴム分のほか水、タンパク質、脂質、無機塩類などを含み、ゴム中のゲル分は種々の不純物の複合的な存在に基づくものと考えられている。本発明では、天然ゴムラテックスとしてへベア樹をタッピングして出てくる生ラテックス(フィールドラテックス)、あるいは遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTDとアンモニアによって安定化させたLATZラテックスなど)を使用することができる。
ケン化処理の方法としては、例えば、特開2010−138359号公報および特開2010−17469号公報などに記載された公知の方法を好適に用いることができ、具体的にはつぎの方法などで実施することができる。
ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して、所定温度で一定時間静置することで実施でき、必要に応じて撹拌などを行ってもよい。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましいが、これらに限定されるものではない。界面活性剤としては特に限定されず、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などの公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられるが、ゴムを凝固させず良好にケン化できるという点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤が好適である。ケン化処理において、アルカリおよび界面活性剤の添加量、ケン化処理の温度および時間は、適宜設定すればよい。
(工程1−2)
工程1−2では、上述の工程1−1で得られたケン化天然ゴムラテックスを洗浄する。この洗浄により、タンパク質などの非ゴム成分を除去する。
工程1−2は、例えば、上述の工程1−1で得られたケン化天然ゴムラテックスを凝集させて凝集ゴムを作製したのち、得られた凝集ゴムを塩基性化合物で処理し、さらに洗浄することにより実施することができる。具体的には、凝集ゴムの作製後に、水で希釈して水溶性成分を水層に移して、水を除去することで非ゴム成分を除去でき、さらに凝集後に塩基性化合物で処理することで凝集時にゴム内に閉じ込められた非ゴム成分を再溶解させることができる。これにより、凝集ゴム中に強く付着したタンパク質などの非ゴム成分を除去することができる。
凝集方法としては、ギ酸、酢酸、硫酸などの酸を添加してpHを調整し、必要に応じてさらに高分子凝集剤を添加する方法などが挙げられる。これにより、大きな凝集塊ではなく、直径数mm〜1mm以下から20mm程度の粒状ゴムが形成され、塩基性化合物処理により、タンパク質などが十分に除去される。上記pHの調整は、3.0〜5.0の範囲でなされることが好ましく、3.5〜4.5の範囲でなされることがより好ましい。
高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体などのカチオン性高分子凝集剤、アクリル酸塩の重合体などのアニオン性高分子凝集剤、アクリルアミド重合体などのノニオン性高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩−アクリル酸塩の共重合体などの両性高分子凝集剤などが挙げられる。高分子凝集剤の添加量は、適宜選択することができる。
ついで、得られた凝集ゴムに対して、塩基性化合物による処理が施される。ここで、塩基性化合物としては特に限定されるものではないが、タンパク質などの除去性能の点から、塩基性無機化合物が好適である。
塩基性無機化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの金属水酸化物;アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などの金属炭酸塩;アルカリ金属炭酸水素塩などの金属炭酸水素塩;アルカリ金属リン酸塩などの金属リン酸塩;アルカリ金属酢酸塩などの金属酢酸塩;アルカリ金属水素化物などの金属水素化物;アンモニアなどが挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。アルカリ金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ金属酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。アルカリ金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが挙げられる。これらのなかでも、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、アンモニアが好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニアがより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムがさらに好ましい。これらの塩基性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
凝集ゴムを塩基性化合物で処理する方法は、凝集ゴムを塩基性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを塩基性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに塩基性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。塩基性化合物の水溶液は、各塩基性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。
上記塩基性化合物の水溶液100質量%中の塩基性化合物の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。塩基性化合物の含有量が0.1質量%以上であれば、タンパク質を十分に除去できる傾向がある。塩基性化合物の水溶液100質量%中の塩基性化合物の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。塩基性化合物の含有量が10質量%以下であれば、使用する塩基性化合物の量の増加に対するタンパク質分解量の増加が見込め、効率が良い傾向がある。この塩基性化合物の水溶液のpHは、9〜13が好ましく、処理効率の点から10〜12がより好ましい。
凝集ゴムを塩基性化合物で処理する際の処理温度は適宜選択すればよいが、10〜50℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。また、処理時間は、通常、1分以上であり、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。1分以上であれば、本発明の効果が良好に得られる傾向がある。処理時間の上限に制限はないが、生産性の点から、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、16時間以下がさらに好ましい。
塩基性化合物による処理後、洗浄処理が行われる。この洗浄処理により、タンパク質などの非ゴム成分を除去することができる。洗浄方法としては、例えば、ゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離する方法、静置してゴムを浮かせ、水相のみを排出してゴム分を取り出す方法が挙げられる。洗浄回数は、タンパク質などの非ゴム成分を所望量に低減することが可能な任意の回数を採用することができるが、乾燥ゴム300gに対して水1000mLを加えて撹拌した後に脱水するという洗浄サイクルを繰り返す手法の場合、3回(3サイクル)以上が好ましく、5回(5サイクル)以上がより好ましく、7回(7サイクル)以上がさらに好ましい。
洗浄処理は、ゴム中のリン含有量が200ppm以下および/または窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。洗浄処理でリン脂質やタンパク質が十分に除去されることで、低燃費性や加工性が改善され、シリカなどの充填剤との親和性が低下する。
(工程1−3)
工程1−3では、工程1−2で得られた洗浄後のゴムに酸性化合物による処理が施される。塩基性化合物の処理などに起因して耐熱老化性が低下する傾向があるが、更に酸性化合物で処理することで、そのような問題を防止し、良好な耐熱老化性を得ることができる。
酸性化合物としては特に限定されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸などの有機酸などが挙げられる。なかでも、酢酸、硫酸、ギ酸などが好ましい。これらの酸性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
凝集ゴムを酸性化合物で処理する方法は、凝集ゴムを酸性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを酸性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに酸性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。酸性化合物の水溶液は、各酸性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。
上記酸性化合物の水溶液100質量%中の酸性化合物の含有量は特に限定されるものではないが、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。酸性化合物の含有量が0.1〜15質量%の範囲内であると、良好な耐熱老化性が得られる傾向がある。
凝集ゴムを酸性化合物で処理する際の処理温度は適宜選択すればよいが、10〜50℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。また、処理時間は、通常、3秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、30秒以上がさらに好ましい。処理時間が3秒以上であれば十分に中和することができ、本発明の効果が良好に得られる傾向がある。上限に制限はないが、生産性の点から、24時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましく、5時間以下がさらに好ましい。
酸性化合物の水溶液への浸漬などの処理では、pHを6以下に調整することが好ましい。このような中和により、優れた耐熱老化性を得ることができる。このpHの上限は、5以下がより好ましく、4.5以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず、浸漬時間にもよるが、酸が強すぎるとゴムが劣化したり、廃水処理が面倒になるため、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。なお、浸漬処理は、酸性化合物の水溶液中に凝集ゴムを放置しておくことなどで実施することができる。
酸性化合物による処理後に、使用した酸性化合物を除去し、その後、処理後の凝集ゴムの洗浄処理を適宜実施してもよい。洗浄処理としては、工程1−2と同様の方法が挙げられ、例えば、洗浄を繰り返すことで非ゴム成分を更に低減し、所望の含有量に調整することができる。また、酸性化合物による処理後の凝集ゴムをロール式の絞り機などで絞ってシート状などにしてもよい。凝集ゴムを絞る工程を追加することで、凝集ゴムの表面と内部のpHを均一にすることができ、所望の性能を有するゴムが得られる。必要に応じて、洗浄や絞り工程を実施した後、クレーパーに通して裁断し、乾燥することにより、改質天然ゴムを得ることができる。なお、乾燥は特に限定されず、例えば、TSRを乾燥させるために使用されるトロリー式ドライヤー、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤーなどの通常の乾燥機を用いて実施することができる。
[製法2]
(工程2−1)
工程2−1では、天然ゴムラテックスを脱蛋白処理する。これにより、タンパク質などの非ゴム成分が除去された脱蛋白天然ゴムラテックスが調製できる。工程2−1で使用する天然ゴムラテックスとしては、製法1において説明したものと同様のものが挙げられる。
脱蛋白処理の方法としては、タンパク質の除去が可能な公知の方法を特に制限なく採用することができ、例えば、天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素を添加して蛋白質を分解させる方法などが挙げられる。
脱蛋白処理に使用される蛋白質分解酵素としては特に限定されず、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれをも用いることができる。具体的には、プロテアーゼ、ペプチターゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼなどを単独または組み合わせて使用することができる。
蛋白質分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックス中の固形分100質量部に対して、0.005質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましい。タンパク質分解酵素の添加量が0.005質量部以上であれば、蛋白質の分解反応が十分に行われる傾向がある。
なお、脱蛋白処理において、蛋白質分解酵素と共に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性界面活性剤などが挙げられる。
(工程2−2)
工程2−2では、工程2−1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを洗浄する。この洗浄により、タンパク質などの非ゴム成分を除去する。
工程2−2は、例えば、工程2−1で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを凝集させて凝集ゴムを作製した後、得られた凝集ゴムを洗浄することにより実施できる。これにより、凝集ゴム中に強く付着したタンパク質などの非ゴム成分を除去することができる。
凝集方法は、製法1の工程1−2と同様の方法で実施することができる。さらに必要に応じて、製法1において説明したような塩基性化合物で処理しても良い。凝集ゴムの作製後、洗浄処理が行われる。この洗浄処理は、製法1の工程1−2と同様の方法で実施でき、これにより、タンパク質などの非ゴム成分を除去することができる。なお、洗浄処理は、製法1と同様の理由により、ゴム中のリン含有量が200ppm以下および/または窒素含有量が0.15質量%以下になるまで洗浄するものであることが好ましい。
(工程2−3)
工程2−3では、工程2−2で得られた洗浄後のゴムに酸性化合物による処理が施される。塩基性化合物での処理はもちろん、酸凝集においても酸量が少ない場合、最終的に得られたゴムを水で抽出した際、アルカリ性〜中性になることに起因して耐熱老化性が低下する傾向がある。一般的に、好適に脱蛋白できるという理由から、蛋白質分解酵素として、アルカリ領域に至適pHを有する酵素が使用されており、当該酵素反応は、至適pHに合わせてアルカリ条件下で行われることが多い。その後、凝集の際に酸性下で凝固されるが、そのゴムを水洗しただけでは、後述する抽出でpHが抽出液よりも上がり、この場合に特に耐熱老化性の低下が大きくなる。これに対して、凝固後、必要に応じて塩基性化合物で処理した後に、酸性化合物で処理をすることにより、そのような問題を防止し、良好な耐熱老化性を得ることができる。
酸性化合物としては、製法1の工程1−3において説明したものと同様のものが挙げられる。また、凝集ゴムを酸性化合物で処理する方法は、凝集ゴムを酸性化合物に接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムを酸性化合物の水溶液に浸漬する方法、凝集ゴムに酸性化合物の水溶液を噴霧する方法などが挙げられる。酸性化合物の水溶液は、各酸性化合物を水で希釈、溶解することで調製できる。
上記酸性化合物の水溶液100質量%中の酸性化合物の含有量は特に限定されるものではないが、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。酸性化合物の含有量が0.01〜15質量%の範囲内であると、良好な耐熱老化性が得られる傾向がある。
凝集ゴムを酸性化合物で処理する際の処理温度、処理時間は適宜選択すればよく、製法1の工程1−3と同様の温度を採用すればよい。また、酸性化合物の水溶液への浸漬などの処理では、pHを製法1の工程1−3と同様の値に調整することが好ましい。
酸性化合物による処理後に、使用した酸性化合物を除去し、その後、処理後の凝集ゴムの洗浄処理を適宜実施しても良い。洗浄処理としては、製法1の工程1−3と同様の方法が挙げられ、例えば、洗浄を繰り返すことで非ゴム成分をさらに低減し、所望の含有量に調整することができる。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本発明に用いる改質天然ゴムが得られる。なお、乾燥は特に限定されず、絞り工程なども含めて製法1の工程1−3に記載した手法などを採用することができる。
X2練り工程におけるシリカの配合量は、改質NR100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。シリカの配合量を15質量部以上とすることにより、シリカを分散した効果を十分に得ることができる。また、X2練り工程におけるシリカの配合量は、改質NR00質量部に対して、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。シリカの配合量を100質量部以下とすることにより、シリカの分散が容易になり、加工性を良好なものとすることができる。
X2練り工程に使用されるシリカは、特に限定されるものではなく、上記X1練り工程において説明したとおりである。
X2練り工程においても、シリカとともにシランカップリング剤を混練りすることが好ましく、シランカップリング剤は、上記X1練り工程において説明したとおりである。
(c)BRマスターバッチと改質NRマスターバッチとを混練りする工程(Y練り工程)
X1練りで得られたBRマスターバッチと、X2練りで得られた改質NRマスターバッチとを混練りして行う。混練方法としては、例えば、上記X1およびX2練り工程同様、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用し、一般的なゴム工業で使用される条件下で行うことができる。
Y練り工程における混練温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好ましい。混練温度を80℃以上とすることにより、シランカップリング剤とシリカとの反応を十分に進ませ、シリカを良好に分散させることができ、氷雪上性能と耐摩耗性能をバランス良く改善させやすくなる。また、Y練り工程における混練温度は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。混練温度を200℃以下とすることにより、ムーニー粘度の上昇を抑え、加工性を良好にすることができる傾向がある。また、排出温度は、130〜160℃を採用することができる。
Y練り工程の混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、2〜6分間がより好ましい。
本発明の加硫ゴム組成物の製造方法においては、X1練り工程、X2練り工程、Y練り工程またはその他の工程を設けて、上記材料以外に、必要に応じて、改質NRおよびBR以外のゴム成分や、カーボンブラックなどのフィラー、オイルなどの軟化剤、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、その他タイヤ工業において一般的に用いられている各種材料もあわせて混練りしてもよい。
その他のゴム成分としては、スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴムが挙げられる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、これらのカーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、低温特性と耐摩耗性能をバランスよく向上させることができるという理由から、ファーネスブラックが好ましい。カーボンブラックを混練りする工程としては、特に限定されるものではないが、シリカをBR相に優先的に分散させるなどの理由からX2練りが好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、十分な補強性および耐摩耗性が得られる点から、70m2/g以上が好ましく、90m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという点から、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。なお、N2SAは、JIS K 6217−2「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に準じて測定することができる。
カーボンブラックを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。カーボンブラックの含有量を1質量部以上とすることにより、十分な補強性が得られる傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は95質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量を95質量部以下とすることにより、加工性が良好となり、発熱が抑えられ、耐摩耗性を向上することができる。
オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、プロセスオイル、植物油脂またはその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、亜麻仁油、菜種油、大豆油、パーム油、ヤシ油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油などが挙げられる。なかでも、プロセスオイル、特にパラフィン系プロセスオイルを用いることが好ましい。
オイルを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。オイルの含有量を15質量部以上とすることにより、スタッドレスタイヤに必要な雪氷上性能を発揮する傾向がある。また、オイルの含有量は80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。オイルの含有量を80質量部以下とすることにより、加工性の悪化、耐摩耗性の低下、老化物性の低下を防ぐ傾向がある。
本発明に用いられる老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩などの老化防止剤を適宜選択して配合することができ、これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐オゾン性を顕著に改善できる、効果が長持ちするという理由からアミン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
老化防止剤を含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.2質量部以上がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を0.5質量部以上とすることにより、十分な耐オゾン性を得ることができる傾向がある。また、老化防止剤の含有量は、8質量部以下が好ましく、4質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を8質量部以下とすることにより、変色を抑制することができ、ブリードを抑制することができる傾向がある。
ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛はいずれも、ゴム工業において一般的に用いられるものを好適に用いることができる。
(d)加硫する工程(F練り工程および加硫工程)
上記Y練りで得られた混練物に、加硫剤と、必要に応じて加硫促進剤とをF練りにより混練りし、混練物(未加硫ゴム組成物)を得る。そして、この未加硫ゴム組成物を、必要な形状に成形し、タイヤ部材として貼り合せた後、公知の方法により加硫することにより、本発明の加硫ゴム組成物を得ることができる。
F練り工程は、混練機が冷えている場合は50℃程度、連続使用している場合は80℃程度から混練りを開始し、排出温度95〜110℃になるまで混練りして行うことができる。
加硫温度は、本発明の効果が良好に得られるという点から、120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。加硫時間は、本発明の効果が良好に得られるという点から、5〜30分間が好ましい。
加硫剤は特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができるが、硫黄原子を含むものが好ましく、粉末硫黄が特に好ましく用いられる。
加硫促進剤も特に限定されるものではなく、ゴム工業において一般的なものを使用することができる。
上述したような本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物は、BRおよびシリカを含む相(BR相)と改質NRおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有し、BR相と改質NR相とは互いに非相溶である。ここで、本明細書において「非相溶」とは、例えば加硫ゴム組成物の断面における、非連続相の平均円相当半径が100nm以上であることを意味し、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像により容易に評価することができる。
また、本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物は、BR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たすことにより、加硫ゴム組成物の耐摩耗性能が向上し、トレッドに用いた場合には、氷上性能も向上する。本明細書において、「BR相中のシリカの存在率α」は、加硫工程の完了から100時間〜500時間後における、ゴム組成物中の全シリカ量のうちどのくらいがBR相に存在しているかを示す指標である。
0.3≦α≦0.7 (式1)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)である。)
具体的には、例えば、加硫ゴム組成物を面出しし、サンプルとする。1つのサンプルの走査型電子顕微鏡(SEM)写真について、互いに重複しない2μm×2μmの領域を10ヵ所選択する。各領域で、単位面積当たりのシリカ面積と、単位面積中のBR相におけるシリカ面積を測定し、BR相のシリカ存在率γを算出する。10ヵ所のγの最大値と最小値との差が10%以内であることを確認できれば、その10ヵ所のγの平均をαとする。
BR相中のシリカの存在率αは、0.3以上であり、0.5以上が好ましい。BR相中のシリカの存在率αが0.3未満の場合、耐摩耗性能や氷上性能の向上が期待できず、むしろ低下する傾向がある。また、BR相中のシリカの存在率αは、0.7以下であり、0.6以下が好ましい。BR相中のシリカの存在率αが0.7を超えると、特に耐摩耗性能の向上が期待できず、むしろ低下する傾向がある。
本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たすものである。
0.45≦β≦0.8 (式2)
(ここで、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)であり、加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量および加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量は、それぞれ加硫ゴム組成物を製造する際に含有させた各ゴムの含有量に相当する。)
ブタジエンゴムの割合βは、0.45以上であり、0.5以上が好ましい。ブタジエンゴムの割合βが0.45未満の場合、得られる氷上性能の向上が期待できない。また、ブタジエンゴムの割合βは、0.8以下であり、0.7以下が好ましい。ブタジエンゴムの割合βの上限が0.8を超える場合、改質天然ゴムの含有量が少なくなり、十分な破壊強度および耐摩耗性を得ることができない傾向がある。
また、本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物において、全ゴム成分中の、ブタジエンゴムと改質天然ゴムとの合計含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。ブタジエンゴムと改質天然ゴムとの合計含有量が多いほど、低温特性に優れており、必要な雪氷上性能を発揮することができるため、ゴム成分としてはブタジエンゴムおよび改質天然ゴムのみからなるゴム成分を使用することが好ましい。
上述の本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により、改質NRに偏在しやすいシリカをBRにも偏在させ、加硫ゴム組成物全体にシリカを分散させることができる。これにより、改質NRの優れた耐摩耗性を損なうことなく、シリカによる氷上性能の改善を行うことができ、これらの性能がバランス良く得られる。
本発明のまた別の実施態様である加硫ゴム組成物は、ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、改質天然ゴムおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有する加硫ゴム組成物であって、BR相と改質NR相とは互いに非相溶であり、加硫工程の完了から100時間〜500時間後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす、加硫ゴム組成物であり、例えば上記本発明の加硫ゴム組成物の製造方法により製造することができる。
0.3≦α≦0.7 (式1)
0.45≦β≦0.8 (式2)
(ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)である。)
本明細書中の加硫ゴム組成物に関する説明は、上記本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物のみならず上述の本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物にも適用されるものとし、本明細書中の本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物の製造方法の説明においてした、各種材料や配合比、得られる加硫ゴム組成物の性質などに関わる記載は、上記本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物にも適用されるものとする。
本発明の加硫ゴム組成物では、ブタジエンゴムが海相、改質天然ゴムが島相を形成し、かつブタジエンゴム側のシリカ存在率が30%以上であり、ブタジエンゴム側への十分な偏在が見られない場合、すなわちブタジエンゴム相におけるシリカ存在率αが0.3に満たない場合、改質天然ゴムは単独でもブタジエンゴムよりも硬度が大きい傾向にあるため、シリカ偏在によってさらに硬度差ができ、耐摩耗性能の低下が見られる傾向がある。
本発明の加硫ゴム組成物は、改質天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを25〜120質量部、そして軟化剤を15〜80質量部含有することが好ましい。
フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。フィラーの含有量を25質量部以上とすることにより、耐摩耗性および破壊特性が良好となる傾向がある。また、フィラーの含有量は120質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。フィラーの含有量を120質量部以下とすることにより、加工性、作業性が向上し、フィラー増量による低温特性の低下を防ぐ傾向がある。フィラーには、シリカ、カーボンブラック、水酸化アルミニウムなどが含まれ、全フィラー量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上のシリカを配合することが好ましい。
シリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して25質量部以上が好ましく、38質量部以上がより好ましい。シリカの合計含有量を25質量部以上とすることにより、耐摩耗性および破壊特性が良好となる傾向がある。また、シリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。シリカの合計含有量を100質量部以下とすることにより、加工性、作業性が向上し、シリカ増量による低温特性の低下を防ぐ傾向がある。
軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。軟化剤の含有量を15質量部以上とすることにより、スタッドレスタイヤに必要な雪氷上性能を発揮する傾向がある。また、軟化剤の含有量は、80質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。軟化剤の含有量を80質量部以下とすることにより、加工性の悪化、耐摩耗性の低下、老化物性の低下を防ぐ傾向がある。軟化剤には、アロマ系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、テルペン系樹脂などが含まれる。
本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物や本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物の製造方法により得られる加硫ゴム組成物は、タイヤの各部材、例えばトレッド、カーカス、サイドウォール、ビードなどのタイヤ用途をはじめ、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業製品などにも用いることができる。なかでも、氷上性能および耐摩耗性能に優れることから、トレッドに好適に使用されるものであり、さらにトレッドがキャップトレッドとベーストレッドとからなる2層構造のトレッドである場合はキャップトレッドに好適に使用されるものである。
本発明のスタッドレスタイヤは、本発明の一実施態様である加硫ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、本発明の加硫ゴム組成物の未加硫段階で未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合せ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱および加圧することにより、本発明のスタッドレスタイヤを製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
<改質天然ゴムの製造>
以下、製造例において用いた各種材料を示す。
フィールドラテックス:マレーシアのムヒバラテックス社から入手したフィールドラテックス
アニオン系界面活性剤:花王(株)製のエマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、有効成分27質量%)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
老化防止剤:ELIOKEM社製のWingstay L(ρ−クレゾールとジシクロペンタジエンとの縮合物をブチル化した化合物)
界面活性剤:LANXESS社製のエマルビンW(芳香族ポリグリコールエーテル)
界面活性剤:BASF社製のタモールNN9104(ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒドのナトリウム塩)
界面活性剤:Vanderbilt社製のVan gel B(マグネシウムアルミニウムシリケートの水和物)
(老化防止剤分散体の調製)
水(462.5g)、エマルビンW(12.5g)、タモールNN9104(12.5g)、Van gel B(12.5g)、Wingstay L(500g)の合計1000gをボールミルで16時間混合し、老化防止剤分散体を調製し、以下の製造例に用いた。
製造例1
フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、このラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、さらに水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。その後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5〜5mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水2000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間放置した。さらに、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰返した後、水しぼりロールで水を絞ってシート状にした。その後、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。
比較製造例1
フィールドラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、このラテックス1000gに、10%エマールE−27C水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、さらに水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。その後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、カチオン系高分子凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は3〜15mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mlに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mlを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を1回行った。その後、水500mlを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、15分間撹拌した。さらに、水を極力取り除き、再度水を添加して2分間撹拌する作業を3回繰返した後、90℃で4時間乾燥して固形ゴムを得た。
比較製造例2
製造例1において炭酸ナトリウム水溶液で処理し、水洗を7回繰り返した後、2質量%ギ酸による酸処理をすることなく、水しぼりロールで水を絞ってシート状にしたほかは、同様の手順で固形ゴムを得た。
製造例1ならびに比較製造例1および2で得られた固形ゴムについて、下記試験を行い、結果を表1に示した。
<ゴムのpHの測定>
得られたゴム5gを5mm以下(約1〜2×約1〜2×約1〜2(mm))に切断して100mlビーカーに入れ、常温の蒸留水50mlを加えて2分間で90℃に昇温し、その後90℃に保つように調整しながらマイクロ波(300W)を13分(合計15分)照射した。次いで、浸漬水をアイスバスで冷却して25℃とした後、pHメーターを用いて、浸漬水のpHを測定した。
<窒素含有量の測定>
(アセトン抽出(試験片の作製))
各固形ゴムを1mm角に細断したサンプルを約0.5g用意した。サンプルをアセトン50g中に浸漬して、室温(25℃)で48時間後にゴムを取出し、乾燥させ、各試験片(老化防止剤抽出済み)を得た。
(測定)
得られた試験片の窒素含有量を以下の方法で測定した。窒素含有量は、微量窒素炭素測定装置「SUMIGRAPH NC95A((株)住化分析センター製)」を用いて、上記で得られたアセトン抽出処理済みの各試験片を分解、ガス化し、そのガスをガスクロマトグラフ「GC−8A((株)島津製作所製)」で分析して窒素含有量を定量した。
<リン含有量の測定>
ICP発光分析装置(P−4010、(株)日立製作所製)を使用してリン含有量を求めた。
<ゲル含有率の測定>
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル約70mgを正確に計り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
<耐熱老化性>
80℃で18時間熱処理した前後の固形ゴムのムーニー粘度ML1+4(130℃)を、JIS K6300:2001−1に準拠して測定し、さらに次の式により耐熱老化性指数を算出した。熱処理前のムーニー粘度が50〜70の範囲、特に50〜65の範囲であれば物性が良く、素練りの必要もなく、優れている。低すぎるとゴム物性が悪い。また、耐熱老化性指数が大きいほど、耐熱老化性が優れている。
耐熱老化性指数(%)=熱処理後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100
以下、実施例および比較例において用いた各種材料をまとめて示す。
改質天然ゴム(改質NR):製造例1にて製造したもの
天然ゴム(NR):TSR20
ブタジエンゴム(BR):JSR(株)製のBR730(シス1,4−含有率95%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAFカーボン、N2SA:114m2/g、平均粒子径:23nm)
シリカ:エボニック・デグザ(Evonik Degussa)社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:エボニック・デグザ社製のSi266
ミネラルオイル:出光興産(株)製のPS−32(パラフィン系プロセスオイル)
ステアリン酸:日油(株)製の「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエースワックス
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜5および比較例1〜4
表2の工程(I)に示す配合処方にしたがい、ゴム成分、シリカおよびその他の材料を入れ、1.7Lのバンバリーミキサーを用いて排出温度150℃で3分間混練りすることにより、ブタジエンゴムおよびシリカを含む混練物(BRマスターバッチ)および改質天然ゴムおよびシリカを含む混練物(改質NRマスターバッチ)を得た。次に、得られた両混練物と、表2の工程(II)に示す配合処方にしたがい、その他の材料を添加し、排出温度150℃で5分間混練りし、混練物を得た。得られた混練物に、表2の工程(III)に示す配合処方にしたがい硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて150℃で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。なお、表2の工程(I)に配合量の記載がないものは、工程(II)のみ行った。
得られた各未加硫ゴム組成物を170℃で12分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた各未加硫ゴム組成物をそれぞれキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材と共に貼り合せて170℃で15分間加硫することにより、試験用スタッドレスタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用スタッドレスタイヤを室温で保管し、加硫完了から200時間後(約1週間後)のものについて、下記試験により、耐摩耗性能、氷上性能、シリカ偏在評価を行った。また、加硫ゴム組成物について、加硫完了から200時間後の状態と加硫完了から1年後の状態とを比較して、下記試験によりシリカ分散状態の経時安定性の評価を行った。それぞれの試験結果を表2に示す。
<耐摩耗性能>
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、付加荷重3.0kg、落砂量15g/分でスリップ率20%にて摩耗量を測定し、それらの摩耗量の逆数をとった。そして、比較例1の摩耗量の逆数を100とし、その他の摩耗量の逆数を指数で表した。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。なお、105以上を性能目標値とする。
<氷上性能>
実施例および比較例のスタッドレスタイヤを用いて、下記の条件で、氷上で実車性能を評価した。試験場所は、住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで行い、氷上気温は−2〜−6℃であった。試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した氷上の停止距離を測定した。そして、比較例1を基準として、下記式から算出した。なお、110以上を性能目標値とする。
(氷上性能)=(比較例1の制動停止距離)/(各配合の停止距離)×100
<モルホロジーの評価およびシリカ偏在の評価>
加硫ゴム組成物を面出しし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。各相のモルホロジーは、コントラストの比較により確認することが可能であった。その結果、実施例、比較例では、ブタジエンゴムを含む相(BR相)と改質天然ゴムを含む相(改質NR相)とは互いに非相溶であることが確認された。BR相が海相を形成し、改質NR相が島相を形成しており、シリカは、実施例ではBR相および改質NR相の両方に分散していた。
シリカは粒状の形態として観察可能である。1つのサンプルのSEM写真について、互いに重複しない2μm×2μmの領域を10ヵ所選択した。各領域で、各相の単位面積当たりのシリカ面積を測定し、BR相のシリカ存在率γを算出した。10ヵ所のγの最大値と最小値との差が、10%以内であることを確認し、10ヵ所のγの平均を、αとして表に記載した。
<シリカ分散状態の経時安定性>
上記と同様にして、同一の加硫ゴム組成物について、加硫完了から1年後の状態におけるBR相中のシリカ存在率αを測定した。そして、加硫完了から200時間後の状態におけるBR相中のシリカの存在率αを基準として加硫完了から1年後の状態におけるBR相中のシリカの存在率αの変化率を調べた。
変化率(%)=|α(1年後)−α(200時間後)|/α(200時間後)×100
以下の評価基準に基づいて、実施例および比較例を評価した。変化率が小さい方が結果は良好である。
A:変化率が10%以内である
B:変化率が10%を超え、30%以内である
C:変化率が30%を超える
表2の結果より、シリカをそれぞれ含むBRと改質NRの二種類のマスターバッチを作製したうえで、それらを混練りする製造方法とすることにより、良好なBR相のシリカ存在率αを有する加硫ゴム組成物を作製することができ、シリカの分散安定性が良好となることがわかる。また、そのような良好なBR相のシリカ存在率αを有する加硫ゴム組成物は、耐摩耗性能および氷上性能をバランス良く改善できることがわかる。
1 BR相
2 IR相
3 シリカ
4 カーボンブラック

Claims (17)

  1. (a)ブタジエンゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、
    (b)改質天然ゴムおよびシリカを含むマスターバッチを作製する工程、
    (c)(a)で得られたマスターバッチと(b)で得られたマスターバッチとを混練りする工程、および
    (d)(c)で得られた混練物を加硫する工程
    を含む加硫ゴム組成物の製造方法であって、
    該改質天然ゴムが、天然ゴムの非ゴム成分を除去したのち、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7に調整されたものであり、
    該加硫ゴム組成物が、
    ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、改質天然ゴムおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有し、
    BR相と改質NR相とは互いに非相溶であり、
    加硫工程の完了から100時間〜500時間後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、
    ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす、加硫ゴム組成物の製造方法。
    0.3≦α≦0.7 (式1)
    0.45≦β≦0.8 (式2)
    (ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)である。)
  2. 前記ブタジエンゴムおよびシリカを含むマスターバッチが、ブタジエンゴム100質量部に対して、シリカを40質量部以上含有する請求項1記載の製造方法。
  3. 前記改質天然ゴムおよびシリカを含むマスターバッチが、改質天然ゴム100質量部に対して、シリカを15質量部以上含有する請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上のブタジエンゴムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記加硫ゴム組成物が、改質天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを25〜120質量部、軟化剤を15〜80質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上のシリカを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記改質天然ゴムのゴム中のリン含有量が200ppm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記改質天然ゴムのゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記改質天然ゴムのpH値が、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定した値である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記改質天然ゴムの80℃、18時間熱処理後の耐熱老化性指数(式3)が、75〜120%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
    耐熱老化性指数=熱処理後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100 (式3)
  10. ブタジエンゴムおよびシリカを含む相(BR相)と、改質天然ゴムおよびシリカを含む相(改質NR相)とを有する加硫ゴム組成物であって、
    該改質天然ゴムが、天然ゴムの非ゴム成分を除去したのち、酸性化合物で処理して得られ、pHが2〜7に調整されたものであり、
    BR相と改質NR相とは互いに非相溶であり、
    加硫工程の完了から100時間〜500時間後におけるBR相中のシリカの存在率αが下記式1を満たし、
    ブタジエンゴムの割合βが下記式2を満たす、加硫ゴム組成物。
    0.3≦α≦0.7 (式1)
    0.45≦β≦0.8 (式2)
    (ここで、α=BR相中のシリカ量/(BR相中のシリカ量+改質NR相中のシリカ量)であり、β=加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量/(加硫ゴム組成物中のブタジエンゴムの質量+加硫ゴム組成物中の改質天然ゴムの質量)である。)
  11. 前記ブタジエンゴムが、シス1,4結合含有率が90%以上のブタジエンゴムである請求項6記載の加硫ゴム組成物。
  12. 改質天然ゴムとブタジエンゴムとを含むゴム成分100質量部に対して、フィラーを25〜120質量部、軟化剤を15〜80質量部含有し、該フィラーは、全フィラー量に対して50質量%以上のシリカを含有する請求項10または11記載の加硫ゴム組成物。
  13. 前記改質天然ゴムのゴム中のリン含有量が200ppm以下である請求項10〜12のいずれか1項に記載の加硫ゴム組成物。
  14. 前記改質天然ゴムのゴム中の窒素含有量が0.15質量%以下である請求項10〜13のいずれか1項に記載の加硫ゴム組成物。
  15. 前記改質天然ゴムのpH値が、前記改質天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出し、浸漬水をpHメーターを用いて測定した値である請求項10〜14のいずれか1項に記載の加硫ゴム組成物。
  16. 前記改質天然ゴムの80℃、18時間熱処理後の耐熱老化性指数(式3)が、75〜120%である請求項10〜15のいずれか1項に記載の加硫ゴム組成物。
    耐熱老化性指数=熱処理後のムーニー粘度/熱処理前のムーニー粘度×100 (式3)
  17. 請求項10〜16のいずれか1項に記載の加硫ゴム組成物により構成されたトレッドを有するスタッドレスタイヤ。
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